White Album 2/Script/3001
Speaker | Text | Comment | |||
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Line # | JP | EN | JP | EN | |
1 | 春希 | 「ふぅ…」 | |||
2 | すっかり習慣になった目覚めの熱いシャワーは、 今日も、脳にこびりついた眠気を振り払い、 ついでに体に刺激と温かさを取り戻してくれる。 | ||||
3 | 部屋は寒く、外はまだ暗く、 いくら毎日の習慣と言えども、 この時期の朝はやっぱり辛い。 | ||||
4 | それでも今日は金曜日… あと一日乗り切れば、すぐに心の躍る週末だ。 | ||||
5 | …日曜は出勤だけどな。 | ||||
6 | ……… | .........
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7 | 浜田 | 「お~い北原、昨日頼んだ世論調査の集計…」 | |||
8 | 春希 | 「まとめたものをサーバにアップしてあります。 各世代別の集計結果にコメントもつけました。 …昨夜メールしておいたはずですが」 | |||
9 | 松岡 | 「これ、外注から上がってきた原稿。 校正頼む、8時までに!」 | |||
10 | 春希 | 「…わかりました。 4時から打ち合わせなんで戻ってきてから超特急で」 | |||
11 | 鈴木 | 「ね~ね~北原君。 次回のタウン情報のコーナーなんだけどさぁ、 実は末次町を取り上げようかと思ってるのよねぇ」 | |||
12 | 春希 | 「…ウチの近辺って峰城大以外には結構何もないですよ? まぁそれでも候補は絞り込んでおきますが」 | |||
13 | 木崎 | 「悪い、これ1ページにまとめといて! やり方はいつも通り。 | |||
14 | 木崎 | …うわまずい、約束まであと2時間もない!」 | |||
15 | 春希 | 「…寒ブリの美味い季節ですもんね」 | |||
16 | 木崎 | 「やだな~そんなんじゃないって。 あの先生はマメに催促しないと全然書いてくれなくて… というわけで今日は直帰で~す」 | |||
17 | 春希 | 「これを1ページって…どんだけ削ればいいんだよ」 | |||
18 | 午後3時45分。 | ||||
19 | 開桜社ビル3F。 開桜グラフ編集部。 | ||||
20 | そして、バイトの頃から変わらない日常… | ||||
21 | 株式会社開桜社 開桜グラフ編集部 北原春希 | ||||
22 | 入社一年目。 編集部最年少の、いわゆる下っ端。 | ||||
23 | 松岡 | 「あとさ北原、ちょっといい? この企画書なんだけど、 後でレビューしてくんないかな?」 | |||
24 | 春希 | 「戻ってきてからなら大丈夫ですけど… それより、俺でいいんですか松岡さん?」 | |||
25 | 松岡 | 「頼むよ…まともな意見くれるのお前くらいでさ。 浜田さんはダメなところしか言わないし、 鈴木さんは適当なことばっか言うし…」 | |||
26 | 鈴木 | 「だぁってさぁ、松っちゃんの企画書って、 企画書になってないって言うか~」 | |||
27 | 浜田 | 「まず資料の書き方からしてなっちゃいないからな。 相手に何を伝えたいのかが全然見えてこない」 | |||
28 | 松岡 | 「それって誰も育ててくれなかったからですよ~。 俺も北原みたいに麻理さんの下についてたら…」 | |||
29 | 鈴木 | 「今ごろ入院してるに10万円」 | |||
30 | 浜田 | 「お前の勤務態度で風岡の部下なんかやっていけるか。 ほんっと仕事抱えててもすぐ帰りやがって…」 | |||
31 | 松岡 | 「な? みんな酷いだろ? 頼りになるのは北原だけなんだよ。 伝説の仕事魔神の直系に連なる『風岡二世』のお前しか」 | |||
32 | 春希 | 「…いや、いくらなんでもあの域は遠すぎますって」 | |||
33 | 鈴木 | 「わたしなら耐えられないけどな~。 後輩に手取り足取り指導してもらうなんて」 | |||
34 | 浜田 | 「まぁ言ってやるな。 このプライドのなさも松岡の強みっちゃぁ強みだからな。 それに…」 | |||
35 | 鈴木 | 「それに?」 | |||
36 | 浜田 | 「お前もそろそろそんな余裕かましてられなくなるぞ? 俺から見たら鈴木も北原といい勝負だ」 | |||
37 | 鈴木 | 「うえぇぇっ!?」 | |||
38 | 下っ端…なのになぁ。 | ||||
39 | バイト時代についた[R師匠^まりさん]の評判のせい… というかおかげで、俺を一年目の新人扱いする人は、 もはやこの編集部にはいない。 | ||||
40 | 春希 | 「あの…俺、そろそろ会議に行かないと。 6時には戻ってきますんで」 | |||
41 | 浜田 | 「ええと… アンサンブルの編集長の代理だったっけ?」 | |||
42 | 春希 | 「ええ、雑誌広告の契約の件だそうで。 だからどうしても正社員の同席が必要だって…」 | |||
43 | ついでに、全編集部に勇名を轟かせた 彼女の影響力はさらに絶大なもので… | ||||
44 | どこの編集部に顔を出しても、その『風岡二世』 という合言葉で、気軽に仕事を回してくれる。 | ||||
45 | 鈴木 | 「あそこ編集長以外全部編プロだもんねぇ。 この前、専任の部下が欲しいってブツブツ言ってた」 | |||
46 | 浜田 | 「………あまりいい顔すんなよ北原。 お前が嫌だったら俺が行って断ってきても」 | |||
47 | 春希 | 「問題ないですから! 一年目で異動なんてこっちも御免ですから! それじゃ行ってきます」 | |||
48 | 松岡 | 「ちゃんと帰ってきてくれよ~! 俺、今日は帰らずに待ってるから…8時までは」 | |||
49 | ……… | .........
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50 | 3月に大学を卒業した俺は、 予定調和のうちに、めでたく[R開桜社^バイトさき]に就職した。 | ||||
51 | という訳で、 職場の雰囲気はバイト時代となんら変わることはなく、 新鮮味のない社会人生活を満喫してる。 | ||||
52 | けど、たった一つだけ… それほど小さくない変更点もあった。 | ||||
53 | バイト時代に今の俺の礎を築いてくれた“師匠”は、 北米の関連会社に請われて出向してしまい、 今はただ、その伝説だけを社内に残していた。 | ||||
54 | だから今の俺の目の前には、 今までの『膨大だけど管理された仕事』ではなく、 『膨大かつ無秩序な仕事の山』が積まれている。 | ||||
55 | そして、一応『一年目の新人』のはずの俺は、 その山の中から自分でもできそうな仕事を選別し、 優先度をつけ、自分で管理しつつ進めている。 | ||||
56 | …松岡さんの台詞じゃないけど、 浜田さんはそういうの管理してくれないからなぁ。 | ||||
57 | というわけで今日も、自分の中で優先度の高い… | ||||
58 | というか“初仕事”以来、色々と恩もある アンサンブルの編集長の依頼で、 とあるレコード会社の営業部長と、お金の絡んだ生臭い話。 | ||||
59 | しかし、編集長の名代に一年目の俺を使うなんて… 相手に不快な思いをさせなきゃいいけれど… | ||||
60 | 春希 | 「遅くなりまして申し訳ありません。 私、開桜社アンサンブル編集部の北原と申し…」 | |||
61 | 雪菜 | 「初めまして。 ナイツレコード広報担当の小木曽と申します。 今後ともよろしくお願いいたします」 | |||
62 | 春希 | 「………………………」 | |||
63 | 俺は… | ||||
64 | その、満面の笑顔とともに丁寧に差し出された名刺を、 三分間そのまま放置してしまった。 | ||||
65 | なんという社会人失格… | ||||
66 | ……… | .........
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67 | 春希 | 「やべ…あと5分!」 | |||
68 | 3月に大学を卒業した『俺たち』は、 それぞれ別の、新しい社会へと踏み出していた。 | ||||
69 | 武也は化粧品メーカーの営業職として、 都内の販売店を駆け回ってる。 | ||||
70 | 昔取った杵柄で、女性の扱いに長けているため、 販売員のお姉さんたち(年齢問わず)に人気で、 一年目から結構な評価を勝ち取っているらしい。 | ||||
71 | 未だに特定の彼女なし。 …けれど今は、あれだけ沢山いた不特定の彼女もなし。 | ||||
72 | 大学卒業とともに女性関係を全て精算し、 現在は清廉潔白さを誰かさんに猛アピール中。 | ||||
73 | 誰かさん…依緒は第一志望だった スポーツ用品メーカーに就職した。 | ||||
74 | 企画職を希望してたけど、なかなか競争率が高いらしく、 今は人事部で事務仕事に忙殺される毎日だとか。 | ||||
75 | そのさっぱりした性格とそれに見合った容姿で、 職場の男女問わず人気が高いのは相変わらず。 | ||||
76 | けれど恋愛に興味がなさそうなのも相変わらず。 こっちもやっぱり特定の彼氏なし。 | ||||
77 | だからあいつにとってはチャンスはあるとも言えるし、 一体何年この状態を続けるんだよと言えたりもする。 | ||||
78 | そして… | ||||
79 | ナイツレコード新人広報、小木曽雪菜。 | ||||
80 | あの、バレンタインコンサートを経て、 これからも歌に関わっていく道を模索した結果、 雪菜が選んだ中堅どころの音楽メーカー。 | ||||
81 | 四年になってからの進路決定だったことと、募集が少なく 競争率の高い業界だったことで不安もあったけど、 それでも見事に激烈な競争を勝ち抜いた。 | ||||
82 | それもこれも、学歴と面接での評価もさることながら、 多分、わかりやすく目に見える力が 大きく働いたんだと思う。 | ||||
83 | その証拠に、入社とともに広報に配属され、 関係各社との渉外担当という重責をいきなり任された。 | ||||
84 | もちろん、会社が期待してたのは、 本来の意味での交渉能力ばかりではなく… | ||||
85 | 『ナイツさんの広報に凄い可愛いコ入ったんですよ!』 | ||||
86 | 『最初、所属タレントかと思ったくらいでさ』 | ||||
87 | 『何度も誘ってんだけどこれがまたガード固くて…』 | ||||
88 | …俺にこんなことを熱く語った同業者は、 一人や二人じゃなかった。 | ||||
89 | そんなふうに、アーティストにはなれない環境で、 しかも、別段なる気もなく… | ||||
90 | けれど、常に歌に触れていられる職場で、 彼女は生き生きと毎日を過ごしてる…らしい。 | ||||
91 | 春希 | 「た、ただいまっ!」 | |||
92 | そして今、その噂の美人広報は… | ||||
93 | 雪菜 | 「ちょっとぉ、遅いよ~! 時間ぎりぎり~!」 | |||
94 | 俺の部屋で、遅めの晩飯を作っていたりした。 | ||||
95 | 春希 | 「はぁ、はぁ、はぁ…わ、悪…っ」 | |||
96 | 雪菜 | 「ほうら、ちょうど今、土曜になっちゃった…」 | |||
97 | 春希 | 「…悪、い」 | |||
98 | 雪菜の指し示した先には、 0時を指している俺の部屋の目覚まし時計。 | ||||
99 | 時々、俺の部屋から出勤する雪菜が、 自分の朝の弱さを克服するために買ってきた スヌーズ機能つきの優れものだったりする。 | ||||
100 | 雪菜 | 「先週は春希くんが土日出勤だったから、 危うくルール違反だったんだよ?」 | |||
101 | 雪菜 | 『誓う? 必ず一週間に一度は会うって!』 | |||
102 | 雪菜 | 先週会ったのは金曜で、 しかもその日のうちに家に帰したから、 確かに金曜中に会わないと約束が果たされなかった。 | |||
103 | 雪菜 | けど… | |||
104 | 春希 | 「つ…ついさっき、会ったじゃん…っ、 [R開桜社^ウチ]の会議室で、さぁ」 | |||
105 | 雪菜 | 「あれは『ナイツレコードの小木曽』であって、 『春希くんの雪菜』ではありませ~ん」 | |||
106 | 春希 | 「………はぁ、はぁ」 | |||
107 | 呆れてため息をつこうにも、 さっきまでの全力疾走が邪魔をする。 | ||||
108 | 雪菜 | 「春希くん、だんだん一週間ルールに対して いい加減になってきてるよ… 先月だって二度も破りそうになるし」 | |||
109 | 春希 | 「い、いや、だからそれは…っ」 | |||
110 | ついでに、雪菜の理不尽な憤慨が邪魔をする。 | ||||
111 | とはいえ雪菜だって、 本当は仕方ないことだと絶対にわかってる。 だって二人とも、もう社会人なんだから。 | ||||
112 | 松岡さんに頼まれた校正を終わらせて、 鈴木さんに頼まれた調べものをチェックして、 木崎さんに頼まれたレイアウトを…日曜に回して。 | ||||
113 | それで10時から、松岡さんの企画書を、 浜田さん、鈴木さんと三人がかりでレビューして、 なぜか俺が修正することに。 | ||||
114 | 松岡さんの『お疲れ~』の挨拶が、 ちょっとだけ不条理に感じた午後11時。 | ||||
115 | 仕方ない…よな? | ||||
116 | 雪菜 | 「やっぱり、付き合いが長くなるにつれて、 わたしのこと飽きてきちゃったのかなぁ? だとしたらわたし、もう立ち直れないかも…」 | |||
117 | 春希 | 「そ、そんなわけ…」 | |||
118 | 雪菜 | 「ない、なんて言い切れる? わたしのこと、まだ好きだって…」 | |||
119 | 春希 | 「言い切れるに…決まってるだろ?」 | |||
120 | 雪菜 | 「っ…ぁ、 春希、くん…」 | |||
121 | そんな、ちょっとだけ後ろめたいことがあったとしても… | ||||
122 | 雪菜のこと、飽きてないのかとか、 まだ好きなのかって質問に対しては、 『当たり前だ』って言い切れるに決まってる。 | ||||
123 | 春希 | 「ん、ふぅ…はぁ、ぁ、ぁ… 雪菜…はぁぁ…ん、すぅぅ…」 | |||
124 | いつの間にか聞こえてくるのは愚痴ばかりで、 包丁の音が途絶えていたのをいいことに、 料理“中断”中の雪菜を、背中から抱きしめる。 | ||||
125 | 雪菜 | 「ん、もう… すぐそうやって…誤魔化そうとするぅ」 | |||
126 | だって、拗ねてる雪菜はこんなにも魅力的で… | ||||
127 | 飽きるとか、軽んじるとか、馴れ合うとか、 そんな勿体ない態度、あり得ない。 | ||||
128 | …いや、最後のはいい意味でアリかもだけど。 | ||||
129 | 春希 | 「はぁ、ぁ…ん…ふぅぅ…」 | |||
130 | 雪菜 | 「春希くん…熱いよ」 | |||
131 | 春希 | 「駅からずっと走ってきたから…」 | |||
132 | どこが熱くなってるのかは、 敢えて確認しないことにした。 | ||||
133 | 雪菜 | 「…約束、守るため?」 | |||
134 | 春希 | 「それもあるけど… 一秒でも早く、雪菜とこうしたかったから」 | |||
135 | 雪菜 | 「あ…んっ」 | |||
136 | 雪菜の背中に、全身をぴったりくっつける。 | ||||
137 | 髪に顔を埋め、その甘い香りを荒い息とともに吸い込み、 柔らかい背中に、ぎゅっとお腹をくっつけて、 かかとには爪先を、太股の裏には太股を、膝の裏には膝を。 | ||||
138 | 雪菜 | 「はぁぁんっ、あ、ちょっ…春希、く…っ」 | |||
139 | そして、お尻には… | ||||
140 | 春希 | 「はぁ、ぁ、ぁぁ… せ、雪菜…雪菜ぁ」 | |||
141 | 飽きるわけ、ない。 それどころか、想いも欲情も深化していくばかり。 | ||||
142 | もう、行き着くところまで行かないと、 治まりようがないくらいに。 | ||||
143 | 雪菜 | 「はぁ、はぁ、あ、あぁ…は… あ、んっ、ん、くぅ…や、ねぇ、ちょっ…ふぅんっ」 | |||
144 | それは、雪菜だってきっと… | ||||
145 | 春希 | 「雪菜…もう、俺」 | |||
146 | 雪菜 | 「は、あ、あぁ………っ! ちょっ、やめて春希くん!」 | |||
147 | 春希 | 「あ…」 | |||
148 | と、思ったんだけどなぁ。 | ||||
149 | 雪菜 | 「…ゴハン、もうできてるから。 早く食べようよ」 | |||
150 | 春希 | 「………駄目?」 | |||
151 | 雪菜 | 「駄目」 | |||
152 | 十分に高まってしまっていた俺とは対照的に、 雪菜の方は冷静に俺を押し留める。 | ||||
153 | 春希 | 「でも俺、今は飯より…」 | |||
154 | 雪菜 | 「ううん、今は晩ゴハン」 | |||
155 | 春希 | 「雪菜…」 | |||
156 | 最初は、確かに誤魔化しの意味もあった。 | ||||
157 | けれど今は、もう雪菜への色んな感情が溢れ出し、 我慢できないところまで行ってしまっていた。 | ||||
158 | 雪菜の方こそ… 俺がこんなに思いを募らせてるってのに… | ||||
159 | 雪菜 | 「だって、ゴハンは今食べないと冷めちゃうんだよ?」 | |||
160 | 春希 | 「それは…」 | |||
161 | 雪菜 | 「けど、わたしはいつ食べても、熱いままなんだよ?」 | |||
162 | 春希 | 「確かにそうだけ………ぇ?」 | |||
163 | 雪菜 | 「………ね?」 | |||
164 | なんて、頭の中が残念な思いでぐるぐる回ってたから… | ||||
165 | 俺は危うく、そのオチを聞き流すところだった。 | ||||
166 | ……… | .........
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167 | 雪菜 | 「ん…ちゅ、ぷ…は、あむ、むぁ…は、ぁぁ、ん」 | |||
168 | 春希 | 「ん、んむ…」 | |||
169 | 雪菜 | 「は、あぁ…ちゅぅぅ…ん、んく…んぷっ、 あ、あ、あ…はむ…むぁ、ぁぁぁ…っ、 は、春希、くん…」 | |||
170 | 春希 | 「せ、つな…ぁぁ…ん、んむ…はぁ、ぁ…」 | |||
171 | 雪菜 | 「も、もう…っ、 だからって、食欲を満たしたら、すぐ性欲?」 | |||
172 | 俺たちがこうしてベッドで睦みあっている今は、 ごちそうさまをしてから5分も経っていなかった… | ||||
173 | 春希 | 「駄目、かな? ん、ちゅ…んむぅ…」 | |||
174 | 雪菜 | 「や、んっ… は、春希くんって…さっ、 みんなが思ってるよりも、ずっと…えっちだよね?」 | |||
175 | 首筋に唇を押しつけ、 雪菜の匂いと味を堪能している俺に、 雪菜の容赦ない評価が舞い込む。 | ||||
176 | 春希 | 「幻滅…した?」 | |||
177 | 雪菜 | 「ううん… だって、ずっと前から知ってたし。 はぁぁ、ぁぁ…ん、くぅ…っ」 | |||
178 | けれど俺は、そんな酷評にもめげることなく、 雪菜を責める唇を、舌を、手を、足を止めることはない。 | ||||
179 | 俺に身体を預ける雪菜を全身で抱きとめ、 柔らかな胸を力強く揉みしだく。 | ||||
180 | 春希 | 「雪菜だって…えっちだろ?」 | |||
181 | 雪菜 | 「あ、あ、あ、あ、あっ… や、ひどい…今、しびれたよぅ」 | |||
182 | 乳首を指先で引っ掻くように刺激すると、 全身を震わせながら、そこを固くする。 | ||||
183 | 雪菜 | 「ひゃぅぅんっ、ん、ん、ん~っ、 あ、や、きもちい…ぃぅんっ… う、うん………わたしも、えっちだ、ね」 | |||
184 | 春希 | 「ま…ずっと前から知ってたけど。 ん、ちゅぅ…は、あむ、む、ぅぅ」 | |||
185 | 雪菜 | 「はぁぁぁんっ、ん、くぅ…や、ぁんっ、 は、春希く…んぅ…ん…ん~っ、くぷ… ちゅぅぅぅ…あ、んむ…ん、んぅぅ…」 | |||
186 | 俺が無理やり横を向かせて強く唇を吸うと、 吸い出されるように舌を俺の口中に流し込み、 激しく動かして互いの快感を刺激する。 | ||||
187 | 春希 | 「せ、雪菜…あ、ぁぁ…んむ、ちゅ、ぅぅ…」 | |||
188 | 雪菜の両脚は、俺の両脚に内側から押し出されて、 大きく割り開かれていた。 | ||||
189 | 下着の中心がぷっくりと盛り上がり、 傍目に見たら、これがあの雪菜とは信じられないくらい、 はしたなくていやらしい格好だった。 | ||||
190 | 雪菜 | 「あぁぁぁ…んんっ、ん、くぅっ… あ、やぁぁ…きもち、い…んっ、んぅ…」 | |||
191 | タイツの繊維に沿って太股を上下に撫でさすると、 ぴんと張った太股の肉がぷるぷると震え、 俺の手のひらに快感を伝えてくる。 | ||||
192 | 柔らかくて滑らかなその手触りを堪能するように、 ゆっくりと、そして強弱をつけて、 太股から膝頭、ふくらはぎへと手を進める。 | ||||
193 | 雪菜 | 「は、春希、く…ぅぅんっ、ん、や、はぁっ… あ、だ、め…わ、わたし…お、下ろし…ぃぅんっ」 | |||
194 | 両の足が浮かされているせいで踏ん張れない雪菜が、 不安そうな声を響かせる。 | ||||
195 | …けれど、その震える声のそこかしこに、 期待に満ちた響きが含まれるように思えるのは、 単なる俺の誇大妄想だろうか? | ||||
196 | 春希 | 「もっと声、たくさん聞かせて…」 | |||
197 | 手のひらで、ふくらはぎと脛を何度も往復させ、 そのまま足の甲、指先へとさらに伸ばす。 | ||||
198 | 雪菜の足の指は、きゅっと握り込まれ、 可愛らしく縮こまっていた。 | ||||
199 | 雪菜 | 「で、でも………お隣っ、 も、もう、夜勤じゃなくなっちゃったって…」 | |||
200 | 春希 | 「大丈夫だから… 気持ちよかったら、気持ちいいだけ声、出して」 | |||
201 | その、雪菜の足の指先を俺の手で包み込み、 やわやわと揉むように温める。 | ||||
202 | 爪先も、かかとも、足裏も、 ずっと立ち仕事してたせいか少し冷たかった。 | ||||
203 | 雪菜 | 「だ、だめだよぅ… だって…わたしの“あのとき”の声、 おっきいって、春希くん…」 | |||
204 | 春希 | 「お隣さ… 先月末に転勤で引っ越しちゃって、今は空き部屋」 | |||
205 | 雪菜 | 「そ、それ…早く言ってよぅ…っ! あっ、あ、あ、あ、あああああ~っ!」 | |||
206 | その瞬間、声の高さも音量も一気に跳ね上がった。 | ||||
207 | こんなにも素直な雪菜が、 あまりにも愛おしい。 | ||||
208 | 雪菜 | 「あっ、あっ、あ~っ、 あぅぁぁんっ、ぃぅっ、ふぁぁんっ、ん、く…」 | |||
209 | 足の裏をくすぐるように愛撫すると、 雪菜の全身がびくびく反応する。 | ||||
210 | それは、俺の指に摘まれた乳首のせいかもしれないし、 俺の舌に蹂躙されてる耳の穴のせいかもしれなかった。 | ||||
211 | それだけ、俺の全身が雪菜に絡みつき、 身体中のどこにも触れてないところがないくらい、 激しく包み込んでいる証拠。 | ||||
212 | 雪菜 | 「あぁぁぁぁっ、や、はぁんっ、ん、く… は、春希、くん…あ、あぁ…ぁぁぁ…」 | |||
213 | 春希 | 「ん、ん…はぁ、あ、んっ…」 | |||
214 | 雪菜は、もう隠さない。 | ||||
215 | 必死で口を押さえていた手をどけて、 激しい息遣いも、高く響く声も、舌と唾液の奏でる音も、 全てを、かつて静かだった空間の中にさらけ出す。 | ||||
216 | 雪菜 | 「いい、う、うぅんっ、ああああっ、あ~っ! き、もち、いぃぃ…よ、ぉ…は、春希、くぅん…っ」 | |||
217 | 春希 | 「雪菜…ぁ」 | |||
218 | かかとからふくらはぎ、そして膝裏へ… ナイロンの感触と肉の弾力を指先と手のひらで堪能し、 少しだけ力を込め、その弾力に抵抗してみる。 | ||||
219 | タイツ越しの雪菜の足の肌は、俺の手に吸いつき、 無意識のうちに、中心へと誘っていく。 | ||||
220 | …太股から、さらにその真ん中へと。 | ||||
221 | 雪菜 | 「あ、あ、あ…ああああんっ! い、ふぅっ、ふ、あ、あ…ひぅぅぅぅっ」 | |||
222 | 春希 | 「あ…」 | |||
223 | そこに触れた瞬間… | ||||
224 | 今までの温かさとは別種のあまりの熱さに、 思わずその場で指先が止まってしまう。 | ||||
225 | 春希 | 「雪菜………これ」 | |||
226 | 雪菜 | 「い、言ったじゃない… わたしは、いつでも熱いままだよって… う、ん、あ…あぁぁぁ…ふぁぁぁぁっ」 | |||
227 | 雪菜は、恥ずかしそうではあったけど、 決して否定はしなかった。 | ||||
228 | そこが、すでに下着を通り越して タイツにまで染みを作っているという事実を。 | ||||
229 | 春希 | 「もっと…開いて」 | |||
230 | 雪菜 | 「う、ん………はぁ、ぁ… あ、あ…ぃぅぅんっ、ん、くっ… はぁ、はぁ、はぁぁぁ…ん、くぅ」 | |||
231 | 雪菜の両脚を、今まで以上に割り開くと、 そこは今まで以上に膨れ上がり、 染み出した液が灯りに照らされ、てかてかと光る。 | ||||
232 | 雪菜 | 「はぁぁぁぁっ、あ~っ、あ、ああ… い、つぅっ、ん、んく…ふぁぁ…っ」 | |||
233 | そこの中心に人差し指を押し込むと、 タイツもショーツも巻き込み、 雪菜の中心へと、第一関節くらいまで埋め込まれる。 | ||||
234 | 春希 | 「あ、あ…ぅぁ、ぁぁ…っ」 | |||
235 | たったそれだけで、俺の指先は強く締めつけられ、 熱さと滑らかさが快感となって全身に流れ込み、 どんどん俺の我慢を奪っていく。 | ||||
236 | こんなもどかしい行為じゃなく、 もっと直接的な欲求に、脳を支配されていく。 | ||||
237 | 春希 | 「せ、雪菜…っ」 | |||
238 | 雪菜 | 「あ、あぁ… は、春希くんのも…熱…っ」 | |||
239 | 雪菜のお尻の下の俺のものが、 徐々に雪菜の尻肉を持ち上げていく。 | ||||
240 | 俺は、自らの激情に身を委ね、 けれど一気に決着をつけるにはこの状況が名残惜しくて… | ||||
241 | 雪菜のスカートをまくり上げると、 その中心へと、直接指を触れていく。 | ||||
242 | 雪菜 | 「ひゃっ…あああああああああっ!」 | |||
243 | そこに指を差し入れた途端、 じゅぷ、という粘ついた音とともに、 灼けるような熱さと締めつけが俺を歓迎してくれる。 | ||||
244 | 先程までの滑らかな手触りと異なり、 粘つく穴から次々と湧き水が垂れ流され、 ひくひくと蠢く入り口が、逆に指を呑み込む。 | ||||
245 | 雪菜 | 「うぁぁ、あっ、あぁ、ああんっ、は、あ、あぁ… はぁっ、はぁっ、はぁぁっ…い、いあ、やぁぁ…」 | |||
246 | 下着が、俺の手の形に盛り上がり、 もぞもぞと形を変えるさまが俺の目に入り、 そこから脳に伝わり、欲情へと変換される。 | ||||
247 | 自分がしているのに、 まるで雪菜にさせられているような、 そんな都合のいい妄想に囚われる。 | ||||
248 | 雪菜のなかに埋め込んだ指は、 いつの間にか根本まで熱さに包まれ、 内壁の収縮や振動が全て伝わってくる。 | ||||
249 | このまま食いちぎられたら どれだけ気持ちいいだろうかとか、 また、倒錯した妄執が頭をもたげる。 | ||||
250 | 雪菜 | 「あ、あ、あ…あああああっ、 い、いぅっ、は、春希くん…や、そん…ひぅぅっ、 い、い…んん~っ、あ、はぁぁぁんっ!」 | |||
251 | けれど俺の指は、そんな俺の想像に抵抗して、 雪菜のなかを縦横無尽に暴れ回る。 | ||||
252 | 指を曲げて、雪菜の下腹部をなかから擦り、 激しく出し入れして溜まっていた液を掻き出す。 | ||||
253 | そうするたびに、そこは更にきつく締まり、 けれど漏れ出すのを止められずに、 下着をとろとろにぬめらせていく。 | ||||
254 | 雪菜 | 「ああっ、ああっ、あああっ… や、だ、だめ…いやぁ…はぁぁぁっ、 そん、な…強…うぅぅんっ」 | |||
255 | 何度も何度も身体を重ねて開発していった。 雪菜の弱いところを一つずつ見つけていった。 | ||||
256 | そうして一緒に覚えていくたびに、 雪菜は喘ぎ、泣き、震え、引きつらせ、弛緩し… そして、溢れさせていった。 | ||||
257 | えっちに…なっていった。 | ||||
258 | 雪菜 | 「あ、あ、あ…ああああっ、はぅっ、あ、うぁ… も、もう…いいよぉ、そんなに…しないでいいよぅ。 わ、わた、わたし…いっしょが、いいよぉ」 | |||
259 | まだ指だけで、しかも入れたばかりなのに、 雪菜はもう、何度か軽く達してるっぽかった。 | ||||
260 | 無意識なのか誘ってるのか、 俺の指が収まってるところを中心に下半身を蠢かせ、 その下にある俺の中心をお尻の谷間に挟み、刺激する。 | ||||
261 | 雪菜の身体から、汗だけとは思えない匂いが漏れる。 胸一杯に吸い込むことで、俺を狂わせる麻薬の香り… | ||||
262 | 雪菜 | 「はぁ、あ、あぁぁ…だ、だめ、だめぇ… ね、ねぇ、春希くぅん…もう、もう…ね?」 | |||
263 | 春希 | 「雪菜…ぁ」 | |||
264 | 匂いだけじゃなく、そのかすれた声も。熱い吐息も。 | ||||
265 | 俺の方を振り返った、その涙と唾液まみれの表情も。 | ||||
266 | 何もかも、俺の中の全ての欲望を喚起して、 その塊をただひとところに集中させていく。 | ||||
267 | 雪菜 | 「あっ…あぁ…熱… は、春希くんの…かたち…あ、あぁ、ぅぁぁんっ、 ん…ね、ねぇ…ねぇ…っ」 | |||
268 | 春希 | 「は、あ、あぁ…っ」 | |||
269 | 雪菜が、もう一度悩ましくお尻をくねらせる。 | ||||
270 | 互いの下着に隔てられた 互いの大事な部分が呼び合ってる。 | ||||
271 | 雪菜のなかから染み出した液と、 俺の先から漏れ出た液で繋がっていく。 | ||||
272 | 雪菜 | 「はぁ、はぁ、ぁぁぁ… い、いいよね、もう…ね? 春希くん…あ、あぁぁ…あんっ」 | |||
273 | 春希 | 「なに、が…?」 | |||
274 | 雪菜 | 「い、じわる…ぅぅ… ぅぅんっ、あっ、や、あ、あああ… あああんっ、んっ、ん、くぅぅ…っ」 | |||
275 | 『いいよね?』の先を、雪菜に言わせたい。 | ||||
276 | 何がいいのかを、何をして欲しいのかを、 雪菜の表情から、雪菜の声から伝えて欲しい。 | ||||
277 | そしたら俺は… | ||||
278 | 雪菜 | 「い、い………して」 | |||
279 | 春希 | 「っ…」 | |||
280 | 雪菜 | 「して…してぇ… わたしに…なかに…たくさん…もっと… すごいこと、してぇ…っ」 | |||
281 | 春希 | 「せつ、な…っ」 | |||
282 | 雪菜 | 「ああぁぁぁっ…あ、ぁぁんっ」 | |||
283 | そして今の雪菜は、 俺のそんな身勝手ではしたないお願いも、 ちゃんと受け止めてくれる。 | ||||
284 | 俺を興奮させ、自分も興奮して、 一緒に高めあい、一緒にもっとえっちに… | ||||
285 | 雪菜 | 「は、春希く…あ、あぁ…うぁぁぁぁ…っ」 | |||
286 | 雪菜のなかから引き抜くと、 そのままタイツとショーツに両手をかけて引きずり下ろす。 | ||||
287 | ようやく地に着いた足を踏ん張って、 雪菜が俺から腰を浮かせてくれる。 | ||||
288 | 俺の目の前に、雪菜の白くて丸いお尻の肌が、 ようやく晒される。 | ||||
289 | 雪菜 | 「あ、あ、あ…ぁぁぁ…」 | |||
290 | その時には、既に俺も下着を脱いでて、 固くそそったものが雪菜のお尻に直接挟まれる。 | ||||
291 | その熱さと感触に、雪菜が感嘆の声を漏らし… | ||||
292 | 雪菜 | 「あ…? え、あ、ぁぁ…っ、 や、まだ…ああああああああっ!」 | |||
293 | 俺はもう、ゆっくりと雪菜を剥くことができずに、 脱がせた途中のままで入り込んでいく。 | ||||
294 | 雪菜 | 「ふぁぁっ、ああっ、あんっ… あ、あ、あ…やだ、わたし、動けな…っ、あああんっ」 | |||
295 | 俺の上で、両脚の自由を奪われた雪菜が、 もどかしそうに足をばたばた揺らす。 | ||||
296 | 春希 | 「っ…あ、ぁぁ…」 | |||
297 | その刺激が結合部に伝わり、 二人の快感を増幅させていく、 悪いんだかいいんだかわからないスパイラル。 | ||||
298 | 雪菜 | 「あっ、あっ、あっ、あ…ぁぁ… は、春希くん…お、重く、ない?」 | |||
299 | そんな凄い格好で繋がってるのに… | ||||
300 | 俺に無理やりそんな格好をさせられてるのに、 それでも雪菜は俺の方を心配してしまう。 | ||||
301 | 春希 | 「あ、あぁ…う、んっ… く、くぅ…ぅぁ…」 | |||
302 | 雪菜 | 「はぁっ、ああっ、ああんっ、んぅぅっ… は、はぁ…あ、くふっ…う、ぅぅ…ん」 | |||
303 | 不安定な格好のまま抱え上げてるから、 あまり速くは動けない。 | ||||
304 | 雪菜の全身をゆっくりと引き上げ、 軽く力を抜き、もう一度奥まで差し込む。 | ||||
305 | そこに、雪菜がもどかしそうに体をよじる動きが加わり、 もどかしくも、心地良い刺激となって伝わる。 | ||||
306 | 雪菜 | 「あ、あん、ん、く… あぁ、ぁぁぁ…はぁ、んっ、んっ、んっ…」 | |||
307 | ようやく、その不自由さに慣れてきたらしい雪菜が、 俺と呼吸を合わせて、リズミカルに腰を動かし始める。 | ||||
308 | 春希 | 「う、く、ぁ…あぁ…雪菜、ぁ」 | |||
309 | 俺が力を抜いたタイミングでお尻を揺らし、 きゅっと中を締めるように刺激を与えてくれる。 | ||||
310 | 雪菜 | 「はぁぁ、ん、んぅ…あぁぁ…今、おく… ふぅぅんっ、ん…あぁ…ぁぁぁ…はぁぁぁぁ~」 | |||
311 | 俺のものを胎内で感じ取り、 突き刺さるたびに高い声で喘ぎ、 抜かれるたびに感嘆のため息を漏らす。 | ||||
312 | 俺を、全身全霊で感じてくれてる。 | ||||
313 | 春希 | 「ん、く…ぅぁ、あぁぁっ」 | |||
314 | だから俺も、全身全霊で雪菜を感じる。 | ||||
315 | 中に埋まってるときの秘肉の 温かさと柔らかさと熱さときつさ。 | ||||
316 | 引き抜いたときの、 名残惜しそうにめくれ上がるヒダと潤滑液。 | ||||
317 | 雪菜 | 「んぅぅぅっ、んっ、んっ、ん~っ! は、ふぁ、ふぅぅ…はぁ、あ、あんっ…」 | |||
318 | たぷりと揺れる形のいい胸。 柔らかなお腹。 張りのある太股。 | ||||
319 | 汗いっぱいで、滑らかに俺の胸でこすれる背中。 ふわりと鼻腔をくすぐる髪と、その香り。 俺の全身に心地良い熱さを伝える、火照った肌。 | ||||
320 | 雪菜 | 「あぁぁぁっ、ああんっ、ん…ふ、ぅぅ… んっ、く、くぅ…あ、は、はぁぁ… 春希くん…春希、くぅん…っ」 | |||
321 | また俺、雪菜とセックスしてる… | ||||
322 | 一番幸せを感じる瞬間を、雪菜にもらってる… | ||||
323 | 春希 | 「せ、雪菜…あ、ぁぁ…ぅんっ…」 | |||
324 | 雪菜 | 「わ、わたし、わたし… ふぁぁぁ…あ、ああ…や、いい…いい、よ…」 | |||
325 | 春希 | 「俺、も…う、ん…うん…」 | |||
326 | 雪菜の吐息からも、喘ぎ声からも、 この格好じゃ見えないけれど、その表情からも。 | ||||
327 | 雪菜からも、幸せを感じ取れる。 そして彼女の幸せが、俺を幸せにする。 | ||||
328 | 多分、雪菜の方も同じ… | ||||
329 | 雪菜 | 「んっ、んっ、んぅっ… は、ぁぁ、あは…んっ、んぅ…くぅ…ぁ、ぁぁ…」 | |||
330 | ずっと、こんな幸せに浸っていたい。 | ||||
331 | これからも、一生… | ||||
332 | 春希 | 「もっと…動いて、いいか?」 | |||
333 | 雪菜 | 「う、ん… もっと…して。 優しくても、激しくても…どっちも、大好き」 | |||
334 | 春希 | 「っ…」 | |||
335 | 雪菜 | 「あっ…あぁぁぁ…っ」 | |||
336 | そんな幸せな言葉を聞かされたら… もう、止まれるわけなんかない。 | ||||
337 | ……… | .........
| |||
338 | 雪菜 | 「ああああっ、ああっ、あぁぁぁんっ! はぅっ、はっ、あ…あぅぅぅんっ、ん、ん~っ!」 | |||
339 | 雪菜の激しい喘ぎ声が部屋中に響き渡る。 | ||||
340 | 今までは、隣に気を使って抑えてたってことが ハッキリとわかるほどに、いつもと違ってた。 | ||||
341 | 雪菜 | 「はぁ、あ、春希、く…んぅ… ちゅぷ…ん、ん~っ、ん、んぅ…ちゅぅぅ…」 | |||
342 | 春希 | 「は、あ、んむ…れろ…あ、ん、んむぅ…」 | |||
343 | 雪菜 | 「んぷ…あ、あむ…んぷ…ぇろ…は、あぁ…んっ… ぷぁっ…あ、ああ、あああんっ、んぅっ、ん~っ! ああああっ、やぁぁんっ、い、や、くぅぅっ」 | |||
344 | 唇を塞いで声を抑えようとしても、 結局離れた途端に元の木阿弥となってしまう。 | ||||
345 | 隣はいいけど…もしかしたら下の階にまで 聞こえてるかもしれないな。 | ||||
346 | …後でそれを指摘したときの、 雪菜の狼狽ぶりがある意味楽しみだけど。 | ||||
347 | 雪菜 | 「いっ、いんっ、ひぅっ、うぁぁ…あ、お…あぁ…っ、 ん、く、くぅっ…や、あんっ、んむっ、ん、ふぁぁぁっ」 | |||
348 | 自由になった両脚は結局俺に拘束され、 大きく押し拡げられ、 さっきよりもはしたない格好にさせられて。 | ||||
349 | 俺の欲望の赴くままに激しく出し入れされ、 雪菜は泣きそうな表情で、泣きそうな声を振り絞る。 | ||||
350 | 雪菜 | 「いぅぅぅっ、う、ん~っ、は、あぁ、あんっ、 ああっ、ああっ、ひぁぁぁっ、や、やぁ、やぁぁ… こんな…はげしっ、いあぁぁっ、あ、あ~っ!」 | |||
351 | それがまた、たまらなく愛おしく、 たまらなく嗜虐心をそそり、腰が止まらなくなる。 | ||||
352 | 春希 | 「ぅぁっ、あっ、あぁ…っ、 はぁ、はぁ、はぁぁ…ん、んむ…」 | |||
353 | 雪菜 | 「んぷっ…あ、あむ…ちゅぅぅ…っぷ、ぷあぁっ、 は、ん、んむ…ぇろ…あむ…んく、ん、くぅぅ… あぷ…は、はっ、あむぁ…ちゅぅぅぅ…ぅ…っ」 | |||
354 | 雪菜が俺の頭に手を回し、 無理に自分の頭を捻るように顔を寄せ、 俺の唇と舌と唾液を求める。 | ||||
355 | もちろん俺も、そんな願ってもないおねだりに全力で応え、 雪菜の口の中の味を、全身全霊で味わう。 | ||||
356 | 甘くて、温くて、柔らかくて… 多分、俺は蕩けそうな表情で飲み込んでいるんだろう。 | ||||
357 | 雪菜 | 「んぅっ、んぷ、あ、む、むぅぁ…あ、あむ… ちゅぷ…は、あ、ぁぁ…はぁぁぁぁ~」 | |||
358 | …目の前の雪菜と同じように。 | ||||
359 | 春希 | 「はぁ、は、あっ…く、ぅぅ…」 | |||
360 | 雪菜 | 「いぃぃんっ、ん、んぷ…ぷぁっ… はぁっ、あっ、あ~っ! はぁぁぁんっ、あぁ、あぁぁんっ…」 | |||
361 | 唇を離し、今度は自分の意識を下半身に集中する。 | ||||
362 | 雪菜に突き刺してる俺の先端を、 もっと激しく、もっと鋭くえぐっていく。 | ||||
363 | 雪菜からこぼれ出た粘液が結合部を浸し、 ぴちゃぴちゃと、いやらしくも熱い音を立てる。 | ||||
364 | 雪菜 | 「あああああっ、ああっ、あ~っ! だ、だめ、もう…もう…っ、ん、ん~っ、 は、はぁ、ぁぁぁ…春希く…ぅぅぅんっ、んっ…」 | |||
365 | 雪菜が、激しく感じてる。 | ||||
366 | もう、俺がどんなに激しくしても、 心と身体の奥底から受け入れて、 それを大きくうねる快感として表現してくれる。 | ||||
367 | 身体を繋げば、心も繋がる。 心を繋げば、身体が繋がってるように感じられる。 | ||||
368 | 俺たちは、そんな領域にまできてるから。 | ||||
369 | 雪菜 | 「ひゃぁっ、あぁんっ、あっ、いぅっ、ん、ん… はぁ、はぁ、はぁぁ…あ、も、や、はぁぁ…あぁぁっ」 | |||
370 | 春希 | 「せ、雪菜…雪菜、ぁ…」 | |||
371 | そんな幸せの感触を全身に浴びせられ、 俺の導火線にはもうとっくに火がついていた。 | ||||
372 | 後は…もう時間の問題。 止めることなんか、できるわけもない。 | ||||
373 | 雪菜 | 「いいの? 春希くん、いいのぉ? あ、あぁっ、あんっ、ん、んく…ふぁぁ…」 | |||
374 | 春希 | 「せ、雪菜…雪菜…は?」 | |||
375 | 雪菜 | 「わ、わたしなんか…わたし、なん…っ、 あああんっ、だめ、だめぇ… もうとっくに…いっちゃってる、よぉ…っ」 | |||
376 | 指で弄ってたときも軽くは達してたけど、 今も何度か、いきなり凄い勢いで締めつけてきてた。 | ||||
377 | 多分、もう二回くらいは… | ||||
378 | 春希 | 「な、なら…俺、も…っ」 | |||
379 | 雪菜 | 「くるの? ねぇ、春希くんも…? はぁっ、あっ、ああんっ、う、うん…きて… わ、わたし…いいから…ぁ、あ、あっ…」 | |||
380 | そんな雪菜の恥を忍んだ告白に、 俺は、限界を突破することで応える。 | ||||
381 | …雪菜を、この体の中に抱きしめて。 | ||||
382 | 雪菜 | 「ああっ、んっ、んく…はぁぁんっ、 い、いい…もう、はっ、はっ、はぁぁっ… あああああ、あ、ああ…あぁぁんっ」 | |||
383 | 春希 | 「はぁ、あ、あ…あああ…ああああ…っ」 | |||
384 | 最後の力を振り絞り、 今までよりも更に激しく、雪菜を突き上げる。 | ||||
385 | 雪菜の奥を先っぽで叩き、 抱え込む腕に力を込め、 その柔らかい全身と胎内に俺を刻み込むように… | ||||
386 | 雪菜 | 「春希くん、春希くん…はぁぁっ、あんっ、 あんっ、あんっ…やぁぁぁ…い、いやぁ… だ、だめ…また、また、きちゃうよぉ…っ」 | |||
387 | 春希 | 「う、ん…俺も…もう…もう…っ」 | |||
388 | 雪菜 | 「い、いっしょ、に…はぁぁぁっ、 ああああっ、あっ、あ~っ! きて、きて、きてぇ…は、春希く…ああああっ」 | |||
389 | 春希 | 「く、ぅ…雪菜…あ、あぁ…」 | |||
390 | 雪菜 | 「あ、ああ、あああ…ああああっ! あ、もう、ああ、あああああああっ! あ~っ、ああああああああああああ~っ!」 | |||
391 | 春希 | 「っ…う、あぁぁぁぁぁっ」 | |||
392 | 雪菜 | 「いぅぁぁぁぁぁぁっ、ぁぁぁぁあああああっ! あ~っ、あ~っ、あぁぁぁぁ~っ、 いぅっ………あぅぅっ………は、あぁぁぁっ」 | |||
393 | 雪菜のなかから抜いた瞬間… | ||||
394 | 信じられないくらいの勢いで飛び出した精液が、 真上に飛んで、雪菜の身体に降りかかる。 | ||||
395 | 春希 | 「あ、ぁ…っ」 | |||
396 | 雪菜 | 「あぁぁぁっ………やぁぁっ………んぅっ…」 | |||
397 | 雪菜の、俺の精液を浴びた胸やお腹が、 びくん、びくんって震えてる。 | ||||
398 | ついでに、俺のものに触れている入り口も… | ||||
399 | 雪菜 | 「あ…っ、あぁぁ…あ、んっ… はぁ、はぁ、はぁぁ…あ、熱、ぃぃ…」 | |||
400 | それは、自分の身体のことなのか、 それとも自分の身体に降りかかったもののことなのか。 | ||||
401 | 雪菜 | 「は、あ、あぁぁ…ぁぁぁ… や、やだ…ごめんね」 | |||
402 | 春希 | 「なに、が?」 | |||
403 | 全身を、今度こそ弛緩させて、 ぐったりと俺にもたれかかる雪菜。 | ||||
404 | その表情も、その息遣いも、 今、果てたばかりの俺を、すぐにいたたまれなくさせる。 | ||||
405 | 雪菜 | 「わたし…またイっちゃった… 今日、何度目かわからないくらい…」 | |||
406 | 春希 | 「…どうして謝るんだよ? 俺、嬉しいのに」 | |||
407 | 雪菜 | 「………ありがとう。 春希くんが嬉しがってくれるの、嬉しいよ」 | |||
408 | 春希 | 「あ、あのなぁ………」 | |||
409 | 雪菜 | 「嬉しい…」 | |||
410 | 春希 | 「っ…雪菜ぁ」 | |||
411 | その言動も、態度も… 反則的なまでに可愛い。 | ||||
412 | だから俺は… | ||||
413 | もう雪菜から、 二度と離れられない。 | ||||
414 | ……… | .........
| |||
415 | 雪菜 | 「…ヨーロッパ?」 | |||
416 | 春希 | 「うん…」 | |||
417 | 思いっきり感じ合った後、 互いのつけた汚れを落とすため、 一緒に風呂に入って。 | ||||
418 | それでまた… ちょっとだけ、互いを汚してしまって。 | ||||
419 | 春希 | 「元々は木崎さんって先輩が立てた企画で、 当然、本人が行くはずだったんだけど、 その週に急に結納が決まったんだとか」 | |||
420 | 雪菜 | 「へぇ…結婚するんだその先輩。 よかったねぇ」 | |||
421 | 風呂から上がって、身体を拭いて、髪を乾かして… そのまま何も着けずに、二人でベッドに潜り込む。 | ||||
422 | だって、服なんか必要ないから。 触れあう身体が、こんなにも温かいから。 | ||||
423 | 春希 | 「本人は良かったかもしれないけど、 だからって一年目の新人に 海外出張を押しつけるかなぁ普通…」 | |||
424 | 雪菜 | 「本当、期待の新人なんだね春希くん。 わたしなんか関東から出してもらったことないよ?」 | |||
425 | 春希 | 「そりゃ、仕事の内容が違うから…」 | |||
426 | 雪菜 | 「でも、上の人たちは日本中を飛び回ってる。 わたしはまだそこまで信頼されてないってこと」 | |||
427 | 春希 | 「だからそれが普通なんだって…」 | |||
428 | 休みの前日は眠るのがもったいなくて、 こうして暗い部屋の中でお喋りしてるうちに、 いつの間にか夜が明けてるなんてこともよくある。 | ||||
429 | で、そこから眠ってしまったら、 雪菜は大抵夕方までベッドの中でモゾモゾしてて、 休日を無駄にしたって嘆くことになる訳で。 | ||||
430 | 雪菜 | 「でも…ヨーロッパか。 ふぅん、ヨーロッパねぇ」 | |||
431 | 春希 | 「…なんだよ?」 | |||
432 | 雪菜 | 「…ううん。 なんでもない」 | |||
433 | 春希 | 「………」 | "........."
| ||
434 | ただ今日のお喋りは、 ネタ的にちょっとだけ雪菜のテンションが下がっていた。 | ||||
435 | 雪菜 | 「遠いよね、ヨーロッパ… 学生の頃だったら、行きたくても行けなかったよね」 | |||
436 | 春希 | 「そりゃ、まぁ…」 | |||
437 | 雪菜 | 「でも、今なら行ける。 お金も行動力も、あの頃とは段違いだもんね。 だから…どこへでも飛んで行ける…」 | |||
438 | 春希 | 「あのさ… 雪菜が何を心配してるのか知らないけどさ」 | |||
439 | 雪菜 | 「別に心配なんかしてないよ…? 飛行機が落ちたらとか、テロが起きたらなんて、 いちいち心配してたらきりがないもんね」 | |||
440 | 春希 | 「ヨーロッパにいくつの国があると思ってんだ? どれだけ広いと思ってんだ…?」 | |||
441 | 雪菜 | 「………会話が噛み合ってないよ、春希くん」 | |||
442 | 雪菜は多分、 たった一つの国のことしか思い浮かべていない。 | ||||
443 | EU加盟国。公用語はドイツ語。 その首都は『音楽の都』なんて称されて… | ||||
444 | 春希 | 「訪問先はスペインとイタリアとフランスだけ」 | |||
445 | だから俺は、その某国には該当しない、 まるでどっかの卒業旅行みたいなラインナップを 正直に、率直に告げる。 | ||||
446 | 春希 | 「それ以外の国には、 一歩も足を踏み入れたりしない。約束する」 | |||
447 | 雪菜 | 「………」 | "........."
| ||
448 | 春希 | 「だから、さ」 | |||
449 | 雪菜 | 「そんなこと、何も気にしてないよ。 ただ、無事に帰ってきてくれたら、それでいい」 | |||
450 | 春希 | 「ありがと…」 | |||
451 | 『別に心配なんかしてない』って、 ついさっき言ったばかりの雪菜が、 ちょっと辻褄の合わないお願いをする。 | ||||
452 | だから俺は、雪菜を安心させるため、 彼女の肩を抱いていた腕を下ろして手を繋ぐ。 | ||||
453 | 雪菜の手は、俺の手に捕らえられると、 むずがるように指を動かし、一本ずつ重ね合い、 ぎゅっと握り込む。 | ||||
454 | 雪菜 | 「お土産、期待してるね?」 | |||
455 | 春希 | 「もちろん。 リクエストがあったらなんでも言ってくれ」 | |||
456 | 雪菜 | 「ね、家族の分もお願いしていい? お母さん、バッグとか欲しがると思うんだ。 あと孝宏も…ちゃんとお餞別は渡すから」 | |||
457 | 春希 | 「…善処します」 | |||
458 | 何も心配することはない。 何も憂うことなんかありはしない。 | ||||
459 | だってもう、五年だ。 | ||||
460 | 俺たちの五年は、何者にも侵されない、 揺るぐはずのない、切れるわけなんかない絆だ。 | ||||
461 | だから… | ||||
462 | 雪菜 | 「それで…出発はいつなの?」 | |||
463 | 春希 | 「…12月17日」 | |||
464 | …やばい。 | ||||
465 | 雪菜 | 「…戻ってくるのは?」 | |||
466 | 春希 | 「………」 | "........."
| ||
467 | 実は今回、一番心配してたのは、 行き先じゃなくて、日程の話だった。 | ||||
468 | だって… | ||||
469 | 雪菜 | 「……春希、くん?」 | |||
470 | 春希 | 「12月24日…」 | |||
471 | 雪菜 | 「………何時の飛行機?」 | |||
472 | 春希 | 「………に、向こうを発つ予定だから、 成田着は25日の…夜?」 | |||
473 | 雪菜 | 「えええええ~!?」 | |||
474 | 春希 | 「痛っ!? 痛いって、雪菜!」 | |||
475 | 握り合っていた手にいきなり爪が食い込み、 怨嗟の叫び声が耳をぶん殴るように響く。 | ||||
476 | まぁ、怒っても当然なんだけど。 | ||||
477 | 雪菜 | 「クリスマスイブは? 一週間ルールは!?」 | |||
478 | 春希 | 「ご、ごめん…」 | |||
479 | さっきだって守ったのに散々拗ねられた一週間ルールが、 とうとう風前の灯火に追い込まれてしまったから。 | ||||
480 | しかも、クリスマスイブに会えないという、 恋人同士としては致命的なおまけつきで。 | ||||
481 | 雪菜 | 「ごめんじゃないよぉ! とっくにホテルだって予約したじゃない! 有海インテグラル!」 | |||
482 | 春希 | 「その… 今ならまだキャンセル料発生しないし」 | |||
483 | あの、二年前のイブのリベンジの意味を込めて、 去年から毎年、あのトラウマのホテルを押さえてる。 | ||||
484 | つまり今年は、そのトラウマ克服の儀式まで、 ないがしろにしてしまう訳で。 | ||||
485 | 雪菜 | 「なんとかならないの? ギリギリ24日中に帰ってくることは?」 | |||
486 | 春希 | 「それが…24日の午前中までパリで仕事で…」 | |||
487 | 経費節減の折もあって、 色んな編集部の仕事もまとめて請け負っていたら、 いつの間にか日程が膨らんでいたというのは内緒だ… | ||||
488 | 雪菜 | 「…どうしても、駄目ってこと?」 | |||
489 | 春希 | 「本当にごめん!」 | |||
490 | でも、仕方ないんだ… | ||||
491 | 風岡二世とか風岡チルドレンと呼ばれる俺としては、 あの偉大なる先輩の名誉を汚すことだけは、 絶対にあってはならない。 | ||||
492 | …だってあの人なら、 あと二か国、三箇所くらいはまだ余裕でねじ込むし。 | ||||
493 | 雪菜 | 「………っ」 | |||
494 | 春希 | 「雪菜…?」 | |||
495 | と、俺の手を握りしめてた雪菜の手が、すっと離れる。 | ||||
496 | ついでに胸に乗せていた頭も離れ、 さらに絡め合っていた脚も、何もかも… | ||||
497 | 雪菜 | 「もう知らない!」 | |||
498 | 春希 | 「あ…」 | |||
499 | 離れたかと思うと、 そのまま俺にぷいっと背中を向けてしまった。 | ||||
500 | …二人を包んでいた布団ごと。 | ||||
501 | 春希 | 「雪菜…おい」 | |||
502 | 雪菜 | 「………」 | "........."
| ||
503 | 春希 | 「雪菜ちゃん?」 | |||
504 | 雪菜 | 「………っ」 | |||
505 | 声を掛けても、布団越しに肩を揺すぶっても、 頑なに背中を向けたまま、寝たふりを続ける。 | ||||
506 | 出張が決まったときから、 いつかは来るとわかってた試練だけど… | ||||
507 | こう、実際に来てみると、 やっぱりしんどいと言うか何と言うか… | ||||
508 | 春希 | 「お土産、買ってくるから」 | |||
509 | 雪菜 | 「………」 | "........."
| ||
510 | 春希 | 「欲しいものなんでも言っていいから。 ヴィ○ンでも○ッチでもプラ○でもエ○メスでも…」 | |||
511 | だからせめて布団だけでも 一緒に使わせて欲しいと言うか… | ||||
512 | 雪菜 | 「そんなのいらない!」 | |||
513 | 春希 | 「雪菜…」 | |||
514 | 雪菜 | 「春希くん、わたしのこと全然わかってない! そんな高いお土産もらったくらいで許しちゃうほど、 安い女じゃないんだもん!」 | |||
515 | 春希 | 「そんなこと…わかってるって」 | |||
516 | 雪菜 | 「っ…」 | |||
517 | 布団の中から聞こえてくる雪菜の声は、 結構本気がかった涙声だった。 | ||||
518 | 春希 | 「なぁ、雪菜… こっち向いて」 | |||
519 | だから俺は、なんとか雪菜の心を解きほぐそうと、 布団の中に手を入れ、その肩に優しく触れ… | ||||
520 | 雪菜 | 「いやらしい手つきで触らないで! …そういうことされるとつい嬉しくて、 いつの間にか誤魔化されちゃうんだもん」 | |||
521 | 春希 | 「………悪い」 | |||
522 | その嬉しい言葉に、そっと手を引っ込める。 | ||||
523 | スキンシップだけでほだされるなんて… もっと安いじゃないかよ、それ。 | ||||
524 | なんて、本当はわかってる。 雪菜が、俺にだけあまりにも価値不相応だって。 | ||||
525 | 俺が客だと、自分の値段をディスカウントしまくって、 出血大放出してしまう女の子なんだって。 | ||||
526 | 春希 | 「ごめん」 | |||
527 | なのに俺は、そんな彼女の 深い愛情と篤い信頼を裏切って… | ||||
528 | なんとか取り戻さないと。 | ||||
529 | 春希 | 「毎日、電話するから」 | |||
530 | 雪菜 | 「………」 | "........."
| ||
531 | 春希 | 「帰ったら、すぐに会いに行くから。 会社、休み取ってゆっくり過ごそう?」 | |||
532 | 雪菜 | 「………っ」 | |||
533 | 春希 | 「そうだ、帰ってきたら旅行に行かないか? 雪菜の行きたいところ、どこにだって付き合うからさ」 | |||
534 | 雪菜 | 「………旅行」 | |||
535 | 春希 | 「そう、旅行!」 | |||
536 | 食いついた! 今だ! | ||||
537 | 春希 | 「スキーでもいいし、テーマパークで遊び倒しても… あ、温泉で年末年始ゆっくり過ごすのもいいな。 雪菜、のんびりする方が好きだもんな」 | |||
538 | 雪菜 | 「旅行、かぁ」 | |||
539 | 春希 | 「明日、計画立てないか? 年末年始のさ」 | |||
540 | 雪菜 | 「ん~…」 | |||
541 | もうここしかない。 今、雪菜は完全に興味を持ってくれてる。 | ||||
542 | 春希 | 「一緒に旅行代理店行こう? 安くしてくれる知り合いがいるんだよ。 前の上司の親友でさ、今度の出張でも…」 | |||
543 | 冬のボーナスも出たところだし、 雪菜の笑顔に払う金に糸目を付ける気はないし。 | ||||
544 | 雪菜 | 「…行きたいところ、どこでもいいの?」 | |||
545 | 春希 | 「もちろん! 北海道でも九州でも! なんなら足を伸ばして香港とかグァムとか…」 | |||
546 | 雪菜が俺にはとことん安く値付けするように、 俺は雪菜にとことん高い価値を見出してるんだから。 | ||||
547 | 雪菜 | 「………フランス」 | |||
548 | 春希 | 「………ぇ」 | |||
549 | 雪菜 | 「12月24日… クリスマスミサ、一緒に行きたい。 …ストラスブールの、大聖堂の」 | |||
550 | 春希 | 「………………え?」 | |||
551 | …なんだけど。 | ||||
552 | 雪菜の発した『おねだり』は、 金額面とは別次元のところにあった。 | ||||
553 | 彼女は、やっぱ自分で言う通り、 『安い女じゃない』のかもしれなかった。 | ||||
554 | ……… | .........
| |||
555 | 雪菜の父 | 「フ…フランスだと!?」 | |||
556 | 春希 | 「………は、はい。 それでその、是非、雪菜さんと同行したく、 お父さんのお許しを頂きに上がった次第で…」 | |||
557 | 雪菜 | 「なんでそんな変に堅い言い方になっちゃうの? 春希くん、いつもと全然違うよ?」 | |||
558 | なるだろそりゃ… | ||||
559 | 雪菜の父 | 「海外旅行…? しかも結婚前の娘と二人きりで…?」 | |||
560 | 春希 | 「す、すいませんっ!」 | |||
561 | というわけで、 結局、土曜日のデートは… | ||||
562 | 旅行代理店の後、 小木曽家というコースを辿ることになった。 | ||||
563 | …胃が痛い。 | ||||
564 | 孝宏 | 「なぁなぁ、せっかくのフランス旅行なのに、 なんでそんな訳わかんない田舎行くんだよ?」 | |||
565 | 雪菜の母 | 「そうよ、ストなんとかなんて聞いたことないわよ。 フランスならパリでしょ普通? お買い物だって絶対そっちの方が…」 | |||
566 | 雪菜 | 「も~、わかってないんだから二人とも。 世界遺産なんだよ? まるで中世そのままの街並みなんだから!」 | |||
567 | 孝宏 | 「京都だって平安時代そのままの街並みだよ…」 | |||
568 | 雪菜 | 「そうよ、海外の観光客に京都は大人気でしょ? それとおんなじことじゃない」 | |||
569 | 雪菜の母 | 「でもねぇ… お土産に民芸品とかいらないのよねぇ」 | |||
570 | 孝宏 | 「そうそう。 変なキルトとか買ってこられても 置き場に困るって言うか」 | |||
571 | 雪菜の父 | 「お前たちちょっと静かにしてなさい! 私は北原君と話をしてるんだ!」 | |||
572 | 春希 | 「すいません…」 | |||
573 | どうして自分が謝らなければならないのかわからないけど、 とりあえず自主的に謝らなければ気が済まなかった。 | ||||
574 | 雪菜の父 | 「それで…聞かせてもらおうか? どういうつもりでそんな旅行を計画したのかを…」 | |||
575 | 春希 | 「仕事の都合で、クリスマスの最中は ヨーロッパにいることになったので… 雪菜さんと本場のクリスマスを過ごしたいと」 | |||
576 | 『計画したのはお宅の娘さんの方なんですけど…』 なんて台詞は男として許されないというか… | ||||
577 | 雪菜 | 「一度行ってみたかったの、本場のクリスマスミサ」 | |||
578 | 雪菜の母 | 「でも観光地なんでしょ? よく今から予約が取れたわねぇ」 | |||
579 | 雪菜 | 「うん、本来なら数か月前から満室なんだけど、 ちょうどうまい具合にキャンセルが入ってて…」 | |||
580 | …というか、多分あれが佐和子さんの、 今現在持っている権力なんだろう。 | ||||
581 | 最初ついてくれた担当の人の感触では、 問い合わせるのも馬鹿馬鹿しいくらい無理っぽかったけど、 佐和子さんが出先から戻ってきてからは状況が一変した… | ||||
582 | なんか、電話口で色んな国の言葉を話してたかと思うと、 雪菜の飛行機も二人のホテルの予約も何もかも、 ほんの10分もしないうちに全て処理が終わっていた。 | ||||
583 | …しかもあり得ない格安料金で。 | ||||
584 | 雪菜の父 | 「非常識だとは思わなかったのかね? 仕事の出張にガールフレンドを同行させるなんて そんな公私混同…」 | |||
585 | 春希 | 「合流するのは向こうでの仕事が終わった後です。 それに昨日上司に話して許可を貰いました。 …一応、会社の方には筋を通したつもりです」 | |||
586 | 今回の出張に関しては、 色々と後ろめたいこともあったせいか、 浜田さんの腰は結構弱かった。 | ||||
587 | 雪菜の父 | 「しかし海外なんて… もしも雪菜に万が一のことがあったら…」 | |||
588 | 春希 | 「同行している間は雪菜さんの安全は保証します。 …とりあえず、自分の力の及ぶ範囲では必ず」 | |||
589 | ここで『自分の命を賭けてでも』とか言うと、 多分、女性陣のウケはいいんだろうけど、 お父さんにとっては逆効果だという計算があった。 | ||||
590 | …実際には、そのつもりは十分あるんだけど。 | ||||
591 | 孝宏 | 「どうせ新婚旅行で行くんじゃん。 今さらそんな心配するのって、 ただの言いがかりだよなぁ」 | |||
592 | 雪菜 | 「っ、孝宏!」 | |||
593 | 雪菜の父 | 「っ! と、ともかく、 君はまだ、雪菜と将来の約束をした訳でもないだろう? それなのに、二人きりで旅行なんて…」 | |||
594 | 孝宏 | 「それも今さらじゃん。 だって姉ちゃん週末はいっつも外泊してるし」 | |||
595 | 雪菜の父 | 「………っ!」 | |||
596 | 春希 | 「あ…」 | |||
597 | いかん… | ||||
598 | このままでは、そろそろ論理的に同意を求められる 冷静さのボーダーを超えてしまう。 | ||||
599 | 孝宏 | 「それでも北原さんと一緒にいるって言ったら、 何のお咎めもないんだからさぁ、なら今回の旅行だって、 北原さんと一緒だったらOKって理屈だよねぇ?」 | |||
600 | 雪菜の父 | 「お前は…黙っていろ」 | |||
601 | 春希 | 「た、孝宏君…それくらいに…」 | |||
602 | 感情論で来られたら俺には勝ち目はない。 …というかその時には多分雪菜が出てきて、 小木曽家の中での泥沼の感情闘争に発展してしまう。 | ||||
603 | それは多分、俺もお父さんも、 決して望んではいない結末で… | ||||
604 | 雪菜 | 「春希くんね、スペインとイタリア回ってから、 最後にパリなんだって」 | |||
605 | 雪菜の母 | 「あら、そうなの? なによ、それ早く言いなさいよ。 パリに行かないものだと思っちゃってたじゃない」 | |||
606 | 孝宏 | 「うお、イタリアにも行くんだ~! 俺、すっげぇ欲しい靴があるんだよ! イタリアのマイナーなメーカーのでさぁ…」 | |||
607 | 雪菜の父 | 「いや、だからお前たち… 北原君は仕事で行くんだから、そんな公私混同は…」 | |||
608 | 春希 | 「いいですよ、何でも言ってください。 量が多かったら送りますから」 | |||
609 | 雪菜の父 | 「…私はまだ認めた訳じゃないんだぞ?」 | |||
610 | 春希 | 「………すいません」 | |||
611 | しかし… | ||||
612 | 雪菜のその一言で、 もはや勝負は決したと言ってもよかった。 | ||||
613 | ……… | .........
| |||
614 | 雪菜 | 「よかったねぇ! お父さんの許可も無事もらえて」 | |||
615 | 春希 | 「あれを無事と言うんだろうか…」 | |||
616 | 結局… 最後までお父さんはかなり厳しい表情だった。 | ||||
617 | けれどお母さん、孝宏君を味方に引き入れた、 『俺を除く』雪菜たちの攻撃は苛烈で、 もはやお父さん一人では守勢に回るしかなく… | ||||
618 | つまり、俺の恐れていた 泥沼の感情闘争であっさり決着がついた。 | ||||
619 | 春希 | 「お父さん、気の毒に」 | |||
620 | 雪菜 | 「別に気にすることないよ。 お土産にブランデーの一本でもあれば、 きっと機嫌も取り戻すから」 | |||
621 | 春希 | 「そういう問題…なのかなぁ?」 | |||
622 | 確かに俺が夕食までご馳走になって帰るときには、 ブランデーでかなり酩酊してたけど… | ||||
623 | 雪菜 | 「そういう問題だよ… わたしは無事帰ってくる。たくさん思い出作ってくる。 いいこと尽くめなのに怒る理由はないんだもん」 | |||
624 | 春希 | 「でもさ、俺… どうしてもお父さんの方に感情移入してしまうと言うか、 理屈は正しいのに言い負けるのは納得いかないと言うか」 | |||
625 | 昔から『正しいこと言う奴が正しい』って、 そんな信念みたいなものを持ってたから。 | ||||
626 | …まぁ、女性関係を除いてだけど。 | ||||
627 | 雪菜 | 「大丈夫、安心して春希くん。 わたし、今からまたお父さんとゆっくり話すから そして、今度は理屈でわかってもらうよ」 | |||
628 | 春希 | 「雪菜…?」 | |||
629 | 雪菜 | 「だってわたし… ううん、みんな、お父さんのこと嫌いじゃないし。 むしろ大好きだし」 | |||
630 | 春希 | 「………」 | "........."
| ||
631 | 雪菜 | 「絶対にちゃんとわかってもらうから。 だから安心して、春希くん」 | |||
632 | 春希 | 「ん…」 | |||
633 | お父さんが、大好き、か… | ||||
634 | そういうことを臆面もなく言ってしまうのが 小木曽家の、そして雪菜の凄いところで。 | ||||
635 | 俺や…俺以外のちょっとひねくれた奴には 決して真似のできない、かけがえのない美しさだって。 | ||||
636 | わかってるんだけど… 未だにするりとは受け入れられない感覚。 | ||||
637 | 雪菜 | 「ん~…」 | |||
638 | 春希 | 「なに?」 | |||
639 | と、雪菜が、俺のそんな戸惑い気味の表情を覗き込む。 | ||||
640 | 雪菜 | 「やっぱり、少し似てるよね。 お父さんと、春希くん」 | |||
641 | 春希 | 「え…ど、どこがぁ?」 | |||
642 | 雪菜 | 「真面目で、厳格で、融通が利かなくって…」 | |||
643 | 春希 | 「あ…」 | |||
644 | ちょい、ちょいと、俺の鼻先を指でつつきながら… | ||||
645 | 雪菜 | 「けれどとっても優しくて… わたしのこと、一生懸命大事にしてくれる」 | |||
646 | 雪菜が、悪戯っぽい、けれど溢れる愛情を込めた瞳で、 じっと俺を笑顔で見つめてくる。 | ||||
647 | 春希 | 「俺は…そんな。 あの人の域になんか、全然…」 | |||
648 | 雪菜 | 「わたしね、春希くんに、ほんの少しだけ お父さんを重ねて見てたのかも」 | |||
649 | 春希 | 「………」 | "........."
| ||
650 | 雪菜 | 「だから…わたしがあなたを好きになるのは、 必然だったのかもしれないね。 …だってわたし、お母さんの娘なんだもん」 | |||
651 | それは、あまりにも勿体なさ過ぎる最大級の賛辞で、 とても反応なんかできるわけがなかった。 | ||||
652 | ……… | .........
| |||
653 | 『送る』と言って雪菜が家を出てもう10分。 | ||||
654 | とっくに『バイバイ』をして、 二人は逆方向に歩いてなければならない頃。 | ||||
655 | 雪菜 | 「それでもね、春希くんはやっぱり、 お父さんとは色々と違うところも多くって。 だから、春希くんは春希くんなんだなぁって」 | |||
656 | 春希 | 「例えば、どんなとこが?」 | |||
657 | 雪菜 | 「んとね…想像したよりも、ずっとえっちだったこと」 | |||
658 | 春希 | 「…お父さんだって、 本当はそうかもしれないじゃないか」 | |||
659 | 雪菜 | 「ふふ、そうだね。今度お母さんに聞いてみないと」 | |||
660 | 春希 | 「いや、自分で言っておいてなんだけど、 それはやめておいた方が…」 | |||
661 | 雪菜 | 「でもね…そんなえっちな春希くんこそが、 こんなにえっちなわたしには、ちょうどよかった…」 | |||
662 | 春希 | 「雪菜…」 | |||
663 | バイバイをしなければならない頃、なのに… | ||||
664 | 雪菜 | 「ん…んむ…ちゅ…」 | |||
665 | 春希 | 「ん、んぅ…」 | |||
666 | どうしても名残惜しくて、 少しずつ、少しずつ引き延ばしてしまう。 | ||||
667 | 雪菜 | 「ん、んぅ…ん、む…ぷぁ…ぁ…」 | |||
668 | 春希 | 「………せつ、な」 | |||
669 | 雪菜 | 「………ばいばい」 | |||
670 | 春希 | 「ん…」 | |||
671 | 雪菜 | 「電話、するね」 | |||
672 | 春希 | 「待ってる」 | |||
673 | 雪菜 | 「じゃ…」 | |||
674 | 春希 | 「ああ…」 | |||
675 | 雪菜 | 「じゃあ、ね…」 | |||
676 | 春希 | 「おやすみ…」 | |||
677 | 雪菜 | 「また、今度ね」 | |||
678 | 春希 | 「一週間以内に」 | |||
679 | 雪菜 | 「おやすみ」 | |||
680 | 春希 | 「うん…」 | |||
681 | 幸せを、全身に浴びながら… |