// Resources for SEEN0818.TXT
// #character '智代'
#character 'Tomoyo'
// #character '朋也'
#character 'Tomoya'
// #character '女性'
#character 'Woman'
// <0000> 8月18日(水)
<0000> August 18th (Wed)
// <0001> \{智代}「聞いた話なんだが」
<0001> \{Tomoyo}「聞いた話なんだが」
// <0002> \{智代}「秋はクマがよく出没して危ないらしいんだ」
<0002> \{Tomoyo}「秋はクマがよく出没して危ないらしいんだ」
// <0003> その日の朝。智代が事故以来、初めて別の話題を持ち出した。
<0003> その日の朝。智代が事故以来、初めて別の話題を持ち出した。
// <0004> \{智代}「それは、食料を冬眠に備えてため込むためだ」
<0004> \{Tomoyo}「それは、食料を冬眠に備えてため込むためだ」
// <0005> \{朋也}「でも今は夏だからな」
<0005> \{Tomoya}「でも今は夏だからな」
// <0006> \{智代}「うん、だから出ても、安全だと思う」
<0006> \{Tomoyo}「うん、だから出ても、安全だと思う」
// <0007> \{朋也}「いやその前に出ないだろ」
<0007> \{Tomoya}「いやその前に出ないだろ」
// <0008> \{智代}「出ないだろうか? 果たしてそう言い切れるだろうか?」
<0008> \{Tomoyo}「出ないだろうか? 果たしてそう言い切れるだろうか?」
// <0009> \{朋也}「いや、言い切りはしないけどさ…」
<0009> \{Tomoya}「いや、言い切りはしないけどさ…」
// <0010> \{朋也}「なんか出てほしそうな口振りだな」
<0010> \{Tomoya}「なんか出てほしそうな口振りだな」
// <0011> \{智代}「そんなことは決してない」
<0011> \{Tomoyo}「そんなことは決してない」
// <0012> おかしな話題を持ち出しただけで、それ以上は何も言ってこなかった。
<0012> おかしな話題を持ち出しただけで、それ以上は何も言ってこなかった。
// <0013> ご丁寧にビニールシートが引かれた木陰では、俺と智代が座り込んでいる。
<0013> ご丁寧にビニールシートが引かれた木陰では、俺と智代が座り込んでいる。
// <0014> 怪我人とその付き添い、と言ったところだ。
<0014> 怪我人とその付き添い、と言ったところだ。
// <0015> もう廃屋とは呼べないほど綺麗になった家では、村人が交代で思い思いの作業を行っており、たまにこちらに視線を向けた。
<0015> もう廃屋とは呼べないほど綺麗になった家では、村人が交代で思い思いの作業を行っており、たまにこちらに視線を向けた。
// <0016> 居心地悪いことこの上ない。
<0016> 居心地悪いことこの上ない。
// <0017> それなら部屋でおとなしく、とも思ったが、村人が作業の指示を聞いてくることもあるので現場にはいなくてはいけなかった。
<0017> それなら部屋でおとなしく、とも思ったが、村人が作業の指示を聞いてくることもあるので現場にはいなくてはいけなかった。
// <0018> \{朋也}「そもそも、俺が全部できたわけじゃないんだけどな」
<0018> \{Tomoya}「そもそも、俺が全部できたわけじゃないんだけどな」
// <0019> \{智代}「ん? なんのことだ?」
<0019> \{Tomoyo}「ん? なんのことだ?」
// <0020> \{朋也}「俺ができることってのは、そんなに多くないんだ」
<0020> \{Tomoya}「俺ができることってのは、そんなに多くないんだ」
// <0021> \{朋也}「そりゃ、電気関係は死ぬほど勉強したけどな」
<0021> \{Tomoya}「そりゃ、電気関係は死ぬほど勉強したけどな」
// <0022> \{朋也}「修理と、応用のために覚えた基礎的な電工しか知らないんだ」
<0022> \{Tomoya}「修理と、応用のために覚えた基礎的な電工しか知らないんだ」
// <0023> \{朋也}「あんなふうに家を直したり、黒板を据えつけるなんてできない」
<0023> \{Tomoya}「あんなふうに家を直したり、黒板を据えつけるなんてできない」
// <0024> \{朋也}「分野が違うんだ」
<0024> \{Tomoya}「分野が違うんだ」
// <0025> しかし、驚くほど巧みな手さばきを持っている村人がいる。
<0025> しかし、驚くほど巧みな手さばきを持っている村人がいる。
// <0026> 元気な頃は、それで飯を食っていた人々なのだろうか。
<0026> 元気な頃は、それで飯を食っていた人々なのだろうか。
// <0027> ぼんやりと見ていると、ひとりの女性が近寄ってきた。
<0027> ぼんやりと見ていると、ひとりの女性が近寄ってきた。
// <0028> 洗濯係のひとだ。
<0028> 洗濯係のひとだ。
// <0029> \{女性}「…暑いから、麦茶」
<0029> \{Woman}「…暑いから、麦茶」
// <0030> 紙コップに入れて、振舞ってくれる。
<0030> 紙コップに入れて、振舞ってくれる。
// <0031> \{朋也}「悪い」
<0031> \{Tomoya}「悪い」
// <0032> \{智代}「ありがとう」
<0032> \{Tomoyo}「ありがとう」
// <0033> \{女性}「…こちら…こそ」
<0033> \{Woman}「…こちら…こそ」
// <0034> 微笑んでくれた。
<0034> 微笑んでくれた。
// <0035> \{朋也}「…手伝ってくれて、ありがとな」
<0035> \{Tomoya}「…手伝ってくれて、ありがとな」
// <0036> いまさらだが、照れ隠しも含め、お礼を言った。
<0036> いまさらだが、照れ隠しも含め、お礼を言った。
// <0037> \{女性}「…ううん、手伝えるのは、できてから…だから」
<0037> \{Woman}「…ううん、手伝えるのは、できてから…だから」
// <0038> \{女性}「わたし、ちょっと前まで…先生…やってて」
<0038> \{Woman}「わたし、ちょっと前まで…先生…やってて」
// <0039> \{女性}「つらくて…どうしようもなくて……ここにきたの」
<0039> \{Woman}「つらくて…どうしようもなくて……ここにきたの」
// <0040> \{女性}「でも、もう一度…やってみようって…」
<0040> \{Woman}「でも、もう一度…やってみようって…」
// <0041> \{女性}「そう、思えたから」
<0041> \{Woman}「そう、思えたから」
// <0042> \{朋也}「…そっか」
<0042> \{Tomoya}「…そっか」
// <0043> \{女性}「だから、ありがとう…」
<0043> \{Woman}「だから、ありがとう…」