White Album 2/Script/2025
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Text
Speaker | Text | Comment | |||
---|---|---|---|---|---|
Line # | JP | EN | JP | EN | |
1 | 武也 | Takeya | 「…それでお前、 今年、雪菜ちゃんと何度会ったんだ?」 | ||
2 | 春希 | Haruki | 「…いや、まだ一度も」 | ||
3 | 武也 | Takeya | 「かぁ~、いつまで引きずってんだよ馬鹿!」 | ||
4 | 春希 | Haruki | 「俺が馬鹿なんて事はわかってんだよ馬鹿!」 | ||
5 | 人間、明らかに自分が悪いことをしたと指摘されると、 ついつい普段以上に声を荒げてしまうもので。 | ||||
6 | 久々の武也からの電話に応えていた俺の声は、 そんな感じで嫌なボルテージが上がっていた。 | ||||
7 | 武也 | Takeya | 「もう二か月以上も会ってないってことだろそれ。 なにグダグダしてんだよ?」 | ||
8 | 春希 | Haruki | 「仕方ないだろ! 俺、振られたんだから! …自分から会おうなんて言える訳ないだろ」 | ||
9 | 冬休みが空けた頃、 雪菜から、メールが届いた。 | ||||
10 | サブジェクトには『あけましておめでとう』って、 とても友達ライクな言葉が乗っかってた。 | ||||
11 | けど中身は、あまり友達っぽくなかった。 それどころか、後悔と逡巡を重ねながらも、 一度突き放したはずの俺に、踏み込んできてた。 | ||||
12 | それからも、お互いのメール交換は頻繁に続き、 俺たちは、互いが一度は別れたんだってことを、 必死に覆い隠すみたいに、優しい会話を続けた。 | ||||
13 | …あれ以来、一度も約束をしないままに。 | ||||
14 | 武也 | Takeya | 「さすがに見守るって言っても限度があるぞ。 大体、お前らがそろってスキー旅行の返事をしないのは、 そのせいだろう?」 | ||
15 | 春希 | Haruki | 「だからあれはほら、 日程も何も決まってないから…」 | ||
16 | そんな中途半端な俺たちに業を煮やしたのか、 武也と依緒がスキー旅行の誘いをかけてきたのは、 期末試験の終わった二週間前だった。 | ||||
17 | 武也 | Takeya | 「お前らの空いてる日に合わせるって言ったろ? それについての返事はどうした?」 | ||
18 | 春希 | Haruki | 「それは…」 | ||
19 | 武也 | Takeya | 「いつならOKなんだよ? もうすぐ3月だぞ?」 | ||
20 | 春希 | Haruki | 「3月…」 | ||
21 | 武也 | Takeya | 「そろそろ決めてくれよ、春希。 早くしないと雪が溶けちまう」 | ||
22 | 春希 | Haruki | 「武也…」 | ||
23 | もうすぐ、冬が終わる。 『WHITE ALBUMの季節』が。 | ||||
24 | 武也 | Takeya | 「で、いつならいいんだ?」 | ||
25 | 春希 | Haruki | 「とりあえず、検討する。 決まったらまた連絡するから」 | ||
26 | 武也 | Takeya | 「じゃあ、連絡くれるのはいつだ?」 | ||
27 | 春希 | Haruki | 「ええと…近いうちには」 | ||
28 | いつも、この季節の移り変わりに、 俺は何かを期待し、そして何かを恐れて過ごす。 | ||||
29 | だって、俺たちの関係が動くのは、 いつもこの季節だったから。 | ||||
30 | 武也 | Takeya | 「今週中? 明日? それとも一時間後?」 | ||
31 | 春希 | Haruki | 「ええと…鋭意努力する」 | ||
32 | 武也 | Takeya | 「………」 | "........."
| |
33 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
34 | 雪の降る日に俺たちは近づき、 雪の降る夜に俺たちは傷つき。 | ||||
35 | 寒さに震えながら抱きあって、 心まで凍えながらすれ違う。 | ||||
36 | 今動かなければ、何も起こりはしない。 けれど何か起こってしまったとき、 二人が笑いあえているか、自信がない。 | ||||
37 | 武也 | Takeya | 「そっか…」 | ||
38 | 春希 | Haruki | 「悪いな、武也」 | ||
39 | だから今年の冬も、俺は… | ||||
40 | 武也 | Takeya | 「いいよもう… お前の自主性に任せてたら、 いつまで経っても日程が決まらないことはわかった」 | ||
41 | 春希 | Haruki | 「…あ、悪い。 来客だ」 | ||
42 | 武也 | Takeya | 「じゃあ、今日はそろそろ切るな。 また連絡するわ」 | ||
43 | 春希 | Haruki | 「ああ、またな」 | ||
44 | 俺は、もう一度心の中で武也に詫びると、 通話を切り、そして… | ||||
45 | 春希 | Haruki | 「どなたです…」 | ||
46 | 武也 | Takeya | 「よっ」 | ||
47 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
48 | 玄関を開けた瞬間… | ||||
49 | 目の前のあまりにもあまりな来客に、 一瞬、言葉を失った。 | ||||
50 | 武也 | Takeya | 「という訳だから、 こっちで勝手に日を決めさせてもらった。 今から出発だ、すぐ仕度しろ」 | ||
51 | 春希 | Haruki | 「………は?」 | ||
52 | 武也 | Takeya | 「まさか断るなんて言わないよな? お前は今こうして用事もなく家にいるし、 そして俺たちは既に明日の宿を取ってある」 | ||
53 | 春希 | Haruki | 「………武也?」 | ||
54 | 武也 | Takeya | 「今ごろは依緒も雪菜ちゃんを確保してる頃だ。 さ、すぐに荷物をまとめろ」 | ||
55 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
56 | 今年の冬も、俺は… | ||||
57 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
58 | 雪菜 | Setsuna | 「………」 | "........."
| |
59 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
60 | 雪菜 | Setsuna | 「っ… ご、ごめんね春希くん」 | ||
61 | 春希 | Haruki | 「な、何が?」 | ||
62 | 雪菜 | Setsuna | 「何がって、その…」 | ||
63 | 春希 | Haruki | 「雪菜が謝ることなんて何もないだろ? どっちも被害者なんだし…」 | ||
64 | 雪菜 | Setsuna | 「で、でも… 春希くん、困ってるんじゃないかって思って」 | ||
65 | 春希 | Haruki | 「困ってるって言うか、戸惑ってるけど… で、でもそれなら雪菜だって…」 | ||
66 | 雪菜 | Setsuna | 「わ、わたしは、えっと、その。 …確かに、春希くんと同じ感じかも」 | ||
67 | 春希 | Haruki | 「だ、だよなぁ」 | ||
68 | 雪菜 | Setsuna | 「う、うん」 | ||
69 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
70 | 雪菜 | Setsuna | 「………」 | "........."
| |
71 | 武也 | Takeya | 「今の会話、いかがですか解説の水沢さん」 | ||
72 | 依緒 | Io | 「ん~、あまりにも初々しすぎて、 こっちが恥ずかしくなってきますねぇ。 お前ら知り合って何年だよと突っ込んでやりたいです」 | ||
73 | 武也 | Takeya | 「まるで合コン初心者同士の二人が いつの間にかツーショットになっていたような展開に、 車内騒然としております」 | ||
74 | 雪菜 | Setsuna | 「~っ」 | ||
75 | 春希 | Haruki | 「誰のせいだ誰の!」 | ||
76 | 武也 | Takeya | 「もうすぐ高速だから、 その前にどっかで遅めの晩飯にしようぜ」 | ||
77 | 依緒 | Io | 「あ、あたし中華がいいな。 この辺で深夜営業やってるところあったっけ」 | ||
78 | 春希 | Haruki | 「っ…」 | ||
79 | 運転席と助手席に怨嗟の声を投げかけるも、 そこに座ってる連中はあっさりと受け流しやがった。 | ||||
80 | この車に押し込められて1時間… とっくに日付も変わり、2月の最終日に入った今も、 俺たちは、このありえない急展開についていけてない。 | ||||
81 | 武也に急かされるまま強制的に旅の仕度をさせられ、 そこから強引に車に押し込まれ、 そして見慣れた道をしばらく走ったら… | ||||
82 | 春希 | Haruki | 「…にしても、よく雪菜の家族を説得できたな、依緒」 | ||
83 | 小木曽家の前で、 俺と同じように急ごしらえの旅行鞄を持った雪菜が、 依緒にしっかり拘束されていた。 | ||||
84 | 依緒 | Io | 「事前にスキーに行くって話だけはしておいたからね。 その点にぬかりはないよ」 | ||
85 | 春希 | Haruki | 「そうだとしてもいきなり今日なんて… ご両親怒ったろ?」 | ||
86 | 雪菜 | Setsuna | 「そ、それが…」 | ||
87 | 依緒 | Io | 「出発日を雪菜がすっかり忘れてたって設定にしたら、 お母さんにやたらと謝られて恐縮したなぁ…」 | ||
88 | 春希 | Haruki | 「小木曽家全員騙してるじゃないかそれ! 恐縮以前に良心の呵責に苛まれろよ!」 | ||
89 | なんて奴らだ… 目的のためなら友人の家族不和も厭わないのか。 | ||||
90 | 春希 | Haruki | 「雪菜、本当にいいのかよそんなんで? 雪菜が家族に嘘をつくなんて、今まで…」 | ||
91 | 今まで…? | ||||
92 | 雪菜 | Setsuna | 「仕方ないよ… もう宿予約しちゃったって言うし。 もし断ったら、今度は二人に悪いよ」 | ||
93 | 春希 | Haruki | 「こいつらに申し訳なく思う必要なんかないだろ。 こっちの承諾もなしに勝手に突っ走りやがって…」 | ||
94 | 武也 | Takeya | 「水沢さんいかがですか今の発言は?」 | ||
95 | 依緒 | Io | 「ん~、どこにでも空気を読まない輩と言うのは いるものですね~」 | ||
96 | 春希 | Haruki | 「だからお前らちょっと黙ってろっての!」 | ||
97 | 雪菜 | Setsuna | 「いいんだよ春希くん。 わたし、全然気にしてないんだから」 | ||
98 | 春希 | Haruki | 「け、けど雪菜…」 | ||
99 | 雪菜 | Setsuna | 「わたしは、嫌じゃなかったから。 …みんなで旅行」 | ||
100 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
101 | 雪菜 | Setsuna | 「春希くんは、嫌かな? それとも、何か用事があった?」 | ||
102 | 春希 | Haruki | 「ない、けど…」 | ||
103 | そうだ。 今までにもあった。 雪菜が、家族に嘘をついたこと。 | ||||
104 | 三年前、クリスマスに三人で温泉旅行に行ったとき。 三月前、真夜中の公園で喧嘩もできなかったとき。 | ||||
105 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
106 | ああ… 結局いつも、俺のせいだ。 | ||||
107 | 今回の無理やりな旅行を雪菜が断らないのも、 もしかしたら… | ||||
108 | 武也 | Takeya | 「…どうやら話はまとまったみたいだな?」 | ||
109 | 依緒 | Io | 「楽しい旅にしようよ。 せっかく久々に四人揃ったんだからさ」 | ||
110 | 春希 | Haruki | 「…ったく」 | ||
111 | 脳天気な犯罪者どもが、 後ろを振り返り、俺たち二人に笑いかける。 | ||||
112 | それはあまりに強引で、身勝手で、 こっちの心の隙をつくテロリストの笑顔だったけど。 | ||||
113 | でも、そいつらの信奉する正義が何なのか わかってしまっている俺たちは、 これ以上、責める言葉を持たない。 | ||||
114 | ……… | .........
| |||
115 | 雪菜 | Setsuna | 「あ…」 | ||
116 | 春希 | Haruki | 「ん?」 | ||
117 | 雪菜 | Setsuna | 「雪…」 | ||
118 | 雪菜が見上げる先を目で追うと、 車窓の外に、白い粒が天から舞い降りていた。 | ||||
119 | 高速を、ペーパードライバーの安全運転で三時間。 もう、東京は遙か遠くに過ぎ去り、 今は山梨か、そろそろ長野か… | ||||
120 | そんな『雪国』と呼ばれる地域に入ったんだろう。 いつの間にか、俺たちの周囲に降りてくる雪が、 見る見るうちに激しさを増していく。 | ||||
121 | 雪菜 | Setsuna | 「雪だね」 | ||
122 | 春希 | Haruki | 「ああ…」 | ||
123 | 『雪』や『うん』や『ああ』くらいしかない、 相変わらずたどたどしい会話。 | ||||
124 | けれど多分、今、俺たちは 百の言葉以上の情報を共有してると思う。 | ||||
125 | だって、車の中から雪降る空を見上げると、 どうしても、あの日のことを思い出してしまうから。 | ||||
126 | 三年前の光景を… あの時の、三人きりの一泊旅行で見た空を。 | ||||
127 | 春希 | Haruki | 「寒くない?」 | ||
128 | 雪菜 | Setsuna | 「ううん、平気」 | ||
129 | 春希 | Haruki | 「そう…」 | ||
130 | 雪菜 | Setsuna | 「うん…」 | ||
131 | 肩が触れあうほどの近さにいながら、 お互い、自分からは触れられないもどかしさ。 | ||||
132 | 間違いなく、今、同じ記憶を見てるはずなのに… | ||||
133 | いや、見てるものが同じだからこそ、 二人の間にある見えない壁に阻まれてしまう。 | ||||
134 | 雪菜 | Setsuna | 「綺麗だね…」 | ||
135 | 春希 | Haruki | 「ちょっと大粒だけどな。 ベタ雪っぽいかも」 | ||
136 | 雪菜 | Setsuna | 「ふふ…そうかも」 | ||
137 | でも今は、こうして普通に話せるだけでいい。 俯かず、互いの顔を見て、軽く笑顔まで浮かべて… | ||||
138 | 武也 | Takeya | 「二人とも、今のうちに寝といた方がいいぞ。 向こうに着いたらすぐにゲレンデ直行だからな」 | ||
139 | 雪菜 | Setsuna | 「え、でも…」 | ||
140 | 春希 | Haruki | 「運転、代わらなくていいのか?」 | ||
141 | 依緒 | Io | 「いいっていいって。 無理やり連れ出したのは武也なんだからさ。 ちゃんと責任取らせるよ」 | ||
142 | 武也 | Takeya | 「俺、お前だけは運転手に数えてたんだけど…」 | ||
143 | ダッシュボードの時計は、 いつの間にか5時を過ぎていた。 | ||||
144 | 依緒 | Io | 「ほら、寒かったらこの毛布使いなよ。 一枚しかないけど、ないよりましでしょ」 | ||
145 | 雪菜 | Setsuna | 「で、でも…」 | ||
146 | と、申し訳なさそうに口ごもる雪菜は、 なぜかというか、やっぱりというか、 困ったように、すぐ隣の俺を見つめてくる。 | ||||
147 | 春希 | Haruki | 「皆の言う通りだ。 少しは寝た方がいいよ、雪菜」 | ||
148 | 雪菜 | Setsuna | 「あ…」 | ||
149 | 依緒が差し出した毛布を受け取ると、 両手で拡げて、雪菜を覆うように肩に掛ける。 | ||||
150 | 春希 | Haruki | 「起きたら、一面銀世界だ」 | ||
151 | 雪菜 | Setsuna | 「春希くん…」 | ||
152 | その時、かすかにだけど、 今日、初めて雪菜の身体に触れた。 | ||||
153 | 暗がりの中、 雪菜の瞳がずっと俺の横顔を見つめてる。 | ||||
154 | その視線を意識しないように、 毛布を雪菜の膝まで覆い、そして離れる。 | ||||
155 | 雪菜 | Setsuna | 「………」 | "........."
| |
156 | そうして離れた後も、 雪菜はずっと、俺から視線を外そうとしなかった。 | ||||
157 | 春希 | Haruki | 「………っ」 | ||
158 | 咎めるような、気づかうような… そんな光を灯したまま、ずっと。 | ||||
159 | ……… | .........
| |||
160 | 雪菜 | Setsuna | 「ん…んぅ…」 | ||
161 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
162 | 肩が触れあうほどの近さにいながら、 お互い、自分からは触れられないもどかしさ。 | ||||
163 | 雪菜 | Setsuna | 「すぅ…すぅぅ…」 | ||
164 | …なんてものは、いつの間にか有名無実化していた。 | ||||
165 | 春希 | Haruki | 「…っ」 | ||
166 | 武也 | Takeya | 「………」 | "........."
| |
167 | 依緒 | Io | 「………」 | "........."
| |
168 | 春希 | Haruki | 「…何だよ?」 | ||
169 | 武也 | Takeya | 「別にぃ」 | ||
170 | 依緒 | Io | 「ねぇ」 | ||
171 | 春希 | Haruki | 「くっ…」 | ||
172 | 眠ってしまった雪菜の頭が、俺の肩にもたれかかる。 | ||||
173 | でも俺は、その彼女の肩を抱き寄せることもできず、 ただ、彼女の支えになっているだけだった。 | ||||
174 | 雪菜 | Setsuna | 「ん…」 | ||
175 | 雪菜を覆ったはずの毛布は、 いつの間にか、俺と雪菜を一緒に包んでいる。 | ||||
176 | 雪菜が、そうしてしまった。 戸惑う俺に、まるで腹を立てたように、強引に。 | ||||
177 | だから、俺たちの距離は強制的にゼロになり、 その後しばらくして、雪菜の頭が俺の肩に触れ、 そしてゆっくり傾き、今の状態を作り上げた。 | ||||
178 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
179 | 雪菜の身体から、彼女の体温が伝わってくる。 | ||||
180 | 一枚の毛布で、二人が一度に、 それも一番温まれる最良の方法を取っただけ。 | ||||
181 | …なんて、そんな熱効率の話じゃないってことは、 この場の誰もがわかってる。 | ||||
182 | 雪菜 | Setsuna | 「ふぅ、ん、んぅ…」 | ||
183 | 雪菜の重みが、俺に心地良い安らぎを与える。 | ||||
184 | 閉じた目から伸びる長い睫毛。 甘い寝息をこぼす濡れた唇。 誰が見ても認める、端正で、かつ可愛らしい顔。 | ||||
185 | こんな彼女に枕の役目を仰せつかった男は、 誰もがその瞬間を至福の時と感じるに違いない。 | ||||
186 | それは…俺だって。 いや、俺だからこそ、なおさら。 | ||||
187 | 雪菜 | Setsuna | 「………」 | "........."
| |
188 | だって雪菜は…俺の大切な女性だから。 | ||||
189 | どれだけすれ違っても。 どれだけ互いが傷ついても。 | ||||
190 | たとえ、何度別れを告げられたとしても。 | ||||
191 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
192 | 車窓の外に降る雪は、 少しずつ、その密度を増していく。 | ||||
193 | 冬は、まだ終わらない。 俺たちの『WHITE ALBUMの季節』は続いてる。 | ||||
194 | 雪菜 | Setsuna | 「ん…」 | ||
195 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
196 | 雪[W12]菜[W12]の[W12]手[W12]の[W12]ひ[W12]ら[W12]が、[W12] 俺[W12]の[W12]手[W12]に[W12]重[W12]ね[W12]ら[W12]れ[W12]る。 | ||||
197 | そ[W10]し[W10]て[W10]今[W10]の[W10]俺[W10]に[W10]は、[W10] そ[W10]の[W10]手[W10]を[W10]離[W10]す[W10]気[W10]持[W10]ち[W10]も、[W10] 握[W10]り[W10]返[W10]す[W10]勇[W10]気[W10]も[W10]持[W10]て[W10]な[W10]い[W10]で[W10]い[W10]た。 | ||||
198 | け[W10]れ[W10]ど、[W10]今[W10]は[W10]冬。[W10] 俺[W10]た[W10]ち[W10]の[W10]時[W10]間[W10]は、[W10]必[W10]ず[W10]ま[W10]た[W10]動[W10]き[W10]出[W10]す。 | ||||
199 | 雪[W10][W10]の[W10]降[W10]る[W10]日[W10]に[W10]俺[W10]た[W10]ち[W10]は[W10]近[W10]づ[W10]き、[W10] 雪[W10]の[W10]降[W10]る[W10]夜[W10]に[W10]俺[W10]た[W10]ち[W10]は[W10]傷[W10]つ[W10]き。 | ||||
200 | そ[W10]し[W10]て[W10]今[W10]日、[W10]雪[W10]の[W10]降[W10]る[W10]夜[W10]明[W10]け[W10]に…[W10] 俺[W10]た[W10]ち[W10]は、[W10]ど[W10]ん[W10]な[W10]関[W10]係[W10]を[W10]築[W10]い[W10]て[W10]い[W10]く[W10]ん[W10]だ[W10]ろ[W10]う。 | ||||
201 | …[W10]…[W10]… |
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Introductory Chapter | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
1001 | 1008 | 1009 | 1010 | 1011 | 1012 | 1013 |
1002 | 1008_020 | 1009_020 | 1010_020 | 1011_020 | 1012_020 | |
1003 | 1008_030 | 1009_030 | 1010_030 | 1011_030 | 1012_030 | |
1004 | 1008_040 | 1010_040 | 1012_030_2 | |||
1005 | 1008_050 | 1010_050 | ||||
1006 | 1010_060 | |||||
1006_2 | 1010_070 | |||||
1007 |
Closing Chapter | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Common | Setsuna | Koharu | Chiaki | Mari | ||||||
2001 | 2011 | 2020 | 2027 | 2301 | 2309 | 2316 | 2401 | 2408 | 2501 | 2510 |
2002 | 2012 | 2021 | 2028 | 2302 | 2310 | 2317 | 2402 | 2409 | 2502 | 2511 |
2003 | 2013 | 2022 | 2029 | 2303 | 2311 | 2318 | 2403 | 2410 | 2503 | 2512 |
2004 | 2014 | 2023 | 2030 | 2304 | 2312 | 2319 | 2404 | 2411 | 2504 | 2513 |
2005 | 2015 | 2024 | 2031 | 2305 | 2313 | 2320 | 2405 | 2412 | 2505 | 2514 |
2006 | 2016 | 2025 | 2032 | 2306 | 2314 | 2321 | 2406 | 2413 | 2506 | 2515 |
2007 | 2017 | 2026 | 2033 | 2307 | 2315 | 2322 | 2407 | 2507 | 2516 | |
2008 | 2018 | 2308 | 2508 | 2517 | ||||||
2009 | 2019 | 2509 | ||||||||
2010 | ||||||||||
Setsuna | Koharu | Chiaki | Mari | |||||||
2031_2 | 2312_2 | 2401_2 | 2504_2 | 2511_2 | ||||||
2031_3 | 2313_2 | 2402_2 | 2507_2 | 2513_2 | ||||||
2031_4 | 2313_3 | 2402_3 |
Coda | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Common | Kazusa (True) | Setsuna (True) | Kazusa (Normal) | ||||||
3001 | 3008 | 3014_2 | 3020 | 3101 | 3107 | 3201 | 3207 | 3901 | 3907 |
3002 | 3009 | 3014_3 | 3021 | 3102 | 3108 | 3202 | 3208 | 3902 | 3908 |
3003 | 3010 | 3015 | 3022 | 3103 | 3109 | 3203 | 3209 | 3903 | 3909 |
3004 | 3011 | 3016 | 3023 | 3104 | 3110 | 3204 | 3210 | 3904 | |
3005 | 3012 | 3017 | 3024 | 3105 | 3111 | 3205 | 3211 | 3905 | |
3006 | 3013 | 3018 | 3106 | 3206 | 3906 | ||||
3007 | 3014 | 3019 | |||||||
Common | Setsuna (True) | Kazusa (Normal) | |||||||
3001_2 | 3210_2 | 3901_2 | 3906_2 | ||||||
3015_2 | 3902_2 | 3907_2 | |||||||
3902_3 | 3907_3 | ||||||||
3904_2 |
Mini After Story and Extra Episode | |||
---|---|---|---|
The Path Back to Happiness | The Path Forward to Happiness | Dear Mortal Enemy | |
6001 | 6101 | 4000 | 4005 |
6002 | 6102 | 4001 | 4006 |
6003 | 6103 | 4002 | 4007 |
6004 | 6104 | 4003 | 4008 |
6005 | 4004 | 4009 |
Novels | |||||
---|---|---|---|---|---|
The Snow Melts, And Until The Snow Falls | The Idol Who Forgot How to Sing | Twinkle Snow ~Reverie~ | After the Festival ~Setsuna's Thirty Minutes~ | His God, Her Savior | |
5000 | 5100 | 5200 | 5205 | 5300 | 5400 |
5001 | 5101 | 5201 | 5206 | 5301 | 5401 |
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