// Resources for SEEN0714.TXT
// #character '河南子'
#character 'Kanako'
// #character '朋也'
#character 'Tomoya'
// #character 'とも'
#character 'Tomo'
// #character '智代'
#character 'Tomoyo'
// #character '男'
#character 'Man'
// #character '鷹文'
#character 'Takafumi'
// #character '声'
#character 'Voice'
// <0000> 7月14日(水)
<0000> July 14th (Wed)
// <0001> \{河南子}「ねーっ、アイス食べようよ」
<0001> \{Kanako}「Hey, Let's have some ice~」
// <0002> \{朋也}「…朝から買い食いすんなよ」
<0002> \{Tomoya}「…Don't start to have snack from early Morning ok?」
// <0003> 今日は河南子まで、ともを送りについてきていた。
<0003> Today, Even Kannako helps me in sending Tomo to her kindergarten。
// <0004> \{河南子}「ともさんも食べたいよね?」
<0004> \{Kanako}「Tomo wants some ice, too. Right Tomo?」
// <0005> \{とも}「かえってからじゃないとダメだよー」
<0005> \{Tomo}「No, Mama said we can only have ice on the way back to homeー」
// <0006> \{河南子}「えー、いいじゃん、おいしいよ、ばれないって、食べようよ、何味がいい? もう一本いっとく?」
<0006> \{Kanako}「It's ok Tomo, no one is going to know that. Ice is very delicious. What flavor do you want? I can buy more for you.」
// <0007> \{朋也}「こらこら、幼い子供を全力で誘惑するな」
<0007> \{Tomoya}「Hey stop, don't try to lure kids that hard」
// <0008> \{河南子}「えー」
<0008> \{Kanako}「Fine.......」
// <0009> \{朋也}「ともより、おまえのほうがよっぽどガキだな…」
<0009> \{Tomoya}「You are more like a kid than Tomo…」
// <0010> \{智代}「河南子はどこまで一緒にくるんだ?」
<0010> \{Tomoyo}「Kanako,when will you return to home?」
// <0011> \{河南子}「え、なにが?」
<0011> \{Kanako}「What do you mean?」
// <0012> \{智代}「学校にいくんだろう?」
<0012> \{Tomoyo}「You need to go to school right?」
// <0013> \{河南子}「え? フリーターですけど」
<0013> \{Kanako}「Oh, I am actually a Self-employed」
// <0014> \{朋也}「堂々嘘言うな」
<0014> \{Tomoya}「Don't lie something so obvious」
// <0015> \{河南子}「えーもう間に合わないしー」
<0015> \{Kanako}「It's ok. It's too late for school now」
// <0016> \{朋也}「遅刻してもいけよ」
<0016> \{Tomoya}「You still need go to school whether you are late or not」
// <0017> \{河南子}「そもそもしばらくいってないし」
<0017> \{Kanako}「It doesn't matter, because I have been escaping school for a while. 」
// <0018> \{智代}「それはよくないことだぞ。母親も心配してる」
<0018> \{Tomoyo}「It's not a good thing. Your mother must be worrying for you」
// <0019> 智代が母親という言葉を口にすると、河南子はのほほんとした顔を一変させた。
<0019> Kanako's laziness disappeared from her face when Tomoyo said something about her mother
// <0020> それで智代も思い出したようだ。
<0020> And then, Tomoyo remembered what Kanako said about her momther last night。
// <0021> …母親のね、再婚話にまったく同意できなかったんだ。
<0021> …I still disagree about my mother's remarriage。
// <0022> …反発するように出てきちゃった。
<0022> …So I left my house with anger。
// <0023> ………。
<0023> ………。
// <0024> \{智代}「問題はそこだったな…」
<0024> \{Tomoyo}「That's what matters…」
// <0025> \{河南子}「聞いてたのか」
<0025> \{Kanako}「you heard what I said last night?」
// <0026> \{智代}「うん…すまない」
<0026> \{Tomoyo}「Yes, I am sorry」
// <0027> \{河南子}「それに、うちの学校馬鹿だしさ、今更がんばってもなんも変わんないしさ」
<0027> \{Kanako}「And, my school sucks. Nothing is gonna change even though I return」
// <0028> \{河南子}「あんたみたいに、よくはなれないよ」
<0028> \{Kanako}「I am not as excellent as you」
// <0029> \{智代}「河南子が悪いわけじゃない」
<0029> \{Tomoyo}「This is not your fault, Kanako」
// <0030> \{智代}「いいところ、大事にしていけばいいと思う」
<0030> \{Tomoyo}「You just need to keep your advantages for now」
// <0031> \{河南子}「あたしにいいところなんて、ありますかね、先輩」
<0031> \{Kanako}「Do I really have any advantage? Senpai」
// <0032> \{智代}「それはもちろん、たくさんある」
<0032> \{Tomoyo}「Of course, you have a lot.」
// <0033> \{河南子}「具体的には?」
<0033> \{Kanako}「Like?」
// <0034> \{智代}「女の子らしい、可愛らしい」
<0034> \{Tomoyo}「Secrets make women more charming, and you are cute.」
// <0035> \{河南子}「隣の彼、えーっ、て顔してますが」
<0035> \{Kanako}「The one who stands beside you looks like saying "it's not possible" to me..」
// <0036> \{智代}「するなっ」
<0036> \{Tomoyo}「Dont't make such face Tomoya!」
// <0037> \{朋也}「いや、してないしてない」
<0037> \{Tomoya}「No, I didn't」
// <0038> \{智代}「してないらしいぞっ」
<0038> \{Tomoyo}「He said he didn't」
// <0039> \{河南子}「自分でもわかってるんだ。そーいうところ、どーでもよくなってるから」
<0039> \{Kanako}「I undetstand that you are trying to console me. I aappreciate it, and I am working hard to change my negatives, too」
// <0040> \{智代}「他にもいっぱいあるはずだ、私はそう親しいわけではないから具体的には言えないが…」
<0040> \{Tomoyo}「I am not so familiar with you, so I can't tell your advantages specifically, but there must be some…」
// <0041> \{河南子}「じゃー親しい人がいなかったら、あたしのいいところはあったとしても、ないのと同じなんだ」
<0041> \{Kanako}「It means nothing, because there are no one I am familiar with.」
// <0042> \{智代}「いや、そういう意味で言ったのではなくて…」
<0042> \{Tomoyo}「No..I didn't mean that…」
// <0043> 河南子は、たっ、と駆け出すと…
<0043> Kanako suddenly starts to run. She stops few meter away from us and shouts…
// <0044> \{河南子}「ほら、幼稚園だー、あれでしょー」
<0044> \{Kanako}「There, that's the kindergarten right?」
// <0045> 振り返り、ともに笑いかけていた。
<0045> She turns her body to Tomo and smiles。
// <0046> \{智代}「じゃあな、とも」
<0046> \{Tomoyo}「See you later, Tomo」
// <0047> 保母にともを託し、きびすを返した智代だったが、立ち止まったままでいた。
<0047> Tomoyo watches Tomo walking into the building with teacher, and then she turns around and stops。
// <0048> \{朋也}「どうした」
<0048> \{Tomoya}「What's wrong?」
// <0049> \{智代}「誰かいたんだ」
<0049> \{Tomoyo}「Someone is watching us」
// <0050> \{朋也}「そりゃいるだろ」
<0050> \{Tomoya}「Of course, there are parents here.」
// <0051> \{智代}「今、私が振り返ると同時に逃げた」
<0051> \{Tomoyo}「Just now, someone tried to escape when I turned around」
// <0052> \{朋也}「おまえまた、正義感発揮して、誰かの因縁を買ったんじゃないのか?」
<0052> \{Tomoya}「Maybe, that guy was one of the victims who was beaten up by you before」
// <0053> \{智代}「身に覚えがない」
<0053> \{Tomoyo}「But, I never see his face before」
// <0054> \{朋也}「本当だろうな」
<0054> \{Tomoya}「Really?」
// <0055> \{智代}「うん、今回は本当にない」
<0055> \{Tomoyo}「Yes, I never meet that guy」
// <0056> \{智代}「今はとももいるからな…」
<0056> \{Tomoyo}「Tomo is with me today, so…」
// <0057> \{朋也}「だな」
<0057> \{Tomoya}「Maybe」
// <0058> 智代の思い過ごしだといいが。
<0058> I hope that it's just Tomoyo's delusion。
// <0059> \{河南子}「暑い~…」
<0059> \{Kanako}「It's so hot~…」
// <0060> 河南子が日陰で尻餅をついてへばっていた。どこでも座り込む癖があるようだ。
<0060> 河南子が日陰で尻餅をついてへばっていた。どこでも座り込む癖があるようだ。
// <0061> \{朋也}「おまえ、どうすんの」
<0061> \{Tomoya}「おまえ、どうすんの」
// <0062> \{河南子}「え? あー…」
<0062> \{Kanako}「え? あー…」
// <0063> \{河南子}「お金調達するよ」
<0063> \{Kanako}「お金調達するよ」
// <0064> \{朋也}「はぁ?」
<0064> \{Tomoya}「はぁ?」
// <0065> \{河南子}「ただで居候すんのも悪いだろ…」
<0065> \{Kanako}「ただで居候すんのも悪いだろ…」
// <0066> \{河南子}「だから、食い扶持ぐらい自分で稼ぐ…」
<0066> \{Kanako}「だから、食い扶持ぐらい自分で稼ぐ…」
// <0067> \{朋也}「なにそれ。また笑えない冗談か?」
<0067> \{Tomoya}「なにそれ。また笑えない冗談か?」
// <0068> \{河南子}「本気だよ、見くびるな」
<0068> \{Kanako}「本気だよ、見くびるな」
// <0069> \{朋也}「おまえみたいな人間が稼げるかよ…世の中、んな甘かねーよ」
<0069> \{Tomoya}「おまえみたいな人間が稼げるかよ…世の中、んな甘かねーよ」
// <0070> \{河南子}「へっへー」
<0070> \{Kanako}「へっへー」
// <0071> 暑さで正気でないのか、不気味に笑う河南子。
<0071> 暑さで正気でないのか、不気味に笑う河南子。
// <0072> まあ好きにさせてやろう、と智代と俺は幼稚園を離れた。
<0072> まあ好きにさせてやろう、と智代と俺は幼稚園を離れた。
// <0073> 今日は、座学みたいなことをしていた。
<0073> 今日は、座学みたいなことをしていた。
// <0074> TVの修理をしていたのだが、途中でわからない部分があり、親方に尋ねると、何冊かノートを渡された。
<0074> TVの修理をしていたのだが、途中でわからない部分があり、親方に尋ねると、何冊かノートを渡された。
// <0075> これを見て調べろ、ということだった。
<0075> これを見て調べろ、ということだった。
// <0076> ………。
<0076> ………。
// <0077> ……。
<0077> ……。
// <0078> 丸一日、それと格闘して終わった。
<0078> 丸一日、それと格闘して終わった。
// <0079> その日の帰り。
<0079> その日の帰り。
// <0080> \{男}「あのー、すみません」
<0080> \{Man}「あのー、すみません」
// <0081> 声をかけられる。
<0081> 声をかけられる。
// <0082> 上はTシャツ、下は学生ズボン、という出で立ちの若い男だ。
<0082> 上はTシャツ、下は学生ズボン、という出で立ちの若い男だ。
// <0083> \{男}「これを、坂上智代さんに渡してもらえますか?」
<0083> \{Man}「これを、坂上智代さんに渡してもらえますか?」
// <0084> 俺に向けて差し出すのは、封筒だ。
<0084> 俺に向けて差し出すのは、封筒だ。
// <0085> すぐ厄介ごとだと悟る。
<0085> すぐ厄介ごとだと悟る。
// <0086> \{朋也}「なんだよ」
<0086> \{Tomoya}「なんだよ」
// <0087> \{男}「手紙」
<0087> \{Man}「手紙」
// <0088> \{朋也}「直接渡せよ」
<0088> \{Tomoya}「直接渡せよ」
// <0089> \{男}「いやーその場で事が起きたら問題で。色々とルールがありまして」
<0089> \{Man}「いやーその場で事が起きたら問題で。色々とルールがありまして」
// <0090> \{朋也}「わけわかんないんだけど」
<0090> \{Tomoya}「わけわかんないんだけど」
// <0091> \{男}「助けると思って、頼むよっ」
<0091> \{Man}「助けると思って、頼むよっ」
// <0092> そう言って、無理矢理手に握らされる。
<0092> そう言って、無理矢理手に握らされる。
// <0093> \{男}「よろしく、じゃあねっ」
<0093> \{Man}「よろしく、じゃあねっ」
// <0094> 男は逃げるようにして、去っていった。
<0094> 男は逃げるようにして、去っていった。
// <0095> 封筒を確かめてみる。表には坂上智代様、と宛名があった。
<0095> 封筒を確かめてみる。表には坂上智代様、と宛名があった。
// <0096> その場で開封してやる。
<0096> その場で開封してやる。
// <0097> 内容は、果たし状ととれるものだった。
<0097> 内容は、果たし状ととれるものだった。
// <0098> 時間は夜9時、場所は、花火の下、とある。
<0098> 時間は夜9時、場所は、花火の下、とある。
// <0099> 昔の智代のままだとでも思っているのだろうか。
<0099> 昔の智代のままだとでも思っているのだろうか。
// <0100> \{朋也}(今の智代がこんなのに乗るかよ…)
<0100> \{Tomoya}(今の智代がこんなのに乗るかよ…)
// <0101> 手紙はその場で破り捨てた。
<0101> 手紙はその場で破り捨てた。
// <0102> \{朋也}「ただいま」
<0102> \{Tomoya}「ただいま」
// <0103> \{智代}「おかえり」
<0103> \{Tomoyo}「おかえり」
// <0104> すでに智代は台所に立って、夕飯の支度を始めていた。
<0104> すでに智代は台所に立って、夕飯の支度を始めていた。
// <0105> 奧には、河南子と鷹文とともの姿が。
<0105> 奧には、河南子と鷹文とともの姿が。
// <0106> ともは、ひとりで熱心に分厚い本に見入っていた。
<0106> ともは、ひとりで熱心に分厚い本に見入っていた。
// <0107> \{智代}「帰りに図書館で絵本を借りてきたんだ」
<0107> \{Tomoyo}「帰りに図書館で絵本を借りてきたんだ」
// <0108> \{朋也}「へぇ。お金もかからないし、そりゃいいアイデアだな」
<0108> \{Tomoya}「へぇ。お金もかからないし、そりゃいいアイデアだな」
// <0109> 河南子は雑誌なのかそれを広げて、部屋のど真ん中を分断するように寝そべっていた。
<0109> 河南子は雑誌なのかそれを広げて、部屋のど真ん中を分断するように寝そべっていた。
// <0110> \{朋也}「おまえ、少しは考えて寝そべれよ…」
<0110> \{Tomoya}「おまえ、少しは考えて寝そべれよ…」
// <0111> \{河南子}「あん? いーだろー、おまえの部屋でもなし」
<0111> \{Kanako}「あん? いーだろー、おまえの部屋でもなし」
// <0112> \{朋也}「いや、俺の部屋だから言ってんだけど」
<0112> \{Tomoya}「いや、俺の部屋だから言ってんだけど」
// <0113> 河南子の隣で着替えを始める。
<0113> 河南子の隣で着替えを始める。
// <0114> \{朋也}「あ、そういや」
<0114> \{Tomoya}「あ、そういや」
// <0115> \{朋也}「おまえ、稼げたのか」
<0115> \{Tomoya}「おまえ、稼げたのか」
// <0116> \{河南子}「え? ああ…」
<0116> \{Kanako}「え? ああ…」
// <0117> \{朋也}「じゃ、食費代」
<0117> \{Tomoya}「じゃ、食費代」
// <0118> 俺は手を出す。
<0118> 俺は手を出す。
// <0119> \{河南子}「…いや、それが、なぜか無一文に」
<0119> \{Kanako}「…いや、それが、なぜか無一文に」
// <0120> \{朋也}「はあ?」
<0120> \{Tomoya}「はあ?」
// <0121> \{河南子}「えーと…」
<0121> \{Kanako}「えーと…」
// <0122> \{河南子}「ごめん、ただで泊めてください」
<0122> \{Kanako}「ごめん、ただで泊めてください」
// <0123> \{朋也}「おまえプライドないのな」
<0123> \{Tomoya}「おまえプライドないのな」
// <0124> \{鷹文}「無一文になるようなことすんなよ」
<0124> \{Takafumi}「無一文になるようなことすんなよ」
// <0125> 鷹文が横やりを入れてくる。
<0125> 鷹文が横やりを入れてくる。
// <0126> \{河南子}「てめぇに言ってねーよ」
<0126> \{Kanako}「てめぇに言ってねーよ」
// <0127> \{河南子}「つーか、てめぇは電気代払ってんのかよ」
<0127> \{Kanako}「つーか、てめぇは電気代払ってんのかよ」
// <0128> \{鷹文}「このパソコンは、ねぇちゃんと共用だよ」
<0128> \{Takafumi}「このパソコンは、ねぇちゃんと共用だよ」
// <0129> \{河南子}「じゃ、てめぇのねーちゃん払ってんのかよ」
<0129> \{Kanako}「じゃ、てめぇのねーちゃん払ってんのかよ」
// <0130> \{智代}「いや、払ってないが…」
<0130> \{Tomoyo}「いや、払ってないが…」
// <0131> 台所から智代が答える。
<0131> 台所から智代が答える。
// <0132> \{智代}「でも払わないと、まずいな…うん…」
<0132> \{Tomoyo}「でも払わないと、まずいな…うん…」
// <0133> \{朋也}「いや、払わなくていいから」
<0133> \{Tomoya}「いや、払わなくていいから」
// <0134> \{河南子}「じゃ、あたしも食費払わなくていいじゃん」
<0134> \{Kanako}「じゃ、あたしも食費払わなくていいじゃん」
// <0135> \{智代}「いや、食費は払っているが…」
<0135> \{Tomoyo}「いや、食費は払っているが…」
// <0136> \{河南子}「え…」
<0136> \{Kanako}「え…」
// <0137> \{河南子}「マジで…?」
<0137> \{Kanako}「マジで…?」
// <0138> \{朋也}「マジで」
<0138> \{Tomoya}「マジで」
// <0139> \{河南子}「ごめん、ただで食わせてください」
<0139> \{Kanako}「ごめん、ただで食わせてください」
// <0140> \{朋也}「おまえプライドないのな」
<0140> \{Tomoya}「おまえプライドないのな」
// <0141> \{智代}「ちょっと手伝ってくれないか、朋也」
<0141> \{Tomoyo}「ちょっと手伝ってくれないか、朋也」
// <0142> 着替えを済ませたところで、台所から呼ぶ声。
<0142> 着替えを済ませたところで、台所から呼ぶ声。
// <0143> \{朋也}「ああ」
<0143> \{Tomoya}「ああ」
// <0144> 河南子を跨いで台所へ。
<0144> 河南子を跨いで台所へ。
// <0145> \{河南子}「ああーっ! 背が伸びなくなるだろっ!」
<0145> \{Kanako}「ああーっ! 背が伸びなくなるだろっ!」
// <0146> \{河南子}「帰り、跨ぎ直せよ」
<0146> \{Kanako}「帰り、跨ぎ直せよ」
// <0147> \{朋也}「おまえその歳でそんな迷信、信じてるなよ…」
<0147> \{Tomoya}「おまえその歳でそんな迷信、信じてるなよ…」
// <0148> \{朋也}「で、なにをしよう?」
<0148> \{Tomoya}「で、なにをしよう?」
// <0149> 智代に訊く。
<0149> 智代に訊く。
// <0150> \{智代}「もう少し寄ってくれ」
<0150> \{Tomoyo}「もう少し寄ってくれ」
// <0151> 俺だけに聞こえるような小さな声でそう言った。
<0151> 俺だけに聞こえるような小さな声でそう言った。
// <0152> 内緒話のようだった。俺は距離を詰める。
<0152> 内緒話のようだった。俺は距離を詰める。
// <0153> \{智代}「ともが…」
<0153> \{Tomoyo}「ともが…」
// <0154> \{智代}「連れ去られそうになったんだ…」
<0154> \{Tomoyo}「連れ去られそうになったんだ…」
// <0155> \{朋也}「え…無事だったのか」
<0155> \{Tomoya}「え…無事だったのか」
// <0156> \{智代}「うん、私が駆けつけたら、相手は逃げていった…」
<0156> \{Tomoyo}「うん、私が駆けつけたら、相手は逃げていった…」
// <0157> \{智代}「多分、朝、私のことを物陰から見ていた奴だ…」
<0157> \{Tomoyo}「多分、朝、私のことを物陰から見ていた奴だ…」
// <0158> 俺は破り捨てた手紙のことを思い出す。
<0158> 俺は破り捨てた手紙のことを思い出す。
// <0159> 鷹文の言葉と同時に。
<0159> 鷹文の言葉と同時に。
// <0160> \{鷹文}「じゃあ、ともを利用することにするよ。今のあの人の弱みはそこだからね」
<0160> \{Takafumi}「じゃあ、ともを利用することにするよ。今のあの人の弱みはそこだからね」
// <0161> \{鷹文}「ともなら無力だからね。人質にとったら、ねぇちゃんに好き放題できるよ」
<0161> \{Takafumi}「ともなら無力だからね。人質にとったら、ねぇちゃんに好き放題できるよ」
// <0162> 同じことを考える奴がいたんだ。
<0162> 同じことを考える奴がいたんだ。
// <0163> 俺は寒気を覚える。
<0163> 俺は寒気を覚える。
// <0164> そのことを智代に打ち明けたものか、迷った。
<0164> そのことを智代に打ち明けたものか、迷った。
// <0165> 迷って…結局言わなかった。
<0165> 迷って…結局言わなかった。
// <0166> \{朋也}「おまえはさ…ともを守ってくれ」
<0166> \{Tomoya}「おまえはさ…ともを守ってくれ」
// <0167> \{智代}「もちろん、言われなくてもそうするつもりだ」
<0167> \{Tomoyo}「もちろん、言われなくてもそうするつもりだ」
// <0168> 夕飯を食べ、洗い物を済ませる。
<0168> 夕飯を食べ、洗い物を済ませる。
// <0169> 部屋に戻ると、それぞれが自分のポジションに落ち着いていた。
<0169> 部屋に戻ると、それぞれが自分のポジションに落ち着いていた。
// <0170> 智代とともはふたり並んで絵本を読み、鷹文はパソコンに向かい、河南子は床で寝そべって雑誌をめくっている。
<0170> 智代とともはふたり並んで絵本を読み、鷹文はパソコンに向かい、河南子は床で寝そべって雑誌をめくっている。
// <0171> さて、ひとりでやることもないし、仕事の勉強でもしようか…。
<0171> さて、ひとりでやることもないし、仕事の勉強でもしようか…。
// <0172> 話す
<0172> 話す
// <0173> 勉強する
<0173> 勉強する
// <0174> 智代
<0174> 智代
// <0175> 鷹文
<0175> 鷹文
// <0176> 河南子
<0176> 河南子
// <0177> 借りたノートを参考にしつつ、同じように事務所から借りたマニュアルを読み解く。
<0177> 借りたノートを参考にしつつ、同じように事務所から借りたマニュアルを読み解く。
// <0178> 頭の中に、今日見ていたTVの故障状況を思い出しながら、対策をいくつか考えた。
<0178> 頭の中に、今日見ていたTVの故障状況を思い出しながら、対策をいくつか考えた。
// <0179> 早速明日試してみよう。
<0179> 早速明日試してみよう。
// <0180> \{河南子}「海へいこう」
<0180> \{Kanako}「海へいこう」
// <0181> 河南子が唐突に切り出す。
<0181> 河南子が唐突に切り出す。
// <0182> \{朋也}「はぁ? どうして」
<0182> \{Tomoya}「はぁ? どうして」
// <0183> \{河南子}「だって、夏じゃんっ、夏といったら、海でしょ」
<0183> \{Kanako}「だって、夏じゃんっ、夏といったら、海でしょ」
// <0184> \{河南子}「それに、ともにいい夏の思い出作ってあげたいじゃん」
<0184> \{Kanako}「それに、ともにいい夏の思い出作ってあげたいじゃん」
// <0185> \{智代}「そうだな、私もそうしてあげたい」
<0185> \{Tomoyo}「そうだな、私もそうしてあげたい」
// <0186> \{河南子}「でしょ、海、海~っ」
<0186> \{Kanako}「でしょ、海、海~っ」
// <0187> 河南子に背中を揺すられる。
<0187> 河南子に背中を揺すられる。
// <0188> \{河南子}「海、連れてってよ~っ」
<0188> \{Kanako}「海、連れてってよ~っ」
// <0189> \{朋也}「そうだなぁ…」
<0189> \{Tomoya}「そうだなぁ…」
// <0190> \{鷹文}「って、なに家族みたいになじんでんだよっ!」
<0190> \{Takafumi}「って、なに家族みたいになじんでんだよっ!」
// <0191> \{河南子}「うおぉ、なんだ、おまえっ」
<0191> \{Kanako}「うおぉ、なんだ、おまえっ」
// <0192> 鷹文がいきなり怒り出す。
<0192> 鷹文がいきなり怒り出す。
// <0193> \{鷹文}「学校も行かずに、おまえここの家の子にでもなるつもりかよっ」
<0193> \{Takafumi}「学校も行かずに、おまえここの家の子にでもなるつもりかよっ」
// <0194> 河南子は膝で歩いていって、絵本を読んでいたともの肩をぽんぽんと叩く。
<0194> 河南子は膝で歩いていって、絵本を読んでいたともの肩をぽんぽんと叩く。
// <0195> \{河南子}「あの、ともさん、あの人が河南のこと、めっちゃ怒るですよ」
<0195> \{Kanako}「あの、ともさん、あの人が河南のこと、めっちゃ怒るですよ」
// <0196> \{とも}「もー、ダメだよ、なんなのー、ともがきくよ」
<0196> \{Tomo}「もー、ダメだよ、なんなのー、ともがきくよ」
// <0197> \{鷹文}「ああ、聞け、とも。こいつ、学校さぼってるんだ。ずる休みしてるんだ」
<0197> \{Takafumi}「ああ、聞け、とも。こいつ、学校さぼってるんだ。ずる休みしてるんだ」
// <0198> \{とも}「かな、ダメだよ、がっこういかないとー、いこうねー」
<0198> \{Tomo}「かな、ダメだよ、がっこういかないとー、いこうねー」
// <0199> \{河南子}「病気なんですよ、歩くと股が裂けて死にます」
<0199> \{Kanako}「病気なんですよ、歩くと股が裂けて死にます」
// <0200> \{とも}「えー! たいへん、やすんでないとダメだよ」
<0200> \{Tomo}「えー! たいへん、やすんでないとダメだよ」
// <0201> \{鷹文}「そんなわけわかんない嘘信じるなよっ! こいつちゃんと歩けるって、アイス買いに行ってるってっ」
<0201> \{Takafumi}「そんなわけわかんない嘘信じるなよっ! こいつちゃんと歩けるって、アイス買いに行ってるってっ」
// <0202> \{河南子}「そんなことしたら股が裂けます」
<0202> \{Kanako}「そんなことしたら股が裂けます」
// <0203> \{とも}「そうそ、おにぃちゃん、むりいっちゃダメ、またさけたらたいへんだよ」
<0203> \{Tomo}「そうそ、おにぃちゃん、むりいっちゃダメ、またさけたらたいへんだよ」
// <0204> \{鷹文}「くそぉ…ともの純粋さにつけ込んで…」
<0204> \{Takafumi}「くそぉ…ともの純粋さにつけ込んで…」
// <0205> \{鷹文}「ともも、そんな嘘信じるなよ…」
<0205> \{Takafumi}「ともも、そんな嘘信じるなよ…」
// <0206> \{鷹文}「そもそも、最初の海へいこうっていう提案と、歩くと股が裂けて死ぬって設定、矛盾してるじゃんか…」
<0206> \{Takafumi}「そもそも、最初の海へいこうっていう提案と、歩くと股が裂けて死ぬって設定、矛盾してるじゃんか…」
// <0207> \{智代}「まあ、鷹文、そう目くじら立てるな。それがとものいいところじゃないか」
<0207> \{Tomoyo}「まあ、鷹文、そう目くじら立てるな。それがとものいいところじゃないか」
// <0208> \{河南子}「そうそう、ともは河南の言うことだったら、どんなことでも信用してくれる、とてもいい子だよー」
<0208> \{Kanako}「そうそう、ともは河南の言うことだったら、どんなことでも信用してくれる、とてもいい子だよー」
// <0209> \{鷹文}「そんなわけない。限度があるよ」
<0209> \{Takafumi}「そんなわけない。限度があるよ」
// <0210> \{河南子}「ないよ」
<0210> \{Kanako}「ないよ」
// <0211> \{鷹文}「あるよっ」
<0211> \{Takafumi}「あるよっ」
// <0212> \{河南子}「ないっつったら、ないんじゃ、このぼけーーーっ!!」
<0212> \{Kanako}「ないっつったら、ないんじゃ、このぼけーーーっ!!」
// <0213> \{とも}「また、けんかしてるー、こんどはどうしたのー」
<0213> \{Tomo}「また、けんかしてるー、こんどはどうしたのー」
// <0214> \{河南子}「いや、このひとがなんかひとりでキレてるんです」
<0214> \{Kanako}「いや、このひとがなんかひとりでキレてるんです」
// <0215> \{とも}「きれたら、だめだよー」
<0215> \{Tomo}「きれたら、だめだよー」
// <0216> \{鷹文}「えーーーっ!」
<0216> \{Takafumi}「えーーーっ!」
// <0217> \{河南子}「ありがとうございます。どうぞ、読書のほうにお戻りください」
<0217> \{Kanako}「ありがとうございます。どうぞ、読書のほうにお戻りください」
// <0218> \{とも}「もー、けんかしたら、だめだよー」
<0218> \{Tomo}「もー、けんかしたら、だめだよー」
// <0219> \{河南子}「うんうん」
<0219> \{Kanako}「うんうん」
// <0220> 笑顔で頷いた後、ともが絵本に目を戻すと、すっと表情を変える。
<0220> 笑顔で頷いた後、ともが絵本に目を戻すと、すっと表情を変える。
// <0221> \{河南子}「ちょっと」
<0221> \{Kanako}「ちょっと」
// <0222> 部屋の隅へ鷹文を連れていく。
<0222> 部屋の隅へ鷹文を連れていく。
// <0223> \{河南子}「じゃ、勝負。どっちの嘘を信用してもらえるか」
<0223> \{Kanako}「じゃ、勝負。どっちの嘘を信用してもらえるか」
// <0224> \{鷹文}「ふん…いいよ」
<0224> \{Takafumi}「ふん…いいよ」
// <0225> \{智代}「おまえたち、ともを使っておかしなことを始めるんじゃない」
<0225> \{Tomoyo}「おまえたち、ともを使っておかしなことを始めるんじゃない」
// <0226> ふたりの間に智代が割って入る。
<0226> ふたりの間に智代が割って入る。
// <0227> \{河南子}「先輩も参加」
<0227> \{Kanako}「先輩も参加」
// <0228> \{智代}「そんなつもりできたんじゃない」
<0228> \{Tomoyo}「そんなつもりできたんじゃない」
// <0229> \{河南子}「先輩は嫉妬で来たんだよ。自分より、あたしたちのほうが実は信用されてるんじゃないかって」
<0229> \{Kanako}「先輩は嫉妬で来たんだよ。自分より、あたしたちのほうが実は信用されてるんじゃないかって」
// <0230> なんか面白そうな展開になってきた。
<0230> なんか面白そうな展開になってきた。
// <0231> 一緒に遊ぶ
<0231> 一緒に遊ぶ
// <0232> 勉強を続ける
<0232> 勉強を続ける
// <0233> \{朋也}「じゃ、智代の嘘は俺が考える」
<0233> \{Tomoya}「じゃ、智代の嘘は俺が考える」
// <0234> \{智代}「朋也までなんなんだっ」
<0234> \{Tomoyo}「朋也までなんなんだっ」
// <0235> \{朋也}「遊びじゃん、遊び」
<0235> \{Tomoya}「遊びじゃん、遊び」
// <0236> \{河南子}「でも、ともが誰を一番信用してるか、わかるわけですが」
<0236> \{Kanako}「でも、ともが誰を一番信用してるか、わかるわけですが」
// <0237> \{鷹文}「順当に考えたら、ねぇちゃんだけど」
<0237> \{Takafumi}「順当に考えたら、ねぇちゃんだけど」
// <0238> \{智代}「………」
<0238> \{Tomoyo}「………」
// <0239> \{智代}「…そんなこと言うな、むちゃくちゃ恐くなってきたじゃないか」
<0239> \{Tomoyo}「…そんなこと言うな、むちゃくちゃ恐くなってきたじゃないか」
// <0240> \{智代}「私じゃなかったら、どうしよう…」
<0240> \{Tomoyo}「私じゃなかったら、どうしよう…」
// <0241> \{朋也}「でも、自分だとわかったら安心できるだろ?」
<0241> \{Tomoya}「でも、自分だとわかったら安心できるだろ?」
// <0242> \{智代}「うん…」
<0242> \{Tomoyo}「うん…」
// <0243> \{河南子}「じゃあ、あたしが最初にともに嘘をつく」
<0243> \{Kanako}「じゃあ、あたしが最初にともに嘘をつく」
// <0244> \{河南子}「その後の人は、それより信じられない嘘をつく」
<0244> \{Kanako}「その後の人は、それより信じられない嘘をつく」
// <0245> \{河南子}「信じてもらえなかった人は脱落。最後まで残った人の勝ちね」
<0245> \{Kanako}「信じてもらえなかった人は脱落。最後まで残った人の勝ちね」
// <0246> \{河南子}「では、いきます」
<0246> \{Kanako}「では、いきます」
// <0247> \{鷹文}「どんな嘘?」
<0247> \{Takafumi}「どんな嘘?」
// <0248> \{河南子}「この世には…\p
<0248> \{Kanako}「この世には…\p
// <0249> 人間より大きな虫がいる」
<0249> 人間より大きな虫がいる」
// <0250> \{鷹文}「こえぇ…」
<0250> \{Takafumi}「こえぇ…」
// <0251> \{朋也}「ものすごい嘘だな…」
<0251> \{Tomoya}「ものすごい嘘だな…」
// <0252> \{河南子}「うす、いってきます」
<0252> \{Kanako}「うす、いってきます」
// <0253> 河南子がともにすり寄っていく。
<0253> 河南子がともにすり寄っていく。
// <0254> ともは、相変わらず絵本に夢中。
<0254> ともは、相変わらず絵本に夢中。
// <0255> その肩をとんとん、と叩く。
<0255> その肩をとんとん、と叩く。
// <0256> \{河南子}「あの、ともさん」
<0256> \{Kanako}「あの、ともさん」
// <0257> \{とも}「ん? かな、どうしたの」
<0257> \{Tomo}「ん? かな、どうしたの」
// <0258> \{河南子}「この世には、人間より大きな虫がいるんですよ」
<0258> \{Kanako}「この世には、人間より大きな虫がいるんですよ」
// <0259> \{とも}「えーっ! うそー!」
<0259> \{Tomo}「えーっ! うそー!」
// <0260> \{河南子}「まじです。自分見たことあります」
<0260> \{Kanako}「まじです。自分見たことあります」
// <0261> \{河南子}「通学中、いきなりふぁっさ~って飛んできて、横を歩いていたサラリーマンをさらっていきました」
<0261> \{Kanako}「通学中、いきなりふぁっさ~って飛んできて、横を歩いていたサラリーマンをさらっていきました」
// <0262> \{とも}「ええー! こわーい!」
<0262> \{Tomo}「ええー! こわーい!」
// <0263> \{河南子}「大丈夫、奴らがさらうのは男だけです。女性は安全です」
<0263> \{Kanako}「大丈夫、奴らがさらうのは男だけです。女性は安全です」
// <0264> \{とも}「そー…でも、こわい…」
<0264> \{Tomo}「そー…でも、こわい…」
// <0265> \{河南子}「邪魔しました。では」
<0265> \{Kanako}「邪魔しました。では」
// <0266> 言って、戻ってくる。
<0266> 言って、戻ってくる。
// <0267> ともはまだ不安そうな顔でいる。
<0267> ともはまだ不安そうな顔でいる。
// <0268> \{河南子}「クリア」
<0268> \{Kanako}「クリア」
// <0269> \{智代}「あんまり恐がらせるな、可哀想だろ」
<0269> \{Tomoyo}「あんまり恐がらせるな、可哀想だろ」
// <0270> \{鷹文}「じゃあ、次、僕いくよ」
<0270> \{Takafumi}「じゃあ、次、僕いくよ」
// <0271> 鷹文が申し出る。
<0271> 鷹文が申し出る。
// <0272> \{河南子}「どんな嘘?」
<0272> \{Kanako}「どんな嘘?」
// <0273> \{鷹文}「太陽には…\p
<0273> \{Takafumi}「太陽には…\p
// <0274> 人が住んでいる」
<0274> 人が住んでいる」
// <0275> \{河南子}「む、やるな…」
<0275> \{Kanako}「む、やるな…」
// <0276> \{朋也}「それ、信じるか…?」
<0276> \{Tomoya}「それ、信じるか…?」
// <0277> \{鷹文}「勝負を決めにかかるよ」
<0277> \{Takafumi}「勝負を決めにかかるよ」
// <0278> \{鷹文}「じゃあ、いってくる」
<0278> \{Takafumi}「じゃあ、いってくる」
// <0279> 鷹文がとものそばに座る。
<0279> 鷹文がとものそばに座る。
// <0280> \{鷹文}「ねぇ、とも」
<0280> \{Takafumi}「ねぇ、とも」
// <0281> \{とも}「ん? こんどはなに?」
<0281> \{Tomo}「ん? こんどはなに?」
// <0282> \{鷹文}「太陽には人が住んでるんだよ」
<0282> \{Takafumi}「太陽には人が住んでるんだよ」
// <0283> \{とも}「えーっ!」
<0283> \{Tomo}「えーっ!」
// <0284> \{鷹文}「ほんと、ほんと」
<0284> \{Takafumi}「ほんと、ほんと」
// <0285> \{とも}「そのひとたち、たいようでなにしてるの?」
<0285> \{Tomo}「そのひとたち、たいようでなにしてるの?」
// <0286> \{鷹文}「普通に暮らしてるよ。ただものすごく暑いからね、みんなアロハシャツ着てる」
<0286> \{Takafumi}「普通に暮らしてるよ。ただものすごく暑いからね、みんなアロハシャツ着てる」
// <0287> \{とも}「それきてたらだいじょうぶなの?」
<0287> \{Tomo}「それきてたらだいじょうぶなの?」
// <0288> \{鷹文}「うん、だいぶ違うらしいよ。ま、気分の問題だけどね」
<0288> \{Takafumi}「うん、だいぶ違うらしいよ。ま、気分の問題だけどね」
// <0289> \{とも}「へー…」
<0289> \{Tomo}「へー…」
// <0290> \{鷹文}「というわけ」
<0290> \{Takafumi}「というわけ」
// <0291> \{鷹文}「ごめん、邪魔したね」
<0291> \{Takafumi}「ごめん、邪魔したね」
// <0292> 鷹文がいなくなっても、しばらくぼーっとしているとも。
<0292> 鷹文がいなくなっても、しばらくぼーっとしているとも。
// <0293> 太陽で暮らす人々のことを考えているのだろうか。
<0293> 太陽で暮らす人々のことを考えているのだろうか。
// <0294> \{鷹文}「クリア」
<0294> \{Takafumi}「クリア」
// <0295> \{河南子}「すげぇね」
<0295> \{Kanako}「すげぇね」
// <0296> \{智代}「教育によくないぞ、これは」
<0296> \{Tomoyo}「教育によくないぞ、これは」
// <0297> \{朋也}「俺はコツをつかんだ」
<0297> \{Tomoya}「俺はコツをつかんだ」
// <0298> \{智代}「ん? どんなだ?」
<0298> \{Tomoyo}「ん? どんなだ?」
// <0299> \{朋也}「ちょっと智代、耳貸せ」
<0299> \{Tomoya}「ちょっと智代、耳貸せ」
// <0300> \{智代}「うん…」
<0300> \{Tomoyo}「うん…」
// <0301> \{朋也}(どんな大嘘でも、その後、まじです、とか、ほんとほんと、とかフォローすれば信じるんだよ、ともは)
<0301> \{Tomoya}(どんな大嘘でも、その後、まじです、とか、ほんとほんと、とかフォローすれば信じるんだよ、ともは)
// <0302> そう耳打ちする。
<0302> そう耳打ちする。
// <0303> \{河南子}「なんだよ、いやらしいなー」
<0303> \{Kanako}「なんだよ、いやらしいなー」
// <0304> \{朋也}「というわけで、俺たちも勝負かけるぞ、智代」
<0304> \{Tomoya}「というわけで、俺たちも勝負かけるぞ、智代」
// <0305> \{智代}「本当に、大丈夫だろうな…」
<0305> \{Tomoyo}「本当に、大丈夫だろうな…」
// <0306> \{朋也}「しかも、おまえだし。絶対大丈夫だって」
<0306> \{Tomoya}「しかも、おまえだし。絶対大丈夫だって」
// <0307> さて、嘘は…
<0307> さて、嘘は…
// <0308> 人は歳とともにアゴがしゃくれていく
<0308> 人は歳とともにアゴがしゃくれていく
// <0309> 流しでミッキーマウスを捕まえた
<0309> 流しでミッキーマウスを捕まえた
// <0310> 鷹文は100人いる
<0310> 鷹文は100人いる
// <0311> \{朋也}「人は…\p歳とともにアゴがしゃくれていく」
<0311> \{Tomoya}「人は…\p歳とともにアゴがしゃくれていく」
// <0312> \{智代}「…意味がわからないんだが」
<0312> \{Tomoyo}「…意味がわからないんだが」
// <0313> \{朋也}「老化現象ってことだよ」
<0313> \{Tomoya}「老化現象ってことだよ」
// <0314> \{智代}「よくわからないが、これでいいのか?」
<0314> \{Tomoyo}「よくわからないが、これでいいのか?」
// <0315> \{鷹文}「簡単じゃない?」
<0315> \{Takafumi}「簡単じゃない?」
// <0316> \{朋也}「簡単かよっ」
<0316> \{Tomoya}「簡単かよっ」
// <0317> \{朋也}「おまえのなんて、調べられないだろ」
<0317> \{Tomoya}「おまえのなんて、調べられないだろ」
// <0318> \{朋也}「こっちの嘘は、お年寄り見たら、嘘ってわかるじゃんかよ」
<0318> \{Tomoya}「こっちの嘘は、お年寄り見たら、嘘ってわかるじゃんかよ」
// <0319> \{朋也}「みんな、しゃくれてるか?」
<0319> \{Tomoya}「みんな、しゃくれてるか?」
// <0320> \{河南子}「しゃくれてないね」
<0320> \{Kanako}「しゃくれてないね」
// <0321> \{鷹文}「確かに…」
<0321> \{Takafumi}「確かに…」
// <0322> \{鷹文}「じゃ、いいよ」
<0322> \{Takafumi}「じゃ、いいよ」
// <0323> \{朋也}「いけ、智代」
<0323> \{Tomoya}「いけ、智代」
// <0324> \{智代}「うん…」
<0324> \{Tomoyo}「うん…」
// <0325> 智代が立ち上がり、とものそばに座り直す。
<0325> 智代が立ち上がり、とものそばに座り直す。
// <0326> \{智代}「とも、絵本を読んでるところ、悪いな、ちょっとお話していいか?」
<0326> \{Tomoyo}「とも、絵本を読んでるところ、悪いな、ちょっとお話していいか?」
// <0327> \{とも}「え? あ、うん、いいよー」
<0327> \{Tomo}「え? あ、うん、いいよー」
// <0328> \{智代}「………」
<0328> \{Tomoyo}「………」
// <0329> \{智代}「…あのな、とも」
<0329> \{Tomoyo}「…あのな、とも」
// <0330> \{とも}「うん」
<0330> \{Tomo}「うん」
// <0331> \{智代}「人は…\p
<0331> \{Tomoyo}「人は…\p
// <0332> 歳とともにアゴがしゃくれていく」
<0332> 歳とともにアゴがしゃくれていく」
// <0333> \{とも}「しゃくれるー?」
<0333> \{Tomo}「しゃくれるー?」
// <0334> 意味が通じない。
<0334> 意味が通じない。
// <0335> \{智代}「こう、ペリカンさんみたいに出てくるってことだ」
<0335> \{Tomoyo}「こう、ペリカンさんみたいに出てくるってことだ」
// <0336> \{智代}「ほんとだぞ」
<0336> \{Tomoyo}「ほんとだぞ」
// <0337> \{とも}「うそだー、みんなでてないよー」
<0337> \{Tomo}「うそだー、みんなでてないよー」
// <0338> \{智代}「う…」
<0338> \{Tomoyo}「う…」
// <0339> \{智代}「そうだな…」
<0339> \{Tomoyo}「そうだな…」
// <0340> \{智代}「すまないな、実は嘘なんだ…」
<0340> \{Tomoyo}「すまないな、実は嘘なんだ…」
// <0341> \{とも}「うん、わかってるよー」
<0341> \{Tomo}「うん、わかってるよー」
// <0342> \{智代}「じゃあな」
<0342> \{Tomoyo}「じゃあな」
// <0343> 敗北した!
<0343> 敗北した!
// <0344> その後、鷹文と河南子が熱い戦いを繰り広げるが…
<0344> その後、鷹文と河南子が熱い戦いを繰り広げるが…
// <0345> 鷹文の、『人間の体の約60%は優しさでできている』というわけのわからない嘘が通じず散ることに。
<0345> 鷹文の、『人間の体の約60%は優しさでできている』というわけのわからない嘘が通じず散ることに。
// <0346> \{河南子}「ほら、みろ。あたしがともに一番信用されてる人間なんじゃん」
<0346> \{Kanako}「ほら、みろ。あたしがともに一番信用されてる人間なんじゃん」
// <0347> \{河南子}「おまえらも見習えよー?」
<0347> \{Kanako}「おまえらも見習えよー?」
// <0348> むかつく…。
<0348> むかつく…。
// <0349> \{朋也}「流しでミッキーマウスを捕まえた」
<0349> \{Tomoya}「流しでミッキーマウスを捕まえた」
// <0350> \{河南子}「それ、すげぇ嘘だね…」
<0350> \{Kanako}「それ、すげぇ嘘だね…」
// <0351> \{鷹文}「水回り…あたかも、本当のねずみのように扱うところがミソっぽいね」
<0351> \{Takafumi}「水回り…あたかも、本当のねずみのように扱うところがミソっぽいね」
// <0352> \{智代}「私にはよくわからないが、これでいいのか?」
<0352> \{Tomoyo}「私にはよくわからないが、これでいいのか?」
// <0353> \{河南子}「いいよ」
<0353> \{Kanako}「いいよ」
// <0354> \{朋也}「いけ、智代」
<0354> \{Tomoya}「いけ、智代」
// <0355> \{智代}「うん…」
<0355> \{Tomoyo}「うん…」
// <0356> 智代が立ち上がり、とものそばに座り直す。
<0356> 智代が立ち上がり、とものそばに座り直す。
// <0357> \{智代}「とも、絵本を読んでるところ、悪いな、ちょっとお話していいか?」
<0357> \{Tomoyo}「とも、絵本を読んでるところ、悪いな、ちょっとお話していいか?」
// <0358> \{とも}「え? あ、うん、いいよー」
<0358> \{Tomo}「え? あ、うん、いいよー」
// <0359> \{智代}「………」
<0359> \{Tomoyo}「………」
// <0360> \{智代}「…あのな、とも」
<0360> \{Tomoyo}「…あのな、とも」
// <0361> \{とも}「うん」
<0361> \{Tomo}「うん」
// <0362> \{智代}「流しでミッキーマウスを捕まえた」
<0362> \{Tomoyo}「流しでミッキーマウスを捕まえた」
// <0363> \{とも}「えー、うそーっ!」
<0363> \{Tomo}「えー、うそーっ!」
// <0364> \{智代}「ほんとだ…」
<0364> \{Tomoyo}「ほんとだ…」
// <0365> \{とも}「えーっ、すごいーっ」
<0365> \{Tomo}「えーっ、すごいーっ」
// <0366> \{とも}「どこー、みせてーっ」
<0366> \{Tomo}「どこー、みせてーっ」
// <0367> \{智代}「いや、すぐ逃がしてやった」
<0367> \{Tomoyo}「いや、すぐ逃がしてやった」
// <0368> \{とも}「えーっ…」
<0368> \{Tomo}「えーっ…」
// <0369> \{とも}「ざんねん…」
<0369> \{Tomo}「ざんねん…」
// <0370> \{とも}「こんどはともにみせてからにがしてー」
<0370> \{Tomo}「こんどはともにみせてからにがしてー」
// <0371> \{智代}「うん、そうする…」
<0371> \{Tomoyo}「うん、そうする…」
// <0372> \{智代}「邪魔して悪かったな」
<0372> \{Tomoyo}「邪魔して悪かったな」
// <0373> \{とも}「うんー」
<0373> \{Tomo}「うんー」
// <0374> 智代が戻ってくる。
<0374> 智代が戻ってくる。
// <0375> \{朋也}「クリアだ。よくやった」
<0375> \{Tomoya}「クリアだ。よくやった」
// <0376> \{智代}「すごい罪悪感だ…」
<0376> \{Tomoyo}「すごい罪悪感だ…」
// <0377> \{朋也}「実は鷹文は100人いる」
<0377> \{Tomoya}「実は鷹文は100人いる」
// <0378> \{鷹文}「なんだよそれっ!」
<0378> \{Takafumi}「なんだよそれっ!」
// <0379> \{朋也}「全部、同じ顔かたちなんだけど、微妙に色が違ったりする。肌とか髪の色が」
<0379> \{Tomoya}「全部、同じ顔かたちなんだけど、微妙に色が違ったりする。肌とか髪の色が」
// <0380> \{朋也}「シリアルナンバーも入っていて、おまえはそうだな…054番なんだ」
<0380> \{Tomoya}「シリアルナンバーも入っていて、おまえはそうだな…054番なんだ」
// <0381> \{朋也}「だから今日話している鷹文は、もしかしたら昨日話した鷹文じゃないかもしれないって嘘」
<0381> \{Tomoya}「だから今日話している鷹文は、もしかしたら昨日話した鷹文じゃないかもしれないって嘘」
// <0382> \{河南子}「ふたりいるって程度ならわかるが…100人いるって、壮絶な嘘だな…」
<0382> \{Kanako}「ふたりいるって程度ならわかるが…100人いるって、壮絶な嘘だな…」
// <0383> \{朋也}「あと077はラッキー鷹文と呼ばれていて、全身金色なんだ」
<0383> \{Tomoya}「あと077はラッキー鷹文と呼ばれていて、全身金色なんだ」
// <0384> \{鷹文}「やめてよっ!」
<0384> \{Takafumi}「やめてよっ!」
// <0385> \{智代}「私にはよくわからないが、これでいいのか?」
<0385> \{Tomoyo}「私にはよくわからないが、これでいいのか?」
// <0386> \{河南子}「いいよ」
<0386> \{Kanako}「いいよ」
// <0387> \{朋也}「いけ、智代」
<0387> \{Tomoya}「いけ、智代」
// <0388> \{智代}「うん…」
<0388> \{Tomoyo}「うん…」
// <0389> 智代が立ち上がり、とものそばに座り直す。
<0389> 智代が立ち上がり、とものそばに座り直す。
// <0390> \{智代}「とも、絵本を読んでるところ、悪いな、ちょっとお話していいか?」
<0390> \{Tomoyo}「とも、絵本を読んでるところ、悪いな、ちょっとお話していいか?」
// <0391> \{とも}「え? あ、うん、いいよー」
<0391> \{Tomo}「え? あ、うん、いいよー」
// <0392> \{智代}「………」
<0392> \{Tomoyo}「………」
// <0393> \{智代}「…あのな、とも」
<0393> \{Tomoyo}「…あのな、とも」
// <0394> \{とも}「うん」
<0394> \{Tomo}「うん」
// <0395> \{智代}「実は鷹文は…\p
<0395> \{Tomoyo}「実は鷹文は…\p
// <0396> 100人いる」
<0396> 100人いる」
// <0397> \{とも}「100にん?」
<0397> \{Tomo}「100にん?」
// <0398> \{智代}「うん、みんな同じ顔かたちなんだけど、肌とか髪の色が、微妙に違ったりする」
<0398> \{Tomoyo}「うん、みんな同じ顔かたちなんだけど、肌とか髪の色が、微妙に違ったりする」
// <0399> \{智代}「数字が印として入っていて、今日の鷹文は、054って書いてあった」
<0399> \{Tomoyo}「数字が印として入っていて、今日の鷹文は、054って書いてあった」
// <0400> \{智代}「昨日いた鷹文は何番だったんだろうな。今日と違う別の鷹文だったかもしれない」
<0400> \{Tomoyo}「昨日いた鷹文は何番だったんだろうな。今日と違う別の鷹文だったかもしれない」
// <0401> \{とも}「えー、うそーっ!」
<0401> \{Tomo}「えー、うそーっ!」
// <0402> \{智代}「いや、ほんとなんだ…」
<0402> \{Tomoyo}「いや、ほんとなんだ…」
// <0403> \{とも}「なんか、こわいー!」
<0403> \{Tomo}「なんか、こわいー!」
// <0404> \{智代}「あと077はラッキー鷹文と呼ばれている。全身、金色なんだ…」
<0404> \{Tomoyo}「あと077はラッキー鷹文と呼ばれている。全身、金色なんだ…」
// <0405> \{とも}「えーっ!」
<0405> \{Tomo}「えーっ!」
// <0406> \{智代}「実は姉である私も見たことはない。とても珍しいんだ」
<0406> \{Tomoyo}「実は姉である私も見たことはない。とても珍しいんだ」
// <0407> \{とも}「みたくないよーっ!」
<0407> \{Tomo}「みたくないよーっ!」
// <0408> \{智代}「そうだな。邪魔して悪かった」
<0408> \{Tomoyo}「そうだな。邪魔して悪かった」
// <0409> \{とも}「うん…」
<0409> \{Tomo}「うん…」
// <0410> 智代が戻ってくる。
<0410> 智代が戻ってくる。
// <0411> \{朋也}「クリアだ。よくやった」
<0411> \{Tomoya}「クリアだ。よくやった」
// <0412> \{智代}「すごい罪悪感だ…」
<0412> \{Tomoyo}「すごい罪悪感だ…」
// <0413> \{鷹文}「なんかともが僕のことをすごい目で見てるよ…」
<0413> \{Takafumi}「なんかともが僕のことをすごい目で見てるよ…」
// <0414> \{智代}「それは私がついた嘘のせいだ」
<0414> \{Tomoyo}「それは私がついた嘘のせいだ」
// <0415> \{鷹文}「わかってるよ…」
<0415> \{Takafumi}「わかってるよ…」
// <0416> \{智代}「すごく恐がらせてしまった、後でちゃんと謝ろう…」
<0416> \{Tomoyo}「すごく恐がらせてしまった、後でちゃんと謝ろう…」
// <0417> \{河南子}「次はあたしか…」
<0417> \{Kanako}「次はあたしか…」
// <0418> 河南子が考え込む。
<0418> 河南子が考え込む。
// <0419> \{河南子}「こんなのどうかな」
<0419> \{Kanako}「こんなのどうかな」
// <0420> \{河南子}「学校の先生は…\p
<0420> \{Kanako}「学校の先生は…\p
// <0421> 全員、老け顔の同級生だ」
<0421> 全員、老け顔の同級生だ」
// <0422> \{朋也}「マジかよ、すごいとこきたな…」
<0422> \{Tomoya}「マジかよ、すごいとこきたな…」
// <0423> \{鷹文}「無理でしょ、いくらなんでも…」
<0423> \{Takafumi}「無理でしょ、いくらなんでも…」
// <0424> \{河南子}「いや…あたしはいくよ」
<0424> \{Kanako}「いや…あたしはいくよ」
// <0425> ともの元へ。
<0425> ともの元へ。
// <0426> \{河南子}「あの、ともさん」
<0426> \{Kanako}「あの、ともさん」
// <0427> \{とも}「ん? また、かな? どうしたの?」
<0427> \{Tomo}「ん? また、かな? どうしたの?」
// <0428> \{河南子}「ともさんは、これから学校に進学されると思いますので、教えておきます」
<0428> \{Kanako}「ともさんは、これから学校に進学されると思いますので、教えておきます」
// <0429> \{河南子}「みんなは知らない秘密の話なので、誰にも言わないでくださいね」
<0429> \{Kanako}「みんなは知らない秘密の話なので、誰にも言わないでくださいね」
// <0430> \{とも}「うん、いわないよー」
<0430> \{Tomo}「うん、いわないよー」
// <0431> \{河南子}「実は…」
<0431> \{Kanako}「実は…」
// <0432> \{河南子}「学校の先生は、老けて見えるだけで、全員同い年の子供です」
<0432> \{Kanako}「学校の先生は、老けて見えるだけで、全員同い年の子供です」
// <0433> \{とも}「えーっ!」
<0433> \{Tomo}「えーっ!」
// <0434> \{河南子}「前もって、クラスで一番頭のいい子が、こっそり先生に任命されるんです」
<0434> \{Kanako}「前もって、クラスで一番頭のいい子が、こっそり先生に任命されるんです」
// <0435> \{とも}「とももいちばんになると、せんせいになるの?」
<0435> \{Tomo}「とももいちばんになると、せんせいになるの?」
// <0436> \{河南子}「なります」
<0436> \{Kanako}「なります」
// <0437> \{とも}「ええー!」
<0437> \{Tomo}「ええー!」
// <0438> \{とも}「とも、せんせいなんてできないよー」
<0438> \{Tomo}「とも、せんせいなんてできないよー」
// <0439> \{河南子}「ともさん、案ずるより産むが易しですよ。自分で言ってて、わけわかりませんが」
<0439> \{Kanako}「ともさん、案ずるより産むが易しですよ。自分で言ってて、わけわかりませんが」
// <0440> \{とも}「うーん…」
<0440> \{Tomo}「うーん…」
// <0441> \{河南子}「邪魔しました。では」
<0441> \{Kanako}「邪魔しました。では」
// <0442> 言って、戻ってくる。
<0442> 言って、戻ってくる。
// <0443> \{河南子}「クリアです」
<0443> \{Kanako}「クリアです」
// <0444> \{朋也}「いや、あれ、信じてないだろ」
<0444> \{Tomoya}「いや、あれ、信じてないだろ」
// <0445> ともはまだ、うーん、とうなっている。
<0445> ともはまだ、うーん、とうなっている。
// <0446> \{河南子}「信じてるって。価値観が変わったから、ああなってるだけで」
<0446> \{Kanako}「信じてるって。価値観が変わったから、ああなってるだけで」
// <0447> \{智代}「そろそろやめてあげないと、可哀想だぞ…」
<0447> \{Tomoyo}「そろそろやめてあげないと、可哀想だぞ…」
// <0448> \{河南子}「まだ勝負ついてないじゃん」
<0448> \{Kanako}「まだ勝負ついてないじゃん」
// <0449> \{河南子}「ほら、次、鷹文」
<0449> \{Kanako}「ほら、次、鷹文」
// <0450> \{鷹文}「ああ、うん…」
<0450> \{Takafumi}「ああ、うん…」
// <0451> \{河南子}「今のを上回るには、相当突拍子のない嘘じゃないとダメだぞー」
<0451> \{Kanako}「今のを上回るには、相当突拍子のない嘘じゃないとダメだぞー」
// <0452> \{鷹文}「じゃあ…」
<0452> \{Takafumi}「じゃあ…」
// <0453> \{鷹文}「今、この部屋は…\p
<0453> \{Takafumi}「今、この部屋は…\p
// <0454> 飛んでいる」
<0454> 飛んでいる」
// <0455> \{河南子}「う、やるな…」
<0455> \{Kanako}「う、やるな…」
// <0456> \{朋也}「いや、信じないだろ…」
<0456> \{Tomoya}「いや、信じないだろ…」
// <0457> \{鷹文}「いってくる」
<0457> \{Takafumi}「いってくる」
// <0458> 鷹文がとものそばに座り直す。
<0458> 鷹文がとものそばに座り直す。
// <0459> \{鷹文}「ねぇ、とも」
<0459> \{Takafumi}「ねぇ、とも」
// <0460> \{とも}「ん? こんどはおにぃちゃん? どうしたの?」
<0460> \{Tomo}「ん? こんどはおにぃちゃん? どうしたの?」
// <0461> \{鷹文}「うん、恐がらすから言わなかったんだけどさ…」
<0461> \{Takafumi}「うん、恐がらすから言わなかったんだけどさ…」
// <0462> \{とも}「なに?」
<0462> \{Tomo}「なに?」
// <0463> \{鷹文}「実は…」
<0463> \{Takafumi}「実は…」
// <0464> \{鷹文}「今、この部屋は飛んでいる」
<0464> \{Takafumi}「今、この部屋は飛んでいる」
// <0465> \{とも}「ええーっ!」
<0465> \{Tomo}「ええーっ!」
// <0466> \{鷹文}「さっき地震があってさ、そういう危険が迫ると、防災装置が作動して、アパートごと空をかっ飛ぶようにできてるんだ」
<0466> \{Takafumi}「さっき地震があってさ、そういう危険が迫ると、防災装置が作動して、アパートごと空をかっ飛ぶようにできてるんだ」
// <0467> \{鷹文}「でも、危険だから窓には寄っていかないでね」
<0467> \{Takafumi}「でも、危険だから窓には寄っていかないでね」
// <0468> \{とも}「たかいところこわいー」
<0468> \{Tomo}「たかいところこわいー」
// <0469> \{鷹文}「大丈夫、窓にさえ寄っていかなければ」
<0469> \{Takafumi}「大丈夫、窓にさえ寄っていかなければ」
// <0470> \{鷹文}「降りたら、また言うよ」
<0470> \{Takafumi}「降りたら、また言うよ」
// <0471> \{鷹文}「じゃあね」
<0471> \{Takafumi}「じゃあね」
// <0472> 戻ってくる。
<0472> 戻ってくる。
// <0473> \{鷹文}「クリア」
<0473> \{Takafumi}「クリア」
// <0474> \{朋也}「あれは、こわがってるだけだろ…」
<0474> \{Tomoya}「あれは、こわがってるだけだろ…」
// <0475> \{鷹文}「信じてるって証拠じゃん」
<0475> \{Takafumi}「信じてるって証拠じゃん」
// <0476> \{智代}「みんなでいじめてるみたいじゃないか…可哀想すぎる」
<0476> \{Tomoyo}「みんなでいじめてるみたいじゃないか…可哀想すぎる」
// <0477> \{鷹文}「ともには審判してもらってるだけだよ。後でわけは話すから大丈夫」
<0477> \{Takafumi}「ともには審判してもらってるだけだよ。後でわけは話すから大丈夫」
// <0478> \{鷹文}「ほら、次はねぇちゃんの番」
<0478> \{Takafumi}「ほら、次はねぇちゃんの番」
// <0479> \{智代}「ああ、うん」
<0479> \{Tomoyo}「ああ、うん」
// <0480> \{河南子}「荒唐無稽な嘘じゃないと、ダメだよ」
<0480> \{Kanako}「荒唐無稽な嘘じゃないと、ダメだよ」
// <0481> \{朋也}「じゃあ次の嘘は…」
<0481> \{Tomoya}「じゃあ次の嘘は…」
// <0482> さっき神になった
<0482> さっき神になった
// <0483> 鷹文が咲いた
<0483> 鷹文が咲いた
// <0484> ロマンティックが止まらない
<0484> ロマンティックが止まらない
// <0485> \{朋也}「さっき神になった」
<0485> \{Tomoya}「さっき神になった」
// <0486> \{河南子}「うっわー、すげぇのきたよっ」
<0486> \{Kanako}「うっわー、すげぇのきたよっ」
// <0487> \{智代}「カミって…神様か?」
<0487> \{Tomoyo}「カミって…神様か?」
// <0488> \{朋也}「ああ」
<0488> \{Tomoya}「ああ」
// <0489> \{鷹文}「でも、ともに神様のすごさが伝わらないと、意味ないよ。知ってるのかな」
<0489> \{Takafumi}「でも、ともに神様のすごさが伝わらないと、意味ないよ。知ってるのかな」
// <0490> \{河南子}「じゃあ、『なんでもできる、とりあえず海をフルーチェにしてみた』って付け加えたら、オーケーにするよ」
<0490> \{Kanako}「じゃあ、『なんでもできる、とりあえず海をフルーチェにしてみた』って付け加えたら、オーケーにするよ」
// <0491> \{智代}「もう無茶苦茶じゃないか…」
<0491> \{Tomoyo}「もう無茶苦茶じゃないか…」
// <0492> \{朋也}「ともの一番信頼される人間でいたいだろ?」
<0492> \{Tomoya}「ともの一番信頼される人間でいたいだろ?」
// <0493> \{智代}「それは…もちろんだ」
<0493> \{Tomoyo}「それは…もちろんだ」
// <0494> \{朋也}「じゃあ、いってこい。試してこい」
<0494> \{Tomoya}「じゃあ、いってこい。試してこい」
// <0495> \{智代}「うん…」
<0495> \{Tomoyo}「うん…」
// <0496> 立ち上がってともの元へ歩いていく。
<0496> 立ち上がってともの元へ歩いていく。
// <0497> \{智代}「度々すまないな、とも。ちょっといいか」
<0497> \{Tomoyo}「度々すまないな、とも。ちょっといいか」
// <0498> \{とも}「ん? うん、いいよー」
<0498> \{Tomo}「ん? うん、いいよー」
// <0499> \{智代}「聞いてほしい話があるんだ」
<0499> \{Tomoyo}「聞いてほしい話があるんだ」
// <0500> \{とも}「うん、なに?」
<0500> \{Tomo}「うん、なに?」
// <0501> \{智代}「さっき神になった」
<0501> \{Tomoyo}「さっき神になった」
// <0502> \{とも}「かみー?」
<0502> \{Tomo}「かみー?」
// <0503> \{智代}「神様だ」
<0503> \{Tomoyo}「神様だ」
// <0504> \{とも}「うん、神様に?」
<0504> \{Tomo}「うん、神様に?」
// <0505> \{智代}「私がなった」
<0505> \{Tomoyo}「私がなった」
// <0506> \{とも}「えー、うそだーっ!」
<0506> \{Tomo}「えー、うそだーっ!」
// <0507> \{智代}「信じられないだろうが本当なんだ。ちょっと神様になってみたかったんだ」
<0507> \{Tomoyo}「信じられないだろうが本当なんだ。ちょっと神様になってみたかったんだ」
// <0508> \{とも}「かみさまってすごいんだよー、いろんなことできるんだよー」
<0508> \{Tomo}「かみさまってすごいんだよー、いろんなことできるんだよー」
// <0509> \{智代}「うん、なんでもできる。とりあえず海をフルーチェにしてみた」
<0509> \{Tomoyo}「うん、なんでもできる。とりあえず海をフルーチェにしてみた」
// <0510> \{とも}「ええーっ! うみ、フルーチェにしちゃったのぉーっ!?」
<0510> \{Tomo}「ええーっ! うみ、フルーチェにしちゃったのぉーっ!?」
// <0511> \{智代}「う、うん」
<0511> \{Tomoyo}「う、うん」
// <0512> \{とも}「どろどろだよー、おさかなどうなっちゃったのー!?」
<0512> \{Tomo}「どろどろだよー、おさかなどうなっちゃったのー!?」
// <0513> \{智代}「フ…フルーチェの中を泳いでいる」
<0513> \{Tomoyo}「フ…フルーチェの中を泳いでいる」
// <0514> \{とも}「うわー、そうなんだー」
<0514> \{Tomo}「うわー、そうなんだー」
// <0515> \{とも}「いきていけるんだねー、よかったー」
<0515> \{Tomo}「いきていけるんだねー、よかったー」
// <0516> \{智代}「邪魔して悪かったな」
<0516> \{Tomoyo}「邪魔して悪かったな」
// <0517> \{とも}「ううん、なんかすごいことしてよー」
<0517> \{Tomo}「ううん、なんかすごいことしてよー」
// <0518> \{智代}「いや、海をフルーチェにしたら疲れたんだ、今はなにもできない…」
<0518> \{Tomoyo}「いや、海をフルーチェにしたら疲れたんだ、今はなにもできない…」
// <0519> \{とも}「うん、じゃあ、やすんでー」
<0519> \{Tomo}「うん、じゃあ、やすんでー」
// <0520> \{智代}「うん、そうさせてもらうな」
<0520> \{Tomoyo}「うん、そうさせてもらうな」
// <0521> \{朋也}「クリアだ」
<0521> \{Tomoya}「クリアだ」
// <0522> \{朋也}「鷹文が咲いた」
<0522> \{Tomoya}「鷹文が咲いた」
// <0523> \{鷹文}「はい?」
<0523> \{Takafumi}「はい?」
// <0524> \{朋也}「鷹文をあたかも季節の花のように扱うわけだ」
<0524> \{Tomoya}「鷹文をあたかも季節の花のように扱うわけだ」
// <0525> \{朋也}「通学路が鷹文で満開だとか、公園が一面の鷹文だったとか、今年もいい鷹文だとか、鷹文湯を飲もうか、とか」
<0525> \{Tomoya}「通学路が鷹文で満開だとか、公園が一面の鷹文だったとか、今年もいい鷹文だとか、鷹文湯を飲もうか、とか」
// <0526> \{朋也}「ちなみに鷹文湯とは、塩漬けにした鷹文を湯につけた飲み物だ」
<0526> \{Tomoya}「ちなみに鷹文湯とは、塩漬けにした鷹文を湯につけた飲み物だ」
// <0527> \{河南子}「もう不条理の世界だね…」
<0527> \{Kanako}「もう不条理の世界だね…」
// <0528> \{智代}「むちゃくちゃ恐いじゃないか…」
<0528> \{Tomoyo}「むちゃくちゃ恐いじゃないか…」
// <0529> \{鷹文}「僕がね」
<0529> \{Takafumi}「僕がね」
// <0530> \{朋也}「ともの一番信頼される人間でいたいだろ?」
<0530> \{Tomoya}「ともの一番信頼される人間でいたいだろ?」
// <0531> \{智代}「それは…」
<0531> \{Tomoyo}「それは…」
// <0532> \{智代}「…もちろんだ」
<0532> \{Tomoyo}「…もちろんだ」
// <0533> \{朋也}「じゃあ、いってこい。試してこい」
<0533> \{Tomoya}「じゃあ、いってこい。試してこい」
// <0534> \{智代}「うん…」
<0534> \{Tomoyo}「うん…」
// <0535> 立ち上がってともの元へ歩いていく。
<0535> 立ち上がってともの元へ歩いていく。
// <0536> \{智代}「度々すまないな、とも。ちょっといいか」
<0536> \{Tomoyo}「度々すまないな、とも。ちょっといいか」
// <0537> \{とも}「ん? うん、いいよー」
<0537> \{Tomo}「ん? うん、いいよー」
// <0538> \{智代}「今年も鷹文が咲いたぞ」
<0538> \{Tomoyo}「今年も鷹文が咲いたぞ」
// <0539> \{とも}「ん? おにぃちゃんがなに?」
<0539> \{Tomo}「ん? おにぃちゃんがなに?」
// <0540> \{智代}「咲いた」
<0540> \{Tomoyo}「咲いた」
// <0541> \{とも}「さく?」
<0541> \{Tomo}「さく?」
// <0542> \{智代}「うん。公園が一面の鷹文だったぞ」
<0542> \{Tomoyo}「うん。公園が一面の鷹文だったぞ」
// <0543> \{智代}「あれはいい鷹文だ」
<0543> \{Tomoyo}「あれはいい鷹文だ」
// <0544> \{とも}「いいたかふみ?」
<0544> \{Tomo}「いいたかふみ?」
// <0545> \{智代}「そうだ、鷹文湯を飲もう」
<0545> \{Tomoyo}「そうだ、鷹文湯を飲もう」
// <0546> \{智代}「鷹文を塩漬けにするんだ」
<0546> \{Tomoyo}「鷹文を塩漬けにするんだ」
// <0547> \{とも}「んんー?」
<0547> \{Tomo}「んんー?」
// <0548> \{智代}「鷹文を塩漬けにして…」
<0548> \{Tomoyo}「鷹文を塩漬けにして…」
// <0549> \{とも}「しおづけー?」
<0549> \{Tomo}「しおづけー?」
// <0550> \{智代}「うん…鷹文を塩漬けにして…湯を…」
<0550> \{Tomoyo}「うん…鷹文を塩漬けにして…湯を…」
// <0551> \{とも}「んー?」
<0551> \{Tomo}「んー?」
// <0552> \{智代}「邪魔して悪かった…読むのに戻ってくれ…」
<0552> \{Tomoyo}「邪魔して悪かった…読むのに戻ってくれ…」
// <0553> 敗北した!
<0553> 敗北した!
// <0554> \{朋也}「ロマンティックが…\p止まらない」
<0554> \{Tomoya}「ロマンティックが…\p止まらない」
// <0555> \{智代}「すまないが…わけがわからない」
<0555> \{Tomoyo}「すまないが…わけがわからない」
// <0556> \{鷹文}「なんなの、それ」
<0556> \{Takafumi}「なんなの、それ」
// <0557> \{朋也}「いや、もう、何を言いたいのかすらよくわからないんだぞ、これを信じさせたらすごくないか?」
<0557> \{Tomoya}「いや、もう、何を言いたいのかすらよくわからないんだぞ、これを信じさせたらすごくないか?」
// <0558> \{鷹文}「確かに…」
<0558> \{Takafumi}「確かに…」
// <0559> \{河南子}「でも、ごり押しでなんとかなりそうだな、それ」
<0559> \{Kanako}「でも、ごり押しでなんとかなりそうだな、それ」
// <0560> \{朋也}「なんだよ、ダメなのかよ」
<0560> \{Tomoya}「なんだよ、ダメなのかよ」
// <0561> \{河南子}「じゃあさ、その後に、おしっこも止まらないってつけてくれたら、オーケーにするよ」
<0561> \{Kanako}「じゃあさ、その後に、おしっこも止まらないってつけてくれたら、オーケーにするよ」
// <0562> \{朋也}「じゃあ、それでいこう」
<0562> \{Tomoya}「じゃあ、それでいこう」
// <0563> \{智代}「いくなぁ! 言うのは私なんだぞっ!」
<0563> \{Tomoyo}「いくなぁ! 言うのは私なんだぞっ!」
// <0564> \{朋也}「こんなことでうろたえるな」
<0564> \{Tomoya}「こんなことでうろたえるな」
// <0565> \{朋也}「ともの一番信頼される人間でいたいだろ?」
<0565> \{Tomoya}「ともの一番信頼される人間でいたいだろ?」
// <0566> \{智代}「それは…」
<0566> \{Tomoyo}「それは…」
// <0567> \{智代}「…もちろんだ」
<0567> \{Tomoyo}「…もちろんだ」
// <0568> \{朋也}「じゃあ、いってこい。試してこい」
<0568> \{Tomoya}「じゃあ、いってこい。試してこい」
// <0569> \{智代}「だ…大丈夫だろうか」
<0569> \{Tomoyo}「だ…大丈夫だろうか」
// <0570> \{朋也}「大丈夫だって、例のコツさえちゃんと口にすれば、おまえは無敵だ」
<0570> \{Tomoya}「大丈夫だって、例のコツさえちゃんと口にすれば、おまえは無敵だ」
// <0571> \{朋也}「ともの一番信頼される人物になってこい」
<0571> \{Tomoya}「ともの一番信頼される人物になってこい」
// <0572> \{智代}「うん…」
<0572> \{Tomoyo}「うん…」
// <0573> 立ち上がってともの元へ歩いていく。
<0573> 立ち上がってともの元へ歩いていく。
// <0574> \{鷹文}「ねぇちゃんの扱いうまいよね」
<0574> \{Takafumi}「ねぇちゃんの扱いうまいよね」
// <0575> \{朋也}「うまくいくもんだなー」
<0575> \{Tomoya}「うまくいくもんだなー」
// <0576> 自分でも感心してしまう。
<0576> 自分でも感心してしまう。
// <0577> \{智代}「度々すまないな、とも。ちょっといいか」
<0577> \{Tomoyo}「度々すまないな、とも。ちょっといいか」
// <0578> \{とも}「ん? うん、いいよー」
<0578> \{Tomo}「ん? うん、いいよー」
// <0579> \{智代}「聞いてほしい話があるんだ」
<0579> \{Tomoyo}「聞いてほしい話があるんだ」
// <0580> \{とも}「うん、なに?」
<0580> \{Tomo}「うん、なに?」
// <0581> \{智代}「実はだな…」
<0581> \{Tomoyo}「実はだな…」
// <0582> \{智代}「ロマンティックが…\p
<0582> \{Tomoyo}「ロマンティックが…\p
// <0583> 止まらない」
<0583> 止まらない」
// <0584> \{とも}「?」
<0584> \{Tomo}「?」
// <0585> まったく理解されていない。
<0585> まったく理解されていない。
// <0586> \{智代}「ほんとうだぞ、ほんとう」
<0586> \{Tomoyo}「ほんとうだぞ、ほんとう」
// <0587> \{とも}「なにが?」
<0587> \{Tomo}「なにが?」
// <0588> \{智代}「ロマンティックが止まらない」
<0588> \{Tomoyo}「ロマンティックが止まらない」
// <0589> \{とも}「?」
<0589> \{Tomo}「?」
// <0590> 首を傾げるとも。
<0590> 首を傾げるとも。
// <0591> \{とも}「それはたいへんなの?」
<0591> \{Tomo}「それはたいへんなの?」
// <0592> \{智代}「大変だ。胸が苦しくなるんだ」
<0592> \{Tomoyo}「大変だ。胸が苦しくなるんだ」
// <0593> \{とも}「えー、それはたいへん。だいじょうぶ?」
<0593> \{Tomo}「えー、それはたいへん。だいじょうぶ?」
// <0594> \{智代}「ああ、心配かけるな。大丈夫だ」
<0594> \{Tomoyo}「ああ、心配かけるな。大丈夫だ」
// <0595> \{とも}「うんー」
<0595> \{Tomo}「うんー」
// <0596> \{智代}「あと、おしっこも止まらない」
<0596> \{Tomoyo}「あと、おしっこも止まらない」
// <0597> \{とも}「ええーーっ! そっちのほうがたいへんだよ!」
<0597> \{Tomo}「ええーーっ! そっちのほうがたいへんだよ!」
// <0598> \{智代}「だな…」
<0598> \{Tomoyo}「だな…」
// <0599> \{とも}「いまは? いまはだいじょうぶなの?」
<0599> \{Tomo}「いまは? いまはだいじょうぶなの?」
// <0600> \{智代}「止まらないから、大丈夫ではないかな…うん…」
<0600> \{Tomoyo}「止まらないから、大丈夫ではないかな…うん…」
// <0601> \{とも}「あー、もう、トイレいこう。ともがつれていくよー」
<0601> \{Tomo}「あー、もう、トイレいこう。ともがつれていくよー」
// <0602> ともに連れられて、智代はトイレへ。
<0602> ともに連れられて、智代はトイレへ。
// <0603> \{智代}「恥ずかしかった…」
<0603> \{Tomoyo}「恥ずかしかった…」
// <0604> 戻ってくる。
<0604> 戻ってくる。
// <0605> \{朋也}「クリアだな」
<0605> \{Tomoya}「クリアだな」
// <0606> \{河南子}「ひゅう…」
<0606> \{Kanako}「ひゅう…」
// <0607> \{智代}「いつまで続けるんだ、これは…」
<0607> \{Tomoyo}「いつまで続けるんだ、これは…」
// <0608> \{河南子}「あたしも読めてきたよ」
<0608> \{Kanako}「あたしも読めてきたよ」
// <0609> \{河南子}「多分ね、内容とかは実は関係ないんだよ」
<0609> \{Kanako}「多分ね、内容とかは実は関係ないんだよ」
// <0610> \{鷹文}「なにさ」
<0610> \{Takafumi}「なにさ」
// <0611> \{河南子}「勢い」
<0611> \{Kanako}「勢い」
// <0612> \{鷹文}「はぁ?」
<0612> \{Takafumi}「はぁ?」
// <0613> \{河南子}「適当に、うあ゛ぁぁぁあああああーー!って叫んでおく」
<0613> \{Kanako}「適当に、うあ゛ぁぁぁあああああーー!って叫んでおく」
// <0614> \{河南子}「それを信じさせてみせるから」
<0614> \{Kanako}「それを信じさせてみせるから」
// <0615> \{朋也}「ある意味究極だな」
<0615> \{Tomoya}「ある意味究極だな」
// <0616> \{河南子}「では、いってまいります」
<0616> \{Kanako}「では、いってまいります」
// <0617> ともの元へ。
<0617> ともの元へ。
// <0618> \{河南子}「あの、ともさん」
<0618> \{Kanako}「あの、ともさん」
// <0619> \{とも}「ん? こんどはどうしたのー」
<0619> \{Tomo}「ん? こんどはどうしたのー」
// <0620> \{河南子}「聞いてほしい話がありまして」
<0620> \{Kanako}「聞いてほしい話がありまして」
// <0621> \{とも}「うん、なにー?」
<0621> \{Tomo}「うん、なにー?」
// <0622> \{河南子}「…うあ゛ぁぁぁぁぁぁああああああーーーーーーっ!」
<0622> \{Kanako}「…うあ゛ぁぁぁぁぁぁああああああーーーーーーっ!」
// <0623> \{河南子}「本当だよ、ほんと」
<0623> \{Kanako}「本当だよ、ほんと」
// <0624> \{とも}「…ん? なに?」
<0624> \{Tomo}「…ん? なに?」
// <0625> \{河南子}「………」
<0625> \{Kanako}「………」
// <0626> \{河南子}「…うあ゛ぁぁぁぁぁぁああああああーーーーーーっ!」
<0626> \{Kanako}「…うあ゛ぁぁぁぁぁぁああああああーーーーーーっ!」
// <0627> \{河南子}「本当だよ、ほんと」
<0627> \{Kanako}「本当だよ、ほんと」
// <0628> \{とも}「…んん?」
<0628> \{Tomo}「…んん?」
// <0629> \{河南子}「お願い、信じて」
<0629> \{Kanako}「お願い、信じて」
// <0630> \{とも}「なにを?」
<0630> \{Tomo}「なにを?」
// <0631> \{河南子}「…うあ゛ぁぁぁぁぁぁああああああーーーーーーっ!」
<0631> \{Kanako}「…うあ゛ぁぁぁぁぁぁああああああーーーーーーっ!」
// <0632> \{河南子}「…を」
<0632> \{Kanako}「…を」
// <0633> \{とも}「わけわかんないよ、かな」
<0633> \{Tomo}「わけわかんないよ、かな」
// <0634> \{河南子}「…うあ゛ぁぁぁぁぁぁああああああーーーーーーっ!」
<0634> \{Kanako}「…うあ゛ぁぁぁぁぁぁああああああーーーーーーっ!」
// <0635> \{鷹文}「今のは素で言ったね」
<0635> \{Takafumi}「今のは素で言ったね」
// <0636> \{智代}「ほら、おしまいだ。近所迷惑だぞ」
<0636> \{Tomoyo}「ほら、おしまいだ。近所迷惑だぞ」
// <0637> 智代がいつの間にか、河南子の背後に立ち、肩を叩いていた。
<0637> 智代がいつの間にか、河南子の背後に立ち、肩を叩いていた。
// <0638> \{河南子}「あたしのひとり負けですか…」
<0638> \{Kanako}「あたしのひとり負けですか…」
// <0639> \{鷹文}「僕の勝ちだね。僕がともに一番信用されてるってわけだ」
<0639> \{Takafumi}「僕の勝ちだね。僕がともに一番信用されてるってわけだ」
// <0640> \{河南子}「よりによっておまえかよっ、くそっ、いまいましいっ、なんて話だっ!」
<0640> \{Kanako}「よりによっておまえかよっ、くそっ、いまいましいっ、なんて話だっ!」
// <0641> \{鷹文}「なんでそんなくそみそに言われてるのかよくわかんないけど…」
<0641> \{Takafumi}「なんでそんなくそみそに言われてるのかよくわかんないけど…」
// <0642> \{智代}「別にいいじゃないか、遊びみたいなもんだったんだから」
<0642> \{Tomoyo}「別にいいじゃないか、遊びみたいなもんだったんだから」
// <0643> \{とも}「あそび? みんなであそんでたの?」
<0643> \{Tomo}「あそび? みんなであそんでたの?」
// <0644> \{とも}「みんなでずるいよ、とももはいるー」
<0644> \{Tomo}「みんなでずるいよ、とももはいるー」
// <0645> \{智代}「………」
<0645> \{Tomoyo}「………」
// <0646> \{鷹文}「………」
<0646> \{Takafumi}「………」
// <0647> 皆が一様に固まる。
<0647> 皆が一様に固まる。
// <0648> \{鷹文}(ねぇ)
<0648> \{Takafumi}(ねぇ)
// <0649> 鷹文が耳打ちしてくる。
<0649> 鷹文が耳打ちしてくる。
// <0650> \{鷹文}(今更、誰が、ぜんぶ嘘だったなんて言えるの?)
<0650> \{Takafumi}(今更、誰が、ぜんぶ嘘だったなんて言えるの?)
// <0651> \{朋也}(おまえ)
<0651> \{Tomoya}(おまえ)
// <0652> \{鷹文}(言えないよっ)
<0652> \{Takafumi}(言えないよっ)
// <0653> こうして、ともに嘘の知識を与えたままゲームは終わる…。
<0653> こうして、ともに嘘の知識を与えたままゲームは終わる…。
// <0654> いや、勉強してる途中なんだから、集中しよう。
<0654> いや、勉強してる途中なんだから、集中しよう。
// <0655> 背後の騒ぎは無視して、勉強に没頭した。
<0655> 背後の騒ぎは無視して、勉強に没頭した。
// <0656> ………。
<0656> ………。
// <0657> ……。
<0657> ……。
// <0658> \{鷹文}「じゃ、そろそろ帰るよ」
<0658> \{Takafumi}「じゃ、そろそろ帰るよ」
// <0659> 鷹文がコンピューターの電源を落として、立ち上がる。
<0659> 鷹文がコンピューターの電源を落として、立ち上がる。
// <0660> \{河南子}「あ、アイス買ってきてー」
<0660> \{Kanako}「あ、アイス買ってきてー」
// <0661> \{鷹文}「帰るんだよ…」
<0661> \{Takafumi}「帰るんだよ…」
// <0662> どん、と低い音。
<0662> どん、と低い音。
// <0663> \{鷹文}「ん?」
<0663> \{Takafumi}「ん?」
// <0664> \{河南子}「花火じゃん」
<0664> \{Kanako}「花火じゃん」
// <0665> \{とも}「え、はなびー?」
<0665> \{Tomo}「え、はなびー?」
// <0666> ともがぴょんと立ち上がる。
<0666> ともがぴょんと立ち上がる。
// <0667> \{とも}「どこー」
<0667> \{Tomo}「どこー」
// <0668> 窓に寄っていく。
<0668> 窓に寄っていく。
// <0669> \{朋也}「とも」
<0669> \{Tomoya}「とも」
// <0670> \{とも}「ん?」
<0670> \{Tomo}「ん?」
// <0671> \{朋也}「この時間は、巨大な虫がうようよ飛んでる」
<0671> \{Tomoya}「この時間は、巨大な虫がうようよ飛んでる」
// <0672> \{朋也}「この時間は、お化けがうようよさまよってる」
<0672> \{Tomoya}「この時間は、お化けがうようよさまよってる」
// <0673> \{とも}「えーっ!」
<0673> \{Tomo}「えーっ!」
// <0674> 引く。
<0674> 引く。
// <0675> \{智代}「朋也、驚かせるんじゃない」
<0675> \{Tomoyo}「朋也、驚かせるんじゃない」
// <0676> \{朋也}「子供がこんな時間に出歩いたりしたら危険だろ」
<0676> \{Tomoya}「子供がこんな時間に出歩いたりしたら危険だろ」
// <0677> \{智代}「ああ…うん、そうだな…」
<0677> \{Tomoyo}「ああ…うん、そうだな…」
// <0678> さて…俺はどうすべきか。
<0678> さて…俺はどうすべきか。
// <0679> 花火の場所に向かう
<0679> 花火の場所に向かう
// <0680> 無視
<0680> 無視
// <0681> こんな時間にひとりで出かけるのは不自然すぎる。鷹文を送っていくという名目で一緒に出ることにしよう。
<0681> こんな時間にひとりで出かけるのは不自然すぎる。鷹文を送っていくという名目で一緒に出ることにしよう。
// <0682> \{鷹文}「じゃあ、僕はいくよ」
<0682> \{Takafumi}「じゃあ、僕はいくよ」
// <0683> \{朋也}「送ってくよ」
<0683> \{Tomoya}「送ってくよ」
// <0684> 鷹文に続いて立ち上がる。
<0684> 鷹文に続いて立ち上がる。
// <0685> \{鷹文}「いや、いいけど」
<0685> \{Takafumi}「いや、いいけど」
// <0686> \{朋也}「送らせろって」
<0686> \{Tomoya}「送らせろって」
// <0687> \{智代}「相変わらずおまえたちは…できているのではないかと、心配になるぞ」
<0687> \{Tomoyo}「相変わらずおまえたちは…できているのではないかと、心配になるぞ」
// <0688> \{朋也}「男同士でなきゃ語り合えないことがあるんだよ」
<0688> \{Tomoya}「男同士でなきゃ語り合えないことがあるんだよ」
// <0689> \{朋也}「先、風呂入ってろな」
<0689> \{Tomoya}「先、風呂入ってろな」
// <0690> そう言って、鷹文の背中を押す。
<0690> そう言って、鷹文の背中を押す。
// <0691> \{鷹文}「で…」
<0691> \{Takafumi}「で…」
// <0692> \{鷹文}「話って?」
<0692> \{Takafumi}「話って?」
// <0693> \{朋也}「そんなのないから。じゃあな」
<0693> \{Tomoya}「そんなのないから。じゃあな」
// <0694> 俺は別方向に歩き出す。
<0694> 俺は別方向に歩き出す。
// <0695> \{鷹文}「えぇーっ!」
<0695> \{Takafumi}「えぇーっ!」
// <0696> また、どんっ!と低い音。
<0696> また、どんっ!と低い音。
// <0697> 見上げると閃光が弾けていた。
<0697> 見上げると閃光が弾けていた。
// <0698> \{朋也}(あそこか…)
<0698> \{Tomoya}(あそこか…)
// <0699> \{朋也}(でも、俺なんかがいくより、智代がいったほうが、早く片づいちまうんだろうなあ…)
<0699> \{Tomoya}(でも、俺なんかがいくより、智代がいったほうが、早く片づいちまうんだろうなあ…)
// <0700> でも今はそれを考えないことにする。
<0700> でも今はそれを考えないことにする。
// <0701> いつまでも智代に頼ってばかりじゃいられない。
<0701> いつまでも智代に頼ってばかりじゃいられない。
// <0702> どうやら、花火が打ち上げられているのは河原のようだった。
<0702> どうやら、花火が打ち上げられているのは河原のようだった。
// <0703> パーーーーン!
<0703> パーーーーン!
// <0704> またそれが夜空を彩る。
<0704> またそれが夜空を彩る。
// <0705> その下には無数の人影。
<0705> その下には無数の人影。
// <0706> いつの間にか、その真っ直中にいた。
<0706> いつの間にか、その真っ直中にいた。
// <0707> \{朋也}(なんだよ、これ…)
<0707> \{Tomoya}(なんだよ、これ…)
// <0708> \{朋也}(やばいんじゃないのか…)
<0708> \{Tomoya}(やばいんじゃないのか…)
// <0709> \{男}「あれ? あんた、誰?」
<0709> \{Man}「あれ? あんた、誰?」
// <0710> その中のひとりが訊いてきた。
<0710> その中のひとりが訊いてきた。
// <0711> 智代の代わり
<0711> 智代の代わり
// <0712> 野次馬
<0712> 野次馬
// <0713> 斉藤
<0713> 斉藤
// <0714> \{朋也}「野次馬」
<0714> \{Tomoya}「野次馬」
// <0715> \{男}「なら出しゃばりすぎ。向こういけ」
<0715> \{Man}「なら出しゃばりすぎ。向こういけ」
// <0716> \{朋也}「………」
<0716> \{Tomoya}「………」
// <0717> 嘘が通ってしまう。
<0717> 嘘が通ってしまう。
// <0718> 俺は端のほうにより、同じように無為な時間を過ごす。
<0718> 俺は端のほうにより、同じように無為な時間を過ごす。
// <0719> \{声}「おい、火、ねぇか?」
<0719> \{Voice}「おい、火、ねぇか?」
// <0720> 突然背後から話しかけられて、驚いてしまう。
<0720> 突然背後から話しかけられて、驚いてしまう。
// <0721> \{朋也}「いや、持ち合わせてないけど…」
<0721> \{Tomoya}「いや、持ち合わせてないけど…」
// <0722> \{男}「そっか」
<0722> \{Man}「そっか」
// <0723> 男は火のないたばこをくわえたまま、話す。
<0723> 男は火のないたばこをくわえたまま、話す。
// <0724> \{男}「あんたは、坂上と何回やったことある?」
<0724> \{Man}「あんたは、坂上と何回やったことある?」
// <0725> …やったことある?
<0725> …やったことある?
// <0726> …何を?
<0726> …何を?
// <0727> エッチか?
<0727> エッチか?
// <0728> \{朋也}「結構やっちゃってるけど…」
<0728> \{Tomoya}「結構やっちゃってるけど…」
// <0729> 威圧されてか真正直に答えてしまう。
<0729> 威圧されてか真正直に答えてしまう。
// <0730> \{男}「そうか、すげぇな…俺は一回で力の差を思い知らされて、武者修行の旅に出たよ、はは」
<0730> \{Man}「そうか、すげぇな…俺は一回で力の差を思い知らされて、武者修行の旅に出たよ、はは」
// <0731> \{男}「どれだけその差が縮まったかな」
<0731> \{Man}「どれだけその差が縮まったかな」
// <0732> 話が噛み合っていないようなので、適当に頷いておく。
<0732> 話が噛み合っていないようなので、適当に頷いておく。
// <0733> 反対側からぶんぶん、と空を切る音が聞こえてきた。
<0733> 反対側からぶんぶん、と空を切る音が聞こえてきた。
// <0734> \{男}「坂上の奴、おっせぇなぁー」
<0734> \{Man}「坂上の奴、おっせぇなぁー」
// <0735> \{男}「なぁ?」
<0735> \{Man}「なぁ?」
// <0736> 同意を求められる。
<0736> 同意を求められる。
// <0737> \{朋也}「ああ、おっせぇなー」
<0737> \{Tomoya}「ああ、おっせぇなー」
// <0738> こちらにも適当に合わせておく。
<0738> こちらにも適当に合わせておく。
// <0739> …俺は何をしにきたんだろうか。
<0739> …俺は何をしにきたんだろうか。
// <0740> 偵察…智代の相手を見定めにきたことになるのか。
<0740> 偵察…智代の相手を見定めにきたことになるのか。
// <0741> 相手が強いかはともかく…この人数ではさすがに智代も手こずるのではないだろうか。
<0741> 相手が強いかはともかく…この人数ではさすがに智代も手こずるのではないだろうか。
// <0742> 俺が少しでも減らしておければいいが…
<0742> 俺が少しでも減らしておければいいが…
// <0743> すぱんっ!
<0743> すぱんっ!
// <0744> \{男}「いてっ、誰だよっ!」
<0744> \{Man}「いてっ、誰だよっ!」
// <0745> \{男}「おまえか?」
<0745> \{Man}「おまえか?」
// <0746> 俺は首を振る。
<0746> 俺は首を振る。
// <0747> \{男}「なんだよ、くそぅ…」
<0747> \{Man}「なんだよ、くそぅ…」
// <0748> こうして闇に紛れて、相手の頭を殴り、ちまちまとダメージを与えていく他ない。
<0748> こうして闇に紛れて、相手の頭を殴り、ちまちまとダメージを与えていく他ない。
// <0749> それも、そのうちバレて、反対にこちらがぼこぼこにされるのだろう。
<0749> それも、そのうちバレて、反対にこちらがぼこぼこにされるのだろう。
// <0750> 最初に野次馬と答えている時点で、それを試し続ける勇気は俺にはない。
<0750> 最初に野次馬と答えている時点で、それを試し続ける勇気は俺にはない。
// <0751> \{男}「腹減ったなぁ…」
<0751> \{Man}「腹減ったなぁ…」
// <0752> 誰かがそうぼやいた。
<0752> 誰かがそうぼやいた。
// <0753> \{朋也}「あ、俺、なんか買ってくるっす」
<0753> \{Tomoya}「あ、俺、なんか買ってくるっす」
// <0754> そう仲間を装いながら、河原を後にした。
<0754> そう仲間を装いながら、河原を後にした。
// <0755> 家に帰ってくると、あの後、河南子も出ていったそうで、智代とともがふたりきりでいた。
<0755> 家に帰ってくると、あの後、河南子も出ていったそうで、智代とともがふたりきりでいた。
// <0756> 俺は何も言わずにいた。智代も詮索してくることはなかった。
<0756> 俺は何も言わずにいた。智代も詮索してくることはなかった。
// <0757> \{朋也}「斉藤」
<0757> \{Tomoya}「斉藤」
// <0758> \{男}「斉藤…?」
<0758> \{Man}「斉藤…?」
// <0759> \{男}「もしかして、あんた、ホップ斉藤か!?」
<0759> \{Man}「もしかして、あんた、ホップ斉藤か!?」
// <0760> \{朋也}「ホップ?」
<0760> \{Tomoya}「ホップ?」
// <0761> \{男}「ホッピングに乗って跳ねながら戦う、伝説の男だ」
<0761> \{Man}「ホッピングに乗って跳ねながら戦う、伝説の男だ」
// <0762> \{男}「唯一の敗戦が、坂上戦だったらしい」
<0762> \{Man}「唯一の敗戦が、坂上戦だったらしい」
// <0763> あいつ、すごい奴と戦ってるんだな…。
<0763> あいつ、すごい奴と戦ってるんだな…。
// <0764> \{男}「おまえ、違うのか?」
<0764> \{Man}「おまえ、違うのか?」
// <0765> \{朋也}「違う」
<0765> \{Tomoya}「違う」
// <0766> \{男}「そうか…」
<0766> \{Man}「そうか…」
// <0767> \{男}「風の噂では、腰を悪くしてホッピングに乗れなくなったらしい。ホップしすぎが原因だ」
<0767> \{Man}「風の噂では、腰を悪くしてホッピングに乗れなくなったらしい。ホップしすぎが原因だ」
// <0768> \{男}「ホップしない斉藤はただの斉藤さ…」
<0768> \{Man}「ホップしない斉藤はただの斉藤さ…」
// <0769> …どうでもいい話だ。
<0769> …どうでもいい話だ。
// <0770> 反対側からぶんぶん、と空を切る音が聞こえてきた。
<0770> 反対側からぶんぶん、と空を切る音が聞こえてきた。
// <0771> \{男}「坂上の奴、おっせぇなぁー」
<0771> \{Man}「坂上の奴、おっせぇなぁー」
// <0772> \{男}「なぁ、斉藤?」
<0772> \{Man}「なぁ、斉藤?」
// <0773> 同意を求められる。
<0773> 同意を求められる。
// <0774> \{朋也}「ああ、おっせぇなー」
<0774> \{Tomoya}「ああ、おっせぇなー」
// <0775> 適当に合わせておく。
<0775> 適当に合わせておく。
// <0776> 話はそれで終わり、俺は人影に混じって、無言で立ちつくすことになる。
<0776> 話はそれで終わり、俺は人影に混じって、無言で立ちつくすことになる。
// <0777> 俺は何をしにきたんだろうか。
<0777> 俺は何をしにきたんだろうか。
// <0778> 偵察…智代の相手を見定めにきたことになるのか。
<0778> 偵察…智代の相手を見定めにきたことになるのか。
// <0779> 相手が強いかはともかく…この人数ではさすがに智代も手こずるのではないだろうか。
<0779> 相手が強いかはともかく…この人数ではさすがに智代も手こずるのではないだろうか。
// <0780> 俺が少しでも減らしておければいいが…
<0780> 俺が少しでも減らしておければいいが…
// <0781> すぱんっ!
<0781> すぱんっ!
// <0782> \{男}「いてっ、誰だよっ!」
<0782> \{Man}「いてっ、誰だよっ!」
// <0783> \{男}「斉藤、おまえか?」
<0783> \{Man}「斉藤、おまえか?」
// <0784> 俺は首を振る。
<0784> 俺は首を振る。
// <0785> \{男}「なんだよ、くそぅ…」
<0785> \{Man}「なんだよ、くそぅ…」
// <0786> こうして闇に紛れて、相手の頭を殴り、ちまちまとダメージを与えていく他ない。
<0786> こうして闇に紛れて、相手の頭を殴り、ちまちまとダメージを与えていく他ない。
// <0787> それも、そのうちバレて、反対にこちらがぼこぼこにされるのだろう。
<0787> それも、そのうちバレて、反対にこちらがぼこぼこにされるのだろう。
// <0788> 最初に偽名を使った時点で、それを試し続ける勇気は俺にはない。
<0788> 最初に偽名を使った時点で、それを試し続ける勇気は俺にはない。
// <0789> \{男}「腹減ったなぁ…」
<0789> \{Man}「腹減ったなぁ…」
// <0790> 誰かがそうぼやいた。
<0790> 誰かがそうぼやいた。
// <0791> \{朋也}「あ、俺、なんか買ってくるっす」
<0791> \{Tomoya}「あ、俺、なんか買ってくるっす」
// <0792> \{男}「悪いな、斉藤」
<0792> \{Man}「悪いな、斉藤」
// <0793> 仲間を装いながら、河原を後にした。
<0793> 仲間を装いながら、河原を後にした。
// <0794> 家に帰ってくると、あの後、河南子も出ていったそうで、智代とともがふたりきりでいた。
<0794> 家に帰ってくると、あの後、河南子も出ていったそうで、智代とともがふたりきりでいた。
// <0795> 俺は何も言わずにいた。智代も詮索してくることはなかった。
<0795> 俺は何も言わずにいた。智代も詮索してくることはなかった。
// <0796> \{朋也}「智代の代わり」
<0796> \{Tomoya}「智代の代わり」
// <0797> \{男}「いや、俺たちは坂上とやりたいんだけど」
<0797> \{Man}「いや、俺たちは坂上とやりたいんだけど」
// <0798> \{朋也}「いや、だから代わり」
<0798> \{Tomoya}「いや、だから代わり」
// <0799> 複数の視線に晒されている威圧を感じる。逃げ出したくなるが、その衝動をぎりぎりで抑える。
<0799> 複数の視線に晒されている威圧を感じる。逃げ出したくなるが、その衝動をぎりぎりで抑える。
// <0800> \{声}「ああ、この人、坂上の彼氏だよ」
<0800> \{Voice}「ああ、この人、坂上の彼氏だよ」
// <0801> 暗闇から別の声が聞こえてきた。
<0801> 暗闇から別の声が聞こえてきた。
// <0802> \{男}「じゃあ、あんたに勝ったら、坂上が出てくるってことか」
<0802> \{Man}「じゃあ、あんたに勝ったら、坂上が出てくるってことか」
// <0803> \{男}「こっちも人数いるし、アリにするしかないな」
<0803> \{Man}「こっちも人数いるし、アリにするしかないな」
// <0804> \{朋也}「………」
<0804> \{Tomoya}「………」
// <0805> \{男}「勝負は、一対一」
<0805> \{Man}「勝負は、一対一」
// <0806> \{男}「それと、そっちは連戦になると不利になるから、一日一戦」
<0806> \{Man}「それと、そっちは連戦になると不利になるから、一日一戦」
// <0807> 俺は不思議に思う。どうしてそんなルールを設ける?
<0807> 俺は不思議に思う。どうしてそんなルールを設ける?
// <0808> ともを人質にとろうとするような、卑怯な連中が…?
<0808> ともを人質にとろうとするような、卑怯な連中が…?
// <0809> \{男}「それじゃ、次の花火が開始の合図な」
<0809> \{Man}「それじゃ、次の花火が開始の合図な」
// <0810> \{朋也}「相手は?」
<0810> \{Tomoya}「相手は?」
// <0811> よいしょっ、という声と共に別の影が動いて、俺の目の前に立ちはだかった。
<0811> よいしょっ、という声と共に別の影が動いて、俺の目の前に立ちはだかった。
// <0812> …喧嘩なんていつ以来だろう。
<0812> …喧嘩なんていつ以来だろう。
// <0813> どん。
<0813> どん。
// <0814> 相手はからかうように左でジャブを出しながら近づいてくる。
<0814> 相手はからかうように左でジャブを出しながら近づいてくる。
// <0815> 動きは遅くはないが、どうやら俺を見くびってるようだ。
<0815> 動きは遅くはないが、どうやら俺を見くびってるようだ。
// <0816> ぶんっ
<0816> ぶんっ
// <0817> 、と風のうなる音が響き、避けた鼻先を拳が抜ける。
<0817> 、と風のうなる音が響き、避けた鼻先を拳が抜ける。
// <0818> これならまだ避けられる。
<0818> これならまだ避けられる。
// <0819> 合わせるように左を出すと、鈍い音がした。
<0819> 合わせるように左を出すと、鈍い音がした。
// <0820> 嫌な感覚だ…人を殴るって。
<0820> 嫌な感覚だ…人を殴るって。
// <0821> \{声}「どうしたー!」
<0821> \{Voice}「どうしたー!」
// <0822> 周囲からはやし立てる声が沸く。闇にまぎれて、何人いるかはわからない。
<0822> 周囲からはやし立てる声が沸く。闇にまぎれて、何人いるかはわからない。
// <0823> 実際奴らの言うところの『ルール』なしだったら、袋だたき状態だろう。
<0823> 実際奴らの言うところの『ルール』なしだったら、袋だたき状態だろう。
// <0824> \{男}「調子にのってんじゃねぇっ」
<0824> \{Man}「調子にのってんじゃねぇっ」
// <0825> ぼーっとしていた。
<0825> ぼーっとしていた。
// <0826> \{朋也}「…っ!」
<0826> \{Tomoya}「…っ!」
// <0827> 低い体勢からのタックルで、俺は足をすくわれた。
<0827> 低い体勢からのタックルで、俺は足をすくわれた。
// <0828> そのまま上に圧し掛かられ…
<0828> そのまま上に圧し掛かられ…
// <0829> ばきっ。
<0829> ばきっ。
// <0830> 鼻の奥に染みるような熱さ。
<0830> 鼻の奥に染みるような熱さ。
// <0831> そのまま二発、三発。頭が揺れる。
<0831> そのまま二発、三発。頭が揺れる。
// <0832> \{朋也}(いてーなぁ…くそ…)
<0832> \{Tomoya}(いてーなぁ…くそ…)
// <0833> 俺は顔を左腕で守るようにしながら、体をひねり相手に掴みかかった。
<0833> 俺は顔を左腕で守るようにしながら、体をひねり相手に掴みかかった。
// <0834> どうなっているのかわからない。
<0834> どうなっているのかわからない。
// <0835> 時々脇腹や背中に痛みが走り、同じように肘や膝を相手にぶつける。
<0835> 時々脇腹や背中に痛みが走り、同じように肘や膝を相手にぶつける。
// <0836> もつれ合いながら草むらを転がり、相手めがけて頭から突っ込む。
<0836> もつれ合いながら草むらを転がり、相手めがけて頭から突っ込む。
// <0837> 一瞬だけ目の前が真っ白になり、暗転した。
<0837> 一瞬だけ目の前が真っ白になり、暗転した。
// <0838> 相手の動きが止まり、転げながら距離を取り立ち上がる。
<0838> 相手の動きが止まり、転げながら距離を取り立ち上がる。
// <0839> 今頃になって、全身が熱く疼いてきた。
<0839> 今頃になって、全身が熱く疼いてきた。
// <0840> \{男}「…やるじゃん」
<0840> \{Man}「…やるじゃん」
// <0841> 相手は笑いながら立ち上がった。見ると、盛大に鼻血を出していた。
<0841> 相手は笑いながら立ち上がった。見ると、盛大に鼻血を出していた。
// <0842> 構えもなにもなく、相手が大振りのパンチを繰り出してきた。
<0842> 構えもなにもなく、相手が大振りのパンチを繰り出してきた。
// <0843> 寸でのところでガードしたが、両腕に痛みが走る。
<0843> 寸でのところでガードしたが、両腕に痛みが走る。
// <0844> 左から大きく回した右フック。冷静に叩いて避ける。
<0844> 左から大きく回した右フック。冷静に叩いて避ける。
// <0845> だが、左の打ち下ろし。
<0845> だが、左の打ち下ろし。
// <0846> それは右腕のガードが遅れ、左頬と顎に入ってしまった。
<0846> それは右腕のガードが遅れ、左頬と顎に入ってしまった。
// <0847> 上がらない右肩のせいだ。
<0847> 上がらない右肩のせいだ。
// <0848> そのままよろめいたところに、蹴りを脇腹にもらってしまう。
<0848> そのままよろめいたところに、蹴りを脇腹にもらってしまう。
// <0849> 一瞬息が止まり、汗が吹き出る。
<0849> 一瞬息が止まり、汗が吹き出る。
// <0850> …やばい。
<0850> …やばい。
// <0851> 俺は痛みを堪え、体を抱え込むようにしながら腕を回した。
<0851> 俺は痛みを堪え、体を抱え込むようにしながら腕を回した。
// <0852> ばきぃっ!
<0852> ばきぃっ!
// <0853> 左手首が折れたかと思うほどの衝撃と共に相手が吹っ飛ぶ。
<0853> 左手首が折れたかと思うほどの衝撃と共に相手が吹っ飛ぶ。
// <0854> \{声}「はい、そこまで」
<0854> \{Voice}「はい、そこまで」
// <0855> 人影が、大の字になって倒れている相手に駆け寄った。
<0855> 人影が、大の字になって倒れている相手に駆け寄った。
// <0856> \{朋也}「…どうなった」
<0856> \{Tomoya}「…どうなった」
// <0857> 俺は手近にいた奴に訊いた。
<0857> 俺は手近にいた奴に訊いた。
// <0858> \{男}「なんだ、自分が何をしたかわかってないのか?」
<0858> \{Man}「なんだ、自分が何をしたかわかってないのか?」
// <0859> \{朋也}「ああ、左が入ったのはなんとなくわかるけどさ」
<0859> \{Tomoya}「ああ、左が入ったのはなんとなくわかるけどさ」
// <0860> \{男}「そうだな。それがカウンターで入ったんだ。あんた、思ったより強いな」
<0860> \{Man}「そうだな。それがカウンターで入ったんだ。あんた、思ったより強いな」
// <0861> \{朋也}「あ、そ…」
<0861> \{Tomoya}「あ、そ…」
// <0862> 偶然とは恐いものだ。
<0862> 偶然とは恐いものだ。
// <0863> \{朋也}「…じゃあ、次」
<0863> \{Tomoya}「…じゃあ、次」
// <0864> 俺はそう促した。
<0864> 俺はそう促した。
// <0865> \{男}「あんた、俺たちの話聞いてなかったのか?」
<0865> \{Man}「あんた、俺たちの話聞いてなかったのか?」
// <0866> \{男}「一対一、そして、一日ひとり」
<0866> \{Man}「一対一、そして、一日ひとり」
// <0867> それがルールだと繰り返す。
<0867> それがルールだと繰り返す。
// <0868> \{男}「だって、そんな体じゃ、あまりに不利だろ、あんた」
<0868> \{Man}「だって、そんな体じゃ、あまりに不利だろ、あんた」
// <0869> \{朋也}「………」
<0869> \{Tomoya}「………」
// <0870> 俺は無言のまま、不意をついて、そいつに殴りかかる。
<0870> 俺は無言のまま、不意をついて、そいつに殴りかかる。
// <0871> 次の瞬間、俺は地面を転がっていた。
<0871> 次の瞬間、俺は地面を転がっていた。
// <0872> 体に力が入らない。起きあがれない。
<0872> 体に力が入らない。起きあがれない。
// <0873> \{男}「ほら」
<0873> \{Man}「ほら」
// <0874> \{男}「今のはなしにしてやるから、大人しく帰りなよ」
<0874> \{Man}「今のはなしにしてやるから、大人しく帰りなよ」
// <0875> \{男}「じゃあ、また明日花火打ち上げるから」
<0875> \{Man}「じゃあ、また明日花火打ち上げるから」
// <0876> 連中が去ってからも、俺はしばらく、その場に倒れたままでいた。
<0876> 連中が去ってからも、俺はしばらく、その場に倒れたままでいた。
// <0877> 体中が痛くて動けなかった。
<0877> 体中が痛くて動けなかった。
// <0878> \{声}「負けてんじゃん」
<0878> \{Voice}「負けてんじゃん」
// <0879> …女の声。
<0879> …女の声。
// <0880> \{朋也}「最後のはナシ」
<0880> \{Tomoya}「最後のはナシ」
// <0881> 上体だけを起こす。それだけでも体が悲鳴をあげる。
<0881> 上体だけを起こす。それだけでも体が悲鳴をあげる。
// <0882> \{朋也}「勝ったよ」
<0882> \{Tomoya}「勝ったよ」
// <0883> \{河南子}「そんなぼろぼろで言うなよ」
<0883> \{Kanako}「そんなぼろぼろで言うなよ」
// <0884> \{河南子}「つーか、なんで、あんた、あんなこと頑張ってんの」
<0884> \{Kanako}「つーか、なんで、あんた、あんなこと頑張ってんの」
// <0885> \{朋也}「見てたのか…」
<0885> \{Tomoya}「見てたのか…」
// <0886> \{河南子}「彼女に任せとけばいいじゃん。最強ですよ、瞬殺っすよ」
<0886> \{Kanako}「彼女に任せとけばいいじゃん。最強ですよ、瞬殺っすよ」
// <0887> \{朋也}「………」
<0887> \{Tomoya}「………」
// <0888> ずーっと鼻水をすする。いや、鼻血か。不味い。
<0888> ずーっと鼻水をすする。いや、鼻血か。不味い。
// <0889> \{朋也}「…もしさ」
<0889> \{Tomoya}「…もしさ」
// <0890> \{朋也}「智代が戦ってる間に、ともが狙われたとしたらさ…」
<0890> \{Tomoya}「智代が戦ってる間に、ともが狙われたとしたらさ…」
// <0891> \{朋也}「そん時は俺がともを守らなくちゃいけない」
<0891> \{Tomoya}「そん時は俺がともを守らなくちゃいけない」
// <0892> \{朋也}「だったら最初から俺がやるのと同じだろ」
<0892> \{Tomoya}「だったら最初から俺がやるのと同じだろ」
// <0893> \{河南子}「鷹文いるじゃん」
<0893> \{Kanako}「鷹文いるじゃん」
// <0894> \{朋也}「あいつよりは俺のほうがマシだろ」
<0894> \{Tomoya}「あいつよりは俺のほうがマシだろ」
// <0895> \{河南子}「じゃ、あたしが守ろう」
<0895> \{Kanako}「じゃ、あたしが守ろう」
// <0896> \{朋也}「それ結構面白い」
<0896> \{Tomoya}「それ結構面白い」
// <0897> \{河南子}「そりゃどーも」
<0897> \{Kanako}「そりゃどーも」
// <0898> \{河南子}「あと日本には警察というすばらしい行政機関がありますが」
<0898> \{Kanako}「あと日本には警察というすばらしい行政機関がありますが」
// <0899> \{朋也}「………」
<0899> \{Tomoya}「………」
// <0900> 俺はそのことについて少し考えを巡らす。
<0900> 俺はそのことについて少し考えを巡らす。
// <0901> けど、結局それは考えないことにした。
<0901> けど、結局それは考えないことにした。
// <0902> \{朋也}「そもそもあいつが、この因果を作ってきたんだからさ」
<0902> \{Tomoya}「そもそもあいつが、この因果を作ってきたんだからさ」
// <0903> \{河南子}「なんか不憫だね」
<0903> \{Kanako}「なんか不憫だね」
// <0904> \{朋也}「いいんだよ」
<0904> \{Tomoya}「いいんだよ」
// <0905> \{朋也}「これぐらいのこと、あいつと付き合ってるんなら、やってのけないとな」
<0905> \{Tomoya}「これぐらいのこと、あいつと付き合ってるんなら、やってのけないとな」
// <0906> \{河南子}「大変ですねー、すげー彼女を持つと」
<0906> \{Kanako}「大変ですねー、すげー彼女を持つと」
// <0907> ようやく立ち上がる。足下が覚束ない。
<0907> ようやく立ち上がる。足下が覚束ない。
// <0908> \{河南子}「じゃあ一足先に帰る」
<0908> \{Kanako}「じゃあ一足先に帰る」
// <0909> \{朋也}「あ、ちょっと待て」
<0909> \{Tomoya}「あ、ちょっと待て」
// <0910> \{河南子}「なに」
<0910> \{Kanako}「なに」
// <0911> \{朋也}「こんな腫れた顔じゃ、俺、帰れないじゃん」
<0911> \{Tomoya}「こんな腫れた顔じゃ、俺、帰れないじゃん」
// <0912> \{河南子}「だろーね」
<0912> \{Kanako}「だろーね」
// <0913> \{朋也}「アイス買ってやるから、協力しろ」
<0913> \{Tomoya}「アイス買ってやるから、協力しろ」
// <0914> \{河南子}「………」
<0914> \{Kanako}「………」
// <0915> \{河南子}「とものぶんもいい?」
<0915> \{Kanako}「とものぶんもいい?」
// <0916> \{智代}「朋也…」
<0916> \{Tomoyo}「朋也…」
// <0917> 案の定、俺の腫れ上がった顔を見て、智代は驚いた。そして困惑した。
<0917> 案の定、俺の腫れ上がった顔を見て、智代は驚いた。そして困惑した。
// <0918> \{智代}「何があったんだ…」
<0918> \{Tomoyo}「何があったんだ…」
// <0919> \{朋也}「実は…」
<0919> \{Tomoya}「実は…」
// <0920> \{朋也}「こいつに殴られました」
<0920> \{Tomoya}「こいつに殴られました」
// <0921> \{河南子}「はい、殴りました」
<0921> \{Kanako}「はい、殴りました」
// <0922> \{智代}「………」
<0922> \{Tomoyo}「………」
// <0923> しばらく言葉を失う。
<0923> しばらく言葉を失う。
// <0924> \{智代}「あ…ええと…その…どうして」
<0924> \{Tomoyo}「あ…ええと…その…どうして」
// <0925> 苦しげに訊いてくる。
<0925> 苦しげに訊いてくる。
// <0926> 理由は適当にでっち上げてくれと先に言い含めてある。
<0926> 理由は適当にでっち上げてくれと先に言い含めてある。
// <0927> \{河南子}「いきなり握らされたんだよっ、ひどいでしょっ」
<0927> \{Kanako}「いきなり握らされたんだよっ、ひどいでしょっ」
// <0928> \{智代}「え…何を?」
<0928> \{Tomoyo}「え…何を?」
// <0929> \{河南子}「そう、ナニをだよ…」
<0929> \{Kanako}「そう、ナニをだよ…」
// <0930> \{智代}「え…ナニって…アレをか…!?」
<0930> \{Tomoyo}「え…ナニって…アレをか…!?」
// <0931> \{河南子}「うん、ソレ」
<0931> \{Kanako}「うん、ソレ」
// <0932> \{智代}「で…どうしたんだっ?」
<0932> \{Tomoyo}「で…どうしたんだっ?」
// <0933> \{河南子}「え?」
<0933> \{Kanako}「え?」
// <0934> \{河南子}「握りつぶした」
<0934> \{Kanako}「握りつぶした」
// <0935> \{智代}「ええっ!? 握りつぶしたのかっ!?」
<0935> \{Tomoyo}「ええっ!? 握りつぶしたのかっ!?」
// <0936> \{河南子}「うん」
<0936> \{Kanako}「うん」
// <0937> \{智代}「そ…それは…どうなったんだ?」
<0937> \{Tomoyo}「そ…それは…どうなったんだ?」
// <0938> \{河南子}「え?」
<0938> \{Kanako}「え?」
// <0939> \{河南子}「木っ端みじん」
<0939> \{Kanako}「木っ端みじん」
// <0940> \{智代}「こっ!?」
<0940> \{Tomoyo}「こっ!?」
// <0941> \{智代}「………」
<0941> \{Tomoyo}「………」
// <0942> 哀れみの目で見られる俺…。
<0942> 哀れみの目で見られる俺…。
// <0943> \{河南子}「ほら、とものぶんもアイス買ってきたよー」
<0943> \{Kanako}「ほら、とものぶんもアイス買ってきたよー」
// <0944> \{とも}「えー、ほんとー? わーー!!」
<0944> \{Tomo}「えー、ほんとー? わーー!!」
// <0945> その隣で、はしゃぐ子供たち。
<0945> その隣で、はしゃぐ子供たち。
// <0946> \{智代}「………」
<0946> \{Tomoyo}「………」
// <0947> …いや、あるから。
<0947> …いや、あるから。
// <0948> 智代に怪我を応急処置してもらう。
<0948> 智代に怪我を応急処置してもらう。
// <0949> 絆創膏だらけの痛々しい顔になってしまった。
<0949> 絆創膏だらけの痛々しい顔になってしまった。
// <0950> きっと、傷跡を見た智代なら、河南子にやられたんじゃないことぐらい気づいているだろう。
<0950> きっと、傷跡を見た智代なら、河南子にやられたんじゃないことぐらい気づいているだろう。
// <0951> けど、智代は詮索しないでくれた。
<0951> けど、智代は詮索しないでくれた。
// <0952> \{とも}「パパ、それいたくないの?」
<0952> \{Tomo}「パパ、それいたくないの?」
// <0953> \{朋也}「ああ、大丈夫」
<0953> \{Tomoya}「ああ、大丈夫」
// <0954> 無視だ。俺が行って、どうなるわけでもなし。
<0954> 無視だ。俺が行って、どうなるわけでもなし。
// <0955> 巻き込まれて、明日の仕事に支障がでるのも困る。
<0955> 巻き込まれて、明日の仕事に支障がでるのも困る。
// <0956> \{鷹文}「じゃあ、僕はいくよ」
<0956> \{Takafumi}「じゃあ、僕はいくよ」
// <0957> パソコンの電源を落として、鷹文が立ち上がる。
<0957> パソコンの電源を落として、鷹文が立ち上がる。
// <0958> \{河南子}「てめー二度とくんなよ」
<0958> \{Kanako}「てめー二度とくんなよ」
// <0959> \{鷹文}「なんでだよ…」
<0959> \{Takafumi}「なんでだよ…」
// <0960> \{とも}「ばいばーい」
<0960> \{Tomo}「ばいばーい」
// <0961> \{鷹文}「じゃあね」
<0961> \{Takafumi}「じゃあね」
// <0962> \{河南子}「………」
<0962> \{Kanako}「………」
// <0963> \{河南子}「シャワーあびよっと」
<0963> \{Kanako}「シャワーあびよっと」
// <0964> 鷹文が帰ると、それぞれ寝る準備にかかった。
<0964> 鷹文が帰ると、それぞれ寝る準備にかかった。