// Resources for SEEN0806.TXT
// #character '有子'
#character 'Yuuko'
// #character '朋也'
#character 'Tomoya'
// #character '智代'
#character 'Tomoyo'
// #character '河南子'
#character 'Kanako'
// #character '鷹文'
#character 'Takafumi'
// #character 'とも'
#character 'Tomo'
// <0000> 8月6日(金)
<0000> August 6th (Fri)
// <0001> 公園で俺と智代は待ち続けていた。
<0001> 公園で俺と智代は待ち続けていた。
// <0002> じっとしていても、汗が伝い落ちる真夏日だ。
<0002> じっとしていても、汗が伝い落ちる真夏日だ。
// <0003> 前と同じように、ゆっくりと日傘が近づいてくる。
<0003> 前と同じように、ゆっくりと日傘が近づいてくる。
// <0004> まるで、VTRでも再生しているかのようだった。
<0004> まるで、VTRでも再生しているかのようだった。
// <0005> あるいは、暑さにやられて、白昼夢でも見ているか。
<0005> あるいは、暑さにやられて、白昼夢でも見ているか。
// <0006> \{有子}「こんにちは」
<0006> \{Yuuko}「こんにちは」
// <0007> しばらく声を返せなかったが、智代が俺の腕を引っ張り、これが現実だと教えてくれた。
<0007> しばらく声を返せなかったが、智代が俺の腕を引っ張り、これが現実だと教えてくれた。
// <0008> ベンチに並んで、腰をかける。俺はポケットからハンカチを出し、汗をぬぐった。
<0008> ベンチに並んで、腰をかける。俺はポケットからハンカチを出し、汗をぬぐった。
// <0009> 遠くから聞こえる蝉がひどく喧しかった。
<0009> 遠くから聞こえる蝉がひどく喧しかった。
// <0010> \{有子}「あの子は、元気ですか」
<0010> \{Yuuko}「あの子は、元気ですか」
// <0011> 開口一番そう訊く。
<0011> 開口一番そう訊く。
// <0012> \{朋也}「元気だよ、ほら」
<0012> \{Tomoya}「元気だよ、ほら」
// <0013> 厚めの封筒を渡す。中身はともの写真だ。
<0013> 厚めの封筒を渡す。中身はともの写真だ。
// <0014> その場で開封して、彼女は微笑む。
<0014> その場で開封して、彼女は微笑む。
// <0015> \{有子}「この隣の方は?」
<0015> \{Yuuko}「この隣の方は?」
// <0016> \{朋也}「河南子。ともの友達」
<0016> \{Tomoya}「河南子。ともの友達」
// <0017> \{有子}「お友達できたんですね。よかった」
<0017> \{Yuuko}「お友達できたんですね。よかった」
// <0018> もう一度、よかった、と繰り返す。それは自分は間違ってなかった、というように。
<0018> もう一度、よかった、と繰り返す。それは自分は間違ってなかった、というように。
// <0019> \{朋也}「他に聞きたいことは?」
<0019> \{Tomoya}「他に聞きたいことは?」
// <0020> \{有子}「なんでも聞かせてください。あの子のことならすべて」
<0020> \{Yuuko}「なんでも聞かせてください。あの子のことならすべて」
// <0021> 俺は、思い出せるともとの日常をすべて話して聞かせた。
<0021> 俺は、思い出せるともとの日常をすべて話して聞かせた。
// <0022> 智代はその反対側に座り、黙ったままでいた。
<0022> 智代はその反対側に座り、黙ったままでいた。
// <0023> \{朋也}「じゃあ、こちらからも」
<0023> \{Tomoya}「じゃあ、こちらからも」
// <0024> 話し終えたところで切り返した。
<0024> 話し終えたところで切り返した。
// <0025> \{朋也}「あなたが今いる場所を教えてくれ。なにかあった時に必要だ」
<0025> \{Tomoya}「あなたが今いる場所を教えてくれ。なにかあった時に必要だ」
// <0026> \{有子}「必要ありません」
<0026> \{Yuuko}「必要ありません」
// <0027> 俺は言葉に詰まる。
<0027> 俺は言葉に詰まる。
// <0028> それは…\pそこまで責任を放棄したってことか。
<0028> それは…\pそこまで責任を放棄したってことか。
// <0029> \{朋也}「頼む。少しでも、どんなことでもいいから教えてくれ」
<0029> \{Tomoya}「頼む。少しでも、どんなことでもいいから教えてくれ」
// <0030> 引き下がれない。必死にすがりつく。
<0030> 引き下がれない。必死にすがりつく。
// <0031> \{朋也}「ともに、教えてやりたいんだ」
<0031> \{Tomoya}「ともに、教えてやりたいんだ」
// <0032> 遠くで鳴いていたはずの蝉がいなくなっていた。
<0032> 遠くで鳴いていたはずの蝉がいなくなっていた。
// <0033> \{有子}「…春には、山一面に桜が咲くそうです」
<0033> \{Yuuko}「…春には、山一面に桜が咲くそうです」
// <0034> \{有子}「今は、それだけが楽しみなんです」
<0034> \{Yuuko}「今は、それだけが楽しみなんです」
// <0035> 彼女は少しだけ笑った。
<0035> 彼女は少しだけ笑った。
// <0036> \{有子}「本日はありがとうございました」
<0036> \{Yuuko}「本日はありがとうございました」
// <0037> 三島有子が立ち上がる。
<0037> 三島有子が立ち上がる。
// <0038> \{朋也}「送るよ」
<0038> \{Tomoya}「送るよ」
// <0039> 俺と智代はそれに続いた。
<0039> 俺と智代はそれに続いた。
// <0040> もう、彼女は何も喋らなくなった。
<0040> もう、彼女は何も喋らなくなった。
// <0041> ただ足下を見つめたまま、ゆっくりと歩くだけだ。
<0041> ただ足下を見つめたまま、ゆっくりと歩くだけだ。
// <0042> 偶然でいい。ともが通らないだろうか。
<0042> 偶然でいい。ともが通らないだろうか。
// <0043> おまえの母親は今この町にいるのに。今ここにいるのに。
<0043> おまえの母親は今この町にいるのに。今ここにいるのに。
// <0044> とものことばかり考えて歩いた。
<0044> とものことばかり考えて歩いた。
// <0045> 駅に着いたところで、彼女は足を止めた。
<0045> 駅に着いたところで、彼女は足を止めた。
// <0046> \{有子}「それでは、また…」
<0046> \{Yuuko}「それでは、また…」
// <0047> \{朋也}「ああ」
<0047> \{Tomoya}「ああ」
// <0048> 俺は去っていく母親をゆっくりと見送った。
<0048> 俺は去っていく母親をゆっくりと見送った。
// <0049> 買った切符を駅員に渡しているところで、向こうから会釈するのが見えた。
<0049> 買った切符を駅員に渡しているところで、向こうから会釈するのが見えた。
// <0050> 俺は黙って頭を下げ、閑散としたホームへと消えてくのをじっと見ていた。
<0050> 俺は黙って頭を下げ、閑散としたホームへと消えてくのをじっと見ていた。
// <0051> 最後まで智代は黙ったままだった。
<0051> 最後まで智代は黙ったままだった。
// <0052> \{智代}「あの人はもろすぎる」
<0052> \{Tomoyo}「あの人はもろすぎる」
// <0053> その背中が見えなくなってからそう漏らした。
<0053> その背中が見えなくなってからそう漏らした。
// <0054> \{智代}「彼女をここまでもろくしたものとはなんなんだろう…」
<0054> \{Tomoyo}「彼女をここまでもろくしたものとはなんなんだろう…」
// <0055> \{朋也}「知りたいのか?」
<0055> \{Tomoya}「知りたいのか?」
// <0056> \{智代}「………」
<0056> \{Tomoyo}「………」
// <0057> \{智代}「うん…」
<0057> \{Tomoyo}「うん…」
// <0058> しばらく迷ってから頷いた。
<0058> しばらく迷ってから頷いた。
// <0059> \{智代}「もちろん恐いんだ」
<0059> \{Tomoyo}「もちろん恐いんだ」
// <0060> \{智代}「でも、今日まで…いろんな家族を見てきた」
<0060> \{Tomoyo}「でも、今日まで…いろんな家族を見てきた」
// <0061> \{智代}「自分の家族も含めて」
<0061> \{Tomoyo}「自分の家族も含めて」
// <0062> \{智代}「いつも教えられるのは、自分が理解している家族の姿なんてのは、ほんのちょっとで…」
<0062> \{Tomoyo}「いつも教えられるのは、自分が理解している家族の姿なんてのは、ほんのちょっとで…」
// <0063> \{智代}「その形は無数にあって、そのひとつひとつは、海のようにどこまでも深くて…」
<0063> \{Tomoyo}「その形は無数にあって、そのひとつひとつは、海のようにどこまでも深くて…」
// <0064> \{智代}「簡単に計り知れるようなものではない、ということだ」
<0064> \{Tomoyo}「簡単に計り知れるようなものではない、ということだ」
// <0065> \{智代}「それでも、私は知りたい」
<0065> \{Tomoyo}「それでも、私は知りたい」
// <0066> \{智代}「たくさんの家族の形を知りたいんだ」
<0066> \{Tomoyo}「たくさんの家族の形を知りたいんだ」
// <0067> \{智代}「そうすることで、もっといろんなものが、輝き出すと思うんだ」
<0067> \{Tomoyo}「そうすることで、もっといろんなものが、輝き出すと思うんだ」
// <0068> \{智代}「当たり前のことを、もっとかけがえなく感じられると思うんだ」
<0068> \{Tomoyo}「当たり前のことを、もっとかけがえなく感じられると思うんだ」
// <0069> \{智代}「大切に生きなければと思うようになると思うんだ」
<0069> \{Tomoyo}「大切に生きなければと思うようになると思うんだ」
// <0070> \{智代}「そして、そういう経験をたくさんの人に伝えたい」
<0070> \{Tomoyo}「そして、そういう経験をたくさんの人に伝えたい」
// <0071> \{智代}「人生の素晴らしさを伝えたい」
<0071> \{Tomoyo}「人生の素晴らしさを伝えたい」
// <0072> \{智代}「いろんなことで悩んでいる人がいる」
<0072> \{Tomoyo}「いろんなことで悩んでいる人がいる」
// <0073> \{智代}「そういう人の力になりたい」
<0073> \{Tomoyo}「そういう人の力になりたい」
// <0074> \{朋也}「おまえがそうしたいのか?」
<0074> \{Tomoya}「おまえがそうしたいのか?」
// <0075> \{智代}「うん、そうだ」
<0075> \{Tomoyo}「うん、そうだ」
// <0076> \{智代}「そうしたい」
<0076> \{Tomoyo}「そうしたい」
// <0077> \{朋也}「そっか…」
<0077> \{Tomoya}「そっか…」
// <0078> \{朋也}「おまえならきっとできるよ」
<0078> \{Tomoya}「おまえならきっとできるよ」
// <0079> \{朋也}「そんな気がする」
<0079> \{Tomoya}「そんな気がする」
// <0080> \{智代}「うん」
<0080> \{Tomoyo}「うん」
// <0081> 図書館に寄り、新しい絵本をどっさりと借りて帰った。
<0081> 図書館に寄り、新しい絵本をどっさりと借りて帰った。
// <0082> ともが絵本に夢中になっている間に、俺たちは話し合いを始める。
<0082> ともが絵本に夢中になっている間に、俺たちは話し合いを始める。
// <0083> \{朋也}「というわけで、ともの母親にこっちから会いに行くことにした」
<0083> \{Tomoya}「というわけで、ともの母親にこっちから会いに行くことにした」
// <0084> \{朋也}「ともを手放した理由を聞くまでは帰ってこないつもりだ」
<0084> \{Tomoya}「ともを手放した理由を聞くまでは帰ってこないつもりだ」
// <0085> \{河南子}「でもさ、探すったって簡単じゃないよ」
<0085> \{Kanako}「でもさ、探すったって簡単じゃないよ」
// <0086> それはよくわかっていた。警察に捜索願は出していたものの、結局今日までまったく音沙汰なしだった。
<0086> それはよくわかっていた。警察に捜索願は出していたものの、結局今日までまったく音沙汰なしだった。
// <0087> \{鷹文}「何か手がかりはないの」
<0087> \{Takafumi}「何か手がかりはないの」
// <0088> 俺がどうにか聞き出せたのは、一言だけだ。
<0088> 俺がどうにか聞き出せたのは、一言だけだ。
// <0089> \{朋也}「山一面に桜が咲いている」
<0089> \{Tomoya}「山一面に桜が咲いている」
// <0090> \{鷹文}「ちょっと調べてみようか」
<0090> \{Takafumi}「ちょっと調べてみようか」
// <0091> 鷹文は部屋の片隅にあるパソコンを起動させる。
<0091> 鷹文は部屋の片隅にあるパソコンを起動させる。
// <0092> \{朋也}「そんなのがパソコンで調べられるのか?」
<0092> \{Tomoya}「そんなのがパソコンで調べられるのか?」
// <0093> \{鷹文}「わかんないけど…とりあえず検索してみるよ」
<0093> \{Takafumi}「わかんないけど…とりあえず検索してみるよ」
// <0094> \{鷹文}「桜が山一面ね…」
<0094> \{Takafumi}「桜が山一面ね…」
// <0095> \{朋也}「ああ」
<0095> \{Tomoya}「ああ」
// <0096> \{鷹文}「もっと他にない?」
<0096> \{Takafumi}「もっと他にない?」
// <0097> \{朋也}「そんなに遠くじゃないはずだ。日帰りでいける程度だと思う」
<0097> \{Tomoya}「そんなに遠くじゃないはずだ。日帰りでいける程度だと思う」
// <0098> \{鷹文}「…三時間あったら、日本ならどこでも行けるよ」
<0098> \{Takafumi}「…三時間あったら、日本ならどこでも行けるよ」
// <0099> 鷹文はキーを叩きながらぼやいた。
<0099> 鷹文はキーを叩きながらぼやいた。
// <0100> \{鷹文}「観光地とか名所じゃないよね」
<0100> \{Takafumi}「観光地とか名所じゃないよね」
// <0101> \{朋也}「わからない」
<0101> \{Tomoya}「わからない」
// <0102> \{鷹文}「それじゃ、探しようがないよ…」
<0102> \{Takafumi}「それじゃ、探しようがないよ…」
// <0103> \{鷹文}「数万件の中から、どうやって探す?」
<0103> \{Takafumi}「数万件の中から、どうやって探す?」
// <0104> しばらく四人、頭を抱え込む。
<0104> しばらく四人、頭を抱え込む。
// <0105> 俺はふと思い出し、ラックの前に座り直すと、中から封筒を取り出す。
<0105> 俺はふと思い出し、ラックの前に座り直すと、中から封筒を取り出す。
// <0106> \{朋也}「そこから届いた郵便物がある」
<0106> \{Tomoya}「そこから届いた郵便物がある」
// <0107> \{鷹文}「差出人の住所は?」
<0107> \{Takafumi}「差出人の住所は?」
// <0108> \{朋也}「それがあれば、早いんだけどな」
<0108> \{Tomoya}「それがあれば、早いんだけどな」
// <0109> 封筒には宛名があるだけだった。
<0109> 封筒には宛名があるだけだった。
// <0110> \{朋也}「消印でわからないか?」
<0110> \{Tomoya}「消印でわからないか?」
// <0111> ○○中央と書いてあった。
<0111> ○○中央と書いてあった。
// <0112> \{朋也}「…どこだ? これ」
<0112> \{Tomoya}「…どこだ? これ」
// <0113> \{鷹文}「調べてみるよ」
<0113> \{Takafumi}「調べてみるよ」
// <0114> 鷹文が早速検索してくれた。
<0114> 鷹文が早速検索してくれた。
// <0115> \{鷹文}「これ、隣の県だよ。県庁からはずっと北の割と大きな都市だね」
<0115> \{Takafumi}「これ、隣の県だよ。県庁からはずっと北の割と大きな都市だね」
// <0116> \{鷹文}「電車で2時間くらいかな」
<0116> \{Takafumi}「電車で2時間くらいかな」
// <0117> \{朋也}「そんなのまでわかるのか?」
<0117> \{Tomoya}「そんなのまでわかるのか?」
// <0118> 鷹文はこれぐらいなんてことないと頷くだけだった。
<0118> 鷹文はこれぐらいなんてことないと頷くだけだった。
// <0119> 中から便せんを取り出し、それを広げる。皆が一斉にのぞき込む。
<0119> 中から便せんを取り出し、それを広げる。皆が一斉にのぞき込む。
// <0120> \{朋也}「なんかわかることないか?」
<0120> \{Tomoya}「なんかわかることないか?」
// <0121> \{鷹文}「特には…」
<0121> \{Takafumi}「特には…」
// <0122> \{河南子}「写真くださいって書いてあるね」
<0122> \{Kanako}「写真くださいって書いてあるね」
// <0123> \{朋也}「内容なんて何回も読んでるからわかってるよ」
<0123> \{Tomoya}「内容なんて何回も読んでるからわかってるよ」
// <0124> \{河南子}「訊くから答えただけだろ、ぼけーっ!」
<0124> \{Kanako}「訊くから答えただけだろ、ぼけーっ!」
// <0125> \{とも}「またけんかしてるのー?」
<0125> \{Tomo}「またけんかしてるのー?」
// <0126> ともの顔がこちらを向いていた。
<0126> ともの顔がこちらを向いていた。
// <0127> \{河南子}「え、いや、なんでもないです。どーぞ、絵本の続きをお楽しみください」
<0127> \{Kanako}「え、いや、なんでもないです。どーぞ、絵本の続きをお楽しみください」
// <0128> \{とも}「けんかしたらダメだよー」
<0128> \{Tomo}「けんかしたらダメだよー」
// <0129> \{とも}「これすごくおもしろいよー、もーダメだよー? かなりいいよー」
<0129> \{Tomo}「これすごくおもしろいよー、もーダメだよー? かなりいいよー」
// <0130> \{河南子}「なんだ? ケンカしてもいいのか?」
<0130> \{Kanako}「なんだ? ケンカしてもいいのか?」
// <0131> \{朋也}「絵本の感想が入り交じってる。それぐらい夢中なんだろ」
<0131> \{Tomoya}「絵本の感想が入り交じってる。それぐらい夢中なんだろ」
// <0132> ともはすでに、読書に没頭している。
<0132> ともはすでに、読書に没頭している。
// <0133> 俺たちはまた顔を突き合わせる。
<0133> 俺たちはまた顔を突き合わせる。
// <0134> \{朋也}「で、他にわかることは?」
<0134> \{Tomoya}「で、他にわかることは?」
// <0135> \{河南子}「さっきからさ、なんか引っかかってんだよね…」
<0135> \{Kanako}「さっきからさ、なんか引っかかってんだよね…」
// <0136> \{朋也}「なんだよ、それを言えよ」
<0136> \{Tomoya}「なんだよ、それを言えよ」
// <0137> \{河南子}「うーん…」
<0137> \{Kanako}「うーん…」
// <0138> \{河南子}「ダメだ、頭が回らない…アイス買ってきて」
<0138> \{Kanako}「ダメだ、頭が回らない…アイス買ってきて」
// <0139> \{朋也}「それ食えば、出てくるんだな」
<0139> \{Tomoya}「それ食えば、出てくるんだな」
// <0140> \{河南子}「うんうん、でてきますとも」
<0140> \{Kanako}「うんうん、でてきますとも」
// <0141> \{河南子}「おいしいねー、ともさん」
<0141> \{Kanako}「おいしいねー、ともさん」
// <0142> \{朋也}「おまえ、ちゃんと考えろよ」
<0142> \{Tomoya}「おまえ、ちゃんと考えろよ」
// <0143> \{河南子}「くかー」
<0143> \{Kanako}「くかー」
// <0144> \{朋也}「寝てるし!」
<0144> \{Tomoya}「寝てるし!」
// <0145> \{朋也}「おいっ、起きろっ」
<0145> \{Tomoya}「おいっ、起きろっ」
// <0146> その体を揺する。
<0146> その体を揺する。
// <0147> \{智代}「もうこんな時間だ。寝かせてやろう。起こすのは可哀想だ」
<0147> \{Tomoyo}「もうこんな時間だ。寝かせてやろう。起こすのは可哀想だ」
// <0148> \{朋也}「俺、パシリ損じゃん…」
<0148> \{Tomoya}「俺、パシリ損じゃん…」
// <0149> \{智代}「まあ、そう言うな。喜んでくれたらそれだけでもいいじゃないか」
<0149> \{Tomoyo}「まあ、そう言うな。喜んでくれたらそれだけでもいいじゃないか」
// <0150> \{朋也}「鷹文も帰ったし…じゃあ続きはふたりで考えるか」
<0150> \{Tomoya}「鷹文も帰ったし…じゃあ続きはふたりで考えるか」
// <0151> \{朋也}「…あれ? 手紙がねぇ…」
<0151> \{Tomoya}「…あれ? 手紙がねぇ…」
// <0152> \{河南子}「あー…」
<0152> \{Kanako}「あー…」
// <0153> 河南子が寝言なのか、うめき声を上げる。
<0153> 河南子が寝言なのか、うめき声を上げる。
// <0154> \{河南子}「なんでこの手紙、いまどき筆書きなんだろうねー…」
<0154> \{Kanako}「なんでこの手紙、いまどき筆書きなんだろうねー…」
// <0155> 振り返ると、河南子が手紙を掲げて仰向けのまま見上げていた。
<0155> 振り返ると、河南子が手紙を掲げて仰向けのまま見上げていた。
// <0156> その腕がくたっと折れる。
<0156> その腕がくたっと折れる。
// <0157> \{河南子}「くかー」
<0157> \{Kanako}「くかー」
// <0158> \{智代}「可愛らしい。無邪気なもんだな」
<0158> \{Tomoyo}「可愛らしい。無邪気なもんだな」
// <0159> …そんな手がかりがあったか。
<0159> …そんな手がかりがあったか。