Tomoyo After:SEEN7950

From Baka-Tsuki
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// #character '側近'
#character 'Aide'

// #character '河南子'
#character 'Kanako'

// #character '鷹文'
#character 'Takafumi'

// #character '朋也'
#character 'Tomoya'


// <0000> 彼らがいなくなって…
<0000> 彼らがいなくなって…

// <0001> 長い、永遠のような10秒がすぎた。
<0001> 長い、永遠のような10秒がすぎた。

// <0002> 世界は…変わらなかった。
<0002> 世界は…変わらなかった。

// <0003> 今も大陸は人が治めていた。
<0003> 今も大陸は人が治めていた。

// <0004> 獣人なんて、見あたりはしなかった。
<0004> 獣人なんて、見あたりはしなかった。

// <0005> そして、鷹文も世界から消えていた。
<0005> そして、鷹文も世界から消えていた。

// <0006> その後あたしは、古い歴史書より知ることになる。
<0006> その後あたしは、古い歴史書より知ることになる。

// <0007> ――かつて、獣人と呼ばれる種族が大陸中央部で発生した。
<0007> ――かつて、獣人と呼ばれる種族が大陸中央部で発生した。

// <0008> 原因はいまだもって不明である。
<0008> 原因はいまだもって不明である。

// <0009> 人間の突然変異とも、別の進化体とも言われているが、定かではない。
<0009> 人間の突然変異とも、別の進化体とも言われているが、定かではない。

// <0010> 今からおよそ千年前、獣人との種族間闘争により、人類は滅亡しかかっていた。
<0010> 今からおよそ千年前、獣人との種族間闘争により、人類は滅亡しかかっていた。

// <0011> 瞬く間に、大陸中央部と東部は獣人に支配された。
<0011> 瞬く間に、大陸中央部と東部は獣人に支配された。

// <0012> 当時人類の中心地であった西部地方だけが辛うじて踏みとどまっていた。
<0012> 当時人類の中心地であった西部地方だけが辛うじて踏みとどまっていた。

// <0013> 各国の軍勢を打ち破っていく最中、大陸西部の港町で攻め入った獣人軍と義勇兵団が対峙した。
<0013> 各国の軍勢を打ち破っていく最中、大陸西部の港町で攻め入った獣人軍と義勇兵団が対峙した。

// <0014> 大方の予想を裏切り、港町の義勇兵団は獣人軍を打ち破った。
<0014> 大方の予想を裏切り、港町の義勇兵団は獣人軍を打ち破った。

// <0015> この戦争で、戦術的に勝利した最初のケースである。
<0015> この戦争で、戦術的に勝利した最初のケースである。

// <0016> その余勢で、兵団は南部の大都市へと攻め入り、一週間足らずで大都市を奪回した。
<0016> その余勢で、兵団は南部の大都市へと攻め入り、一週間足らずで大都市を奪回した。

// <0017> 東部へ攻め入る拠点を入手し、人類の反撃が始まった。
<0017> 東部へ攻め入る拠点を入手し、人類の反撃が始まった。

// <0018> 義勇兵団は国王に迎えられ、戦地へと赴いた。
<0018> 義勇兵団は国王に迎えられ、戦地へと赴いた。

// <0019> 資料に残っている人物はたった四名。彼らは全ての戦力援助を断り、保有戦力だけで戦い抜いたとされる。
<0019> 資料に残っている人物はたった四名。彼らは全ての戦力援助を断り、保有戦力だけで戦い抜いたとされる。

// <0020> もっとも、彼ら以外の軍備は壊滅し、未だに戦力として成り立っていなかったためでもある。
<0020> もっとも、彼ら以外の軍備は壊滅し、未だに戦力として成り立っていなかったためでもある。

// <0021> 義勇兵団は魔法使い「とも」が団長となり、魔法により大量の「鷹文」を作り出した。
<0021> 義勇兵団は魔法使い「とも」が団長となり、魔法により大量の「鷹文」を作り出した。

// <0022> オリジナル、と呼ばれた「鷹文」が兵団を指揮し、比類なき統率力を発揮したとある。
<0022> オリジナル、と呼ばれた「鷹文」が兵団を指揮し、比類なき統率力を発揮したとある。

// <0023> 全てが同じ顔の「鷹文」たちは、当初住民や義勇兵に訝しげな目で見られたが、活躍が知れ渡るとそれもなくなった。
<0023> 全てが同じ顔の「鷹文」たちは、当初住民や義勇兵に訝しげな目で見られたが、活躍が知れ渡るとそれもなくなった。

// <0024> 各地で「鷹文」は歓喜をもって迎えられた。
<0024> 各地で「鷹文」は歓喜をもって迎えられた。

// <0025> また、「鷹文」を守護し、分隊を指揮した近衛騎士が二人いた。
<0025> また、「鷹文」を守護し、分隊を指揮した近衛騎士が二人いた。

// <0026> それぞれ「智代」、「朋也」という。
<0026> それぞれ「智代」、「朋也」という。

// <0027> それぞれ「智代」、「朋也」という。
<0027> それぞれ「智代」、「朋也」という。

// <0028> 「朋也」は人でありながら、妖魔を従えていたと伝えられている。
<0028> 「朋也」は人でありながら、妖魔を従えていたと伝えられている。

// <0029> 半年ほど経過したころ、戦況は最悪の状態を脱出した。
<0029> 半年ほど経過したころ、戦況は最悪の状態を脱出した。

// <0030> 魔法により生み出された鷹文が戦線を維持し、軍団を食い止める。
<0030> 魔法により生み出された鷹文が戦線を維持し、軍団を食い止める。

// <0031> 勝つ必要はなく、ただ破られなければ良いという、形を変えた篭城作戦を展開していた。
<0031> 勝つ必要はなく、ただ破られなければ良いという、形を変えた篭城作戦を展開していた。

// <0032> 発案者は「智代」と「朋也」で、彼ら二人は各地を駆け巡り、戦線の指揮指導と運用に当たっていた。
<0032> 発案者は「智代」と「朋也」で、彼ら二人は各地を駆け巡り、戦線の指揮指導と運用に当たっていた。

// <0033> 更に一年が経過した。
<0033> 更に一年が経過した。

// <0034> 人類側は、守備において互角以上の戦闘力を手に入れていた。
<0034> 人類側は、守備において互角以上の戦闘力を手に入れていた。

// <0035> 獣人は更なる人員増強で莫大な戦力を核となる拠点に投入した。
<0035> 獣人は更なる人員増強で莫大な戦力を核となる拠点に投入した。

// <0036> 「鷹文」たち主力部隊は、その拠点をひとつずつ攻撃し、占拠することで領土奪回を図った。
<0036> 「鷹文」たち主力部隊は、その拠点をひとつずつ攻撃し、占拠することで領土奪回を図った。

// <0037> 「鷹文」の指揮と、それに呼応するように戦場を駆け巡った「智代」と「朋也」は、当時の吟遊詩人が唄うほど勇猛果敢だったと伝えられる。
<0037> 「鷹文」の指揮と、それに呼応するように戦場を駆け巡った「智代」と「朋也」は、当時の吟遊詩人が唄うほど勇猛果敢だったと伝えられる。

// <0038> 最も戦闘が激しかったのは、大陸西南部に位置する山脈越えの攻防と、中央部平野での衝突だろう。
<0038> 最も戦闘が激しかったのは、大陸西南部に位置する山脈越えの攻防と、中央部平野での衝突だろう。

// <0039> 一進一退を繰り返し、大陸中央部の拠点確立に成功したのは、義勇兵団結成から既に数年を過ぎていた。
<0039> 一進一退を繰り返し、大陸中央部の拠点確立に成功したのは、義勇兵団結成から既に数年を過ぎていた。

// <0040> 獣人の軍団は、東征軍の撤退を決定した。
<0040> 獣人の軍団は、東征軍の撤退を決定した。

// <0041> 全ての戦力を西部への反撃に備えるためである。
<0041> 全ての戦力を西部への反撃に備えるためである。

// <0042> 今までにない未曾有の大軍を要した獣人たちは、着々と反撃の機会をうかがっていた。
<0042> 今までにない未曾有の大軍を要した獣人たちは、着々と反撃の機会をうかがっていた。

// <0043> 情報を掴んだ「鷹文」は、すぐさま全面攻勢の決断をした。
<0043> 情報を掴んだ「鷹文」は、すぐさま全面攻勢の決断をした。

// <0044> 結論を言えば、人類側の辛勝に終わる。
<0044> 結論を言えば、人類側の辛勝に終わる。

// <0045> 獣人の本拠地に設営された魔法器の封印に成功したためだ。
<0045> 獣人の本拠地に設営された魔法器の封印に成功したためだ。

// <0046> これにより獣人は兵力増強の術を失う。
<0046> これにより獣人は兵力増強の術を失う。

// <0047> また、獣人の主力部隊は全面衝突による消耗戦に持ち込まれ壊滅した。
<0047> また、獣人の主力部隊は全面衝突による消耗戦に持ち込まれ壊滅した。

// <0048> 主力の大部分を失った獣人の軍団は四散し、漸く立て直しを図りつつあった各国の軍勢の各個撃破を受け、掃討された。
<0048> 主力の大部分を失った獣人の軍団は四散し、漸く立て直しを図りつつあった各国の軍勢の各個撃破を受け、掃討された。

// <0049> 兵団はほぼ全ての兵力を失い、二度と再軍備されなかった。
<0049> 兵団はほぼ全ての兵力を失い、二度と再軍備されなかった。

// <0050> オリジナルの「鷹文」が戦死したためである。
<0050> オリジナルの「鷹文」が戦死したためである。

// <0051> 全面攻勢と意図的な消耗戦は「鷹文」の立案であったが、末端までの指揮に不安があった。
<0051> 全面攻勢と意図的な消耗戦は「鷹文」の立案であったが、末端までの指揮に不安があった。

// <0052> そのため後方で軍の統括をしていたオリジナルが、やむなく陣頭指揮を行った。
<0052> そのため後方で軍の統括をしていたオリジナルが、やむなく陣頭指揮を行った。

// <0053> 結果的に作戦は成功を収めるが、それ故の戦死であった。
<0053> 結果的に作戦は成功を収めるが、それ故の戦死であった。

// <0054> また「智代」と「朋也」もこの戦闘の最中に相次いで戦死した。
<0054> また「智代」と「朋也」もこの戦闘の最中に相次いで戦死した。

// <0055> 常に最前線へ立ち続けた「智代」と「朋也」は、鷹文たちの嘆きと感謝に包まれた、と伝えられる。
<0055> 常に最前線へ立ち続けた「智代」と「朋也」は、鷹文たちの嘆きと感謝に包まれた、と伝えられる。

// <0056> 主を失った妖魔は、復讐の為からか激戦地に突撃を繰り返すものの、辛うじて生き残った。
<0056> 主を失った妖魔は、復讐の為からか激戦地に突撃を繰り返すものの、辛うじて生き残った。

// <0057> 戦後、妖魔は英雄として各国から迎え入れられる。
<0057> 戦後、妖魔は英雄として各国から迎え入れられる。

// <0058> だが、功績を称えられ建立された「朋也」の墓に愛用の武具を捧げると、そのまま姿を消したと伝えられる。
<0058> だが、功績を称えられ建立された「朋也」の墓に愛用の武具を捧げると、そのまま姿を消したと伝えられる。

// <0059> 魔力こそ消散しているが、星型の武具は今でも現存している。
<0059> 魔力こそ消散しているが、星型の武具は今でも現存している。

// <0060> その後、数十年にわたり「獣人狩り」と呼ばれる時代が続き、獣人は絶滅することとなる。
<0060> その後、数十年にわたり「獣人狩り」と呼ばれる時代が続き、獣人は絶滅することとなる。

// <0061> 現在にいたるまで、獣人の再発見は伝えられていない…。
<0061> 現在にいたるまで、獣人の再発見は伝えられていない…。

// <0062> ――世界を救った「鷹文」たちは、ごく僅かだが生き残っていた。
<0062> ――世界を救った「鷹文」たちは、ごく僅かだが生き残っていた。

// <0063> 戦争終結後、鷹文は各国の魔法使い、それも高位の者たちにこぞって保護された。
<0063> 戦争終結後、鷹文は各国の魔法使い、それも高位の者たちにこぞって保護された。

// <0064> 目的は、鷹文の再生産にあった。
<0064> 目的は、鷹文の再生産にあった。

// <0065> 誰もが成しえなかった獣人の駆逐に成功した鷹文たちは、力の均衡を壊す恐怖と欲望から研究の対象となる。
<0065> 誰もが成しえなかった獣人の駆逐に成功した鷹文たちは、力の均衡を壊す恐怖と欲望から研究の対象となる。

// <0066> だが、成功はしなかった。
<0066> だが、成功はしなかった。

// <0067> ともの魔法は鷹文の生産に特化しており、とももまた口を閉ざし国を出奔、隠遁してしまう。
<0067> ともの魔法は鷹文の生産に特化しており、とももまた口を閉ざし国を出奔、隠遁してしまう。

// <0068> なお、ともの正体については諸説存在する。
<0068> なお、ともの正体については諸説存在する。

// <0069> 地方の口伝や公文書などに記載された情報を元にすれば、五歳程度の容姿をしていたとなる。
<0069> 地方の口伝や公文書などに記載された情報を元にすれば、五歳程度の容姿をしていたとなる。

// <0070> 鷹文を作り出し、獣人を殲滅させた強大な魔力を持っていたのは事実であろうが、未だもって詳細は不明である。
<0070> 鷹文を作り出し、獣人を殲滅させた強大な魔力を持っていたのは事実であろうが、未だもって詳細は不明である。

// <0071> 鷹文の生成法については近しい者にのみ口頭で伝えた、という。
<0071> 鷹文の生成法については近しい者にのみ口頭で伝えた、という。

// <0072> 乏しい情報を元に研究は進められた。
<0072> 乏しい情報を元に研究は進められた。

// <0073> だが、作られたのは、感情を持たない人形のような鷹文だった。
<0073> だが、作られたのは、感情を持たない人形のような鷹文だった。

// <0074> そして、当ての無い研究は次第に頓挫し、いつしか複製技術すら失ってしまうこととなる。
<0074> そして、当ての無い研究は次第に頓挫し、いつしか複製技術すら失ってしまうこととなる。

// <0075> 現存する複製された鷹文は大陸全土に数体を残すのみである。
<0075> 現存する複製された鷹文は大陸全土に数体を残すのみである。

// <0076> 今では、装飾や風体が当時の文化を伝える資料として活用されている。
<0076> 今では、装飾や風体が当時の文化を伝える資料として活用されている。

// <0077> その後も、あたしは、ひたすら歴史書を読んだ。
<0077> その後も、あたしは、ひたすら歴史書を読んだ。

// <0078> そして、すべての過去を知って、やるべきことを見つけ、あたしは変わった。
<0078> そして、すべての過去を知って、やるべきことを見つけ、あたしは変わった。

// <0079> まず、下手ないいわけをして避けていた執務から逃げないようにした。
<0079> まず、下手ないいわけをして避けていた執務から逃げないようにした。

// <0080> 壁に当たると、先人の知恵を請うた。
<0080> 壁に当たると、先人の知恵を請うた。

// <0081> 自分を厳しく律し、判断力と、人を見る目を養った。
<0081> 自分を厳しく律し、判断力と、人を見る目を養った。

// <0082> 常に公平な態度とはなんだろうか、と考え、行動した。
<0082> 常に公平な態度とはなんだろうか、と考え、行動した。

// <0083> すべては国を率いるため、目的を達成するために必要なことだった。
<0083> すべては国を率いるため、目的を達成するために必要なことだった。

// <0084> 市民と下級兵からの支持を得るために、軍務においては先頭に立って戦った。
<0084> 市民と下級兵からの支持を得るために、軍務においては先頭に立って戦った。

// <0085> 教育に力を入れ、国力を増強することにも成功した。
<0085> 教育に力を入れ、国力を増強することにも成功した。

// <0086> 姫の気まぐれだろうと軽く考えていた人たちも、いつかあたしを認めてくれるようになっていた。
<0086> 姫の気まぐれだろうと軽く考えていた人たちも、いつかあたしを認めてくれるようになっていた。

// <0087> 数年後、国王である父があたしへ地位を譲ると宣言した。
<0087> 数年後、国王である父があたしへ地位を譲ると宣言した。

// <0088> その継承ですら、異を唱える者は誰ひとりとしていなかった。
<0088> その継承ですら、異を唱える者は誰ひとりとしていなかった。

// <0089> 皆が成長したあたしの姿を喜び、認めてくれた。
<0089> 皆が成長したあたしの姿を喜び、認めてくれた。

// <0090> ただ、その時のあたしには軽い安堵しかなかった。
<0090> ただ、その時のあたしには軽い安堵しかなかった。

// <0091> あたしは、兼ねてから考えていた王立博物館を作る計画を立てた。
<0091> あたしは、兼ねてから考えていた王立博物館を作る計画を立てた。

// <0092> 王女時代から撒いていた種が簡単に話を実らせた。
<0092> 王女時代から撒いていた種が簡単に話を実らせた。

// <0093> あたしが陣頭に立ち、各国と交渉を行い、美術品や貴重な調度品などを収集・発掘に当たった。
<0093> あたしが陣頭に立ち、各国と交渉を行い、美術品や貴重な調度品などを収集・発掘に当たった。

// <0094> 国内を離れ、発掘現場まで赴くことも日常的なこととなった。
<0094> 国内を離れ、発掘現場まで赴くことも日常的なこととなった。

// <0095> 計画立案から一年が過ぎた頃、ようやく目的を達成することができた、と思った。
<0095> 計画立案から一年が過ぎた頃、ようやく目的を達成することができた、と思った。

// <0096> それはすでに滅亡した隣国の砦から発見され、民族調度のように祭られていた。
<0096> それはすでに滅亡した隣国の砦から発見され、民族調度のように祭られていた。

// <0097> それが、鷹文だった。
<0097> それが、鷹文だった。

// <0098> すべての目的は、鷹文を探すことだった。
<0098> すべての目的は、鷹文を探すことだった。

// <0099> そのために歯を食いしばってなんだって耐えてきたのだ。
<0099> そのために歯を食いしばってなんだって耐えてきたのだ。

// <0100> だが…
<0100> だが…

// <0101> \側近「すでに…亡骸ですな…」
<0101> \Aide「すでに…亡骸ですな…」

// <0102> \河南子「そんな…」
<0102> \Kanako「そんな…」

// <0103> 鷹文は動かない。
<0103> 鷹文は動かない。

// <0104> 物言わぬ人形となり、朽ち果てていた。
<0104> 物言わぬ人形となり、朽ち果てていた。

// <0105> それでも希望を失わず、あたしは探索を続けた。
<0105> それでも希望を失わず、あたしは探索を続けた。

// <0106> それからも何度も、何度も鷹文を見つけた。
<0106> それからも何度も、何度も鷹文を見つけた。

// <0107> …すべて亡骸だった。
<0107> …すべて亡骸だった。

// <0108> 気がつくと、王立博物館は、各国から一目見ようと押し寄せるまでに成長していた。
<0108> 気がつくと、王立博物館は、各国から一目見ようと押し寄せるまでに成長していた。

// <0109> 心配顔の側近は、そろそろ鷹文の探索を止めてはどうかと持ちかけてきたが、頑なに拒んだ。
<0109> 心配顔の側近は、そろそろ鷹文の探索を止めてはどうかと持ちかけてきたが、頑なに拒んだ。

// <0110> 縁談すら持ち込まれたが、剣を振るいちょっと説得すると、それも止んだ。
<0110> 縁談すら持ち込まれたが、剣を振るいちょっと説得すると、それも止んだ。

// <0111> それでも、強い意志だけで自分を支えるのは、ひどく疲れることだった。
<0111> それでも、強い意志だけで自分を支えるのは、ひどく疲れることだった。

// <0112> そんな折に、最西部の小国から、鷹文によく似た体が見つかった、との情報が入った。
<0112> そんな折に、最西部の小国から、鷹文によく似た体が見つかった、との情報が入った。

// <0113> あたしは騎兵団長に指示を飛ばし、誰よりも早く駆けつけた。
<0113> あたしは騎兵団長に指示を飛ばし、誰よりも早く駆けつけた。

// <0114> そこは楽園のような場所だった。
<0114> そこは楽園のような場所だった。

// <0115> 緑豊かで、空気も澄み切っていた。
<0115> 緑豊かで、空気も澄み切っていた。

// <0116> 見上げれば真っ白な鳥が。その向こうには、高くそびえる建造物が遺跡として残っていた。
<0116> 見上げれば真っ白な鳥が。その向こうには、高くそびえる建造物が遺跡として残っていた。

// <0117> びっしりと苔が生え、蔦が走り、それ自体がこの自然に育まれた生き物のようにも映る。
<0117> びっしりと苔が生え、蔦が走り、それ自体がこの自然に育まれた生き物のようにも映る。

// <0118> 近づいていくと、小鳥たちがいっせいに飛び立つ。
<0118> 近づいていくと、小鳥たちがいっせいに飛び立つ。

// <0119> その後には、大木にもたれるようにして人の姿が。
<0119> その後には、大木にもたれるようにして人の姿が。

// <0120> それが…ずっと会いたい人だった。
<0120> それが…ずっと会いたい人だった。

// <0121> あたしは騎兵団長に人払いを頼み、鷹文とふたりきりになる。
<0121> あたしは騎兵団長に人払いを頼み、鷹文とふたりきりになる。

// <0122> 蔦に絡んだ鷹文を小刀で切り開き、ゆすり起こす。
<0122> 蔦に絡んだ鷹文を小刀で切り開き、ゆすり起こす。

// <0123> \河南子「ねぇ…」
<0123> \Kanako「ねぇ…」

// <0124> \河南子「起きて…」
<0124> \Kanako「起きて…」

// <0125> \鷹文「………」
<0125> \Takafumi「………」

// <0126> その目が開いた。
<0126> その目が開いた。

// <0127> けど、焦点が合わないでいる。
<0127> けど、焦点が合わないでいる。

// <0128> 目が…見えないのか。
<0128> 目が…見えないのか。

// <0129> \河南子「あたしを…覚えてる?」
<0129> \Kanako「あたしを…覚えてる?」

// <0130> そう訊いた。
<0130> そう訊いた。

// <0131> \鷹文「………」
<0131> \Takafumi「………」

// <0132> \鷹文「ざんねんながら、あなたがだれなのかは…しらない」
<0132> \Takafumi「ざんねんながら、あなたがだれなのかは…しらない」

// <0133> \河南子「それはきっと、目が見えないせい」
<0133> \Kanako「それはきっと、目が見えないせい」

// <0134> \河南子「目が見えたら、思い出すよ」
<0134> \Kanako「目が見えたら、思い出すよ」

// <0135> \鷹文「ざんねんながら、あなたがだれなのかは…しらない」
<0135> \Takafumi「ざんねんながら、あなたがだれなのかは…しらない」

// <0136> \河南子「河南子っていうんだよ…」
<0136> \Kanako「河南子っていうんだよ…」

// <0137> \河南子「本当に覚えは…ない?」
<0137> \Kanako「本当に覚えは…ない?」

// <0138> \鷹文「ざんねんながら」
<0138> \Takafumi「ざんねんながら」

// <0139> \河南子「そ…」
<0139> \Kanako「そ…」

// <0140> \鷹文「ただ、われわれにそのなをなのったものにこたえるべきことばはある」
<0140> \Takafumi「ただ、われわれにそのなをなのったものにこたえるべきことばはある」

// <0141> \河南子「え…」
<0141> \Kanako「え…」

// <0142> \鷹文「ただ、ひとこと」
<0142> \Takafumi「ただ、ひとこと」

// <0143> \鷹文「ただいま、と」
<0143> \Takafumi「ただいま、と」

// <0144> 時間が止まった気がした。
<0144> 時間が止まった気がした。

// <0145> すべてが、あの頃のままで…
<0145> すべてが、あの頃のままで…

// <0146> 今も鷹文がそばにいる…そんな永遠の中にいる気がした。
<0146> 今も鷹文がそばにいる…そんな永遠の中にいる気がした。

// <0147> でも、この『今』こそが、彼が残してくれたもの。
<0147> でも、この『今』こそが、彼が残してくれたもの。

// <0148> なら…あたしは進もう。
<0148> なら…あたしは進もう。

// <0149> \河南子「おかえり、鷹文」
<0149> \Kanako「おかえり、鷹文」

// <0150> \河南子「ずっと待っていてくれて…ありがとう」
<0150> \Kanako「ずっと待っていてくれて…ありがとう」

// <0151> \河南子「そして…おつかれさま」
<0151> \Kanako「そして…おつかれさま」

// <0152> \河南子「もう終わりだよ…」
<0152> \Kanako「もう終わりだよ…」

// <0153> \河南子「もう待ってなくていいんだよ…」
<0153> \Kanako「もう待ってなくていいんだよ…」

// <0154> \河南子「これからはずっとあたしがそばにいるから…」
<0154> \Kanako「これからはずっとあたしがそばにいるから…」

// <0155> \河南子「ね…」
<0155> \Kanako「ね…」

// <0156> \河南子「だから、もういいんだよ…」
<0156> \Kanako「だから、もういいんだよ…」

// <0157> \河南子「だから…」
<0157> \Kanako「だから…」

// <0158> \河南子「…おやすみ、鷹文」
<0158> \Kanako「…おやすみ、鷹文」

// <0159> \河南子「どうだっ、渾身の一作だったでしょっ」
<0159> \Kanako「どうだっ、渾身の一作だったでしょっ」

// <0160> \河南子「って、誰もいねぇーー!?」
<0160> \Kanako「って、誰もいねぇーー!?」

// <0161> \朋也「そんなのぶっ通しでクリアできる暇人、おまえぐらいだからな」
<0161> \Tomoya「そんなのぶっ通しでクリアできる暇人、おまえぐらいだからな」

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