Tomoyo After:SEEN0801

From Baka-Tsuki
Revision as of 12:00, 18 July 2008 by ArchDemon (talk | contribs) (New page: == Text == <div class="clannadbox"> <pre> // Resources for SEEN0801.TXT // #character '朋也' #character 'Tomoya' // #character '智代' #character 'Tomoyo' // #character '河南子' #...)
(diff) ← Older revision | Latest revision (diff) | Newer revision → (diff)
Jump to navigation Jump to search

Text

// Resources for SEEN0801.TXT

// #character '朋也'
#character 'Tomoya'

// #character '智代'
#character 'Tomoyo'

// #character '河南子'
#character 'Kanako'

// #character '鷹文'
#character 'Takafumi'

// #character '声'
#character 'Voice'

// #character '先生'
#character 'Teacher'

// #character '男'
#character 'Man'

// #character 'キャプテン'
#character 'Captain'

// #character '部員'
#character 'Staff member'

// #character 'とも'
#character 'Tomo'


// <0000> 8月1日(日)
<0000> August 1st (Sun)

// <0001> 思いのほか多くの参加者がいたらしい。
<0001> 思いのほか多くの参加者がいたらしい。

// <0002> 臨時に作られた観客席の最上階からは、色とりどりのスポーツウェアに包まれた参加者が望めた。
<0002> 臨時に作られた観客席の最上階からは、色とりどりのスポーツウェアに包まれた参加者が望めた。

// <0003> 誰もが思い思いにアップを行い、スタートの刻限を待っている。
<0003> 誰もが思い思いにアップを行い、スタートの刻限を待っている。

// <0004> \{朋也}「何キロ走るんだ?」
<0004> \{Tomoya}「何キロ走るんだ?」

// <0005> \{智代}「鷹文は15キロのコースだ」
<0005> \{Tomoyo}「鷹文は15キロのコースだ」

// <0006> 気が遠くなる長さだった。俺は練習の3キロでさえ、へとへとだったのに。
<0006> 気が遠くなる長さだった。俺は練習の3キロでさえ、へとへとだったのに。

// <0007> コースの見取り図が大きく貼られ、一番長いコースが15キロとなっていた。
<0007> コースの見取り図が大きく貼られ、一番長いコースが15キロとなっていた。

// <0008> 山を駆け上り、峠道の側にある森林公園を一周してから、坂道を駆け下りる起伏の激しいコースだった。
<0008> 山を駆け上り、峠道の側にある森林公園を一周してから、坂道を駆け下りる起伏の激しいコースだった。

// <0009> \{朋也}「…もう少し簡単なコースでよかったんじゃないのか?」
<0009> \{Tomoya}「…もう少し簡単なコースでよかったんじゃないのか?」

// <0010> \{朋也}「こんな距離、練習でも走ってない」
<0010> \{Tomoya}「こんな距離、練習でも走ってない」

// <0011> \{智代}「昔はこれぐらい平気で走っていた」
<0011> \{Tomoyo}「昔はこれぐらい平気で走っていた」

// <0012> \{智代}「それに優勝しろなんて言っていない」
<0012> \{Tomoyo}「それに優勝しろなんて言っていない」

// <0013> \{智代}「ただ走りきってほしいだけだ」
<0013> \{Tomoyo}「ただ走りきってほしいだけだ」

// <0014> \{智代}「走り終えるためにな」
<0014> \{Tomoyo}「走り終えるためにな」

// <0015> \{朋也}「そうか…そうだな」
<0015> \{Tomoya}「そうか…そうだな」

// <0016> 一緒に俺たちの思いも届けばいいと思った。
<0016> 一緒に俺たちの思いも届けばいいと思った。

// <0017> いつだって、不満顔をしていた鷹文に。
<0017> いつだって、不満顔をしていた鷹文に。

// <0018> 今日は精一杯応援してやろう。
<0018> 今日は精一杯応援してやろう。

// <0019> \{朋也}「おまえも、応援してやれよ」
<0019> \{Tomoya}「おまえも、応援してやれよ」

// <0020> 俺は振り返って、そこに立つ河南子に向けて言う。
<0020> 俺は振り返って、そこに立つ河南子に向けて言う。

// <0021> \{河南子}「………」
<0021> \{Kanako}「………」

// <0022> 鷹文はスタート地点の広場のやや後方にいた。
<0022> 鷹文はスタート地点の広場のやや後方にいた。

// <0023> 俺たちはロープで張られた導入口側で声をかけた。
<0023> 俺たちはロープで張られた導入口側で声をかけた。

// <0024> \{朋也}「がんばってこいよ」
<0024> \{Tomoya}「がんばってこいよ」

// <0025> \{鷹文}「無理しない程度にがんばるよ」
<0025> \{Takafumi}「無理しない程度にがんばるよ」

// <0026> ストレッチで上半身を伸ばしながら、鷹文が答えた。
<0026> ストレッチで上半身を伸ばしながら、鷹文が答えた。

// <0027> スタート30秒前。
<0027> スタート30秒前。

// <0028> 参加者が位置につく。
<0028> 参加者が位置につく。

// <0029> 鷹文は気の抜けた顔のままで、やや見上げていた。
<0029> 鷹文は気の抜けた顔のままで、やや見上げていた。

// <0030> \{声}「よーい」
<0030> \{Voice}「よーい」

// <0031> スピーカーから響く、スターターの声。
<0031> スピーカーから響く、スターターの声。

// <0032> パーーーーン!
<0032> パーーーーン!

// <0033> 号砲が鳴り、人の波が一斉に動き出した。
<0033> 号砲が鳴り、人の波が一斉に動き出した。

// <0034> \{智代}「鷹文はどこだ?」
<0034> \{Tomoyo}「鷹文はどこだ?」

// <0035> \{朋也}「あそこだ」
<0035> \{Tomoya}「あそこだ」

// <0036> 集団の中央、やたら元気な爺さんたちと同じスピードだった。
<0036> 集団の中央、やたら元気な爺さんたちと同じスピードだった。

// <0037> \{智代}「朋也、河南子、追いかけるぞ」
<0037> \{Tomoyo}「朋也、河南子、追いかけるぞ」

// <0038> \{朋也}「は?」
<0038> \{Tomoya}「は?」

// <0039> 意味がわからず訊き返す。
<0039> 意味がわからず訊き返す。

// <0040> \{智代}「鷹文を叱咤するんだ」
<0040> \{Tomoyo}「鷹文を叱咤するんだ」

// <0041> \{智代}「あいつは真面目に走ろうとしてない」
<0041> \{Tomoyo}「あいつは真面目に走ろうとしてない」

// <0042> \{智代}「だから、追いかけてちゃんと走らせてやるんだ」
<0042> \{Tomoyo}「だから、追いかけてちゃんと走らせてやるんだ」

// <0043> 言うが早いか、智代は走り出していた。
<0043> 言うが早いか、智代は走り出していた。

// <0044> \{朋也}「お、おいっ、ちょっと待てよ!」
<0044> \{Tomoya}「お、おいっ、ちょっと待てよ!」

// <0045> 慌てて駆け寄って追いつく。
<0045> 慌てて駆け寄って追いつく。

// <0046> \{朋也}「追いかけるって、どうやってだよ」
<0046> \{Tomoya}「追いかけるって、どうやってだよ」

// <0047> \{智代}「決まってる。走ってだ」
<0047> \{Tomoyo}「決まってる。走ってだ」

// <0048> \{智代}「幸い、ここから裏道を通れば近いからな」
<0048> \{Tomoyo}「幸い、ここから裏道を通れば近いからな」

// <0049> 息が荒い。
<0049> 息が荒い。

// <0050> 喉がひりつく。
<0050> 喉がひりつく。

// <0051> Tシャツが汗で背中に張りつく。
<0051> Tシャツが汗で背中に張りつく。

// <0052> \{智代}「間に合ったようだな」
<0052> \{Tomoyo}「間に合ったようだな」

// <0053> \{智代}「お…まだ先頭集団じゃないか」
<0053> \{Tomoyo}「お…まだ先頭集団じゃないか」

// <0054> 何の因果か、俺までマラソンに参加しているようだった。
<0054> 何の因果か、俺までマラソンに参加しているようだった。

// <0055> 俺たちが到着した時には、まだ先頭集団が通り過ぎようとしていたころだった。
<0055> 俺たちが到着した時には、まだ先頭集団が通り過ぎようとしていたころだった。

// <0056> 軽やかに街道を登っていく選手たちだが、人数が通るに連れて次第に遅くなっていく。
<0056> 軽やかに街道を登っていく選手たちだが、人数が通るに連れて次第に遅くなっていく。

// <0057> 半分を過ぎた頃だろうか、鷹文が近づいてきた。
<0057> 半分を過ぎた頃だろうか、鷹文が近づいてきた。

// <0058> \{智代}「たかふみーっ、ちゃんとはしれーっ」
<0058> \{Tomoyo}「たかふみーっ、ちゃんとはしれーっ」

// <0059> 割れんばかりの大声で檄を飛ばす智代。
<0059> 割れんばかりの大声で檄を飛ばす智代。

// <0060> 鷹文が目を剥いて、こちらを見た。
<0060> 鷹文が目を剥いて、こちらを見た。

// <0061> まさか居るとは思わなかったのだろう。
<0061> まさか居るとは思わなかったのだろう。

// <0062> あいつ自身、後は適当に流そうとしていたのかもしれない。
<0062> あいつ自身、後は適当に流そうとしていたのかもしれない。

// <0063> そうはさせるか。
<0063> そうはさせるか。

// <0064> \{朋也}「鷹文、死ぬ気で走らないと、この罰ゲームは終わらないぞーっ!」
<0064> \{Tomoya}「鷹文、死ぬ気で走らないと、この罰ゲームは終わらないぞーっ!」

// <0065> 鷹文のスピードがやや上がった。
<0065> 鷹文のスピードがやや上がった。

// <0066> \{河南子}「やっぱ罰ゲームなんじゃん」
<0066> \{Kanako}「やっぱ罰ゲームなんじゃん」

// <0067> ストライドが大きくなり、腕の振りもリズム良くなる。
<0067> ストライドが大きくなり、腕の振りもリズム良くなる。

// <0068> \{智代}「よし、昔の走り方にもどってきたな」
<0068> \{Tomoyo}「よし、昔の走り方にもどってきたな」

// <0069> \{智代}「次、いくぞ」
<0069> \{Tomoyo}「次、いくぞ」

// <0070> \{朋也}「まだやるのかよ」
<0070> \{Tomoya}「まだやるのかよ」

// <0071> \{智代}「間に合った」
<0071> \{Tomoyo}「間に合った」

// <0072> \{朋也}「すげぇとこ走ってきたよな…」
<0072> \{Tomoya}「すげぇとこ走ってきたよな…」

// <0073> 途中からは走るじゃなくて、山道を登っていたようだったが。
<0073> 途中からは走るじゃなくて、山道を登っていたようだったが。

// <0074> \{智代}「来たぞ」
<0074> \{Tomoyo}「来たぞ」

// <0075> 長く続いた上り坂に、やや顎が上がった鷹文がいた。
<0075> 長く続いた上り坂に、やや顎が上がった鷹文がいた。

// <0076> 前よりかなり順位を上げていた。
<0076> 前よりかなり順位を上げていた。

// <0077> \{智代}「やればできるじゃないかっ」
<0077> \{Tomoyo}「やればできるじゃないかっ」

// <0078> \{智代}「最後までがんばれー!」
<0078> \{Tomoyo}「最後までがんばれー!」

// <0079> \{鷹文}「うるさいよっ」
<0079> \{Takafumi}「うるさいよっ」

// <0080> 声まで返ってくる。
<0080> 声まで返ってくる。

// <0081> \{智代}「遅いぞ、朋也」
<0081> \{Tomoyo}「遅いぞ、朋也」

// <0082> \{朋也}「今の落ちたら死ぬような場所だったぞっ」
<0082> \{Tomoya}「今の落ちたら死ぬような場所だったぞっ」

// <0083> \{智代}「ここからは楽だ」
<0083> \{Tomoyo}「ここからは楽だ」

// <0084> \{智代}「あまり起伏がないからな」
<0084> \{Tomoyo}「あまり起伏がないからな」

// <0085> 俺たちは森林公園の入り口に来ていた。
<0085> 俺たちは森林公園の入り口に来ていた。

// <0086> 距離的には三分の一を過ぎたあたりだ。
<0086> 距離的には三分の一を過ぎたあたりだ。

// <0087> 先頭集団はもう過ぎてしまったらしく、木陰の遊歩道をひとり、またひとりと選手が通り抜けていく。
<0087> 先頭集団はもう過ぎてしまったらしく、木陰の遊歩道をひとり、またひとりと選手が通り抜けていく。

// <0088> \{朋也}「そろそろじゃないか」
<0088> \{Tomoya}「そろそろじゃないか」

// <0089> \{智代}「さっきはこのあたりだったんだが…」
<0089> \{Tomoyo}「さっきはこのあたりだったんだが…」

// <0090> やや遅れて、中位グループあたりを鷹文が走っているのが見えた。
<0090> やや遅れて、中位グループあたりを鷹文が走っているのが見えた。

// <0091> 歩幅は小さく、前傾姿勢のままにして走っていた。
<0091> 歩幅は小さく、前傾姿勢のままにして走っていた。

// <0092> \{朋也}「死ぬ気で走れよっ!」
<0092> \{Tomoya}「死ぬ気で走れよっ!」

// <0093> 俺は大声で叫んだ。
<0093> 俺は大声で叫んだ。

// <0094> \{鷹文}「死ぬよっ」
<0094> \{Takafumi}「死ぬよっ」

// <0095> 悲鳴のような声だった。
<0095> 悲鳴のような声だった。

// <0096> 息は荒く、酸欠なのか顔色が悪い。
<0096> 息は荒く、酸欠なのか顔色が悪い。

// <0097> \{朋也}「…大丈夫なのか?」
<0097> \{Tomoya}「…大丈夫なのか?」

// <0098> \{智代}「わからない…」
<0098> \{Tomoyo}「わからない…」

// <0099> \{智代}「たかふみっ! 追い抜け、目の前のやつをだ!」
<0099> \{Tomoyo}「たかふみっ! 追い抜け、目の前のやつをだ!」

// <0100> すぐ声を飛ばす。
<0100> すぐ声を飛ばす。

// <0101> 俺たちはその先の広場へと移動した。
<0101> 俺たちはその先の広場へと移動した。

// <0102> 設えられた階段を登り、続く山道を歩く。
<0102> 設えられた階段を登り、続く山道を歩く。

// <0103> ちょうど公園を一周しながら登っていくため、こちらはちょっとした段差を上がるだけでよかった。
<0103> ちょうど公園を一周しながら登っていくため、こちらはちょっとした段差を上がるだけでよかった。

// <0104> 山道を囲む木陰から出ると、夏の陽射しが肌を照りつけた。
<0104> 山道を囲む木陰から出ると、夏の陽射しが肌を照りつけた。

// <0105> ロープでガイドを作られた先に、巨大な樹が一本立っている。
<0105> ロープでガイドを作られた先に、巨大な樹が一本立っている。

// <0106> そこが折り返し地点だった。
<0106> そこが折り返し地点だった。

// <0107> 鷹文の表情は歪み、歩幅は小さくなり、腕は姿勢を支えるために弱々しく振られているだけだ。
<0107> 鷹文の表情は歪み、歩幅は小さくなり、腕は姿勢を支えるために弱々しく振られているだけだ。

// <0108> \{智代}「たかふみっ、足が動いてないぞ!」
<0108> \{Tomoyo}「たかふみっ、足が動いてないぞ!」

// <0109> \{朋也}「死ぬ気で走れよっ!」
<0109> \{Tomoya}「死ぬ気で走れよっ!」

// <0110> 何度も繰り返した応援をする。
<0110> 何度も繰り返した応援をする。

// <0111> だが、答えはない。
<0111> だが、答えはない。

// <0112> 言い返すどころか、手さえ振ってこなかった。
<0112> 言い返すどころか、手さえ振ってこなかった。

// <0113> \{智代}「聞いてるのかっ!」
<0113> \{Tomoyo}「聞いてるのかっ!」

// <0114> \{朋也}「返事しろーっ」
<0114> \{Tomoya}「返事しろーっ」

// <0115> はぁ…はぁ…
<0115> はぁ…はぁ…

// <0116> 聞こえてるよ、うるさいな…
<0116> 聞こえてるよ、うるさいな…

// <0117> まったく…
<0117> まったく…

// <0118> はぁ…はぁ…
<0118> はぁ…はぁ…

// <0119> ああ、ダメだ…
<0119> ああ、ダメだ…

// <0120> ぜんぜん足が動かない…
<0120> ぜんぜん足が動かない…

// <0121> もう僕は走れないんだ…
<0121> もう僕は走れないんだ…

// <0122> もういいでしょ…
<0122> もういいでしょ…

// <0123> 疲れた…
<0123> 疲れた…

// <0124> 足を止めるよ…
<0124> 足を止めるよ…

// <0125> ………
<0125> ………

// <0126> ……
<0126> ……

// <0127> …今夜、家にこないかい?
<0127> …今夜、家にこないかい?

// <0128> え。
<0128> え。

// <0129> 先生…
<0129> 先生…

// <0130> \{先生}「今夜、家にこないかい?」
<0130> \{Teacher}「今夜、家にこないかい?」

// <0131> あ、説教ですか…
<0131> あ、説教ですか…

// <0132> 体育の時間、まじめに走ってなかったから…
<0132> 体育の時間、まじめに走ってなかったから…

// <0133> \{先生}「ああ、いや、そんなつもりはぜんぜんないよ」
<0133> \{Teacher}「ああ、いや、そんなつもりはぜんぜんないよ」

// <0134> \{先生}「鍋をやるからね、一緒にどうかと思って」
<0134> \{Teacher}「鍋をやるからね、一緒にどうかと思って」

// <0135> \{先生}「まあ急には難しいかな。親御さん、心配されるか」
<0135> \{Teacher}「まあ急には難しいかな。親御さん、心配されるか」

// <0136> あ、いえ、それはないんで。
<0136> あ、いえ、それはないんで。

// <0137> \{先生}「…じゃ、どうだろう?」
<0137> \{Teacher}「…じゃ、どうだろう?」

// <0138> 別にいいですよ。おいしいもの食べられるなら。
<0138> 別にいいですよ。おいしいもの食べられるなら。

// <0139> \{先生}「味の保証はしないけどね、ははは」
<0139> \{Teacher}「味の保証はしないけどね、ははは」

// <0140> \{男}「また、ひょろいのがきたなあ」
<0140> \{Man}「また、ひょろいのがきたなあ」

// <0141> \{男}「ちゃんと食ってんのか?」
<0141> \{Man}「ちゃんと食ってんのか?」

// <0142> \{男}「おまえだって、少し前はこんなだったっての」
<0142> \{Man}「おまえだって、少し前はこんなだったっての」

// <0143> \{男}「先生、素質とかまったく考えずに連れてくんだからさ」
<0143> \{Man}「先生、素質とかまったく考えずに連れてくんだからさ」

// <0144> \{キャプテン}「だから一向に強くならないんだっての!」
<0144> \{Captain}「だから一向に強くならないんだっての!」

// <0145> \{男}「まあ、遠慮なく食べろよ」
<0145> \{Man}「まあ、遠慮なく食べろよ」

// <0146> \{キャプテン}「おまえ、一銭も払ってねぇっての!」
<0146> \{Captain}「おまえ、一銭も払ってねぇっての!」

// <0147> はははははっ!
<0147> はははははっ!

// <0148> \{先生}「…坂上くん、遠慮しなくていいんだよ、どうぞ」
<0148> \{Teacher}「…坂上くん、遠慮しなくていいんだよ、どうぞ」

// <0149> \{先生}「ただ、夕食の席にしては、ちょっとばかしうるさいけどね」
<0149> \{Teacher}「ただ、夕食の席にしては、ちょっとばかしうるさいけどね」

// <0150> はぁ…。
<0150> はぁ…。

// <0151> あんたたち、ほんとに陸上部なの?
<0151> あんたたち、ほんとに陸上部なの?

// <0152> \{部員}「…どうして」
<0152> \{Staff member}「…どうして」

// <0153> すごく遅いから。
<0153> すごく遅いから。

// <0154> \{部員}「なんだ、てめぇ、喧嘩売ってんのか」
<0154> \{Staff member}「なんだ、てめぇ、喧嘩売ってんのか」

// <0155> \{部員}「よし、なら勝負だ」
<0155> \{Staff member}「よし、なら勝負だ」

// <0156> \{部員}「腐っても陸上部なとこ見せてやるよ」
<0156> \{Staff member}「腐っても陸上部なとこ見せてやるよ」

// <0157> \{部員}「…はぁ…はぁ…」
<0157> \{Staff member}「…はぁ…はぁ…」

// <0158> \{部員}「…わりぃ…」
<0158> \{Staff member}「…わりぃ…」

// <0159> \{部員}「…もう一回、勝負してくんない? 今度はキャプテンと」
<0159> \{Staff member}「…もう一回、勝負してくんない? 今度はキャプテンと」

// <0160> \{部員}「てめぇ、キャプテンより早く走んなよっ! まがりなりにもキャプテンなんだぞっ!」
<0160> \{Staff member}「てめぇ、キャプテンより早く走んなよっ! まがりなりにもキャプテンなんだぞっ!」

// <0161> \{部員}「キャプテンなんとかしてくださいよぉっ!」
<0161> \{Staff member}「キャプテンなんとかしてくださいよぉっ!」

// <0162> \{キャプテン}「…だれでもいいから、ほら、追い抜けよ、あいつを!」
<0162> \{Captain}「…だれでもいいから、ほら、追い抜けよ、あいつを!」

// <0163> \{キャプテン}「…このままじゃ、腐っても陸上部が、腐った陸上部になるぞっ!」
<0163> \{Captain}「…このままじゃ、腐っても陸上部が、腐った陸上部になるぞっ!」

// <0164> \{部員}「…いいじゃん、そもそも実ったこともないっての」
<0164> \{Staff member}「…いいじゃん、そもそも実ったこともないっての」

// <0165> …はははははっ!
<0165> …はははははっ!

// <0166> \{キャプテン}「…てめぇ、まてぇっ!」
<0166> \{Captain}「…てめぇ、まてぇっ!」

// <0167> \{キャプテン}「…くそーっ、すげぇじゃんか、優勝だぞ、一位だぞっ!」
<0167> \{Captain}「…くそーっ、すげぇじゃんか、優勝だぞ、一位だぞっ!」

// <0168> \{キャプテン}「…てめぇは、もううちの部のエースだっ!」
<0168> \{Captain}「…てめぇは、もううちの部のエースだっ!」

// <0169> いや、そもそも入部してないし…
<0169> いや、そもそも入部してないし…

// <0170> \{キャプテン}「…もうエースなんだよっ、地区で優勝したやつなんて、いねぇよ、俺たちっ!」
<0170> \{Captain}「…もうエースなんだよっ、地区で優勝したやつなんて、いねぇよ、俺たちっ!」

// <0171> \{キャプテン}「くそぅ、悔しいが、てめぇがエースだっ、陸上部は任せたあっ!」
<0171> \{Captain}「くそぅ、悔しいが、てめぇがエースだっ、陸上部は任せたあっ!」

// <0172> \{部員}「…いや、キャプテン、部ごと放棄しないでくださいよ…」
<0172> \{Staff member}「…いや、キャプテン、部ごと放棄しないでくださいよ…」

// <0173> \{部員}「くっそー、こいつ頭もよかったんだよぉっ!」
<0173> \{Staff member}「くっそー、こいつ頭もよかったんだよぉっ!」

// <0174> \{部員}「顔は負けてないんだけどなっ」
<0174> \{Staff member}「顔は負けてないんだけどなっ」

// <0175> \{河南子}「…いや、負けてるし」
<0175> \{Kanako}「…いや、負けてるし」

// <0176> \{部員}「河南子、てめぇーっ!」
<0176> \{Staff member}「河南子、てめぇーっ!」

// <0177> \{河南子}「…ん? やる気?」
<0177> \{Kanako}「…ん? やる気?」

// <0178> \{部員}「…やらねぇよっ、くそーーーっ!」
<0178> \{Staff member}「…やらねぇよっ、くそーーーっ!」

// <0179> なに、強いの、きみ?
<0179> なに、強いの、きみ?

// <0180> \{河南子}「…ん? 強いよ」
<0180> \{Kanako}「…ん? 強いよ」

// <0181> うちのねぇちゃんも相当強いんだけどさ…どっちが強いんだろう?
<0181> うちのねぇちゃんも相当強いんだけどさ…どっちが強いんだろう?

// <0182> \{部員}「ばーか、河南子に決まってんじゃん」
<0182> \{Staff member}「ばーか、河南子に決まってんじゃん」

// <0183> \{河南子}「…最強ですよ」
<0183> \{Kanako}「…最強ですよ」

// <0184> \{先生}「…ほら、おまえたち、もう火が通ったぞ」
<0184> \{Teacher}「…ほら、おまえたち、もう火が通ったぞ」

// <0185> \{河南子}「安い肉だけに早いなぁ。ぺらぺらじゃん、これ」
<0185> \{Kanako}「安い肉だけに早いなぁ。ぺらぺらじゃん、これ」

// <0186> \{先生}「…河南子」
<0186> \{Teacher}「…河南子」

// <0187> \{先生}「おまえは誰に似たんだかなぁ」
<0187> \{Teacher}「おまえは誰に似たんだかなぁ」

// <0188> \{先生}「父親はこんなに体が弱いってのにな」
<0188> \{Teacher}「父親はこんなに体が弱いってのにな」

// <0189> \{河南子}「…努力のたまものっすよ」
<0189> \{Kanako}「…努力のたまものっすよ」

// <0190> \{キャプテン}「…おれたち陸上部とちがって、河南子はいい高校に推薦でいけんだろうなあ」
<0190> \{Captain}「…おれたち陸上部とちがって、河南子はいい高校に推薦でいけんだろうなあ」

// <0191> 僕までいっしょにしないでよ。
<0191> 僕までいっしょにしないでよ。

// <0192> \{キャプテン}「…こ、このエースがあぁぁーっ!」
<0192> \{Captain}「…こ、このエースがあぁぁーっ!」

// <0193> それ、怒ってるのか、負けを認めるのかどっちさ…。
<0193> それ、怒ってるのか、負けを認めるのかどっちさ…。

// <0194> \{部員}「…どうだった…」
<0194> \{Staff member}「…どうだった…」

// <0195> ………。
<0195> ………。

// <0196> \{部員}「…ダメ…ふられた…」
<0196> \{Staff member}「…ダメ…ふられた…」

// <0197> \{キャプテン}「…はーはっはっ! 玉砕したぞぉーーーーっ!」
<0197> \{Captain}「…はーはっはっ! 玉砕したぞぉーーーーっ!」

// <0198> \{キャプテン}「…いやっほーーーーーうっ! てめぇも負け組だぁっ!」
<0198> \{Captain}「…いやっほーーーーーうっ! てめぇも負け組だぁっ!」

// <0199> \{キャプテン}「…おまえとおれは永遠の親友だ、よし、今夜は飲もう!」
<0199> \{Captain}「…おまえとおれは永遠の親友だ、よし、今夜は飲もう!」

// <0200> あんたら学生でしょ。
<0200> あんたら学生でしょ。

// <0201> \{キャプテン}「…どうだった…」
<0201> \{Captain}「…どうだった…」

// <0202> ………。
<0202> ………。

// <0203> \{部員}「ふられたさ!」
<0203> \{Staff member}「ふられたさ!」

// <0204> \{キャプテン}「…ひゃっほーーーーう! おまえも今日から仲間入りだ!」
<0204> \{Captain}「…ひゃっほーーーーう! おまえも今日から仲間入りだ!」

// <0205> \{部員}「…あとさ、気になるやつがいるってさ…」
<0205> \{Staff member}「…あとさ、気になるやつがいるってさ…」

// <0206> \{キャプテン}「…え?」
<0206> \{Captain}「…え?」

// <0207> \{キャプテン}「…どこに?」
<0207> \{Captain}「…どこに?」

// <0208> \{部員}「…おれたちの中に」
<0208> \{Staff member}「…おれたちの中に」

// <0209> ………。
<0209> ………。

// <0210> \{キャプテン}「…だれだよ、それ…」
<0210> \{Captain}「…だれだよ、それ…」

// <0211> \{キャプテン}「…鷹文、今、暇か」
<0211> \{Captain}「…鷹文、今、暇か」

// <0212> ごめん、シューズの手入れ中。
<0212> ごめん、シューズの手入れ中。

// <0213> \{キャプテン}「…そんなのおれがやるよ」
<0213> \{Captain}「…そんなのおれがやるよ」

// <0214> え? なんだよいきなり気持ち悪いな…
<0214> え? なんだよいきなり気持ち悪いな…

// <0215> \{キャプテン}「…河南子が買い出し、手伝ってほしいってさ」
<0215> \{Captain}「…河南子が買い出し、手伝ってほしいってさ」

// <0216> 僕に?
<0216> 僕に?

// <0217> \{キャプテン}「…そうだよ」
<0217> \{Captain}「…そうだよ」

// <0218> \{河南子}「…お、鷹文、いいところにきた、これから買い出しにいくんだけどさ、手伝ってくんないかな」
<0218> \{Kanako}「…お、鷹文、いいところにきた、これから買い出しにいくんだけどさ、手伝ってくんないかな」

// <0219> いや、河南子が呼んだんでしょ。
<0219> いや、河南子が呼んだんでしょ。

// <0220> \{河南子}「…え?」
<0220> \{Kanako}「…え?」

// <0221> え?
<0221> え?

// <0222> \{キャプテン}「…ヒントをやろう、たっくん」
<0222> \{Captain}「…ヒントをやろう、たっくん」

// <0223> たっくんて…
<0223> たっくんて…

// <0224> \{キャプテン}「そいつはな…」
<0224> \{Captain}「そいつはな…」

// <0225> \{キャプテン}「…この中で、一番鈍感なやつだ」
<0225> \{Captain}「…この中で、一番鈍感なやつだ」

// <0226> \{部員}「………」
<0226> \{Staff member}「………」

// <0227> うわ…みんな、なに見てんのさ…コワイよ…
<0227> うわ…みんな、なに見てんのさ…コワイよ…

// <0228> \{キャプテン}「河南子は待ってんだよ…」
<0228> \{Captain}「河南子は待ってんだよ…」

// <0229> \{キャプテン}「…恋のエースをな」
<0229> \{Captain}「…恋のエースをな」

// <0230> \{部員}「…キャプテン、それほぼ答えっすよ…」
<0230> \{Staff member}「…キャプテン、それほぼ答えっすよ…」

// <0231> あの、河南子…
<0231> あの、河南子…

// <0232> \{河南子}「…ん?」
<0232> \{Kanako}「…ん?」

// <0233> いや…河南子さん…
<0233> いや…河南子さん…

// <0234> \{河南子}「………」
<0234> \{Kanako}「………」

// <0235> あなたのことが好きです…
<0235> あなたのことが好きです…

// <0236> 僕と付き合ってくれませんか…
<0236> 僕と付き合ってくれませんか…

// <0237> \{河南子}「………」
<0237> \{Kanako}「………」

// <0238> \{河南子}「…いいよ」
<0238> \{Kanako}「…いいよ」

// <0239> やった…
<0239> やった…

// <0240> \{声}「…よっしゃあああぁぁぁぁーーーーっ!」
<0240> \{Voice}「…よっしゃあああぁぁぁぁーーーーっ!」

// <0241> うわぁ!
<0241> うわぁ!

// <0242> 今期最高タイムですよ!
<0242> 今期最高タイムですよ!

// <0243> 先生、先生っ!
<0243> 先生、先生っ!

// <0244> \{先生}「…よし、よくやったな」
<0244> \{Teacher}「…よし、よくやったな」

// <0245> これで、河南子をくれますかっ!
<0245> これで、河南子をくれますかっ!

// <0246> \{先生}「…ははは、それはまだだなぁ」
<0246> \{Teacher}「…ははは、それはまだだなぁ」

// <0247> \{先生}「…まだまだそんなんじゃ河南子はやれないなぁ」
<0247> \{Teacher}「…まだまだそんなんじゃ河南子はやれないなぁ」

// <0248> 走ればいいんですね、もっと速く。
<0248> 走ればいいんですね、もっと速く。

// <0249> 走りますよ、僕!
<0249> 走りますよ、僕!

// <0250> \{鷹文}「あ…」
<0250> \{Takafumi}「あ…」

// <0251> \{鷹文}「うあああぁぁぁぁーーーーーっ!」
<0251> \{Takafumi}「うあああぁぁぁぁーーーーーっ!」

// <0252> \{鷹文}「はぁ…はぁ…」
<0252> \{Takafumi}「はぁ…はぁ…」

// <0253> \{智代}「よし、よくがんばったな、鷹文」
<0253> \{Tomoyo}「よし、よくがんばったな、鷹文」

// <0254> \{鷹文}「………」
<0254> \{Takafumi}「………」

// <0255> \{朋也}「すげぇラストスパートだったな」
<0255> \{Tomoya}「すげぇラストスパートだったな」

// <0256> \{鷹文}「………」
<0256> \{Takafumi}「………」

// <0257> \{鷹文}「…ぼくは…」
<0257> \{Takafumi}「…ぼくは…」

// <0258> \{鷹文}「…優勝した…?」
<0258> \{Takafumi}「…優勝した…?」

// <0259> \{智代}「いや…」
<0259> \{Tomoyo}「いや…」

// <0260> \{鷹文}「負けたの…?」
<0260> \{Takafumi}「負けたの…?」

// <0261> \{鷹文}「一位じゃなかったの…?」
<0261> \{Takafumi}「一位じゃなかったの…?」

// <0262> \{智代}「ああ…」
<0262> \{Tomoyo}「ああ…」

// <0263> \{鷹文}「何位だったの…?」
<0263> \{Takafumi}「何位だったの…?」

// <0264> \{智代}「………」
<0264> \{Tomoyo}「………」

// <0265> \{智代}「それは…」
<0265> \{Tomoyo}「それは…」

// <0266> \{朋也}「31位だ」
<0266> \{Tomoya}「31位だ」

// <0267> \{鷹文}「………」
<0267> \{Takafumi}「………」

// <0268> \{鷹文}「な…」
<0268> \{Takafumi}「な…」

// <0269> \{鷹文}「なんだよ、それ…」
<0269> \{Takafumi}「なんだよ、それ…」

// <0270> \{鷹文}「そんな悪い成績、聞いたことないや…」
<0270> \{Takafumi}「そんな悪い成績、聞いたことないや…」

// <0271> \{鷹文}「はは…」
<0271> \{Takafumi}「はは…」

// <0272> ………。
<0272> ………。

// <0273> ……。
<0273> ……。

// <0274> …。
<0274> …。

// <0275> 先生がいた。
<0275> 先生がいた。

// <0276> いつもと同じ夢だ。
<0276> いつもと同じ夢だ。

// <0277> ただ違うのは、今回は何も言うことがないということだ。
<0277> ただ違うのは、今回は何も言うことがないということだ。

// <0278> 勝てなかったから。
<0278> 勝てなかったから。

// <0279> それでも、報告だけはしておこう…。
<0279> それでも、報告だけはしておこう…。

// <0280> \{鷹文}「先生…」
<0280> \{Takafumi}「先生…」

// <0281> ………。
<0281> ………。

// <0282> 先生は相変わらず黙ったままだ。
<0282> 先生は相変わらず黙ったままだ。

// <0283> \{鷹文}「…先生」
<0283> \{Takafumi}「…先生」

// <0284> \{鷹文}「僕、走りましたよ…」
<0284> \{Takafumi}「僕、走りましたよ…」

// <0285> \{鷹文}「走りました…」
<0285> \{Takafumi}「走りました…」

// <0286> \{鷹文}「でも…」
<0286> \{Takafumi}「でも…」

// <0287> \{鷹文}「ぜんぜんダメで…」
<0287> \{Takafumi}「ぜんぜんダメで…」

// <0288> ………。
<0288> ………。

// <0289> 報告はそれだけだったけど…
<0289> 報告はそれだけだったけど…

// <0290> でも、まだ言いたいことがあった。
<0290> でも、まだ言いたいことがあった。

// <0291> それは、今までひとりで走っていた時とは違う思いがあったから。
<0291> それは、今までひとりで走っていた時とは違う思いがあったから。

// <0292> \{鷹文}「ダメでしたけど…」
<0292> \{Takafumi}「ダメでしたけど…」

// <0293> \{鷹文}「でも…\p
<0293> \{Takafumi}「でも…\p

// <0294> 楽しかったです」
<0294> 楽しかったです」

// <0295> ………。
<0295> ………。

// <0296> \{鷹文}「今も、僕の周りには仲間がいてくれて…」
<0296> \{Takafumi}「今も、僕の周りには仲間がいてくれて…」

// <0297> \{鷹文}「それは、先生が集めた陸上部みたいな、毎日馬鹿をしてる人たちで…」
<0297> \{Takafumi}「それは、先生が集めた陸上部みたいな、毎日馬鹿をしてる人たちで…」

// <0298> \{鷹文}「あの頃みたいだったんです…」
<0298> \{Takafumi}「あの頃みたいだったんです…」

// <0299> \{鷹文}「一番楽しくて、幸せだった時…」
<0299> \{Takafumi}「一番楽しくて、幸せだった時…」

// <0300> \{鷹文}「みんながいて、一緒に馬鹿やって、盛り上がって…」
<0300> \{Takafumi}「みんながいて、一緒に馬鹿やって、盛り上がって…」

// <0301> \{鷹文}「それで、そばにはいつもあいつがいてくれて…」
<0301> \{Takafumi}「それで、そばにはいつもあいつがいてくれて…」

// <0302> ………。
<0302> ………。

// <0303> \{鷹文}「先生…」
<0303> \{Takafumi}「先生…」

// <0304> 口が勝手に動く。喋るのを止められない。
<0304> 口が勝手に動く。喋るのを止められない。

// <0305> \{鷹文}「僕は…」
<0305> \{Takafumi}「僕は…」

// <0306> \{鷹文}「先生と…」
<0306> \{Takafumi}「先生と…」

// <0307> \{鷹文}「あのくそ弱い陸上部と…」
<0307> \{Takafumi}「あのくそ弱い陸上部と…」

// <0308> \{鷹文}「河南子が…」
<0308> \{Takafumi}「河南子が…」

// <0309> \{鷹文}「好きでした…」
<0309> \{Takafumi}「好きでした…」

// <0310> \{鷹文}「大好きでした…」
<0310> \{Takafumi}「大好きでした…」

// <0311> ………。
<0311> ………。

// <0312> \{鷹文}「そして…」
<0312> \{Takafumi}「そして…」

// <0313> 言っちゃいけない。その先を。
<0313> 言っちゃいけない。その先を。

// <0314> 僕は、知ってるのに。
<0314> 僕は、知ってるのに。

// <0315> この先に待つ結末を。
<0315> この先に待つ結末を。

// <0316> 辛辣な言葉を。
<0316> 辛辣な言葉を。

// <0317> ずっと僕を苦しめてきた言葉を。
<0317> ずっと僕を苦しめてきた言葉を。

// <0318> でも、僕は…
<0318> でも、僕は…

// <0319> \{鷹文}「今も僕は…」
<0319> \{Takafumi}「今も僕は…」

// <0320> \{鷹文}「河南子が好きです…」
<0320> \{Takafumi}「河南子が好きです…」

// <0321> \{鷹文}「大好きです」
<0321> \{Takafumi}「大好きです」

// <0322> 言った。
<0322> 言った。

// <0323> ………。
<0323> ………。

// <0324> 先生の口元が震える。
<0324> 先生の口元が震える。

// <0325> その口が…
<0325> その口が…

// <0326> \{鷹文}「………」
<0326> \{Takafumi}「………」

// <0327> \{鷹文}「え…」
<0327> \{Takafumi}「え…」

// <0328> \{河南子}「許すよ」
<0328> \{Kanako}「許すよ」

// <0329> \{鷹文}「かなこ…」
<0329> \{Takafumi}「かなこ…」

// <0330> \{河南子}「許すから」
<0330> \{Kanako}「許すから」

// <0331> \{河南子}「あたしが許すから…」
<0331> \{Kanako}「あたしが許すから…」

// <0332> \{河南子}「あんたが夢で苦しんだら…」
<0332> \{Kanako}「あんたが夢で苦しんだら…」

// <0333> \{河南子}「あたしがそばで、こうして、許してあげるから…」
<0333> \{Kanako}「あたしがそばで、こうして、許してあげるから…」

// <0334> \{河南子}「許し続けるから」
<0334> \{Kanako}「許し続けるから」

// <0335> \{河南子}「だから、もういいんだよ…」
<0335> \{Kanako}「だから、もういいんだよ…」

// <0336> \{河南子}「もう…夢の中で走らなくても…」
<0336> \{Kanako}「もう…夢の中で走らなくても…」

// <0337> \{鷹文}「もう…」
<0337> \{Takafumi}「もう…」

// <0338> \{鷹文}「…走らなくていいの…?」
<0338> \{Takafumi}「…走らなくていいの…?」

// <0339> \{河南子}「うん、もういいんだよ…」
<0339> \{Kanako}「うん、もういいんだよ…」

// <0340> \{鷹文}「もう…勝たなくていいの?」
<0340> \{Takafumi}「もう…勝たなくていいの?」

// <0341> \{河南子}「勝たなくていいよ」
<0341> \{Kanako}「勝たなくていいよ」

// <0342> \{鷹文}「もう…夢におびえなくていいの…?」
<0342> \{Takafumi}「もう…夢におびえなくていいの…?」

// <0343> \{河南子}「うん、もう、怯えなくていいよ…」
<0343> \{Kanako}「うん、もう、怯えなくていいよ…」

// <0344> \{河南子}「許すよ…ぜんぶ」
<0344> \{Kanako}「許すよ…ぜんぶ」

// <0345> \{河南子}「あたしが許すから…」
<0345> \{Kanako}「あたしが許すから…」

// <0346> \{鷹文}「………」
<0346> \{Takafumi}「………」

// <0347> \{河南子}「だから、もう休みなよ…」
<0347> \{Kanako}「だから、もう休みなよ…」

// <0348> \{河南子}「夢の中でも」
<0348> \{Kanako}「夢の中でも」

// <0349> \{河南子}「…おつかれさま」
<0349> \{Kanako}「…おつかれさま」

// <0350> \{鷹文}「………」
<0350> \{Takafumi}「………」

// <0351> \{鷹文}「う…」
<0351> \{Takafumi}「う…」

// <0352> \{鷹文}「うあぁぁぁーーーー…」
<0352> \{Takafumi}「うあぁぁぁーーーー…」

// <0353> 鷹文は泣いた。
<0353> 鷹文は泣いた。

// <0354> 河南子の胸で。
<0354> 河南子の胸で。

// <0355> 恩師の名を連呼しながら。
<0355> 恩師の名を連呼しながら。

// <0356> その後、鷹文は、俺たちの前で正式に、河南子に交際の再開を申し出た。
<0356> その後、鷹文は、俺たちの前で正式に、河南子に交際の再開を申し出た。

// <0357> それまでは憎まれ口を叩き続けていた河南子だったが、その時ばかりは恥じらい顔で、うん、いいよ、と頷いた。
<0357> それまでは憎まれ口を叩き続けていた河南子だったが、その時ばかりは恥じらい顔で、うん、いいよ、と頷いた。

// <0358> 頬を染めて、嫉妬するぐらいに可愛い顔で。
<0358> 頬を染めて、嫉妬するぐらいに可愛い顔で。

// <0359> あまりに癪だったので、膝蹴りを入れながら、鷹文に飛びかかってやった。
<0359> あまりに癪だったので、膝蹴りを入れながら、鷹文に飛びかかってやった。

// <0360> 智代も感極まったように、河南子に抱きついていた。
<0360> 智代も感極まったように、河南子に抱きついていた。

// <0361> そうして三年間、走り続けてきた鷹文は…
<0361> そうして三年間、走り続けてきた鷹文は…

// <0362> ようやく走り終えた。
<0362> ようやく走り終えた。

// <0363> 台所からはとんとんと包丁の立てる音。
<0363> 台所からはとんとんと包丁の立てる音。

// <0364> 聞こえてくる音はそれだけだった。
<0364> 聞こえてくる音はそれだけだった。

// <0365> \{朋也}「…静かだ」
<0365> \{Tomoya}「…静かだ」

// <0366> 部屋には、晩ご飯の支度をしている智代と、ともと俺の三人だけ。
<0366> 部屋には、晩ご飯の支度をしている智代と、ともと俺の三人だけ。

// <0367> 河南子は実家に戻っている。
<0367> 河南子は実家に戻っている。

// <0368> 母親と話し合いをするため。
<0368> 母親と話し合いをするため。

// <0369> 鷹文はその付き添いだ。
<0369> 鷹文はその付き添いだ。

// <0370> \{とも}「んーっ」
<0370> \{Tomo}「んーっ」

// <0371> ともが眠そうに伸びをした。
<0371> ともが眠そうに伸びをした。

// <0372> 退屈そうだった。
<0372> 退屈そうだった。

// <0373> あれだけ賑やかだったんだから、仕方がないか。
<0373> あれだけ賑やかだったんだから、仕方がないか。

Script Chart

June July August After Other
1st SEEN0701 SEEN0801 SEEN5000 SEEN7910
2nd SEEN0702 SEEN5001 SEEN7920
3rd SEEN0803 SEEN5002 SEEN7930
4th SEEN0804 SEEN5003 SEEN7940
6th SEEN0806 BAD END SEEN5004 SEEN7950
SEEN1806 SEEN5005
7th SEEN0707 SEEN0807 SEEN5006
8th SEEN0708 SEEN0808 SEEN5007
9th SEEN0709 SEEN0809 SEEN5010
10th SEEN0710 SEEN1710 SEEN0810 SEEN5011
11th SEEN0711 SEEN0811 SEEN1811 SEEN2811
12th SEEN0712 SEEN0812
13th SEEN0713 SEEN0813 SEEN1813 SEEN2813
14th SEEN0714 SEEN1714 SEEN0814 BAD END BAD END BAD END BAD END
SEEN1814 SEEN2814 SEEN3814 SEEN4814
15th SEEN0715 SEEN1715 SEEN0815
16th SEEN0716 SEEN1716 SEEN0816
17th SEEN0717 SEEN0817
18th SEEN0818
19th SEEN0819
20th BAD END SEEN0820
SEEN0720
21st SEEN0721 SEEN0821
22nd SEEN0722 SEEN0822
23rd SEEN0723 SEEN0823
24th SEEN0724
25th SEEN0725
26th SEEN0726
27th SEEN0727
28th SEEN0628 SEEN0728
29th SEEN0629 SEEN0729
30th SEEN0630
BAD END
SEEN0744