// Resources for SEEN0816.TXT
// #character '河南子'
#character 'Kanako'
// #character '朋也'
#character 'Tomoya'
// #character '智代'
#character 'Tomoyo'
// <0000> 8月16日(月)
<0000> August 16th (Mon)
// <0001> \{河南子}「ねーねー」
<0001> \{Kanako}「ねーねー」
// <0002> \{河南子}「こっちにこなかった?」
<0002> \{Kanako}「こっちにこなかった?」
// <0003> \{朋也}「智代か? きてないぞ」
<0003> \{Tomoya}「智代か? きてないぞ」
// <0004> \{河南子}「ありゃ~? どこいったんだ~?」
<0004> \{Kanako}「ありゃ~? どこいったんだ~?」
// <0005> \{朋也}「なんだ? 見失ったのか?」
<0005> \{Tomoya}「なんだ? 見失ったのか?」
// <0006> \{河南子}「どうもそのようで」
<0006> \{Kanako}「どうもそのようで」
// <0007> \{朋也}「おまえ、何してたんだよ」
<0007> \{Tomoya}「おまえ、何してたんだよ」
// <0008> \{河南子}「いや、何も」
<0008> \{Kanako}「いや、何も」
// <0009> \{朋也}「ちゃんと見ていなかったのか?」
<0009> \{Tomoya}「ちゃんと見ていなかったのか?」
// <0010> \{河南子}「だって、あんたが言ったんじゃん。トイレは見るなって」
<0010> \{Kanako}「だって、あんたが言ったんじゃん。トイレは見るなって」
// <0011> \{朋也}「トイレ…?」
<0011> \{Tomoya}「トイレ…?」
// <0012> \{河南子}「10分ぐらい経っても出てこないんで、なっがいーなーと思って、ノックしたら返事がなくて、覗いてみたらいなくなってた」
<0012> \{Kanako}「10分ぐらい経っても出てこないんで、なっがいーなーと思って、ノックしたら返事がなくて、覗いてみたらいなくなってた」
// <0013> \{朋也}「出口があったのか?」
<0013> \{Tomoya}「出口があったのか?」
// <0014> \{河南子}「なんとかくぐれるぐらいの小さな窓がひとつ」
<0014> \{Kanako}「なんとかくぐれるぐらいの小さな窓がひとつ」
// <0015> \{朋也}「逃げたんだな…」
<0015> \{Tomoya}「逃げたんだな…」
// <0016> \{河南子}「逃げられましたねぇ」
<0016> \{Kanako}「逃げられましたねぇ」
// <0017> \{朋也}「呑気にしてしないで、探すぞ」
<0017> \{Tomoya}「呑気にしてしないで、探すぞ」
// <0018> \{河南子}「どこを?」
<0018> \{Kanako}「どこを?」
// <0019> \{朋也}「来た道を戻る。ひとりで帰ろうとしてるんだろうからな」
<0019> \{Tomoya}「来た道を戻る。ひとりで帰ろうとしてるんだろうからな」
// <0020> \{河南子}「じゃ、大丈夫だよ。また戻ってくるよ」
<0020> \{Kanako}「じゃ、大丈夫だよ。また戻ってくるよ」
// <0021> \{朋也}「なんでだよ」
<0021> \{Tomoya}「なんでだよ」
// <0022> \{河南子}「抜いておいたんで」
<0022> \{Kanako}「抜いておいたんで」
// <0023> その手には智代の見慣れた財布。
<0023> その手には智代の見慣れた財布。
// <0024> \{河南子}「村人さんにもお金を貸したり、車に乗せたりしないでくださいって、言ってあるし」
<0024> \{Kanako}「村人さんにもお金を貸したり、車に乗せたりしないでくださいって、言ってあるし」
// <0025> \{河南子}「ほら、来たし」
<0025> \{Kanako}「ほら、来たし」
// <0026> 振り返ると、智代がこちらに向けて、まっすぐ歩いてきていた。
<0026> 振り返ると、智代がこちらに向けて、まっすぐ歩いてきていた。
// <0027> 小窓から抜け出す時苦労したのだろうか、髪の毛や衣服が乱れていた。
<0027> 小窓から抜け出す時苦労したのだろうか、髪の毛や衣服が乱れていた。
// <0028> その姿は…正気を失っているように映った。
<0028> その姿は…正気を失っているように映った。
// <0029> \{智代}「河南子、その財布を返せ」
<0029> \{Tomoyo}「河南子、その財布を返せ」
// <0030> \{河南子}「と言ってますが」
<0030> \{Kanako}「と言ってますが」
// <0031> 河南子は俺に判断を委ねる。
<0031> 河南子は俺に判断を委ねる。
// <0032> \{朋也}「返すな」
<0032> \{Tomoya}「返すな」
// <0033> \{智代}「どうしてっ」
<0033> \{Tomoyo}「どうしてっ」
// <0034> \{朋也}「ひとりで戻る気だろ?」
<0034> \{Tomoya}「ひとりで戻る気だろ?」
// <0035> \{智代}「………」
<0035> \{Tomoyo}「………」
// <0036> \{朋也}「違うんなら、河南子と行動しろ」
<0036> \{Tomoya}「違うんなら、河南子と行動しろ」
// <0037> \{智代}「ああ…わかった…」
<0037> \{Tomoyo}「ああ…わかった…」
// <0038> \{智代}「わかったから…財布を返してほしい」
<0038> \{Tomoyo}「わかったから…財布を返してほしい」
// <0039> \{河南子}「どうする?」
<0039> \{Kanako}「どうする?」
// <0040> \{朋也}「ここにいる間は返すな」
<0040> \{Tomoya}「ここにいる間は返すな」
// <0041> \{智代}「なんなんだ、おまえはっ」
<0041> \{Tomoyo}「なんなんだ、おまえはっ」
// <0042> \{智代}「そんなこと勝手に決めるなっ」
<0042> \{Tomoyo}「そんなこと勝手に決めるなっ」
// <0043> 俺でさえ見たことのない、取り乱しようだ。
<0043> 俺でさえ見たことのない、取り乱しようだ。
// <0044> あるいは、それがかつての智代で、河南子には見慣れたものなのだろうか。
<0044> あるいは、それがかつての智代で、河南子には見慣れたものなのだろうか。
// <0045> \{智代}「河南子…返すんだ…」
<0045> \{Tomoyo}「河南子…返すんだ…」
// <0046> 低く脅すような声。
<0046> 低く脅すような声。
// <0047> \{河南子}「ダメだって」
<0047> \{Kanako}「ダメだって」
// <0048> \{智代}「いいから…返すんだ…」
<0048> \{Tomoyo}「いいから…返すんだ…」
// <0049> \{河南子}「ダメだって彼氏言ってるじゃん」
<0049> \{Kanako}「ダメだって彼氏言ってるじゃん」
// <0050> \{智代}「返すんだ…」
<0050> \{Tomoyo}「返すんだ…」
// <0051> \{智代}「でないと…力ずくで奪うことになる…」
<0051> \{Tomoyo}「でないと…力ずくで奪うことになる…」
// <0052> \{智代}「その時の無事は…保証しないぞ…」
<0052> \{Tomoyo}「その時の無事は…保証しないぞ…」
// <0053> 戦慄が走る。体温が下がっていく。
<0053> 戦慄が走る。体温が下がっていく。
// <0054> \{智代}「あと三秒だけ、時間をやろう…」
<0054> \{Tomoyo}「あと三秒だけ、時間をやろう…」
// <0055> \{智代}「さん…」
<0055> \{Tomoyo}「さん…」
// <0056> \{智代}「に…」
<0056> \{Tomoyo}「に…」
// <0057> \{智代}「いち…」
<0057> \{Tomoyo}「いち…」
// <0058> \{河南子}「ぱすっ!」
<0058> \{Kanako}「ぱすっ!」
// <0059> 突如、財布が宙に投げ放たれていた。
<0059> 突如、財布が宙に投げ放たれていた。
// <0060> 俺へ向けて。それを慌てて受け取る。
<0060> 俺へ向けて。それを慌てて受け取る。
// <0061> 同時に、戦慄は霧散していた。
<0061> 同時に、戦慄は霧散していた。
// <0062> \{智代}「………」
<0062> \{Tomoyo}「………」
// <0063> 後には項垂れる智代が。
<0063> 後には項垂れる智代が。
// <0064> \{朋也}「頭を冷やせ」
<0064> \{Tomoya}「頭を冷やせ」
// <0065> \{朋也}「ここを出るときは一緒にだ。いいな」
<0065> \{Tomoya}「ここを出るときは一緒にだ。いいな」
// <0066> 返事はない。
<0066> 返事はない。
// <0067> 顔を伏せたままきびすを返し、早足で去っていった。
<0067> 顔を伏せたままきびすを返し、早足で去っていった。
// <0068> \{朋也}「河南子、よく耐えてくれた」
<0068> \{Tomoya}「河南子、よく耐えてくれた」
// <0069> \{河南子}「………」
<0069> \{Kanako}「………」
// <0070> こちらも返事がない。
<0070> こちらも返事がない。
// <0071> \{朋也}「河南子?」
<0071> \{Tomoya}「河南子?」
// <0072> \{河南子}「………」
<0072> \{Kanako}「………」
// <0073> 固まっている。
<0073> 固まっている。
// <0074> 背中を叩いてやると、ぶっはーっと大きく息を吐いた。
<0074> 背中を叩いてやると、ぶっはーっと大きく息を吐いた。
// <0075> \{河南子}「うっわーまだ足震えてるよ…こっえ~」
<0075> \{Kanako}「うっわーまだ足震えてるよ…こっえ~」
// <0076> \{朋也}「おまえでもびびるのか…」
<0076> \{Tomoya}「おまえでもびびるのか…」
// <0077> \{河南子}「寿命が百年は縮まったよ…」
<0077> \{Kanako}「寿命が百年は縮まったよ…」
// <0078> \{朋也}「何歳まで生きる予定だったんだよ…」
<0078> \{Tomoya}「何歳まで生きる予定だったんだよ…」
// <0079> 日が暮れ、今日の作業を終える。
<0079> 日が暮れ、今日の作業を終える。