White Album 2/Script/2310
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Text
Speaker | Text | Comment | |||
---|---|---|---|---|---|
Line # | JP | EN | JP | EN | |
1 | 男子生徒1 | Male Student 1 | 「孝宏」 | ||
2 | 孝宏 | Takahiro | 「ん~」 | ||
3 | 男子生徒1 | Male Student 1 | 「なぁ、孝宏ってばよ」 | ||
4 | 孝宏 | Takahiro | 「今の俺に話しかけるな。 集中してんだから」 | ||
5 | 男子生徒1 | Male Student 1 | 「…お前が授業中に勉強してるの初めて見たぞ」 | ||
6 | 孝宏 | Takahiro | 「せめて自習中と訂正してくれ」 | ||
7 | 男子生徒1 | Male Student 1 | 「一般受験組は辛いねぇ。 クラスの半分がもう推薦決まってるこの付属社会じゃ 完全な負け組だもんなぁ」 | ||
8 | 孝宏 | Takahiro | 「委員長ってのはな、最後尾を守る役目なんだよ。 …全員が大学という安全地帯に避難するまでのな」 | ||
9 | 男子生徒1 | Male Student 1 | 「お前、せめて面接まで行けてりゃ、 その口車でなんとかなったかもしんないのになぁ」 | ||
10 | 孝宏 | Takahiro | 「…もう一度言うぞ。 今の俺に話しかけるな」 | ||
11 | 男子生徒1 | Male Student 1 | 「な、な、そんなことよりもよ… 今、クラスですっげー噂になってんだけど…」 | ||
12 | 孝宏 | Takahiro | 「…三度目を言わせたいか?」 | ||
13 | 男子生徒1 | Male Student 1 | 「興味ないか?」 | ||
14 | 孝宏 | Takahiro | 「自分のことで手一杯なのに、 人の噂にまで構ってられるかよ」 | ||
15 | 男子生徒1 | Male Student 1 | 「そんなこと言ってられるかな? だってお前…」 | ||
16 | 孝宏 | Takahiro | 「ああもううるせえ! 何もかも! お前もだけど教室全体が俺をイライラさせやがる!」 | ||
17 | 男子生徒1 | Male Student 1 | 「そんなにうるさいんなら注意すればいいだろ。 委員長なんだから」 | ||
18 | 孝宏 | Takahiro | 「俺が注意したってしょうがないだろ。 そういうポジションじゃないんだから」 | ||
19 | 男子生徒1 | Male Student 1 | 「まぁ、委員長のくせに いつも率先して騒いでる奴だからな」 | ||
20 | 孝宏 | Takahiro | 「このクラスには裏委員長がいるだろ。任期一年の。 だから俺は安心してバカやってこれたんだし…」 | ||
21 | 小春 | Koharu | 「ちょっとみんな! 静かにしなさい!」 | ||
22 | 小春 | Koharu | 「…ほらな?」 | ||
23 | 小春 | Koharu | 「ウチは自習でも、 隣のクラスは授業やってんだから! 人の迷惑考えて!」 | ||
24 | 男子生徒1 | Male Student 1 | 「それなんだけどな… もしかしたら、今その安全弁は火に油かもしんないぞ?」 | ||
25 | 孝宏 | Takahiro | 「何だそりゃ?」 | ||
26 | 女子生徒1 | Female Student 1 | 「………ビッチ」 | ||
27 | 小春 | Koharu | 「っ!?」 | ||
28 | 孝宏 | Takahiro | 「………は?」 | ||
29 | 女子生徒2 | Female Student 2 | 「うわ言っちゃった! 言っちゃったよこいつ~!」 | ||
30 | 女子生徒3 | Female Student 3 | 「あはははは~、 人の迷惑考えろだって~! 大傑作~!」 | ||
31 | 女子生徒4 | Female Student 4 | 「人の振り見て我が振り直せっての~、 昔の人はいいこと言ったよね~」 | ||
32 | 小春 | Koharu | 「………っ! し、静かにしてっ! 静かに…してよぉ…っ」 | ||
33 | 孝宏 | Takahiro | 「…おい、なんだよこれは? ウチのクラス、いつの間にこんなことになってんだ?」 | ||
34 | 男子生徒1 | Male Student 1 | 「…お前が人の噂に構ってない間だな」 | ||
35 | ……… | .........
| |||
36 | …… | ......
| |||
37 | … | ...
| |||
38 | 武也 | Takeya | 「な、やっぱ魔王高原辺りまで足伸ばさね? 樹氷見れるってよ樹氷!」 | ||
39 | 依緒 | Io | 「やだよ、あそこもう東北じゃん。 そんな寒いところ御免だよ」 | ||
40 | 武也 | Takeya | 「…じゃあなんでスキー行こうなんて言うんだ?」 | ||
41 | 依緒 | Io | 「あ、冴場あたりなんかいいんじゃない? 車でも2時間くらいで行けるでしょ」 | ||
42 | 武也 | Takeya | 「あんな近場だときっとベタ雪だぞ? それに客も多そうだし」 | ||
43 | 依緒 | Io | 「どこも帯に短したすきに長しだねぇ…」 | ||
44 | 武也 | Takeya | 「なぁ春希、お前ならどっちがいい?」 | ||
45 | 依緒 | Io | 「それと頼んだ富士宮焼きそばまだ~?」 | ||
46 | 武也 | Takeya | 「…今度はそう来たか。 じゃあ俺は鴨のテリーヌカンパーニュ風で」 | ||
47 | 春希 | Haruki | 「何が『じゃあ俺は』だ。もうそのネタ飽きた。 ついでに店員を私用で呼びつけるな。 他のお客様もいるんだぞ?」 | ||
48 | 依緒 | Io | 「他のお客様?」 | ||
49 | 武也 | Takeya | 「どこに?」 | ||
50 | 春希 | Haruki | 「………みんなの心の中にだよ」 | ||
51 | 日曜の閉店間際…を少し過ぎた時間。 | ||||
52 | ドリンクバーを何杯もお代わりして粘る迷惑な客でさえ、 いつの間にか、たった一組しか残っていなかった。 | ||||
53 | 春希 | Haruki | 「というかさっきラストオーダー終わっただろ。 とっとと帰れよ。従業員の心身の健康のためにも」 | ||
54 | 武也 | Takeya | 「お前が上がるの待ってたんだよ。 春休みの相談しようと思って」 | ||
55 | 春希 | Haruki | 「…明日から期末試験という現実を前に、 見事な逃避っぷりだな、お前ら」 | ||
56 | 依緒 | Io | 「勉強もさっきからやってたって。 おかげでお腹がたぷたぷになっちゃった」 | ||
57 | 春希 | Haruki | 「やってることと結果が結びついてないだろ。 というかここで試験対策とかやめてくれ。 店の収入に対して迷惑だ」 | ||
58 | 武也 | Takeya | 「ここで『他のお客様に対して』って言っとけば、 もう少しこっちも反省しようものを」 | ||
59 | 小春 | Koharu | 「…相変わらず妙に仲がいいですね、皆さん」 | ||
60 | 春希 | Haruki | 「あ…」 | ||
61 | しまった… | ||||
62 | こいつらがいつまでも居座ってたせいで、 他のバイトの皆はとっくに上がってしまっていた。 | ||||
63 | 武也 | Takeya | 「よ、久しぶり小春ちゃん。 元気でやってる?」 | ||
64 | 小春 | Koharu | 「ええ、おかげさまで」 | ||
65 | 依緒 | Io | 「付属のコにこんな遅くまで働かせて… 鬼だね春希は」 | ||
66 | 春希 | Haruki | 「文句ならここの店長代理に言ってくれ。 どれだけ罵倒しても俺が許すから」 | ||
67 | 武也 | Takeya | 「[R鬼^はるき]に小姑みたいに苛められて、 更衣室でシクシク泣いてたりしない?」 | ||
68 | 小春 | Koharu | 「大丈夫ですよ。 そんな簡単に隙見せたりしませんから」 | ||
69 | 依緒 | Io | 「春希に隙を見せないって… さすが小春希って呼ばれてるだけのことはあるね…」 | ||
70 | 小春 | Koharu | 「…そんな呼び方してるのはお二方だけです」 | ||
71 | すっかり帰り支度を済ませた格好で 小春が俺たちに声をかけてきたのは、 多分『そういうプレッシャー』なんだろう。 | ||||
72 | けど、そんな感情をおくびにも出さず、 いつも通りそつがなく、真面目に、 そして、明るく振舞っていた。 | ||||
73 | 小春 | Koharu | 「あ、そういえば… 先輩、そろそろ戸締まりしないとって、 店長代理が」 | ||
74 | 春希 | Haruki | 「あ、ああ、悪い。 俺もすぐに着替えて上がるから」 | ||
75 | 佐藤はさっき 『戸締まりと消灯お任せします。何時まででもどうぞ』 と俺に伝言を残しさっさと帰ってしまったけどな… | ||||
76 | 小春 | Koharu | 「それじゃお先に失礼します。先輩…」 | ||
77 | 『先輩』の部分がちょっとドス利いてる… | ||||
78 | 春希 | Haruki | 「は、はい、お疲れさま! ほら、そういうわけだから、お前らも…」 | ||
79 | 依緒 | Io | 「そうだ、小春ちゃんも一緒にどうかな? このメンツで春休みにスキーに行くんだけど」 | ||
80 | 小春 | Koharu | 「え…」 | ||
81 | 武也 | Takeya | 「依緒!?」 | ||
82 | 春希 | Haruki | 「………は?」 | ||
83 | しまった… | ||||
84 | 一人、間抜けなくらいに反応が遅れた。 | ||||
85 | 依緒 | Io | 「正確にはこのメンバーともう一人… 春希の彼女も入れて五人になるけどね。 あ、あなたの友達も連れてっていいよ?」 | ||
86 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
87 | 春希 | Haruki | 「い、依緒… いや、それはちょっと…」 | ||
88 | お誘いの内容も、お誘いの言葉の内容も、 小春にとってあまりにも、あまりにもな… | ||||
89 | けど、俺たちの事情を知らない人間にとってみたら、 ただ、気さくな大学生の発言でしかないところが… | ||||
90 | 依緒 | Io | 「スキー、苦手ってことはないよね? スポーツ万能って聞いてるけど?」 | ||
91 | 小春 | Koharu | 「二回くらい行ったことあります。 まぁ、自信があるかと聞かれたら………はい」 | ||
92 | 依緒 | Io | 「あはははっ、言うねぇ。 そう言えばテニス部だったんでしょ? 夏の大会はどこまで行った?」 | ||
93 | 小春 | Koharu | 「地区大会の四回戦で負けちゃいましたけど…」 | ||
94 | 依緒 | Io | 「てことは三回も勝ったんだ。すごいね! …まぁあたしのバスケ部は準決まで行ったけど」 | ||
95 | 武也 | Takeya | 「そこでお前はなに対抗意識燃やしてんだよ」 | ||
96 | 依緒 | Io | 「ね、行こうよ、きっと楽しいよ?」 | ||
97 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
98 | 春希 | Haruki | 「お、おい… 依緒の言うことなんか真に受けなくても…」 | ||
99 | 依緒 | Io | 「春希は黙ってなって。 あたしは小春ちゃんに聞いてんだから」 | ||
100 | 春希 | Haruki | 「う…」 | ||
101 | 依緒 | Io | 「春からウチの大学通うんでしょ? 大学生活の予行演習ってことで」 | ||
102 | それは本当に、 ちょっと厚かましいだけの親切心なのか、 それとも別の意図があるのかはわからなかったけど。 | ||||
103 | ただ小春は完璧に、 本当に、完璧に… | ||||
104 | ちょっとだけ考えて、にっこり笑い、 依緒を正面から見据えて、ハッキリ喋った。 | ||||
105 | 小春 | Koharu | 「そんなお邪魔虫はご免です。 身内で、しかもカップルだけの旅行に混ざるなんて、 わざわざあてられに行くようなものじゃないですか」 | ||
106 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
107 | 依緒 | Io | 「いや、カップルは一組だけなんだけど」 | ||
108 | 武也 | Takeya | 「そんなとこでまで否定することもないだろ…」 | ||
109 | ……… | .........
| |||
110 | 春希 | Haruki | 「はっ、はっ…はぁ…っ」 | ||
111 | …… | ......
| |||
112 | 小春 | Koharu | 「………っ」 | ||
113 | 春希 | Haruki | 「悪いっ、遅くなった! なかなか話が切り上げられなくて…」 | ||
114 | 小春 | Koharu | 「終電出ちゃいましたよもう!」 | ||
115 | 春希 | Haruki | 「え? 休日ダイヤ変わった?」 | ||
116 | 小春 | Koharu | 「…嘘に決まってるじゃないですか。 ちょっとくらい驚かせないと割に合いません」 | ||
117 | 春希 | Haruki | 「意味のない腹いせはやめてくれ…」 | ||
118 | 小春 | Koharu | 「冷たいベンチでずっと待たされて、 体がカチカチになっちゃった。 …立たせてください」 | ||
119 | 春希 | Haruki | 「あ、ああ、ごめ…」 | ||
120 | 小春 | Koharu | 「手袋は取って」 | ||
121 | 春希 | Haruki | 「? わかった」 | ||
122 | ベンチに座って 相変わらず恨みがましく俺を見上げる小春に、 右の素手を差し出す。 | ||||
123 | 小春 | Koharu | 「ん、しょっと…」 | ||
124 | 春希 | Haruki | 「冷た…」 | ||
125 | 小春 | Koharu | 「こっちもあらかじめ手袋を取って、 冷やしておきました」 | ||
126 | 春希 | Haruki | 「わけわかんないぞ、それ…」 | ||
127 | 俺の手にしっかり絡ませてくる小春の指は、 冬の夜の冷たい風に、すっかり凍えていた。 | ||||
128 | 小春 | Koharu | 「先輩があっためるんです。 わたしをこんなに待たせた責任を取って」 | ||
129 | 春希 | Haruki | 「…ごめんな」 | ||
130 | 小春 | Koharu | 「爪の先が温かくなるまで許しません」 | ||
131 | 春希 | Haruki | 「…温かくなるより先に、家に辿り着くんじゃ?」 | ||
132 | 小春 | Koharu | 「行きましょう、先輩」 | ||
133 | 春希 | Haruki | 「………ああ」 | ||
134 | 俺が引っ張り上げるまでもなく 軽々と立ち上がった小春は、 そのまま俺の手を引いて、さっさと歩き出す。 | ||||
135 | ただ掴んでいただけの手と手を、 指と指で全部絡め合うように握り直しながら。 | ||||
136 | 武也 | Takeya | 「にしても、突っ込んだなぁお前。 旅行に誘ったときはビビったぞ」 | ||
137 | 依緒 | Io | 「あんたの心配してた通りなら、 何かしら劇的な反応があるかと思ったからね」 | ||
138 | 武也 | Takeya | 「で、二時間観察してみてどう思った? あの二人」 | ||
139 | 依緒 | Io | 「………わかんない。 五分五分」 | ||
140 | 武也 | Takeya | 「………だよなぁ。 俺もそんな感じだった」 | ||
141 | 依緒 | Io | 「小春ってコは、 前会ったときとあんまり変わってなかったな… 前から『気がある』と言われればそんな感じだったし」 | ||
142 | 武也 | Takeya | 「小春希だった頃を知ってる俺にとっては、 あれは格段の進歩なんだけどな… いい方向か悪い方向かは別にして」 | ||
143 | 依緒 | Io | 「で、春希の方は…う~ん」 | ||
144 | 武也 | Takeya | 「あいつ結構隠せるからな。 だから何でもかんでも抱え込むんだけど」 | ||
145 | 依緒 | Io | 「………」 | "........."
| |
146 | 武也 | Takeya | 「? 何か気になることでもあったか?」 | ||
147 | 依緒 | Io | 「名前呼んでなかったんだよねぇ…彼女の。 ただの一度も」 | ||
148 | 武也 | Takeya | 「呼んでなかったんなら問題ないんじゃ?」 | ||
149 | 依緒 | Io | 「…名字も呼んでなかった。 前来たときはちゃんと『杉浦』って、 何度も呼びかけてた記憶あるんだけど」 | ||
150 | 武也 | Takeya | 「それはいくらなんでも考えすぎだろ?」 | ||
151 | 依緒 | Io | 「…と思うんだけど、 なんか不自然に感じたんだよねぇ。 ほんのちょっとだけ」 | ||
152 | 武也 | Takeya | 「ま、とにかく… もうしばらく様子見でも大丈夫かな…」 | ||
153 | 小春 | Koharu | 「ん、ちゅ…は、あ、ぁぁ…ん、んぷ… は、春希…先輩ぃっ…は、ぁ、んっ」 | ||
154 | 春希 | Haruki | 「あ、あ…ん、んむ…は、ぁぁ…小春」 | ||
155 | 小春 | Koharu | 「ん、んぅ…ちゅぷ…は、んむ…あぁ、ぁ… や、だ、も…先輩…っ」 | ||
156 | 春希 | Haruki | 「…嫌、か?」 | ||
157 | 小春 | Koharu | 「そう、じゃ、ないけど…ん、んぅ… こ、ここだと…」 | ||
158 | 春希 | Haruki | 「ん?」 | ||
159 | 小春 | Koharu | 「誰かに…見られちゃうかも…」 | ||
160 | 春希 | Haruki | 「困る?」 | ||
161 | 小春 | Koharu | 「わたしは………全然。 だけど、先輩は」 | ||
162 | 春希 | Haruki | 「…気にしない」 | ||
163 | 小春 | Koharu | 「嬉し…んぅっ!? へ、へんぱ…ふぁぃ…んっ、んぅ、ん~っ」 | ||
164 | 一度唇を合わせてしまったら、 後はもう、止まることなんかない。 | ||||
165 | 別れ際にキスをしない方が不自然なことになり、 本当にさり気なく、唇を寄せるようになる。 | ||||
166 | そして、二度、三度と繰り返すうちに、 ただ唇を合わせるだけじゃ、物足りなくなる。 | ||||
167 | …三年前に積み上げていった経験を、 そのときとは違う相手に注ぎ込む。 | ||||
168 | 小春 | Koharu | 「んっ、んっ…ん~っ! あ、あふぁ…あ、んぅ…ちょっ…あ、あぁぁぁぁっ」 | ||
169 | 舌を絡めて、唾液を交換して… | ||||
170 | 小春の唇が、舌が、俺に蹂躙され、 柔らかな音と、せつない吐息と、歓喜の喘ぎを 俺の耳に届けるようになった。 | ||||
171 | 小春 | Koharu | 「はぁ、はぁ、はぁぁ…んっ…ふぅぅ…」 | ||
172 | やがて、口の周りをべとべとにした小春が、 ハンカチで丁寧に二人の口を拭き取ると、 俺の胸にぽふっと顔を埋める。 | ||||
173 | …片方の手はずっと繋いだままなので、 その動作はお互い拙いものだったけど。 | ||||
174 | 小春 | Koharu | 「ね、先輩」 | ||
175 | 春希 | Haruki | 「ん?」 | ||
176 | 小春 | Koharu | 「行くんですか? スキー旅行」 | ||
177 | 春希 | Haruki | 「さあ、どうだろ。 実はスキーって今までやったことないし」 | ||
178 | 小春 | Koharu | 「なら、行く前にわたしが教えてあげましょうか? さっきも言ったけど、わたし結構滑れますよ?」 | ||
179 | 春希 | Haruki | 「それ自体がスキー旅行にならないか?」 | ||
180 | 小春 | Koharu | 「…なるかもしれませんね」 | ||
181 | しかも、今の俺たちの状況だと、 二人きり以外の選択肢が思い浮かばない。 | ||||
182 | 小春 | Koharu | 「嫌ですか? わたしとじゃ」 | ||
183 | 春希 | Haruki | 「そんな訳ないって」 | ||
184 | 小春 | Koharu | 「…ありがと、ございます」 | ||
185 | 意識してるのか、してないのか… | ||||
186 | 今のぼうっとした表情の小春からは、 その発言の意図が読み取れない。 | ||||
187 | 春希 | Haruki | 「けど小春…卒業旅行は? そのためにバイトしてたんだろ?」 | ||
188 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
189 | 春希 | Haruki | 「小春?」 | ||
190 | 小春 | Koharu | 「いえ…そういえばそうでしたね」 | ||
191 | 春希 | Haruki | 「まだ仲直りできてないのか? 矢田さんと」 | ||
192 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
193 | 春希 | Haruki | 「小春?」 | ||
194 | 小春 | Koharu | 「先輩…自分の言ったこと、もう忘れてる」 | ||
195 | 春希 | Haruki | 「え…?」 | ||
196 | 小春 | Koharu | 「わたしが呼ぶまでは、 余計な介入しないって」 | ||
197 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
198 | それは…そうなんだけど。 | ||||
199 | なんか今の小春のちょっとした沈黙と忘却が、 もしかしたら、何かのサインだったのかもって… | ||||
200 | 小春 | Koharu | 「それより… 次は、いつ会えますか?」 | ||
201 | 春希 | Haruki | 「ええと…試験が終わったら、かな」 | ||
202 | 小春 | Koharu | 「あと、二週間? 二週間も…?」 | ||
203 | 春希 | Haruki | 「その代わり… 大学が春休みに入ったら、 もう少し時間取れるから」 | ||
204 | 小春 | Koharu | 「平日でも…会えますか?」 | ||
205 | 春希 | Haruki | 「ああ…俺の方は、な」 | ||
206 | 小春 | Koharu | 「そしたら…毎日バイトしませんか? わたしの方も、二月に入れば自主登校だから」 | ||
207 | 春希 | Haruki | 「それは駄目だろ… 学校サボってバイトなんて」 | ||
208 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
209 | 春希 | Haruki | 「せっかく推薦決まってるのに 取り消されたらどうすんだよ?」 | ||
210 | 小春 | Koharu | 「わかりました。 わかりましたよ」 | ||
211 | 春希 | Haruki | 「そんな、ふて腐れなくても…」 | ||
212 | 小春 | Koharu | 「先輩があまりにも理性的だから、 頭に来てるだけです…」 | ||
213 | 春希 | Haruki | 「本当に理性的だったら… こんなふうに抱きしめてないだろ」 | ||
214 | 小春 | Koharu | 「………ぅん」 | ||
215 | 春希 | Haruki | 「小春…」 | ||
216 | 小春 | Koharu | 「春希せんぱ…んっ…」 | ||
217 | 春希 | Haruki | 「ん…んぅ…」 | ||
218 | 小春 | Koharu | 「んぷっ!? あ、はぁ…あ、んむっ…ちゅ…ぷぁ、ぁぁぁ…っ」 | ||
219 | 本当に理性的だったら… こんなふうに、激しく舌を差し入れたりしない。 | ||||
220 | 小春 | Koharu | 「あ、あむっ、ん、ん…あはぁぁっ、 あ、ん~…ん、ぅぁ、あ、むぅ…んっ」 | ||
221 | その熱い口中を蹂躙したり、 本能のままに小春の唾液を搾り取って、 自分の喉の奥まで舌を伝って運び込んだりしない。 | ||||
222 | 小春 | Koharu | 「は、は、はぁ、はぁぁ… 熱いよ先輩ぃ…」 | ||
223 | 春希 | Haruki | 「うん…」 | ||
224 | 小春 | Koharu | 「わたし、猫舌なのに… 本当は熱いのダメなのに…」 | ||
225 | 涙目になりながら、 吐息とともに切なく呟く小春の、 唇についた唾液までもしっかり舐め取る。 | ||||
226 | 小春 | Koharu | 「でも甘いから…どれだけ熱くても我慢できる。 ううん、熱いのが好きになりそう」 | ||
227 | 春希 | Haruki | 「甘いの…駄目なんじゃなかったっけ?」 | ||
228 | 小春 | Koharu | 「…この甘さは大好きです…ん、ちゅ」 | ||
229 | そんな蹂躙も愛撫も、 小春は全てを受け止める。 | ||||
230 | 小春 | Koharu | 「ん…んぅ…は、あ、ぁぁ…んっ、 先輩…春希せんぱい………すきぃ…」 | ||
231 | だから俺たちは、 その激しいキスをやめられない。 | ||||
232 | 唇を重ねてる瞬間だけは、忘れられるから。 | ||||
233 | …こうして唇を重ねるために抱え込んだ、 裏切り者という立ち位置を。 |
Script Chart
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Introductory Chapter | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
1001 | 1008 | 1009 | 1010 | 1011 | 1012 | 1013 |
1002 | 1008_020 | 1009_020 | 1010_020 | 1011_020 | 1012_020 | |
1003 | 1008_030 | 1009_030 | 1010_030 | 1011_030 | 1012_030 | |
1004 | 1008_040 | 1010_040 | 1012_030_2 | |||
1005 | 1008_050 | 1010_050 | ||||
1006 | 1010_060 | |||||
1006_2 | 1010_070 | |||||
1007 |
Closing Chapter | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Common | Setsuna | Koharu | Chiaki | Mari | ||||||
2001 | 2011 | 2020 | 2027 | 2301 | 2309 | 2316 | 2401 | 2408 | 2501 | 2510 |
2002 | 2012 | 2021 | 2028 | 2302 | 2310 | 2317 | 2402 | 2409 | 2502 | 2511 |
2003 | 2013 | 2022 | 2029 | 2303 | 2311 | 2318 | 2403 | 2410 | 2503 | 2512 |
2004 | 2014 | 2023 | 2030 | 2304 | 2312 | 2319 | 2404 | 2411 | 2504 | 2513 |
2005 | 2015 | 2024 | 2031 | 2305 | 2313 | 2320 | 2405 | 2412 | 2505 | 2514 |
2006 | 2016 | 2025 | 2032 | 2306 | 2314 | 2321 | 2406 | 2413 | 2506 | 2515 |
2007 | 2017 | 2026 | 2033 | 2307 | 2315 | 2322 | 2407 | 2507 | 2516 | |
2008 | 2018 | 2308 | 2508 | 2517 | ||||||
2009 | 2019 | 2509 | ||||||||
2010 | ||||||||||
Setsuna | Koharu | Chiaki | Mari | |||||||
2031_2 | 2312_2 | 2401_2 | 2504_2 | 2511_2 | ||||||
2031_3 | 2313_2 | 2402_2 | 2507_2 | 2513_2 | ||||||
2031_4 | 2313_3 | 2402_3 |
Coda | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Common | Kazusa (True) | Setsuna (True) | Kazusa (Normal) | ||||||
3001 | 3008 | 3014_2 | 3020 | 3101 | 3107 | 3201 | 3207 | 3901 | 3907 |
3002 | 3009 | 3014_3 | 3021 | 3102 | 3108 | 3202 | 3208 | 3902 | 3908 |
3003 | 3010 | 3015 | 3022 | 3103 | 3109 | 3203 | 3209 | 3903 | 3909 |
3004 | 3011 | 3016 | 3023 | 3104 | 3110 | 3204 | 3210 | 3904 | |
3005 | 3012 | 3017 | 3024 | 3105 | 3111 | 3205 | 3211 | 3905 | |
3006 | 3013 | 3018 | 3106 | 3206 | 3906 | ||||
3007 | 3014 | 3019 | |||||||
Common | Setsuna (True) | Kazusa (Normal) | |||||||
3001_2 | 3210_2 | 3901_2 | 3906_2 | ||||||
3015_2 | 3902_2 | 3907_2 | |||||||
3902_3 | 3907_3 | ||||||||
3904_2 |
Mini After Story and Extra Episode | |||
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The Path Back to Happiness | The Path Forward to Happiness | Dear Mortal Enemy | |
6001 | 6101 | 4000 | 4005 |
6002 | 6102 | 4001 | 4006 |
6003 | 6103 | 4002 | 4007 |
6004 | 6104 | 4003 | 4008 |
6005 | 4004 | 4009 |
Novels | |||||
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The Snow Melts, And Until The Snow Falls | The Idol Who Forgot How to Sing | Twinkle Snow ~Reverie~ | After the Festival ~Setsuna's Thirty Minutes~ | His God, Her Savior | |
5000 | 5100 | 5200 | 5205 | 5300 | 5400 |
5001 | 5101 | 5201 | 5206 | 5301 | 5401 |
5002 | 5102 | 5202 | 5207 | 5302 | |
5003 | 5103 | 5203 | 5208 | 5303 | |
5004 | 5104 | 5204 | 5209 |
Short Stories | |||
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Princess Setsuna's Distress and Her Minister's Sinister Plan | Koharu Climate After the Passing of the Typhoon | This isn't the Season for White Album | Todokanai Koi, Todoita |
7000 | 7100 | 7200 | 7300 |