Tomoyo After:SEEN0801
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// Resources for SEEN0801.TXT // #character '朋也' #character 'Tomoya' // #character '智代' #character 'Tomoyo' // #character '河南子' #character 'Kanako' // #character '鷹文' #character 'Takafumi' // #character '声' #character 'Voice' // #character '先生' #character 'Teacher' // #character '男' #character 'Man' // #character 'キャプテン' #character 'Captain' // #character '部員' #character 'Staff member' // #character 'とも' #character 'Tomo' // <0000> 8月1日(日) <0000> August 1st (Sun) // There are more participants than I thought there would be. // <0001> 思いのほか多くの参加者がいたらしい。 <0001> 思いのほか多くの参加者がいたらしい。 // On the highest level of the temporary bleachers, eager to see the participants in their colorful sports outfits. // <0002> 臨時に作られた観客席の最上階からは、色とりどりのスポーツウェアに包まれた参加者が望めた。 <0002> 臨時に作られた観客席の最上階からは、色とりどりのスポーツウェアに包まれた参加者が望めた。 // Everyone freely cheering, the scheduled starting time approaches. // <0003> 誰もが思い思いにアップを行い、スタートの刻限を待っている。 <0003> 誰もが思い思いにアップを行い、スタートの刻限を待っている。 // How many kilometers is Takafumi going to be running? // <0004> \{朋也}「何キロ走るんだ?」 <0004> \{Tomoya}「何キロ走るんだ?」 // Takafumi is going to be running the 15 kilometer course. // <0005> \{智代}「鷹文は15キロのコースだ」 <0005> \{Tomoyo}「鷹文は15キロのコースだ」 // Seems like quite a distance to run. Just running for 3 kilometers makes me completely exhausted. // <0006> 気が遠くなる長さだった。俺は練習の3キロでさえ、へとへとだったのに。 <0006> 気が遠くなる長さだった。俺は練習の3キロでさえ、へとへとだったのに。 // As shown in a large sketch on the course map, the longest course is 15 kilometers long. // <0007> コースの見取り図が大きく貼られ、一番長いコースが15キロとなっていた。 <0007> コースの見取り図が大きく貼られ、一番長いコースが15キロとなっていた。 // The course track included running up a hill, once around the forest park beside the road over the mountain pass, then down the hill road consisting of abrupt changes in elevation. // <0008> 山を駆け上り、峠道の側にある森林公園を一周してから、坂道を駆け下りる起伏の激しいコースだった。 <0008> 山を駆け上り、峠道の側にある森林公園を一周してから、坂道を駆け下りる起伏の激しいコースだった。 // Aren't there any better courses? // <0009> \{朋也}「…もう少し簡単なコースでよかったんじゃないのか?」 <0009> \{Tomoya}「…もう少し簡単なコースでよかったんじゃないのか?」 // I haven't tried this distance in my practices. // <0010> \{朋也}「こんな距離、練習でも走ってない」 <0010> \{Tomoya}「こんな距離、練習でも走ってない」 // Yesterday I was fine with approximately this distance. // <0011> \{智代}「昔はこれぐらい平気で走っていた」 <0011> \{Tomoyo}「昔はこれぐらい平気で走っていた」 // That's not to say that I would win though, // <0012> \{智代}「それに優勝しろなんて言っていない」 <0012> \{Tomoyo}「それに優勝しろなんて言っていない」 // but that I simply want to run this course, // <0013> \{智代}「ただ走りきってほしいだけだ」 <0013> \{Tomoyo}「ただ走りきってほしいだけだ」 // because I want to be able to get to the finish line. // <0014> \{智代}「走り終えるためにな」 <0014> \{Tomoyo}「走り終えるためにな」 // So... So that's what it is // <0015> \{朋也}「そうか…そうだな」 <0015> \{Tomoya}「そうか…そうだな」 // I remembered the feelings of being together. // <0016> 一緒に俺たちの思いも届けばいいと思った。 <0016> 一緒に俺たちの思いも届けばいいと思った。 // Takafumi always with her face filled with displeasure. // <0017> いつだって、不満顔をしていた鷹文に。 <0017> いつだって、不満顔をしていた鷹文に。 // Guess today I'll cheer on with all I've got. // <0018> 今日は精一杯応援してやろう。 <0018> 今日は精一杯応援してやろう。 // Hey you! Common and start cheering! // <0019> \{朋也}「おまえも、応援してやれよ」 <0019> \{Tomoya}「おまえも、応援してやれよ」 // I said to Kanako as I returned. // <0020> 俺は振り返って、そこに立つ河南子に向けて言う。 <0020> 俺は振り返って、そこに立つ河南子に向けて言う。 // ... // <0021> \{河南子}「………」 <0021> \{Kanako}「………」 // Takafumi was behind the start line of the course // <0022> 鷹文はスタート地点の広場のやや後方にいた。 <0022> 鷹文はスタート地点の広場のやや後方にいた。 // We called out from the roped off section next the to track // <0023> 俺たちはロープで張られた導入口側で声をかけた。 <0023> 俺たちはロープで張られた導入口側で声をかけた。 // Go for it! // <0024> \{朋也}「がんばってこいよ」 <0024> \{Tomoya}「がんばってこいよ」 // Even if it's kind of impossible, I'll try my best // <0025> \{鷹文}「無理しない程度にがんばるよ」 <0025> \{Takafumi}「無理しない程度にがんばるよ」 // The first stretch of the course is pretty long, Takafumi answered. // <0026> ストレッチで上半身を伸ばしながら、鷹文が答えた。 <0026> ストレッチで上半身を伸ばしながら、鷹文が答えた。 // 30 seconds before the start. // <0027> スタート30秒前。 <0027> スタート30秒前。 // Participants, on your mark... // <0028> 参加者が位置につく。 <0028> 参加者が位置につく。 // Takafumi put on a face of determination, and looked forward // <0029> 鷹文は気の抜けた顔のままで、やや見上げていた。 <0029> 鷹文は気の抜けた顔のままで、やや見上げていた。 // Ready... // <0030> \{声}「よーい」 <0030> \{Voice}「よーい」 // The starter's voice from the loudspeaker. // <0031> スピーカーから響く、スターターの声。 <0031> スピーカーから響く、スターターの声。 // Bang---! // <0032> パーーーーン! <0032> パーーーーン! // The signal gun fired, and the wave of people started moving together. // <0033> 号砲が鳴り、人の波が一斉に動き出した。 <0033> 号砲が鳴り、人の波が一斉に動き出した。 // Where is Takafumi? // <0034> \{智代}「鷹文はどこだ?」 <0034> \{Tomoyo}「鷹文はどこだ?」 // Over there. // <0035> \{朋也}「あそこだ」 <0035> \{Tomoya}「あそこだ」 // In the middle of the pack, a group of energetic men were moving forward at the same pace // <0036> 集団の中央、やたら元気な爺さんたちと同じスピードだった。 <0036> 集団の中央、やたら元気な爺さんたちと同じスピードだった。 // Tomoya. Kanako. Chase after them. // <0037> \{智代}「朋也、河南子、追いかけるぞ」 <0037> \{Tomoyo}「朋也、河南子、追いかけるぞ」 // What? // <0038> \{朋也}「は?」 <0038> \{Tomoya}「は?」 // I replied, confused by the request // <0039> 意味がわからず訊き返す。 <0039> 意味がわからず訊き返す。 // Takafumi is going to scold us for this. // <0040> \{智代}「鷹文を叱咤するんだ」 <0040> \{Tomoyo}「鷹文を叱咤するんだ」 // He actually can't run // <0041> \{智代}「あいつは真面目に走ろうとしてない」 <0041> \{Tomoyo}「あいつは真面目に走ろうとしてない」 // Run seriously and chase him. // <0042> \{智代}「だから、追いかけてちゃんと走らせてやるんだ」 <0042> \{Tomoyo}「だから、追いかけてちゃんと走らせてやるんだ」 // Just as she said this, she began to run // <0043> 言うが早いか、智代は走り出していた。 <0043> 言うが早いか、智代は走り出していた。 // Hey, hey! Wait up! // <0044> \{朋也}「お、おいっ、ちょっと待てよ!」 <0044> \{Tomoya}「お、おいっ、ちょっと待てよ!」 // I fumbled to chase after her. // <0045> 慌てて駆け寄って追いつく。 <0045> 慌てて駆け寄って追いつく。 // Chasing after him, just how are we going to do that? // <0046> \{朋也}「追いかけるって、どうやってだよ」 <0046> \{Tomoya}「追いかけるって、どうやってだよ」 // I decided. Let's go. // <0047> \{智代}「決まってる。走ってだ」 <0047> \{Tomoyo}「決まってる。走ってだ」 // Luckily, there's a tunnel near it // <0048> \{智代}「幸い、ここから裏道を通れば近いからな」 <0048> \{Tomoyo}「幸い、ここから裏道を通れば近いからな」 // Short of breath // <0049> 息が荒い。 <0049> 息が荒い。 // Throat stings // <0050> 喉がひりつく。 <0050> 喉がひりつく。 // Sweat spreading through into my t-shirt // <0051> Tシャツが汗で背中に張りつく。 <0051> Tシャツが汗で背中に張りつく。 // <0052> \{智代}「間に合ったようだな」 <0052> \{Tomoyo}「間に合ったようだな」 // <0053> \{智代}「お…まだ先頭集団じゃないか」 <0053> \{Tomoyo}「お…まだ先頭集団じゃないか」 // <0054> 何の因果か、俺までマラソンに参加しているようだった。 <0054> 何の因果か、俺までマラソンに参加しているようだった。 // <0055> 俺たちが到着した時には、まだ先頭集団が通り過ぎようとしていたころだった。 <0055> 俺たちが到着した時には、まだ先頭集団が通り過ぎようとしていたころだった。 // <0056> 軽やかに街道を登っていく選手たちだが、人数が通るに連れて次第に遅くなっていく。 <0056> 軽やかに街道を登っていく選手たちだが、人数が通るに連れて次第に遅くなっていく。 // <0057> 半分を過ぎた頃だろうか、鷹文が近づいてきた。 <0057> 半分を過ぎた頃だろうか、鷹文が近づいてきた。 // <0058> \{智代}「たかふみーっ、ちゃんとはしれーっ」 <0058> \{Tomoyo}「たかふみーっ、ちゃんとはしれーっ」 // <0059> 割れんばかりの大声で檄を飛ばす智代。 <0059> 割れんばかりの大声で檄を飛ばす智代。 // <0060> 鷹文が目を剥いて、こちらを見た。 <0060> 鷹文が目を剥いて、こちらを見た。 // <0061> まさか居るとは思わなかったのだろう。 <0061> まさか居るとは思わなかったのだろう。 // <0062> あいつ自身、後は適当に流そうとしていたのかもしれない。 <0062> あいつ自身、後は適当に流そうとしていたのかもしれない。 // <0063> そうはさせるか。 <0063> そうはさせるか。 // <0064> \{朋也}「鷹文、死ぬ気で走らないと、この罰ゲームは終わらないぞーっ!」 <0064> \{Tomoya}「鷹文、死ぬ気で走らないと、この罰ゲームは終わらないぞーっ!」 // <0065> 鷹文のスピードがやや上がった。 <0065> 鷹文のスピードがやや上がった。 // <0066> \{河南子}「やっぱ罰ゲームなんじゃん」 <0066> \{Kanako}「やっぱ罰ゲームなんじゃん」 // <0067> ストライドが大きくなり、腕の振りもリズム良くなる。 <0067> ストライドが大きくなり、腕の振りもリズム良くなる。 // <0068> \{智代}「よし、昔の走り方にもどってきたな」 <0068> \{Tomoyo}「よし、昔の走り方にもどってきたな」 // <0069> \{智代}「次、いくぞ」 <0069> \{Tomoyo}「次、いくぞ」 // <0070> \{朋也}「まだやるのかよ」 <0070> \{Tomoya}「まだやるのかよ」 // <0071> \{智代}「間に合った」 <0071> \{Tomoyo}「間に合った」 // <0072> \{朋也}「すげぇとこ走ってきたよな…」 <0072> \{Tomoya}「すげぇとこ走ってきたよな…」 // <0073> 途中からは走るじゃなくて、山道を登っていたようだったが。 <0073> 途中からは走るじゃなくて、山道を登っていたようだったが。 // <0074> \{智代}「来たぞ」 <0074> \{Tomoyo}「来たぞ」 // <0075> 長く続いた上り坂に、やや顎が上がった鷹文がいた。 <0075> 長く続いた上り坂に、やや顎が上がった鷹文がいた。 // <0076> 前よりかなり順位を上げていた。 <0076> 前よりかなり順位を上げていた。 // <0077> \{智代}「やればできるじゃないかっ」 <0077> \{Tomoyo}「やればできるじゃないかっ」 // <0078> \{智代}「最後までがんばれー!」 <0078> \{Tomoyo}「最後までがんばれー!」 // <0079> \{鷹文}「うるさいよっ」 <0079> \{Takafumi}「うるさいよっ」 // <0080> 声まで返ってくる。 <0080> 声まで返ってくる。 // <0081> \{智代}「遅いぞ、朋也」 <0081> \{Tomoyo}「遅いぞ、朋也」 // <0082> \{朋也}「今の落ちたら死ぬような場所だったぞっ」 <0082> \{Tomoya}「今の落ちたら死ぬような場所だったぞっ」 // <0083> \{智代}「ここからは楽だ」 <0083> \{Tomoyo}「ここからは楽だ」 // <0084> \{智代}「あまり起伏がないからな」 <0084> \{Tomoyo}「あまり起伏がないからな」 // <0085> 俺たちは森林公園の入り口に来ていた。 <0085> 俺たちは森林公園の入り口に来ていた。 // <0086> 距離的には三分の一を過ぎたあたりだ。 <0086> 距離的には三分の一を過ぎたあたりだ。 // <0087> 先頭集団はもう過ぎてしまったらしく、木陰の遊歩道をひとり、またひとりと選手が通り抜けていく。 <0087> 先頭集団はもう過ぎてしまったらしく、木陰の遊歩道をひとり、またひとりと選手が通り抜けていく。 // <0088> \{朋也}「そろそろじゃないか」 <0088> \{Tomoya}「そろそろじゃないか」 // <0089> \{智代}「さっきはこのあたりだったんだが…」 <0089> \{Tomoyo}「さっきはこのあたりだったんだが…」 // <0090> やや遅れて、中位グループあたりを鷹文が走っているのが見えた。 <0090> やや遅れて、中位グループあたりを鷹文が走っているのが見えた。 // <0091> 歩幅は小さく、前傾姿勢のままにして走っていた。 <0091> 歩幅は小さく、前傾姿勢のままにして走っていた。 // <0092> \{朋也}「死ぬ気で走れよっ!」 <0092> \{Tomoya}「死ぬ気で走れよっ!」 // <0093> 俺は大声で叫んだ。 <0093> 俺は大声で叫んだ。 // <0094> \{鷹文}「死ぬよっ」 <0094> \{Takafumi}「死ぬよっ」 // <0095> 悲鳴のような声だった。 <0095> 悲鳴のような声だった。 // <0096> 息は荒く、酸欠なのか顔色が悪い。 <0096> 息は荒く、酸欠なのか顔色が悪い。 // <0097> \{朋也}「…大丈夫なのか?」 <0097> \{Tomoya}「…大丈夫なのか?」 // <0098> \{智代}「わからない…」 <0098> \{Tomoyo}「わからない…」 // <0099> \{智代}「たかふみっ! 追い抜け、目の前のやつをだ!」 <0099> \{Tomoyo}「たかふみっ! 追い抜け、目の前のやつをだ!」 // <0100> すぐ声を飛ばす。 <0100> すぐ声を飛ばす。 // <0101> 俺たちはその先の広場へと移動した。 <0101> 俺たちはその先の広場へと移動した。 // <0102> 設えられた階段を登り、続く山道を歩く。 <0102> 設えられた階段を登り、続く山道を歩く。 // <0103> ちょうど公園を一周しながら登っていくため、こちらはちょっとした段差を上がるだけでよかった。 <0103> ちょうど公園を一周しながら登っていくため、こちらはちょっとした段差を上がるだけでよかった。 // <0104> 山道を囲む木陰から出ると、夏の陽射しが肌を照りつけた。 <0104> 山道を囲む木陰から出ると、夏の陽射しが肌を照りつけた。 // <0105> ロープでガイドを作られた先に、巨大な樹が一本立っている。 <0105> ロープでガイドを作られた先に、巨大な樹が一本立っている。 // <0106> そこが折り返し地点だった。 <0106> そこが折り返し地点だった。 // <0107> 鷹文の表情は歪み、歩幅は小さくなり、腕は姿勢を支えるために弱々しく振られているだけだ。 <0107> 鷹文の表情は歪み、歩幅は小さくなり、腕は姿勢を支えるために弱々しく振られているだけだ。 // <0108> \{智代}「たかふみっ、足が動いてないぞ!」 <0108> \{Tomoyo}「たかふみっ、足が動いてないぞ!」 // <0109> \{朋也}「死ぬ気で走れよっ!」 <0109> \{Tomoya}「死ぬ気で走れよっ!」 // <0110> 何度も繰り返した応援をする。 <0110> 何度も繰り返した応援をする。 // <0111> だが、答えはない。 <0111> だが、答えはない。 // <0112> 言い返すどころか、手さえ振ってこなかった。 <0112> 言い返すどころか、手さえ振ってこなかった。 // <0113> \{智代}「聞いてるのかっ!」 <0113> \{Tomoyo}「聞いてるのかっ!」 // <0114> \{朋也}「返事しろーっ」 <0114> \{Tomoya}「返事しろーっ」 // <0115> はぁ…はぁ… <0115> はぁ…はぁ… // <0116> 聞こえてるよ、うるさいな… <0116> 聞こえてるよ、うるさいな… // <0117> まったく… <0117> まったく… // <0118> はぁ…はぁ… <0118> はぁ…はぁ… // <0119> ああ、ダメだ… <0119> ああ、ダメだ… // <0120> ぜんぜん足が動かない… <0120> ぜんぜん足が動かない… // <0121> もう僕は走れないんだ… <0121> もう僕は走れないんだ… // <0122> もういいでしょ… <0122> もういいでしょ… // <0123> 疲れた… <0123> 疲れた… // <0124> 足を止めるよ… <0124> 足を止めるよ… // <0125> ……… <0125> ……… // <0126> …… <0126> …… // <0127> …今夜、家にこないかい? <0127> …今夜、家にこないかい? // <0128> え。 <0128> え。 // <0129> 先生… <0129> 先生… // <0130> \{先生}「今夜、家にこないかい?」 <0130> \{Teacher}「今夜、家にこないかい?」 // <0131> あ、説教ですか… <0131> あ、説教ですか… // <0132> 体育の時間、まじめに走ってなかったから… <0132> 体育の時間、まじめに走ってなかったから… // <0133> \{先生}「ああ、いや、そんなつもりはぜんぜんないよ」 <0133> \{Teacher}「ああ、いや、そんなつもりはぜんぜんないよ」 // <0134> \{先生}「鍋をやるからね、一緒にどうかと思って」 <0134> \{Teacher}「鍋をやるからね、一緒にどうかと思って」 // <0135> \{先生}「まあ急には難しいかな。親御さん、心配されるか」 <0135> \{Teacher}「まあ急には難しいかな。親御さん、心配されるか」 // <0136> あ、いえ、それはないんで。 <0136> あ、いえ、それはないんで。 // <0137> \{先生}「…じゃ、どうだろう?」 <0137> \{Teacher}「…じゃ、どうだろう?」 // <0138> 別にいいですよ。おいしいもの食べられるなら。 <0138> 別にいいですよ。おいしいもの食べられるなら。 // <0139> \{先生}「味の保証はしないけどね、ははは」 <0139> \{Teacher}「味の保証はしないけどね、ははは」 // <0140> \{男}「また、ひょろいのがきたなあ」 <0140> \{Man}「また、ひょろいのがきたなあ」 // <0141> \{男}「ちゃんと食ってんのか?」 <0141> \{Man}「ちゃんと食ってんのか?」 // <0142> \{男}「おまえだって、少し前はこんなだったっての」 <0142> \{Man}「おまえだって、少し前はこんなだったっての」 // <0143> \{男}「先生、素質とかまったく考えずに連れてくんだからさ」 <0143> \{Man}「先生、素質とかまったく考えずに連れてくんだからさ」 // <0144> \{キャプテン}「だから一向に強くならないんだっての!」 <0144> \{Captain}「だから一向に強くならないんだっての!」 // <0145> \{男}「まあ、遠慮なく食べろよ」 <0145> \{Man}「まあ、遠慮なく食べろよ」 // <0146> \{キャプテン}「おまえ、一銭も払ってねぇっての!」 <0146> \{Captain}「おまえ、一銭も払ってねぇっての!」 // <0147> はははははっ! <0147> はははははっ! // <0148> \{先生}「…坂上くん、遠慮しなくていいんだよ、どうぞ」 <0148> \{Teacher}「…坂上くん、遠慮しなくていいんだよ、どうぞ」 // <0149> \{先生}「ただ、夕食の席にしては、ちょっとばかしうるさいけどね」 <0149> \{Teacher}「ただ、夕食の席にしては、ちょっとばかしうるさいけどね」 // <0150> はぁ…。 <0150> はぁ…。 // <0151> あんたたち、ほんとに陸上部なの? <0151> あんたたち、ほんとに陸上部なの? // <0152> \{部員}「…どうして」 <0152> \{Staff member}「…どうして」 // <0153> すごく遅いから。 <0153> すごく遅いから。 // <0154> \{部員}「なんだ、てめぇ、喧嘩売ってんのか」 <0154> \{Staff member}「なんだ、てめぇ、喧嘩売ってんのか」 // <0155> \{部員}「よし、なら勝負だ」 <0155> \{Staff member}「よし、なら勝負だ」 // <0156> \{部員}「腐っても陸上部なとこ見せてやるよ」 <0156> \{Staff member}「腐っても陸上部なとこ見せてやるよ」 // <0157> \{部員}「…はぁ…はぁ…」 <0157> \{Staff member}「…はぁ…はぁ…」 // <0158> \{部員}「…わりぃ…」 <0158> \{Staff member}「…わりぃ…」 // <0159> \{部員}「…もう一回、勝負してくんない? 今度はキャプテンと」 <0159> \{Staff member}「…もう一回、勝負してくんない? 今度はキャプテンと」 // <0160> \{部員}「てめぇ、キャプテンより早く走んなよっ! まがりなりにもキャプテンなんだぞっ!」 <0160> \{Staff member}「てめぇ、キャプテンより早く走んなよっ! まがりなりにもキャプテンなんだぞっ!」 // <0161> \{部員}「キャプテンなんとかしてくださいよぉっ!」 <0161> \{Staff member}「キャプテンなんとかしてくださいよぉっ!」 // <0162> \{キャプテン}「…だれでもいいから、ほら、追い抜けよ、あいつを!」 <0162> \{Captain}「…だれでもいいから、ほら、追い抜けよ、あいつを!」 // <0163> \{キャプテン}「…このままじゃ、腐っても陸上部が、腐った陸上部になるぞっ!」 <0163> \{Captain}「…このままじゃ、腐っても陸上部が、腐った陸上部になるぞっ!」 // <0164> \{部員}「…いいじゃん、そもそも実ったこともないっての」 <0164> \{Staff member}「…いいじゃん、そもそも実ったこともないっての」 // <0165> …はははははっ! <0165> …はははははっ! // <0166> \{キャプテン}「…てめぇ、まてぇっ!」 <0166> \{Captain}「…てめぇ、まてぇっ!」 // <0167> \{キャプテン}「…くそーっ、すげぇじゃんか、優勝だぞ、一位だぞっ!」 <0167> \{Captain}「…くそーっ、すげぇじゃんか、優勝だぞ、一位だぞっ!」 // <0168> \{キャプテン}「…てめぇは、もううちの部のエースだっ!」 <0168> \{Captain}「…てめぇは、もううちの部のエースだっ!」 // <0169> いや、そもそも入部してないし… <0169> いや、そもそも入部してないし… // <0170> \{キャプテン}「…もうエースなんだよっ、地区で優勝したやつなんて、いねぇよ、俺たちっ!」 <0170> \{Captain}「…もうエースなんだよっ、地区で優勝したやつなんて、いねぇよ、俺たちっ!」 // <0171> \{キャプテン}「くそぅ、悔しいが、てめぇがエースだっ、陸上部は任せたあっ!」 <0171> \{Captain}「くそぅ、悔しいが、てめぇがエースだっ、陸上部は任せたあっ!」 // <0172> \{部員}「…いや、キャプテン、部ごと放棄しないでくださいよ…」 <0172> \{Staff member}「…いや、キャプテン、部ごと放棄しないでくださいよ…」 // <0173> \{部員}「くっそー、こいつ頭もよかったんだよぉっ!」 <0173> \{Staff member}「くっそー、こいつ頭もよかったんだよぉっ!」 // <0174> \{部員}「顔は負けてないんだけどなっ」 <0174> \{Staff member}「顔は負けてないんだけどなっ」 // <0175> \{河南子}「…いや、負けてるし」 <0175> \{Kanako}「…いや、負けてるし」 // <0176> \{部員}「河南子、てめぇーっ!」 <0176> \{Staff member}「河南子、てめぇーっ!」 // <0177> \{河南子}「…ん? やる気?」 <0177> \{Kanako}「…ん? やる気?」 // <0178> \{部員}「…やらねぇよっ、くそーーーっ!」 <0178> \{Staff member}「…やらねぇよっ、くそーーーっ!」 // <0179> なに、強いの、きみ? <0179> なに、強いの、きみ? // <0180> \{河南子}「…ん? 強いよ」 <0180> \{Kanako}「…ん? 強いよ」 // <0181> うちのねぇちゃんも相当強いんだけどさ…どっちが強いんだろう? <0181> うちのねぇちゃんも相当強いんだけどさ…どっちが強いんだろう? // <0182> \{部員}「ばーか、河南子に決まってんじゃん」 <0182> \{Staff member}「ばーか、河南子に決まってんじゃん」 // <0183> \{河南子}「…最強ですよ」 <0183> \{Kanako}「…最強ですよ」 // <0184> \{先生}「…ほら、おまえたち、もう火が通ったぞ」 <0184> \{Teacher}「…ほら、おまえたち、もう火が通ったぞ」 // <0185> \{河南子}「安い肉だけに早いなぁ。ぺらぺらじゃん、これ」 <0185> \{Kanako}「安い肉だけに早いなぁ。ぺらぺらじゃん、これ」 // <0186> \{先生}「…河南子」 <0186> \{Teacher}「…河南子」 // <0187> \{先生}「おまえは誰に似たんだかなぁ」 <0187> \{Teacher}「おまえは誰に似たんだかなぁ」 // <0188> \{先生}「父親はこんなに体が弱いってのにな」 <0188> \{Teacher}「父親はこんなに体が弱いってのにな」 // <0189> \{河南子}「…努力のたまものっすよ」 <0189> \{Kanako}「…努力のたまものっすよ」 // <0190> \{キャプテン}「…おれたち陸上部とちがって、河南子はいい高校に推薦でいけんだろうなあ」 <0190> \{Captain}「…おれたち陸上部とちがって、河南子はいい高校に推薦でいけんだろうなあ」 // <0191> 僕までいっしょにしないでよ。 <0191> 僕までいっしょにしないでよ。 // <0192> \{キャプテン}「…こ、このエースがあぁぁーっ!」 <0192> \{Captain}「…こ、このエースがあぁぁーっ!」 // <0193> それ、怒ってるのか、負けを認めるのかどっちさ…。 <0193> それ、怒ってるのか、負けを認めるのかどっちさ…。 // <0194> \{部員}「…どうだった…」 <0194> \{Staff member}「…どうだった…」 // <0195> ………。 <0195> ………。 // <0196> \{部員}「…ダメ…ふられた…」 <0196> \{Staff member}「…ダメ…ふられた…」 // <0197> \{キャプテン}「…はーはっはっ! 玉砕したぞぉーーーーっ!」 <0197> \{Captain}「…はーはっはっ! 玉砕したぞぉーーーーっ!」 // <0198> \{キャプテン}「…いやっほーーーーーうっ! てめぇも負け組だぁっ!」 <0198> \{Captain}「…いやっほーーーーーうっ! てめぇも負け組だぁっ!」 // <0199> \{キャプテン}「…おまえとおれは永遠の親友だ、よし、今夜は飲もう!」 <0199> \{Captain}「…おまえとおれは永遠の親友だ、よし、今夜は飲もう!」 // <0200> あんたら学生でしょ。 <0200> あんたら学生でしょ。 // <0201> \{キャプテン}「…どうだった…」 <0201> \{Captain}「…どうだった…」 // <0202> ………。 <0202> ………。 // <0203> \{部員}「ふられたさ!」 <0203> \{Staff member}「ふられたさ!」 // <0204> \{キャプテン}「…ひゃっほーーーーう! おまえも今日から仲間入りだ!」 <0204> \{Captain}「…ひゃっほーーーーう! おまえも今日から仲間入りだ!」 // <0205> \{部員}「…あとさ、気になるやつがいるってさ…」 <0205> \{Staff member}「…あとさ、気になるやつがいるってさ…」 // <0206> \{キャプテン}「…え?」 <0206> \{Captain}「…え?」 // <0207> \{キャプテン}「…どこに?」 <0207> \{Captain}「…どこに?」 // <0208> \{部員}「…おれたちの中に」 <0208> \{Staff member}「…おれたちの中に」 // <0209> ………。 <0209> ………。 // <0210> \{キャプテン}「…だれだよ、それ…」 <0210> \{Captain}「…だれだよ、それ…」 // <0211> \{キャプテン}「…鷹文、今、暇か」 <0211> \{Captain}「…鷹文、今、暇か」 // <0212> ごめん、シューズの手入れ中。 <0212> ごめん、シューズの手入れ中。 // <0213> \{キャプテン}「…そんなのおれがやるよ」 <0213> \{Captain}「…そんなのおれがやるよ」 // <0214> え? なんだよいきなり気持ち悪いな… <0214> え? なんだよいきなり気持ち悪いな… // <0215> \{キャプテン}「…河南子が買い出し、手伝ってほしいってさ」 <0215> \{Captain}「…河南子が買い出し、手伝ってほしいってさ」 // <0216> 僕に? <0216> 僕に? // <0217> \{キャプテン}「…そうだよ」 <0217> \{Captain}「…そうだよ」 // <0218> \{河南子}「…お、鷹文、いいところにきた、これから買い出しにいくんだけどさ、手伝ってくんないかな」 <0218> \{Kanako}「…お、鷹文、いいところにきた、これから買い出しにいくんだけどさ、手伝ってくんないかな」 // <0219> いや、河南子が呼んだんでしょ。 <0219> いや、河南子が呼んだんでしょ。 // <0220> \{河南子}「…え?」 <0220> \{Kanako}「…え?」 // <0221> え? <0221> え? // <0222> \{キャプテン}「…ヒントをやろう、たっくん」 <0222> \{Captain}「…ヒントをやろう、たっくん」 // <0223> たっくんて… <0223> たっくんて… // <0224> \{キャプテン}「そいつはな…」 <0224> \{Captain}「そいつはな…」 // <0225> \{キャプテン}「…この中で、一番鈍感なやつだ」 <0225> \{Captain}「…この中で、一番鈍感なやつだ」 // <0226> \{部員}「………」 <0226> \{Staff member}「………」 // <0227> うわ…みんな、なに見てんのさ…コワイよ… <0227> うわ…みんな、なに見てんのさ…コワイよ… // <0228> \{キャプテン}「河南子は待ってんだよ…」 <0228> \{Captain}「河南子は待ってんだよ…」 // <0229> \{キャプテン}「…恋のエースをな」 <0229> \{Captain}「…恋のエースをな」 // <0230> \{部員}「…キャプテン、それほぼ答えっすよ…」 <0230> \{Staff member}「…キャプテン、それほぼ答えっすよ…」 // <0231> あの、河南子… <0231> あの、河南子… // <0232> \{河南子}「…ん?」 <0232> \{Kanako}「…ん?」 // <0233> いや…河南子さん… <0233> いや…河南子さん… // <0234> \{河南子}「………」 <0234> \{Kanako}「………」 // <0235> あなたのことが好きです… <0235> あなたのことが好きです… // <0236> 僕と付き合ってくれませんか… <0236> 僕と付き合ってくれませんか… // <0237> \{河南子}「………」 <0237> \{Kanako}「………」 // <0238> \{河南子}「…いいよ」 <0238> \{Kanako}「…いいよ」 // <0239> やった… <0239> やった… // <0240> \{声}「…よっしゃあああぁぁぁぁーーーーっ!」 <0240> \{Voice}「…よっしゃあああぁぁぁぁーーーーっ!」 // <0241> うわぁ! <0241> うわぁ! // <0242> 今期最高タイムですよ! <0242> 今期最高タイムですよ! // <0243> 先生、先生っ! <0243> 先生、先生っ! // <0244> \{先生}「…よし、よくやったな」 <0244> \{Teacher}「…よし、よくやったな」 // <0245> これで、河南子をくれますかっ! <0245> これで、河南子をくれますかっ! // <0246> \{先生}「…ははは、それはまだだなぁ」 <0246> \{Teacher}「…ははは、それはまだだなぁ」 // <0247> \{先生}「…まだまだそんなんじゃ河南子はやれないなぁ」 <0247> \{Teacher}「…まだまだそんなんじゃ河南子はやれないなぁ」 // <0248> 走ればいいんですね、もっと速く。 <0248> 走ればいいんですね、もっと速く。 // <0249> 走りますよ、僕! <0249> 走りますよ、僕! // <0250> \{鷹文}「あ…」 <0250> \{Takafumi}「あ…」 // <0251> \{鷹文}「うあああぁぁぁぁーーーーーっ!」 <0251> \{Takafumi}「うあああぁぁぁぁーーーーーっ!」 // <0252> \{鷹文}「はぁ…はぁ…」 <0252> \{Takafumi}「はぁ…はぁ…」 // <0253> \{智代}「よし、よくがんばったな、鷹文」 <0253> \{Tomoyo}「よし、よくがんばったな、鷹文」 // <0254> \{鷹文}「………」 <0254> \{Takafumi}「………」 // <0255> \{朋也}「すげぇラストスパートだったな」 <0255> \{Tomoya}「すげぇラストスパートだったな」 // <0256> \{鷹文}「………」 <0256> \{Takafumi}「………」 // <0257> \{鷹文}「…ぼくは…」 <0257> \{Takafumi}「…ぼくは…」 // <0258> \{鷹文}「…優勝した…?」 <0258> \{Takafumi}「…優勝した…?」 // <0259> \{智代}「いや…」 <0259> \{Tomoyo}「いや…」 // <0260> \{鷹文}「負けたの…?」 <0260> \{Takafumi}「負けたの…?」 // <0261> \{鷹文}「一位じゃなかったの…?」 <0261> \{Takafumi}「一位じゃなかったの…?」 // <0262> \{智代}「ああ…」 <0262> \{Tomoyo}「ああ…」 // <0263> \{鷹文}「何位だったの…?」 <0263> \{Takafumi}「何位だったの…?」 // <0264> \{智代}「………」 <0264> \{Tomoyo}「………」 // <0265> \{智代}「それは…」 <0265> \{Tomoyo}「それは…」 // <0266> \{朋也}「31位だ」 <0266> \{Tomoya}「31位だ」 // <0267> \{鷹文}「………」 <0267> \{Takafumi}「………」 // <0268> \{鷹文}「な…」 <0268> \{Takafumi}「な…」 // <0269> \{鷹文}「なんだよ、それ…」 <0269> \{Takafumi}「なんだよ、それ…」 // <0270> \{鷹文}「そんな悪い成績、聞いたことないや…」 <0270> \{Takafumi}「そんな悪い成績、聞いたことないや…」 // <0271> \{鷹文}「はは…」 <0271> \{Takafumi}「はは…」 // <0272> ………。 <0272> ………。 // <0273> ……。 <0273> ……。 // <0274> …。 <0274> …。 // <0275> 先生がいた。 <0275> 先生がいた。 // <0276> いつもと同じ夢だ。 <0276> いつもと同じ夢だ。 // <0277> ただ違うのは、今回は何も言うことがないということだ。 <0277> ただ違うのは、今回は何も言うことがないということだ。 // <0278> 勝てなかったから。 <0278> 勝てなかったから。 // <0279> それでも、報告だけはしておこう…。 <0279> それでも、報告だけはしておこう…。 // <0280> \{鷹文}「先生…」 <0280> \{Takafumi}「先生…」 // <0281> ………。 <0281> ………。 // <0282> 先生は相変わらず黙ったままだ。 <0282> 先生は相変わらず黙ったままだ。 // <0283> \{鷹文}「…先生」 <0283> \{Takafumi}「…先生」 // <0284> \{鷹文}「僕、走りましたよ…」 <0284> \{Takafumi}「僕、走りましたよ…」 // <0285> \{鷹文}「走りました…」 <0285> \{Takafumi}「走りました…」 // <0286> \{鷹文}「でも…」 <0286> \{Takafumi}「でも…」 // <0287> \{鷹文}「ぜんぜんダメで…」 <0287> \{Takafumi}「ぜんぜんダメで…」 // <0288> ………。 <0288> ………。 // <0289> 報告はそれだけだったけど… <0289> 報告はそれだけだったけど… // <0290> でも、まだ言いたいことがあった。 <0290> でも、まだ言いたいことがあった。 // <0291> それは、今までひとりで走っていた時とは違う思いがあったから。 <0291> それは、今までひとりで走っていた時とは違う思いがあったから。 // <0292> \{鷹文}「ダメでしたけど…」 <0292> \{Takafumi}「ダメでしたけど…」 // <0293> \{鷹文}「でも…\p <0293> \{Takafumi}「でも…\p // <0294> 楽しかったです」 <0294> 楽しかったです」 // <0295> ………。 <0295> ………。 // <0296> \{鷹文}「今も、僕の周りには仲間がいてくれて…」 <0296> \{Takafumi}「今も、僕の周りには仲間がいてくれて…」 // <0297> \{鷹文}「それは、先生が集めた陸上部みたいな、毎日馬鹿をしてる人たちで…」 <0297> \{Takafumi}「それは、先生が集めた陸上部みたいな、毎日馬鹿をしてる人たちで…」 // <0298> \{鷹文}「あの頃みたいだったんです…」 <0298> \{Takafumi}「あの頃みたいだったんです…」 // <0299> \{鷹文}「一番楽しくて、幸せだった時…」 <0299> \{Takafumi}「一番楽しくて、幸せだった時…」 // <0300> \{鷹文}「みんながいて、一緒に馬鹿やって、盛り上がって…」 <0300> \{Takafumi}「みんながいて、一緒に馬鹿やって、盛り上がって…」 // <0301> \{鷹文}「それで、そばにはいつもあいつがいてくれて…」 <0301> \{Takafumi}「それで、そばにはいつもあいつがいてくれて…」 // <0302> ………。 <0302> ………。 // <0303> \{鷹文}「先生…」 <0303> \{Takafumi}「先生…」 // <0304> 口が勝手に動く。喋るのを止められない。 <0304> 口が勝手に動く。喋るのを止められない。 // <0305> \{鷹文}「僕は…」 <0305> \{Takafumi}「僕は…」 // <0306> \{鷹文}「先生と…」 <0306> \{Takafumi}「先生と…」 // <0307> \{鷹文}「あのくそ弱い陸上部と…」 <0307> \{Takafumi}「あのくそ弱い陸上部と…」 // <0308> \{鷹文}「河南子が…」 <0308> \{Takafumi}「河南子が…」 // <0309> \{鷹文}「好きでした…」 <0309> \{Takafumi}「好きでした…」 // <0310> \{鷹文}「大好きでした…」 <0310> \{Takafumi}「大好きでした…」 // <0311> ………。 <0311> ………。 // <0312> \{鷹文}「そして…」 <0312> \{Takafumi}「そして…」 // <0313> 言っちゃいけない。その先を。 <0313> 言っちゃいけない。その先を。 // <0314> 僕は、知ってるのに。 <0314> 僕は、知ってるのに。 // <0315> この先に待つ結末を。 <0315> この先に待つ結末を。 // <0316> 辛辣な言葉を。 <0316> 辛辣な言葉を。 // <0317> ずっと僕を苦しめてきた言葉を。 <0317> ずっと僕を苦しめてきた言葉を。 // <0318> でも、僕は… <0318> でも、僕は… // <0319> \{鷹文}「今も僕は…」 <0319> \{Takafumi}「今も僕は…」 // <0320> \{鷹文}「河南子が好きです…」 <0320> \{Takafumi}「河南子が好きです…」 // <0321> \{鷹文}「大好きです」 <0321> \{Takafumi}「大好きです」 // <0322> 言った。 <0322> 言った。 // <0323> ………。 <0323> ………。 // <0324> 先生の口元が震える。 <0324> 先生の口元が震える。 // <0325> その口が… <0325> その口が… // <0326> \{鷹文}「………」 <0326> \{Takafumi}「………」 // <0327> \{鷹文}「え…」 <0327> \{Takafumi}「え…」 // <0328> \{河南子}「許すよ」 <0328> \{Kanako}「許すよ」 // <0329> \{鷹文}「かなこ…」 <0329> \{Takafumi}「かなこ…」 // <0330> \{河南子}「許すから」 <0330> \{Kanako}「許すから」 // <0331> \{河南子}「あたしが許すから…」 <0331> \{Kanako}「あたしが許すから…」 // <0332> \{河南子}「あんたが夢で苦しんだら…」 <0332> \{Kanako}「あんたが夢で苦しんだら…」 // <0333> \{河南子}「あたしがそばで、こうして、許してあげるから…」 <0333> \{Kanako}「あたしがそばで、こうして、許してあげるから…」 // <0334> \{河南子}「許し続けるから」 <0334> \{Kanako}「許し続けるから」 // <0335> \{河南子}「だから、もういいんだよ…」 <0335> \{Kanako}「だから、もういいんだよ…」 // <0336> \{河南子}「もう…夢の中で走らなくても…」 <0336> \{Kanako}「もう…夢の中で走らなくても…」 // <0337> \{鷹文}「もう…」 <0337> \{Takafumi}「もう…」 // <0338> \{鷹文}「…走らなくていいの…?」 <0338> \{Takafumi}「…走らなくていいの…?」 // <0339> \{河南子}「うん、もういいんだよ…」 <0339> \{Kanako}「うん、もういいんだよ…」 // <0340> \{鷹文}「もう…勝たなくていいの?」 <0340> \{Takafumi}「もう…勝たなくていいの?」 // <0341> \{河南子}「勝たなくていいよ」 <0341> \{Kanako}「勝たなくていいよ」 // <0342> \{鷹文}「もう…夢におびえなくていいの…?」 <0342> \{Takafumi}「もう…夢におびえなくていいの…?」 // <0343> \{河南子}「うん、もう、怯えなくていいよ…」 <0343> \{Kanako}「うん、もう、怯えなくていいよ…」 // <0344> \{河南子}「許すよ…ぜんぶ」 <0344> \{Kanako}「許すよ…ぜんぶ」 // <0345> \{河南子}「あたしが許すから…」 <0345> \{Kanako}「あたしが許すから…」 // <0346> \{鷹文}「………」 <0346> \{Takafumi}「………」 // <0347> \{河南子}「だから、もう休みなよ…」 <0347> \{Kanako}「だから、もう休みなよ…」 // <0348> \{河南子}「夢の中でも」 <0348> \{Kanako}「夢の中でも」 // <0349> \{河南子}「…おつかれさま」 <0349> \{Kanako}「…おつかれさま」 // <0350> \{鷹文}「………」 <0350> \{Takafumi}「………」 // <0351> \{鷹文}「う…」 <0351> \{Takafumi}「う…」 // <0352> \{鷹文}「うあぁぁぁーーーー…」 <0352> \{Takafumi}「うあぁぁぁーーーー…」 // <0353> 鷹文は泣いた。 <0353> 鷹文は泣いた。 // <0354> 河南子の胸で。 <0354> 河南子の胸で。 // <0355> 恩師の名を連呼しながら。 <0355> 恩師の名を連呼しながら。 // <0356> その後、鷹文は、俺たちの前で正式に、河南子に交際の再開を申し出た。 <0356> その後、鷹文は、俺たちの前で正式に、河南子に交際の再開を申し出た。 // <0357> それまでは憎まれ口を叩き続けていた河南子だったが、その時ばかりは恥じらい顔で、うん、いいよ、と頷いた。 <0357> それまでは憎まれ口を叩き続けていた河南子だったが、その時ばかりは恥じらい顔で、うん、いいよ、と頷いた。 // <0358> 頬を染めて、嫉妬するぐらいに可愛い顔で。 <0358> 頬を染めて、嫉妬するぐらいに可愛い顔で。 // <0359> あまりに癪だったので、膝蹴りを入れながら、鷹文に飛びかかってやった。 <0359> あまりに癪だったので、膝蹴りを入れながら、鷹文に飛びかかってやった。 // <0360> 智代も感極まったように、河南子に抱きついていた。 <0360> 智代も感極まったように、河南子に抱きついていた。 // <0361> そうして三年間、走り続けてきた鷹文は… <0361> そうして三年間、走り続けてきた鷹文は… // <0362> ようやく走り終えた。 <0362> ようやく走り終えた。 // <0363> 台所からはとんとんと包丁の立てる音。 <0363> 台所からはとんとんと包丁の立てる音。 // <0364> 聞こえてくる音はそれだけだった。 <0364> 聞こえてくる音はそれだけだった。 // <0365> \{朋也}「…静かだ」 <0365> \{Tomoya}「…静かだ」 // <0366> 部屋には、晩ご飯の支度をしている智代と、ともと俺の三人だけ。 <0366> 部屋には、晩ご飯の支度をしている智代と、ともと俺の三人だけ。 // <0367> 河南子は実家に戻っている。 <0367> 河南子は実家に戻っている。 // <0368> 母親と話し合いをするため。 <0368> 母親と話し合いをするため。 // <0369> 鷹文はその付き添いだ。 <0369> 鷹文はその付き添いだ。 // <0370> \{とも}「んーっ」 <0370> \{Tomo}「んーっ」 // <0371> ともが眠そうに伸びをした。 <0371> ともが眠そうに伸びをした。 // <0372> 退屈そうだった。 <0372> 退屈そうだった。 // <0373> あれだけ賑やかだったんだから、仕方がないか。 <0373> あれだけ賑やかだったんだから、仕方がないか。
Script Chart
June | July | August | After | Other | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1st | SEEN0701 | SEEN0801 | SEEN5000 | SEEN7910 | ||||||
2nd | SEEN0702 | SEEN5001 | SEEN7920 | |||||||
3rd | SEEN0803 | SEEN5002 | SEEN7930 | |||||||
4th | SEEN0804 | SEEN5003 | SEEN7940 | |||||||
6th | SEEN0806 | BAD END | SEEN5004 | SEEN7950 | ||||||
SEEN1806 | SEEN5005 | |||||||||
7th | SEEN0707 | SEEN0807 | SEEN5006 | |||||||
8th | SEEN0708 | SEEN0808 | SEEN5007 | |||||||
9th | SEEN0709 | SEEN0809 | SEEN5010 | |||||||
10th | SEEN0710 | SEEN1710 | SEEN0810 | SEEN5011 | ||||||
11th | SEEN0711 | SEEN0811 | SEEN1811 | SEEN2811 | ||||||
12th | SEEN0712 | SEEN0812 | ||||||||
13th | SEEN0713 | SEEN0813 | SEEN1813 | SEEN2813 | ||||||
14th | SEEN0714 | SEEN1714 | SEEN0814 | BAD END | BAD END | BAD END | BAD END | |||
SEEN1814 | SEEN2814 | SEEN3814 | SEEN4814 | |||||||
15th | SEEN0715 | SEEN1715 | SEEN0815 | |||||||
16th | SEEN0716 | SEEN1716 | SEEN0816 | |||||||
17th | SEEN0717 | SEEN0817 | ||||||||
18th | SEEN0818 | |||||||||
19th | SEEN0819 | |||||||||
20th | BAD END | SEEN0820 | ||||||||
SEEN0720 | ||||||||||
21st | SEEN0721 | SEEN0821 | ||||||||
22nd | SEEN0722 | SEEN0822 | ||||||||
23rd | SEEN0723 | SEEN0823 | ||||||||
24th | SEEN0724 | |||||||||
25th | SEEN0725 | |||||||||
26th | SEEN0726 | |||||||||
27th | SEEN0727 | |||||||||
28th | SEEN0628 | SEEN0728 | ||||||||
29th | SEEN0629 | SEEN0729 | ||||||||
30th | SEEN0630 | |||||||||
BAD END | ||||||||||
SEEN0744 |