Difference between revisions of "Tomoyo After:SEEN0811"

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// <0019> ときどきやってくる車内販売にも風情がある。
 
// <0019> ときどきやってくる車内販売にも風情がある。
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<0019> The train's food cart makes an appearance。 *(???)
<0019> ときどきやってくる車内販売にも風情がある。
 
   
 
// <0020> \{河南子}「あ、アイス買ってーっ」
 
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<0020> \{Kanako}「あ、アイス買ってーっ
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<0020> \{Kanako}「Ah, can I buy ice cream?
   
 
// <0021> \{朋也}「仕方のないやつだなぁ…」
 
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<0021> \{Tomoya}「仕方のないやつだなぁ…
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<0021> \{Tomoya}「Nah, no way…
   
 
// <0022> \{朋也}「って、おまえ、さっきも食ってなかったか」
 
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<0022> \{Tomoya}「Didn't you just eat awhile ago?
   
 
// <0023> 販売の女性を見つけ、買い求めた。
 
// <0023> 販売の女性を見つけ、買い求めた。
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<0023> She went to the saleswoman and bought it anyway。
<0023> 販売の女性を見つけ、買い求めた。
 
   
 
// <0024> \{河南子}「でも、こういうのもいいよねー」
 
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<0024> \{Kanako}「でも、こういうのもいいよねー
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<0024> \{Kanako}「This is good, don't you think?
   
 
// <0025> \{河南子}「あー、ともも連れてきてあげたかったなぁ」
 
// <0025> \{河南子}「あー、ともも連れてきてあげたかったなぁ」
<0025> \{Kanako}「あー、ともも連れてきてあげたかったなぁ」
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<0025> \{Kanako}「Ahh、ともも連れてきてあげたかったなぁ」 *(???)
   
 
// <0026> …鷹文は。
 
// <0026> …鷹文は。
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<0026> Our lower bodies were stiff by the time we arrived。
<0026> …鷹文は。
 
 
// <0027> 下半身がこわばりだした頃、ようやく駅に着いた。
 
<0027> 下半身がこわばりだした頃、ようやく駅に着いた。
 
   
 
// <0028> 鷹文が作ってくれた乗換え案内の紙を出して確認する。
 
// <0028> 鷹文が作ってくれた乗換え案内の紙を出して確認する。

Revision as of 18:03, 16 August 2010

Text

// Resources for SEEN0811.TXT

// #character '朋也'
#character 'Tomoya'

// #character '河南子'
#character 'Kanako'

// #character '智代'
#character 'Tomoyo'

// #character '女性'
#character 'Woman'

// #character '管理人'
#character 'Manager'

// #character '有子'
#character 'Yuuko'


// <0000> 8月11日(水)
<0000> August 11th (Wed)

// <0001> 早朝。
<0001> 早朝。

// <0002> 仕事に出かける時間よりも早く、駅に集まっていた。
<0002> We gathered at the station, earlier than the time I would be at work.

// <0003> それぞれ大きめの鞄を持っていた。数日分の着替えなどが入っている。
<0003> Each of us had a large bag containing few days worth of clothes.

// <0004> \{朋也}「忘れ物ないな」
<0004> \{Tomoya} "Did you guys forget anything?"

// <0005> \{河南子}「んなことしるかー」
<0005> \{Kanako} "Like I care!"

// <0006> \{智代}「大丈夫だ」
<0006> \{Tomoyo} "Everything is fine."

// <0007> ふたりとも制服姿だった。できるだけ品行よく見せるための努力だ。
<0007> Two of them were in uniforms. It was our possible effort to make a good impression.

// <0008> 特に河南子は言動からだと不良少女だと取られかねないので、強制的に家にまで取りにいかせた。
<0008> Especially Kanako, who has bad behavior, can easily be seen as a delinquent. So we forced her to bring her own uniform.

// <0009> \{智代}「それより、旅費のほうが心配なのだが…」
<0009> \{Tomoyo} "Rather, I'm more worried about expenses ..."

// <0010> \{朋也}「…まあ、寸志もらったからな」
<0010> \{Tomoya} "Well, I got a bonus."

// <0011> 駅でチケットを買うと、結構な金額になった。
<0011> When I actually bought the ticket from the station, the price added up to be a huge amount.

// <0012> 親方から手渡しでもらった寸志があったので、三人分の往復と宿代ぐらいは何とかなるだろう。
<0012> But since my boss had given me a bonus, it should be enough to buy ticket and lodging for three people.

// <0013> 日々の生活も考えていかなくてはいけない。
<0013> I must also consider our daily expenses.

// <0014> \{朋也}「時間、大丈夫か?」
<0014> \{Tomoya} "Are we too late?"

// <0015> \{智代}「あと20分くらいあるな」
<0015> \{Tomoyo} "We still have another 20 minutes."

// <0016> \{河南子}「ねー、アイス買っていい?」
<0016> \{Kanako} "Can I go get an ice cream?"

// <0017> \{朋也}「仕方のないやつだなぁ…」
<0017> \{Tomoya} "You just can't be helped, can you?"

// <0018> 車窓を流れる風景は、それなりに楽しかった。
<0018> Watching the scenery through the train's window is fun in its own way。

// <0019> ときどきやってくる車内販売にも風情がある。
<0019> The train's food cart makes an appearance。 *(???)

// <0020> \{河南子}「あ、アイス買ってーっ」
<0020> \{Kanako}「Ah, can I buy ice cream?」

// <0021> \{朋也}「仕方のないやつだなぁ…」
<0021> \{Tomoya}「Nah, no way…」

// <0022> \{朋也}「って、おまえ、さっきも食ってなかったか」
<0022> \{Tomoya}「Didn't you just eat awhile ago?」

// <0023> 販売の女性を見つけ、買い求めた。
<0023> She went to the saleswoman and bought it anyway。

// <0024> \{河南子}「でも、こういうのもいいよねー」
<0024> \{Kanako}「This is good, don't you think?」

// <0025> \{河南子}「あー、ともも連れてきてあげたかったなぁ」
<0025> \{Kanako}「Ahh、ともも連れてきてあげたかったなぁ」 *(???)

// <0026> …鷹文は。
<0026> Our lower bodies were stiff by the time we arrived。

// <0028> 鷹文が作ってくれた乗換え案内の紙を出して確認する。
<0028> 鷹文が作ってくれた乗換え案内の紙を出して確認する。

// <0029> \{朋也}「ここからバスか」
<0029> \{Tomoya}「ここからバスか」

// <0030> まだまだ時間がかかりそうだ。
<0030> まだまだ時間がかかりそうだ。

// <0031> バスは街道を抜け、山道へと入った。
<0031> バスは街道を抜け、山道へと入った。

// <0032> 民家が少しずつ消えていき、田畑と山林が広がっていく。
<0032> 民家が少しずつ消えていき、田畑と山林が広がっていく。

// <0033> そして、目的地のバス停に到着した。
<0033> そして、目的地のバス停に到着した。

// <0034> 降りがけ、バスの運転手に聞いたところ、時々人の出入りがあるらしかった。
<0034> 降りがけ、バスの運転手に聞いたところ、時々人の出入りがあるらしかった。

// <0035> 道は一本だから迷うことはないが、遠いよと同情してくれた。
<0035> 道は一本だから迷うことはないが、遠いよと同情してくれた。

// <0036> \{朋也}「けっこう歩くみたいだな」
<0036> \{Tomoya}「けっこう歩くみたいだな」

// <0037> \{智代}「先に昼を済ませたほうがよさそうだな」
<0037> \{Tomoyo}「先に昼を済ませたほうがよさそうだな」

// <0038> とはいえ、店は小さな雑貨屋しか見えない。
<0038> とはいえ、店は小さな雑貨屋しか見えない。

// <0039> \{河南子}「あ、アイスも買っていい?」
<0039> \{Kanako}「あ、アイスも買っていい?」

// <0040> \{朋也}「仕方のないやつだなぁ…」
<0040> \{Tomoya}「仕方のないやつだなぁ…」

// <0041> \{朋也}「って、仕方ないことあるかっ」
<0041> \{Tomoya}「って、仕方ないことあるかっ」

// <0042> \{朋也}「何本目だよっ」
<0042> \{Tomoya}「何本目だよっ」

// <0043> \{智代}「まあ、高いものでもなし、いいじゃないか」
<0043> \{Tomoyo}「まあ、高いものでもなし、いいじゃないか」

// <0044> \{朋也}「仕方のないやつだなぁ…」
<0044> \{Tomoya}「仕方のないやつだなぁ…」

// <0045> そこでパンとアイスを買い求め、近くのベンチに座り昼飯を済ませる。
<0045> そこでパンとアイスを買い求め、近くのベンチに座り昼飯を済ませる。

// <0046> 徒歩で山道に入る。
<0046> 徒歩で山道に入る。

// <0047> \{河南子}「鬱蒼としてますな、うっそーってぐらい」
<0047> \{Kanako}「鬱蒼としてますな、うっそーってぐらい」

// <0048> \{智代}「このへんは、湿度が低いのか、涼しく感じるぐらいだな」
<0048> \{Tomoyo}「このへんは、湿度が低いのか、涼しく感じるぐらいだな」

// <0049> \{智代}「夏場でも住み心地がいいんだろうな」
<0049> \{Tomoyo}「夏場でも住み心地がいいんだろうな」

// <0050> 河南子のだじゃれを素でスルーする智代。
<0050> 河南子のだじゃれを素でスルーする智代。

// <0051> \{河南子}「先輩、河南は傷つきました」
<0051> \{Kanako}「先輩、河南は傷つきました」

// <0052> \{智代}「なにうなだれてるんだ?」
<0052> \{Tomoyo}「なにうなだれてるんだ?」

// <0053> 智代につっこみの素質はない。そう考えると、河南子と智代の相性は最悪なのかもしれない。
<0053> 智代につっこみの素質はない。そう考えると、河南子と智代の相性は最悪なのかもしれない。

// <0054> 今まで、鷹文か俺が相手をしてやっていたから、河南子は自然に振る舞えていたのではないだろうか。
<0054> 今まで、鷹文か俺が相手をしてやっていたから、河南子は自然に振る舞えていたのではないだろうか。

// <0055> \{河南子}「いいんだ、ひとりで石の裏にうごめく虫でも眺めるんだ…」
<0055> \{Kanako}「いいんだ、ひとりで石の裏にうごめく虫でも眺めるんだ…」

// <0056> いじけたように、しゃがみ込む河南子。
<0056> いじけたように、しゃがみ込む河南子。

// <0057> \{河南子}「あぶなーーーい! 松ぼっくりトラップだああぁあーーーっ!」
<0057> \{Kanako}「あぶなーーーい! 松ぼっくりトラップだああぁあーーーっ!」

// <0058> ひょいひょいと松ぼっくりを投げてくる。
<0058> ひょいひょいと松ぼっくりを投げてくる。

// <0059> 俺と智代の体にいくつも当たる。
<0059> 俺と智代の体にいくつも当たる。

// <0060> \{河南子}「少しはよけろよ、おまえら」
<0060> \{Kanako}「少しはよけろよ、おまえら」

// <0061> \{朋也}「いや、おまえこそ少しは落ち着けよ」
<0061> \{Tomoya}「いや、おまえこそ少しは落ち着けよ」

// <0062> \{河南子}「あんたたちの危機感を試してみたんだよ」
<0062> \{Kanako}「あんたたちの危機感を試してみたんだよ」

// <0063> \{河南子}「ぜんぜんなってないね。本気で投げてたら、おまえら死んでたぞ」
<0063> \{Kanako}「ぜんぜんなってないね。本気で投げてたら、おまえら死んでたぞ」

// <0064> つっこんでやる
<0064> つっこんでやる

// <0065> 放っておいてみる
<0065> 放っておいてみる

// <0066> \{朋也}「死ぬか」
<0066> \{Tomoya}「死ぬか」

// <0067> \{河南子}「これが高速で回転してたらすげぇえぐりそうじゃないか。こう自ら潜っていく感じで」
<0067> \{Kanako}「これが高速で回転してたらすげぇえぐりそうじゃないか。こう自ら潜っていく感じで」

// <0068> \{朋也}「そんな高速回転させられないから安心しろ」
<0068> \{Tomoya}「そんな高速回転させられないから安心しろ」

// <0069> \{河南子}「なんだとぅ? おまえら、明日の朝刊一面に『松ぼっくりが刺さってひとりが死亡ひとりが重体』って飾らせてやろうか…」
<0069> \{Kanako}「なんだとぅ? おまえら、明日の朝刊一面に『松ぼっくりが刺さってひとりが死亡ひとりが重体』って飾らせてやろうか…」

// <0070> \{朋也}「あほなこと言ってないで、いくぞ。こんなペースじゃ日が暮れちまうぞ」
<0070> \{Tomoya}「あほなこと言ってないで、いくぞ。こんなペースじゃ日が暮れちまうぞ」

// <0071> \{智代}「そうだな。急ごう」
<0071> \{Tomoyo}「そうだな。急ごう」

// <0072> 智代と俺が歩き出す。背後からなんか聞こえ続けるが無視し続ける。
<0072> 智代と俺が歩き出す。背後からなんか聞こえ続けるが無視し続ける。

// <0073> 一時間ほど歩いただろうか。ようやく視界が開けた。
<0073> 一時間ほど歩いただろうか。ようやく視界が開けた。

// <0074> …放っておいてみる。
<0074> …放っておいてみる。

// <0075> すると、智代がすっと一歩前に出た。
<0075> すると、智代がすっと一歩前に出た。

// <0076> \{智代}「あのな、河南子」
<0076> \{Tomoyo}「あのな、河南子」

// <0077> \{河南子}「うん?」
<0077> \{Kanako}「うん?」

// <0078> \{智代}「松ぼっくりが当たったぐらいで、人は死なない」
<0078> \{Tomoyo}「松ぼっくりが当たったぐらいで、人は死なない」

// <0079> \{河南子}「…うん」
<0079> \{Kanako}「…うん」

// <0080> \{智代}「………」
<0080> \{Tomoyo}「………」

// <0081> \{河南子}「………」
<0081> \{Kanako}「………」

// <0082> …見ろ、この相性の悪さを。
<0082> …見ろ、この相性の悪さを。

// <0083> しばらく放っておいてみよう。
<0083> しばらく放っておいてみよう。

// <0084> 俺たちは先へと進む。
<0084> 俺たちは先へと進む。

// <0085> \{河南子}「待って…」
<0085> \{Kanako}「待って…」

// <0086> \{智代}「どうした」
<0086> \{Tomoyo}「どうした」

// <0087> \{河南子}「ここ、さっき通った道だよ…」
<0087> \{Kanako}「ここ、さっき通った道だよ…」

// <0088> \{智代}「え?」
<0088> \{Tomoyo}「え?」

// <0089> \{河南子}「この木さ…」
<0089> \{Kanako}「この木さ…」

// <0090> 河南子が一本の大木に手を添える。
<0090> 河南子が一本の大木に手を添える。

// <0091> \{河南子}「さっき、あたしが植えたんだ…」
<0091> \{Kanako}「さっき、あたしが植えたんだ…」

// <0092> \{河南子}「あたしたち…同じ場所をぐるぐる回ってるよ…」
<0092> \{Kanako}「あたしたち…同じ場所をぐるぐる回ってるよ…」

// <0093> \{智代}「あのな、河南子」
<0093> \{Tomoyo}「あのな、河南子」

// <0094> \{河南子}「うん?」
<0094> \{Kanako}「うん?」

// <0095> \{智代}「そんな大きな木は、植えられない」
<0095> \{Tomoyo}「そんな大きな木は、植えられない」

// <0096> \{智代}「嘘ついてるだろ」
<0096> \{Tomoyo}「嘘ついてるだろ」

// <0097> \{河南子}「はい、ついてました」
<0097> \{Kanako}「はい、ついてました」

// <0098> \{智代}「嘘はよくないぞ」
<0098> \{Tomoyo}「嘘はよくないぞ」

// <0099> \{河南子}「はい、すいません」
<0099> \{Kanako}「はい、すいません」

// <0100> さらに進む。
<0100> さらに進む。

// <0101> \{河南子}「待って…」
<0101> \{Kanako}「待って…」

// <0102> \{智代}「どうした」
<0102> \{Tomoyo}「どうした」

// <0103> \{河南子}「鷹文が…いない…」
<0103> \{Kanako}「鷹文が…いない…」

// <0104> \{智代}「家だ」
<0104> \{Tomoyo}「家だ」

// <0105> \{河南子}「…うん」
<0105> \{Kanako}「…うん」

// <0106> さらに進む。
<0106> さらに進む。

// <0107> \{河南子}「まって…」
<0107> \{Kanako}「まって…」

// <0108> ………。
<0108> ………。

// <0109> \{河南子}「とおりがかりのりきしなんやけど…」
<0109> \{Kanako}「とおりがかりのりきしなんやけど…」

// <0110> ………。
<0110> ………。

// <0111> \{河南子}「じぶんら、りょうごくこくぎかん、しらん?」
<0111> \{Kanako}「じぶんら、りょうごくこくぎかん、しらん?」

// <0112> \{河南子}「あれ? どっちいったらいいんやろ…」
<0112> \{Kanako}「あれ? どっちいったらいいんやろ…」

// <0113> \{河南子}「かどばんやから、あせるわー…」
<0113> \{Kanako}「かどばんやから、あせるわー…」

// <0114> さらに進む。
<0114> さらに進む。

// <0115> \{河南子}「拾えや、こらあぁぁーーっ!」
<0115> \{Kanako}「拾えや、こらあぁぁーーっ!」

// <0116> ついに河南子がキレて、詰め寄ってくる。
<0116> ついに河南子がキレて、詰め寄ってくる。

// <0117> \{河南子}「てめぇが拾わずに誰が拾うんだよっ」
<0117> \{Kanako}「てめぇが拾わずに誰が拾うんだよっ」

// <0118> \{河南子}「なにしにきてんだ、てめぇはっ!」
<0118> \{Kanako}「なにしにきてんだ、てめぇはっ!」

// <0119> \{朋也}「………」
<0119> \{Tomoya}「………」

// <0120> \{智代}「なんだ、河南子? なにを怒ってるんだ」
<0120> \{Tomoyo}「なんだ、河南子? なにを怒ってるんだ」

// <0121> \{河南子}「この人、わざと黙ってるんです」
<0121> \{Kanako}「この人、わざと黙ってるんです」

// <0122> \{朋也}「いや、しゃべれるけど」
<0122> \{Tomoya}「いや、しゃべれるけど」

// <0123> \{河南子}「なら、拾えやっ、こらぁっ」
<0123> \{Kanako}「なら、拾えやっ、こらぁっ」

// <0124> \{朋也}「………」
<0124> \{Tomoya}「………」

// <0125> \{智代}「拾う? なにをだ」
<0125> \{Tomoyo}「拾う? なにをだ」

// <0126> \{河南子}「あたしのギャグ」
<0126> \{Kanako}「あたしのギャグ」

// <0127> \{智代}「…ギャグ?」
<0127> \{Tomoyo}「…ギャグ?」

// <0128> \{河南子}「こいつ、それをわざと流してるんです」
<0128> \{Kanako}「こいつ、それをわざと流してるんです」

// <0129> \{智代}「流す?」
<0129> \{Tomoyo}「流す?」

// <0130> \{河南子}「………」
<0130> \{Kanako}「………」

// <0131> \{河南子}「うあああぁぁーーっ! あたしの存在価値0じゃんっ」
<0131> \{Kanako}「うあああぁぁーーっ! あたしの存在価値0じゃんっ」

// <0132> おまえの存在はギャグがすべてなのか。
<0132> おまえの存在はギャグがすべてなのか。

// <0133> \{河南子}「帰ります」
<0133> \{Kanako}「帰ります」

// <0134> \{智代}「こら、こんなところで勝手なことを言い出すな」
<0134> \{Tomoyo}「こら、こんなところで勝手なことを言い出すな」

// <0135> \{河南子}「じゃあ、拾って。こいつの代わりに拾って、ねぇ、拾ってよぉ」
<0135> \{Kanako}「じゃあ、拾って。こいつの代わりに拾って、ねぇ、拾ってよぉ」

// <0136> \{智代}「拾えと言われても、どうすればいいのか…」
<0136> \{Tomoyo}「拾えと言われても、どうすればいいのか…」

// <0137> \{河南子}「真に受けて、驚いた後、ありえないことに気づいて、否定して」
<0137> \{Kanako}「真に受けて、驚いた後、ありえないことに気づいて、否定して」

// <0138> \{智代}「なんだそれは…難しいことを要求するな…」
<0138> \{Tomoyo}「なんだそれは…難しいことを要求するな…」

// <0139> 先へ進む。
<0139> 先へ進む。

// <0140> \{河南子}「待って…」
<0140> \{Kanako}「待って…」

// <0141> \{智代}「どうした」
<0141> \{Tomoyo}「どうした」

// <0142> \{河南子}「ここ、さっき通った道だよ…」
<0142> \{Kanako}「ここ、さっき通った道だよ…」

// <0143> \{智代}「え?」
<0143> \{Tomoyo}「え?」

// <0144> \{河南子}「この木さ…」
<0144> \{Kanako}「この木さ…」

// <0145> 先ほどと同じように一本の大木に手を添える。
<0145> 先ほどと同じように一本の大木に手を添える。

// <0146> \{河南子}「さっき、あたしが植えたんだ…」
<0146> \{Kanako}「さっき、あたしが植えたんだ…」

// <0147> \{智代}「へぇ」
<0147> \{Tomoyo}「へぇ」

// <0148> \{智代}「すごいなあ、河南子は」
<0148> \{Tomoyo}「すごいなあ、河南子は」

// <0149> \{智代}「力持ちなんだなあ」
<0149> \{Tomoyo}「力持ちなんだなあ」

// <0150> \{智代}「なかなかできることじゃないぞ」
<0150> \{Tomoyo}「なかなかできることじゃないぞ」

// <0151> \{智代}「いや、無理じゃないか…?」
<0151> \{Tomoyo}「いや、無理じゃないか…?」

// <0152> \{智代}「うん、無理だ」
<0152> \{Tomoyo}「うん、無理だ」

// <0153> \{智代}「無理だ、河南子」
<0153> \{Tomoyo}「無理だ、河南子」

// <0154> \{河南子}「………」
<0154> \{Kanako}「………」

// <0155> \{河南子}「う…うわああぁぁぁぁーーーん…」
<0155> \{Kanako}「う…うわああぁぁぁぁーーーん…」

// <0156> あまりのぐだぐださに泣き崩れる河南子。
<0156> あまりのぐだぐださに泣き崩れる河南子。

// <0157> \{朋也}「ほら、馬鹿やってないで、いこう」
<0157> \{Tomoya}「ほら、馬鹿やってないで、いこう」

// <0158> \{朋也}「ようやく見えてきたぞ」
<0158> \{Tomoya}「ようやく見えてきたぞ」

// <0159> 冗談もここまでだ。
<0159> 冗談もここまでだ。

// <0160> 山道が途切れ、目の前に見えたのは、どこかで見たような風景だった。
<0160> 山道が途切れ、目の前に見えたのは、どこかで見たような風景だった。

// <0161> イメージにあるような田舎の家が点在し、広がる畑では青々と野菜が生っている。
<0161> イメージにあるような田舎の家が点在し、広がる畑では青々と野菜が生っている。

// <0162> ちらほらと見える農作業を行う人々と、高台にはひときわ大きな家屋があり、そこの周囲にも人影が見えた。
<0162> ちらほらと見える農作業を行う人々と、高台にはひときわ大きな家屋があり、そこの周囲にも人影が見えた。

// <0163> \{智代}「…のどかなところだな」
<0163> \{Tomoyo}「…のどかなところだな」

// <0164> \{河南子}「でも見かけだけかもしれないよ。部外者だと知れたら、いきなり襲いかかってくるかも」
<0164> \{Kanako}「でも見かけだけかもしれないよ。部外者だと知れたら、いきなり襲いかかってくるかも」

// <0165> \{河南子}「用心して進みましょう」
<0165> \{Kanako}「用心して進みましょう」

// <0166> \{河南子}「先頭はあたしがいきます」
<0166> \{Kanako}「先頭はあたしがいきます」

// <0167> 河南子を先頭に、人のいる方へと足を進めた。
<0167> 河南子を先頭に、人のいる方へと足を進めた。

// <0168> 畑では、時折農作業に勤しむ人が見えた。
<0168> 畑では、時折農作業に勤しむ人が見えた。

// <0169> 何も聞けなかった。
<0169> 何も聞けなかった。

// <0170> 声をかけると誰もかれも、びっくりしたように逃げてしまうか、押し黙ってしまうかのどちらかなのだ。
<0170> 声をかけると誰もかれも、びっくりしたように逃げてしまうか、押し黙ってしまうかのどちらかなのだ。

// <0171> \{朋也}「襲われるどころか、逃げられまくりだな…」
<0171> \{Tomoya}「襲われるどころか、逃げられまくりだな…」

// <0172> \{河南子}「隠れて相談をしてるんですよ、きっと」
<0172> \{Kanako}「隠れて相談をしてるんですよ、きっと」

// <0173> \{朋也}「いや、逃げた人たち遠くにいるじゃん。ほら」
<0173> \{Tomoya}「いや、逃げた人たち遠くにいるじゃん。ほら」

// <0174> \{河南子}「えー、あれ、同じ奴かー?」
<0174> \{Kanako}「えー、あれ、同じ奴かー?」

// <0175> \{智代}「同じ人だ」
<0175> \{Tomoyo}「同じ人だ」

// <0176> 智代がはっきり答えた。
<0176> 智代がはっきり答えた。

// <0177> \{智代}「作業の邪魔をしてしまったみたいだな。どこう」
<0177> \{Tomoyo}「作業の邪魔をしてしまったみたいだな。どこう」

// <0178> 畑から遠ざかると、それまでと同じように農作業に戻る住人の姿が確認できた。
<0178> 畑から遠ざかると、それまでと同じように農作業に戻る住人の姿が確認できた。

// <0179> \{河南子}「…どうする? 帰る?」
<0179> \{Kanako}「…どうする? 帰る?」

// <0180> \{朋也}「帰るわけないだろ…」
<0180> \{Tomoya}「帰るわけないだろ…」

// <0181> \{朋也}「誰かに聞きつづけるしかない。なにもわからないんだから」
<0181> \{Tomoya}「誰かに聞きつづけるしかない。なにもわからないんだから」

// <0182> 遠くから蝉の泣き声が響く。
<0182> 遠くから蝉の泣き声が響く。

// <0183> 日向に出れば日差しは夏を思わせたが、山より吹き降ろす風が涼しく心地よい。
<0183> 日向に出れば日差しは夏を思わせたが、山より吹き降ろす風が涼しく心地よい。

// <0184> あぜ道は舗装されてなく、ただの土が顔を覗かせていた。
<0184> あぜ道は舗装されてなく、ただの土が顔を覗かせていた。

// <0185> ひときわ大きな家屋に辿り着くと、庭へ続く門の側にひとりの男性がいた。
<0185> ひときわ大きな家屋に辿り着くと、庭へ続く門の側にひとりの男性がいた。

// <0186> \{朋也}「あの、すみません」
<0186> \{Tomoya}「あの、すみません」

// <0187> 返事はなかった。
<0187> 返事はなかった。

// <0188> \{朋也}「ちょっと訊ねたいことがあるんだけど」
<0188> \{Tomoya}「ちょっと訊ねたいことがあるんだけど」

// <0189> だが、男はそのまま黙りこんでしまう。
<0189> だが、男はそのまま黙りこんでしまう。

// <0190> そのかわり、奥にあった建物を指差してから、畑の方向へ走り去っていった。
<0190> そのかわり、奥にあった建物を指差してから、畑の方向へ走り去っていった。

// <0191> \{河南子}「ちっ…また逃げやがった…」
<0191> \{Kanako}「ちっ…また逃げやがった…」

// <0192> \{朋也}「…いけってことか?」
<0192> \{Tomoya}「…いけってことか?」

// <0193> \{智代}「うん、そうだろう」
<0193> \{Tomoyo}「うん、そうだろう」

// <0194> 木造の建物は、ひんやりとしていた。
<0194> 木造の建物は、ひんやりとしていた。

// <0195> 丁寧に磨かれた床は、木目にワックスが塗られ、差し込む日の光を反射している。
<0195> 丁寧に磨かれた床は、木目にワックスが塗られ、差し込む日の光を反射している。

// <0196> 外見とは違い、手入れが行き届いていた。
<0196> 外見とは違い、手入れが行き届いていた。

// <0197> \{朋也}「すみません」
<0197> \{Tomoya}「すみません」

// <0198> 返事はない。
<0198> 返事はない。

// <0199> \{朋也}「ごめんくださーい」
<0199> \{Tomoya}「ごめんくださーい」

// <0200> \{女性}「…はいはい、聞こえてるわよ」
<0200> \{Woman}「…はいはい、聞こえてるわよ」

// <0201> 気だるそうに出てきたのは、ひとりの女性だった。
<0201> The languid came out was a woman.

// <0202> \{女性}「いらっしゃい、何か用?」
<0202> \{Woman}"Come, for what?"

// <0203> \{河南子}「おー、口聞いてるぞ、この人、ひゃっほー」
<0203> \{Kanako}"Oh, heard about this guy, Yahoo Hi."

// <0204> \{智代}「こら」
<0204> \{Tomoyo}"Hey."

// <0205> 智代が河南子の軽口をたしなめる。
<0205> Kanako challenges Tomoyo.

// <0206> \{朋也}「あの、ちょっと人を探してるんだけど」
<0206> \{Tomoya}"I'm looking for a person."

// <0207> \{女性}「ひと? 誰を?」
<0207> \{Woman}"Who?"

// <0208> \{朋也}「三島っていう人」
<0208> \{Tomoya}"Her name is Mishima."

// <0209> \{女性}「三島さん、三島さん…ああ、有子さんね」
<0209> \{Woman}"Mr. Mishima, Mishima's ... oh, its Yuuko."

// <0210> \{朋也}「ここにいるのか?」
<0210> \{Tomoya}"Why are you here?"

// <0211> \{女性}「いるわよ」
<0211> \{Woman}"Yes, I do."

// <0212> 彼女は面白くもなさそうに言った。
<0212> She said might not be interesting.

// <0213> \{女性}「あんたたち、有子さんの知り合いとか?」
<0213> \{Woman}"You guys, is Yuuko's friend?"

// <0214> \{河南子}「どっちかといえば家族に近いね」
<0214> \{Kanako}"I close or comfortable speaking families."

// <0215> \{女性}「あれま、有子さんに家族居るなんて、初めて聞いたわ」
<0215> \{Woman}"Until then, I stay Yuuko's family, I heard."

// <0216> 俺も初耳だ。
<0216> I also havn't heard before.

// <0217> \{河南子}「こちらの先輩、智代さんって言うんですけど、三島さんは…えーと、何になるんでしたっけ?」
<0217> \{Kanako}"My senpai, Tomoyo is Mr. Mishima's, what was it?"

// <0218> \{智代}「一応義理の母、ということになるか」
<0218> \{Tomoyo}"My mother-in-law once, or it will be."

// <0219> \{河南子}「で、こっちの男が朋也で智代さんの彼氏」
<0219> \{Kanako}"This is her boyfriend, Tomoya."

// <0220> \{河南子}「そのうち結婚するだろうから、こっちも家族ですね」
<0220> \{Kanako}"They'll will be married soon."

// <0221> \{朋也}「勝手に決めるなよ」
<0221> \{Tomoya}"Dont decide just yet."

// <0222> 見ると、目の前の女性はくすくすと笑っていた。
<0222> The women in front of us giggled and laughed.

// <0223> \{女性}「わかったわ、それでどうしたいわけ?」
<0223> \{Woman}"You dont want it?"

// <0224> \{朋也}「会わせてもらえますか」
<0224> \{Tomoya}"Can you meet them."

// <0225> \{女性}「私の一存じゃ無理よ。本人に聞いてくるから、ちょっと待っててもらえる?」
<0225> \{Woman}"Ill force my discretion. To ask the person, they will wait?"

// <0226> 女性は奥へと消えていった。
<0226> The woman disappeared into the depths.

// <0227> やがて、許可が出たのか、女性が奥から手招きしてくれた。
<0227> Eventually got permission to do, a woman who has beckoned from the back.

// <0228> 薄暗い廊下を歩くと、きし、きし、と音を立てた。
<0228> Dim hallway and walk, set a tone.

// <0229> \{朋也}「…この建物、なんなんだ?」
<0229> \{Tomoya}"What is this building?"

// <0230> \{女性}「元々は病院なんだけどね」
<0230> \{Woman}"Its originally a hospital."

// <0231> \{朋也}「じゃ、今は?」
<0231> \{Tomoya}"Well, now?"

// <0232> \{女性}「うーん、病院みたいなもの」
<0232> \{Woman}"Well, its like a hospital."

// <0233> 女性は口を濁した。
<0233> Women muddy mouth.

// <0234> \{女性}「ここの村ね、あんまり普通の人、来ないから」
<0234> \{Woman}"Its a village where average person come much."

// <0235> \{女性}「初めは祖父が、この病院を作ったの」
<0235> \{Woman}"My grandfather made this hospital."

// <0236> \{女性}「戦前くらいかな、このあたりの山々には全く病院がなくてね」
<0236> \{Woman}"Its build about the war, when mountain are dangerous and hospitals are filled with the injured."

// <0237> 女性はかいつまんで、この村のことを話してくれた。
<0237> The woman make long story short, told me that this village.

// <0238> この村に住んでいる人々は、町や都会に適応できなかったりした人らしい。
<0238> The people living in this village is like a decent person that they cant live to towns and cities.

// <0239> どこか心を痛め、傷ついている人たちを最初は治療の一環として入院してもらった。
<0239> Somewhere in a taking, the first people who got hurt in the hospital as part of treatment.

// <0240> だが、女性の祖父が引退し、病院がなくなった。
<0240> But when my grandfather retired, this is no longer a hospital.

// <0241> \{女性}「だから、私がその跡をついで管理人になったわけ」
<0241> \{Woman}"So now people dont manage that I followed that trail."

// <0242> \{河南子}「ふーん、じゃ、お医者さんなんですか?」
<0242> \{Kanako}"Are you a doctor?"

// <0243> \{女性}「医者じゃないわ、管理人よ」
<0243> \{Woman}"I'm not a doctor, a manage the people here."

// <0244> 階段を登ると、古めかしい引き戸が連なり、一番奥だけが閉まっていた。
<0244> Climb the stairs, sliding in the old sequence only the innermost was closed.

// <0245> その戸を軽くノックする女性。
<0245> The woman open the door.

// <0246> \{管理人}「有子さん、起きてる?」
<0246> \{Manager}"Yuuko, you awake?"

// <0247> ややあって、小さく、はい、と聞こえた。
<0247> Yes, I heard.

// <0248> 前に聞いた声だった。
<0248> I heard the voice earlier.

// <0249> 部屋に入ると、母親はベッドに寝かされていた。
<0249> When we arrived, mother was in bed.

// <0250> その向こうには、大きく切り取られた窓があった。
<0250> Beyond that, there was a large window cut.

// <0251> 谷合の坂道が見え、左側に覆い被さるような山があった。
<0251> When I see the slope there was overlap with the mountains as cover on the left.

// <0252> \{管理人}「お客さんよ。親戚だって」
<0252> \{Manager}"I have customers, even relatives."

// <0253> 俺はなんとなくばつが悪くなり、黙って頭を下げた。
<0253> I became somewhat embarrassed, bowed in silence.

// <0254> \{管理人}「じゃ、私は仕事に戻るから、何かあったら呼んでね」
<0254> \{Manager}"Well, I'm going back to from work, I had something to do."

// <0255> 備え付けのパイプ椅子を勧められ、俺たちは座った。
<0255> Were sitting in the chairs built-pipe.

// <0256> \{有子}「…どうして、ここが?」
<0256> \{Yuuko}"Why are you here?"

// <0257> \{朋也}「いろいろ調べてね」
<0257> \{Tomoya}"You look different."

// <0258> \{朋也}「これとか」
<0258> \{Tomoya}"Or this."

// <0259> 俺は手紙を差し出した。何度となく読んだそれは、封筒の角や便せんが擦り切れていた。
<0259> I handed the letter. Its worn in the corner of the envelope or letter I read it again and again.

// <0260> \{朋也}「あとは、窓の向こうの景色とかね」
<0260> \{Tomoya}"After that, I like the scenery beyond the window."

// <0261> \{朋也}「あの山だろ? 春には桜が見えるって」
<0261> \{Tomoya}"Do you see cherry blossoms in spring in this mountain?"

// <0262> \{有子}「そう…ですね」
<0262> \{Yuuko}"Yes, we've got."

// <0263> 指差した山のふもとには若干色の違う木々が見えた。
<0263> At the foot of the mountain looked slightly different colored trees.

// <0264> はっきりとはわからないが、一斉に咲く桜を思い浮かべることができた。
<0264> I could think of cherry blossoms bloom all at once.

// <0265> \{有子}「手紙は…消印ですか?」
<0265> \{Yuuko}"Why is the letter was postmarked?"

// <0266> \{朋也}「それもあるけど、決め手のひとつになったのはこっち」
<0266> \{Tomoya}"But there it was one of the decisive factor here."

// <0267> 俺は便せんを見せる。
<0267> I show the Stationary.

// <0268> \{朋也}「これ、珍しい和紙なんだってな」
<0268> \{Tomoya}"This paper is unusual."

// <0269> 母親は不思議そうに見てから、小さく頷いた。
<0269> Yuuko curiously do a small nod after seeing this.

// <0270> \{有子}「そうですね…ここの特産品だそうですから」
<0270> \{Yuuko}"Well ... It seems that this is my specialties here."

// <0271> \{有子}「管理人さんが筆を使うなら、と持ってきてくださったんです…」
<0271> \{Yuuko}"If you use a brush, I brought with us ..."

// <0272> 俺たちの背後を窺う。
<0272> A peep behind us.

// <0273> \{有子}「ともは…来ていませんでしょうか?」
<0273> \{Yuuko}"Why dont you come?"

// <0274> \{朋也}「ああ、家で留守番してるよ。こいつの弟に任せてる」
<0274> \{Tomoya}"Oh, I'm answering the telephone at home. I leave it to this guys brother."

// <0275> \{智代}「しっかり者だから、心配ない」
<0275> \{Tomoyo}"Hes strong, so no worries."

// <0276> \{有子}「そうですか…よかった」
<0276> \{Yuuko}"Ah ... good."

// <0277> \{朋也}「何で、よかったんだ?」
<0277> \{Tomoya}"Whats good?"

// <0278> ふと、俺は疑問に思った。
<0278> Suddenly, I wondered.

// <0279> ともに会いたくないわけはない。それなら写真すらいらないはずだ。
<0279> So dont you miss Tomo. Photos shouldn't need that.

// <0280> \{有子}「今更もう会えません」
<0280> \{Yuuko}"See each other now."

// <0281> \{智代}「それは…あなたが今もとものことを愛してるからだ」
<0281> \{Tomoyo}"Its also because I still love you."

// <0282> 智代が床を見つめたままつぶやく。
<0282> Tomoyo looked at the floor without murmur.

// <0283> \{智代}「だから、会えなくてほっとしてるんだ…」
<0283> \{Tomoyo}"I'm relieved that we dont meet ..."

// <0284> \{智代}「それは矛盾したような感情だ」
<0284> \{Tomoyo}"Its contradicting my emotions."

// <0285> \{智代}「でも、今ならわかるんだ、そんな心情も…そうさせる何かが起こりえることも」
<0285> \{Tomoyo}"But I tell you now, the feelings cant be anything happen to it."

// <0286> 智代がゆっくり顔を上げる。
<0286> Tomoyo looked up slowly.

// <0287> \{智代}「だから、聞かせてほしい…」
<0287> \{Tomoyo}"So I want to hear ..."

// <0288> \{智代}「そのために私たちはここに来たんだ」
<0288> \{Tomoyo}"So we've got to come here."

// <0289> \{智代}「あなたをそこまで追い込んだもの…」
<0289> \{Tomoyo}"What forced you to do this ..."

// <0290> \{智代}「それはなんなんだ」
<0290> \{Tomoyo}"That is what I."

// <0291> 相手の目を真正面から見据えて、言った。
<0291> Tomoyo said, focusing on the opponents head.

// <0292> 母親はしばらく表情も変えず止まっていた。
<0292> She stopped for a while with straight.

// <0293> 智代も、瞬きもせず、その口が開くのを待った。その真剣な表情はどれだけ時間が過ぎようと崩れることはなかった。
<0293> Tomoyo is also, without blinking, collapse and serious expression that wasn't how much time waiting to open their mouth.

// <0294> 智代の真摯な思いが伝わったのだろう。
<0294> I would be sincerely transmitted to Tomoyo.

// <0295> \{有子}「わかりました。お話しましょう」
<0295> \{Yuuko}"Okay. You talk."

// <0296> 静かに口は開かれた。
<0296> Quiet open mouth.

// <0297> 語られるは、彼女の半生。
<0297>Will be that told for her early life.

// <0298> 身よりのない彼女は、ずっとひとりで夜の仕事をしていた。
<0298> She have no and family and working all night.

// <0299> 智代の父親との出会い。
<0299> Tomoyo encounter his father.

// <0300> 初めて知る愛という情念。
<0300> Sentiments of love to know first.

// <0301> そして絶望。
<0301> そして絶望。

// <0302> その中で、生まれてきた小さな命。
<0302> その中で、生まれてきた小さな命。

// <0303> それを希望に生き始めた新しい日々。
<0303> それを希望に生き始めた新しい日々。

// <0304> だが生活はひっ迫し、娘を守るためには夜の仕事を続けるしかなかった。
<0304> だが生活はひっ迫し、娘を守るためには夜の仕事を続けるしかなかった。

// <0305> そのことで他の母子との摩擦が起きる。
<0305> そのことで他の母子との摩擦が起きる。

// <0306> 自分の仕事が知れ渡ってしまうと、ともと子供を遊ばせてくれる親はいなくなっていた。
<0306> 自分の仕事が知れ渡ってしまうと、ともと子供を遊ばせてくれる親はいなくなっていた。

// <0307> 園内でも、ひとりきりで遊ぶとも。
<0307> 園内でも、ひとりきりで遊ぶとも。

// <0308> その姿を見たら、自分が嫌になった。
<0308> その姿を見たら、自分が嫌になった。

// <0309> 自分を呪った。
<0309> 自分を呪った。

// <0310> それでも、生きるためには働くしかなかった。
<0310> それでも、生きるためには働くしかなかった。

// <0311> 精神もぼろぼろになり、やがて過労で倒れた。
<0311> 精神もぼろぼろになり、やがて過労で倒れた。

// <0312> 運び込まれた小さな病院は、彼女に大きな病院を紹介した。
<0312> 運び込まれた小さな病院は、彼女に大きな病院を紹介した。

// <0313> そこで知らされるのは、過労とはまったく関係のない病名。
<0313> そこで知らされるのは、過労とはまったく関係のない病名。

// <0314> ドラマでよく聞くような病名。
<0314> ドラマでよく聞くような病名。

// <0315> 身よりのない彼女はその後、さらに辛辣な現実を告げられる。
<0315> 身よりのない彼女はその後、さらに辛辣な現実を告げられる。

// <0316> すでに手遅れだということを。
<0316> すでに手遅れだということを。

// <0317> …錯乱。
<0317> …錯乱。

// <0318> 自分ひとりの面倒も見ることができなくなった彼女は、ともを父親に託すことを思いつく。
<0318> 自分ひとりの面倒も見ることができなくなった彼女は、ともを父親に託すことを思いつく。

// <0319> そして、ひとりになった彼女は自分の居場所を求めた。
<0319> そして、ひとりになった彼女は自分の居場所を求めた。

// <0320> 辿り着いた場所がここだった。
<0320> 辿り着いた場所がここだった。

// <0321> \{有子}「ここには、何もありません」
<0321> \{Yuuko}「ここには、何もありません」

// <0322> \{有子}「あるのは、ひっそりとしたその日の暮らしだけ」
<0322> \{Yuuko}「あるのは、ひっそりとしたその日の暮らしだけ」

// <0323> \{有子}「ここなら、余生を過ごせると思いました」
<0323> \{Yuuko}「ここなら、余生を過ごせると思いました」

// <0324> \{有子}「だから私は、この場所で暮らすことにしました」
<0324> \{Yuuko}「だから私は、この場所で暮らすことにしました」

// <0325> 俺たちは、入れられたお茶を飲んでいた。
<0325> 俺たちは、入れられたお茶を飲んでいた。

// <0326> 誰もが押し黙り、今告げられた事実を飲み下していた。
<0326> 誰もが押し黙り、今告げられた事実を飲み下していた。

// <0327> すでに母親の姿はない。
<0327> すでに母親の姿はない。

// <0328> まだ作業があるからと言って、退室していた。
<0328> まだ作業があるからと言って、退室していた。

// <0329> その時の母親の表情は、本当に何気ないものだった。
<0329> その時の母親の表情は、本当に何気ないものだった。

// <0330> \{河南子}「なんか言えよ…」
<0330> \{Kanako}「なんか言えよ…」

// <0331> 河南子が俺の膝をつつきながら、囁いてくる。
<0331> 河南子が俺の膝をつつきながら、囁いてくる。

// <0332> \{朋也}「それおまえの役目だろ…」
<0332> \{Tomoya}「それおまえの役目だろ…」

// <0333> 耳打ちで返す。
<0333> 耳打ちで返す。

// <0334> \{河南子}「重すぎるよ…」
<0334> \{Kanako}「重すぎるよ…」

// <0335> \{河南子}「こんな展開、予想だにしてなかったっての…」
<0335> \{Kanako}「こんな展開、予想だにしてなかったっての…」

// <0336> \{河南子}「今なに言っても、笑えないじゃん…」
<0336> \{Kanako}「今なに言っても、笑えないじゃん…」

// <0337> \{朋也}「おまえのはいつだって笑えねぇよ…」
<0337> \{Tomoya}「おまえのはいつだって笑えねぇよ…」

// <0338> \{河南子}「そんなこと今言うなよ…ショックだよ…軽く鬱はいるよ…」
<0338> \{Kanako}「そんなこと今言うなよ…ショックだよ…軽く鬱はいるよ…」

// <0339> \{朋也}「思い出してみろよ…おまえが来てから、誰か笑ってた記憶あるのかよ…」
<0339> \{Tomoya}「思い出してみろよ…おまえが来てから、誰か笑ってた記憶あるのかよ…」

// <0340> \{河南子}「………」
<0340> \{Kanako}「………」

// <0341> \{河南子}「うわ、ねぇよー」
<0341> \{Kanako}「うわ、ねぇよー」

// <0342> \{河南子}「なんだこれー、なんでこんな時にあたし、別のことでショック受けてんだー、わけわかんねー」
<0342> \{Kanako}「なんだこれー、なんでこんな時にあたし、別のことでショック受けてんだー、わけわかんねー」

// <0343> \{朋也}「今こそ、挽回しろよ…」
<0343> \{Tomoya}「今こそ、挽回しろよ…」

// <0344> \{河南子}「今こそって、今笑わすの、生きてきた中で一番難易度高いよ…」
<0344> \{Kanako}「今こそって、今笑わすの、生きてきた中で一番難易度高いよ…」

// <0345> \{朋也}「むしろ笑えるかもしれねぇだろ…」
<0345> \{Tomoya}「むしろ笑えるかもしれねぇだろ…」

// <0346> \{河南子}「まじかよー…」
<0346> \{Kanako}「まじかよー…」

// <0347> \{朋也}「ああ、この空気でだったら、何言われても笑ってしまうな…」
<0347> \{Tomoya}「ああ、この空気でだったら、何言われても笑ってしまうな…」

// <0348> \{朋也}「だから言え…そして、この空気を変えてくれ…おまえならできる…否、おまえにしかできない…」
<0348> \{Tomoya}「だから言え…そして、この空気を変えてくれ…おまえならできる…否、おまえにしかできない…」

// <0349> \{河南子}「なんだ…? そこまであたしを必要としているのか…」
<0349> \{Kanako}「なんだ…? そこまであたしを必要としているのか…」

// <0350> \{朋也}「ああ…頼む…」
<0350> \{Tomoya}「ああ…頼む…」

// <0351> \{河南子}「わかった…やってみるよ…」
<0351> \{Kanako}「わかった…やってみるよ…」

// <0352> すぅ、と息を飲む音。その口が開かれる。
<0352> すぅ、と息を飲む音。その口が開かれる。

// <0353> \{河南子}「たすけてーどらえもーん」
<0353> \{Kanako}「たすけてーどらえもーん」

// <0354> \{河南子}「ぱらぱぱっぱぱ~ん! どらみちゃん」
<0354> \{Kanako}「ぱらぱぱっぱぱ~ん! どらみちゃん」

// <0355> \{朋也}「………」
<0355> \{Tomoya}「………」

// <0356> 終わったのか…?
<0356> 終わったのか…?

// <0357> \{朋也}「は…はは…ははははは…」
<0357> \{Tomoya}「Ha…Haha…Hahahahaha…」

// <0358> 意味はわからなかったが、無理してでも笑ってみせる。
<0358> 意味はわからなかったが、無理してでも笑ってみせる。

// <0359> \{河南子}「ラクすんなよ!って話でさ」
<0359> \{Kanako}「ラクすんなよ!って話でさ」

// <0360> \{河南子}「ぜんぶ、それで済むじゃんねー」
<0360> \{Kanako}「ぜんぶ、それで済むじゃんねー」

// <0361> \{朋也}「はは…河南子はおもしれーなー」
<0361> \{Tomoya}「はは…河南子はおもしれーなー」

// <0362> \{河南子}「よかったー、先輩もおもしろかったー?」
<0362> \{Kanako}「よかったー、先輩もおもしろかったー?」

// <0363> \{河南子}「うわぁ! ありえないぐらい重苦しい顔してるっ」
<0363> \{Kanako}「うわぁ! ありえないぐらい重苦しい顔してるっ」

// <0364> \{智代}「………」
<0364> \{Tomoyo}「………」

// <0365> すがるような目が俺に向いた。まぶたを閉じれば涙がこぼれそうに潤んでいた。
<0365> すがるような目が俺に向いた。まぶたを閉じれば涙がこぼれそうに潤んでいた。

// <0366> \{朋也}「河南子、おまえ、アイス買いにいくんだろ?」
<0366> \{Tomoya}「河南子、おまえ、アイス買いにいくんだろ?」

// <0367> \{河南子}「いや、こんなところで売ってないし…」
<0367> \{Kanako}「いや、こんなところで売ってないし…」

// <0368> \{朋也}「じゃ、作れよ」
<0368> \{Tomoya}「じゃ、作れよ」

// <0369> \{河南子}「………」
<0369> \{Kanako}「………」

// <0370> \{河南子}「わかったよ…」
<0370> \{Kanako}「わかったよ…」

// <0371> \{河南子}「がんばれば、できるんかなー…」
<0371> \{Kanako}「がんばれば、できるんかなー…」

// <0372> 空気を察してか、大人しく部屋を後にする河南子。
<0372> 空気を察してか、大人しく部屋を後にする河南子。

// <0373> ドアが閉じると、智代はしばらくの沈黙の後漏らした。
<0373> ドアが閉じると、智代はしばらくの沈黙の後漏らした。

// <0374> \{智代}「私は浅はかだった…」
<0374> \{Tomoyo}「私は浅はかだった…」

// <0375> \{智代}「一方的に、母親が悪いと決めてかかっていたんだ…」
<0375> \{Tomoyo}「一方的に、母親が悪いと決めてかかっていたんだ…」

// <0376> \{朋也}「知らなかったんだから仕方ないだろ」
<0376> \{Tomoya}「知らなかったんだから仕方ないだろ」

// <0377> \{智代}「でも、もう知ってしまった…」
<0377> \{Tomoyo}「でも、もう知ってしまった…」

// <0378> \{智代}「想像してみろ…」
<0378> \{Tomoyo}「想像してみろ…」

// <0379> \{智代}「それがどれだけの恐怖かを…」
<0379> \{Tomoyo}「それがどれだけの恐怖かを…」

// <0380> 自分の手を見ていた。それは細かく震えていた。
<0380> 自分の手を見ていた。それは細かく震えていた。

// <0381> \{朋也}「やめとけ」
<0381> \{Tomoya}「Cut it out」

// <0382> その手を押さえつけるように握る。
<0382> その手を押さえつけるように握る。

// <0383> \{智代}「朋也…」
<0383> \{Tomoyo}「朋也…」

// <0384> \{智代}「震えが止まらないんだ…」
<0384> \{Tomoyo}「震えが止まらないんだ…」

// <0385> \{智代}「どうしようもないんだ…」
<0385> \{Tomoyo}「どうしようもないんだ…」

// <0386> \{朋也}「大丈夫だ」
<0386> \{Tomoya}「大丈夫だ」

// <0387> そのまま抱きしめてやる。
<0387> そのまま抱きしめてやる。

// <0388> もたれかかるようにして智代は崩れた。
<0388> もたれかかるようにして智代は崩れた。

// <0389> ようやく体を起こす。
<0389> ようやく体を起こす。

// <0390> そして、ゆっくりと俺を見た。泣いてはいなかった。
<0390> そして、ゆっくりと俺を見た。泣いてはいなかった。

// <0391> ただこの一瞬で、憔悴しきっていた。
<0391> ただこの一瞬で、憔悴しきっていた。

// <0392> \{智代}「これからどうすればいいんだろう…」
<0392> \{Tomoyo}「これからどうすればいいんだろう…」

// <0393> そう呟いた。
<0393> そう呟いた。

// <0394> \{朋也}「あの人はもうすぐなくなる…」
<0394> \{Tomoya}「あの人はもうすぐなくなる…」

// <0395> \{朋也}「そして、ともは本当の意味で母親を失うんだ…」
<0395> \{Tomoya}「そして、ともは本当の意味で母親を失うんだ…」

// <0396> \{朋也}「それを考えれば、わかるだろ…?」
<0396> \{Tomoya}「それを考えれば、わかるだろ…?」

// <0397> \{智代}「え…」
<0397> \{Tomoyo}「え…」

// <0398> 困惑した顔。
<0398> 困惑した顔。

// <0399> \{智代}「………」
<0399> \{Tomoyo}「………」

// <0400> 俺が黙っていると、目を瞑って真剣に考え始める。
<0400> 俺が黙っていると、目を瞑って真剣に考え始める。

// <0401> \{朋也}「…わからないのか?」
<0401> \{Tomoya}「…You don't know?」

// <0402> \{智代}「待ってくれ…」
<0402> \{Tomoyo}「待ってくれ…」

// <0403> \{智代}「………」
<0403> \{Tomoyo}「………」

// <0404> \{朋也}「ふたりは…どうすべきなんだ?」
<0404> \{Tomoya}「ふたりは…どうすべきなんだ?」

// <0405> そこまで言ってやる。
<0405> そこまで言ってやる。

// <0406> \{智代}「ふたりは…」
<0406> \{Tomoyo}「ふたりは…」

// <0407> \{智代}「一緒に暮らすべき…なのか?」
<0407> \{Tomoyo}「一緒に暮らすべき…なのか?」

// <0408> \{朋也}「ああ、そうだ」
<0408> \{Tomoya}「ああ、そうだ」

// <0409> \{智代}「そうか…そうだな…」
<0409> \{Tomoyo}「そうか…そうだな…」

// <0410> \{朋也}「当然だろ」
<0410> \{Tomoya}「当然だろ」

// <0411> \{智代}「うん…当然だった」
<0411> \{Tomoyo}「うん…当然だった」

// <0412> \{朋也}「よし、じゃあ、いくぞ」
<0412> \{Tomoya}「よし、じゃあ、いくぞ」

// <0413> \{智代}「え、どこに?」
<0413> \{Tomoyo}「え、どこに?」

// <0414> \{智代}「帰るのか?」
<0414> \{Tomoyo}「帰るのか?」

// <0415> \{朋也}「帰るかよ。母親の説得だ」
<0415> \{Tomoya}「帰るかよ。母親の説得だ」

// <0416> \{智代}「ああ、そうだな…それが先だな」
<0416> \{Tomoyo}「ああ、そうだな…それが先だな」

// <0417> \{智代}「よし、いこう」
<0417> \{Tomoyo}「よし、いこう」

// <0418> 出口に向かうその目には、何も映っていないように見えた。
<0418> 出口に向かうその目には、何も映っていないように見えた。

// <0419> \{朋也}「おまえさ…」
<0419> \{Tomoya}「おまえさ…」

// <0420> その肩を掴む。
<0420> その肩を掴む。

// <0421> \{智代}「え、どうした」
<0421> \{Tomoyo}「え、どうした」

// <0422> \{朋也}「おまえ、大丈夫か?」
<0422> \{Tomoya}「おまえ、大丈夫か?」

// <0423> \{智代}「私が…どうかしたのか?」
<0423> \{Tomoyo}「私が…どうかしたのか?」

// <0424> ふぅ…と俺はため息をつく。
<0424> ふぅ…と俺はため息をつく。

// <0425> 今の智代は自分の心で動いていない。
<0425> 今の智代は自分の心で動いていない。

// <0426> 俺に言われるがままにしているだけだ。
<0426> 俺に言われるがままにしているだけだ。

// <0427> あるいは、言葉だけで理解して、感情で理解していない。
<0427> あるいは、言葉だけで理解して、感情で理解していない。

// <0428> …いつか心が追いついてくれるだろうか。
<0428> …いつか心が追いついてくれるだろうか。

// <0429> それを願って、部屋を後にした。
<0429> それを願って、部屋を後にした。

// <0430> ふたりは畑にいた。
<0430> ふたりは畑にいた。

// <0431> 俺たちが寄っていくと、母親の前に管理人が立ちはだかった。
<0431> 俺たちが寄っていくと、母親の前に管理人が立ちはだかった。

// <0432> けど、母親は構わない、と手で制して、ゆっくり前に歩み出た。
<0432> けど、母親は構わない、と手で制して、ゆっくり前に歩み出た。

// <0433> 冷ややかな表情のまま、無言でこちらの言葉を待つ。
<0433> 冷ややかな表情のまま、無言でこちらの言葉を待つ。

// <0434> 俺は口を開いた。
<0434> 俺は口を開いた。

// <0435> \{朋也}「あんたは今もとものことを愛してる」
<0435> \{Tomoya}「あんたは今もとものことを愛してる」

// <0436> \{朋也}「だったら、一緒に暮らせばいいじゃないか」
<0436> \{Tomoya}「だったら、一緒に暮らせばいいじゃないか」

// <0437> \{朋也}「呼んでやればいいじゃないか、ここに」
<0437> \{Tomoya}「呼んでやればいいじゃないか、ここに」

// <0438> \{有子}「あなたはここのことをなにも知らない」
<0438> \{Yuuko}「あなたはここのことをなにも知らない」

// <0439> \{有子}「ここは、子供の住む場所ではありません」
<0439> \{Yuuko}「ここは、子供の住む場所ではありません」

// <0440> \{有子}「ここには何もない」
<0440> \{Yuuko}「ここには何もない」

// <0441> \{有子}「ここに暮らすみんなも、何かがない。失ってるんです。失い続けてるんです」
<0441> \{Yuuko}「ここに暮らすみんなも、何かがない。失ってるんです。失い続けてるんです」

// <0442> \{有子}「そういう人が暮らす場所なんです」
<0442> \{Yuuko}「そういう人が暮らす場所なんです」

// <0443> 俺は思い出す。話もしてくれなかった住人たちのことを。
<0443> 俺は思い出す。話もしてくれなかった住人たちのことを。

// <0444> \{有子}「ここは旅の終点なんです」
<0444> \{Yuuko}「ここは旅の終点なんです」

// <0445> 旅の、終点。
<0445> 旅の、終点。

// <0446> \{有子}「この先にはなにもない」
<0446> \{Yuuko}「この先にはなにもない」

// <0447> \{有子}「未来も希望もすべてがあるあの子をここに連れてくるわけにはいきません」
<0447> \{Yuuko}「未来も希望もすべてがあるあの子をここに連れてくるわけにはいきません」

// <0448> ………。
<0448> ………。

// <0449> 話は終わったのだろうか…。
<0449> 話は終わったのだろうか…。

// <0450> なら言い返さなければ…。
<0450> なら言い返さなければ…。

// <0451> じゃあ、あんたがここから出ていけばいい。
<0451> じゃあ、あんたがここから出ていけばいい。

// <0452> そんな文句を思いつくが、それはあまりに軽々しかった。
<0452> そんな文句を思いつくが、それはあまりに軽々しかった。

// <0453> 彼女の半生を知った今…
<0453> 彼女の半生を知った今…

// <0454> その旅の終点へと辿り着いた彼女に、また過酷の中へ出向けと…
<0454> その旅の終点へと辿り着いた彼女に、また過酷の中へ出向けと…

// <0455> 言えるのだろうか、俺は。
<0455> 言えるのだろうか、俺は。

// <0456> \{有子}「それに…」
<0456> \{Yuuko}「それに…」

// <0457> \{有子}「今、他人になっておけば、あの子は、私の死を知らずに済む」
<0457> \{Yuuko}「今、他人になっておけば、あの子は、私の死を知らずに済む」

// <0458> なんだよ、それ…。
<0458> なんだよ、それ…。

// <0459> 違う気がする。
<0459> 違う気がする。

// <0460> でも、もう俺の中からは言葉が出てこない。
<0460> でも、もう俺の中からは言葉が出てこない。

// <0461> 俺は隣を見る。
<0461> 俺は隣を見る。

// <0462> 同じように立ちつくす智代と目が合う。
<0462> 同じように立ちつくす智代と目が合う。

// <0463> \{智代}「………」
<0463> \{Tomoyo}「………」

// <0464> 智代は無言のまま顔を伏せた。
<0464> 智代は無言のまま顔を伏せた。

// <0465> \{管理人}「ようは…」
<0465> \{Manager}「ようは…」

// <0466> \{管理人}「ふたりにとって、これが、一番よかった」
<0466> \{Manager}「ふたりにとって、これが、一番よかった」

// <0467> \{管理人}「そういうこと」
<0467> \{Manager}「そういうこと」

// <0468> そう管理人がまとめて、ふたりは作業に戻っていった。
<0468> そう管理人がまとめて、ふたりは作業に戻っていった。

// <0469> 一際セミの鳴き声が大きくなり、耳を塞ぎたくなった。
<0469> 一際セミの鳴き声が大きくなり、耳を塞ぎたくなった。

// <0470> \{管理人}「納得できた?」
<0470> \{Manager}「納得できた?」

// <0471> \{朋也}「いや」
<0471> \{Tomoya}「No」

// <0472> 俺は首を振った。
<0472> 俺は首を振った。

// <0473> 納得はしない。
<0473> 納得はしない。

// <0474> \{管理人}「そうなの」
<0474> \{Manager}「That's right」

// <0475> 別にどっちでも構わない、というような返事。
<0475> 別にどっちでも構わない、というような返事。

// <0476> こういう事態にも慣れているのかもしれない。
<0476> こういう事態にも慣れているのかもしれない。

// <0477> 管理人は、俺たちの茶碗にお茶を注いでくれた。
<0477> 管理人は、俺たちの茶碗にお茶を注いでくれた。

// <0478> \{朋也}(悪い人じゃないんだろうな)
<0478> \{Tomoya}(悪い人じゃないんだろうな)

// <0479> そう考えながら、横顔をじっと見ていた。
<0479> そう考えながら、横顔をじっと見ていた。

// <0480> \{管理人}「ところで、あんたたち、どうやって帰るの?」
<0480> \{Manager}「ところで、あんたたち、どうやって帰るの?」

// <0481> その顔がこちらを向く。
<0481> その顔がこちらを向く。

// <0482> \{朋也}「行きはバスで来たけど」
<0482> \{Tomoya}「行きはバスで来たけど」

// <0483> \{管理人}「もう、最終便には間に合わないわよ」
<0483> \{Manager}「もう、最終便には間に合わないわよ」

// <0484> \{河南子}「えー」
<0484> \{Kanako}「えー」

// <0485> 時計を見ると、午後五時を回ったところだ。
<0485> 時計を見ると、午後五時を回ったところだ。

// <0486> \{朋也}「早いな」
<0486> \{Tomoya}「早いな」

// <0487> \{管理人}「田舎のバスだから五時半で終わっちゃうのよ」
<0487> \{Manager}「田舎のバスだから五時半で終わっちゃうのよ」

// <0488> \{管理人}「間に合わないかも知れないけど、タクシーでも呼ぶ?」
<0488> \{Manager}「間に合わないかも知れないけど、タクシーでも呼ぶ?」

// <0489> これくらい、と言われた金額は、少々高いものだったが、払えないことはない。
<0489> これくらい、と言われた金額は、少々高いものだったが、払えないことはない。

// <0490> しかし、このまま帰ってしまってもいいのだろうか。
<0490> しかし、このまま帰ってしまってもいいのだろうか。

// <0491> ともを手放した理由を知るという目的は果たした。
<0491> ともを手放した理由を知るという目的は果たした。

// <0492> でも、納得はしていない。
<0492> でも、納得はしていない。

// <0493> だから、まだここを去るわけにはいかない。
<0493> だから、まだここを去るわけにはいかない。

// <0494> \{朋也}「あの…俺たちの寝床、なんとかならないかな」
<0494> \{Tomoya}「あの…俺たちの寝床、なんとかならないかな」

// <0495> \{管理人}「まぁ、使ってない部屋はあるし、布団も用意できるけど」
<0495> \{Manager}「まぁ、使ってない部屋はあるし、布団も用意できるけど」

// <0496> \{河南子}「やったー!」
<0496> \{Kanako}「YAY!」

// <0497> \{管理人}「じゃあ、特別ね。一応は有子さんの身内だし」
<0497> \{Manager}「じゃあ、特別ね。一応は有子さんの身内だし」

// <0498> よかった。突然押しかけた俺たちに寝床まで用意してもらえるなんて普通は考えられない。
<0498> よかった。突然押しかけた俺たちに寝床まで用意してもらえるなんて普通は考えられない。

// <0499> 申し訳ない、と頭を下げておく。
<0499> 申し訳ない、と頭を下げておく。

// <0500> \{管理人}「帰れないんじゃ仕方ないでしょ」
<0500> \{Manager}「帰れないんじゃ仕方ないでしょ」

// <0501> 管理人が立ち上がる。
<0501> 管理人が立ち上がる。

// <0502> \{管理人}「じゃあ、夕飯の準備してくるわ」
<0502> \{Manager}「じゃあ、夕飯の準備してくるわ」

// <0503> \{河南子}「わーい」
<0503> \{Kanako}「わーい」

// <0504> \{管理人}「スーパーも、コンビニもここにはないからね」
<0504> \{Manager}「スーパーも、コンビニもここにはないからね」

// <0505> \{朋也}「手伝ってもいいかな」
<0505> \{Tomoya}「手伝ってもいいかな」

// <0506> \{管理人}「どうぞ」
<0506> \{Manager}「どうぞ」

// <0507> 俺は智代を見る。しばらくぼぅっとしていたが、目が合うと、思い出したように立ち上がった。
<0507> 俺は智代を見る。しばらくぼぅっとしていたが、目が合うと、思い出したように立ち上がった。

// <0508> そして管理人の後に続く。
<0508> そして管理人の後に続く。

// <0509> \{朋也}「おまえもこいよ」
<0509> \{Tomoya}「おまえもこいよ」

// <0510> \{河南子}「えー」
<0510> \{Kanako}「えー」

// <0511> \{朋也}「何を手伝ったらいい?」
<0511> \{Tomoya}「何を手伝ったらいい?」

// <0512> 広めの台所では所狭しと、村人が食事を作っていた。
<0512> 広めの台所では所狭しと、村人が食事を作っていた。

// <0513> \{管理人}「じゃ、そっちの野菜切ってくれる?」
<0513> \{Manager}「じゃ、そっちの野菜切ってくれる?」

// <0514> \{管理人}「それ、サラダにするから」
<0514> \{Manager}「それ、サラダにするから」

// <0515> \{管理人}「切り方とか盛りつけは任せるから、好きにしていいわよ」
<0515> \{Manager}「切り方とか盛りつけは任せるから、好きにしていいわよ」

// <0516> 籠に積まれたトマトとキュウリを示しながら、管理人は別の作業に取りかかっていた。
<0516> 籠に積まれたトマトとキュウリを示しながら、管理人は別の作業に取りかかっていた。

// <0517> 智代は手早くトマトを八分にし、キュウリを塩もみした後、乱切りにした。
<0517> 智代は手早くトマトを八分にし、キュウリを塩もみした後、乱切りにした。

// <0518> \{管理人}「あら、男っぽい口調のわりに、器用なのね。そういうこと疎いのかと思ってた」
<0518> \{Manager}「あら、男っぽい口調のわりに、器用なのね。そういうこと疎いのかと思ってた」

// <0519> 管理人は素直な驚きを口にしていた。
<0519> 管理人は素直な驚きを口にしていた。

// <0520> 俺も見様見真似で包丁を扱う。
<0520> 俺も見様見真似で包丁を扱う。

// <0521> ひゅん! 
<0521> ひゅん! 

// <0522> ひゅん!
<0522> ひゅん!

// <0523> 隣では河南子が片手で包丁を振り回していた。
<0523> 隣では河南子が片手で包丁を振り回していた。

// <0524> \{朋也}「あぶねぇよ、おまえっ」
<0524> \{Tomoya}「Oi you! That's dangerous」

// <0525> \{河南子}「んだよ、やるのか、てめー」
<0525> \{Kanako}「んだよ、やるのか、てめー」

// <0526> \{朋也}「それ持って言うな、まじ恐いからさ…」
<0526> \{Tomoya}「それ持って言うな、まじ恐いからさ…」

// <0527> \{智代}「危ないからやめろ」
<0527> \{Tomoyo}「危ないからやめろ」

// <0528> 智代が河南子の手から包丁を取り上げる。
<0528> 智代が河南子の手から包丁を取り上げる。

// <0529> \{智代}「河南子は、そっちで皿を並べてくれ」
<0529> \{Tomoyo}「河南子は、そっちで皿を並べてくれ」

// <0530> \{河南子}「えー」
<0530> \{Kanako}「えー」

// <0531> \{朋也}「おまえさっきからロクなセリフ言ってないな…」
<0531> \{Tomoya}「おまえさっきからロクなセリフ言ってないな…」

// <0532> 病院で見るようなカートに大鍋などを乗せて、一部屋ずつ回る。
<0532> 病院で見るようなカートに大鍋などを乗せて、一部屋ずつ回る。

// <0533> \{朋也}「…あのさ、こういうとこだとみんなで食べたりとかしないのか?」
<0533> \{Tomoya}「…あのさ、こういうとこだとみんなで食べたりとかしないのか?」

// <0534> \{管理人}「たまにはあるけど、あんまりしないわね」
<0534> \{Manager}「たまにはあるけど、あんまりしないわね」

// <0535> \{管理人}「一緒に暮らしてるけど、やっぱり人の目が気になったり、もめたりするから」
<0535> \{Manager}「一緒に暮らしてるけど、やっぱり人の目が気になったり、もめたりするから」

// <0536> \{管理人}「食事とか自由な時間はひとりにしているのよ」
<0536> \{Manager}「食事とか自由な時間はひとりにしているのよ」

// <0537> \{管理人}「だから、あんたたちも自分の部屋でご飯食べてね」
<0537> \{Manager}「だから、あんたたちも自分の部屋でご飯食べてね」

// <0538> 案内された部屋は、思いの外綺麗に掃除がされていた。
<0538> 案内された部屋は、思いの外綺麗に掃除がされていた。

// <0539> \{河南子}「いただきまーす」
<0539> \{Kanako}「Itadakima~su」

// <0540> テーブルが床に置かれ、四人が囲んでいた。
<0540> テーブルが床に置かれ、四人が囲んでいた。

// <0541> なぜか、私も仲間に入れてねと、管理人が一緒になっている。
<0541> なぜか、私も仲間に入れてねと、管理人が一緒になっている。

// <0542> メニューは焼き茄子、湯がいたトウモロコシ、トマトとキュウリのサラダ、オクラの和え物。
<0542> メニューは焼き茄子、湯がいたトウモロコシ、トマトとキュウリのサラダ、オクラの和え物。

// <0543> 見事なまでに野菜だけだった。
<0543> 見事なまでに野菜だけだった。

// <0544> \{朋也}「健康のためとか?」
<0544> \{Tomoya}「健康のためとか?」

// <0545> \{管理人}「何が?」
<0545> \{Manager}「What is?」

// <0546> \{朋也}「野菜しかないからさ」
<0546> \{Tomoya}「野菜しかないからさ」

// <0547> \{管理人}「ああ、それね。畑でとれた野菜だからよ」
<0547> \{Manager}「ああ、それね。畑でとれた野菜だからよ」

// <0548> \{管理人}「ここは自給自足だからね」
<0548> \{Manager}「ここは自給自足だからね」

// <0549> \{管理人}「売ってもいるけど、みんな自分のために畑仕事をしてるのよ」
<0549> \{Manager}「売ってもいるけど、みんな自分のために畑仕事をしてるのよ」

// <0550> \{朋也}「…そうなのか」
<0550> \{Tomoya}「…Is that right?」

// <0551> 相づちともつかないような頷きだけで、一口食べた。
<0551> 相づちともつかないような頷きだけで、一口食べた。

// <0552> \{朋也}「…うまい」
<0552> \{Tomoya}「…It's delicious」

// <0553> \{管理人}「でしょ? これも自分のためだからね」
<0553> \{Manager}「Right? これも自分のためだからね」

// <0554> 洗いざらしのシーツを人数分渡され、さらに布団が運び込まれた。
<0554> 洗いざらしのシーツを人数分渡され、さらに布団が運び込まれた。

// <0555> \{管理人}「一部屋しかないんだけど、別にいいわよね?」
<0555> \{Manager}「一部屋しかないんだけど、別にいいわよね?」

// <0556> \{朋也}「ああ」
<0556> \{Tomoya}「ああ」

// <0557> \{河南子}「こいつと一緒かよっ!」
<0557> \{Kanako}「こいつと一緒かよっ!」

// <0558> \{朋也}「いや、おまえずっと同じ部屋で寝起きしてるだろ」
<0558> \{Tomoya}「いや、おまえずっと同じ部屋で寝起きしてるだろ」

// <0559> \{河南子}「まあそうなんだけど、一応びびっておかないと、女の子らしくないっしょ」
<0559> \{Kanako}「まあそうなんだけど、一応びびっておかないと、女の子らしくないっしょ」

// <0560> \{朋也}「そうだな、超女の子らしいよ」
<0560> \{Tomoya}「そうだな、超女の子らしいよ」

// <0561> こいつにだけは欲情すまいと誓いつつ、適当に流しておく。
<0561> こいつにだけは欲情すまいと誓いつつ、適当に流しておく。

// <0562> \{管理人}「あなたは大丈夫?」
<0562> \{Manager}「あなたは大丈夫?」

// <0563> ぼぅっとしたまま立つ智代に訊いた。
<0563> ぼぅっとしたまま立つ智代に訊いた。

// <0564> \{智代}「ん?」
<0564> \{Tomoyo}「Huh?」

// <0565> \{智代}「ああ…うん。大丈夫だ。世話になる」
<0565> \{Tomoyo}「ああ…うん。大丈夫だ。世話になる」

// <0566> \{管理人}「ごめんね、ここしかないのよ。ちゃんと寝られる部屋って」
<0566> \{Manager}「ごめんね、ここしかないのよ。ちゃんと寝られる部屋って」

// <0567> \{管理人}「天井に穴が空いてて床がないのが我慢できるならもうひとつあるけど」
<0567> \{Manager}「天井に穴が空いてて床がないのが我慢できるならもうひとつあるけど」

// <0568> \{河南子}「おまえいけ」
<0568> \{Kanako}「おまえいけ」

// <0569> \{朋也}「やだよ…」
<0569> \{Tomoya}「No way…」

// <0570> 寝床の準備は簡単だった。
<0570> 寝床の準備は簡単だった。

// <0571> 床に布団を敷き、シーツの端を折り込んで終わり。
<0571> 床に布団を敷き、シーツの端を折り込んで終わり。

// <0572> 広さはそれなりにあるので、床でも充分寝られそうだった。
<0572> 広さはそれなりにあるので、床でも充分寝られそうだった。

// <0573> 窓のそばでは管理人が持ってきてくれた蚊取り線香が焚かれていた。
<0573> 窓のそばでは管理人が持ってきてくれた蚊取り線香が焚かれていた。

// <0574> 消灯すると、部屋は真っ暗になる。
<0574> 消灯すると、部屋は真っ暗になる。

// <0575> すぐ河南子の寝息が聞こえてきた。
<0575> すぐ河南子の寝息が聞こえてきた。

// <0576> \{朋也}(こいつ、連れてきた意味あんのか…)
<0576> \{Tomoya}(こいつ、連れてきた意味あんのか…)

// <0577> 智代のほうからはまだ寝息は聞こえてこない。
<0577> 智代のほうからはまだ寝息は聞こえてこない。

// <0578> 手を伸ばして、その体を探した。
<0578> 手を伸ばして、その体を探した。

// <0579> 触れたのは背中だった。
<0579> 触れたのは背中だった。

// <0580> 後ろからそっと抱きしめる。
<0580> 後ろからそっと抱きしめる。

// <0581> 眠るまでずっとそうしていた。
<0581> 眠るまでずっとそうしていた。

Script Chart

June July August After Other
1st SEEN0701 SEEN0801 SEEN5000 SEEN7910
2nd SEEN0702 SEEN5001 SEEN7920
3rd SEEN0803 SEEN5002 SEEN7930
4th SEEN0804 SEEN5003 SEEN7940
6th SEEN0806 BAD END SEEN5004 SEEN7950
SEEN1806 SEEN5005
7th SEEN0707 SEEN0807 SEEN5006
8th SEEN0708 SEEN0808 SEEN5007
9th SEEN0709 SEEN0809 SEEN5010
10th SEEN0710 SEEN1710 SEEN0810 SEEN5011
11th SEEN0711 SEEN0811 SEEN1811 SEEN2811
12th SEEN0712 SEEN0812
13th SEEN0713 SEEN0813 SEEN1813 SEEN2813
14th SEEN0714 SEEN1714 SEEN0814 BAD END BAD END BAD END BAD END
SEEN1814 SEEN2814 SEEN3814 SEEN4814
15th SEEN0715 SEEN1715 SEEN0815
16th SEEN0716 SEEN1716 SEEN0816
17th SEEN0717 SEEN0817
18th SEEN0818
19th SEEN0819
20th BAD END SEEN0820
SEEN0720
21st SEEN0721 SEEN0821
22nd SEEN0722 SEEN0822
23rd SEEN0723 SEEN0823
24th SEEN0724
25th SEEN0725
26th SEEN0726
27th SEEN0727
28th SEEN0628 SEEN0728
29th SEEN0629 SEEN0729
30th SEEN0630
BAD END
SEEN0744