Tomoyo After:SEEN0717
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// Resources for SEEN0717.TXT // #character '朋也' #character 'Tomoya' // #character '河南子' #character 'Kanako' // #character '影' #character 'Shadow' // #character '声' #character 'Voice' // #character '男' #character 'Man' // #character '智代' #character 'Tomoyo' // #character '鷹文' #character 'Takafumi' // <0000> 7月17日(土) <0000> July 17th (Sat) // <0001> \{朋也}「休みの日だというのに、俺は河南子とふたりきりで河原にいた」 <0001> \{Tomoya}「Even though it's my day off, I ended up alone by the riverbed with you, Kanako.」 // <0002> \{河南子}「帰る」 <0002> \{Kanako}「I'm going home.」 // <0003> \{朋也}「いや、冗談。よろしく頼むよ」 <0003> \{Tomoya}「No, it was a joke. I beg of you.」 // <0004> こうしているのは河南子から攻撃の避け方と、足捌きを習うためだった。 <0004> The reason why I'm doing this is to learn how to block and use footsteps through Kanako's attack. // <0005> 河南子が構え、俺がそれを避けて攻撃する。 <0005> Kanako takes a pose, and I avoid the strike. // <0006> 河南子は攻撃を寸止めにしてくれるとのことだ。 <0006> She stops her next blow before she hits me. // <0007> \{河南子}「いくよー?」 <0007> \{Kanako}「You ready?」 // <0008> \{朋也}「おう」 <0008> \{Tomoya}「Yeah.」 // <0009> ぶんっ。 <0009> ぶんっ。 // <0010> ごすっ! <0010> ごすっ! // <0011> \{朋也}「ぐおぅっ!」 <0011> \{Tomoya}「Guouh!」 // <0012> 轟沈。 <0012> I sink down. // <0013> \{河南子}「わちゃ、ごめん。振り抜いちった」 <0013> \{Kanako}「Ouch, sorry. I've overdone it.」 // <0014> むちゃくちゃ痛い。あいつらに殴られたときより効いた。 <0014> I was in unreasonable amount of pain. She hit me harder than the gangs from last time. // <0015> \{朋也}(こいつ、マジで、あいつらより強いのか…) <0015> \{Tomoya}(So, she really IS stronger, than those guys...) // <0016> 河南子の強さを身をもって知った。 <0016> I now knew the strength of Kanako from experience. // <0017> 俺は空を見上げる。 <0017> I looked up at the sky. // <0018> \{朋也}「みんな、すげぇなー」 <0018> \{Tomoya}「These guys, look pretty strong...」 // <0019> \{河南子}「遠く見て黄昏んなよ…」 <0019> \{Kanako}「Don't judge by the appearance...」 // <0020> 夜になると、また河原にいた。 <0020> Night fell, and those gangs were at the riverbed again. // <0021> \{朋也}「こいや、おらあーーーっ!」 <0021> \{Tomoya}「Come at me, dammit!」 // <0022> \{河南子}「威勢だけはいいな」 <0022> \{Kanako}「It must be nice to be so stubborn」 // <0023> \{朋也}「やけくそだよ」 <0023> \{Tomoya}「Only in desperate times」 // <0024> \{河南子}「もう、残るは根性だけだしな」 <0024> \{Kanako}「All you got is your willpower anyway, right.」 // <0025> 大降りのフックが宙を切った。 <0025> A hook cut through the air. // <0026> ギリギリで避けられはしたが、とにかく攻撃の回転が速い。 <0026> I just barely dodged the attack, but the rotation of his attack is too fast. // <0027> がしっ! <0027> Gashii! // <0028> ガードはできたが、体の芯まで痛みが広がる。 <0028> Although I guarded, I could feel an ache circuit through the center of my body. // <0029> 今までの敵とは何かが違う。 <0029> Something about this gang was different from my previous ones. // <0030> \{河南子}「空手をやってると見た」 <0030> \{Kanako}「I judge that he's been doing some karate.」 // <0031> \{朋也}「へー」 <0031> \{Tomoya}「I see-」 // <0032> \{河南子}「お、もうびびんないんだな。感心感心」 <0032> \{Kanako} "Oh, you're not pissin' your pants. I'm impressed." // <0033> これだけやっていれば場慣れもする。 <0033> If I fought this many, I'll get used to it too. // <0034> どしっ! <0034> Doshi! // <0035> 攻撃を受けると、ガードごとダメージを受けてしまう。 <0035> I parry the attack, my guard taking the bulk of the damage. // <0036> なるべく距離を取りながら、相手の動きをよく見た。 <0036> I tried to create as much distance as possible, but my opponent noticed. // <0037> 体力に自信があるのか、敵はかさにかかって攻撃を繰り返してきた。 <0037> 体力に自信があるのか、敵はかさにかかって攻撃を繰り返してきた。 // <0038> 何とか体勢を崩せれば… <0038> 何とか体勢を崩せれば… // <0039> ぶん、とうなる拳が頬をかすめた。 <0039> ぶん、とうなる拳が頬をかすめた。 // <0040> 痛みがあるが、流れた体の裏を取れた。 <0040> 痛みがあるが、流れた体の裏を取れた。 // <0041> そのまま左右を相手の背中と脇腹にたたき込む。 <0041> そのまま左右を相手の背中と脇腹にたたき込む。 // <0042> \{影}「うげっ」 <0042> \{Shadow}「うげっ」 // <0043> いい感触だったが、これでは沈まない。 <0043> いい感触だったが、これでは沈まない。 // <0044> \{朋也}(…まだやんのかよ) <0044> \{Tomoya}(…まだやんのかよ) // <0045> 何かいい方法はないのか… <0045> 何かいい方法はないのか… // <0046> \{朋也}(うおっ!) <0046> \{Tomoya}(うおっ!) // <0047> 相手のパンチが何発も飛んでくる。 <0047> 相手のパンチが何発も飛んでくる。 // <0048> いくつかはもらってしまう。 <0048> いくつかはもらってしまう。 // <0049> \{朋也}「はっはっは!」 <0049> \{Tomoya}「はっはっは!」 // <0050> 笑顔で返す。 <0050> 笑顔で返す。 // <0051> \{河南子}「お、やられてるムエタイ選手のようだぞ!? いつの間にそんな技を…」 <0051> \{Kanako}「お、やられてるムエタイ選手のようだぞ!? いつの間にそんな技を…」 // <0052> テレビで。 <0052> テレビで。 // <0053> 奥歯を噛みしめ、反撃。 <0053> 奥歯を噛みしめ、反撃。 // <0054> 左はガードされるが、右は相手の胸当たりへと入る。 <0054> 左はガードされるが、右は相手の胸当たりへと入る。 // <0055> そのまま相手を掴み、思いきり引っ張った。 <0055> そのまま相手を掴み、思いきり引っ張った。 // <0056> 相手がバランスを崩し、前のめりになった。 <0056> 相手がバランスを崩し、前のめりになった。 // <0057> 俺はとっさに首を掴んで膝を振り上げる。 <0057> 俺はとっさに首を掴んで膝を振り上げる。 // <0058> ずし、と腹に決まって、動きが止まった。 <0058> ずし、と腹に決まって、動きが止まった。 // <0059> \{河南子}「おっ、マジでムエタイっぽいなっ、いつの間にそんな技を…」 <0059> \{Kanako}「おっ、マジでムエタイっぽいなっ、いつの間にそんな技を…」 // <0060> テレビで。 <0060> テレビで。 // <0061> 7月18日(日) <0061> July 18th (Sun) // <0062> \{河南子}「こうやって避けるの」 <0062> \{Kanako}「こうやって避けるの」 // <0063> \{河南子}「相手に向かっていくように」 <0063> \{Kanako}「相手に向かっていくように」 // <0064> \{河南子}「絶対真後ろに下がっちゃダメだよ」 <0064> \{Kanako}「絶対真後ろに下がっちゃダメだよ」 // <0065> \{河南子}「聞いてる?」 <0065> \{Kanako}「聞いてる?」 // <0066> \{朋也}「…聞こえてるよ」 <0066> \{Tomoya}「…聞こえてるよ」 // <0067> \{朋也}「みんな、すげぇー」 <0067> \{Tomoya}「みんな、すげぇー」 // <0068> 今日も河原で河南子との特訓をしていたが、避けそこなってダウン中だ。 <0068> 今日も河原で河南子との特訓をしていたが、避けそこなってダウン中だ。 // <0069> \{河南子}「練習中そればっかだな…」 <0069> \{Kanako}「練習中そればっかだな…」 // <0070> \{河南子}「でも、ちゃんと反応できてるし、悪くないよ」 <0070> \{Kanako}「でも、ちゃんと反応できてるし、悪くないよ」 // <0071> \{河南子}「何かスポーツやってた?」 <0071> \{Kanako}「何かスポーツやってた?」 // <0072> \{朋也}「…昔、少しだけな」 <0072> \{Tomoya}「…昔、少しだけな」 // <0073> 夜も飽きずに河原にいる。 <0073> 夜も飽きずに河原にいる。 // <0074> \{朋也}「で、次は誰だよ」 <0074> \{Tomoya}「で、次は誰だよ」 // <0075> \{影}「今日はこいつ」 <0075> \{Shadow}「今日はこいつ」 // <0076> 向かい合う。 <0076> 向かい合う。 // <0077> わりと小柄だ。スピードがありそうな雰囲気。 <0077> わりと小柄だ。スピードがありそうな雰囲気。 // <0078> 距離を取って、ガードを構えた。 <0078> 距離を取って、ガードを構えた。 // <0079> いきなり相手が飛び込んでくる。 <0079> いきなり相手が飛び込んでくる。 // <0080> 左側に回り込もうとしてステップを踏むが… <0080> 左側に回り込もうとしてステップを踏むが… // <0081> \{朋也}(え…?) <0081> \{Tomoya}(え…?) // <0082> 宙を舞う。 <0082> 宙を舞う。 // <0083> 気がつくと背中から地面に落ちていた。 <0083> 気がつくと背中から地面に落ちていた。 // <0084> 突き抜ける衝撃。 <0084> 突き抜ける衝撃。 // <0085> 胃液が口までのぼってきた。 <0085> 胃液が口までのぼってきた。 // <0086> \{朋也}「うげー」 <0086> \{Tomoya}「うげー」 // <0087> \{河南子}「苦しい時こそ笑えっ、ムエタイ精神だ!」 <0087> \{Kanako}「苦しい時こそ笑えっ、ムエタイ精神だ!」 // <0088> \{朋也}「うげげげげげっ」 <0088> \{Tomoya}「うげげげげげっ」 // <0089> \{河南子}「吐きながら笑うな!」 <0089> \{Kanako}「吐きながら笑うな!」 // <0090> 胃をからっぽにしたら、少しは楽になった。 <0090> 胃をからっぽにしたら、少しは楽になった。 // <0091> 全身がバラバラになりそうだったが、気合いで起きあがり距離を取る。 <0091> 全身がバラバラになりそうだったが、気合いで起きあがり距離を取る。 // <0092> 相手は飛び込んでくるタイミングを見計らっているのか、簡単にはこなかった。 <0092> 相手は飛び込んでくるタイミングを見計らっているのか、簡単にはこなかった。 // <0093> 同じように対峙する。 <0093> 同じように対峙する。 // <0094> 懐に飛び込まれたら勝ち目はない。 <0094> 懐に飛び込まれたら勝ち目はない。 // <0095> 敵はまっすぐに向かってきた。 <0095> 敵はまっすぐに向かってきた。 // <0096> 両手が伸びてくる。 <0096> 両手が伸びてくる。 // <0097> その隙間をかいくぐる。 <0097> その隙間をかいくぐる。 // <0098> …届くっ! <0098> …届くっ! // <0099> 右を振り抜く。 <0099> 右を振り抜く。 // <0100> ごきっ。 <0100> ごきっ。 // <0101> 手首が折れたかと思うような衝撃。 <0101> 手首が折れたかと思うような衝撃。 // <0102> 慌てて距離を取ると、相手は地面にうつぶせで倒れていた。 <0102> 慌てて距離を取ると、相手は地面にうつぶせで倒れていた。 // <0103> \{河南子}「なんだ、おまえ、すげーじゃん」 <0103> \{Kanako}「なんだ、おまえ、すげーじゃん」 // <0104> \{声}「油断したのか?」 <0104> \{Voice}「油断したのか?」 // <0105> \{声}「狙ったのか…」 <0105> \{Voice}「狙ったのか…」 // <0106> …一応。 <0106> …一応。 // <0107> \{声}「なんだかこいつさ…徐々に強くなっていってる気がしないか…」 <0107> \{Voice}「なんだかこいつさ…徐々に強くなっていってる気がしないか…」 // <0108> 7月19日(月) <0108> July 19th (Mon) // <0109> \{河南子}「面白いように当たるぜ、ひゅっひゅー!」 <0109> \{Kanako}「面白いように当たるぜ、ひゅっひゅー!」 // <0110> ぽか <0110> ぽか // <0111> ぽか。 <0111> ぽか。 // <0112> \{朋也}「止めてくれるんじゃなかったのかよっ」 <0112> \{Tomoya}「止めてくれるんじゃなかったのかよっ」 // <0113> \{河南子}「止めてるよー。本気だったら、あんたもう立ってないって」 <0113> \{Kanako}「止めてるよー。本気だったら、あんたもう立ってないって」 // <0114> 繰り返し、繰り返し、河南子の攻撃を食らい… <0114> 繰り返し、繰り返し、河南子の攻撃を食らい… // <0115> \{河南子}「よっと」 <0115> \{Kanako}「よっと」 // <0116> \{朋也}「ふんっ」 <0116> \{Tomoya}「ふんっ」 // <0117> 体を沈めて大きく踏み込む。拳は頭を掠めるように消えた。 <0117> 体を沈めて大きく踏み込む。拳は頭を掠めるように消えた。 // <0118> そのまま、回り込むように軸をずらし、後ろ足を引きつける。 <0118> そのまま、回り込むように軸をずらし、後ろ足を引きつける。 // <0119> 泳いだ河南子の体が目の前にある。 <0119> 泳いだ河南子の体が目の前にある。 // <0120> …当てられる! <0120> …当てられる! // <0121> 本気で右ストレートを打った。 <0121> 本気で右ストレートを打った。 // <0122> ばしっ。 <0122> ばしっ。 // <0123> \{河南子}「…いったー」 <0123> \{Kanako}「…いったー」 // <0124> 俺の攻撃は左腕で受けとめられていた。 <0124> 俺の攻撃は左腕で受けとめられていた。 // <0125> \{朋也}「………」 <0125> \{Tomoya}「………」 // <0126> 俺はその場で体育座りをする。 <0126> 俺はその場で体育座りをする。 // <0127> \{朋也}「みんな、すげぇー」 <0127> \{Tomoya}「みんな、すげぇー」 // <0128> 黄昏れる。 <0128> 黄昏れる。 // <0129> \{河南子}「いや、あんたもかなり、すごくなってるからさっ」 <0129> \{Kanako}「いや、あんたもかなり、すごくなってるからさっ」 // <0130> 喧嘩に明け暮れる毎日。 <0130> 喧嘩に明け暮れる毎日。 // <0131> 今日で何日目だろう、何人目だろう…。 <0131> 今日で何日目だろう、何人目だろう…。 // <0132> もうよくわからない…。 <0132> もうよくわからない…。 // <0133> \{朋也}「今日は?」 <0133> \{Tomoya}「今日は?」 // <0134> 一人の男が前に出た。 <0134> 一人の男が前に出た。 // <0135> 背丈は俺と同じくらい。 <0135> 背丈は俺と同じくらい。 // <0136> 一見して強そう、とは見えなかった。 <0136> 一見して強そう、とは見えなかった。 // <0137> \{男}「それじゃ、始めようか」 <0137> \{Man}「それじゃ、始めようか」 // <0138> \{朋也}「ああ」 <0138> \{Tomoya}「ああ」 // <0139> お互いが構え、距離を縮める。 <0139> お互いが構え、距離を縮める。 // <0140> 心もち上体を屈め、相手の攻撃に備えた。 <0140> 心もち上体を屈め、相手の攻撃に備えた。 // <0141> 相手はフットワークで、とん、とん、とリズムを刻み始める。 <0141> 相手はフットワークで、とん、とん、とリズムを刻み始める。 // <0142> すると… <0142> すると… // <0143> ぐしゃっ。 <0143> ぐしゃっ。 // <0144> 眉間が陥没したとも思えるような痛み。 <0144> 眉間が陥没したとも思えるような痛み。 // <0145> 左手で押さえると、濡れた感触があった。 <0145> 左手で押さえると、濡れた感触があった。 // <0146> …切れた!? <0146> …切れた!? // <0147> 何がなんだかわからなかった。 <0147> 何がなんだかわからなかった。 // <0148> 腹を膝で抉られる。こみ上げる吐き気と鈍く激しい痛み。 <0148> 腹を膝で抉られる。こみ上げる吐き気と鈍く激しい痛み。 // <0149> そのままダウンするしかなかった。 <0149> そのままダウンするしかなかった。 // <0150> \{河南子}「大丈夫か…?」 <0150> \{Kanako}「大丈夫か…?」 // <0151> \{朋也}「…油断しただけだって」 <0151> \{Tomoya}「…油断しただけだって」 // <0152> 起きあがろうとすると、蹴りが顔にきた。 <0152> 起きあがろうとすると、蹴りが顔にきた。 // <0153> やばい。 <0153> やばい。 // <0154> かろうじて両手でブロックしたが、そのまま吹き飛ばされた。 <0154> かろうじて両手でブロックしたが、そのまま吹き飛ばされた。 // <0155> その容赦のなさに戦慄する。 <0155> その容赦のなさに戦慄する。 // <0156> ダウンした俺に、河南子が駆け寄ってきた。 <0156> ダウンした俺に、河南子が駆け寄ってきた。 // <0157> \{河南子}「相手、強すぎだっ」 <0157> \{Kanako}「相手、強すぎだっ」 // <0158> \{河南子}「素人じゃ無理だよっ」 <0158> \{Kanako}「素人じゃ無理だよっ」 // <0159> \{朋也}「あれ…」 <0159> \{Tomoya}「あれ…」 // <0160> \{朋也}「俺、もう素人じゃないはずだろ…?」 <0160> \{Tomoya}「俺、もう素人じゃないはずだろ…?」 // <0161> \{朋也}「師匠もいるしさ…」 <0161> \{Tomoya}「師匠もいるしさ…」 // <0162> \{河南子}「それって…」 <0162> \{Kanako}「それって…」 // <0163> \{朋也}「ああ…」 <0163> \{Tomoya}「ああ…」 // <0164> \{朋也}「おまえのことだよ、河南子…」 <0164> \{Tomoya}「おまえのことだよ、河南子…」 // <0165> \{朋也}「…サンキュな」 <0165> \{Tomoya}「…サンキュな」 // <0166> 言って、気合いだけで起きあがる。 <0166> 言って、気合いだけで起きあがる。 // <0167> \{河南子}「こ…」 <0167> \{Kanako}「こ…」 // <0168> \{河南子}「これから死ぬキャラみたいなこと言うなよぉーーーっ!」 <0168> \{Kanako}「これから死ぬキャラみたいなこと言うなよぉーーーっ!」 // <0169> 避けるどころじゃない。 <0169> 避けるどころじゃない。 // <0170> 相手の攻撃に、何もできなかった。 <0170> 相手の攻撃に、何もできなかった。 // <0171> ………。 <0171> ....... // <0172> …すでに左目は見えてない。腫れて塞がり、開けられなくなっている。 <0172> I can no longer see through my left eye, it is swollen and closed. // <0173> 痛みは遠くで溜まっているように感じた。 <0173> The pain felt like it stayed somewhere in my body. // <0174> \{河南子}「ね、タオル投げるよ…」 <0174> \{Kanako}「Hey, I'm going to throw in the towel.」 // <0175> \{河南子}「もう、ボロボロだよ、わかってる…?」 <0175> \{Kanako}「You are very hurt, you know that right?」 // <0176> \{朋也}「…やるって…」 <0176> \{Tomoya}「I... I can still do it...」 // <0177> \{朋也}「俺が気を失うまでは…ぜったいとめるな…」 <0177> \{Tomoya}「Unless I lose my consciousness, do not stop it.」 // <0178> 力の入らない両手で相手の腰に飛びつく。 <0178> With arms which no longer have any power, I charge at the guy. // <0179> 離れれば殴られるだけだ。 <0179> If I stay away he will just punch me some more. // <0180> 細い右目で見ると、さすがに疲れたのか息が上がっているのはわかった。 <0180> When I looked at him with my right eye, I can see that he is breathing hard. // <0181> どむっ。 <0181> どむっ。 // <0182> …げほっ! <0182> …げほっ! // <0183> 背中に刺すような痛み。肘を落とされたのだろうか。 <0183> My back burned with an intense pain, // <0184> だが、もう構うことはない。 <0184> But I don't care anymore. // <0185> 足を引っかけ、体重を預けて、地面へと押し倒す。 <0185> I trip him with my leg and fell on the ground with him. // <0186> そのまま何発か腕を振り回し殴りつけた。 <0186> and I countinued to punch him from there. // <0187> 反撃がくる。 <0187> He fought back. // <0188> 顔面が弾け、衝撃で仰け反った。 <0188> With a powerful punch, he sends me flying back. // <0189> その隙に相手は俺から距離を取って立ち上がった。 <0189> In that instance he backs away from me and stands back up. // <0190> \{男}「…そろそろ止めないか?」 <0190> \{Man}「...We should stop now.」 // <0191> …呆れたような口調だ。 <0191> He sounds like he had enough. // <0192> \{男}「あんたに勝ち目はないよ」 <0192> \{Man}「You don't have any chance of winning.」 // <0193> \{男}「これ以上やったら、取り返しがつかなくなるかもしれないし」 <0193> \{Man}「If we countinue, bad things might happen.」 // <0194> \{朋也}「…ああ」 <0194> \{Tomoya}「You...」 // <0195> 立ち上がりながら答える。 <0195> I replied as I stood up. // <0196> 口の中が不快だ。唾を吐くと血の塊が出た。口の中が切れているようだ。 <0196> My mouth felt wierd. When I tried to spit, clumps of blood came out. It appears that the inside of mouth is cut. // <0197> \{朋也}「…悪いけど…引けないんだ」 <0197> \{Tomoya}「Sorry, but... I can't back down...」 // <0198> \{朋也}「もう少し…つきあって…くれよ」 <0198> \{Tomoya}「bear... with me... for a little while...」 // <0199> 言ってから駆け出す。 <0199> After saying that, I charge at the man. // <0200> 疲労とダメージで、体は満足に動いてくれない。 <0200> From the damage and exhaustion, my body is not acting like it's suppose to. // <0201> もう、体当たりしかできない。 <0201> All I can do is charge at him now. // <0202> がつん、と側頭部に熱さ。 <0202> My forehead felt hot. // <0203> 目の前が瞬間だけ赤くなり、やがて暗くなる。 <0203> My vision started to become blurred. // <0204> あー…このまま眠ったら…気持ちいいんだろうなあ… <0204> Man... If I fall asleep now, it must feel great. // <0205> \{朋也}(…やばいっ) <0205> \{Tomoya}(Not Good!) // <0206> 俺はとっさに自分の頬を張った。 <0206> I slapped myself to wake me up. // <0207> 気を失いかけていたからだ。 <0207> Since I almost lost consciousness. // <0208> \{朋也}(まだだっ) <0208> \{Tomoya}(I'm not done yet.) // <0209> 必死にしがみつく。 <0209> I grab him. // <0210> 左手を相手の服に絡め、離れないようにした。 <0210> I grab him with my left hand, to close in the distance between us. // <0211> もう離されないようにするだけの握力は残ってないから。 <0211> That's all I can do now. // <0212> 引きつけて右を振り回す。 <0212> I pull him and punch. // <0213> 反撃がきた。より強力で、より数の多い。 <0213> He was able to counterattack. // <0214> でも、それは問題じゃない。 <0214> However, that no longer matters. // <0215> 諦めなければいい。 <0215> All I need to do, is to not give up. // <0216> 意識を失わなければ、それだけでいい。 <0216> Is to maintain cousciousness. // <0217> ともを、守るため。 <0217> To protect Tomo. // <0218> とものため。 <0218> For Tomo. // <0219> そのとき、一瞬ともの泣き顔が脳裏をよぎった。 <0219> At that moment, the image of Tomo crying appeared in my mind. // <0220> それはともが、母親に捨てられたことを知ってしまった日のことだ。 <0220> That's the day that Tomo had learned that his mother abandoned her. // <0221> 俺はあの時、何も声をかけられずにいた。 <0221> That day, I couldn't say anything to her. // <0222> そんな俺に、ともを守る資格なんてあるのだろうか? <0222> I wonder if someone, like myself, has the right to protect Tomo? // <0223> そんなことを考えてる場合じゃない。 <0223> It's not the time to be thinking things like that. // <0224> ばきっ <0224> *Crack* // <0225> 、と側頭部に衝撃が走ってから気づいた。 <0225> Intense pain is felt at the back of my head. // <0226> 気が遠くなり、巻きつけていた腕が離れ、何度も攻撃を喰らってしまう。 <0226> I lef go of the man's hand and take a lot of punches. // <0227> 倒れそうな体を支え、力を振り絞る。 <0227> I support my collapsing body with what little strengh I had left. // <0228> ほとんど塞がった目、そこに相手の拳が迫ってくる… <0228> I can see his fist coming straight at me. // <0229> \{朋也}(あ…) <0229> \{Tomoya}(Oh...) // <0230> もう、音がしなかった。 <0230> I can't even talk now. // <0231> 力が入らない。 <0231> I don't have any strengh left. // <0232> 視界がかすむ…。 <0232> My vision blurs. // <0233> たのむ…。 <0233> Please... // <0234> まだ…終わって… <0234> Don't... stop... // <0235> ………。 <0235> ......... // <0236> ……。 <0236> ...... // <0237> …。 <0237> ... // <0238> \{朋也}「…いてて」 <0238> \{Tomoya}「Oww...」 // <0239> \{朋也}(あれ…? どうなったんだっけ…?) <0239> \{Tomoya}(Wait... what happened...?) // <0240> 俺は部屋にいた。 <0240> I was in a room. // <0241> 体中を包帯やガーゼだらけにされて。 <0241> My body was wrapped up in towels and bandages. // <0242> 布団の中に。 <0242> In a futon. // <0243> \{智代}「よかった! 目が覚めたんだな」 <0243> \{Tomoyo}「Good! You woke up.」 // <0244> 状況がよくわからない。 <0244> I don't understand the situation. // <0245> \{智代}「吐き気や頭痛はないか?」 <0245> \{Tomoyo}「Do you feel nauseous or a headache?」 // <0246> \{朋也}「あ、ああ、それは大丈夫だけど…」 <0246> \{Tomoya}「Oh, no, I'm fine...」 // <0247> \{朋也}「俺、どうなったんだっけ…?」 <0247> \{Tomoya}「So, what happened to me?」 // <0248> \{河南子}「思いっきりのされたの、覚えてない?」 <0248> \{Kanako}「Do you remember being heaten up?」 // <0249> 俺は黙って首を横に振った。 <0249> 俺は黙って首を横に振った。 // <0250> というか、喧嘩の途中から記憶が全くない。 <0250> というか、喧嘩の途中から記憶が全くない。 // <0251> \{智代}「もう大丈夫だ」 <0251> \{Tomoyo}「もう大丈夫だ」 // <0252> \{智代}「河南子から話は聞いた」 <0252> \{Tomoyo}「河南子から話は聞いた」 // <0253> \{智代}「河南子が私を呼んでくれたからな」 <0253> \{Tomoyo}「河南子が私を呼んでくれたからな」 // <0254> 見ると智代の腕にも包帯が巻かれていた。 <0254> 見ると智代の腕にも包帯が巻かれていた。 // <0255> おそらくガードしたときに受けたんだろう。 <0255> おそらくガードしたときに受けたんだろう。 // <0256> \{河南子}「やっぱ先輩は最強っすよ」 <0256> \{Kanako}「やっぱ先輩は最強っすよ」 // <0257> なんだよ、それ… <0257> なんだよ、それ… // <0258> そうならないために、頑張ってたのに… <0258> そうならないために、頑張ってたのに… // <0259> \{智代}「もう、終わったんだ」 <0259> \{Tomoyo}「もう、終わったんだ」 // <0260> \{智代}「よく頑張ったな」 <0260> \{Tomoyo}「よく頑張ったな」 // <0261> \{朋也}「…そうか」 <0261> \{Tomoya}「…そうか」 // <0262> 俺は負けた。 <0262> 俺は負けた。 // <0263> それは認めないといけない事実。 <0263> それは認めないといけない事実。 // <0264> そして… <0264> そして… // <0265> もし、この先、もっと大きな困難が訪れたとき… <0265> もし、この先、もっと大きな困難が訪れたとき… // <0266> それでも、智代やともを支えていけるか… <0266> それでも、智代やともを支えていけるか… // <0267> その答えがでた。 <0267> その答えがでた。 // <0268> 俺には無理だ、と。 <0268> 俺には無理だ、と。 // <0269> …それだけだったかな? <0269> …それだけだったかな? // <0270> 智代を守るため、ってのもあるな…。 <0270> 智代を守るため、ってのもあるな…。 // <0271> そうだ。 <0271> そうだ。 // <0272> 守ってやりたいから。 <0272> 守ってやりたいから。 // <0273> 智代にどんな過去があっても。 <0273> 智代にどんな過去があっても。 // <0274> 智代がどんなに強いか知っていても。 <0274> 智代がどんなに強いか知っていても。 // <0275> 俺自身が強くなりたいから。 <0275> 俺自身が強くなりたいから。 // <0276> \{朋也}「かくごしろ、てめぇ…」 <0276> \{Tomoya}「かくごしろ、てめぇ…」 // <0277> \{朋也}「おれが…のしてやるからな…」 <0277> \{Tomoya}「おれが…のしてやるからな…」 // <0278> 囁くような声。 <0278> 囁くような声。 // <0279> 引きつけた相手の耳に届いただろうか。 <0279> 引きつけた相手の耳に届いただろうか。 // <0280> どうでもいいか…。 <0280> どうでもいいか…。 // <0281> 腕を振り回す。 <0281> 腕を振り回す。 // <0282> ただ、負けないように。 <0282> ただ、負けないように。 // <0283> 左腕にみし、と嫌な音がした。 <0283> 左腕にみし、と嫌な音がした。 // <0284> しびれて動きが止まると、そのまま腹を蹴られ、引き離された。 <0284> しびれて動きが止まると、そのまま腹を蹴られ、引き離された。 // <0285> ぼろ雑巾のように転がり、大の字になる。 <0285> ぼろ雑巾のように転がり、大の字になる。 // <0286> 左腕、まだ動く。 <0286> 左腕、まだ動く。 // <0287> 両足、痛いがどうってことはない。 <0287> 両足、痛いがどうってことはない。 // <0288> 右目は、星空を綺麗に映している。 <0288> 右目は、星空を綺麗に映している。 // <0289> 動ける。 <0289> 動ける。 // <0290> なら、起きあがろう。 <0290> なら、起きあがろう。 // <0291> すげぇ… <0291> すげぇ… // <0292> 立ったよ、俺… <0292> 立ったよ、俺… // <0293> 強くなってるよな、俺… <0293> 強くなってるよな、俺… // <0294> な、智代…。 <0294> な、智代…。 // <0295> 前より…マシだよな…? <0295> 前より…マシだよな…? // <0296> 成長…してるよな…? <0296> 成長…してるよな…? // <0297> あの時よりさ…。 <0297> あの時よりさ…。 // <0298> おまえの前からいなくなった、あの時より…。 <0298> おまえの前からいなくなった、あの時より…。 // <0299> ………。 <0299> ………。 // <0300> \{男}「待った」 <0300> \{Man}「待った」 // <0301> 足を踏み出した俺を、相手が制止した。 <0301> 足を踏み出した俺を、相手が制止した。 // <0302> \{男}「…もうやめよう」 <0302> \{Man}「…もうやめよう」 // <0303> \{男}「俺の負けでいいからさ」 <0303> \{Man}「俺の負けでいいからさ」 // <0304> \{男}「あんた、死ぬまで来そうだから」 <0304> \{Man}「あんた、死ぬまで来そうだから」 // <0305> 何の話かわからない。 <0305> 何の話かわからない。 // <0306> \{男}「…あーあ、結局誰も坂上まで届かなかったな」 <0306> \{Man}「…あーあ、結局誰も坂上まで届かなかったな」 // <0307> \{朋也}「…は?」 <0307> \{Tomoya}「…は?」 // <0308> \{男}「今日で終わり。あんた、全員に勝ったんだよ」 <0308> \{Man}「今日で終わり。あんた、全員に勝ったんだよ」 // <0309> え… <0309> え… // <0310> おれ…\p勝ったのか? <0310> おれ…\p勝ったのか? // <0311> 夜空で花火が炸裂した。 <0311> 夜空で花火が炸裂した。 // <0312> その後も、次々と。 <0312> その後も、次々と。 // <0313> みんなが空を見上げていた。 <0313> みんなが空を見上げていた。 // <0314> 俺が倒してきた連中が。 <0314> 俺が倒してきた連中が。 // <0315> 呆然と見ていると、膝が崩れ、そのまま前のめりに倒れた。 <0315> 呆然と見ていると、膝が崩れ、そのまま前のめりに倒れた。 // <0316> 緊張の糸が切れたようだった。 <0316> 緊張の糸が切れたようだった。 // <0317> \{男}「一緒に病院こいよ。俺も拳がやばそうだ」 <0317> \{Man}「一緒に病院こいよ。俺も拳がやばそうだ」 // <0318> \{朋也}「…いや、いい」 <0318> \{Tomoya}「…いや、いい」 // <0319> \{男}「そうか」 <0319> \{Man}「そうか」 // <0320> \{男}「あんた、すごいな」 <0320> \{Man}「あんた、すごいな」 // <0321> \{男}「根性だけで俺に勝つなんて」 <0321> \{Man}「根性だけで俺に勝つなんて」 // <0322> \{男}「縁があったらまた会おう」 <0322> \{Man}「縁があったらまた会おう」 // <0323> 男は去っていく。 <0323> 男は去っていく。 // <0324> \{声}「次は勝つからな」 <0324> \{Voice}「次は勝つからな」 // <0325> \{声}「ちゃんと治してこいよ」 <0325> \{Voice}「ちゃんと治してこいよ」 // <0326> \{声}「病院、行けよ」 <0326> \{Voice}「病院、行けよ」 // <0327> 集まった連中は口々に俺へ言付けていく。 <0327> 集まった連中は口々に俺へ言付けていく。 // <0328> 花火も終わり、やがて、俺と河南子だけが残った。 <0328> 花火も終わり、やがて、俺と河南子だけが残った。 // <0329> \{河南子}「このやろー」 <0329> \{Kanako}「このやろー」 // <0330> \{河南子}「ちょっとロマンチックになっちゃったじゃないか」 <0330> \{Kanako}「ちょっとロマンチックになっちゃったじゃないか」 // <0331> \{朋也}「ろまんちっく?」 <0331> \{Tomoya}「ろまんちっく?」 // <0332> \{朋也}「それより…河南子、肩貸してくれ」 <0332> \{Tomoya}「それより…河南子、肩貸してくれ」 // <0333> \{朋也}「全然動けねぇ…から」 <0333> \{Tomoya}「全然動けねぇ…から」 // <0334> \{河南子}「はぁ…」 <0334> \{Kanako}「はぁ…」 // <0335> \{河南子}「めんどーな奴だなーもぅ…」 <0335> \{Kanako}「めんどーな奴だなーもぅ…」 // <0336> 這うようにして、なんとかアパートまで辿り着く。 <0336> 這うようにして、なんとかアパートまで辿り着く。 // <0337> 部屋のドアを開け放つ。 <0337> 部屋のドアを開け放つ。 // <0338> 中には…\p鷹文しかいなかった。 <0338> 中には…\p鷹文しかいなかった。 // <0339> \{朋也}「…ふたりは?」 <0339> \{Tomoya}「…ふたりは?」 // <0340> \{鷹文}「うわっ、死にそうになってんじゃんっ」 <0340> \{Takafumi}「うわっ、死にそうになってんじゃんっ」 // <0341> \{朋也}「いいから、ふたりはっ」 <0341> \{Tomoya}「いいから、ふたりはっ」 // <0342> \{鷹文}「え? ねぇちゃんなら、ともを連れて出かけたよ」 <0342> \{Takafumi}「え? ねぇちゃんなら、ともを連れて出かけたよ」 // <0343> \{鷹文}「大丈夫だと伝えてくれって」 <0343> \{Takafumi}「大丈夫だと伝えてくれって」 // <0344> \{朋也}「………」 <0344> \{Tomoya}「………」 // <0345> \{河南子}「これは風雲急を告げる展開だ」 <0345> \{Kanako}「これは風雲急を告げる展開だ」 // <0346> \{河南子}「行き場所は?」 <0346> \{Kanako}「行き場所は?」 // <0347> \{鷹文}「聞いてないけど」 <0347> \{Takafumi}「聞いてないけど」 // <0348> あれ…? <0348> あれ…? // <0349> 俺はとんでもない勘違いをしてたんじゃないのか…? <0349> 俺はとんでもない勘違いをしてたんじゃないのか…? // <0350> あいつら全員と拳を交えた今ならわかる。 <0350> あいつら全員と拳を交えた今ならわかる。 // <0351> あいつらは、弱い者に手を出すような卑劣な連中じゃない。ひとりとして。 <0351> あいつらは、弱い者に手を出すような卑劣な連中じゃない。ひとりとして。 // <0352> ただ智代に雪辱を果たしたい奴らが、お祭り騒ぎのように一堂に会しただけだ…。 <0352> ただ智代に雪辱を果たしたい奴らが、お祭り騒ぎのように一堂に会しただけだ…。 // <0353> ということは… <0353> ということは… // <0354> …幼稚園に出没していた不審者とは無関係。 <0354> …幼稚園に出没していた不審者とは無関係。 // <0355> \{鷹文}「あのさ…」 <0355> \{Takafumi}「あのさ…」 // <0356> \{鷹文}「…みんなで何やってんの?」 <0356> \{Takafumi}「…みんなで何やってんの?」 // <0357> \{河南子}「え?」 <0357> \{Kanako}「え?」 // <0358> \{河南子}「ウルトラクイズ」 <0358> \{Kanako}「ウルトラクイズ」 // <0359> \{鷹文}「え、まじ?」 <0359> \{Takafumi}「え、まじ?」 // <0360> \{朋也}「信じるなよ…」 <0360> \{Tomoya}「信じるなよ…」 // <0361> \{河南子}「笑いどころだっつーの」 <0361> \{Kanako}「笑いどころだっつーの」 // <0362> \{朋也}「俺、いくな…」 <0362> \{Tomoya}「俺、いくな…」 // <0363> ドアを押す。 <0363> ドアを押す。 // <0364> \{河南子}「え、動けんの!?」 <0364> \{Kanako}「え、動けんの!?」 // <0365> だって、その不審者はまだどこかに潜んでいるんだぞ…。 <0365> だって、その不審者はまだどこかに潜んでいるんだぞ…。 // <0366> いかなきゃならない。 <0366> いかなきゃならない。 // <0367> 全身の痛みが煩わしい。 <0367> 全身の痛みが煩わしい。 // <0368> 全部麻痺してしまえばいいのに。 <0368> 全部麻痺してしまえばいいのに。 // <0369> 何度も意識が遠くなる。 <0369> 何度も意識が遠くなる。 // <0370> 地面が傾くたび、足に力を入れて、痛みと共に覚醒する。 <0370> 地面が傾くたび、足に力を入れて、痛みと共に覚醒する。 // <0371> あと、もう少しだけ保ってくれ。 <0371> あと、もう少しだけ保ってくれ。 // <0372> ふたりを見つけるまで。 <0372> ふたりを見つけるまで。 // <0373> \{朋也}「はぁ…はぁ…」 <0373> \{Tomoya}「はぁ…はぁ…」 // <0374> 智代がいた。 <0374> 智代がいた。 // <0375> ひとりでいた。 <0375> ひとりでいた。 // <0376> ともの姿が見あたらなかった。 <0376> ともの姿が見あたらなかった。 // <0377> 俺は覚束ない足取りで近づいていく。 <0377> 俺は覚束ない足取りで近づいていく。 // <0378> 智代が気づいて…俺を見る。 <0378> 智代が気づいて…俺を見る。 // <0379> \{智代}「…朋也」 <0379> \{Tomoyo}「…朋也」 // <0380> \{朋也}「ともは…」 <0380> \{Tomoya}「ともは…」 // <0381> \{智代}「大丈夫だ」 <0381> \{Tomoyo}「大丈夫だ」 // <0382> \{智代}「お友達と遊んでいる」 <0382> \{Tomoyo}「お友達と遊んでいる」 // <0383> きぃきぃとブランコの音が聞こえた。 <0383> きぃきぃとブランコの音が聞こえた。 // <0384> その方向を見る。 <0384> その方向を見る。 // <0385> 小さな影が動いている。 <0385> 小さな影が動いている。 // <0386> ともと…同じぐらいの女の子がいた。 <0386> ともと…同じぐらいの女の子がいた。 // <0387> それを見守るのは、不器用そうな中年の男だ。 <0387> それを見守るのは、不器用そうな中年の男だ。 // <0388> \{智代}「いろんな家庭がある、事情がある」 <0388> \{Tomoyo}「いろんな家庭がある、事情がある」 // <0389> \{智代}「それを知った」 <0389> \{Tomoyo}「それを知った」 // <0390> \{智代}「あの子は、他人に興味を持てない子供なんだそうだ…」 <0390> \{Tomoyo}「あの子は、他人に興味を持てない子供なんだそうだ…」 // <0391> \{智代}「だからずっと、たったひとりでこの夜の公園で遊んでいた」 <0391> \{Tomoyo}「だからずっと、たったひとりでこの夜の公園で遊んでいた」 // <0392> \{智代}「そういう子は、なかなか他人には理解してもらえないらしい」 <0392> \{Tomoyo}「そういう子は、なかなか他人には理解してもらえないらしい」 // <0393> \{智代}「でも、ともだけは違った」 <0393> \{Tomoyo}「でも、ともだけは違った」 // <0394> \{智代}「母親には内緒で、遊ぼうとしていたらしい」 <0394> \{Tomoyo}「母親には内緒で、遊ぼうとしていたらしい」 // <0395> \{智代}「ほら、ここは、前に住んでいたアパートのすぐ裏手だから」 <0395> \{Tomoyo}「ほら、ここは、前に住んでいたアパートのすぐ裏手だから」 // <0396> \{智代}「けど、朋也の部屋で過ごすようになって、ここには来られなくなった」 <0396> \{Tomoyo}「けど、朋也の部屋で過ごすようになって、ここには来られなくなった」 // <0397> \{智代}「あの子の父親は、どうしても、ともと遊ばせたくて、いろいろ動いていたんだそうだ」 <0397> \{Tomoyo}「あの子の父親は、どうしても、ともと遊ばせたくて、いろいろ動いていたんだそうだ」 // <0398> \{智代}「最初から話してくれていればよかったのに…」 <0398> \{Tomoyo}「最初から話してくれていればよかったのに…」 // <0399> \{朋也}「………」 <0399> \{Tomoya}「………」 // <0400> そこまで話を聞くと、体の力が抜けた。緊張の糸が切れたのだ。 <0400> そこまで話を聞くと、体の力が抜けた。緊張の糸が切れたのだ。 // <0401> そのまま崩れ落ちる。 <0401> そのまま崩れ落ちる。 // <0402> \{智代}「朋也っ」 <0402> \{Tomoyo}「朋也っ」 // <0403> 抱きかかえられる。 <0403> 抱きかかえられる。 // <0404> 智代の匂いと温度を感じた。 <0404> 智代の匂いと温度を感じた。 // <0405> 好きな人の温もりだ。 <0405> 好きな人の温もりだ。 // <0406> …温かいなあ。 <0406> …温かいなあ。 // <0407> \{智代}「ぼろぼろじゃないか…」 <0407> \{Tomoyo}「ぼろぼろじゃないか…」 // <0408> \{智代}「詳しいことはわからないが…」 <0408> \{Tomoyo}「詳しいことはわからないが…」 // <0409> \{智代}「頑張ってくれてたんだな…朋也は…」 <0409> \{Tomoyo}「頑張ってくれてたんだな…朋也は…」 // <0410> \{智代}「それは…もう終わったのか?」 <0410> \{Tomoyo}「それは…もう終わったのか?」 // <0411> 俺は頷く。 <0411> 俺は頷く。 // <0412> \{朋也}「俺…馬鹿だ」 <0412> \{Tomoya}「I'm... an idiot.」 // <0413> \{智代}「そんなことはない」 <0413> \{Tomoyo}「That's not true.」 // <0414> \{智代}「ありがとう」 <0414> \{Tomoyo}「Thank you.」 // <0415> その一言で報われた気がした。 <0415> With this single word, I feel vindicated. // <0416> ただ、この胸の中で今は休みたい。 <0416> But now, my heart tells me to rest. // <0417> 遠くで、とものはしゃぎ声。 <0417> A distant, cheerfull voice of Tomo. // <0418> 体はこんなにも、ぼろぼろなのに… <0418> My body is all worn-out, but... // <0419> 今、この上ない安らぎと、幸せを感じている。 <0419> Right now, with this calm, I'm feeling the happiness . // <0420> \{朋也}「…休んでもいい?」 <0420> \{Tomoya}「...Is it okay to rest?」 // <0421> \{智代}「もちろん」 <0421> \{Tomoyo}「Of course.」 // <0422> じゃあ… <0422> Then... // <0423> …おやすみ。 <0423> ... Good night.
Script Chart
June | July | August | After | Other | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1st | SEEN0701 | SEEN0801 | SEEN5000 | SEEN7910 | ||||||
2nd | SEEN0702 | SEEN5001 | SEEN7920 | |||||||
3rd | SEEN0803 | SEEN5002 | SEEN7930 | |||||||
4th | SEEN0804 | SEEN5003 | SEEN7940 | |||||||
6th | SEEN0806 | BAD END | SEEN5004 | SEEN7950 | ||||||
SEEN1806 | SEEN5005 | |||||||||
7th | SEEN0707 | SEEN0807 | SEEN5006 | |||||||
8th | SEEN0708 | SEEN0808 | SEEN5007 | |||||||
9th | SEEN0709 | SEEN0809 | SEEN5010 | |||||||
10th | SEEN0710 | SEEN1710 | SEEN0810 | SEEN5011 | ||||||
11th | SEEN0711 | SEEN0811 | SEEN1811 | SEEN2811 | ||||||
12th | SEEN0712 | SEEN0812 | ||||||||
13th | SEEN0713 | SEEN0813 | SEEN1813 | SEEN2813 | ||||||
14th | SEEN0714 | SEEN1714 | SEEN0814 | BAD END | BAD END | BAD END | BAD END | |||
SEEN1814 | SEEN2814 | SEEN3814 | SEEN4814 | |||||||
15th | SEEN0715 | SEEN1715 | SEEN0815 | |||||||
16th | SEEN0716 | SEEN1716 | SEEN0816 | |||||||
17th | SEEN0717 | SEEN0817 | ||||||||
18th | SEEN0818 | |||||||||
19th | SEEN0819 | |||||||||
20th | BAD END | SEEN0820 | ||||||||
SEEN0720 | ||||||||||
21st | SEEN0721 | SEEN0821 | ||||||||
22nd | SEEN0722 | SEEN0822 | ||||||||
23rd | SEEN0723 | SEEN0823 | ||||||||
24th | SEEN0724 | |||||||||
25th | SEEN0725 | |||||||||
26th | SEEN0726 | |||||||||
27th | SEEN0727 | |||||||||
28th | SEEN0628 | SEEN0728 | ||||||||
29th | SEEN0629 | SEEN0729 | ||||||||
30th | SEEN0630 | |||||||||
BAD END | ||||||||||
SEEN0744 |