Tomoyo After:SEEN0720
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// Resources for SEEN0720.TXT // #character '朋也' #character 'Tomoya' // #character '子供' #character 'Child' // #character '河南子' #character 'Kanako' // #character '鷹文' #character 'Takafumi' // #character '智代' #character 'Tomoyo' // <0000> 7月20日(火) <0000> July 20th (Tue) // <0001> 炎天下。 <0001> 炎天下。 // <0002> 陽射しは厳しく、じりじりと肌を焦がす。 <0002> 陽射しは厳しく、じりじりと肌を焦がす。 // <0003> \{朋也}「…あっちー」 <0003> \{Tomoya}「…あっちー」 // <0004> 止めどなく流れ落ちる汗を、首に巻いたタオルで顔を拭う。 <0004> 止めどなく流れ落ちる汗を、首に巻いたタオルで顔を拭う。 // <0005> 野積みしてある回収品を整理する仕事は、盛夏には最も辛い作業だ。 <0005> 野積みしてある回収品を整理する仕事は、盛夏には最も辛い作業だ。 // <0006> 蝉の鳴き声に混じって甲高い声が響く。 <0006> 蝉の鳴き声に混じって甲高い声が響く。 // <0007> \{朋也}「またか」 <0007> \{Tomoya}「またか」 // <0008> \{朋也}「ほらほら、危ないから入っちゃ駄目だぞ」 <0008> \{Tomoya}「ほらほら、危ないから入っちゃ駄目だぞ」 // <0009> 声のする方へ向けて言い放つ。 <0009> 声のする方へ向けて言い放つ。 // <0010> \{子供}「うわー、にげろー」 <0010> \{Child}「うわー、にげろー」 // <0011> 一目散に逃げていく。 <0011> 一目散に逃げていく。 // <0012> ゴミの山は面白いのか、時々子供が入り込んでは遊び場にしている。 <0012> ゴミの山は面白いのか、時々子供が入り込んでは遊び場にしている。 // <0013> 見つけては追い出しているのだが、後を絶つことはなかった。 <0013> 見つけては追い出しているのだが、後を絶つことはなかった。 // <0014> 戻ろうとして、ふと足を止めた。 <0014> 戻ろうとして、ふと足を止めた。 // <0015> 時刻は昼前、曜日は平日。 <0015> 時刻は昼前、曜日は平日。 // <0016> こんな時間に小学生が遊んでいるわけは… <0016> こんな時間に小学生が遊んでいるわけは… // <0017> \{朋也}(あ…そうか) <0017> \{Tomoya}(あ…そうか) // <0018> …夏休みなんだ。 <0018> …夏休みなんだ。 // <0019> ぐうたらと過ごしていた昔を思い出す。 <0019> ぐうたらと過ごしていた昔を思い出す。 // <0020> 戻りたいとは思わなかった。 <0020> 戻りたいとは思わなかった。 // <0021> 今がそれほど悪いわけじゃない。 <0021> 今がそれほど悪いわけじゃない。 // <0022> 慎ましく、小さくても、がんばって生きていたから。 <0022> 慎ましく、小さくても、がんばって生きていたから。 // <0023> \{河南子}「よし、いざダンジョンへっ」 <0023> \{Kanako}「よし、いざダンジョンへっ」 // <0024> 河南子が唐突に切り出す。 <0024> 河南子が唐突に切り出す。 // <0025> \{朋也}「は?」 <0025> \{Tomoya}「は?」 // <0026> \{河南子}「夏休みだよっ、ダンジョンにいかなくて他に何すんだよっ」 <0026> \{Kanako}「夏休みだよっ、ダンジョンにいかなくて他に何すんだよっ」 // <0027> \{朋也}「ダンジョンってなんだよ」 <0027> \{Tomoya}「ダンジョンってなんだよ」 // <0028> \{河南子}「ロールプレイングゲームの舞台」 <0028> \{Kanako}「ロールプレイングゲームの舞台」 // <0029> \{朋也}「どこにあんだよ」 <0029> \{Tomoya}「どこにあんだよ」 // <0030> \{河南子}「そのパソコンの中に」 <0030> \{Kanako}「そのパソコンの中に」 // <0031> 鷹文のパソコンを指さす河南子。 <0031> 鷹文のパソコンを指さす河南子。 // <0032> \{鷹文}「えぇっ?」 <0032> \{Takafumi}「えぇっ?」 // <0033> \{河南子}「RPGっぽいの動かしてただろ、はい、河南見ました」 <0033> \{Kanako}「RPGっぽいの動かしてただろ、はい、河南見ました」 // <0034> \{鷹文}「あれは、こういうこともできるっていうプレゼン用で、遊ぶためのものじゃないし…」 <0034> \{Takafumi}「あれは、こういうこともできるっていうプレゼン用で、遊ぶためのものじゃないし…」 // <0035> \{鷹文}「キャラもAIでしか動かないし…」 <0035> \{Takafumi}「キャラもAIでしか動かないし…」 // <0036> \{河南子}「え? 遊べないの?」 <0036> \{Kanako}「え? 遊べないの?」 // <0037> \{鷹文}「動くっちゃ、動くけど…中身がないんだよ、ストーリーとか」 <0037> \{Takafumi}「動くっちゃ、動くけど…中身がないんだよ、ストーリーとか」 // <0038> \{河南子}「ストーリー…シナリオってこと?」 <0038> \{Kanako}「ストーリー…シナリオってこと?」 // <0039> \{鷹文}「すでに嫌な予感がするよ」 <0039> \{Takafumi}「すでに嫌な予感がするよ」 // <0040> \{河南子}「あたしをシナリオライターとして雇え」 <0040> \{Kanako}「あたしをシナリオライターとして雇え」 // <0041> \{鷹文}「金取るのかよっ」 <0041> \{Takafumi}「金取るのかよっ」 // <0042> \{河南子}「ぜってー面白くするからさっ、売れるよ、ドラクエなんて目じゃないからっ」 <0042> \{Kanako}「ぜってー面白くするからさっ、売れるよ、ドラクエなんて目じゃないからっ」 // <0043> \{鷹文}「絶対内輪受けしかしない、わけわかんないの書くような気がするよ…」 <0043> \{Takafumi}「絶対内輪受けしかしない、わけわかんないの書くような気がするよ…」 // <0044> \{河南子}「そんなことないよ、メジャーなの書くからさ、しかも泣けるのっ、四国中の人たちが泣いた!って銘打てるぐらいのっ」 <0044> \{Kanako}「そんなことないよ、メジャーなの書くからさ、しかも泣けるのっ、四国中の人たちが泣いた!って銘打てるぐらいのっ」 // <0045> \{鷹文}「なんでそんな局地的なんだよ…」 <0045> \{Takafumi}「なんでそんな局地的なんだよ…」 // <0046> \{河南子}「ね、RPG~」 <0046> \{Kanako}「ね、RPG~」 // <0047> \{鷹文}「う~ん…」 <0047> \{Takafumi}「う~ん…」 // <0048> \{河南子}「あんたもしたいよね?」 <0048> \{Kanako}「あんたもしたいよね?」 // <0049> 俺も味方につけようと、輝かせた顔をこちらに向ける。 <0049> 俺も味方につけようと、輝かせた顔をこちらに向ける。 // <0050> したい <0050> したい // <0051> したくない <0051> したくない // <0052> \{朋也}「したい」 <0052> \{Tomoya}「したい」 // <0053> \{河南子}「ほら、みろー!! みんなしたいんだよ、このばーーーかっ!!」 <0053> \{Kanako}「ほら、みろー!! みんなしたいんだよ、このばーーーかっ!!」 // <0054> \{鷹文}「なんでそこまでくそみそに言われるのかよくわかんないけど、にぃちゃんまでしたいって言うんなら、仕方ないね…」 <0054> \{Takafumi}「なんでそこまでくそみそに言われるのかよくわかんないけど、にぃちゃんまでしたいって言うんなら、仕方ないね…」 // <0055> \{河南子}「よし、いざ、ダンジョンへ!」 <0055> \{Kanako}「よし、いざ、ダンジョンへ!」 // <0056> \{鷹文}「いや、まだ準備できてないから」 <0056> \{Takafumi}「いや、まだ準備できてないから」 // <0057> \{朋也}「したくない」 <0057> \{Tomoya}「したくない」 // <0058> \{河南子}「なんでだよー、RPGいいじゃん、RPGー」 <0058> \{Kanako}「なんでだよー、RPGいいじゃん、RPGー」 // <0059> \{朋也}「なんでそんなにRPGにこだわるんだ、こいつ」 <0059> \{Tomoya}「なんでそんなにRPGにこだわるんだ、こいつ」 // <0060> 鷹文に訊いてみる。 <0060> 鷹文に訊いてみる。 // <0061> \{鷹文}「別にこだわってるわけじゃないでしょ。遊びたいだけで、マインスイーパでもいいんじゃない?」 <0061> \{Takafumi}「別にこだわってるわけじゃないでしょ。遊びたいだけで、マインスイーパでもいいんじゃない?」 // <0062> \{河南子}「マインスイーパか、それもいいなっ! わっしゃしゃしゃしゃっ」 <0062> \{Kanako}「マインスイーパか、それもいいなっ! わっしゃしゃしゃしゃっ」 // <0063> \{河南子}「よし、いざ海へっ」 <0063> \{Kanako}「よし、いざ海へっ」 // <0064> 河南子が唐突に切り出す。 <0064> 河南子が唐突に切り出す。 // <0065> 鷹文と俺が同時に『は?』と河南子を見る。 <0065> 鷹文と俺が同時に『は?』と河南子を見る。 // <0066> \{河南子}「夏休みだよっ、海にいかなくて他に何すんだよっ」 <0066> \{Kanako}「夏休みだよっ、海にいかなくて他に何すんだよっ」 // <0067> \{朋也}「いや、いくらでもあるだろ」 <0067> \{Tomoya}「いや、いくらでもあるだろ」 // <0068> \{河南子}「なんでだよー、海いいじゃん、海ー」 <0068> \{Kanako}「なんでだよー、海いいじゃん、海ー」 // <0069> \{朋也}「なんでそんなに海にこだわるんだ、こいつ」 <0069> \{Tomoya}「なんでそんなに海にこだわるんだ、こいつ」 // <0070> 鷹文に訊いてみる。 <0070> 鷹文に訊いてみる。 // <0071> \{鷹文}「別にこだわってるわけじゃないでしょ。どっかに行って遊びたいだけで、山でもいいんじゃない?」 <0071> \{Takafumi}「別にこだわってるわけじゃないでしょ。どっかに行って遊びたいだけで、山でもいいんじゃない?」 // <0072> \{河南子}「山か、それもいいなっ! わっしゃっしゃっしゃっしゃ」 <0072> \{Kanako}「山か、それもいいなっ! わっしゃっしゃっしゃっしゃ」 // <0073> \{鷹文}「ほらね」 <0073> \{Takafumi}「ほらね」 // <0074> \{朋也}「ようは遊びたいだけかよ…」 <0074> \{Tomoya}「ようは遊びたいだけかよ…」 // <0075> \{河南子}「あんただって遊びたいだろ? 長い夏休みなにして過ごす気だ? んー?」 <0075> \{Kanako}「あんただって遊びたいだろ? 長い夏休みなにして過ごす気だ? んー?」 // <0076> \{朋也}「普通に仕事して過ごすけどさ」 <0076> \{Tomoya}「普通に仕事して過ごすけどさ」 // <0077> \{河南子}「えー、バイトかよー、欲しいもんでもあんの?」 <0077> \{Kanako}「えー、バイトかよー、欲しいもんでもあんの?」 // <0078> \{朋也}「いや、社員だけどさ」 <0078> \{Tomoya}「いや、社員だけどさ」 // <0079> \{河南子}「え…?」 <0079> \{Kanako}「え…?」 // <0080> \{河南子}「うわぁ! おまえ社会人だったのかよっ!!」 <0080> \{Kanako}「うわぁ! おまえ社会人だったのかよっ!!」 // <0081> \{朋也}「それを知らなかったおまえに驚くよ」 <0081> \{Tomoya}「それを知らなかったおまえに驚くよ」 // <0082> \{河南子}「そーか、なんだー、みんな今日から休みってわけじゃないんだね」 <0082> \{Kanako}「そーか、なんだー、みんな今日から休みってわけじゃないんだね」 // <0083> そんなセリフを一応寂しそうに言ってくれるので、なんとなくうれしい。 <0083> そんなセリフを一応寂しそうに言ってくれるので、なんとなくうれしい。 // <0084> \{河南子}「あーあ、働いてて楽しい?」 <0084> \{Kanako}「あーあ、働いてて楽しい?」 // <0085> \{朋也}「そんなに楽しいもんじゃないけど、充実感があっていいぞ」 <0085> \{Tomoya}「そんなに楽しいもんじゃないけど、充実感があっていいぞ」 // <0086> \{朋也}「おまえこそ、そんな怠惰にしてて楽しいか?」 <0086> \{Tomoya}「おまえこそ、そんな怠惰にしてて楽しいか?」 // <0087> \{鷹文}「そうそ。時間あるんだから、河南子こそ働けよ。バイト探せよ」 <0087> \{Takafumi}「そうそ。時間あるんだから、河南子こそ働けよ。バイト探せよ」 // <0088> \{河南子}「そういうてめぇは働いてんのかよっ」 <0088> \{Kanako}「そういうてめぇは働いてんのかよっ」 // <0089> \{鷹文}「休みに入る前からバイトも入れてるよ。SEの仕事だから、ここでできるけどね」 <0089> \{Takafumi}「休みに入る前からバイトも入れてるよ。SEの仕事だから、ここでできるけどね」 // <0090> \{河南子}「なにそれ、ラクそうでいいじゃん。あたしにもできる?」 <0090> \{Kanako}「なにそれ、ラクそうでいいじゃん。あたしにもできる?」 // <0091> \{鷹文}「無理」 <0091> \{Takafumi}「無理」 // <0092> \{河南子}「そんなもん頼まれてもやるかーっっ!」 <0092> \{Kanako}「そんなもん頼まれてもやるかーっっ!」 // <0093> \{朋也}「どんな仕事がいいんだよ」 <0093> \{Tomoya}「どんな仕事がいいんだよ」 // <0094> \{河南子}「SE」 <0094> \{Kanako}「SE」 // <0095> \{鷹文}「なんの略か知ってるの?」 <0095> \{Takafumi}「なんの略か知ってるの?」 // <0096> \{河南子}「ス…スーパー…エレクトリック…」 <0096> \{Kanako}「ス…スーパー…エレクトリック…」 // <0097> \{鷹文}「え…続くの? もう頭文字ないけど」 <0097> \{Takafumi}「え…続くの? もう頭文字ないけど」 // <0098> \{河南子}「続かない」 <0098> \{Kanako}「続かない」 // <0099> \{河南子}「スーパーエレクトリック」 <0099> \{Kanako}「スーパーエレクトリック」 // <0100> \{鷹文}「ぶー」 <0100> \{Takafumi}「ぶー」 // <0101> \{河南子}「そんなもんこっちから願いさげじゃーっっ!」 <0101> \{Kanako}「そんなもんこっちから願いさげじゃーっっ!」 // <0102> \{智代}「おまえたち、外まで聞こえてるぞ」 <0102> \{Tomoyo}「おまえたち、外まで聞こえてるぞ」 // <0103> 戸口に智代とともが買い物袋を持って立っていた。 <0103> 戸口に智代とともが買い物袋を持って立っていた。 // <0104> \{鷹文}「主に河南子ね」 <0104> \{Takafumi}「主に河南子ね」 // <0105> \{朋也}「夏休みになって、異様にテンション上がってんだよ、こいつ」 <0105> \{Tomoya}「夏休みになって、異様にテンション上がってんだよ、こいつ」 // <0106> \{河南子}「子供みたいに言うな」 <0106> \{Kanako}「子供みたいに言うな」 // <0107> \{朋也}「子供だろ。毎日遊んでるくせに」 <0107> \{Tomoya}「子供だろ。毎日遊んでるくせに」 // <0108> \{河南子}「社会人とばれた途端、大きくでやがって、くそぅっ」 <0108> \{Kanako}「社会人とばれた途端、大きくでやがって、くそぅっ」 // <0109> \{朋也}「いや、隠してないから」 <0109> \{Tomoya}「いや、隠してないから」 // <0110> \{智代}「河南子、私からも言いたかったんだ」 <0110> \{Tomoyo}「河南子、私からも言いたかったんだ」 // <0111> 智代が河南子の正面に座る。 <0111> 智代が河南子の正面に座る。 // <0112> \{河南子}「ほへ?」 <0112> \{Kanako}「ほへ?」 // <0113> \{智代}「河南子」 <0113> \{Tomoyo}「河南子」 // <0114> 改めて名を呼んで、向き合う。 <0114> 改めて名を呼んで、向き合う。 // <0115> \{智代}「だらだら過ごしていても、何も変わらない」 <0115> \{Tomoyo}「だらだら過ごしていても、何も変わらない」 // <0116> \{智代}「よくしていくこと、それが大事なんじゃないか?」 <0116> \{Tomoyo}「よくしていくこと、それが大事なんじゃないか?」 // <0117> \{河南子}「よくしていくこと?」 <0117> \{Kanako}「よくしていくこと?」 // <0118> \{河南子}「んーじゃあ、母親を説得して再婚止めてくれますか」 <0118> \{Kanako}「んーじゃあ、母親を説得して再婚止めてくれますか」 // <0119> そう。忘れかけていたが、河南子がここに居着く発端は、母親の再婚話だった。 <0119> そう。忘れかけていたが、河南子がここに居着く発端は、母親の再婚話だった。 // <0120> \{智代}「いや…それは私が口出しできることじゃない」 <0120> \{Tomoyo}「いや…それは私が口出しできることじゃない」 // <0121> \{智代}「でも、話し合って、お互いの気持ちをもっと知れば、よくなると思う」 <0121> \{Tomoyo}「でも、話し合って、お互いの気持ちをもっと知れば、よくなると思う」 // <0122> \{河南子}「うわ、教科書通りの説得だぁ」 <0122> \{Kanako}「うわ、教科書通りの説得だぁ」 // <0123> \{朋也}「おまえ、そんなに母親の再婚嫌なの」 <0123> \{Tomoya}「おまえ、そんなに母親の再婚嫌なの」 // <0124> \{河南子}「嫌」 <0124> \{Kanako}「嫌」 // <0125> \{朋也}「言いにくいけどさ…」 <0125> \{Tomoya}「言いにくいけどさ…」 // <0126> \{朋也}「なくなった父親のことが引っかかってんのか」 <0126> \{Tomoya}「なくなった父親のことが引っかかってんのか」 // <0127> \{河南子}「もちろんそれもあるよ」 <0127> \{Kanako}「もちろんそれもあるよ」 // <0128> \{河南子}「でも、それはさ…象徴なんだよね」 <0128> \{Kanako}「でも、それはさ…象徴なんだよね」 // <0129> \{河南子}「その人が信じてる、ずっと続いていく愛なんかないっていうさ」 <0129> \{Kanako}「その人が信じてる、ずっと続いていく愛なんかないっていうさ」 // <0130> \{智代}「………」 <0130> \{Tomoyo}「………」 // <0131> \{河南子}「そんなものがなかったらさ…」 <0131> \{Kanako}「そんなものがなかったらさ…」 // <0132> \{河南子}「楽しく生きたもん勝ちじゃん」 <0132> \{Kanako}「楽しく生きたもん勝ちじゃん」 // <0133> \{河南子}「あたしはさ、ここでだらだら暮らしているのが好きなんだ」 <0133> \{Kanako}「あたしはさ、ここでだらだら暮らしているのが好きなんだ」 // <0134> \{河南子}「楽しいから」 <0134> \{Kanako}「楽しいから」 // <0135> \{河南子}「苦しいこともないしさ」 <0135> \{Kanako}「苦しいこともないしさ」 // <0136> その言葉があまりに切実に聞こえて、何も返せなくなる。 <0136> その言葉があまりに切実に聞こえて、何も返せなくなる。 // <0137> それは智代も同じようで、黙り込んだままでいた。 <0137> それは智代も同じようで、黙り込んだままでいた。 // <0138> ともだけが不思議そうに、そんな皆の顔を無遠慮にきょろきょろと見回していた。 <0138> ともだけが不思議そうに、そんな皆の顔を無遠慮にきょろきょろと見回していた。 // <0139> \{河南子}「あーあ、夏休みだってのにテンション下がっちった…」 <0139> \{Kanako}「あーあ、夏休みだってのにテンション下がっちった…」 // <0140> \{河南子}「アイス買ってくんね」 <0140> \{Kanako}「アイス買ってくんね」 // <0141> \{朋也}「やっぱ夏休みだから、テンション上がってたんじゃないかよ…」 <0141> \{Tomoya}「やっぱ夏休みだから、テンション上がってたんじゃないかよ…」 // <0142> 河南子ひとり立ち上がり、部屋を出ていく。 <0142> 河南子ひとり立ち上がり、部屋を出ていく。 // <0143> \{智代}「河南子は…」 <0143> \{Tomoyo}「河南子は…」 // <0144> ドアが閉まる音を聞いてから、智代がその名を口にする。 <0144> ドアが閉まる音を聞いてから、智代がその名を口にする。 // <0145> \{智代}「ああはいうが、苦しいんじゃないだろうか」 <0145> \{Tomoyo}「ああはいうが、苦しいんじゃないだろうか」 // <0146> \{智代}「なんだか…救いを求めてるように見えた」 <0146> \{Tomoyo}「なんだか…救いを求めてるように見えた」 // <0147> \{朋也}「えー? そうか?」 <0147> \{Tomoya}「えー? そうか?」 // <0148> \{智代}「なんだ…朋也にはそうは見えなかったのか…」 <0148> \{Tomoyo}「なんだ…朋也にはそうは見えなかったのか…」 // <0149> \{智代}「あまり付き合いが深くない私でもそう思ったぐらいだ」 <0149> \{Tomoyo}「あまり付き合いが深くない私でもそう思ったぐらいだ」 // <0150> \{智代}「朋也なら、気づいていたと思ってたんだが…」 <0150> \{Tomoyo}「朋也なら、気づいていたと思ってたんだが…」 // <0151> \{朋也}「俺のほうが付き合い、浅いっての」 <0151> \{Tomoya}「俺のほうが付き合い、浅いっての」 // <0152> \{智代}「時間という意味ではそうだが…」 <0152> \{Tomoyo}「時間という意味ではそうだが…」 // <0153> \{智代}「まあ、いい」 <0153> \{Tomoyo}「まあ、いい」 // <0154> \{智代}「私はなんとかしてやりたい」 <0154> \{Tomoyo}「私はなんとかしてやりたい」 // <0155> 鷹文のカチャカチャとキーを打つ音が一際大きくなっていた。 <0155> 鷹文のカチャカチャとキーを打つ音が一際大きくなっていた。 // <0156> \{智代}「出よう」 <0156> \{Tomoyo}「出よう」 // <0157> 智代がそう促して立ち上がった。 <0157> 智代がそう促して立ち上がった。 // <0158> \{智代}「河南子は今も、鷹文のことが好きなんだと思う」 <0158> \{Tomoyo}「河南子は今も、鷹文のことが好きなんだと思う」 // <0159> \{朋也}「そうか?」 <0159> \{Tomoya}「そうか?」 // <0160> \{智代}「最初から、鷹文に会うことが目的だったじゃないか」 <0160> \{Tomoyo}「最初から、鷹文に会うことが目的だったじゃないか」 // <0161> \{朋也}「いや、親の再婚話が嫌で出てきたんだろ?」 <0161> \{Tomoya}「いや、親の再婚話が嫌で出てきたんだろ?」 // <0162> \{智代}「それはきっかけにすぎないと思うんだ」 <0162> \{Tomoyo}「それはきっかけにすぎないと思うんだ」 // <0163> \{智代}「鷹文の気持ちを確かめにきたんだと思う」 <0163> \{Tomoyo}「鷹文の気持ちを確かめにきたんだと思う」 // <0164> \{朋也}「でも、鷹文はぜんぜんそんな気ないようだけど」 <0164> \{Tomoya}「でも、鷹文はぜんぜんそんな気ないようだけど」 // <0165> \{智代}「そうか?」 <0165> \{Tomoyo}「そうか?」 // <0166> \{朋也}「え、あるように見えるのか?」 <0166> \{Tomoya}「え、あるように見えるのか?」 // <0167> \{智代}「うん…ある。これは姉だから言い切れる」 <0167> \{Tomoyo}「うん…ある。これは姉だから言い切れる」 // <0168> \{朋也}「じゃあ、ふたりはなんでよりを戻さない?」 <0168> \{Tomoya}「じゃあ、ふたりはなんでよりを戻さない?」 // <0169> \{朋也}「きっかけがないだけか?」 <0169> \{Tomoya}「きっかけがないだけか?」 // <0170> \{智代}「私たちの知らない問題があるんだろうと思う」 <0170> \{Tomoyo}「私たちの知らない問題があるんだろうと思う」 // <0171> \{朋也}「あるとしたら…ふたりが別れたとき」 <0171> \{Tomoya}「あるとしたら…ふたりが別れたとき」 // <0172> \{朋也}「三年前に何があったかだな」 <0172> \{Tomoya}「三年前に何があったかだな」 // <0173> \{智代}「三年前か…」 <0173> \{Tomoyo}「三年前か…」 // <0174> すっと智代は目を細めた。 <0174> すっと智代は目を細めた。 // <0175> \{智代}「鷹文が公道に飛び出したのも三年前だ」 <0175> \{Tomoyo}「鷹文が公道に飛び出したのも三年前だ」 // <0176> \{智代}「河南子が父親をなくしたのも三年前だ」 <0176> \{Tomoyo}「河南子が父親をなくしたのも三年前だ」 // <0177> \{智代}「そして、ふたりが別れたのも三年前だ」 <0177> \{Tomoyo}「そして、ふたりが別れたのも三年前だ」 // <0178> 智代はしばらく黙りこむ。 <0178> 智代はしばらく黙りこむ。 // <0179> \{朋也}「どうした」 <0179> \{Tomoya}「どうした」 // <0180> \{智代}「いや…」 <0180> \{Tomoyo}「いや…」 // <0181> \{朋也}「他に知ってることがあるのか?」 <0181> \{Tomoya}「他に知ってることがあるのか?」 // <0182> \{智代}「ううん、ない」 <0182> \{Tomoyo}「ううん、ない」 // <0183> \{朋也}「じゃあ、あとは、鷹文本人から訊くよ」 <0183> \{Tomoya}「じゃあ、あとは、鷹文本人から訊くよ」 // <0184> \{智代}「それは容易なことじゃないぞ。姉である私でも知っていることは少ないんだ」 <0184> \{Tomoyo}「それは容易なことじゃないぞ。姉である私でも知っていることは少ないんだ」 // <0185> \{朋也}「だろうな」 <0185> \{Tomoya}「だろうな」 // <0186> \{智代}「どうするつもりだ?」 <0186> \{Tomoyo}「どうするつもりだ?」 // <0187> \{朋也}「真っ向から訊いてみる」 <0187> \{Tomoya}「真っ向から訊いてみる」 // <0188> \{智代}「それはやめたほうがいい」 <0188> \{Tomoyo}「それはやめたほうがいい」 // <0189> \{智代}「これは忠告だ」 <0189> \{Tomoyo}「これは忠告だ」 // <0190> \{智代}「安易に聞きだせるなんて思うな。信頼を失うことになるぞ」 <0190> \{Tomoyo}「安易に聞きだせるなんて思うな。信頼を失うことになるぞ」 // <0191> \{朋也}「俺もそう思ってたところだ」 <0191> \{Tomoya}「俺もそう思ってたところだ」 // <0192> \{智代}「助けてあげたい」 <0192> \{Tomoyo}「助けてあげたい」 // <0193> 鷹文のカチャカチャとキーを打つ音が一際大きくなっていた。 <0193> 鷹文のカチャカチャとキーを打つ音が一際大きくなっていた。 // <0194> 俺はちょっと出よう、と智代に目配せした。 <0194> 俺はちょっと出よう、と智代に目配せした。 // <0195> \{朋也}「河南子が救いを求めてるなら…」 <0195> \{Tomoya}「河南子が救いを求めてるなら…」 // <0196> \{朋也}「それは鷹文にだよ」 <0196> \{Tomoya}「それは鷹文にだよ」 // <0197> 俺は歩きながら話す。 <0197> 俺は歩きながら話す。 // <0198> \{朋也}「最初から河南子の目的はあいつに会うことだったんだし…」 <0198> \{Tomoya}「最初から河南子の目的はあいつに会うことだったんだし…」 // <0199> \{朋也}「河南子は今も、鷹文が好きなんだと思う」 <0199> \{Tomoya}「河南子は今も、鷹文が好きなんだと思う」 // <0200> \{朋也}「昔にふたりの間に何があったのか知らないけどさ…」 <0200> \{Tomoya}「昔にふたりの間に何があったのか知らないけどさ…」 // <0201> \{朋也}「河南子は確かめにきたんだよ」 <0201> \{Tomoya}「河南子は確かめにきたんだよ」 // <0202> \{朋也}「鷹文も自分のことをまだ好きでいてくれてるってことを」 <0202> \{Tomoya}「鷹文も自分のことをまだ好きでいてくれてるってことを」 // <0203> \{智代}「うん…そうだな。私もそう思う」 <0203> \{Tomoyo}「うん…そうだな。私もそう思う」 // <0204> \{智代}「ふたりなんだかんだいって、いいコンビだもんな」 <0204> \{Tomoyo}「ふたりなんだかんだいって、いいコンビだもんな」 // <0205> \{智代}「まったく、あまのじゃくな奴らだ」 <0205> \{Tomoyo}「まったく、あまのじゃくな奴らだ」 // <0206> \{朋也}「そんな言葉じゃ片づけられない何かがふたりを割いてるんだろ」 <0206> \{Tomoya}「そんな言葉じゃ片づけられない何かがふたりを割いてるんだろ」 // <0207> \{智代}「そうなのか…?」 <0207> \{Tomoyo}「そうなのか…?」 // <0208> \{朋也}「そうだろ」 <0208> \{Tomoya}「そうだろ」 // <0209> \{朋也}「問題はふたりが別れたとき」 <0209> \{Tomoya}「問題はふたりが別れたとき」 // <0210> \{朋也}「三年前に何があったかだけど」 <0210> \{Tomoya}「三年前に何があったかだけど」 // <0211> \{智代}「三年前か…」 <0211> \{Tomoyo}「三年前か…」 // <0212> すっと智代は目を細めた。 <0212> すっと智代は目を細めた。 // <0213> \{朋也}「鷹文が公道に飛び出したのも三年前」 <0213> \{Tomoya}「鷹文が公道に飛び出したのも三年前」 // <0214> \{朋也}「河南子が父親をなくしたのも三年前」 <0214> \{Tomoya}「河南子が父親をなくしたのも三年前」 // <0215> \{朋也}「そして、ふたりが別れたのも三年前だ」 <0215> \{Tomoya}「そして、ふたりが別れたのも三年前だ」 // <0216> \{朋也}「なあ、智代」 <0216> \{Tomoya}「なあ、智代」 // <0217> \{朋也}「三年前に起きたことさ、おまえが知ってることでいいから、教えてくれないか」 <0217> \{Tomoya}「三年前に起きたことさ、おまえが知ってることでいいから、教えてくれないか」 // <0218> しばらくの沈黙の後… <0218> しばらくの沈黙の後… // <0219> \{智代}「うん…」 <0219> \{Tomoyo}「うん…」 // <0220> 智代は頷いた。 <0220> 智代は頷いた。 // <0221> \{智代}「河南子の父親は、陸上部の顧問だったんだ」 <0221> \{Tomoyo}「河南子の父親は、陸上部の顧問だったんだ」 // <0222> \{智代}「鷹文は、その人を慕って、陸上をしていた」 <0222> \{Tomoyo}「鷹文は、その人を慕って、陸上をしていた」 // <0223> \{智代}「長距離走者だった」 <0223> \{Tomoyo}「長距離走者だった」 // <0224> \{智代}「その父親がなくなったのは…鷹文が公道に飛び出した三ヶ月後」 <0224> \{Tomoyo}「その父親がなくなったのは…鷹文が公道に飛び出した三ヶ月後」 // <0225> \{智代}「退院して、少ししてのことだ」 <0225> \{Tomoyo}「退院して、少ししてのことだ」 // <0226> \{智代}「元から心臓が弱い人で…心臓発作で倒れてそのまま…」 <0226> \{Tomoyo}「元から心臓が弱い人で…心臓発作で倒れてそのまま…」 // <0227> \{智代}「そして…」 <0227> \{Tomoyo}「そして…」 // <0228> \{智代}「それを境に…鷹文と河南子は疎遠になった」 <0228> \{Tomoyo}「それを境に…鷹文と河南子は疎遠になった」 // <0229> \{智代}「私が知ってることはこれだけだ」 <0229> \{Tomoyo}「私が知ってることはこれだけだ」 // <0230> \{智代}「悲しいことにな」 <0230> \{Tomoyo}「悲しいことにな」 // <0231> \{朋也}「ありがとう、十分だよ」 <0231> \{Tomoya}「ありがとう、十分だよ」 // <0232> \{朋也}「あとは、鷹文本人から訊くよ」 <0232> \{Tomoya}「あとは、鷹文本人から訊くよ」 // <0233> \{智代}「それは容易なことじゃないぞ」 <0233> \{Tomoyo}「それは容易なことじゃないぞ」 // <0234> \{朋也}「だろうな」 <0234> \{Tomoya}「だろうな」 // <0235> \{智代}「どうするつもりだ?」 <0235> \{Tomoyo}「どうするつもりだ?」 // <0236> 真っ向から訊く <0236> 真っ向から訊く // <0237> それは避ける <0237> それは避ける // <0238> \{朋也}「真っ向から訊いてみる」 <0238> \{Tomoya}「真っ向から訊いてみる」 // <0239> \{智代}「それはやめたほうがいい」 <0239> \{Tomoyo}「それはやめたほうがいい」 // <0240> \{智代}「これは忠告だ」 <0240> \{Tomoyo}「これは忠告だ」 // <0241> \{智代}「安易に聞きだせるなんて思うな。信頼を失うことになるぞ」 <0241> \{Tomoyo}「安易に聞きだせるなんて思うな。信頼を失うことになるぞ」 // <0242> その忠告を聞き入れる <0242> その忠告を聞き入れる // <0243> 聞き入れない <0243> 聞き入れない // <0244> \{朋也}「じゃあ、何か別の方法を考えてみるよ」 <0244> \{Tomoya}「じゃあ、何か別の方法を考えてみるよ」 // <0245> \{智代}「うん」 <0245> \{Tomoyo}「うん」 // <0246> \{朋也}「何事も真っ向勝負だ」 <0246> \{Tomoya}「何事も真っ向勝負だ」 // <0247> \{智代}「そうか…止めても無駄なようだな」 <0247> \{Tomoyo}「そうか…止めても無駄なようだな」 // <0248> \{朋也}「おい、鷹文」 <0248> \{Tomoya}「おい、鷹文」 // <0249> 俺は帰りがけの鷹文を追っていって捕まえた。 <0249> 俺は帰りがけの鷹文を追っていって捕まえた。 // <0250> \{鷹文}「いきなり立ちふさがったりして、どうしたの?」 <0250> \{Takafumi}「いきなり立ちふさがったりして、どうしたの?」 // <0251> \{朋也}「話があるんだ」 <0251> \{Tomoya}「話があるんだ」 // <0252> \{鷹文}「なに?」 <0252> \{Takafumi}「なに?」 // <0253> \{朋也}「河南子と三年前になにがあった?」 <0253> \{Tomoya}「河南子と三年前になにがあった?」 // <0254> そうストレートに訊いた。 <0254> そうストレートに訊いた。 // <0255> \{鷹文}「…前に話したよね」 <0255> \{Takafumi}「…前に話したよね」 // <0256> \{朋也}「ああ、お前が車道に飛び込んだってな」 <0256> \{Tomoya}「ああ、お前が車道に飛び込んだってな」 // <0257> \{鷹文}「それだけだよ」 <0257> \{Takafumi}「それだけだよ」 // <0258> \{朋也}「足りないだろ。河南子と何があったんだ」 <0258> \{Tomoya}「足りないだろ。河南子と何があったんだ」 // <0259> \{鷹文}「にぃちゃんには関係ないよ」 <0259> \{Takafumi}「にぃちゃんには関係ないよ」 // <0260> \{朋也}「ある」 <0260> \{Tomoya}「ある」 // <0261> \{鷹文}「………」 <0261> \{Takafumi}「………」 // <0262> \{鷹文}「…ただ、つきあって別れただけだって」 <0262> \{Takafumi}「…ただ、つきあって別れただけだって」 // <0263> \{鷹文}「何度も言ったけど、もう河南子とは終わったんだよ?」 <0263> \{Takafumi}「何度も言ったけど、もう河南子とは終わったんだよ?」 // <0264> \{鷹文}「よくある話だよ」 <0264> \{Takafumi}「よくある話だよ」 // <0265> \{朋也}「じゃあ、陸上の話だ」 <0265> \{Tomoya}「じゃあ、陸上の話だ」 // <0266> 俺は話の矛先を変えることにした。 <0266> 俺は話の矛先を変えることにした。 // <0267> \{朋也}「恩師の話、してくれないか」 <0267> \{Tomoya}「恩師の話、してくれないか」 // <0268> \{鷹文}「いないよ、そんなの」 <0268> \{Takafumi}「いないよ、そんなの」 // <0269> \{朋也}「いたはずだ。智代から聞いてるんだぞ」 <0269> \{Tomoya}「いたはずだ。智代から聞いてるんだぞ」 // <0270> \{鷹文}「そんな又聞きで、当事者でもないくせに…」 <0270> \{Takafumi}「そんな又聞きで、当事者でもないくせに…」 // <0271> \{鷹文}「あのね、にぃちゃん…」 <0271> \{Takafumi}「あのね、にぃちゃん…」 // <0272> \{鷹文}「僕にだって、触れられたくないことはある」 <0272> \{Takafumi}「僕にだって、触れられたくないことはある」 // <0273> \{鷹文}「キレるときだってある」 <0273> \{Takafumi}「キレるときだってある」 // <0274> \{鷹文}「それが今だよ…」 <0274> \{Takafumi}「それが今だよ…」 // <0275> \{朋也}「…どうするつもりだよ」 <0275> \{Tomoya}「…どうするつもりだよ」 // <0276> \{鷹文}「こうするっ」 <0276> \{Takafumi}「こうするっ」 // <0277> ばきぃっ! <0277> ばきぃっ! // <0278> 俺の顔が真横を向いていた。鷹文の渾身の一撃により。 <0278> 俺の顔が真横を向いていた。鷹文の渾身の一撃により。 // <0279> \{朋也}「ってぇなあ…このっ」 <0279> \{Tomoya}「ってぇなあ…このっ」 // <0280> 殴り返したつもりだが、その手応えがない。 <0280> 殴り返したつもりだが、その手応えがない。 // <0281> \{智代}「やめるんだ」 <0281> \{Tomoyo}「やめるんだ」 // <0282> 智代が俺の拳を掴んでいた。 <0282> 智代が俺の拳を掴んでいた。 // <0283> \{智代}「喧嘩はよくない…」 <0283> \{Tomoyo}「喧嘩はよくない…」 // <0284> \{智代}「ずっと、おまえたちは仲良しだったじゃないか…」 <0284> \{Tomoyo}「ずっと、おまえたちは仲良しだったじゃないか…」 // <0285> \{智代}「どうしてこんなことになってるんだ…」 <0285> \{Tomoyo}「どうしてこんなことになってるんだ…」 // <0286> 智代の痛切な声を聞いて、ようやく頭が冷えていく。 <0286> 智代の痛切な声を聞いて、ようやく頭が冷えていく。 // <0287> \{鷹文}「…みんなが楽しかったらいいじゃん」 <0287> \{Takafumi}「…みんなが楽しかったらいいじゃん」 // <0288> \{鷹文}「でしょ…?」 <0288> \{Takafumi}「でしょ…?」 // <0289> \{智代}「もちろんだ」 <0289> \{Tomoyo}「もちろんだ」 // <0290> \{鷹文}「だったら、今のままでいこうよ」 <0290> \{Takafumi}「だったら、今のままでいこうよ」 // <0291> \{鷹文}「それでいいじゃん…」 <0291> \{Takafumi}「それでいいじゃん…」 // <0292> 鷹文が横を向く。 <0292> 鷹文が横を向く。 // <0293> \{鷹文}「じゃあね」 <0293> \{Takafumi}「じゃあね」 // <0294> そのまま、歩いていった。 <0294> そのまま、歩いていった。 // <0295> \{智代}「朋也、反省すべきだ」 <0295> \{Tomoyo}「朋也、反省すべきだ」 // <0296> \{朋也}「ああ、悪い…」 <0296> \{Tomoya}「ああ、悪い…」 // <0297> バッドエンド <0297> バッドエンド // <0298> 日を置いて、俺は鷹文にまた同じ質問を投げかけてみた。 <0298> 日を置いて、俺は鷹文にまた同じ質問を投げかけてみた。 // <0299> それでも頑なに鷹文は、返答を拒み続けた。 <0299> それでも頑なに鷹文は、返答を拒み続けた。 // <0300> やがて、鷹文は次第に家に来なくなった。 <0300> やがて、鷹文は次第に家に来なくなった。 // <0301> 智代を通じて呼びかけてみても、いい返事は戻ってこなかった。 <0301> 智代を通じて呼びかけてみても、いい返事は戻ってこなかった。 // <0302> \{智代}「ちょっと間を置いた方がいい」 <0302> \{Tomoyo}「ちょっと間を置いた方がいい」 // <0303> \{智代}「今はそっとしておいてくれないか」 <0303> \{Tomoyo}「今はそっとしておいてくれないか」 // <0304> \{朋也}「…ああ、わかった」 <0304> \{Tomoya}「…ああ、わかった」 // <0305> 智代は俺を責めないが、鷹文を刺激してしまったことに心を痛めているのは事実だ。 <0305> 智代は俺を責めないが、鷹文を刺激してしまったことに心を痛めているのは事実だ。 // <0306> 俺が余計なことをしなければ…。 <0306> 俺が余計なことをしなければ…。 // <0307> \{朋也}「真っ向から訊いても教えてくれないだろうし…」 <0307> \{Tomoya}「真っ向から訊いても教えてくれないだろうし…」 // <0308> \{朋也}「何か方法を考えてみるよ」 <0308> \{Tomoya}「何か方法を考えてみるよ」 // <0309> \{智代}「うん」 <0309> \{Tomoyo}「うん」 // <0310> \{智代}「鷹文はおまえを信頼している」 <0310> \{Tomoyo}「鷹文はおまえを信頼している」 // <0311> \{智代}「おまえのことが好きなんだ」 <0311> \{Tomoyo}「おまえのことが好きなんだ」 // <0312> \{智代}「いつまでもそういさせてやってほしい」 <0312> \{Tomoyo}「いつまでもそういさせてやってほしい」 // <0313> \{智代}「それは私の希望だ」 <0313> \{Tomoyo}「それは私の希望だ」 // <0314> \{朋也}「ああ」 <0314> \{Tomoya}「ああ」
Script Chart
June | July | August | After | Other | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1st | SEEN0701 | SEEN0801 | SEEN5000 | SEEN7910 | ||||||
2nd | SEEN0702 | SEEN5001 | SEEN7920 | |||||||
3rd | SEEN0803 | SEEN5002 | SEEN7930 | |||||||
4th | SEEN0804 | SEEN5003 | SEEN7940 | |||||||
6th | SEEN0806 | BAD END | SEEN5004 | SEEN7950 | ||||||
SEEN1806 | SEEN5005 | |||||||||
7th | SEEN0707 | SEEN0807 | SEEN5006 | |||||||
8th | SEEN0708 | SEEN0808 | SEEN5007 | |||||||
9th | SEEN0709 | SEEN0809 | SEEN5010 | |||||||
10th | SEEN0710 | SEEN1710 | SEEN0810 | SEEN5011 | ||||||
11th | SEEN0711 | SEEN0811 | SEEN1811 | SEEN2811 | ||||||
12th | SEEN0712 | SEEN0812 | ||||||||
13th | SEEN0713 | SEEN0813 | SEEN1813 | SEEN2813 | ||||||
14th | SEEN0714 | SEEN1714 | SEEN0814 | BAD END | BAD END | BAD END | BAD END | |||
SEEN1814 | SEEN2814 | SEEN3814 | SEEN4814 | |||||||
15th | SEEN0715 | SEEN1715 | SEEN0815 | |||||||
16th | SEEN0716 | SEEN1716 | SEEN0816 | |||||||
17th | SEEN0717 | SEEN0817 | ||||||||
18th | SEEN0818 | |||||||||
19th | SEEN0819 | |||||||||
20th | BAD END | SEEN0820 | ||||||||
SEEN0720 | ||||||||||
21st | SEEN0721 | SEEN0821 | ||||||||
22nd | SEEN0722 | SEEN0822 | ||||||||
23rd | SEEN0723 | SEEN0823 | ||||||||
24th | SEEN0724 | |||||||||
25th | SEEN0725 | |||||||||
26th | SEEN0726 | |||||||||
27th | SEEN0727 | |||||||||
28th | SEEN0628 | SEEN0728 | ||||||||
29th | SEEN0629 | SEEN0729 | ||||||||
30th | SEEN0630 | |||||||||
BAD END | ||||||||||
SEEN0744 |