// Resources for SEEN0820.TXT
// #character '朋也'
#character 'Tomoya'
// #character '管理人'
#character 'Manager'
// #character '河南子'
#character 'Kanako'
// #character '男'
#character 'Man'
// #character '鷹文'
#character 'Takafumi'
// #character '智代'
#character 'Tomoyo'
// <0000> 8月20日(金)
<0000> August 20th (Fri)
// <0001> なにやら歓声があがっている。
<0001> なにやら歓声があがっている。
// <0002> 何事かと近づいていく。
<0002> 何事かと近づいていく。
// <0003> 管理人の背中も見える。
<0003> 管理人の背中も見える。
// <0004> \{朋也}「どうした」
<0004> \{Tomoya}「どうした」
// <0005> その背に訊いた。
<0005> その背に訊いた。
// <0006> \{管理人}「ん? あら、おはよう」
<0006> \{Manager}「ん? あら、おはよう」
// <0007> \{朋也}「おはよう」
<0007> \{Tomoya}「おはよう」
// <0008> \{朋也}「で、なんだ、何があった」
<0008> \{Tomoya}「で、なんだ、何があった」
// <0009> \{管理人}「すごい助っ人が現れたのよ」
<0009> \{Manager}「すごい助っ人が現れたのよ」
// <0010> \{朋也}「助っ人?」
<0010> \{Tomoya}「助っ人?」
// <0011> \{管理人}「うちの男たちの三倍は働いてるわ」
<0011> \{Manager}「うちの男たちの三倍は働いてるわ」
// <0012> 女性たちの視線を追う。
<0012> 女性たちの視線を追う。
// <0013> その先に、大量の角材を抱えて歩く茶色い生き物がいた。
<0013> その先に、大量の角材を抱えて歩く茶色い生き物がいた。
// <0014> 俺はその場でこけそうになる。
<0014> 俺はその場でこけそうになる。
// <0015> クマの着ぐるみだ。
<0015> クマの着ぐるみだ。
// <0016> となれば、中身は智代に違いない。
<0016> となれば、中身は智代に違いない。
// <0017> \{管理人}「いつの間にか、混じって働いてたのよ」
<0017> \{Manager}「いつの間にか、混じって働いてたのよ」
// <0018> \{管理人}「最初は本物のクマかと思って、すごい騒ぎになって」
<0018> \{Manager}「最初は本物のクマかと思って、すごい騒ぎになって」
// <0019> \{管理人}「でも見てたら、これがまぁ働きもので、感心しきり」
<0019> \{Manager}「でも見てたら、これがまぁ働きもので、感心しきり」
// <0020> \{管理人}「あれ、ニセモノよね?」
<0020> \{Manager}「あれ、ニセモノよね?」
// <0021> \{朋也}「どう見てもそうだろ」
<0021> \{Tomoya}「どう見てもそうだろ」
// <0022> \{管理人}「中に人が入ってるのよね?」
<0022> \{Manager}「中に人が入ってるのよね?」
// <0023> \{朋也}「さあ。クマでも入ってるんじゃないか?」
<0023> \{Tomoya}「さあ。クマでも入ってるんじゃないか?」
// <0024> \{管理人}「あーなるほど」
<0024> \{Manager}「あーなるほど」
// <0025> \{管理人}「人の振りをしてるってことね」
<0025> \{Manager}「人の振りをしてるってことね」
// <0026> \{管理人}「ならあの怪力も納得いくわ」
<0026> \{Manager}「ならあの怪力も納得いくわ」
// <0027> どこまで本気で信じてるのかよくわからなかったが、ひとりうんうんと頷いている。
<0027> どこまで本気で信じてるのかよくわからなかったが、ひとりうんうんと頷いている。
// <0028> \{河南子}「ねーねー、クマが働いてるってほんとーっ?」
<0028> \{Kanako}「ねーねー、クマが働いてるってほんとーっ?」
// <0029> 河南子の声が背後から飛んでくる。
<0029> 河南子の声が背後から飛んでくる。
// <0030> \{朋也}「ああ、ほら」
<0030> \{Tomoya}「ああ、ほら」
// <0031> \{河南子}「うおおっ、マジで働いてやがるっ」
<0031> \{Kanako}「うおおっ、マジで働いてやがるっ」
// <0032> \{河南子}「世の中にはすげぇクマがいるんだなっ」
<0032> \{Kanako}「世の中にはすげぇクマがいるんだなっ」
// <0033> \{朋也}「ばか、よく見ろ」
<0033> \{Tomoya}「ばか、よく見ろ」
// <0034> \{河南子}「え…あれ? 着ぐるみか?」
<0034> \{Kanako}「え…あれ? 着ぐるみか?」
// <0035> \{河南子}「なんだ、人なのか…」
<0035> \{Kanako}「なんだ、人なのか…」
// <0036> \{河南子}「つーか、あの身のこなし、見たことあるような…」
<0036> \{Kanako}「つーか、あの身のこなし、見たことあるような…」
// <0037> \{河南子}「せんぱ…\wait{800}\shake{2}うっ」
<0037> \{Kanako}「せんぱ…\wait{800}\shake{2}うっ」
// <0038> 言いかけたところで、脇腹をつついてやる。
<0038> 言いかけたところで、脇腹をつついてやる。
// <0039> \{河南子}「なんだよ、てめー」
<0039> \{Kanako}「なんだよ、てめー」
// <0040> 気を利かせてやれ、と片目を閉じて合図を送る。
<0040> 気を利かせてやれ、と片目を閉じて合図を送る。
// <0041> \{河南子}「なんだ? ラブコールか? あたしに乗りかえんの?」
<0041> \{Kanako}「なんだ? ラブコールか? あたしに乗りかえんの?」
// <0042> \{河南子}「よし、今から飛ばす唾を顔面でキャッチしたら、考えてやろう」
<0042> \{Kanako}「よし、今から飛ばす唾を顔面でキャッチしたら、考えてやろう」
// <0043> \{河南子}「ほらいけ、ぺっ」
<0043> \{Kanako}「ほらいけ、ぺっ」
// <0044> \{河南子}「いでっ!」
<0044> \{Kanako}「いでっ!」
// <0045> 手刀で叩いてやった。
<0045> 手刀で叩いてやった。
// <0046> \{朋也}「汚い真似をするな」
<0046> \{Tomoya}「汚い真似をするな」
// <0047> \{河南子}「おまえ叩くから、前の奴の髪にかかっただろーっ」
<0047> \{Kanako}「おまえ叩くから、前の奴の髪にかかっただろーっ」
// <0048> \{男}「え? 何か?」
<0048> \{Man}「え? 何か?」
// <0049> 前の男が振り返る。
<0049> 前の男が振り返る。
// <0050> \{河南子}「あ、いや、オシャレな感じですね」
<0050> \{Kanako}「あ、いや、オシャレな感じですね」
// <0051> \{男}「え、そうですか?」
<0051> \{Man}「え、そうですか?」
// <0052> \{朋也}「来いよっ」
<0052> \{Tomoya}「来いよっ」
// <0053> 河南子の手を引いて、人の輪から外れる。
<0053> 河南子の手を引いて、人の輪から外れる。
// <0054> \{河南子}「なんだよ、もーっ!」
<0054> \{Kanako}「なんだよ、もーっ!」
// <0055> \{朋也}「あれが智代だってことは言うな」
<0055> \{Tomoya}「あれが智代だってことは言うな」
// <0056> \{河南子}「え、なして」
<0056> \{Kanako}「え、なして」
// <0057> \{朋也}「知られたくないから、ああしてるんだろうから」
<0057> \{Tomoya}「知られたくないから、ああしてるんだろうから」
// <0058> \{河南子}「動き見てれば、ばればれじゃん」
<0058> \{Kanako}「動き見てれば、ばればれじゃん」
// <0059> \{朋也}「それでもだよ」
<0059> \{Tomoya}「それでもだよ」
// <0060> \{朋也}「ああしないと手伝えないんだよ」
<0060> \{Tomoya}「ああしないと手伝えないんだよ」
// <0061> \{河南子}「マジで…」
<0061> \{Kanako}「マジで…」
// <0062> \{河南子}「あー、相変わらず不器用な人だなぁ…」
<0062> \{Kanako}「あー、相変わらず不器用な人だなぁ…」
// <0063> 鷹文に言わせると、そういうところが可愛い、のだろうけど。
<0063> 鷹文に言わせると、そういうところが可愛い、のだろうけど。
// <0064> その鷹文に電話をする。
<0064> その鷹文に電話をする。
// <0065> \{鷹文}『はい、岡崎です』
<0065> \{Takafumi}『はい、岡崎です』
// <0066> 前より自然な対応。
<0066> 前より自然な対応。
// <0067> \{朋也}「おまえだろ、クマの着ぐるみをこっちに送りつけたのは」
<0067> \{Tomoya}「おまえだろ、クマの着ぐるみをこっちに送りつけたのは」
// <0068> \{鷹文}『送りつけたなんて失礼だな』
<0068> \{Takafumi}『送りつけたなんて失礼だな』
// <0069> \{鷹文}『頼まれたから送ったんだよ』
<0069> \{Takafumi}『頼まれたから送ったんだよ』
// <0070> \{朋也}「誰に」
<0070> \{Tomoya}「誰に」
// <0071> \{鷹文}『あー、それは内緒にしておいてくれって頼まれてるんだ』
<0071> \{Takafumi}『あー、それは内緒にしておいてくれって頼まれてるんだ』
// <0072> \{朋也}「智代だろ」
<0072> \{Tomoya}「智代だろ」
// <0073> \{鷹文}『さーどうだろう?』
<0073> \{Takafumi}『さーどうだろう?』
// <0074> わざとらしくしらを切る。
<0074> わざとらしくしらを切る。
// <0075> \{朋也}「おまえは、本当にいい弟だな」
<0075> \{Tomoya}「おまえは、本当にいい弟だな」
// <0076> \{鷹文}『え? はは、そうかなー』
<0076> \{Takafumi}『え? はは、そうかなー』
// <0077> まんざらでもなさそうに答える。アホだ。
<0077> まんざらでもなさそうに答える。アホだ。
// <0078> \{河南子}「先輩、今日はどこで何してたんですか」
<0078> \{Kanako}「先輩、今日はどこで何してたんですか」
// <0079> \{智代}「……!」
<0079> \{Tomoyo}「……!」
// <0080> スープをすくおうとしていた手がぴくんと震える。
<0080> スープをすくおうとしていた手がぴくんと震える。
// <0081> 智代の反応を見て、河南子は楽しもうという腹だろう。
<0081> 智代の反応を見て、河南子は楽しもうという腹だろう。
// <0082> \{智代}「調子が悪かったので、部屋で休んでいた」
<0082> \{Tomoyo}「調子が悪かったので、部屋で休んでいた」
// <0083> ばれていないとでも思っているのだろうか。
<0083> ばれていないとでも思っているのだろうか。
// <0084> \{河南子}「大丈夫ですか? 薬貸しましょうか」
<0084> \{Kanako}「大丈夫ですか? 薬貸しましょうか」
// <0085> \{智代}「いや、心配ない。軽い貧血だ」
<0085> \{Tomoyo}「いや、心配ない。軽い貧血だ」
// <0086> \{河南子}「もったいないなー。クマが出たのに」
<0086> \{Kanako}「もったいないなー。クマが出たのに」
// <0087> \{智代}「ああ、噂に聞いている」
<0087> \{Tomoyo}「ああ、噂に聞いている」
// <0088> \{智代}「クマの…着ぐるみを着た奴だろ?」
<0088> \{Tomoyo}「クマの…着ぐるみを着た奴だろ?」
// <0089> 本物のクマだと言い張り始めたらどう対応しようか悩んでいたところなので、助かった。
<0089> 本物のクマだと言い張り始めたらどう対応しようか悩んでいたところなので、助かった。
// <0090> \{智代}「なんでも、いい奴らしいじゃないか」
<0090> \{Tomoyo}「なんでも、いい奴らしいじゃないか」
// <0091> \{河南子}「いやー、あの人の良さは逆に不気味だな」
<0091> \{Kanako}「いやー、あの人の良さは逆に不気味だな」
// <0092> \{河南子}「なんか狙ってるに違いない。いきなり悪事を働くかも」
<0092> \{Kanako}「なんか狙ってるに違いない。いきなり悪事を働くかも」
// <0093> \{智代}「そんなことあるもんかっ、ありえない」
<0093> \{Tomoyo}「そんなことあるもんかっ、ありえない」
// <0094> \{河南子}「どうして?」
<0094> \{Kanako}「どうして?」
// <0095> \{智代}「それは…」
<0095> \{Tomoyo}「それは…」
// <0096> \{智代}「クマ好きに悪い奴はいないからだ」
<0096> \{Tomoyo}「クマ好きに悪い奴はいないからだ」
// <0097> \{智代}「その人のことは信用してもいいと思うぞ」
<0097> \{Tomoyo}「その人のことは信用してもいいと思うぞ」
// <0098> みそ汁をかき込むと、食器を重ねて立ち上がる。
<0098> みそ汁をかき込むと、食器を重ねて立ち上がる。
// <0099> 河南子は笑いを堪えるのに必死、という表情だった。
<0099> 河南子は笑いを堪えるのに必死、という表情だった。
// <0100> お風呂に入り、すぐ就寝。
<0100> お風呂に入り、すぐ就寝。
// <0101> 明日の朝も早い。この健康的な生活にも慣れ始めていた。
<0101> 明日の朝も早い。この健康的な生活にも慣れ始めていた。