Difference between revisions of "Clannad:SEEN6800/7"

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// \{渚}「お友達の方にも礼を言いたかったです」
 
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// \{\m{B}}「だって、男連中、みんなおまえを見てたぜ?」
 
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// \{渚}「そんなことはないです」
 
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// \{\m{B}}「実際ナンパされてたじゃん」
 
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<7980> \{渚} “It wasn’t flirting. I saw people were hungry so that’s what I thought.”*
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<7980> \{渚} “It wasn't anything to do with flirting. It looked to me like they were just hungry.”
 
// \{渚}「ナンパじゃないです。お腹空いてそうに見えたんだと思います」
 
// \{渚}「ナンパじゃないです。お腹空いてそうに見えたんだと思います」
<7981> \{\m{B}} “It wasn’t cute kids, it wasn’t persuasive.”*
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<7981> \{\m{B}} “But, if you weren't a cute girl, they wouldn't have been tempted.”
 
// \{\m{B}}「だとしても、可愛い子じゃなかったら、誘わないって」
 
// \{\m{B}}「だとしても、可愛い子じゃなかったら、誘わないって」
 
<7982> \{渚} *
 
<7982> \{渚} *

Revision as of 19:12, 21 January 2008

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  • Blatt (Contribution) - Gonna go over it rough 23/01/08 onwards if no one minds

Problem lines: 7967* 7968* 7970* 7987*

Text

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<7967> \{渚} “Today was really a day filled with so many things.”*
// \{渚}「今日は本当に、いろいろなことがありました」
<7968> \{\m{B}} “It’s my fault it was annoying.”*
// \{\m{B}}「迷惑かけて悪かったよ」
<7969> \{渚} “No, \m{B} was trying to protect me, so I was happy.”*
// \{渚}「いえ、\m{B}くんはわたしを守ろうとしてくれたので、うれしかったです」
<7970> \{渚} “And thanks to your friends as well.”*
// \{渚}「お友達の方にも礼を言いたかったです」
<7971> \{\m{B}} “If you say so, I’m alright I guess.”*
// \{\m{B}}「いつだって言えるから、安心しろ」
<7972> \{渚} “Yes…?”
// \{渚}「はい…?」
<7973> \{\m{B}} “No, I’m asking you.”*
// \{\m{B}}「いや、俺から言っておくよ…」
<7974> \{渚} “Yes, please.”*
// \{渚}「はい、お願いします」
<7975> \{\m{B}} “But, the uniform set was really cute.”
// \{\m{B}}「でも、制服、ほんと似合ってて可愛かった」
<7976> \{渚} “Really?”*
// \{渚}「本当ですか」
<7977> \{\m{B}} “But, with those guys, and everyone who saw you?
// \{\m{B}}「だって、男連中、みんなおまえを見てたぜ?」
<7978> \{渚} “It wasn't like that.”
// \{渚}「そんなことはないです」
<7979> \{\m{B}} “Fact is, they were flirting.”
// \{\m{B}}「実際ナンパされてたじゃん」
<7980> \{渚} “It wasn't anything to do with flirting. It looked to me like they were just hungry.”
// \{渚}「ナンパじゃないです。お腹空いてそうに見えたんだと思います」
<7981> \{\m{B}} “But, if you weren't a cute girl, they wouldn't have been tempted.”
// \{\m{B}}「だとしても、可愛い子じゃなかったら、誘わないって」
<7982> \{渚} *
// \{渚}「可愛くなくても、お腹空いてそうな子には手を差し伸べたくなるものです」
<7983> \{\m{B}} “But, aren’t you cute as well”?
// \{\m{B}}「でも、おまえは可愛いじゃないか」
<7984> \{渚} “No.”
// \{渚}「いいえ」
<7985> \{\m{B}} “Huh?”
// \{\m{B}}「えぇ?」
<7986> Feigning ignorance, I questioned her.
// わざとらしくとぼけたふうに訊いてやる。
<7987> This way, hopefully she’ll stop speaking ill of herself. *
// これで、卑下するな、という教えを思い出したはずだ。
<7988> \{渚} “Ah, no…”*
// \{渚}「あ、いえ…」
<7989> \{\m{B}} “Are you cute?”*
// \{\m{B}}「可愛いよな?」
<7990> \{渚} “Yes… I’m cute.”*
// \{渚}「はい…可愛いです」
<7991> \{渚} “………”
// \{渚}「………」
<7992> \{\m{B}} (Good…)*
// \{\m{B}}(いいっ)
<7993> It was nice talking about things down at the beach.*
// 渚に自分のことを可愛いと言わせるのは快感だった。
<7994> \{渚} “But, Nishina-san is much cuter.”
// \{渚}「でも、仁科さんとかのほうが、もっと可愛いです」
<7995> \{渚} “Yes. Maybe I am cute, but other people much, much more cute than I am.”
// \{渚}「そうです。わたしも可愛いかもしれないですが、他の人のほうがもっともっと可愛いですっ」
<7996> Oh crap…
// しまった…。
<7997> Finally, even without being directly humble, she’s seen a way around it.*
// ついに、卑下することなく、控えめに言う抜け道を見つけられてしまった…。
<7998> \{\m{B}} “Wait.”
// \{\m{B}}「待てっ」
<7999> \{\m{B}} “The Big Dango Family’s also cute, but what if I said other characters are much, much more cute? Nagisa, how’s that?”
// \{\m{B}}「だんご大家族も可愛いが、他のキャラクターのほうがもっともっと可愛いと言われたら、おまえ、どうだっ」
<8000> \{渚} “I don’t mind.”
// \{渚}「平気です」
<8001> \{\m{B}} “Gah…”
// \{\m{B}}(ぐは…)
<8002> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}(俺の…密かな楽しみが…)
<8003> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「今の禁止」
<8004> \{渚} *
// \{渚}「禁止じゃないです。理由がないです」
<8005> *
// ああ…
<8006> *
// さようなら…ナルシストな渚…。
<8007> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「俺は古河渚という女の子が好きなんだ。その女の子をけなさないでくれないか」
<8008> \{渚} *
// \{渚}「あ、はい…すみませんでしたっ」
<8009> \{渚} *
// \{渚}「とっても、可愛いと思いますっ」
<8010> \{渚} *
// \{渚}「って…え?」
<8011> \{渚} *
// \{渚}「なんか、今、ものすごく恥ずかしいことを言った気がします…」
<8012> \{渚} *
// \{渚}「あ、あのっ」
<8013> \{芽衣} *
// \{芽衣}「はい?」
<8014> \{渚} *
// \{渚}「わたし、ぜんぜん可愛くないですっ」
<8015> \{渚} *
// \{渚}「あ…」
<8016> \{渚} *
// \{渚}「あ、いえ…そこそこ可愛いです…」
<8017> \{渚} *
// \{渚}「そんな、わたしの水着姿なんて、誰も見ないと思いますっ」
<8018> \{渚} *
// \{渚}「そんなにスタイル…よくないですので…」
<8019> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「可愛いけりゃなんでもOK」
<8020> \{渚} *
// \{渚}「可愛くも…」
<8021> \{渚} *
// \{渚}「ああ…そうですよね…わたし、可愛いですから、きっとなんでもOKですっ」
<8022> \{渚} *
// \{渚}「\m{B}くん、わくわくして寝られなかったはずです」
<8023> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「どうして」
<8024> \{渚} *
// \{渚}「それは、デートだからです」
<8025> \{渚} *
// \{渚}「こんな可愛い彼女と」
<8026> *
// 目を瞑れば、渚ナルシスト化計画の軌跡が走馬燈のように次々とよみがえる。
<8027> *
// しかし、それも…もう…
<8028> \{渚} *
// \{渚}「\m{B}くん…」
<8029> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「え…なに」
<8030> *
// 涙をごしごし拭きながら、現実に戻ってくる。
<8031> \{渚} *
// \{渚}「すごく、申し訳ない気持ちです」
<8032> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「え?  どうして…?」
<8033> \{渚} *
// \{渚}「その…\m{B}くんがわたしに自信を持たせるために、言ってきてくれたことです…」
<8034> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「まぁ、確かに」
<8035> \{渚} *
// \{渚}「ですので…」
<8036> \{渚} *
// \{渚}「今の禁止しても…いいです」
<8037> \{渚} *
// \{渚}「やり方、ちょっと卑怯でしたので…」
<8038> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「いや…」
<8039> *
// そんなふうに言われたら、俺もこれ以上強要なんてできなかった。
<8040> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「冗談。もういいよ」
<8041> \{渚} *
// \{渚}「え、どうしてでしょうか」
<8042> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「俺のほうが、楽しんだりして…よっぽど卑怯だったよ」
<8043> \{渚} *
// \{渚}「楽しんでましたか」
<8044> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「ちょっと楽しんでました」
<8045> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「ごめんなさい」
<8046> \{渚} *
// \{渚}「いえ、でも、わたしのことを考えていてくれたことも確かだと思います」
<8047> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「ああ…まぁな」
<8048> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「昔のおまえは、本当に、自分に自信がない奴だったからな」
<8049> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「でも、もう十分だよ。おまえ、バイト先でも、すげぇ店長に買われてた」
<8050> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「あの頃とぜんぜん違う」
<8051> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「振る舞いとか、もう、すごくしっかりしてるんだよ、おまえ」
<8052> \{渚} *
// \{渚}「そうでしょうか…」
<8053> \{渚} *
// \{渚}「だったら、うれしいです」
<8054> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「ああ。だから、もう十分」
<8055> \{渚} *
// \{渚}「でも…」
<8056> \{渚} *
// \{渚}「やっぱり、わたしは努力し続けてたいです」
<8057> \{渚} *
// \{渚}「それで…\m{B}くんの理想の女の子でいたいです」
<8058> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「いれてるよ、十分」
<8059> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「俺のほうが、渚に見合ってないかも…」
<8060> \{渚} *
// \{渚}「そんなことないです」
<8061> \{渚} *
// \{渚}「\m{B}くん、すごく仕事がんばって、すごく男らしくて、すごく素敵です」
<8062> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「おまえだって、女の子らしくて、可愛い」
<8063> \{渚} *
// \{渚}「………」
<8064> *
// じっと見つめ合う。
<8065> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}(………)
<8066> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}(なんか…)
<8067> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}(いい雰囲気…)
<8068> \{渚} *
// \{渚}「………」
<8069> *
// 渚から、そっと顔を近づけてきていた。
<8070> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}(え…)
<8071> *
// 気づくとすぐ前に、目を閉じた渚の顔。
<8072> *
// 下では唇が合わさっていた。
<8073> *
// さらに隙間を埋めるように、押し込んでくる。
<8074> *
// 一番深い位置で、動きを止めた。
<8075> *
// ………。
<8076> *
// ようやく唇が離れる。
<8077> *
// うつむく渚の顔は、耳まで真っ赤だった。
<8078> \{渚} *
// \{渚}「あのっ…」
<8079> *
// 顔を上げて…でも目を伏せたままで口を開いた。
<8080> \{渚} *
// \{渚}「…\m{B}くんの顔見てたら、キスしたくなったので、してしまいましたっ」
<8081> *
// 精一杯、自信のある自分を装おうとしていた。
<8082> *
// それが実に滑稽で、笑いを誘う。
<8083> \{渚} *
// \{渚}「その…」
<8084> \{渚} *
// \{渚}「嫌じゃなかったですか…」
<8085> *
// 俺が黙っていることに不安を覚えたのか、仕舞いにはそう訊いてきた。
<8086> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}(笑いを堪えてただけなんだけどな…)
<8087> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「ああ」
<8088> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「今、このまま死にたいって思った」
<8089> *
// 誠意を持ってそう答えた。
<8090> \{渚} *
// \{渚}「そんなこと思ったらダメです」
<8091> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「それぐらいうれしかったってこと」
<8092> \{渚} *
// \{渚}「そんなにうれしかったですか」
<8093> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「ああ」
<8094> \{渚} *
// \{渚}「あんなのだったら、いくらでもします」
<8095> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「じゃ、もう一回」
<8096> \{渚} *
// \{渚}「え…」
<8097> *
// 少し引く。
<8098> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「冗談だよ」
<8099> \{渚} *
// \{渚}「い、いえ…します」
<8100> \{渚} *
// \{渚}「んっ…」
<8101> *
// 慌てたように勢いよく、唇を重ねていた。
<8102> *
// 今度は、最初からいい角度で、深く合わさっていた。
<8103> *
// 渚は仕事で疲れていたのか、消灯して間もなく寝息を立て始めた。
<8104> *
// 俺はひとり眠れず、天井をじっと見上げていた。
<8105> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「………」
<8106> *
// さっきまでの楽しい感情は、もう消え去っていた。
<8107> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}(こんなにも満たされているのに…俺は何を不安に思っているのだろう…)
<8108> *
// それは…わかっていた。
<8109> *
// オッサンと見た、あの光景だった。
<8110> *
// 角を折れてその先に広がった景色。
<8111> *
// 一瞬何か、抗いようのない力のようなものを感じて、俺は足を止めてしまっていた。
<8112> *
// 同時に、思い出に変わってしまった景色が…
<8113> *
// 立入禁止の看板があって…
<8114> *
// その向こうには草が生い茂った空き地があって…
<8115> *
// 歩道には自転車で通行するとパンクしそうな溝があって…
<8116> *
// そこを前輪を浮かせて、渡る幼い日の俺がいた景色が…
<8117> *
// もう取り戻せないものだと知って。
<8118> *
// 自分の仕事こそ、町の形を変えていくことなのに…。
<8119> *
// 芳野さんは、いつか…『それが人が生きていくということだ』、と言っていた。
<8120> *
// 変わらなければ生きていけないのだろうか。
<8121> *
// そして、なにもかもが変わってしまっても…
<8122> *
// 「それでも、この場所が好きでいられますか」
<8123> *
// …いられるだろうか。
<8124> *
// 俺は…。
<8125> \{芳野} *
// \{芳野}「これ、見たか?」
<8126> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「は?」
<8127> *
// 朝一番で、芳野さんは俺に新聞を見せた。
<8128> \{芳野} *
// \{芳野}「幹線道路だ。用地買収で詰まって、かなり遅れたらしいが」
<8129> \{芳野} *
// \{芳野}「ようやく基礎工事が来期から始まるって話だ」
<8130> *
// 新聞の地方欄だったが、山側を大きく通り抜ける形の道路が着工するとの記事が大きく書かれていた。
<8131> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「工期はどれくらいなんすか?」
<8132> \{芳野} *
// \{芳野}「再来年の春開通予定だ。まだまだ先の長い話だ」
<8133> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「…そうなんすか」
<8134> \{芳野} *
// \{芳野}「元請も絡んでるから、うちにもいくつか仕事が来るだろ。忙しくなるぞ」
<8135> *
// そう言って芳野さんは新聞を畳み、仕事の準備を始めた。
<8136> *
// 俺はもう一度新聞を広げた。
<8137> *
// 新聞に載っていた地図には、見知った地名がいくつも書かれていた。
<8138> *
// そこに道路が通ると、風景は様変わりするのだろうか。
<8139> *
// 変えていくことに俺も参加するのだろうか。
<8140> *
// だが、その未来図は想像つかなかった。
<8141> \{渚} *
// \{渚}「今日、聞いた話なんですが」
<8142> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「うん」
<8143> \{渚} *
// \{渚}「学校に、また新しい校舎が建つそうです」
<8144> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「え…?」
<8145> \{渚} *
// \{渚}「仁科さんから聞きました。今月から工事が始まってるらしいです」
<8146> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「じゃ、古くなった校舎はどうなんだよ」
<8147> \{渚} *
// \{渚}「旧校舎は取り壊しになるそうです」
<8148> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「………」
<8149> \{渚} *
// \{渚}「二年後以降に入学した生徒さんは、ぴかぴかの教室で勉強できます」
<8150> \{渚} *
// \{渚}「とてもいいです」
<8151> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「いいわけあるかっ!」
<8152> *
// がちゃん!
<8153> *
// 俺は茶碗を持った手で、机を叩いていた。
<8154> \{渚} *
// \{渚}「え…」
<8155> *
// 唖然とする渚。
<8156> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「あ…悪い…」
<8157> \{渚} *
// \{渚}「いえ…」
<8158> \{渚} *
// \{渚}「…どうして怒ったか、教えてほしいです」
<8159> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「いや、怒ったんじゃない…」
<8160> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「動揺したんだ…」
<8161> \{渚} *
// \{渚}「何にですか」
<8162> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「旧校舎はさ…\p演劇部の部室があってさ…」
<8163> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「一緒に頑張って…\pおまえのことを好きになった思い出の場所なんだ…」
<8164> *
// 違う、そんなの象徴のひとつでしかないんだ。
<8165> *
// でも、今の俺にはそんなふうにしか説明できなかった。
<8166> \{渚} *
// \{渚}「はい、そうです。わたしも同じです。\m{B}くんのことを好きになった大切な場所です」
<8167> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「だったらさ…羨ましいみたいなこと言うなよ」
<8168> \{渚} *
// \{渚}「はい…?」
<8169> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「学校が新しくなってさ、変わっていくのにさ…」
<8170> \{渚} *
// \{渚}「あ…はい、わかりました、\m{B}くんの気持ち」
<8171> \{渚} *
// \{渚}「わたし、浅はかだったです。そうです…とっても悲しいことでした…」
<8172> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「………」
<8173> \{渚} *
// \{渚}「本当に、ごめんなさいでした」
<8174> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「いや、そんな…真っ正直に謝られても…」
<8175> \{渚} *
// \{渚}「いえ…」
<8176> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「………」
<8177> *
// …気まずくなってしまった。
<8178> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「俺さ…きっと疲れてるんだよ」
<8179> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「神経質になりすぎてる…」
<8180> \{渚} *
// \{渚}「そうでしょうか…」
<8181> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「ああ、きっとそうだよ」
<8182> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「なんか、叱ったみたいで悪かったよ」
<8183> \{渚} *
// \{渚}「いえ…ぜんぜん気にしてないです」
<8184> \{渚} *
// \{渚}「わたしのほうが、本当、考えが足りなくて…」
<8185> *
// お互い、いつまでも謝ってそうだった。
<8186> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「………」
<8187> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「ごめん、飯、冷めちまったな…」
<8188> \{渚} *
// \{渚}「いえ…」
<8189> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「でも、冷めてもおいしいから、渚の作る飯はさ」
<8190> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「だから、俺は気にしないよ」
<8191> \{渚} *
// \{渚}「ありがとうございます」
<8192> *
// 胸が痛い。
<8193> *
// この痛みはなんだろうか…。
<8194> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}(………)
<8195> *
// 俺以外のものが、変わっていく。
<8196> *
// そんな気がした。
<8197> *
// 俺の愛したものはすべて思い出となり、まったく見たこともない新しい世界が出来上がっていく。
<8198> *
// 何もかも、変わらずにはいられず…何もかもが、変わり続けていく。
<8199> *
// そしてそこには…\p渚も含まれているのだ。
<8200> *
// 渚さえも、変化の流れの中に取り込まれ、俺から遠ざかっていく。
<8201> *
// 胸の痛みはその悲しみを予感してのものだった。
<8202> *
// こんなすぐ近くにいるのに、少しずつ遠くなっていく。
<8203> *
// だから俺は渚を強く抱きしめた。
<8204> \{渚} *
// \{渚}「どうしましたか、\m{B}くん」
<8205> *
// そんな俺に渚は優しく声をかけてくれる。
<8206> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「なぁ、渚…」
<8207> \{渚} *
// \{渚}「はい」
<8208> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「俺は、本当に渚が大好きだから…」
<8209> \{渚} *
// \{渚}「はい、わたしも\m{B}くんのこと大好きです」
<8210> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「………」
<8211> *
// その先が言えなかった。
<8212> *
// ずっとそばに居てくれ、と。
<8213> *
// 言葉にすれば、その思いは波にさらわれる。
<8214> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「渚…」
<8215> \{渚} *
// \{渚}「はい…」
<8216> *
// こっちを向いた渚…\pその口に唇を重ねた。
<8217> *
// 渚を繋ぎ止めるために。
<8218> *
// 指で渚の顎を引いて、口を開かせた。
<8219> *
// 奥深くまで、繋がりを求めた。
<8220> \{渚} *
// \{渚}「ん…」
<8221> *
// 初めてお互いの粘膜を擦り合わせる。
<8222> *
// 夢のように虚ろで、泣けるほどにせつなかった。
<8223> *
// 2年前、俺は坂の下に立ちつくしてた。
<8224> *
// どこにもいけない自分に、苛立ちを覚えていた。
<8225> *
// 抜け出すことのできない町が嫌いだった。
<8226> *
// 何もかもが嫌で…すべてが、変わることを望んでいた。
<8227> *
// 時間は流れて、俺は大切なものを見つけた。
<8228> *
// そして、俺はそれを失うことを恐れている。
<8229> *
// 俺は、あんなにも変わることを望んでいたのに…
<8230> *
// いつからか、変わらないことを望むようになっていた。
<8231> *
// 変わらないでほしい…何もかも。
<8232> *
// 変わってしまったら、俺は笑えないから。
<8233> *
// もう、この場所が好きでいられないから…。
<8234> \{声} *
// \{声}「\m{B}くん…朝です」
<8235> \{声} *
// \{声}「そろそろ起きないと、遅れてしまいます」
<8236> *
// 耳元で声…。
<8237> *
// ゆっくりと目を開ける。
<8238> \{渚} *
// \{渚}「\m{B}くん、起きましょう」
<8239> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「ああ…」
<8240> *
// 居てくれた…\p渚。
<8241> *
// その手を掴む。
<8242> *
// 強く握る。
<8243> \{渚} *
// \{渚}「\m{B}くん、どうしましたか」
<8244> \{渚} *
// \{渚}「悪い夢でも見てしまいましたか」
<8245> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「………」
<8246> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「渚…」
<8247> \{渚} *
// \{渚}「はい」
<8248> \{\m{B}} *
// \{\m{B}}「おはよ」
<8249> \{渚} *
// \{渚}「はい、おはようございます」
<8250> *
// こんな温かな日々を。
<8251> *
// どうか、いつまでも、\p俺にください。

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