White Album 2/Script/3902: Difference between revisions

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== Text ==
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|211|雪菜|Setsuna
|211|孝宏|Takahiro
|「ああっ、ああっ、ああっ!<br>だ、だめ、そこ…春希くん駄目っ…<br>やぁぁぁぁんっ、あっ、あ~っ!」
|「………さん、北原さんってば」
|
|
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|212|かずさ|Kazusa
|212|春希|Haruki
|「………っ、<br>ぃ、ぅ、ぅぅ…」
|「っ!?<br>え? あ、ああ、ごめん、何?」
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|213|雪菜|Setsuna
|213|孝宏|Takahiro
|「そ、そんなに…されたらぁ…あぁぁぁ…ぁんっ、<br>ま、また…また…っ、ひぅぅんっ、ん、ん~っ」
|「…なんか疲れてるみたいだねって言ったんだけど、<br>もう答えは聞いたような気がするからいいや」
|
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|214|かずさ|Kazusa
|214|春希|Haruki
|「は…ぁ、はぁ、はぁぁ…っ、<br>ひっ、ぅ…ぃっく…ぅ、ぅぁ…」
|「あ…」
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|215|雪菜|Setsuna
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|「う、ううん…違、違う、の…<br>そ、それは、その…やめ、ないで…<br>今の…すごく、よかっ…あぁぁぁぁっ、あんっ」
|土曜日。
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|216|かずさ|Kazusa
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|「~っ、ぃ、ぃぃ…はっ、ん、んんっ…<br>ひくっ、ぅぅ…ぃっぅ…はぁ、ぁぁぁ…っ」
|週末だけ寝起きの悪い雪菜と、<br>午前中は二人でだらだらと過ごし、<br>午後からはデートという名のショッピング。
|
|
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|217|雪菜|Setsuna
|217||
|「ん、んぅ…ちゅぷ…は、あむ…ん、んぅ…<br>は、はうひ…ふん…もっろ…あ、あむ…んちゅ…<br>んくっ、んっ、んんっ…んおぅんっ、ぷぁっ…」
|そして夜、雪菜を家に送り届けるついでに、<br>小木曽家で夕食をご馳走になる。
|
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|218|かずさ|Kazusa
|218||
|「は~…は~…はぁぁぁぁ~…っ、<br>ぃくっ、ぅ…ぅぁぁぁん…ん…ぃ、ぅぅ…」
|昨年までは、毎週のように繰り返してた生活パターンに、<br>一月がかりでようやく戻ってきた。
|
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|219|雪菜|Setsuna
|219|雪菜の母|Setsuna's Mother
|「わ、わらひ…も、もう…もふっ…ん、んむ…ちゅぅぅ…<br>はむっ、はっ、あっ、あっ、あっ、あっ…ああああっ、<br>は、ぁぁ…きて、春希く…なか…あ、なか、に…っ」
|「あまり箸も進んでないみたいだし、<br>もしかしたら具合が悪いんじゃない?<br>雪菜、ちょっとあれ持ってきてあれ」
|
|
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|220|かずさ|Kazusa
|220|雪菜|Setsuna
|「~っ!<br>んっ、んっ…っ、そ…ぉぉ…ぃぃぃんっ、ん…っ」
|「あれじゃなくて体温計ってちゃんと言ってよ」
|
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|221|雪菜|Setsuna
|221|春希|Haruki
|「ああっ、ああっ、ああああ…っ!<br>んんっ、んんっ、ん~っ!<br>あ、あ、あ、あ、あ…も、もう…わたし、わたし…っ」
|「あ、いえ、気遣っていただかなくてもいいです。<br>別にそんな大したことじゃ…」
|
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|222|かずさ|Kazusa
|222|孝宏|Takahiro
|「春希………ぃ、<br>う、あ…あぁぁ…ひぐっ、ぅ…ぅぅ…<br>ん~っ、ん、んっ…んぅぅぅぅっ」
|「………もしかして、<br>昨夜、姉ちゃんが寝かせてくれなかった?」
|
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|223|雪菜|Setsuna
|223|春希|Haruki
|「あああああ…あっ、ああ………あ~っ!<br>あああああああぁぁぁぁぁぁぁ~っ!!!」
|「ぶっ!?」
|
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|224|かずさ|Kazusa
|224|雪菜|Setsuna
|「っっっ!<br>ふぅぅぅぅ~っ、う、ん~っ!」
|「孝宏!」
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|225|雪菜|Setsuna
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|「ああああっ…あああっ…ああっ………あ…<br>あぅっ、あ、ん…あ、熱…春希くん…の…あぁぁ」
|さっきまで喉を通らなかった食事が、<br>今度はハッキリと詰まってしまった。
|
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|226|かずさ|Kazusa
|226|雪菜の母|Setsuna's Mother
|「はぁ、はぁ、はぁぁ…ぁぁ…<br>はぁぁ、ぁぁ………ぁ」
|「この子は…もうハタチになろうってのに、<br>まるで中学生みたいなことに興味持って…」
|
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|227|雪菜|Setsuna
|227|雪菜の父|Setsuna's Father
|「ふ、ぅ…はぁぁ…はぁぁぁぁ…っ、<br>はぁ、はぁ…は、あ、あ…春希、く…んっ…<br>んぅ…んぷ…」
|「よさないか…食事中だぞ」
|
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|228|かずさ|Kazusa
|228|孝宏|Takahiro
|「………っ」
|「なんで食事中にふさわしくない話だってわかるのさ?<br>夜中じゅう、ずっとゲームに付き合わされてたのって、<br>そういうこと聞こうとしてたかもしんないじゃん俺」
|
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|229|雪菜|Setsuna
|229|雪菜の母|Setsuna's Mother
|「ちゅぷぁ…あ、あむ…むぁぁ…あ、ぷ…<br>はっ、はぁ…はぁぁぁ…ちゅぅぅ…ぅ、んっ」
|「しかも言い逃れまで中学生みたい。<br>そんなんで、彼女に逃げられても知らないわよ」
|
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|230|かずさ|Kazusa
|230|孝宏|Takahiro
|「ぁ………ぁ、ぁ…っ」
|「ちょ、ちょっと待ってくれよ!<br>家に十回くらい連れてきただけで彼女かよ!?」
|
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|231|雪菜|Setsuna
|231|雪菜の母|Setsuna's Mother
|「春希くん…はる、き…くんっ…<br>あぁ…あぁぁ…はぁぁぁんっ、ん、んぷ…んっ」
|「紛れもなく彼女でしょ」
|
|
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|232|かずさ|Kazusa
|232|春希|Haruki
|「んぅぅぅぅ…ぅ…<br>ひくっ、う、う、う…ぅぇぇぇぇ…っ」
|「あ、あの、全然そういうことじゃないですから!<br>ただちょっと考え事してただけで」
|
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|233|かずさ|Kazusa
|233||
|「ひぅっ…う、うぅ…ん…んぅ…<br>ご、めん…」
|何がそういうことなのかはともかく、<br>この一家は時々そういうことを包み隠さず話して、<br>俺を思いっきり口ごもらせる。
|
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|234|かずさ|Kazusa
|234||
|「ごめん…ごめん、ごめん…春希。<br>許して、許して許して………雪菜、ぁ」
|…まぁ、逆にこういう一家だからこそ、<br>雪菜を大っぴらに部屋に泊めることもできるんだけど。
|
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|235|孝宏|Takahiro
|………
|「考え事…ねぇ。<br>将来のこととか?」
|.........
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|236||
|236|春希|Haruki
|……
|「将来?」
|......
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|「っ…お、おい」
|...
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|238|雪菜の母|Setsuna's Mother
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|「ちょっと孝宏、それは…」
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|239|孝宏|Takahiro
|「っ!?<br>え? あ、ああ、ごめん、何?」
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|「…ええと」
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|243|春希|Haruki
|週末だけ寝起きの悪い雪菜と、<br>午前中は二人でだらだらと過ごし、<br>午後からはデートという名のショッピング。
|「…?」
|
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|244|雪菜|Setsuna
|そして夜、雪菜を家に送り届けるついでに、<br>小木曽家で夕食をご馳走になる。
|「………」
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|"........."
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|245||
|245||
|昨年までは、毎週のように繰り返してた生活パターンに、<br>一月がかりでようやく戻ってきた。
|何のことかと雪菜に目配せしたけれど、<br>それは完全に空振りに終わってしまった。
|
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|246|雪菜の母|Setsuna's Mother
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|「あまり箸も進んでないみたいだし、<br>もしかしたら具合が悪いんじゃない?<br>雪菜、ちょっとあれ持ってきてあれ」
|何しろ、全員黙りこくってしまった小木曽家の中でも<br>雪菜が一番気まずそうに俯いてしまっていたから。
|
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|「あれじゃなくて体温計ってちゃんと言ってよ」
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|248|春希|Haruki
|248|春希|Haruki
|「あ、いえ、気遣っていただかなくてもいいです。<br>別にそんな大したことじゃ…」
|「………あ」
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|250|春希|Haruki
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|「ぶっ!?」
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|…新しい指輪が燦然と輝くその薬指を。
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|252|孝宏|Takahiro
|さっきまで喉を通らなかった食事が、<br>今度はハッキリと詰まってしまった。
|「姉ちゃんに聞いてもハッキリ言わないしさ。<br>父さんなんか今週すっごい暗かったんだぜ?」
|
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|253|雪菜の父|Setsuna's Father
|「この子は…もうハタチになろうってのに、<br>まるで中学生みたいなことに興味持って…」
|「っ…いい加減なことを言うな!」
|
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|254|雪菜の父|Setsuna's Father
|254||
|「よさないか…食事中だぞ」
|そういえば…<br>指輪を渡して以来、初めての小木曽家だった。
|
|
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|255|孝宏|Takahiro
|255|雪菜の母|Setsuna's Mother
|「なんで食事中にふさわしくない話だってわかるのさ?<br>夜中じゅう、ずっとゲームに付き合わされてたのって、<br>そういうこと聞こうとしてたかもしんないじゃん俺」
|「た、孝宏…<br>何もそんな…食事中に。<br>ほら北原さん困ってるじゃないの」
|
|
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|256|雪菜の母|Setsuna's Mother
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|「しかも言い逃れまで中学生みたい。<br>そんなんで、彼女に逃げられても知らないわよ」
|「ああっ、今になって急に自分だけいい顔して~!<br>どうやって口を割らせようかって、<br>最初に相談持ちかけたのはそっちだろ!」
|
|
|}}
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|257|孝宏|Takahiro
|257|雪菜の母|Setsuna's Mother
|「ちょ、ちょっと待ってくれよ!<br>家に十回くらい連れてきただけで彼女かよ!?」
|「…ええと。<br>だからそういう身も蓋もないことを<br>食事中にバラさなくても、ねぇ?」
|
|
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|259|春希|Haruki
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|「あ、あの、全然そういうことじゃないですから!<br>ただちょっと考え事してただけで」
|毎日顔を合わせてて薬指の変化に気づかないほど、<br>絆の浅い家族じゃないってわかってたのに。
|
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Line 1,573: Line 1,572:
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|260||
|260||
|何がそういうことなのかはともかく、<br>この一家は時々そういうことを包み隠さず話して、<br>俺を思いっきり口ごもらせる。
|指摘されるまで知らぬ顔を決め込むなんて、<br>皆にとっても、雪菜にとっても、<br>取っていい態度じゃなかったはずなのに。
|
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|…まぁ、逆にこういう一家だからこそ、<br>雪菜を大っぴらに部屋に泊めることもできるんだけど。
|「ちょ、ちょっと、やめてよ。<br>別にこれは、そんな深い意味は…」
|
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|262|孝宏|Takahiro
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|「考え事…ねぇ。<br>将来のこととか?」
|「…ないの?<br>だってそれ、随分と高そうじゃない?<br>前のオモチャみたいな安っぽいのと全然違うし」
|
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Line 1,591: Line 1,590:
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|263|春希|Haruki
|263|春希|Haruki
|「将来?」
|「…すいません、安っぽくて」
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|264|雪菜の父|Setsuna's Father
|264|雪菜|Setsuna
|「っ…お、おい」
|「…前のも春希くんに貰ったものなんだけど」
|
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Line 1,603: Line 1,602:
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|265|雪菜の母|Setsuna's Mother
|265|雪菜の母|Setsuna's Mother
|「ちょっと孝宏、それは…」
|「あ、あら…そ、そう。それはあれね…<br>ほら、あれよあれ、ねぇ孝宏」
|
|
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|}}
Line 1,609: Line 1,608:
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|266|孝宏|Takahiro
|266|孝宏|Takahiro
|「何言ってんだよ。<br>さっきからみんな聞きたくてウズウズしてるくせに」
|「つまりさぁ、<br>姉ちゃんが前もってきっちり説明しとけば、<br>こうして北原さんに恥をかかせることもなかったと…」
|
|
|}}
|}}


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|267|春希|Haruki
|267|雪菜の母|Setsuna's Mother
|「え、何を?」
|「そ、それよそれ!<br>ほんとこの子ってば、<br>肝心なところで変に頑固なんだから」
|
|
|}}
|}}


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|268|雪菜の父|Setsuna's Father
|268|雪菜|Setsuna
|「………」
|「だ、だからぁ、違うんだってば。<br>別にこれは…今すぐって意味じゃないんだから」
|"........."
|
|}}
|}}


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|269|雪菜の母|Setsuna's Mother
|269|春希|Haruki
|「…ええと」
|「雪菜…その言い方だと」
|
|
|}}
|}}


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|270|春希|Haruki
|270|雪菜|Setsuna
|「…?」
|「だよねぇ春希くん?<br>わたしたち、そんな…ねぇ?」
|
|
|}}
|}}


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|271|雪菜|Setsuna
|271|春希|Haruki
|「………」
|「………」
|"........."
|"........."
Line 1,644: Line 1,643:


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|272||
|272|雪菜|Setsuna
|何のことかと雪菜に目配せしたけれど、<br>それは完全に空振りに終わってしまった。
|「…春希くん?」
|
|
|}}
|}}


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|273||
|273|孝宏|Takahiro
|何しろ、全員黙りこくってしまった小木曽家の中でも<br>雪菜が一番気まずそうに俯いてしまっていたから。
|「ええと…<br>『今すぐ』ではないってことは…?」
|
|
|}}
|}}


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|274|孝宏|Takahiro
|274|雪菜の母|Setsuna's Mother
|「あのさ、北原さん。<br>もしかしてさ………姉ちゃんにプロポーズした?」
|「要するに…<br>『将来的には』って話があったってこと?」
|
|
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|}}


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|275|春希|Haruki
|275|雪菜の父|Setsuna's Father
|「………あ」
|「っ…」
|
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Line 1,669: Line 1,668:
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|276|雪菜|Setsuna
|276|雪菜|Setsuna
|「………っ」
|「え………」
|
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|277||
|277|孝宏|Takahiro
|テーブルの上…<br>雪菜が右手で左手をそっと隠した。
|「あ~あ、語るに落ちちゃった…」
|
|
|}}
|}}


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|278||
|278|雪菜|Setsuna
|…新しい指輪が燦然と輝くその薬指を。
|「え? え…?」
|
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|}}


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|279|孝宏|Takahiro
|279|雪菜の母|Setsuna's Mother
|「姉ちゃんに聞いてもハッキリ言わないしさ。<br>父さんなんか今週すっごい暗かったんだぜ?」
|「ほ~ら孝宏!<br>やっぱりお母さんの言った通りだったでしょ!<br>絶対何かあるってピンと来たんだから!」
|
|
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|}}


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|280|雪菜の父|Setsuna's Father
|280|孝宏|Takahiro
|「っ…いい加減なことを言うな!」
|「なんだよ母さん。<br>自分で聞けもしなかったくせに急に調子付いちゃって」
|
|
|}}
|}}


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|281||
|281|雪菜の父|Setsuna's Father
|そういえば…<br>指輪を渡して以来、初めての小木曽家だった。
|「やめないかお前たち!<br>要するに何も決まってないってことだと言ってるだろ!」
|
|
|}}
|}}


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|282|雪菜の母|Setsuna's Mother
|282|孝宏|Takahiro
|「た、孝宏…<br>何もそんな…食事中に。<br>ほら北原さん困ってるじゃないの」
|「いや言ってない。言ってないよ。<br>ほとんど決まったって言ってんだよ」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|283|孝宏|Takahiro
|283|雪菜の母|Setsuna's Mother
|「ああっ、今になって急に自分だけいい顔して~!<br>どうやって口を割らせようかって、<br>最初に相談持ちかけたのはそっちだろ!」
|「お父さん…<br>いくら認めたくないからって、<br>あまりにも自分の都合のいいように聞き違えるのは…」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
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|284|雪菜の母|Setsuna's Mother
|284|雪菜|Setsuna
|「…ええと。<br>だからそういう身も蓋もないことを<br>食事中にバラさなくても、ねぇ?」
|「ちょ、ちょっとぉ!<br>だから、だからぁ…<br>本人の前でそういう話はやめてよぉ」
|
|
|}}
|}}
Line 1,723: Line 1,722:
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|285|春希|Haruki
|285|春希|Haruki
|「………」
|「は………はは」
|"........."
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
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|286||
|286||
|毎日顔を合わせてて薬指の変化に気づかないほど、<br>絆の浅い家族じゃないってわかってたのに。
|なのに俺は…
|
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Line 1,735: Line 1,734:
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|287||
|287||
|指摘されるまで知らぬ顔を決め込むなんて、<br>皆にとっても、雪菜にとっても、<br>取っていい態度じゃなかったはずなのに。
|この、軽くて浮き足立った雰囲気の中でも。<br>一世一代の決め所かもしれなかった場面でも…
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
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|288|雪菜|Setsuna
|288||
|「ちょ、ちょっと、やめてよ。<br>別にこれは、そんな深い意味は…」
|流れを掴むことも、流れを止めることもできず、<br>ただ、俯いて黙り込んでいるだけだった。
|
|
|}}
|}}


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|289|雪菜の母|Setsuna's Mother
|289||
|「…ないの?<br>だってそれ、随分と高そうじゃない?<br>前のオモチャみたいな安っぽいのと全然違うし」
|深く、沈み込んだ気持ちのまま。<br>ただ、必死で作った笑顔だけを表情に貼りつかせて。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
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|290|春希|Haruki
|290||
|「…すいません、安っぽくて」
|………
|
|.........
|}}
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|291|雪菜|Setsuna
|291|雪菜|Setsuna
|「…前のも春希くんに貰ったものなんだけど」
|「今日はごめんね…<br>なんか変な話になっちゃって」
|
|
|}}
|}}


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|292|雪菜の母|Setsuna's Mother
|292|春希|Haruki
|「あ、あら…そ、そう。それはあれね…<br>ほら、あれよあれ、ねぇ孝宏」
|「いや、そんなこと…」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|293|孝宏|Takahiro
|293||
|「つまりさぁ、<br>姉ちゃんが前もってきっちり説明しとけば、<br>こうして北原さんに恥をかかせることもなかったと…」
|こっちこそ、ごめん。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|294|雪菜の母|Setsuna's Mother
|294|雪菜|Setsuna
|「そ、それよそれ!<br>ほんとこの子ってば、<br>肝心なところで変に頑固なんだから」
|「もう、みんな気が早すぎるんだから。<br>本人たちほったらかして勝手に盛り上がっちゃって…」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|295|雪菜|Setsuna
|295|春希|Haruki
|「だ、だからぁ、違うんだってば。<br>別にこれは…今すぐって意味じゃないんだから」
|「だから、気にしてないって」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|296|春希|Haruki
|296||
|「雪菜…その言い方だと」
|気が早すぎても、問題ないはずだった。<br>それどころか、正式に申し込むべき話の流れだった。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|297|雪菜|Setsuna
|297||
|「だよねぇ春希くん?<br>わたしたち、そんな…ねぇ?」
|だって、気が早い『だけ』で、<br>言ってることは間違ってない…はずなんだから。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|298|春希|Haruki
|298||
|「………」
|だから、ごめん。<br>黙ってて、ごめん。<br>大事なこと、言えなくてごめん。
|"........."
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|299|雪菜|Setsuna
|299|雪菜|Setsuna
|「…春希くん?」
|「本当にごめんなさい。<br>でも、お母さんも孝宏も悪気はないの。<br>お父さんは………後でちゃんと話しておくから」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|300|孝宏|Takahiro
|300|春希|Haruki
|「ええと…<br>『今すぐ』ではないってことは…?」
|「うん…」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|301|雪菜の母|Setsuna's Mother
|301||
|「要するに…<br>『将来的には』って話があったってこと?」
|なのに、そんな俺の致命的なミスを、<br>雪菜は自分の落ち度のように、何度も謝る。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|302|雪菜の父|Setsuna's Father
|302||
|「っ…」
|俺に負担を掛けないように。<br>俺に責任を負わせないように。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|303|雪菜|Setsuna
|303||
|「え………」
|自分が何を求めているのか、<br>俺にどうして欲しいのか…
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|304|孝宏|Takahiro
|304||
|「あ~あ、語るに落ちちゃった…」
|ほんの少しだけ気持ちが漏れ出たけれど、<br>それを失言と片づけて、<br>あとは全て自分の中に押し込んで。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|305|雪菜|Setsuna
|305|春希|Haruki
|「え? え…?」
|「それじゃ…」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|306|雪菜の母|Setsuna's Mother
|306|雪菜|Setsuna
|「ほ~ら孝宏!<br>やっぱりお母さんの言った通りだったでしょ!<br>絶対何かあるってピンと来たんだから!」
|「また来週…ね」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|307|孝宏|Takahiro
|307|春希|Haruki
|「なんだよ母さん。<br>自分で聞けもしなかったくせに急に調子付いちゃって」
|「うん。<br>連絡する」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|308|雪菜の父|Setsuna's Father
|308|雪菜|Setsuna
|「やめないかお前たち!<br>要するに何も決まってないってことだと言ってるだろ!」
|「ばいばい…」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|309|孝宏|Takahiro
|309||
|「いや言ってない。言ってないよ。<br>ほとんど決まったって言ってんだよ」
|………
|
|.........
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|310|雪菜の母|Setsuna's Mother
|310||
|「お父さん…<br>いくら認めたくないからって、<br>あまりにも自分の都合のいいように聞き違えるのは…」
|小木曽家での[R夕餉^ゆうげ]は、いつも以上に盛り上がった。<br>…まぁ、うち一人は途中で席を立ってしまったけど。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|311|雪菜|Setsuna
|311||
|「ちょ、ちょっとぉ!<br>だから、だからぁ…<br>本人の前でそういう話はやめてよぉ」
|お母さんは、もう親戚の予定を気にしだして、<br>『内輪で』を多用する若手組と真っ向から対立し。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|312|春希|Haruki
|312||
|「は………はは」
|孝宏君は、雪菜が出ていった後の部屋の使用権を主張し、<br>『そのままにしておく』という女性組と真っ向から対立し。
|
|
|}}
|}}
Line 1,891: Line 1,890:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|313||
|313||
|なのに俺は…
|お父さんはそういう話には参加したがらなかったけれど、<br>去り際、俺の母親に一度会う必要があると呟いた。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|314||
|314|携帯アナウンス|Cellphone Voicemail
|この、軽くて浮き足立った雰囲気の中でも。<br>一世一代の決め所かもしれなかった場面でも…
|「留守番電話サービスに接続します。<br>合図の後にメッセージをお願いします」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|315||
|315|春希|Haruki
|流れを掴むことも、流れを止めることもできず、<br>ただ、俯いて黙り込んでいるだけだった。
|「………ゼロ」
|
|
|}}
|}}
Line 1,909: Line 1,908:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|316||
|316||
|深く、沈み込んだ気持ちのまま。<br>ただ、必死で作った笑顔だけを表情に貼りつかせて。
|そんな、小木曽家では当然の…<br>北原家には存在しない、しがらみだらけの会話。
|
|
|}}
|}}
Line 1,915: Line 1,914:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|317||
|317||
|………
|すこし辟易しつつ、少し羨望を抱き、<br>そして徐々に、自分も染まっていくはずだったのに。
|.........
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|318|雪菜|Setsuna
|318||
|「今日はごめんね…<br>なんか変な話になっちゃって」
|あの、温かくて大らかな輪の中に<br>望んで入っていくはずだったのに。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|319|春希|Haruki
|319||
|「いや、そんなこと…」
|………
|
|.........
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|320||
|320|春希|Haruki
|こっちこそ、ごめん。
|「あ…」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|321|雪菜|Setsuna
|321|かずさ|Kazusa
|「もう、みんな気が早すぎるんだから。<br>本人たちほったらかして勝手に盛り上がっちゃって…」
|「お帰り」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|322|春希|Haruki
|322||
|「だから、気にしてないって」
|なのに今の俺は…
|
|
|}}
|}}
Line 1,951: Line 1,950:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|323||
|323||
|気が早すぎても、問題ないはずだった。<br>それどころか、正式に申し込むべき話の流れだった。
|二人の手を繋いだくらいの小さな輪を、<br>もう一つ抱え込む。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|324||
|324|春希|Haruki
|だって、気が早い『だけ』で、<br>言ってることは間違ってない…はずなんだから。
|「別に、迎えに来る必要なかったのに」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|325||
|325|かずさ|Kazusa
|だから、ごめん。<br>黙ってて、ごめん。<br>大事なこと、言えなくてごめん。
|「一分でも長く、春希と一緒にいたかった。<br>外でも、春希と過ごしてみたかった」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|326|雪菜|Setsuna
|326|春希|Haruki
|「本当にごめんなさい。<br>でも、お母さんも孝宏も悪気はないの。<br>お父さんは………後でちゃんと話しておくから」
|「かずさ…」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|327|春希|Haruki
|327|かずさ|Kazusa
|「うん…」
|「なんてな…ははっ、信じたか?<br>本当は、金曜からまだ一度も部屋に帰ってないんだ。<br>あたしも今、ちょうど駅に着いたところでさ」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|328||
|328|春希|Haruki
|なのに、そんな俺の致命的なミスを、<br>雪菜は自分の落ち度のように、何度も謝る。
|「…ネタとしては微妙な上に、<br>結局俺のせいなのがなんとも」
|
|
|}}
|}}
Line 1,987: Line 1,986:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|329||
|329||
|俺に負担を掛けないように。<br>俺に責任を負わせないように。
|金曜の夜…<br>行く当てのないはずのかずさを部屋から追い出したのは、<br>雪菜を連れ込んだ俺なんだから。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
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|330||
|330|かずさ|Kazusa
|自分が何を求めているのか、<br>俺にどうして欲しいのか…
|「心が痛んだか?」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
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|331||
|331|春希|Haruki
|ほんの少しだけ気持ちが漏れ出たけれど、<br>それを失言と片づけて、<br>あとは全て自分の中に押し込んで。
|「い~や、別に?」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
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|332|春希|Haruki
|332|かずさ|Kazusa
|「それじゃ…」
|「ま、当然だよな。<br>お前の方に落ち度なんか何もないんだから」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
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|333|雪菜|Setsuna
|333|春希|Haruki
|「また来週…ね」
|「………」
|
|"........."
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|}}


{{WA2ScriptLine
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|334|春希|Haruki
|334||
|「うん。<br>連絡する」
|だったら、声を震わせながら喋るのは…<br>目を潤ませながら笑うのはやめて欲しい。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|335|雪菜|Setsuna
|335||
|「ばいばい…」
|いつか『寒いから』だけでは誤魔化しきれなくなるから。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|336||
|336|かずさ|Kazusa
|………
|「さてと、帰ろ帰ろ。<br>お前、明日は出勤する?」
|.........
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|337||
|337|春希|Haruki
|小木曽家での[R夕餉^ゆうげ]は、いつも以上に盛り上がった。<br>…まぁ、うち一人は途中で席を立ってしまったけど。
|「大丈夫。<br>少しだけ仕事残ってるけど、<br>出なくてもなんとかなる」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|338||
|338|かずさ|Kazusa
|お母さんは、もう親戚の予定を気にしだして、<br>『内輪で』を多用する若手組と真っ向から対立し。
|「そっかそっか…はは、<br>じゃあ、お前の日曜、独り占めだな」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|339||
|339|春希|Haruki
|孝宏君は、雪菜が出ていった後の部屋の使用権を主張し、<br>『そのままにしておく』という女性組と真っ向から対立し。
|「かずさ…お前」
|
|
|}}
|}}
Line 2,053: Line 2,052:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|340||
|340||
|お父さんはそういう話には参加したがらなかったけれど、<br>去り際、俺の母親に一度会う必要があると呟いた。
|そんな危ない言葉を軽く流し、<br>かずさが俺の左手に自分の右手を絡める。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|341|携帯アナウンス|Cellphone Voicemail
|341||
|「留守番電話サービスに接続します。<br>合図の後にメッセージをお願いします」
|かずさの手のひらは、<br>この冬の夜の街を歩いていたにしては、温かく、そして…
|
|
|}}
|}}
Line 2,065: Line 2,064:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|342|春希|Haruki
|342|春希|Haruki
|「………ゼロ」
|「なんで包帯取ってるんだよ?<br>まだ完治してなかったろ?」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
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|343||
|343|かずさ|Kazusa
|そんな、小木曽家では当然の…<br>北原家には存在しない、しがらみだらけの会話。
|「………そこをまず気にするところが<br>空気読めない委員長のままだよな、春希」
|
|
|}}
|}}
Line 2,077: Line 2,076:
{{WA2ScriptLine
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|344||
|344||
|すこし辟易しつつ、少し羨望を抱き、<br>そして徐々に、自分も染まっていくはずだったのに。
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|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
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|345||
|345|春希|Haruki
|あの、温かくて大らかな輪の中に<br>望んで入っていくはずだったのに。
|「全治二週間って診断だったんだろ?<br>治りが遅くなったらどうすんだよ」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
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|346||
|346|かずさ|Kazusa
|………
|「なんでそんなこと…って、ああ、大本営の発表か。<br>そんなのわざと大げさに言ってるに決まってるだろ」
|.........
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
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|347|春希|Haruki
|347|春希|Haruki
|「あ…」
|「そう、なのか?」
|
|
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|}}
Line 2,101: Line 2,100:
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|348|かずさ|Kazusa
|348|かずさ|Kazusa
|「お帰り」
|「そう言っておけば、<br>次もコケたとき言い訳にできるだろ?<br>場合によっては追加公演をキャンセルすることも…」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
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|349||
|349|春希|Haruki
|なのに今の俺は…
|「お前…」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
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|350||
|350|かずさ|Kazusa
|二人の手を繋いだくらいの小さな輪を、<br>もう一つ抱え込む。
|「…軽蔑したか?<br>またファンの声がどうとか言うか?」
|
|
|}}
|}}
Line 2,119: Line 2,118:
{{WA2ScriptLine
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|351|春希|Haruki
|351|春希|Haruki
|「別に、迎えに来る必要なかったのに」
|「ネタ、だよな?」
|
|
|}}
|}}
Line 2,125: Line 2,124:
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|352|かずさ|Kazusa
|352|かずさ|Kazusa
|「一分でも長く、春希と一緒にいたかった。<br>外でも、春希と過ごしてみたかった」
|「どう思う?」
|
|
|}}
|}}
Line 2,131: Line 2,130:
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|353|春希|Haruki
|353|春希|Haruki
|「かずさ…」
|「お前、それで納得できるのか…?」
|
|
|}}
|}}
Line 2,137: Line 2,136:
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|354|かずさ|Kazusa
|354|かずさ|Kazusa
|「なんてな…ははっ、信じたか?<br>本当は、金曜からまだ一度も部屋に帰ってないんだ。<br>あたしも今、ちょうど駅に着いたところでさ」
|「別に」
|
|
|}}
|}}
Line 2,143: Line 2,142:
{{WA2ScriptLine
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|355|春希|Haruki
|355|春希|Haruki
|「…ネタとしては微妙な上に、<br>結局俺のせいなのがなんとも」
|「確かに私生活は怠惰そのものだけど、<br>ピアノに対してだけは妥協しないのが<br>冬馬かずさって奴だろ?」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
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|356||
|356|かずさ|Kazusa
|金曜の夜…<br>行く当てのないはずのかずさを部屋から追い出したのは、<br>雪菜を連れ込んだ俺なんだから。
|「でもなぁ…<br>日本に来た目的、もう果たしちゃったしなぁ」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
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|357|かずさ|Kazusa
|357|春希|Haruki
|「心が痛んだか?」
|「まだ追加公演が残ってるだろ。<br>お前のピアノ、まだ何千人も楽しみにしてんだろ」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
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|358|春希|Haruki
|358|かずさ|Kazusa
|「い~や、別に?」
|「お前、あたしが来日した目的が、<br>コンサートのためだなんて本気で思ってるのか?」
|
|
|}}
|}}


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|359|かずさ|Kazusa
|359|春希|Haruki
|「ま、当然だよな。<br>お前の方に落ち度なんか何もないんだから」
|「それ以外に何があるんだよ…<br>いい加減なこと言って自分を貶めるのはやめろ」
|
|
|}}
|}}


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|360|春希|Haruki
|360|かずさ|Kazusa
|「………」
|「春希…」
|"........."
|
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|361||
|361|春希|Haruki
|だったら、声を震わせながら喋るのは…<br>目を潤ませながら笑うのはやめて欲しい。
|「俺、お前のピアノが好きだ。<br>他の皆も、一度聴けば絶対好きになるって信じてる。<br>それだけ、お前のピアノが凄いって思ってるんだ」
|
|
|}}
|}}


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|362||
|362|かずさ|Kazusa
|いつか『寒いから』だけでは誤魔化しきれなくなるから。
|「………」
|
|"........."
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|}}


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|363|かずさ|Kazusa
|363|春希|Haruki
|「さてと、帰ろ帰ろ。<br>お前、明日は出勤する?」
|「だから、だからさ…<br>そういう人たちの期待を裏切るのは…」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
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|364|春希|Haruki
|364|かずさ|Kazusa
|「大丈夫。<br>少しだけ仕事残ってるけど、<br>出なくてもなんとかなる」
|「でも春希は逃げた。<br>好きだったはずのあたしのピアノから、逃げ出した…」
|
|
|}}
|}}


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|365|かずさ|Kazusa
|365|春希|Haruki
|「そっかそっか…はは、<br>じゃあ、お前の日曜、独り占めだな」
|「っ…ご、ごめん」
|
|
|}}
|}}


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|366|春希|Haruki
|366|かずさ|Kazusa
|「かずさ…お前」
|「ぁ…」
|
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|367||
|367|春希|Haruki
|そんな危ない言葉を軽く流し、<br>かずさが俺の左手に自分の右手を絡める。
|「俺…あの時、俺…<br>お前が近くて、<br>どうしていいか、わからなくて」
|
|
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|}}


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|368|かずさ|Kazusa
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|「春希…あ、あのさ」
|
|
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Line 2,227: Line 2,226:
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|369|春希|Haruki
|369|春希|Haruki
|「なんで包帯取ってるんだよ?<br>まだ完治してなかったろ?」
|「距離を置かないと、とんでもないことになるって。<br>…いや、結局なっちゃったんだけど、でも」
|
|
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|}}
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|370|かずさ|Kazusa
|370|かずさ|Kazusa
|「………そこをまず気にするところが<br>空気読めない委員長のままだよな、春希」
|「わかった、わ~かった!<br>嘘だよ、冗談だよ。<br>マジになるなよ…」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
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|371||
|371|春希|Haruki
|手の甲の、たった一枚の絆創膏が頼りなかった。
|「っ…」
|
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|}}
|}}


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|372|春希|Haruki
|372||
|「全治二週間って診断だったんだろ?<br>治りが遅くなったらどうすんだよ」
|マズい方向に行きかけていた話の流れを、<br>かずさが大きな声で強引に元に戻す。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|373|かずさ|Kazusa
|373||
|「なんでそんなこと…って、ああ、大本営の発表か。<br>そんなのわざと大げさに言ってるに決まってるだろ」
|未だに引きつるはずの右手にしっかり力を入れ、<br>俺の肩に身体を寄せ、体温を伝え合う。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|374|春希|Haruki
|374|かずさ|Kazusa
|「そう、なのか?」
|「全部ネタだよ、もちろん。<br>やるよ追加公演。一生懸命弾くよ」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
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|375|かずさ|Kazusa
|375|春希|Haruki
|「そう言っておけば、<br>次もコケたとき言い訳にできるだろ?<br>場合によっては追加公演をキャンセルすることも…」
|「かずさ…」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
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|376|春希|Haruki
|376|かずさ|Kazusa
|「お前…」
|「持てる力を出し切ってさ、<br>その結果叩かれても仕方ないってくらい頑張るよ」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|377|かずさ|Kazusa
|377|春希|Haruki
|「…軽蔑したか?<br>またファンの声がどうとか言うか?」
|「何、言ってんだ…<br>本気を出したお前が絶賛されないわけないだろ。<br>それでも叩く奴がいたら、反論記事で叩き潰してやる」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
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|378|春希|Haruki
|378||
|「ネタ、だよな?」
|自分の声が、寒さのせいでなく震えてるのがわかる。
|
|
|}}
|}}
Line 2,287: Line 2,286:
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|379|かずさ|Kazusa
|379|かずさ|Kazusa
|「どう思う?」
|「…本当、シャレの通じない奴だな」
|
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|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
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|380|春希|Haruki
|380||
|「お前、それで納得できるのか…?」
|だって、かずさの声がますます震えてるから。
|
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|}}
|}}


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|381|かずさ|Kazusa
|381|春希|Haruki
|「別に」
|「そうだよ、俺、冗談通じないんだよ。<br>だからこんなことに、なったんだ…」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|382|春希|Haruki
|382|かずさ|Kazusa
|「確かに私生活は怠惰そのものだけど、<br>ピアノに対してだけは妥協しないのが<br>冬馬かずさって奴だろ?」
|「春希…ぃ」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|383|かずさ|Kazusa
|383||
|「でもなぁ…<br>日本に来た目的、もう果たしちゃったしなぁ」
|二人、身体を重ね合ってこんなに温かいのに、<br>心だって重なって、熱くなってるはずなのに。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|384|春希|Haruki
|384||
|「まだ追加公演が残ってるだろ。<br>お前のピアノ、まだ何千人も楽しみにしてんだろ」
|なのに、こうして互いの震えが伝わってきてしまう。<br>…嘘と、意地と、悲しみを伴って。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|385|かずさ|Kazusa
|385|春希|Haruki
|「お前、あたしが来日した目的が、<br>コンサートのためだなんて本気で思ってるのか?」
|「冗談で、終われない。<br>気持ちを込めずに抱いたりできない。<br>俺、お前のこと冗談なんかじゃ…」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|386|春希|Haruki
|386|かずさ|Kazusa
|「それ以外に何があるんだよ…<br>いい加減なこと言って自分を貶めるのはやめろ」
|「冗談じゃ、ないよ。<br>冗談じゃ、ないんだよ」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|387|かずさ|Kazusa
|387|春希|Haruki
|「春希…」
|「かずさ…」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|388|春希|Haruki
|388|かずさ|Kazusa
|「俺、お前のピアノが好きだ。<br>他の皆も、一度聴けば絶対好きになるって信じてる。<br>それだけ、お前のピアノが凄いって思ってるんだ」
|「単なる、過ちだ。<br>本気だけど、間違ってるだけだ」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|389|かずさ|Kazusa
|389|春希|Haruki
|「………」
|「そんなの…ますます最低だ」
|"........."
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|390|春希|Haruki
|390||
|「だから、だからさ…<br>そういう人たちの期待を裏切るのは…」
|互いの会話に、切れがない。
|
|
|}}
|}}
Line 2,359: Line 2,358:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|391|かずさ|Kazusa
|391|かずさ|Kazusa
|「でも春希は逃げた。<br>好きだったはずのあたしのピアノから、逃げ出した…」
|「最低でも、あたしはいい。<br>…だから、頼む。<br>この冬だけは、お前もいいことにしてくれ」
|
|
|}}
|}}
Line 2,365: Line 2,364:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|392|春希|Haruki
|392|春希|Haruki
|「っ…ご、ごめん」
|「…お前のものだ。<br>今から俺、お前だけのものだよ」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|393|かずさ|Kazusa
|393||
|「ぁ…」
|手、握ってるのに。<br>心、繋いでるのに。<br>身体、重ねてるのに。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|394|春希|Haruki
|394||
|「俺…あの時、俺…<br>お前が近くて、<br>どうしていいか、わからなくて」
|そんな睦みあいの最中に零れる言葉が、<br>どうしてこんなにも辛く、哀しいんだろう。
|
|
|}}
|}}
Line 2,383: Line 2,382:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|395|かずさ|Kazusa
|395|かずさ|Kazusa
|「春希…あ、あのさ」
|「さっきまでのお前は、正しい週末を過ごしてた。<br>雪菜だけの春希だった」
|
|
|}}
|}}
Line 2,389: Line 2,388:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|396|春希|Haruki
|396|春希|Haruki
|「距離を置かないと、とんでもないことになるって。<br>…いや、結局なっちゃったんだけど、でも」
|「っ…」
|
|
|}}
|}}
Line 2,395: Line 2,394:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|397|かずさ|Kazusa
|397|かずさ|Kazusa
|「わかった、わ~かった!<br>嘘だよ、冗談だよ。<br>マジになるなよ…」
|「…でも今からのお前は、間違った週末を過ごすんだ。<br>あたしの、あたしだけの春希になるんだ」
|
|
|}}
|}}
Line 2,401: Line 2,400:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|398|春希|Haruki
|398|春希|Haruki
|「っ…」
|「う、ん…っ」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|399||
|399|かずさ|Kazusa
|マズい方向に行きかけていた話の流れを、<br>かずさが大きな声で強引に元に戻す。
|「春希…春希春希春希…っ、<br>は、はぁ、ぁぁぁ…ぁぁ…」
|
|
|}}
|}}
Line 2,413: Line 2,412:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|400||
|400||
|未だに引きつるはずの右手にしっかり力を入れ、<br>俺の肩に身体を寄せ、体温を伝え合う。
|俺の左手と、かずさの右手が、強く指を絡め合う。<br>いつの間にか逆の手同士も真似してる。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|401|かずさ|Kazusa
|401||
|「全部ネタだよ、もちろん。<br>やるよ追加公演。一生懸命弾くよ」
|立ち止まって、抱きあってしまっている。<br>力いっぱい、想いいっぱいに。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|402|春希|Haruki
|402|かずさ|Kazusa
|「かずさ…」
|「は、春希…ぁぁ…あ、んむ…む…っ」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|403|かずさ|Kazusa
|403|春希|Haruki
|「持てる力を出し切ってさ、<br>その結果叩かれても仕方ないってくらい頑張るよ」
|「かず、さ…っ」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|404|春希|Haruki
|404||
|「何、言ってんだ…<br>本気を出したお前が絶賛されないわけないだろ。<br>それでも叩く奴がいたら、反論記事で叩き潰してやる」
|ここから俺たちの部屋まで、<br>歩いて5分もかからないのに…
|
|
|}}
|}}
Line 2,443: Line 2,442:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|405||
|405||
|自分の声が、寒さのせいでなく震えてるのがわかる。
|でも、その5分が耐えられない。<br>二人でいられる時間に、<br>抱きあわないなんて、考えられない。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|406|かずさ|Kazusa
|406||
|「…本当、シャレの通じない奴だな」
|だって俺たち、あと一月なんだから。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|407||
|407|かずさ|Kazusa
|だって、かずさの声がますます震えてるから。
|「消してやる…<br>こんな、雪菜の匂いなんか、消してやる。<br>お前を、あたしの匂いで埋め尽くしてやる…っ」
|
|
|}}
|}}
Line 2,461: Line 2,460:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|408|春希|Haruki
|408|春希|Haruki
|「そうだよ、俺、冗談通じないんだよ。<br>だからこんなことに、なったんだ…」
|「っ…あ、あ、あぁ…」
|
|
|}}
|}}
Line 2,467: Line 2,466:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|409|かずさ|Kazusa
|409|かずさ|Kazusa
|「春希…ぃ」
|「ん、ん、んぅ…んぷ…は、はぁ、ぁ、ぁ…っ」
|
|
|}}
|}}
Line 2,473: Line 2,472:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|410||
|410||
|二人、身体を重ね合ってこんなに温かいのに、<br>心だって重なって、熱くなってるはずなのに。
|春がやって来るとともに溶けてしまう雪のように…
|
|
|}}
|}}
Line 2,479: Line 2,478:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|411||
|411||
|なのに、こうして互いの震えが伝わってきてしまう。<br>…嘘と、意地と、悲しみを伴って。
|かずさの日本公演が終わるとともに、<br>儚く消え去ってしまう関係なんだから。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|412|春希|Haruki
|412||
|「冗談で、終われない。<br>気持ちを込めずに抱いたりできない。<br>俺、お前のこと冗談なんかじゃ…」
|………
|
|.........
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|413|かずさ|Kazusa
|413|かずさ|Kazusa
|「冗談じゃ、ないよ。<br>冗談じゃ、ないんだよ」
|「なに、考えてる?」
|
|
|}}
|}}
Line 2,497: Line 2,496:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|414|春希|Haruki
|414|春希|Haruki
|「かずさ…」
|「何も」
|
|
|}}
|}}
Line 2,503: Line 2,502:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|415|かずさ|Kazusa
|415|かずさ|Kazusa
|「単なる、過ちだ。<br>本気だけど、間違ってるだけだ」
|「そんなわけあるか。<br>あたしに嘘、通じないぞ?」
|
|
|}}
|}}
Line 2,509: Line 2,508:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|416|春希|Haruki
|416|春希|Haruki
|「そんなの…ますます最低だ」
|「嘘なんかじゃ…」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|417||
|417|かずさ|Kazusa
|互いの会話に、切れがない。
|「ずっとお前のこと見つめてるんだぞ?<br>お前よりも、お前のこと見てるんだぞ?」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|418|かずさ|Kazusa
|418|春希|Haruki
|「最低でも、あたしはいい。<br>…だから、頼む。<br>この冬だけは、お前もいいことにしてくれ」
|「………」
|
|"........."
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|419|春希|Haruki
|419||
|「…お前のものだ。<br>今から俺、お前だけのものだよ」
|夜明けまで、あと一時間くらい。
|
|
|}}
|}}
Line 2,533: Line 2,532:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|420||
|420||
|手、握ってるのに。<br>心、繋いでるのに。<br>身体、重ねてるのに。
|かずさを安らかに眠らせるための<br>腕枕を務めてたつもりだったけど、<br>どうやら役に立っていないらしかった。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|421||
|421|かずさ|Kazusa
|そんな睦みあいの最中に零れる言葉が、<br>どうしてこんなにも辛く、哀しいんだろう。
|「雪菜のこと、考えてたんだろ。<br>裏切ったこと、悩んでたんだろ」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|422|かずさ|Kazusa
|422|春希|Haruki
|「さっきまでのお前は、正しい週末を過ごしてた。<br>雪菜だけの春希だった」
|「そんな、こと………」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|423|春希|Haruki
|423|かずさ|Kazusa
|「っ…」
|「何が『昔より嘘上手くなった』だよ…<br>あたしに言わせれば、<br>五年前と何も変わってないよ、お前」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|424|かずさ|Kazusa
|424||
|「…でも今からのお前は、間違った週末を過ごすんだ。<br>あたしの、あたしだけの春希になるんだ」
|『そんなこと』の先の句が継げないせいで、<br>俺の強がりは、あっさりと看破される。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|425|春希|Haruki
|425|かずさ|Kazusa
|「う、ん…っ」
|「そんなんじゃ、いずれ雪菜にだってバレる。<br>たった一月も保たないぞ?」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|426|かずさ|Kazusa
|426|春希|Haruki
|「春希…春希春希春希…っ、<br>は、はぁ、ぁぁぁ…ぁぁ…」
|「っ…」
|
|
|}}
|}}
Line 2,575: Line 2,574:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|427||
|427||
|俺の左手と、かずさの右手が、強く指を絡め合う。<br>いつの間にか逆の手同士も真似してる。
|五年前。<br>二年前。<br>そして、今。
|
|
|}}
|}}
Line 2,581: Line 2,580:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|428||
|428||
|立ち止まって、抱きあってしまっている。<br>力いっぱい、想いいっぱいに。
|あんなに最低な嘘を重ねたのに。<br>何度も騙し続けたのに。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|429|かずさ|Kazusa
|429||
|「は、春希…ぁぁ…あ、んむ…む…っ」
|それでも俺はまだ、<br>完璧に人を騙すことすらできないのかよ。<br>そのスキルだけは、どうしても上がらないのかよ。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|430|春希|Haruki
|430|かずさ|Kazusa
|「かず、さ…っ」
|「はぁ…お前の強がりを信じたあたしが馬鹿だった」
|
|
|}}
|}}
Line 2,599: Line 2,598:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|431||
|431||
|ここから俺たちの部屋まで、<br>歩いて5分もかからないのに…
|『…それって、騙せたってことじゃん。<br>俺、お前に嘘つけてたじゃん』
|
|
|}}
|}}
Line 2,605: Line 2,604:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|432||
|432||
|でも、その5分が耐えられない。<br>二人でいられる時間に、<br>抱きあわないなんて、考えられない。
|そんな詭弁合戦なら得意なんだけどな…
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|433||
|433|かずさ|Kazusa
|だって俺たち、あと一月なんだから。
|「もういい、あたしが嘘のつき方を教えてやる。<br>心して聞けよ」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|434|かずさ|Kazusa
|434|春希|Haruki
|「消してやる…<br>こんな、雪菜の匂いなんか、消してやる。<br>お前を、あたしの匂いで埋め尽くしてやる…っ」
|「お前は…得意だって言うのかよ? 嘘」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|435|春希|Haruki
|435|かずさ|Kazusa
|「っ…あ、あ、あぁ…」
|「ああ、少なくともお前よりはな」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|436|かずさ|Kazusa
|436|春希|Haruki
|「ん、ん、んぅ…んぷ…は、はぁ、ぁ、ぁ…っ」
|「そんなの、なんの根拠があって…」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|437||
|437|かずさ|Kazusa
|春がやって来るとともに溶けてしまう雪のように…
|「五年前もさ…<br>結局、自分からバラすまでは、<br>最後まで相手に気づかれなかったよ」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|438||
|438|春希|Haruki
|かずさの日本公演が終わるとともに、<br>儚く消え去ってしまう関係なんだから。
|「それって…」
|
|
|}}
|}}
Line 2,647: Line 2,646:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|439||
|439||
|………
|どんな内容の嘘だったのか。<br>誰を、そしていつから騙してた嘘なのか。
|.........
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|440|かずさ|Kazusa
|440||
|「ん、んぷ…あ、あむ…ん、んく…<br>んぅぅぅぅっ、んっ、んっ…ん~っ!」
|いつバラした嘘なのか…
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|441|春希|Haruki
|441||
|「はぁ、ぁぁ…ぁぁぁ…か、ずさ…は、あぁ」
|一生懸命考えれば何とか正解に辿り着きそうで、<br>けれど正解に辿り着いたら、また新たな罪を負いそうで。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|442||
|442|かずさ|Kazusa
|肩を抱きあったままマンションまで戻り、<br>エレベーターの中でも我慢しきれずに触りあい。
|「春希、お前はもう悩むな。もうなにも考えるな。<br>いちいち苦悩することが、お前の最大の欠点だよ」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|443||
|443|春希|Haruki
|部屋に戻るとすぐ、<br>かずさは俺をベッドに押し倒し、唇を押しつけた。
|「え…」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|444|かずさ|Kazusa
|444||
|「ん、んぷっ、は、あ、あ…んむぅぅ…<br>ん、ぷ…ちゅぷ…あ、あ、あ…んむっ」
|…そんな、まさに俺が今見せた態度こそを、<br>かずさは厳しく糾弾した。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|445||
|445|かずさ|Kazusa
|毎日、俺がすることを一生懸命真似て、<br>舌を押し込み、口の中をかき回し、<br>わざと音を立て喉を鳴らし、唾液を飲み込む。
|「お前が悩めば、雪菜に伝わる。<br>隠し事も、嘘も、裏切りも全部見透かされる。<br>…雪菜を、傷つけるんだ」
|
|
|}}
|}}
Line 2,689: Line 2,688:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|446||
|446||
|最初は全然拙かった動きも、<br>懸命にいやらしく、ひたむきに貪ることで、<br>徐々に滑らかに、俺を感じさせていく。
|罪悪感こそが罪悪だと。<br>苦悩こそが最悪だと。
|
|
|}}
|}}
Line 2,695: Line 2,694:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|447|かずさ|Kazusa
|447|かずさ|Kazusa
|「はぁ、ぁぁ…あむ…んく、ん…んぅぅ…<br>ぷぁっ…はぁ、はぁ、はぁぁ…あ、れろ…ん、ちゅ」
|「だから考えるな。<br>あたしと過ごすときは、ただ獣みたいに身体だけを求めろ。<br>雪菜と過ごすときは、何もかも忘れて心から愛してやれ」
|
|
|}}
|}}
Line 2,701: Line 2,700:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|448|春希|Haruki
|448|春希|Haruki
|「むぅぅ…あ、あむ…ん、んぁ…はぁ、ん」
|「馬鹿か、お前…<br>そんなの俺、人として最低だろ」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|449||
|449|かずさ|Kazusa
|いつも、主導権を握ろうとする。<br>俺を押し倒し、服を脱がせ、唇を奪い。
|「最低で何が悪い?」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|450||
|450|春希|Haruki
|…俺のせいじゃないって、必死で庇おうとする。
|「かずさ…」
|
|
|}}
|}}
Line 2,719: Line 2,718:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|451|かずさ|Kazusa
|451|かずさ|Kazusa
|「は…春希…ぃ。<br>あ、ちゅぷ…は、はぁ、ぁぁぁ…はぁぁぁぁっ、<br>あ、あ~っ、ん、んぷ…むぁぁ…あむっ」
|「それであたしは満たされる。お前も悩みから解放される。<br>雪菜は幸せでいられる。何の問題もないじゃないか」
|
|
|}}
|}}
Line 2,725: Line 2,724:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|452||
|452||
|俺の罪を。<br>証拠のある悪行を。<br>理由のある罪悪感を。
|無茶苦茶で強引な論理展開。<br>粗も穴も探せば山ほど見つかりそうな詭弁。
|
|
|}}
|}}
Line 2,731: Line 2,730:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|453||
|453||
|何としても押し流そうと、<br>自分から求めようとする行為に没頭する。
|けれど今の俺には、<br>必死ですがりつきたくなるような力を持った言霊…
|
|
|}}
|}}
Line 2,737: Line 2,736:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|454|かずさ|Kazusa
|454|かずさ|Kazusa
|「はぁ、はぁ、はぁぁ…あ、あ…ぁぁぁ…」
|「だからさ、春希…まずは練習だ。<br>あたしと二人きりでいる間、<br>何も考えずに、ずっと嘘をついてみろよ」
|
|
|}}
|}}
Line 2,743: Line 2,742:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|455|春希|Haruki
|455|春希|Haruki
|「っ…」
|「けどお前は俺の嘘を見破るんだろ?<br>なのに、そんなバレバレの嘘をつけってのか?」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|456||
|456|かずさ|Kazusa
|だから今日も、<br>かずさよりも先に、俺のものが晒される。
|「大丈夫…都合のいい嘘にだけは騙されてやる」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|457|かずさ|Kazusa
|457|春希|Haruki
|「これが…<br>昨夜、雪菜のなかに、入ってたんだな」
|「都合のいい…嘘?」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|458|春希|Haruki
|458|かずさ|Kazusa
|「っ…<br>やめろ…」
|「あたしのこと好きだって、愛してるって、<br>ずっと昔から、変わらぬ気持ちのままだって…」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|459||
|459|春希|Haruki
|行為では、必死で俺を傷つけないよう頑張って…
|「お前…」
|
|
|}}
|}}
Line 2,773: Line 2,772:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|460||
|460||
|そして言葉では、意識的か無意識か、<br>俺の心に、細い針を埋め込んでいく。
|かずさの提案は、やっぱり無茶苦茶で強引で。
|
|
|}}
|}}
Line 2,779: Line 2,778:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|461|かずさ|Kazusa
|461|かずさ|Kazusa
|「もっと気持ちよく…してやる。<br>昨夜より、もっと、もっと…」
|「そんな嘘をつかれたらさぁ…<br>あたし、嬉しくて、天にも昇る気持ちになるからさぁ」
|
|
|}}
|}}
Line 2,785: Line 2,784:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|462|春希|Haruki
|462|春希|Haruki
|「っ…あ、あああああ…っ」
|「嘘、なのに?」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|463||
|463|かずさ|Kazusa
|いつの間にか、俺のだけじゃなく<br>自分の服も剥ぎ取っていたかずさが、<br>俺を、押しつけるように包み込む。
|「嘘、だからこそだよ。<br>嘘だから、安心できるんだ」
|
|
|}}
|}}
Line 2,797: Line 2,796:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|464||
|464||
|その、白く大きな両胸で。
|ほんの数秒前の自分の言葉とも、<br>いくつか矛盾してたりしてたけど。
|
|
|}}
|}}
Line 2,803: Line 2,802:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|465|かずさ|Kazusa
|465|かずさ|Kazusa
|「こういうの…やったこと、あるか?」
|「雪菜のことを愛してる春希が現実にいるから。<br>あたしのことを愛してない春希が日常にいるから」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|466|春希|Haruki
|466|かずさ|Kazusa
|「あ、あ…あぁぁっ…<br>ば、馬鹿、お前、何を…」
|「三人に、それぞれ帰る場所があるからこそ、<br>あたしはこうして、お前に安心して抱きしめてもらえる」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|467|かずさ|Kazusa
|467||
|「…してもらって、ないんだな?<br>雪菜にも、してもらったこと」
|その、あまりにも想いの篭もった悪魔の囁きは、<br>俺を、甘く縛る。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|468|春希|Haruki
|468|かずさ|Kazusa
|「だ、だって、こんな…ぁぁぁっ」
|「だから春希、頑張れ。<br>お前は『嘘』をつくんだ」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|469|かずさ|Kazusa
|469|春希|Haruki
|「んっ、ん、く…はぁ、はぁぁ…<br>な、春希…こっち、見ろ」
|「嘘、を…」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|470|春希|Haruki
|470|かずさ|Kazusa
|「か、かずさ…おい…っ」
|「あたしにかける言葉を、<br>あたしにすることを、真実だなんて思うな。<br>お前の真実は、ずっと昔から雪菜だけだ」
|
|
|}}
|}}
Line 2,839: Line 2,838:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|471||
|471||
|一度見た瞬間、両手で目を隠してしまった俺に、<br>かずさが挑発するように語りかける。
|かずさが、俺にすがりついてる。<br>俺が、力いっぱい抱きしめてる。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|472||
|472|かずさ|Kazusa
|日々身体を重ねるようになって、まだ一週間…
|「冬が終わったら、<br>コンサートが終わったら、あたしと離れたら、<br>お前は雪菜のいる日常に戻るんだから」
|
|
|}}
|}}
Line 2,851: Line 2,850:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|473|かずさ|Kazusa
|473|かずさ|Kazusa
|「あたしを見ろ…もっと、しっかり見ろよ…<br>な? あたし、いやらしいだろ…?<br>気持ちいい、よな?」
|「真っ暗な悪夢から目覚めて、<br>バラ色の現実に戻るんだから…」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|474|春希|Haruki
|474||
|「は、あ、あ…あぁぁぁっ」
|言葉だけでなく、身体も甘く縛り合う。
|
|
|}}
|}}
Line 2,863: Line 2,862:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|475||
|475||
|そんな、まだ未成熟なはずの俺たちが、<br>今辿り着くはずのないプレイに、かずさが誘い込む。
|それは俺たちの言葉と身体を、<br>気持ちから切り離す儀式。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|476||
|476|かずさ|Kazusa
|…まるで、生き急いでいるかのように。
|「ちょっとやってみろよ。<br>嘘の、練習」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|477|かずさ|Kazusa
|477||
|「ん、んん…れろ。<br>は、ぁぁ…そうだ、そう…<br>もっと、見て…あぁぁぁっ」
|今から俺の話す言葉は、<br>脳から発信されず、心臓も経由せず、<br>ただ、神経を伝う電気信号として口から放出される。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|478|春希|Haruki
|478||
|「~~~っ!」
|考えず、悩まず…<br>そして、後悔せず。
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|479||
|479|春希|Haruki
|必死で、隠していた手をどけて、<br>かずさに包まれている俺の下半身に目を向ける。
|「好きだ」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|480||
|480|かずさ|Kazusa
|…そこには、信じられないくらい淫靡な光景が<br>浮かび上がっていた。
|「っ…」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|481|かずさ|Kazusa
|481|春希|Haruki
|「ん…んぅ………ちゅ…ぷ。<br>はぁ、あ、ああ…あぁぁんっ、ん、んぅ…ぷ」
|「好きだよ」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|482|春希|Haruki
|482|かずさ|Kazusa
|「あぁ、あぁぁ…っ」
|「うん…」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|483||
|483|春希|Haruki
|夜の闇の中、白く輝くかずさのたわわな乳房が、<br>いつもの形を大きく変え、俺のものにまとわりつく。
|「好きなんだよ」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|484||
|484|かずさ|Kazusa
|傷と捻挫を負ったはずの両手に強く押し潰され、<br>俺の茎全体をぎゅうって包み込み、<br>前後に大きく揺すられる。
|「信じる、よ。<br>春希」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|485||
|485|春希|Haruki
|そのたびに、縦に伸ばされた乳房が太股までもこすり、<br>先端がくすぐって、別の刺激まで与えてくる。
|「大好きだ」
|
|
|}}
|}}
Line 2,929: Line 2,928:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|486|かずさ|Kazusa
|486|かずさ|Kazusa
|「んっ、んっ、んぅぅ…ぷぁ、あ、あ…あむ。<br>は、春希…どんどん、固く、なってる、ぞ?<br>ん、んむ…ちゅぱ…は、あ、あぁ…」
|「これで、大丈夫」
|
|
|}}
|}}
Line 2,935: Line 2,934:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|487|春希|Haruki
|487|春希|Haruki
|「だ、だって…お前、くっ…あ、あああっ」
|「愛してる」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|488||
|488|かずさ|Kazusa
|それだけでは飽きたらず、<br>かずさは、自分の胸からはみ出た俺の先端に、<br>もっと過酷な運命を誘う。
|「もうあたし…<br>お前の嘘、見破れないよ」
|
|
|}}
|}}


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|489||
|489|春希|Haruki
|先端の割れ目に舌を這わせ、唾液を垂らし、<br>俺の先走りと混ぜ合わせ、どろどろに溶かす。
|「離れたくない…」
|
|
|}}
|}}
Line 2,953: Line 2,952:
{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|490|かずさ|Kazusa
|490|かずさ|Kazusa
|「んぅっ、れろ…ちゅぷ…は、あぁ、あむぅ…<br>は、はは…あぁぁ…熱…うあ…春希、熱い…ぃ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|491||
|先端からこぼれ出た俺とかずさの混ざりあいは、<br>そのままかずさの胸の谷間に流れ込み、<br>俺の茎までもを濡らしていく。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|492||
|最初のうちは乾いていた俺たちのこすれる音がやがて、<br>にちゃ、にちゃと、湿り気を伴った淫靡なものへと変わる。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|493|かずさ|Kazusa
|「はぁっ、はぁっ、はぁぁっ…んん、ん…ん~っ、<br>んむっ、ぇろ…ぷぁ…あ、あむぅぁ…あ、はぁぁんっ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|494|春希|Haruki
|「う、く、く…ああ、あぁぁぁっ、あ~っ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|495||
|耐えきれずに天井を見上げても、<br>もう、かずさのその姿は俺の瞼から消えてくれない。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|496||
|どれだけ手のひらで潰しても、<br>その指の隙間から存在を主張するかずさの乳房。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|497||
|乳首はいつの間にか固く尖っていて、<br>時おり、それが俺の肌にめり込んだ瞬間、<br>かずさの表情が恍惚としたものに変わる。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|498|かずさ|Kazusa
|「はぁぁっ、はっ、はぁぁぁぁ~っ、あふっ、う…<br>はぁぁんっ、あ、む…むぷ…ぷぁ、あぁぁ…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|499||
|そんなかずさの反応もさることながら、<br>俺をさらに導いているのは、<br>かずさの、さらに先に行こうとする行為。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|500||
|先端に舌をねじ込み、俺の先走りを舐め取るだけでなく、<br>いつしか唇の先にまで俺のものをねじ込ませる。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|501||
|胸の谷間だけでなく、唇の中にまで包み込み、<br>俺を、身体全体で愛撫する。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|502|かずさ|Kazusa
|「はっ、はっ、はぁぁぁっ…あ、ん、む~っ!<br>んっ、んっ、んっ…んぷっ…ちゅぷぁ、あ、ぁぁ…<br>はむっ、む…むぅぅ…んぐっ、ぷ、ぁぁ…っ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|503|春希|Haruki
|「うあ、あぁぁ…かずさ…あ、あ、あ…っ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|504||
|胸と茎のこすれる音。先端が口の中に包まれる音。<br>舌先で転がされ、口全体でしゃぶられ、<br>喉の奥で蠢く、俺たちの液を飲み込む音。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|505||
|部屋中のあらゆる音が全て、<br>かずさと俺の重なり合う部分から漏れ出てる。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|506|かずさ|Kazusa
|「んっ、んく…ちゅ…むぅ…あ、あ…っ、<br>んんっ、んぅっ、ふ、く…あ、はぁ、ああぁぁ…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|507||
|俺の先端と、かずさの胸と、唇と、舌と、喉と…
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|508||
|俺たちの…<br>普通じゃ繋がるはずのない、<br>淫靡すぎる行為の賜物として。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|509|春希|Haruki
|「か、かず…かずさっ…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|510|かずさ|Kazusa
|「はぁっ、はぁっ、はぁぁ…春希、春希…?<br>ど、どう、だ? あたしの…おっぱい…<br>気持ち、いいだろぉ…? あ、あ、ああ…っ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|511||
|恥ずかしい言葉まで駆使して、<br>かずさが俺を導こうとしてる。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|512||
|全然、自然と湧き出た言葉じゃない。<br>ものすごく作為的で、照れまで混じってる。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|513|かずさ|Kazusa
|「いいんだぞ…<br>あたしの口と胸、汚していいんだぞ…?<br>お前ので…どろどろにして…いんだ、ぞ?」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|514|春希|Haruki
|「あっ、あっ、あああっ…あぁぁぁ…っ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|515||
|けれど今の俺にとっては、<br>そんな欠点がわかったところで無駄なことで…
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|516||
|かずさがいやらしい言葉を使うって事実だけで。<br>俺を、必死で誘ってるという現実だけで、<br>もう、どうしようもないくらい、高まってしまうから。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|517|かずさ|Kazusa
|「春希、春希、春希…っ、<br>あ、んむっ、んぷっ、んぅっ、んっ、んっ…<br>はぁぁっ、ああっ、あっ、あんっ、んぅぅっ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|518|春希|Haruki
|「あ、く、ぁぁ…ああ…あああ…っ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|519||
|なにも、考えられない…
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|520||
|ただ、かずさを汚すことしか。<br>欲望のはけ口にすることしか。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|521||
|かずさを…俺まみれにすることしか。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|522|かずさ|Kazusa
|「んっ、んぷ、は、あ、あ、ああ…っ?<br>春希、固…あ、あ、あ…ああああっ!<br>んっ、んぅ…んんんんん~っ!」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|523|春希|Haruki
|「あああああああっ!」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|524||
|そして、俺の限界を感じ取ったかずさが、<br>とどめとばかりに口と舌と胸で俺を押し潰し…
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|525|かずさ|Kazusa
|「ん~っ、んんんんんんっ!<br>ぷぁっ、あっ、あぁぁぁぁぁ…あ…っ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|526||
|瞬間、俺の理性を突き破って飛び出た精液が、<br>かずさの口と、顔と、胸の全てをどろどろに溶かす。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|527|かずさ|Kazusa
|「ぷぁっ、あぁ、あああ…あんっ、あぁぁぁっ、<br>けほっ、う、うぅぅ…ぷぁっ、あ、あああ…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|528|春希|Haruki
|「か、かず…かずさ…あぁぁぁぁ…っ、<br>ご、ごめ…うぁぁ…ぁ…っ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|529|かずさ|Kazusa
|「ば、か…謝る、なぁ…あむっ…ん、ぷぁぁ…っ、<br>はぁっ、はぁっ、はぁぁ…あ、あたしが、したくて…<br>ん、はぁ、ああ………だから…あ、んく…ん、んぅ…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|530||
|全身を溶かされても、<br>かずさはまだ、必死で喉を動かし、<br>身体の中からも溶けることを望む。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|531|かずさ|Kazusa
|「あ、ああ…春希…<br>熱………んぅ…濃…ぃ…っ、<br>ん、んぅ…んくっ…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|532|春希|Haruki
|「か、かずさ…や、め…っ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|533||
|出してしまった俺を、<br>かずさはまだ胸と唇で包み込み、<br>じっくりと後始末に熱中する。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|534||
|かずさの唾液と、俺の先走りに、<br>さらに精液まで混ざって、<br>熱さとぬめりがとんでもないことになっていた。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|535|かずさ|Kazusa
|「ん、れろ…ちゅぷ…あ、あむ…む、むぅ、んっ、<br>ちゅぅぅ…ぅ、んっ、んく…ぷ、あ、ふぁぁぁ…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|536||
|そんな、全身濡れそぼったかずさが、<br>俺を上目遣いで見上げ、俺を口に含んだまま…
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|537|かずさ|Kazusa
|「………まだ、凄い、ぞ?<br>お前…こんなとこまで、お堅くなりやがって」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|538|春希|Haruki
|「…馬鹿かお前は」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|539||
|誘うような笑みを浮かべ、<br>本気で、誘ってきた。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|540||
|………
|.........
|}}
{{WA2ScriptLine
|541|かずさ|Kazusa
|「動くな…よ?<br>今日は、あたしが…あたしがお前を…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|542|春希|Haruki
|「そんなの…約束できるもんか」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|543|かずさ|Kazusa
|「…ふふ、そうだよな。<br>お前、いっつも、激しいもんなぁ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|544|春希|Haruki
|「っ…あ、あ、あ…っ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|545|かずさ|Kazusa
|「んんんんんっ、んっ…くぅぅぅっ…<br>んぅぅぅぅぅぅ~っ!」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|546||
|濡れていたのは、胸や唇だけじゃなかった。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|547||
|俺の先端にあてがったかずさの秘唇は、<br>触れた瞬間、さっきまでと同じ湿った音が響き、<br>そのまま、柔らかく俺を飲み込んだ。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|548|かずさ|Kazusa
|「はっ、あ、あ、あ…あぁぁぁぁ…っ、<br>ん、く…ぅぁ…ぁ…っ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|549|春希|Haruki
|「大丈夫…か?」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|550|かずさ|Kazusa
|「あ、たり前、だろ…っ、<br>どれだけ、お前のこと受け入れたと思ってる…?」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|551|春希|Haruki
|「………うん」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|552||
|実は、やっと両手で数え切れなくなった程度だったけど…
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|553||
|それでも五年前と比べると、<br>十倍以上、俺たちは繋がっている。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|554||
|キスしてる、愛撫してる、重なり合ってる。<br>…快感を、分かち合ってる。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|555|かずさ|Kazusa
|「は、あ、あ…あぁぁんっ、<br>ん、く…はぁ、はぁぁ…あ、あ…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|556|春希|Haruki
|「かずさ…かずさ…っ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|557|かずさ|Kazusa
|「う、うん…春希。<br>今日も…たくさん、愛してな?」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|558|春希|Haruki
|「っ…うん。<br>わかって、る」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|559|かずさ|Kazusa
|「はぁぁぁぁっ、あっ、あ~っ、<br>ん、んぅぅ…はぁ、あ、あぁぁんっ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|560||
|かずさはとうとう最後まで腰を下ろし、<br>俺を、先端だけじゃなく根本まで受け入れた。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|561||
|俺は、そんなかずさに鞭打つように、<br>両手を伸ばし、その乳房を強く握り込む。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|562||
|けれど、胸に滴る精液と唾液が手を滑らせ、<br>指の先からもどかしく逃げ回る。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|563|かずさ|Kazusa
|「はぁぁっ、あっ、あぁっ、<br>あ、んっ…ん、んぅ…くぁ、あ、あんっ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|564||
|その間に、ゆっくりと腰を動かせ始め、<br>序盤は、かずさが主導権を握る形で始まった。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|565||
|二人の繋がりは、熱く、きつく…<br>互いの想いを代弁するかのように、密着する。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|566|かずさ|Kazusa
|「はぁぁっ、ああっ、お…お前…っ、<br>あ、あ…あたしの中で、こんなに、なって…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|567|春希|Haruki
|「う、ん…っ、あ、ああ…<br>はぁ~、はぁ~、はぁぁぁぁ~っ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|568||
|本当に、こんなになってる…
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|569||
|かずさの胎内に飲み込まれてるのに。<br>かずさの膣壁にこすり取られているのに。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|570|かずさ|Kazusa
|「はぁぁぁぁんっ、ん、ん~っ!<br>こ、こら…そんなに、気持ちいいかぁ?<br>あたしの…あたしの、なか…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|571||
|その圧迫感が、刺激が…<br>俺を、どんどん大きく、逞しく育てていく。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|572||
|徐々に奥深くまで突き上げるようにそそり立ち、<br>腰を動かさなくても、刺激を与えていく。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|573|かずさ|Kazusa
|「はぁ、はぁぁ…あぁ…<br>春希………もっと、もっと間違えて、くれ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|574|春希|Haruki
|「っ…う、あ、あぁぁ…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|575|かずさ|Kazusa
|「あたしに、溺れて…<br>たくさん、犯して…<br>取り返しがつかないくらい…気持ち、込めて、もっと…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|576||
|身体にだけじゃなく、<br>心までも挟み込み、飲み込み、愛撫する。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|577||
|俺の、かずさを愛する気持ちを。<br>ずっと奥深くに抱え込んでいた鬱屈とした想いを、<br>弾けさせようと、責め立てる。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|578|かずさ|Kazusa
|「大丈夫、大丈夫だから…<br>今だけ、夢の中でだけ…っ、<br>あ、あああ…あああああっ!」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|579|春希|Haruki
|「かずさ…あ、ああ…うぅぁぁぁ…っ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|580||
|どろりと濡れ、掴めなかった胸を、<br>乳首を強く摘むことで、やっと手の中に入れた。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|581||
|固くしこったその先端は、<br>俺の指の間で潰れ、弄ばれ、<br>張りのある丸い乳房ごと、俺の指の間で踊る。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|582|かずさ|Kazusa
|「あ、あああ、あああああっ!<br>い、痛く…して、くれ。<br>あたしに、傷を…一生消えない傷を…あぁぁんっ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|583||
|かずさが背中をのけ反らせ、<br>俺のその激しい愛撫に感じてみせる。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|584||
|ほんの数日前まで痛がっていた表情は、<br>演技か本気かわからないくらいには、<br>恍惚としたものを見せられるようになった。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|585|かずさ|Kazusa
|「はぁぁっ、ああんっ、あんっ…<br>あ、んぅ…ん、く…ああ、あ、んっ…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|586|春希|Haruki
|「かずさ…ん…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|587|かずさ|Kazusa
|「春希ぃ…ぃ、ぁぁぁぁぁ…っ、<br>あ、あむ…ん~っ、んぅ、ちゅぅぅぅぅ…っ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|588||
|俺が目で招くと、頭突きをするような勢いで、<br>必死で唇を重ねようと覆い被さってくる。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|589||
|俺の手に余っていたボリュームある胸がさらに圧迫され、<br>自らぎゅっと押し潰されようとする。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|590|春希|Haruki
|「ん、んむ…あむ…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|591|かずさ|Kazusa
|「はぁぁっ、んっ、ん、く…んむぅぅ…<br>あ、あふ…ぁぁ…むぅんっ、ん、ちゅぱ…ぷ、ぷぁぁ…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|592||
|そんな、子供みたいな喜びを伴ったキスは、<br>必死で隠してたかずさの未熟さを露わにする。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|593||
|無我夢中で唇を押しつけ、<br>繋がったことだけで喜びを爆発させ、<br>ただ、自分の感情のまま、叩きつける。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|594||
|…ノってるときの、こいつのピアノみたいに。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|595|かずさ|Kazusa
|「はぁぁんっ、あっ、あぷっ、ん、むぅぅ…あ、あむっ、<br>ぷぁぁっ…は~、はぁぁ~、はぁぁぁぁ…っ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|596||
|その恍惚とした表情も、泣きそうな瞳も。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|597||
|俺がこいつと出逢った頃から夢に描いてた<br>『こんなコだったらいいのにな』が、<br>何もかも、そのまま実現されてる。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|598|かずさ|Kazusa
|「ちゅぅぅ…ん、んぷっ…あ、はっ、はっ…<br>あは…ははは…ふぅぇぇぇ…ぅぇ…っ、ぇぅっ…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|599||
|………そんな五年前の夢想が、<br>どうして、こんな許されない状況の中でだけ<br>現実にはみ出てきてしまうんだろう。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|600||
|本気で愛したら…<br>信じ合ったら…<br>一緒になったらいけなくなった、今になって…
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|601|かずさ|Kazusa
|「ふぇ…ぅぁぁ…あ…っ、はぁぁ…<br>………何で、優しくするんだよ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|602|春希|Haruki
|「………お前、こそ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|603||
|そんな拙いキスは、かずさの、そして俺の、<br>“満たしたらいけない想い”に染み入ってくる。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|604||
|愛おしさが、狂おしさにまで昇華されそうになり、<br>抱きあった後、身体を離すことをますます辛くさせる。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|605|かずさ|Kazusa
|「もっと強く、痛くしろよ…<br>あたしに、後悔させてくれよ…っ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|606|春希|Haruki
|「う、ん」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|607||
|それは次を…<br>明日を、明後日を、来週を、来月を…
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|608||
|“ふたたび”を期待させてしまう、許されない行為。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|609|かずさ|Kazusa
|「う、あ、んっ…い、いぅっ…!?<br>そ、そう、だ…もっと、もっと、あああぁぁっ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|610||
|もう、もどかしさはいらない。<br>互いの思いを確かめ合う行為は、罪なだけ。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|611||
|だから俺は、必死でかずさを突き上げる。<br>胸を押し上げ、握り潰すように強く揉む。<br>乳首を、爪の先で引っ掻くように転がす。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|612||
|かずさからの行為を待たずに、かずさを壊しにかかる。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|613|かずさ|Kazusa
|「はぁっ、はっ、あ、あああっ!<br>は、春希…うあああああんっ、あっ、ん~っ!」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|614||
|かずさと繋がってる部分が、<br>粘りつつ乾いた破裂音を立てるようになる。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|615||
|俺が下から突き上げるたび、かずさのお尻が跳ね上がり、<br>俺の体に垂れてる黒髪が、汗とともにふわりと舞う。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|616||
|乳首を指で挟み、引っ張り上げ、<br>今度は白い乳房に全ての指を食い込ませ、<br>めちゃくちゃに揺り動かす。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|617|かずさ|Kazusa
|「あぁぁっ、ああっ、あんっ、んぅっ…<br>も、もっと…もっと、もっと…ああああっ、<br>や、は、やぁぁんっ、あ、ん、うあぁぁぁっ…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|618||
|それなのに、かずさの表情は…<br>とても、俺に苦しめられてるようには見えない。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|619||
|痛さも、苦しみも、辛さも、<br>全て嬉しさに変換してしまっているかのように、<br>俺の目を見つめる瞳に想いを込める。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|620|かずさ|Kazusa
|「は、あ、あ…春希、春希…<br>どうして、どうしてお前はそんなに…ぃぃぃ…っ、<br>ふぁ、あ、あ…なんで、あたしを大事にするんだよぅ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|621|春希|Haruki
|「俺は…俺、は…違…っ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|622||
|本当は、違う。<br>俺は、かずさを大事に扱ってない。<br>優しく抱くなんて、そんな余裕を持ってない。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|623||
|本当は、かずさが勘違いしてるだけ。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|624|かずさ|Kazusa
|「はぁっ、あ、あ、あ…も、もう…あたし…<br>はぁ、あぁぁ…は、春希………来て…っ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|625||
|俺が優しくしなくても、<br>勝手に優しくされてるって、ただ信じてるだけ。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|626||
|俺を、信じてしまってる、だけ…
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|627|かずさ|Kazusa
|「早く、速く、はやく…っ、<br>あたしの…あたしの、なか、ふかく…っ、<br>ああ、あっ、あああんっ、ん、く、ぅぅ…っ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|628|春希|Haruki
|「かず、さ…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|629||
|とっくに限界は超えていた。<br>いつ、かずさのなかで暴発してもおかしくなかった。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|630||
|けれど、必死で待った。<br>かずさがいつもと同じ事を求めるか、<br>確かめるために。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|631|かずさ|Kazusa
|「ああっ、あんっ、ん、んぅ…だ、駄目…<br>あ、あたし、あた…っ、ふぁぁぁぁっ、あ、あっ…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|632||
|そして今日も…
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|633||
|かずさは、胎内に注がれることを、<br>自ら望んだ。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|634|かずさ|Kazusa
|「ああああっ、あっ、あっ…<br>い、いぁ、あぁぁぁ…ああ、あぁぁぁっ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|635|春希|Haruki
|「っ、あ、ああ…<br>かずさ…ああ、うあぁぁぁ…っ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|636||
|だから今日も…
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|637|かずさ|Kazusa
|「あっ、あっ…く、来る…あ、あぁ………っ!?<br>あ~っ! あ、あ、ああああああああ~っ!」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|638||
|俺は、そのかずさの懇願を、<br>歓喜と共に受け入れてしまう。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|639|かずさ|Kazusa
|「あっ、あっ、あぁぁぁぁぁぁ…っ、<br>うあぁぁ…ああっ、ああああああ~っ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|640||
|かずさのお尻を突き上げた瞬間…<br>一番奥に届いたまま、激しく射精する。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|641||
|最奥に、届かせる。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|642|かずさ|Kazusa
|「あああぁぁぁ…ああ、ひぅんっ、ん…<br>んく…は、あぁぁぁ…ああ、あんっ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|643||
|愛おしいというまっすぐな気持ちと、<br>独占したいという歪んだ気持ちのどちらもが、<br>一気に弾け、かずさの胎内に注がれる。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|644|かずさ|Kazusa
|「ん、んぅ…あ、あ…まだ…来て…っ、<br>ふぁ…ん、んぅ…はぁぁぁぁ…っ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|645||
|そんな俺の射精を、<br>かずさは何度も何度も、最後までなかで受け止めて。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|646||
|そのままゆっくり、俺の上に倒れ込み、<br>熱い吐息を耳元で響かせる。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|647|かずさ|Kazusa
|「あぁぁぁぁ…は、ぁぁ…<br>はぁ、は、ぁぁ…春希…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|648|春希|Haruki
|「はぁ、ぁ、ぁぁ…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|649|かずさ|Kazusa
|「抱きしめろよ…もっと。<br>このまま、朝まで、ずっと、さ…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|650|春希|Haruki
|「………っ、<br>かずさ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|651|かずさ|Kazusa
|「ん、んぅ…ちゅ…は、あむ…<br>あぁ…んっ………嬉、し…っ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|652||
|互いの熱すぎる身体が混ざりあい、<br>夜の闇に溶け込んでいく。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|653||
|ずっと、繋がったまま、朝まで…
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|654||
|………
|.........
|}}
{{WA2ScriptLine
|655|かずさ|Kazusa
|「なに、考えてる?」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|656|春希|Haruki
|「何も」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|657|かずさ|Kazusa
|「そんなわけあるか。<br>あたしに嘘、通じないぞ?」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|658|春希|Haruki
|「嘘なんかじゃ…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|659|かずさ|Kazusa
|「ずっとお前のこと見つめてるんだぞ?<br>お前よりも、お前のこと見てるんだぞ?」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|660|春希|Haruki
|「………」
|"........."
|}}
{{WA2ScriptLine
|661||
|夜明けまで、あと一時間くらい。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|662||
|かずさを安らかに眠らせるための<br>腕枕を務めてたつもりだったけど、<br>どうやら役に立っていないらしかった。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|663|かずさ|Kazusa
|「雪菜のこと、考えてたんだろ。<br>裏切ったこと、悩んでたんだろ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|664|春希|Haruki
|「そんな、こと………」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|665|かずさ|Kazusa
|「何が『昔より嘘上手くなった』だよ…<br>あたしに言わせれば、<br>五年前と何も変わってないよ、お前」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|666||
|『そんなこと』の先の句が継げないせいで、<br>俺の強がりは、あっさりと看破される。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|667|かずさ|Kazusa
|「そんなんじゃ、いずれ雪菜にだってバレる。<br>たった一月も保たないぞ?」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|668|春希|Haruki
|「っ…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|669||
|五年前。<br>二年前。<br>そして、今。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|670||
|あんなに最低な嘘を重ねたのに。<br>何度も騙し続けたのに。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|671||
|それでも俺はまだ、<br>完璧に人を騙すことすらできないのかよ。<br>そのスキルだけは、どうしても上がらないのかよ。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|672|かずさ|Kazusa
|「はぁ…お前の強がりを信じたあたしが馬鹿だった」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|673||
|『…それって、騙せたってことじゃん。<br>俺、お前に嘘つけてたじゃん』
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|674||
|そんな詭弁合戦なら得意なんだけどな…
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|675|かずさ|Kazusa
|「もういい、あたしが嘘のつき方を教えてやる。<br>心して聞けよ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|676|春希|Haruki
|「お前は…得意だって言うのかよ? 嘘」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|677|かずさ|Kazusa
|「ああ、少なくともお前よりはな」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|678|春希|Haruki
|「そんなの、なんの根拠があって…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|679|かずさ|Kazusa
|「五年前もさ…<br>結局、自分からバラすまでは、<br>最後まで相手に気づかれなかったよ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|680|春希|Haruki
|「それって…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|681||
|どんな内容の嘘だったのか。<br>誰を、そしていつから騙してた嘘なのか。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|682||
|いつバラした嘘なのか…
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|683||
|一生懸命考えれば何とか正解に辿り着きそうで、<br>けれど正解に辿り着いたら、また新たな罪を負いそうで。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|684|かずさ|Kazusa
|「春希、お前はもう悩むな。もうなにも考えるな。<br>いちいち苦悩することが、お前の最大の欠点だよ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|685|春希|Haruki
|「え…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|686||
|…そんな、まさに俺が今見せた態度こそを、<br>かずさは厳しく糾弾した。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|687|かずさ|Kazusa
|「お前が悩めば、雪菜に伝わる。<br>隠し事も、嘘も、裏切りも全部見透かされる。<br>…雪菜を、傷つけるんだ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|688||
|罪悪感こそが罪悪だと。<br>苦悩こそが最悪だと。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|689|かずさ|Kazusa
|「だから考えるな。<br>あたしと過ごすときは、ただ獣みたいに身体だけを求めろ。<br>雪菜と過ごすときは、何もかも忘れて心から愛してやれ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|690|春希|Haruki
|「馬鹿か、お前…<br>そんなの俺、人として最低だろ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|691|かずさ|Kazusa
|「最低で何が悪い?」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|692|春希|Haruki
|「かずさ…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|693|かずさ|Kazusa
|「それであたしは満たされる。お前も悩みから解放される。<br>雪菜は幸せでいられる。何の問題もないじゃないか」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|694||
|無茶苦茶で強引な論理展開。<br>粗も穴も探せば山ほど見つかりそうな詭弁。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|695||
|けれど今の俺には、<br>必死ですがりつきたくなるような力を持った言霊…
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|696|かずさ|Kazusa
|「だからさ、春希…まずは練習だ。<br>あたしと二人きりでいる間、<br>何も考えずに、ずっと嘘をついてみろよ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|697|春希|Haruki
|「けどお前は俺の嘘を見破るんだろ?<br>なのに、そんなバレバレの嘘をつけってのか?」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|698|かずさ|Kazusa
|「大丈夫…都合のいい嘘にだけは騙されてやる」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|699|春希|Haruki
|「都合のいい…嘘?」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|700|かずさ|Kazusa
|「あたしのこと好きだって、愛してるって、<br>ずっと昔から、変わらぬ気持ちのままだって…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|701|春希|Haruki
|「お前…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|702||
|かずさの提案は、やっぱり無茶苦茶で強引で。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|703|かずさ|Kazusa
|「そんな嘘をつかれたらさぁ…<br>あたし、嬉しくて、天にも昇る気持ちになるからさぁ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|704|春希|Haruki
|「嘘、なのに?」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|705|かずさ|Kazusa
|「嘘、だからこそだよ。<br>嘘だから、安心できるんだ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|706||
|ほんの数秒前の自分の言葉とも、<br>いくつか矛盾してたりしてたけど。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|707|かずさ|Kazusa
|「雪菜のことを愛してる春希が現実にいるから。<br>あたしのことを愛してない春希が日常にいるから」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|708|かずさ|Kazusa
|「三人に、それぞれ帰る場所があるからこそ、<br>あたしはこうして、お前に安心して抱きしめてもらえる」
|
|}}
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|709||
|その、あまりにも想いの篭もった悪魔の囁きは、<br>俺を、甘く縛る。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|710|かずさ|Kazusa
|「だから春希、頑張れ。<br>お前は『嘘』をつくんだ」
|
|}}
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|711|春希|Haruki
|「嘘、を…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|712|かずさ|Kazusa
|「あたしにかける言葉を、<br>あたしにすることを、真実だなんて思うな。<br>お前の真実は、ずっと昔から雪菜だけだ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|713||
|かずさが、俺にすがりついてる。<br>俺が、力いっぱい抱きしめてる。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|714|かずさ|Kazusa
|「冬が終わったら、<br>コンサートが終わったら、あたしと離れたら、<br>お前は雪菜のいる日常に戻るんだから」
|
|}}
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|715|かずさ|Kazusa
|「真っ暗な悪夢から目覚めて、<br>バラ色の現実に戻るんだから…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|716||
|言葉だけでなく、身体も甘く縛り合う。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|717||
|それは俺たちの言葉と身体を、<br>気持ちから切り離す儀式。
|
|}}
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|718|かずさ|Kazusa
|「ちょっとやってみろよ。<br>嘘の、練習」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|719||
|今から俺の話す言葉は、<br>脳から発信されず、心臓も経由せず、<br>ただ、神経を伝う電気信号として口から放出される。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|720||
|考えず、悩まず…<br>そして、後悔せず。
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|721|春希|Haruki
|「好きだ」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|722|かずさ|Kazusa
|「っ…」
|
|}}
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|723|春希|Haruki
|「好きだよ」
|
|}}
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|724|かずさ|Kazusa
|「うん…」
|
|}}
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|725|春希|Haruki
|「好きなんだよ」
|
|}}
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|726|かずさ|Kazusa
|「信じる、よ。<br>春希」
|
|}}
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|727|春希|Haruki
|「大好きだ」
|
|}}
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|728|かずさ|Kazusa
|「これで、大丈夫」
|
|}}
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|729|春希|Haruki
|「愛してる」
|
|}}
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|730|かずさ|Kazusa
|「もうあたし…<br>お前の嘘、見破れないよ」
|
|}}
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|731|春希|Haruki
|「離れたくない…」
|
|}}
{{WA2ScriptLine
|732|かずさ|Kazusa
|「見破りたく…ないよぉ」
|「見破りたく…ないよぉ」
|
|
Line 4,410: Line 2,957:


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|733|春希|Haruki
|491|春希|Haruki
|「愛してる…愛してる…かずさ…っ」
|「愛してる…愛してる…かずさ…っ」
|
|
Line 4,416: Line 2,963:


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|734|かずさ|Kazusa
|492|かずさ|Kazusa
|「うん、うん…うんっ!<br>あは、あはは…<br>気持ちのいい…嘘だよなぁ」
|「うん、うん…うんっ!<br>あは、あはは…<br>気持ちのいい…嘘だよなぁ」
|
|
Line 4,422: Line 2,969:


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|735||
|493||
|かずさの身体が、ひときわ強く俺に折り重なる。
|かずさの身体が、ひときわ強く俺に折り重なる。
|
|
Line 4,428: Line 2,975:


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|736||
|494||
|向こうが力を込めたのが先か、<br>俺が強く抱きしめたのが先か、<br>そんなことはわからず、そしてどっちでも良かった。
|向こうが力を込めたのが先か、<br>俺が強く抱きしめたのが先か、<br>そんなことはわからず、そしてどっちでも良かった。
|
|
Line 4,434: Line 2,981:


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|737|かずさ|Kazusa
|495|かずさ|Kazusa
|「は、あ、あぁぁ…ああ、んっ、<br>は、春希、春希…ふぁ、ぁぁぁ…っ」
|「は、あ、あぁぁ…ああ、んっ、<br>は、春希、春希…ふぁ、ぁぁぁ…っ」
|
|
Line 4,440: Line 2,987:


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|738|春希|Haruki
|496|春希|Haruki
|「離さない、ぞ」
|「離さない、ぞ」
|
|
Line 4,446: Line 2,993:


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|739|かずさ|Kazusa
|497|かずさ|Kazusa
|「うん…っ」
|「うん…っ」
|
|
Line 4,452: Line 2,999:


{{WA2ScriptLine
{{WA2ScriptLine
|740||
|498||
|だって、嘘だから。<br>これはただの、条件反射なんだから。
|だって、嘘だから。<br>これはただの、条件反射なんだから。
|
|

Revision as of 02:03, 22 May 2017

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