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	<title>Baka-Tsuki - User contributions [en]</title>
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	<updated>2026-05-07T05:38:59Z</updated>
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		<id>http://www.baka-tsuki.org/project/index.php?title=Talk:Zero_no_Tsukaima:Volume14_Chapter1&amp;diff=291355</id>
		<title>Talk:Zero no Tsukaima:Volume14 Chapter1</title>
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		<updated>2013-10-01T20:47:32Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;82.243.126.58: /* translation quality in vol 14? */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;==Orginal Text to help with review and editing ==&lt;br /&gt;
&amp;lt;!--  i am now proceeding to translate part 2 of chapter 1...&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Please take note of these; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「..」 are  like &amp;quot;..&amp;quot;&lt;br /&gt;
《...》 are just to show the pronouncement of the kanji&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ガリア王国の王都リュティスの真ん中を流れるシレ川……。&lt;br /&gt;
　その中州に発達した旧市街と呼ばれる中心地から延びたボン・ファン街を三十分ほど王都郊外へと馬で走る。&lt;br /&gt;
　すると街並みが途切れ、代わりに長い石壁が延々と続く場所に出る。昼でもその石壁の切れ目を見ることはかなわない。&lt;br /&gt;
　その長い石壁の向こうにあるのが、ガリア王族が暮らすベルサルテイル宮殿であった。&lt;br /&gt;
なぜこのような街外れに宮殿が建設されたのかは、その規模を見れば理解できる。&lt;br /&gt;
　これほど贅《ぜい》を凝らした大宮殿を造れる土地は、リュティス市街のどこを探してもなかったのだ。&lt;br /&gt;
　双月が雲に隠れたおかげで、闇《やみ》が重く肩にのしかかるようなその夜……、宮殿東側の赤｜薔薇《ばら》門の前を騎乗して｜闊歩《かっぽ》する騎士の姿があった。&lt;br /&gt;
　宮殿壁には魔法のたいまつが掲げられ街道を照らしていたが、それでも闇は濃い。昼に降った雨のせいで、その間は湿気を含み、粘つく空気となって騎士たちを包んでいた。&lt;br /&gt;
　右側を歩く若い騎士が、｜白百合《しらゆり》が飾られた帽子のひさしを持ち上げ、疲れた声で言った。&lt;br /&gt;
「しかし、｜両用艦隊《バイラテラル・フロッテ》が反乱とは……。司令のクラヴィル卿《きょう》は王政府に忠誠厚いことで知られた人物ではありませんか。それが反乱とは！　昨今の視国はいったいどうなってしまったのでしょうか。伝統が地に落ち、政治は腐敗し、貴族たちは蔵の金貨を増やすことしか考えず、平民どもはその分け前に与ることしか考えておりませぬ。そこにとうとう反乱までが！」&lt;br /&gt;
　若い騎士は一息つくと、小さな声で街で流行っている｜小唄《こうた》を歌い始めた。&lt;br /&gt;
「神と始祖より｜寵愛《ちょうあい》されし我がガリアよ。ハルケギニアに｜燦然《さんぜん》と君臨する我がガリアよ。何ゆえに始祖から勘当された？　なにゆえに神から愛想をつかされた？　おおガリア。かぐわしき花の香りはどこへ消えた。おおガリア。麗しき我が祖国よ。なにゆえに艦隊までもが愛想をつかす？」&lt;br /&gt;
　ガリアの北西海岸に面した軍港サン・マロンを母港とする両用艦隊が突如反乱を起こし、現在軍港は閉鎖中であるとの報告が届いたのは今朝のこと。リュティスには戒厳令がしかれ、いくつもの騎士団や連隊がサン・マロンへと向かっている。&lt;br /&gt;
　現在、艦隊と軍港を包囲した部隊の間ではにらみ合いが続いているらしい。&lt;br /&gt;
　その若い騎士と同じく南百合花壇騎士団所属の老騎士は、後輩をわずかに哀れんだ目で見つめた。&lt;br /&gt;
「きみは本当に、両用艦隊が反乱を起こしたなどと思っているのかね」&lt;br /&gt;
「そのように聞いておりますが。だからこそ、我々がこうやって夜中の｜警邏《けいら》に駆り出されておるのでしょう。まあ、サン・マロンの鎮圧任務に駆り出された他《ほか》の騎士団に比べれば、楽な任務といえましょうが……。反乱勢とはいえ、同じガリア人に杖《つえ》を向けるのはあまりぞっとしませんからな」&lt;br /&gt;
　老騎士はため息をつくと、驚くべき言葉を切り出した。&lt;br /&gt;
「頭を下げた回数で艦隊司令に選ばれたような男が、主人に噛《か》みつけるわけがなかろう」&lt;br /&gt;
「どういうことですか？」&lt;br /&gt;
「すべては陛下の思《おほ》し召《め》しということだよ」&lt;br /&gt;
　老騎士は長年軍服を着込んできたものだけがまとう、疲労と｜慧眼《けいがん》が入り混じった目で、&lt;br /&gt;
石壁の向こうを見やった。&lt;br /&gt;
「……なんと！　それはまことですか？」&lt;br /&gt;
　若い騎士は、入団以来、ずっと自分の教師でもあったこの老騎士を見上げた。彼がこの年になっても一介の騎士に過ぎないのは、家柄のみがその理由であった。彼がせめて男爵の位でも持っていれば、｜今頃《いまごろ》は騎士団を預かる身分にもなっていただろう。&lt;br /&gt;
　文武に優れた彼の言葉は今まで外れたことがなかった。それゆえに若い騎士は彼を心から尊敬し、その発音を頭から信じ込んできたのである。&lt;br /&gt;
　なるほど驚くべき言葉だったが、その彼が言うからには本当のことに違いない。&lt;br /&gt;
「……では包囲した部隊とにらみ合っているというのは？」&lt;br /&gt;
「おそらく芝居だろうな。いいかねフランダール君、あの陛下は 〝無能王〟 などと呼ばれて内外から｜馬鹿《ばか》にされているが、わたしはそうは思わん。陛下は……、不敬を承知で口にするが、恐ろしい男だよ。わたしは｜軍杖《ぐんしょう》を腰に下げてより｜爾来《じらい》四十年、王家に仕えてきた。駆け巡った戦場の教は両の指をあわせても足りん。だが、そんなわたしでもあの王さまより怖い男を知らぬ」&lt;br /&gt;
　若い騎士は老騎士を見つめ、それから深いため息をついた。&lt;br /&gt;
「……わたしたちはその芝居に付き合わされているということですかな」&lt;br /&gt;
「騎士とはそういうものだ。｜所詮《しょせん》は誰《だれ》かの手のひらの上で踊る喜劇役者に過ぎぬのだ。わかっているだろうが今わたしが話したことは、誰にも口外はならぬ。このことが陛下の耳に入れば、わたしだけでなく、きみの首まで飛ぶだろうからな」&lt;br /&gt;
　若い騎士は緊張の色を浮かべ、頷《うなず》いた。&lt;br /&gt;
　二人は左側に｜鬱蒼《うっそう》と森が広がる場所に出た。テーニャンの森だ。王室の｜御猟場《ごりょうば》となっているこの森の一角に、若い騎士はさっとうごめく影を見つけた。&lt;br /&gt;
「なにやつ！」&lt;br /&gt;
　若い騎士はすばやく馬に拍車をいれ急行した。 〝明かり〟 の｜呪文《じゅもん》を唱え、影がいたと思しき辺りを照らす。&lt;br /&gt;
　黒いローブに身を包んだ男が浮かび上がった。観念したのか、身じろぎすらせずに堂々と立っている。若い騎士は杖《つえ》を構えると、男に突きつけた。&lt;br /&gt;
「フードを取れ！」&lt;br /&gt;
　男はゆっくりとフードをはずした。そこから現れた顔を見て、若い騎士は驚きの声をあげた。&lt;br /&gt;
「カステルモール殿！」&lt;br /&gt;
　フードの下のその顔は、東｜薔薇《ばら》騎士団団長のバッソ・カステルモールであった。若い騎士とさほど変わらぬ年でありながら、騎士団長を任されるほどの使い手である彼は有名人だった。数々の彼の武勇、そして顔を知らぬ花壇騎士はいない。&lt;br /&gt;
　そんな彼は、なぜか硬い表情で若い騎士を見つめている。&lt;br /&gt;
　若い騎士は首をかしげながら、杖を鞘《さや》に収めた。&lt;br /&gt;
「どうしてこんなところにおられるのです？　東薔薇騎士団は……、サン・マロンに向かったのではありませんか？」&lt;br /&gt;
「……理由は開かずに、ここを通していただきたい」&lt;br /&gt;
　苦しそうな声で、カステルモールはつぶやく。若い騎士は困ったように首を振る。おそらくなんらかの密命を受けているのだろう。だが、こちらも勤務中だ。&lt;br /&gt;
「そういうわけには参りませぬ。なにせこのようなご時世ですからな。夜間外出禁止令はご存知でしょう？　この辺りで出会ったものすべて、身分官職問わずに連行せよと命令を受けております。だがまあ、形式に過ぎません。あなたほどの人物なら、詰め所で書類にサインをしていただければそれで結構。さあ、とりあえずこちらへ……」&lt;br /&gt;
　しかしカステルモールは身動きひとつしない。&lt;br /&gt;
「カステルモール殿？」&lt;br /&gt;
　そのとき、後ろで成り行きを見守っていた老騎士が叫んだ。何かに気づいたのだ。&lt;br /&gt;
「フランダール！　杖《つえ》を抜け！」&lt;br /&gt;
　言うなり老騎士は杖を引き抜いた。&lt;br /&gt;
「な、どういうことです？」若い騎士がそう呆《ほう》けた声でつぶやくのと、カステルモールの後ろから風のロープが飛んで、老騎士の｜身体《からだ》に絡みつくのが同時だった。&lt;br /&gt;
　慌てて若い騎士が杖を引き抜こうとすると、深々と空気の塊が腹にめり込んだ。撮り向くと、カステルモールが厳しい表情で、すばやく引き抜いた｜軍杖《ぐんしょう》を構えている。暗がりから次々に黒いローブに身を包んだ騎士たちが姿を現した。&lt;br /&gt;
「……どうして」&lt;br /&gt;
　そう呟《づぶや》くと、若い騎士の意識は薄れていった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　倒れた二人の｜警邏《けいら》の騎士を縛り上げる部下を見つめて、カステルモールはため息をついた。見つかるとは、失態だった。とはいっても、ここまで八十人からの騎士団が誰《だれ》にも見《み》咎《とが》められずにやってこれたのが｜僥倖《ぎょうこう》だったのだろう。&lt;br /&gt;
　カステルモール率いる東｜薔薇《ばら》騎士団に、両用艦隊反乱の報が届いたのは昨日の朝のこと。&lt;br /&gt;
　だが、現王政府に対し密《ひそ》かに叛意を抱いている東番薇騎士団の精鋭たちはそんな報告はまったく信じなかった。すぐさま各地に潜む協力者たちに情報の提供を求め、正午過ぎには真実を手に入れていた。&lt;br /&gt;
　反乱とは真っ赤な嘘《うそ》。&lt;br /&gt;
　現王ジョゼフの陰謀。&lt;br /&gt;
　ロマリアに対し領土的野心を抱いたであろうジョゼフの、味方をも欺《あざむ》くその陰謀に、カステルモールをはじめ東薔薇騎士団は｜激昂《げっこう》した。反乱軍を装い、同盟を結んだ隣国に侵攻するなど、あってはならない事態だ。この陰謀が後に明るみに出れば、ガリア王国の威信は地に落ち、その輝かしい歴史は闇《やみ》の向こうに消え去るであろう。&lt;br /&gt;
　そしてその二時間後、両用艦隊を包囲せよとの名目でサン・マロンへの移動が命じられたとき、カステルモールはついに決心したのである。&lt;br /&gt;
　両用艦隊の旗艦名は皮肉にも『シャルル・オルレアン』。自分で殺した弟の名前を旗艦につけるとは、｜贖罪《しょくざい》のつもりなのだろうか？&lt;br /&gt;
　……ならば、艦隊に陰謀の片棒を担がせるような｜真似《まね》はすまい。&lt;br /&gt;
　そればかりか、あの無能王は、自分たちまで茶番の役者に仕立て上げようとしている。&lt;br /&gt;
　包囲？　何を包囲せよというのだ？　包囲して、どうせよというのだ？　おそらく自分たちはただの見物人役なのだろう。他国を納得させるための、彩《いろど》りの一部に過ぎない。&lt;br /&gt;
　もう我慢がならぬ。決起のときは今である……。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
サン・マロンへ向かう途中、東｜薔薇《ばら》騎士団は夜を待ってリュティスへと引き返した。夜を徹しての進軍で、四時間後にはこのようにリュティスに舞い戻ることができた。みちみち、協力を取りつけてあった各連隊へ急便を飛ばしながらの早がけであった。&lt;br /&gt;
　親子ほども年の離れた副団長のアルヌルフが近寄り、その耳に顔を近づける。&lt;br /&gt;
「三つの連隊が協力を確約した、との報告がただ今届きました。彼らは朝にはリュティスに到着します」&lt;br /&gt;
「心強いな」&lt;br /&gt;
　カステルモールは、この日初めての笑顔を浮かべた。現王政府に反感を抱く貴族や軍人は少なくない。だが、実際にことを起こすとなれば話は別だ。｜謀叛《むほん》人の汚名は誰《だれ》も着たくない。&lt;br /&gt;
　それでも三つの連隊がすぐさま決起に応じた。自分の判断は間違っていなかった。カステルモールがジョゼフの首を上げれば、残りの連中もすぐになびくだろう。&lt;br /&gt;
「三日後にはトリステインに亡命あそばされているシャルロットさまを玉座にお迎えできるな」&lt;br /&gt;
　カステルモールは、いいようにこき使われていた王女の顔を思い出し、首を振った。オルレアン公の優しげな顔を思い出し、胸が熱くなった。&lt;br /&gt;
「……殿下、殿下の御無念を晴らすときがついにやってまいりました。殿下は貧乏貴族の家に生まれたわたくしを、『見込みがある』の一言で騎士団にお引き立てくださいました。&lt;br /&gt;
そのご恩に報いるときが、ついにやってきたのです」&lt;br /&gt;
　カステルモールは顔をあげると、高々と杖《つえ》を掲げた。&lt;br /&gt;
「諸君！　騎士団諸君に告ぐ！　我らはこれより、｜纂奪者《さんだつしゃ》より王座を取り返す！　そののちに、しかるべきお方にお返しするのだ！　恐れるな！　我らは｜叛軍《はんぐん》にあらず！　真のガリア花壇騎士、ガリア義勇軍である！」&lt;br /&gt;
　騎士団から歓声があがった。&lt;br /&gt;
「この石壁の向こうに眠る男こそ、神と始祖と祖国に仇《あだ》なす｜謀叛《むほん》人である！　諸君、われに続け！」&lt;br /&gt;
　カステルモールはそう叫ぶと、魔法を唱えて 〝フライ〟 で石壁を飛び越えた。次々に騎士たちはその背に続いた。わらわらと集まってきた警備の兵たちを東｜薔薇《ばら》騎士団の騎士たちは魔法で吹き飛ばし、一直線にジョゼフがいるグラン・トロワへと突進していった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ジョゼフは玉座に腰掛けて、オルゴールを聴いていた。&lt;br /&gt;
　ぼんやりと｜虚空《こくう》を見つめながら、ゆっくりと腕を持ち上げ、調べを奏でる指揮者のように手を動かす。&lt;br /&gt;
　陶酔しきった表情を浮かべながら始祖の調べに身を委《ゆだ》ねていると、玉座の間に衛士を連れた大臣が飛び込んできた。&lt;br /&gt;
「陛下！　陛下！　大変です！　謀叛です！　謀叛ですぞ！」&lt;br /&gt;
　慌てふためきながら、大臣はジョゼフの玉座に跪《ひぎまず》く。&lt;br /&gt;
「東薔薇騎士団が謀叛を起こしました！　警護の者を｜蹴散《けち》らし、このグラン・トロワに侵入いたしました！　今現在、鏡の間で親衛隊が必死の抵抗を続けておりますが多勢に無勢！　まもなく防衛線は破られ、ここにやってくるでしょう！」&lt;br /&gt;
　現在宮殿を守る貴族はわずか二十名に過ぎない。代々衛兵をつかさどるベルゲン大公国出身の｜傭兵《ようへい》たちが数百名｜駐屯《ちゅうとん》していたが、メイジばかりの騎土団が相手では、戦力に数えられようはずもない。例の 〝陰謀〟 で、ほとんどの部隊や騎士団が王都を出払っていた。&lt;br /&gt;
　その隙《すき》をつかれたのだった。&lt;br /&gt;
　絶体絶命のピンチにもかかわらず……、ジョゼフは恍惚《こうこつ》とした表情を崩さない。まるで大臣の叫びが調べの一部とでもいうように、オルゴールの音色に聴き入っていた。&lt;br /&gt;
「陛下！　陛下！　早く地下通路へ！　わたしの護衛隊が警護を仕《つかまつ》ります！」&lt;br /&gt;
　その剣幕にやっと気づいたように、ジョゼフは顔をあげる。&lt;br /&gt;
「どうした？」&lt;br /&gt;
「謀叛です！　何度も申し上げているではありませんか！」&lt;br /&gt;
「ああ。そうか。そういえば、そういう可能性もあったな。忘れていたよ」&lt;br /&gt;
　ジョゼフは大きく頷《うなず》くと、ゆっくりと立ち上がる。&lt;br /&gt;
「ではこちらへ！」&lt;br /&gt;
　そう言って案内しようとした大臣をさえぎり、ジョゼフは悠然と玉間の入り口を見つめ&lt;br /&gt;
た。入り口の向こうからは、衛士と謀叛《むほん》の騎士たちの剣戟《けんげき》が響いてくる。その恐ろしい響きで、大臣は腰を抜かし、へたへたと床に崩れ落ちた。&lt;br /&gt;
「ああ、ああ……、終わり、終わりです……」&lt;br /&gt;
　魔法の飛ぶ音や、杖《つえ》同士がぶつかり合う恐ろしい音がぴたりとやんだ。ゆっくりと、勝者が玉間の入り口に姿を現したときも、ジョゼフはじっと立ち続けていた。&lt;br /&gt;
「おや、カステルモールじゃないか。いったいどうした？　きみの部隊には、サン・マロンへ向かうよう命じたはずだが」&lt;br /&gt;
　カステルモールはジョゼフの問いに答えず、杖を突きつけた。&lt;br /&gt;
「現ガリア王ジョゼフ一世。神と始祖と正義の名において、貴様を逮捕する」&lt;br /&gt;
「ほう。いったいどんな罪で余を逮捕するつもりなのだ？　国王を裁く法は、ガリアには存在せぬぞ」&lt;br /&gt;
「祖国に対する数々の裏切り行為だ。貴様は王の器ではない」&lt;br /&gt;
　どやどやと東｜薔薇《ばら》騎士団の騎士たちが玉間になだれ込み、次々に軍杖《ぐんしょう》をジョゼフに突きつけていく。&lt;br /&gt;
「さあ！　杖を捨てろ！」&lt;br /&gt;
　すると、ジョゼフは大声で笑った。&lt;br /&gt;
「なにがおかしい！」&lt;br /&gt;
「いやぁ、面と向かって『王の器ではない』と言われたのはさすがに初めてなものでな。&lt;br /&gt;
カステルモール、お前はなかなか見所があるじゃないか。正直、ただ頭を下げるしか能のない、おべっかつかいだと思っていた」&lt;br /&gt;
「なめるな！　貴様を欺くための演技に過ぎぬ！」&lt;br /&gt;
「実に余は……、人を見る目というものが欠けているな。お前の言うとおり、まったくもって王の器などではない。真実、お前の叛意すら見抜けなかったのだからな。無能もここに極まれり！　だ。あっはっは！」&lt;br /&gt;
　そしてジョゼフは、再び大声で笑う。｜呆気《あっけ》にとられた一同を｜尻目《しりめ》に、ジョゼフは背中を向けた。&lt;br /&gt;
「どこへ行く！」&lt;br /&gt;
「寝るのだ。いや、そろそろ眠いのでな。話なら、明日にしてくれぬか？」&lt;br /&gt;
　ほんとうにそのつもりのようだ。カステルモールは怒りを通り越し、呆《あき》れてしまった。&lt;br /&gt;
もしかしたらこの王は、本当に頭が弱いのかもしれぬ。&lt;br /&gt;
　だが、赦《ゆる》すわけにはいかない。&lt;br /&gt;
「ジョゼフを拘禁しろ」&lt;br /&gt;
　何人かの騎士たちが、罠《わな》を警戒しながらジョゼフに近づいていく。残りの騎士たちも、呪文《じゅもん》を唱えながらジョゼフに杖《つえ》を突きつけた。副団長のアルヌルフが執事のように近づき、カステルモールに耳打ちする。&lt;br /&gt;
「罠があるかもしれません。ご慎重に」&lt;br /&gt;
　カステルモールは頷《うなず》いた。よもや罠があろうが、八十名からの騎士を止められる罠など存在しない。どんな魔法を使おうが、これだけの手練《てだ》れの騎士に囲まれて、逃げられるわけもない。ジョゼフは今まさに、猟師に捕らえられたウサギだった。&lt;br /&gt;
　だが、騎士がジョゼフの腕に手をかけたとき…、不可思議なことが起こった。&lt;br /&gt;
　すっと、ジョゼフの姿が一瞬で掻《か》き消《き》えたのだ。&lt;br /&gt;
「なんだと？」&lt;br /&gt;
　カステルモールが叫ぶ。騎士たちは反射的に魔法を撃ちはなった。玉座が、立てられた衝立《ついたて》が、玉座の後ろにかけられた緞子《どんす》が、豪華な彫刻がほどこされた鏡が、火や風の魔法を受けてボロボロになっていく。&lt;br /&gt;
　だが、どこにもジョゼフの姿はない。&lt;br /&gt;
　誰《だれ》かがディテクト・マジックを慌てて唱える。なんらかの魔法で隠れたのならば、これですぐに見つかるはず……、だが、玉間のどこにも魔法の反応はない。&lt;br /&gt;
　一人の騎士が、明かり取りの窓から顔を出して叫んだ。&lt;br /&gt;
「あそこにいます！」&lt;br /&gt;
「なに？」&lt;br /&gt;
　カステルモールは騎士を撥《は》ね除《の》け、その窓に飛びついた。&lt;br /&gt;
「おーい、どうしたで　なにを探しているのだ？」&lt;br /&gt;
　いったい、どんな技を使ったものか、ジョゼフは中庭の噴水の横に立っていた。騎士たちは青ざめた。魔法のエキスパートの彼らでも、ジョゼフが一瞬で中庭に移動できた理由がわからなかったのである。それができそうな魔法は、唯一風系統の 〝偏在《ユビキタス》〟 であったが、これほど見事に姿を消したり出したりは不可能だ。&lt;br /&gt;
　それに、魔法の才能がないといわれたジョゼフに風のスクウェアが扱えるはずがない。&lt;br /&gt;
　中庭に面した明かり取りの窓は小さく、そこから出ることは不可能だ。カステルモールは焦った声で命令を下した。&lt;br /&gt;
「中庭に回れ！　急げ！　あいつを逃がすな！」&lt;br /&gt;
　騎士たちが慌てて駆け出していく。&lt;br /&gt;
　その叫びが届いたのか、中庭のジョゼフは大声で笑った。&lt;br /&gt;
「逃げも隠れもせぬよ！　安心しろ！　それより、余は｜今宵《こよい》のベッドを変えることにした。&lt;br /&gt;
早く逃げたほうが身のためだぞ」&lt;br /&gt;
「なんだと？」&lt;br /&gt;
　ジョゼフは呪文《じゅもん》を唱え始めた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサグサ……&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　かつて聞いたことのないルーンの並びだった。カステルモールは攻撃呪文を唱えるのも忘れ、その呪文に一瞬聞き入ってしまう。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　オススーヌ・ウリュ・ル・ラド……&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　カステルモールは、背筋にひやりとしたものを感じた。驚く。自分は恐怖している！&lt;br /&gt;
風のスクウェアの自分が……、魔法の才能がないとあざけられ、無能王と呼ばれた王の呪文に恐怖しているのだ。&lt;br /&gt;
　冷静になれ！&lt;br /&gt;
　カステルモールは自分に言い聞かせた。&lt;br /&gt;
　八十人からの騎士を吹き飛ばせる呪文など存在しない。魔法は強力だが、その力には限りがある。ましてや、自分たちは宮殿の中にいるのだ。その自分たちを、中庭からどうやって攻撃しようというのだろう？&lt;br /&gt;
「この無能王が！　自分の心配をしろ！」&lt;br /&gt;
　カステルモールは杖《つえ》を振り上げ、呪文を唱えた。一陣にして巨大な氷の槍《やり》が出来上がる。&lt;br /&gt;
生かして捕らえ、市民たちの前で裁判にかけたかったが、こうなっては致し方ない。&lt;br /&gt;
　それをジョゼフに放とうとした瞬間、ジョゼフがゆっくりと、オーケストラの指揮者が演奏を開始するときのように杖を握り下ろしたのが見えた。&lt;br /&gt;
　ハッタリもいい加減にしろ。&lt;br /&gt;
　無能王め。&lt;br /&gt;
　貴様に扱える呪文など……。&lt;br /&gt;
「な？」&lt;br /&gt;
　ぐらりと床が揺れた。その揺れのおかげで放ったアイス・スピアーの狙《ねら》いがそれ、ジョゼフから離れた地面に突き刺さる。&lt;br /&gt;
「団長殿！」&lt;br /&gt;
　隣に控えたアルヌルフが叫ぶ。カステルモールはそちらに首を向ける。アルヌルフの身体が遠ざかっていく。見ると、床石が大きくずれていくではないか。&lt;br /&gt;
　カステルモールはそこでやっと理解した。&lt;br /&gt;
　宮殿全体が、崩壊しつつあることに。&lt;br /&gt;
「馬鹿《ばか》な！　いったいどうやって！」&lt;br /&gt;
　呪文《じゅもん》の見当をつける暇はなかった。見上げたカステルモールの目に、崩れ落ちてきた巨大な天井石が映った。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　美しい青石で組み上げられたグラン・トロワが、東｜薔夜《ばら》騎士団の騎士たちを飲み込みつつ、地響きを立てながら崩壊するさまを、ジョゼフは大声で笑いながら見つめていた。中には反乱勢のみならず、使用人や大臣や、味方の衛士がいたのにもかかわらず、ジョゼフは笑い続けた。&lt;br /&gt;
　大きく土煙が舞い上がり、辺りは唐突に静かになる。&lt;br /&gt;
「これが 〝｜爆　　発《エクスプロージョン》〟 か。便利な呪文だな。城のつなぎ目を爆破させただけでこの威力。使いようでは、もつと面白いことができそうだな」&lt;br /&gt;
　ジョゼフは手に持った 〝始祖のオルゴール〟 を見つめながらつぶやいた。それから、ポケットから 〝始祖の香炉〟 を取り出した。優しく撫でると、中から芳香が漂ってきた。&lt;br /&gt;
「だが、 〝爆発〟 といえど、おれの一つ目の 〝虚無〟 のすばらしさにはかなわぬわ」&lt;br /&gt;
　中庭に立った自分を見たときの騎士たちの慌てぶりを思い出し、ジョゼフはさらに笑みを浮かべた。&lt;br /&gt;
　そこに慌てふためきながら、護衛の騎士の生き残りが駆け寄ってきた。&lt;br /&gt;
「陛下！　よくぞご無事で！」&lt;br /&gt;
　そちらのほうを振り向きもせず、ジョゼフは命令した。&lt;br /&gt;
「人を集めろ。瓦礫《がれき》の中から叛徒《はんと》どもの死体を引きずりだし、リュティスの各街道の門に吊《つ》るせ。朝になってのこのこやってきたバカどもは、それを見て余に逆らう愚を悟るだろう」&lt;br /&gt;
　騎士は地獄の底で悪魔を見たときのような顔でジョゼフを見つめ、すぐに低頭した。&lt;br /&gt;
「……は、はっ！」&lt;br /&gt;
　命令に従うべく、騎士は駆け出していこうとする。&lt;br /&gt;
「待て」&lt;br /&gt;
　呼び止められ、騎士は稲妻に打たれたかのように直立した。あくびをしながら、ジョゼフは騎士の背に告げた。&lt;br /&gt;
「その前にベッドを用意しろ。どこでもかまわん。まったく、眠くてたまらぬわ」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
--&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== translation quality in vol 14? ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Dear translators,&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
First of all, thank you for your hard work on translating ZnT.&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
I recently started reading the Chinese version of volume 14 and, unfortunately, I must say that it differs quite a lot from the English translation presented here. I know that the Chinese version itself might already differ from the original Japanese version but still, the differences between Chinese and BT-English seems too much!&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
To verify which one is more accurate, I found the first page of ZnT 14 on the internet and tried to understand it via the kanjis used (I do not speak Japanese at all):&lt;br /&gt;
* go to: http://bookwalker.jp/pc/detail/d4a6cf23-319f-400c-b951-ad378a5a0fd5/?adpcnt=7qM_XJN&lt;br /&gt;
* click on th blue button: サンプルを見る&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
The following points about this first page troubles me:&lt;br /&gt;
* The 1st column in the Japanese text is translated by: &amp;quot;The river gently flowed through the Capital of Gallia where King Joseph awaited in his palace.&amp;quot; In the Chinese version, &amp;quot;King Joseph&amp;quot; is never mentionned. Can anyone fluent in Japanese check if &amp;quot;King Joseph&amp;quot; is present in the 1st column?&lt;br /&gt;
* Still in the 1st column, the name Lutèce (リュテス) can be seen. Why is it not mentionned in the BT translation?&lt;br /&gt;
* At the end of the 2nd column, I see &amp;quot;三十分&amp;quot;. In Chinese, &amp;quot;三十分种&amp;quot; means &amp;quot;30 minutes&amp;quot;, hence, I assume that &amp;quot;三十分&amp;quot; means &amp;quot;30 minutes&amp;quot; in Japanese. BT translates it by &amp;quot;13 minutes&amp;quot;. Also, I&#039;m not sure about how the 2nd and 3rd columns have been translated in English.&lt;br /&gt;
* The 4th and 5th columns of the Japanese text corresponds to the BT translation:&lt;br /&gt;
::&amp;quot;The streets got cut off, out of the long, uninterrupted stone wall. &#039;&#039;&#039;They&#039;&#039;&#039; couldn’t see that &#039;&#039;&#039;it&#039;&#039;&#039; hadn’t been cut off.&amp;quot;&lt;br /&gt;
Who are &amp;quot;&#039;&#039;they&#039;&#039;&amp;quot; and what is &amp;quot;&#039;&#039;it&#039;&#039;&amp;quot;? The Chinese version proposes something like this:&lt;br /&gt;
::Now, the streets did not show any building construction around. A very long and uninterrupted stone wall instead spreaded onwards. Even in broad daylight, the end of this stone wall could not be seen.&lt;br /&gt;
* The 6th column of the Japanese text corresponds to the BT translation:&lt;br /&gt;
::On that other side of the stone wall, is where King Joseph’s family lives.&lt;br /&gt;
According to the Chinese version, I would rather translate it by&lt;br /&gt;
::In front of this long stone wall, stands the royal residency of Gaul, the palace of Versailles.&amp;quot;&lt;br /&gt;
* The 7th and 8th columns of the Japanese text corresponds to:&lt;br /&gt;
::Whether or not the palace was built according to the kind of end and reading the scale would help you understand.&lt;br /&gt;
::This much of the place was not searched and the land that makes up the large palace was elaborated everywhere around the central area.&lt;br /&gt;
First of all, I do not understand the meaning of these two English sentences... (don&#039;t you think it looks like Google Translation?) The Chinese version reads something like this:&lt;br /&gt;
::Why would this palace be built in a place that far from the city? Just look at its scale to understand.&lt;br /&gt;
::Even if you check every corner of Lutèce, you would not find any place large enough to build such a high and magnificent palace.&lt;br /&gt;
The problem with this translation is that the first sentence is a question, while the Japanese text do not contain any question mark in the 7th and 8th columns. On the other hand, I see in the Japanese text the term Lutèce (リュテス) which support the third sentence I wrote.&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
I won&#039;t list all the differences I found... These few were just to show some arguments about why I have doubts about the English translation of vol. 14 in BT by comparing it with what I understood from the Chinese version and what I can guess by looking at the Japanese version. If someone fluent in Japanese happened to read this message, could you please double check the BT-translation of vol. 14 with the original Japanese text?&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Best regards,&lt;br /&gt;
XYZ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
About the lack of question marks in column 7, those are foreign to japanese syntax, but still used as a literary resource. The &amp;quot;question mark&amp;quot; equivalent in japanese is the &amp;quot;ka&amp;quot; particle, that does appear (meaning there&#039;s a question). The correct translation of the first column is: &amp;quot;The river Shire that flows through the center of Gallia&#039;s capital, Lutece...&amp;quot;--[[User:Kemm|Kemm]] ([[User talk:Kemm|talk]]) 16:24, 21 July 2013 (CDT)&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>82.243.126.58</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>http://www.baka-tsuki.org/project/index.php?title=Talk:Zero_no_Tsukaima:Volume14_Chapter1&amp;diff=271333</id>
		<title>Talk:Zero no Tsukaima:Volume14 Chapter1</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.baka-tsuki.org/project/index.php?title=Talk:Zero_no_Tsukaima:Volume14_Chapter1&amp;diff=271333"/>
		<updated>2013-07-21T21:11:52Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;82.243.126.58: /* translation quality in vol 14? */ new section&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;==Orginal Text to help with review and editing ==&lt;br /&gt;
&amp;lt;!--  i am now proceeding to translate part 2 of chapter 1...&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Please take note of these; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「..」 are  like &amp;quot;..&amp;quot;&lt;br /&gt;
《...》 are just to show the pronouncement of the kanji&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ガリア王国の王都リュティスの真ん中を流れるシレ川……。&lt;br /&gt;
　その中州に発達した旧市街と呼ばれる中心地から延びたボン・ファン街を三十分ほど王都郊外へと馬で走る。&lt;br /&gt;
　すると街並みが途切れ、代わりに長い石壁が延々と続く場所に出る。昼でもその石壁の切れ目を見ることはかなわない。&lt;br /&gt;
　その長い石壁の向こうにあるのが、ガリア王族が暮らすベルサルテイル宮殿であった。&lt;br /&gt;
なぜこのような街外れに宮殿が建設されたのかは、その規模を見れば理解できる。&lt;br /&gt;
　これほど贅《ぜい》を凝らした大宮殿を造れる土地は、リュティス市街のどこを探してもなかったのだ。&lt;br /&gt;
　双月が雲に隠れたおかげで、闇《やみ》が重く肩にのしかかるようなその夜……、宮殿東側の赤｜薔薇《ばら》門の前を騎乗して｜闊歩《かっぽ》する騎士の姿があった。&lt;br /&gt;
　宮殿壁には魔法のたいまつが掲げられ街道を照らしていたが、それでも闇は濃い。昼に降った雨のせいで、その間は湿気を含み、粘つく空気となって騎士たちを包んでいた。&lt;br /&gt;
　右側を歩く若い騎士が、｜白百合《しらゆり》が飾られた帽子のひさしを持ち上げ、疲れた声で言った。&lt;br /&gt;
「しかし、｜両用艦隊《バイラテラル・フロッテ》が反乱とは……。司令のクラヴィル卿《きょう》は王政府に忠誠厚いことで知られた人物ではありませんか。それが反乱とは！　昨今の視国はいったいどうなってしまったのでしょうか。伝統が地に落ち、政治は腐敗し、貴族たちは蔵の金貨を増やすことしか考えず、平民どもはその分け前に与ることしか考えておりませぬ。そこにとうとう反乱までが！」&lt;br /&gt;
　若い騎士は一息つくと、小さな声で街で流行っている｜小唄《こうた》を歌い始めた。&lt;br /&gt;
「神と始祖より｜寵愛《ちょうあい》されし我がガリアよ。ハルケギニアに｜燦然《さんぜん》と君臨する我がガリアよ。何ゆえに始祖から勘当された？　なにゆえに神から愛想をつかされた？　おおガリア。かぐわしき花の香りはどこへ消えた。おおガリア。麗しき我が祖国よ。なにゆえに艦隊までもが愛想をつかす？」&lt;br /&gt;
　ガリアの北西海岸に面した軍港サン・マロンを母港とする両用艦隊が突如反乱を起こし、現在軍港は閉鎖中であるとの報告が届いたのは今朝のこと。リュティスには戒厳令がしかれ、いくつもの騎士団や連隊がサン・マロンへと向かっている。&lt;br /&gt;
　現在、艦隊と軍港を包囲した部隊の間ではにらみ合いが続いているらしい。&lt;br /&gt;
　その若い騎士と同じく南百合花壇騎士団所属の老騎士は、後輩をわずかに哀れんだ目で見つめた。&lt;br /&gt;
「きみは本当に、両用艦隊が反乱を起こしたなどと思っているのかね」&lt;br /&gt;
「そのように聞いておりますが。だからこそ、我々がこうやって夜中の｜警邏《けいら》に駆り出されておるのでしょう。まあ、サン・マロンの鎮圧任務に駆り出された他《ほか》の騎士団に比べれば、楽な任務といえましょうが……。反乱勢とはいえ、同じガリア人に杖《つえ》を向けるのはあまりぞっとしませんからな」&lt;br /&gt;
　老騎士はため息をつくと、驚くべき言葉を切り出した。&lt;br /&gt;
「頭を下げた回数で艦隊司令に選ばれたような男が、主人に噛《か》みつけるわけがなかろう」&lt;br /&gt;
「どういうことですか？」&lt;br /&gt;
「すべては陛下の思《おほ》し召《め》しということだよ」&lt;br /&gt;
　老騎士は長年軍服を着込んできたものだけがまとう、疲労と｜慧眼《けいがん》が入り混じった目で、&lt;br /&gt;
石壁の向こうを見やった。&lt;br /&gt;
「……なんと！　それはまことですか？」&lt;br /&gt;
　若い騎士は、入団以来、ずっと自分の教師でもあったこの老騎士を見上げた。彼がこの年になっても一介の騎士に過ぎないのは、家柄のみがその理由であった。彼がせめて男爵の位でも持っていれば、｜今頃《いまごろ》は騎士団を預かる身分にもなっていただろう。&lt;br /&gt;
　文武に優れた彼の言葉は今まで外れたことがなかった。それゆえに若い騎士は彼を心から尊敬し、その発音を頭から信じ込んできたのである。&lt;br /&gt;
　なるほど驚くべき言葉だったが、その彼が言うからには本当のことに違いない。&lt;br /&gt;
「……では包囲した部隊とにらみ合っているというのは？」&lt;br /&gt;
「おそらく芝居だろうな。いいかねフランダール君、あの陛下は 〝無能王〟 などと呼ばれて内外から｜馬鹿《ばか》にされているが、わたしはそうは思わん。陛下は……、不敬を承知で口にするが、恐ろしい男だよ。わたしは｜軍杖《ぐんしょう》を腰に下げてより｜爾来《じらい》四十年、王家に仕えてきた。駆け巡った戦場の教は両の指をあわせても足りん。だが、そんなわたしでもあの王さまより怖い男を知らぬ」&lt;br /&gt;
　若い騎士は老騎士を見つめ、それから深いため息をついた。&lt;br /&gt;
「……わたしたちはその芝居に付き合わされているということですかな」&lt;br /&gt;
「騎士とはそういうものだ。｜所詮《しょせん》は誰《だれ》かの手のひらの上で踊る喜劇役者に過ぎぬのだ。わかっているだろうが今わたしが話したことは、誰にも口外はならぬ。このことが陛下の耳に入れば、わたしだけでなく、きみの首まで飛ぶだろうからな」&lt;br /&gt;
　若い騎士は緊張の色を浮かべ、頷《うなず》いた。&lt;br /&gt;
　二人は左側に｜鬱蒼《うっそう》と森が広がる場所に出た。テーニャンの森だ。王室の｜御猟場《ごりょうば》となっているこの森の一角に、若い騎士はさっとうごめく影を見つけた。&lt;br /&gt;
「なにやつ！」&lt;br /&gt;
　若い騎士はすばやく馬に拍車をいれ急行した。 〝明かり〟 の｜呪文《じゅもん》を唱え、影がいたと思しき辺りを照らす。&lt;br /&gt;
　黒いローブに身を包んだ男が浮かび上がった。観念したのか、身じろぎすらせずに堂々と立っている。若い騎士は杖《つえ》を構えると、男に突きつけた。&lt;br /&gt;
「フードを取れ！」&lt;br /&gt;
　男はゆっくりとフードをはずした。そこから現れた顔を見て、若い騎士は驚きの声をあげた。&lt;br /&gt;
「カステルモール殿！」&lt;br /&gt;
　フードの下のその顔は、東｜薔薇《ばら》騎士団団長のバッソ・カステルモールであった。若い騎士とさほど変わらぬ年でありながら、騎士団長を任されるほどの使い手である彼は有名人だった。数々の彼の武勇、そして顔を知らぬ花壇騎士はいない。&lt;br /&gt;
　そんな彼は、なぜか硬い表情で若い騎士を見つめている。&lt;br /&gt;
　若い騎士は首をかしげながら、杖を鞘《さや》に収めた。&lt;br /&gt;
「どうしてこんなところにおられるのです？　東薔薇騎士団は……、サン・マロンに向かったのではありませんか？」&lt;br /&gt;
「……理由は開かずに、ここを通していただきたい」&lt;br /&gt;
　苦しそうな声で、カステルモールはつぶやく。若い騎士は困ったように首を振る。おそらくなんらかの密命を受けているのだろう。だが、こちらも勤務中だ。&lt;br /&gt;
「そういうわけには参りませぬ。なにせこのようなご時世ですからな。夜間外出禁止令はご存知でしょう？　この辺りで出会ったものすべて、身分官職問わずに連行せよと命令を受けております。だがまあ、形式に過ぎません。あなたほどの人物なら、詰め所で書類にサインをしていただければそれで結構。さあ、とりあえずこちらへ……」&lt;br /&gt;
　しかしカステルモールは身動きひとつしない。&lt;br /&gt;
「カステルモール殿？」&lt;br /&gt;
　そのとき、後ろで成り行きを見守っていた老騎士が叫んだ。何かに気づいたのだ。&lt;br /&gt;
「フランダール！　杖《つえ》を抜け！」&lt;br /&gt;
　言うなり老騎士は杖を引き抜いた。&lt;br /&gt;
「な、どういうことです？」若い騎士がそう呆《ほう》けた声でつぶやくのと、カステルモールの後ろから風のロープが飛んで、老騎士の｜身体《からだ》に絡みつくのが同時だった。&lt;br /&gt;
　慌てて若い騎士が杖を引き抜こうとすると、深々と空気の塊が腹にめり込んだ。撮り向くと、カステルモールが厳しい表情で、すばやく引き抜いた｜軍杖《ぐんしょう》を構えている。暗がりから次々に黒いローブに身を包んだ騎士たちが姿を現した。&lt;br /&gt;
「……どうして」&lt;br /&gt;
　そう呟《づぶや》くと、若い騎士の意識は薄れていった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　倒れた二人の｜警邏《けいら》の騎士を縛り上げる部下を見つめて、カステルモールはため息をついた。見つかるとは、失態だった。とはいっても、ここまで八十人からの騎士団が誰《だれ》にも見《み》咎《とが》められずにやってこれたのが｜僥倖《ぎょうこう》だったのだろう。&lt;br /&gt;
　カステルモール率いる東｜薔薇《ばら》騎士団に、両用艦隊反乱の報が届いたのは昨日の朝のこと。&lt;br /&gt;
　だが、現王政府に対し密《ひそ》かに叛意を抱いている東番薇騎士団の精鋭たちはそんな報告はまったく信じなかった。すぐさま各地に潜む協力者たちに情報の提供を求め、正午過ぎには真実を手に入れていた。&lt;br /&gt;
　反乱とは真っ赤な嘘《うそ》。&lt;br /&gt;
　現王ジョゼフの陰謀。&lt;br /&gt;
　ロマリアに対し領土的野心を抱いたであろうジョゼフの、味方をも欺《あざむ》くその陰謀に、カステルモールをはじめ東薔薇騎士団は｜激昂《げっこう》した。反乱軍を装い、同盟を結んだ隣国に侵攻するなど、あってはならない事態だ。この陰謀が後に明るみに出れば、ガリア王国の威信は地に落ち、その輝かしい歴史は闇《やみ》の向こうに消え去るであろう。&lt;br /&gt;
　そしてその二時間後、両用艦隊を包囲せよとの名目でサン・マロンへの移動が命じられたとき、カステルモールはついに決心したのである。&lt;br /&gt;
　両用艦隊の旗艦名は皮肉にも『シャルル・オルレアン』。自分で殺した弟の名前を旗艦につけるとは、｜贖罪《しょくざい》のつもりなのだろうか？&lt;br /&gt;
　……ならば、艦隊に陰謀の片棒を担がせるような｜真似《まね》はすまい。&lt;br /&gt;
　そればかりか、あの無能王は、自分たちまで茶番の役者に仕立て上げようとしている。&lt;br /&gt;
　包囲？　何を包囲せよというのだ？　包囲して、どうせよというのだ？　おそらく自分たちはただの見物人役なのだろう。他国を納得させるための、彩《いろど》りの一部に過ぎない。&lt;br /&gt;
　もう我慢がならぬ。決起のときは今である……。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
サン・マロンへ向かう途中、東｜薔薇《ばら》騎士団は夜を待ってリュティスへと引き返した。夜を徹しての進軍で、四時間後にはこのようにリュティスに舞い戻ることができた。みちみち、協力を取りつけてあった各連隊へ急便を飛ばしながらの早がけであった。&lt;br /&gt;
　親子ほども年の離れた副団長のアルヌルフが近寄り、その耳に顔を近づける。&lt;br /&gt;
「三つの連隊が協力を確約した、との報告がただ今届きました。彼らは朝にはリュティスに到着します」&lt;br /&gt;
「心強いな」&lt;br /&gt;
　カステルモールは、この日初めての笑顔を浮かべた。現王政府に反感を抱く貴族や軍人は少なくない。だが、実際にことを起こすとなれば話は別だ。｜謀叛《むほん》人の汚名は誰《だれ》も着たくない。&lt;br /&gt;
　それでも三つの連隊がすぐさま決起に応じた。自分の判断は間違っていなかった。カステルモールがジョゼフの首を上げれば、残りの連中もすぐになびくだろう。&lt;br /&gt;
「三日後にはトリステインに亡命あそばされているシャルロットさまを玉座にお迎えできるな」&lt;br /&gt;
　カステルモールは、いいようにこき使われていた王女の顔を思い出し、首を振った。オルレアン公の優しげな顔を思い出し、胸が熱くなった。&lt;br /&gt;
「……殿下、殿下の御無念を晴らすときがついにやってまいりました。殿下は貧乏貴族の家に生まれたわたくしを、『見込みがある』の一言で騎士団にお引き立てくださいました。&lt;br /&gt;
そのご恩に報いるときが、ついにやってきたのです」&lt;br /&gt;
　カステルモールは顔をあげると、高々と杖《つえ》を掲げた。&lt;br /&gt;
「諸君！　騎士団諸君に告ぐ！　我らはこれより、｜纂奪者《さんだつしゃ》より王座を取り返す！　そののちに、しかるべきお方にお返しするのだ！　恐れるな！　我らは｜叛軍《はんぐん》にあらず！　真のガリア花壇騎士、ガリア義勇軍である！」&lt;br /&gt;
　騎士団から歓声があがった。&lt;br /&gt;
「この石壁の向こうに眠る男こそ、神と始祖と祖国に仇《あだ》なす｜謀叛《むほん》人である！　諸君、われに続け！」&lt;br /&gt;
　カステルモールはそう叫ぶと、魔法を唱えて 〝フライ〟 で石壁を飛び越えた。次々に騎士たちはその背に続いた。わらわらと集まってきた警備の兵たちを東｜薔薇《ばら》騎士団の騎士たちは魔法で吹き飛ばし、一直線にジョゼフがいるグラン・トロワへと突進していった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ジョゼフは玉座に腰掛けて、オルゴールを聴いていた。&lt;br /&gt;
　ぼんやりと｜虚空《こくう》を見つめながら、ゆっくりと腕を持ち上げ、調べを奏でる指揮者のように手を動かす。&lt;br /&gt;
　陶酔しきった表情を浮かべながら始祖の調べに身を委《ゆだ》ねていると、玉座の間に衛士を連れた大臣が飛び込んできた。&lt;br /&gt;
「陛下！　陛下！　大変です！　謀叛です！　謀叛ですぞ！」&lt;br /&gt;
　慌てふためきながら、大臣はジョゼフの玉座に跪《ひぎまず》く。&lt;br /&gt;
「東薔薇騎士団が謀叛を起こしました！　警護の者を｜蹴散《けち》らし、このグラン・トロワに侵入いたしました！　今現在、鏡の間で親衛隊が必死の抵抗を続けておりますが多勢に無勢！　まもなく防衛線は破られ、ここにやってくるでしょう！」&lt;br /&gt;
　現在宮殿を守る貴族はわずか二十名に過ぎない。代々衛兵をつかさどるベルゲン大公国出身の｜傭兵《ようへい》たちが数百名｜駐屯《ちゅうとん》していたが、メイジばかりの騎土団が相手では、戦力に数えられようはずもない。例の 〝陰謀〟 で、ほとんどの部隊や騎士団が王都を出払っていた。&lt;br /&gt;
　その隙《すき》をつかれたのだった。&lt;br /&gt;
　絶体絶命のピンチにもかかわらず……、ジョゼフは恍惚《こうこつ》とした表情を崩さない。まるで大臣の叫びが調べの一部とでもいうように、オルゴールの音色に聴き入っていた。&lt;br /&gt;
「陛下！　陛下！　早く地下通路へ！　わたしの護衛隊が警護を仕《つかまつ》ります！」&lt;br /&gt;
　その剣幕にやっと気づいたように、ジョゼフは顔をあげる。&lt;br /&gt;
「どうした？」&lt;br /&gt;
「謀叛です！　何度も申し上げているではありませんか！」&lt;br /&gt;
「ああ。そうか。そういえば、そういう可能性もあったな。忘れていたよ」&lt;br /&gt;
　ジョゼフは大きく頷《うなず》くと、ゆっくりと立ち上がる。&lt;br /&gt;
「ではこちらへ！」&lt;br /&gt;
　そう言って案内しようとした大臣をさえぎり、ジョゼフは悠然と玉間の入り口を見つめ&lt;br /&gt;
た。入り口の向こうからは、衛士と謀叛《むほん》の騎士たちの剣戟《けんげき》が響いてくる。その恐ろしい響きで、大臣は腰を抜かし、へたへたと床に崩れ落ちた。&lt;br /&gt;
「ああ、ああ……、終わり、終わりです……」&lt;br /&gt;
　魔法の飛ぶ音や、杖《つえ》同士がぶつかり合う恐ろしい音がぴたりとやんだ。ゆっくりと、勝者が玉間の入り口に姿を現したときも、ジョゼフはじっと立ち続けていた。&lt;br /&gt;
「おや、カステルモールじゃないか。いったいどうした？　きみの部隊には、サン・マロンへ向かうよう命じたはずだが」&lt;br /&gt;
　カステルモールはジョゼフの問いに答えず、杖を突きつけた。&lt;br /&gt;
「現ガリア王ジョゼフ一世。神と始祖と正義の名において、貴様を逮捕する」&lt;br /&gt;
「ほう。いったいどんな罪で余を逮捕するつもりなのだ？　国王を裁く法は、ガリアには存在せぬぞ」&lt;br /&gt;
「祖国に対する数々の裏切り行為だ。貴様は王の器ではない」&lt;br /&gt;
　どやどやと東｜薔薇《ばら》騎士団の騎士たちが玉間になだれ込み、次々に軍杖《ぐんしょう》をジョゼフに突きつけていく。&lt;br /&gt;
「さあ！　杖を捨てろ！」&lt;br /&gt;
　すると、ジョゼフは大声で笑った。&lt;br /&gt;
「なにがおかしい！」&lt;br /&gt;
「いやぁ、面と向かって『王の器ではない』と言われたのはさすがに初めてなものでな。&lt;br /&gt;
カステルモール、お前はなかなか見所があるじゃないか。正直、ただ頭を下げるしか能のない、おべっかつかいだと思っていた」&lt;br /&gt;
「なめるな！　貴様を欺くための演技に過ぎぬ！」&lt;br /&gt;
「実に余は……、人を見る目というものが欠けているな。お前の言うとおり、まったくもって王の器などではない。真実、お前の叛意すら見抜けなかったのだからな。無能もここに極まれり！　だ。あっはっは！」&lt;br /&gt;
　そしてジョゼフは、再び大声で笑う。｜呆気《あっけ》にとられた一同を｜尻目《しりめ》に、ジョゼフは背中を向けた。&lt;br /&gt;
「どこへ行く！」&lt;br /&gt;
「寝るのだ。いや、そろそろ眠いのでな。話なら、明日にしてくれぬか？」&lt;br /&gt;
　ほんとうにそのつもりのようだ。カステルモールは怒りを通り越し、呆《あき》れてしまった。&lt;br /&gt;
もしかしたらこの王は、本当に頭が弱いのかもしれぬ。&lt;br /&gt;
　だが、赦《ゆる》すわけにはいかない。&lt;br /&gt;
「ジョゼフを拘禁しろ」&lt;br /&gt;
　何人かの騎士たちが、罠《わな》を警戒しながらジョゼフに近づいていく。残りの騎士たちも、呪文《じゅもん》を唱えながらジョゼフに杖《つえ》を突きつけた。副団長のアルヌルフが執事のように近づき、カステルモールに耳打ちする。&lt;br /&gt;
「罠があるかもしれません。ご慎重に」&lt;br /&gt;
　カステルモールは頷《うなず》いた。よもや罠があろうが、八十名からの騎士を止められる罠など存在しない。どんな魔法を使おうが、これだけの手練《てだ》れの騎士に囲まれて、逃げられるわけもない。ジョゼフは今まさに、猟師に捕らえられたウサギだった。&lt;br /&gt;
　だが、騎士がジョゼフの腕に手をかけたとき…、不可思議なことが起こった。&lt;br /&gt;
　すっと、ジョゼフの姿が一瞬で掻《か》き消《き》えたのだ。&lt;br /&gt;
「なんだと？」&lt;br /&gt;
　カステルモールが叫ぶ。騎士たちは反射的に魔法を撃ちはなった。玉座が、立てられた衝立《ついたて》が、玉座の後ろにかけられた緞子《どんす》が、豪華な彫刻がほどこされた鏡が、火や風の魔法を受けてボロボロになっていく。&lt;br /&gt;
　だが、どこにもジョゼフの姿はない。&lt;br /&gt;
　誰《だれ》かがディテクト・マジックを慌てて唱える。なんらかの魔法で隠れたのならば、これですぐに見つかるはず……、だが、玉間のどこにも魔法の反応はない。&lt;br /&gt;
　一人の騎士が、明かり取りの窓から顔を出して叫んだ。&lt;br /&gt;
「あそこにいます！」&lt;br /&gt;
「なに？」&lt;br /&gt;
　カステルモールは騎士を撥《は》ね除《の》け、その窓に飛びついた。&lt;br /&gt;
「おーい、どうしたで　なにを探しているのだ？」&lt;br /&gt;
　いったい、どんな技を使ったものか、ジョゼフは中庭の噴水の横に立っていた。騎士たちは青ざめた。魔法のエキスパートの彼らでも、ジョゼフが一瞬で中庭に移動できた理由がわからなかったのである。それができそうな魔法は、唯一風系統の 〝偏在《ユビキタス》〟 であったが、これほど見事に姿を消したり出したりは不可能だ。&lt;br /&gt;
　それに、魔法の才能がないといわれたジョゼフに風のスクウェアが扱えるはずがない。&lt;br /&gt;
　中庭に面した明かり取りの窓は小さく、そこから出ることは不可能だ。カステルモールは焦った声で命令を下した。&lt;br /&gt;
「中庭に回れ！　急げ！　あいつを逃がすな！」&lt;br /&gt;
　騎士たちが慌てて駆け出していく。&lt;br /&gt;
　その叫びが届いたのか、中庭のジョゼフは大声で笑った。&lt;br /&gt;
「逃げも隠れもせぬよ！　安心しろ！　それより、余は｜今宵《こよい》のベッドを変えることにした。&lt;br /&gt;
早く逃げたほうが身のためだぞ」&lt;br /&gt;
「なんだと？」&lt;br /&gt;
　ジョゼフは呪文《じゅもん》を唱え始めた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサグサ……&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　かつて聞いたことのないルーンの並びだった。カステルモールは攻撃呪文を唱えるのも忘れ、その呪文に一瞬聞き入ってしまう。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　オススーヌ・ウリュ・ル・ラド……&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　カステルモールは、背筋にひやりとしたものを感じた。驚く。自分は恐怖している！&lt;br /&gt;
風のスクウェアの自分が……、魔法の才能がないとあざけられ、無能王と呼ばれた王の呪文に恐怖しているのだ。&lt;br /&gt;
　冷静になれ！&lt;br /&gt;
　カステルモールは自分に言い聞かせた。&lt;br /&gt;
　八十人からの騎士を吹き飛ばせる呪文など存在しない。魔法は強力だが、その力には限りがある。ましてや、自分たちは宮殿の中にいるのだ。その自分たちを、中庭からどうやって攻撃しようというのだろう？&lt;br /&gt;
「この無能王が！　自分の心配をしろ！」&lt;br /&gt;
　カステルモールは杖《つえ》を振り上げ、呪文を唱えた。一陣にして巨大な氷の槍《やり》が出来上がる。&lt;br /&gt;
生かして捕らえ、市民たちの前で裁判にかけたかったが、こうなっては致し方ない。&lt;br /&gt;
　それをジョゼフに放とうとした瞬間、ジョゼフがゆっくりと、オーケストラの指揮者が演奏を開始するときのように杖を握り下ろしたのが見えた。&lt;br /&gt;
　ハッタリもいい加減にしろ。&lt;br /&gt;
　無能王め。&lt;br /&gt;
　貴様に扱える呪文など……。&lt;br /&gt;
「な？」&lt;br /&gt;
　ぐらりと床が揺れた。その揺れのおかげで放ったアイス・スピアーの狙《ねら》いがそれ、ジョゼフから離れた地面に突き刺さる。&lt;br /&gt;
「団長殿！」&lt;br /&gt;
　隣に控えたアルヌルフが叫ぶ。カステルモールはそちらに首を向ける。アルヌルフの身体が遠ざかっていく。見ると、床石が大きくずれていくではないか。&lt;br /&gt;
　カステルモールはそこでやっと理解した。&lt;br /&gt;
　宮殿全体が、崩壊しつつあることに。&lt;br /&gt;
「馬鹿《ばか》な！　いったいどうやって！」&lt;br /&gt;
　呪文《じゅもん》の見当をつける暇はなかった。見上げたカステルモールの目に、崩れ落ちてきた巨大な天井石が映った。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　美しい青石で組み上げられたグラン・トロワが、東｜薔夜《ばら》騎士団の騎士たちを飲み込みつつ、地響きを立てながら崩壊するさまを、ジョゼフは大声で笑いながら見つめていた。中には反乱勢のみならず、使用人や大臣や、味方の衛士がいたのにもかかわらず、ジョゼフは笑い続けた。&lt;br /&gt;
　大きく土煙が舞い上がり、辺りは唐突に静かになる。&lt;br /&gt;
「これが 〝｜爆　　発《エクスプロージョン》〟 か。便利な呪文だな。城のつなぎ目を爆破させただけでこの威力。使いようでは、もつと面白いことができそうだな」&lt;br /&gt;
　ジョゼフは手に持った 〝始祖のオルゴール〟 を見つめながらつぶやいた。それから、ポケットから 〝始祖の香炉〟 を取り出した。優しく撫でると、中から芳香が漂ってきた。&lt;br /&gt;
「だが、 〝爆発〟 といえど、おれの一つ目の 〝虚無〟 のすばらしさにはかなわぬわ」&lt;br /&gt;
　中庭に立った自分を見たときの騎士たちの慌てぶりを思い出し、ジョゼフはさらに笑みを浮かべた。&lt;br /&gt;
　そこに慌てふためきながら、護衛の騎士の生き残りが駆け寄ってきた。&lt;br /&gt;
「陛下！　よくぞご無事で！」&lt;br /&gt;
　そちらのほうを振り向きもせず、ジョゼフは命令した。&lt;br /&gt;
「人を集めろ。瓦礫《がれき》の中から叛徒《はんと》どもの死体を引きずりだし、リュティスの各街道の門に吊《つ》るせ。朝になってのこのこやってきたバカどもは、それを見て余に逆らう愚を悟るだろう」&lt;br /&gt;
　騎士は地獄の底で悪魔を見たときのような顔でジョゼフを見つめ、すぐに低頭した。&lt;br /&gt;
「……は、はっ！」&lt;br /&gt;
　命令に従うべく、騎士は駆け出していこうとする。&lt;br /&gt;
「待て」&lt;br /&gt;
　呼び止められ、騎士は稲妻に打たれたかのように直立した。あくびをしながら、ジョゼフは騎士の背に告げた。&lt;br /&gt;
「その前にベッドを用意しろ。どこでもかまわん。まったく、眠くてたまらぬわ」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
--&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== translation quality in vol 14? ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Dear translators,&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
First of all, thank you for your hard work on translating ZnT.&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
I recently started reading the Chinese version of volume 14 and, unfortunately, I must say that it differs quite a lot from the English translation presented here. I know that the Chinese version itself might already differ from the original Japanese version but still, the differences between Chinese and BT-English seems too much!&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
To verify which one is more accurate, I found the first page of ZnT 14 on the internet and tried to understand it via the kanjis used (I do not speak Japanese at all):&lt;br /&gt;
* go to: http://bookwalker.jp/pc/detail/d4a6cf23-319f-400c-b951-ad378a5a0fd5/?adpcnt=7qM_XJN&lt;br /&gt;
* click on th blue button: サンプルを見る&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
The following points about this first page troubles me:&lt;br /&gt;
* The 1st column in the Japanese text is translated by: &amp;quot;The river gently flowed through the Capital of Gallia where King Joseph awaited in his palace.&amp;quot; In the Chinese version, &amp;quot;King Joseph&amp;quot; is never mentionned. Can anyone fluent in Japanese check if &amp;quot;King Joseph&amp;quot; is present in the 1st column?&lt;br /&gt;
* Still in the 1st column, the name Lutèce (リュテス) can be seen. Why is it not mentionned in the BT translation?&lt;br /&gt;
* At the end of the 2nd column, I see &amp;quot;三十分&amp;quot;. In Chinese, &amp;quot;三十分种&amp;quot; means &amp;quot;30 minutes&amp;quot;, hence, I assume that &amp;quot;三十分&amp;quot; means &amp;quot;30 minutes&amp;quot; in Japanese. BT translates it by &amp;quot;13 minutes&amp;quot;. Also, I&#039;m not sure about how the 2nd and 3rd columns have been translated in English.&lt;br /&gt;
* The 4th and 5th columns of the Japanese text corresponds to the BT translation:&lt;br /&gt;
::&amp;quot;The streets got cut off, out of the long, uninterrupted stone wall. &#039;&#039;&#039;They&#039;&#039;&#039; couldn’t see that &#039;&#039;&#039;it&#039;&#039;&#039; hadn’t been cut off.&amp;quot;&lt;br /&gt;
Who are &amp;quot;&#039;&#039;they&#039;&#039;&amp;quot; and what is &amp;quot;&#039;&#039;it&#039;&#039;&amp;quot;? The Chinese version proposes something like this:&lt;br /&gt;
::Now, the streets did not show any building construction around. A very long and uninterrupted stone wall instead spreaded onwards. Even in broad daylight, the end of this stone wall could not be seen.&lt;br /&gt;
* The 6th column of the Japanese text corresponds to the BT translation:&lt;br /&gt;
::On that other side of the stone wall, is where King Joseph’s family lives.&lt;br /&gt;
According to the Chinese version, I would rather translate it by&lt;br /&gt;
::In front of this long stone wall, stands the royal residency of Gaul, the palace of Versailles.&amp;quot;&lt;br /&gt;
* The 7th and 8th columns of the Japanese text corresponds to:&lt;br /&gt;
::Whether or not the palace was built according to the kind of end and reading the scale would help you understand.&lt;br /&gt;
::This much of the place was not searched and the land that makes up the large palace was elaborated everywhere around the central area.&lt;br /&gt;
First of all, I do not understand the meaning of these two English sentences... (don&#039;t you think it looks like Google Translation?) The Chinese version reads something like this:&lt;br /&gt;
::Why would this palace be built in a place that far from the city? Just look its scale to understand.&lt;br /&gt;
::Even if you check every corner of Lutèce, you would not find any place large enough to built such a high and magnificent palace.&lt;br /&gt;
The problem with this translation is that the first sentence is a question, while the Japanese text do not contain any question mark in the 7th and 8th columns. On the other hand, I see in the Japanese text the term Lutèce (リュテス) which support the third sentence I wrote.&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
I won&#039;t list all the differences I found... These few were just to show some arguments about why I have doubts about the English translation of vol. 14 in BT by comparing it with what I understood from the Chinese version and what I can guess by looking at the Japanese version. If someone fluent in Japanese happened to read this message, could you please double check the BT-translation of vol. 14 with the original Japanese text?&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Best regards,&lt;br /&gt;
XYZ&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>82.243.126.58</name></author>
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