White Album 2/Script/6002
Jump to navigation
Jump to search
Return to the main page here.
Translation[edit]
Editing[edit]
Translation Notes[edit]
Text[edit]
Speaker | Text | Comment | |||
---|---|---|---|---|---|
Line # | JP | EN | JP | EN | |
1 | 曜子 | Youko | 「久しぶりに会う母親ほったらかして、 一緒に住んでる旦那といつも通りイチャつくのを 優先するなんて……とんでもない親不孝娘ね」 | ||
2 | かずさ | Kazusa | 「しょうがないだろ。 あたしは春希がいないと生きていけないように、 体の隅々まで調教されちまったんだから」 | ||
3 | 春希 | Haruki | 「人聞きが悪いなおい!」 | ||
4 | 今日もまぁ、色々あったけど、 午後に日本支部(工藤さん)との打ち合わせを済ませ、 これで日本での“お仕事”はすべて終了した。 | ||||
5 | ……とはいえ、今のこのイベントも、会社的には 『社長との会食』という立派なお仕事に 分類されたりするかもしれない。 | ||||
6 | とはいえ、当のホステスもゲストも、 そんな感覚はまるでなく…… | ||||
7 | かずさ | Kazusa | 「だいたい母さんは、あたしが子供の頃なんか、 親らしいこと全然しなかったじゃないか。当然の報いだ」 | ||
8 | 曜子 | Youko | 「か、かずさ……なんて容赦のない。 あなたは私が社会の片隅でひっそりと孤独死しても いいっていうのね。ああ……育て方を間違えたわ」 | ||
9 | 春希 | Haruki | 「ええ、そりゃもう間違いなく」 | ||
10 | 曜子 | Youko | 「……ギター君も容赦ないわね」 | ||
11 | かずさ | Kazusa | 「だいたい、向こうを発つ前の日だって、 ビデオチャットで5時間も話してたじゃないか」 | ||
12 | 曜子 | Youko | 「そんなこともあったかしらね~」 | ||
13 | 春希 | Haruki | 「かずさは仕事しろ仕事……」 | ||
14 | というか、単なる仲の良い親子の食卓だった。 | ||||
15 | 普段は遠く離れ離れの二人だけれど、 最近では、かずさもITツールをそこそこ使いこなし、 曜子さんとのコミュニケーションに余念がない。 | ||||
16 | 曜子 | Youko | 「ま、堅苦しい挨拶はともかく、 そろそろ乾杯しましょ」 | ||
17 | 春希 | Haruki | 「今までの会話のどこに堅苦しい要素があったのか 是非とも教えて欲しいんですが」 | ||
18 | かずさ | Kazusa | 「春希が混ざってると、 どんな一家団らんでも肩が凝ってやってられないな」 | ||
19 | 曜子 | Youko | 「私みたいな自由よりも、 ガチガチに管理されることを選んだ あなた自身の選択を呪うのね」 | ||
20 | かずさ | Kazusa | 「言ってろ」 | ||
21 | まるで、かつての隙間を埋めようとするかのように、 同居していた頃よりも深く長く繋がっている。 | ||||
22 | 曜子 | Youko | 「ね、ところで彼ってまだガチガチのまま?」 | ||
23 | かずさ | Kazusa | 「あんた、あたしたちをいくつだと思ってんだ。 毎日ガッチガチに決まってんだろ」 | ||
24 | 春希 | Haruki | 「親子そろって誤解されるような会話は控えようなぁ!」 | ||
25 | ……あまりにも仲良く繋がりすぎていて、 そこに混ざらざるを得ない身としては たまったもんじゃないところもないではないけど。 | ||||
26 | 春希 | Haruki | 「またド高い酒を……」 | ||
27 | 曜子 | Youko | 「いいでしょ? 久しぶりの親子水入らずなんだもの」 | ||
28 | 曜子さんの頼んだワインは、 シャトー・オー・ブリオンの1989年ヴィンテージ。 | ||||
29 | 前に雑誌のワイン特集で少し調べたことがあるけど、 多分、十万は平気で超える値がついてるはずだ。 | ||||
30 | 曜子 | Youko | 「ね、かずさ、覚えてる? これ、私たちが初めてこのお店で食事した時に頼んだのと 同じものよ?」 | ||
31 | かずさ | Kazusa | 「覚えてるわけないだろ。 あんた一人でガブガブ飲んでたんだから」 | ||
32 | なお、1989年っていうのは、 偶然にも俺の誕生年でもある。 | ||||
33 | ……いや、曜子さんがこの年を選んだのは、 微妙に別の理由からだろうけど。 | ||||
34 | 曜子 | Youko | 「あ、そうか、あの時はまだあなた未成年だったわね。 初めて男にフラれてボロボロ泣き出して……」 | ||
35 | 春希 | Haruki | 「え?」 | ||
36 | かずさ | Kazusa | 「それ以上話したら帰る。 ホテルにじゃないぞ? ウィーンに帰るからな」 | ||
37 | そして、そんなワインにまつわる思い出のエピソードは、 どうやら俺が深く詮索するのは憚られそうな 内容みたいだった。 | ||||
38 | 春希 | Haruki | 「ま、まぁ、値段はともかく、 ちゃんと医者には許可もらってるんでしょうね?」 | ||
39 | 曜子 | Youko | 「ええ、少しなら構わないって言われてるわ。 私だって、命を無駄にするつもりはないもの」 | ||
40 | 春希 | Haruki | 「……そういえば、最近の体調はどうです?」 | ||
41 | かずさ | Kazusa | 「…………」 | ||
42 | 曜子 | Youko | 「ま、頑張ってるわよ。 真面目に治療もしてるし、薬だって欠かしてない。 医者に言われたことは全部忠実に守ってる」 | ||
43 | 曜子さんの白血病が発症したのは、三年くらい前。 | ||||
44 | 最初は、曜子さんが自身で言う通り、 『明日をも知れぬ』という症状だったけれど、 粘り強い治療を続け、今も何とか小康状態を保っている。 | ||||
45 | 曜子 | Youko | 「そうね、少なくとも、初孫に名前を付けて、 入学式に立ち会って、成人式の晴れ姿をこの目に収めて、 お葬式で弔辞を読むくらいには生き永らえてみせるわ」 | ||
46 | 春希 | Haruki | 「いやそれもう妖怪レベルでしょ。 ていうか生まれてもいない俺たちの子供を いきなり死なせないでください」 | ||
47 | 曜子 | Youko | 「……私を妖怪に変化させないように、 早く初孫の顔見せなさいよ?」 | ||
48 | 春希 | Haruki | 「まぁ、その……考えておきます」 | ||
49 | そんな、実があるんだかないんだかわからない会話の間、 かずさは、さっきまでのざっくばらんな態度を急に変え、 黙って料理を口に運ぶ。 | ||||
50 | 実は今でも、曜子さんと話すときはいつもそんな感じで、 軽口はいくらでも叩くけれど、 少しでも病状のことになると、急に口をつぐむ。 | ||||
51 | 普段、ビデオチャットで曜子さんと話す時も、 決して病状のことについては触れないらしい。 | ||||
52 | ま、その気持ちはわからないでもない。 というか全然わかりまくるけど…… | ||||
53 | ただ、それでも俺の方は知っておかなくちゃならない。 | ||||
54 | だって、曜子さんにもしものことがあったとき、 かずさを精神的に守り抜くのが俺の役割だから。 | ||||
55 | 曜子さんとも約束した、俺の、一番の使命だから。 | ||||
56 | 曜子 | Youko | 「それじゃ……もうすぐ生まれるであろう、 私たちの新たな血族に乾杯。 ほら、かずさも頑張ってね?」 | ||
57 | かずさ | Kazusa | 「あたしは嫌がったことなんか一度もない。 どっかのがめついマネージャーに止められてるだけだ」 | ||
58 | 春希 | Haruki | 「だから、その……考えておくから」 | ||
59 | 俺が、今すぐかずさに子供を求めなかった理由の一つに、 “その時”と重ならせないため、というのがあった。 | ||||
60 | 出会いと別れの両方が重なる負担を、 かずさに負わせたくないと思っているから。 | ||||
61 | 結局俺は、かずさが一番大事で…… そのために、曜子さんの幸せを犠牲にすることを厭わない。 | ||||
62 | けれどそれは、曜子さんにとっても同じことで…… | ||||
63 | 曜子さんは、俺が冷静に“その時”がいつになるかを、 計算していることを知っている。 | ||||
64 | いつでも彼女から全てをバトンタッチできるように、 覚悟を決めていることも知っている。 | ||||
65 | だって俺たちは…… それくらいぶっちゃけることができるくらいには、 もう『親子』だった。 | ||||
66 | 曜子 | Youko | 「それで、日程のことなんだけどね……」 | ||
67 | かずさ | Kazusa | 「本気なのかよ? 今さらあたしたちの結婚式って」 | ||
68 | 曜子 | Youko | 「だぁ~ってあなたたち、 正式なのって挙げてないでしょ?」 | ||
69 | 料理も進み、酒も回り、 皆の口も、今まで以上に滑らかになってきたころ。 | ||||
70 | ようやく曜子さんは、 俺たちを日本へ呼び戻した本当の目的について語り始めた。 | ||||
71 | かずさ | Kazusa | 「今どき、式挙げないなんて珍しくないだろ」 | ||
72 | そう、それは、俺とかずさの結婚式。 | ||||
73 | かつて全てを裏切り、 二人で日本を逃げ出した俺たちにとって、 決して許されるはずのなかった、祝福の儀式。 | ||||
74 | 曜子 | Youko | 「駄目よ。親への花束贈呈まだやってないでしょ?」 | ||
75 | かずさ | Kazusa | 「それを親の方がねだる家庭って他にあるのかよ」 | ||
76 | 曜子 | Youko | 「私はね、『お母さん、今まで本当にありがとう』って、 あなたが涙ながらに手紙を読み上げるその日のために、 お金と命を削って長生きしてきたのよ?」 | ||
77 | かずさ | Kazusa | 「なんであんたの愛はそんなに歪んでるんだよ……」 | ||
78 | 三年前、ウィーンに渡って以来、俺たちはずっと、 かつて愛した人たちに背を向けて暮らしてきた。 | ||||
79 | その雪が解ける兆しを見せたのは、半年ほど前。 | ||||
80 | 病をおしてウィーンにやってきた曜子さんと、そして…… | ||||
81 | 曜子 | Youko | 「二人とも、そろそろ覚悟を決めなさい。 ……こうなるってわかってて、 それでも日本に来たんでしょう?」 | ||
82 | かずさ | Kazusa | 「…………」 | ||
83 | 春希 | Haruki | 「…………」 | ||
84 | そう、わかってた。 別に不意打ちなんかじゃない。 | ||||
85 | 確かに曜子さんのゴリ押しみたいなところはあったけど、 俺たちは、最後の最後で拒絶しなかった。 | ||||
86 | 自分が不幸にした人たちと同じ場所にいる罪悪感。 おめおめと顔向けしてしまう後ろめたさ。 最悪の別れ方をした、あの記憶。 | ||||
87 | そんなふうに、日本に戻る辛さは、 俺たちの中にまだたくさん残っていたのに。 | ||||
88 | かつて愛した人たちとふたたび同じ場所に立つ喜び。 生まれ育った国への消えない憧憬。 少しでも許してもらいたいという淡い期待。 | ||||
89 | そんな甘っちょろい気持ちも、 俺たちの心の中には、確かにまだ残っていたから。 | ||||
90 | 曜子 | Youko | 「日程も場所もね、今のところは秘密。 ……その時になったら知らせるわ」 | ||
91 | それは、思いっきりどうしようもない、 無茶苦茶なプランだったけど。 | ||||
92 | それでも俺たちは、 曜子さんのその無茶を咎めることもできず、 ただ、その得意げな表情を見つめていた。 | ||||
93 | 曜子 | Youko | 「それまでは、久しぶりの日本を満喫してなさい。 ……友達に会ってきたりとか、どう?」 |
Script Chart[edit]
Edit this section For more instructions on how the script chart works, please click here.
If you are below the age of consent in your respective country, you are advised to not read any adult content (marked by cells with red backgrounds) where applicable. Otherwise, you are agreeing to the terms of our Disclaimer.
Introductory Chapter | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
1001 | 1008 | 1009 | 1010 | 1011 | 1012 | 1013 |
1002 | 1008_020 | 1009_020 | 1010_020 | 1011_020 | 1012_020 | |
1003 | 1008_030 | 1009_030 | 1010_030 | 1011_030 | 1012_030 | |
1004 | 1008_040 | 1010_040 | 1012_030_2 | |||
1005 | 1008_050 | 1010_050 | ||||
1006 | 1010_060 | |||||
1006_2 | 1010_070 | |||||
1007 |
Closing Chapter | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Common | Setsuna | Koharu | Chiaki | Mari | ||||||
2001 | 2011 | 2020 | 2027 | 2301 | 2309 | 2316 | 2401 | 2408 | 2501 | 2510 |
2002 | 2012 | 2021 | 2028 | 2302 | 2310 | 2317 | 2402 | 2409 | 2502 | 2511 |
2003 | 2013 | 2022 | 2029 | 2303 | 2311 | 2318 | 2403 | 2410 | 2503 | 2512 |
2004 | 2014 | 2023 | 2030 | 2304 | 2312 | 2319 | 2404 | 2411 | 2504 | 2513 |
2005 | 2015 | 2024 | 2031 | 2305 | 2313 | 2320 | 2405 | 2412 | 2505 | 2514 |
2006 | 2016 | 2025 | 2032 | 2306 | 2314 | 2321 | 2406 | 2413 | 2506 | 2515 |
2007 | 2017 | 2026 | 2033 | 2307 | 2315 | 2322 | 2407 | 2507 | 2516 | |
2008 | 2018 | 2308 | 2508 | 2517 | ||||||
2009 | 2019 | 2509 | ||||||||
2010 | ||||||||||
Setsuna | Koharu | Chiaki | Mari | |||||||
2031_2 | 2312_2 | 2401_2 | 2504_2 | 2511_2 | ||||||
2031_3 | 2313_2 | 2402_2 | 2507_2 | 2513_2 | ||||||
2031_4 | 2313_3 | 2402_3 |
Coda | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Common | Kazusa (True) | Setsuna (True) | Kazusa (Normal) | ||||||
3001 | 3008 | 3014_2 | 3020 | 3101 | 3107 | 3201 | 3207 | 3901 | 3907 |
3002 | 3009 | 3014_3 | 3021 | 3102 | 3108 | 3202 | 3208 | 3902 | 3908 |
3003 | 3010 | 3015 | 3022 | 3103 | 3109 | 3203 | 3209 | 3903 | 3909 |
3004 | 3011 | 3016 | 3023 | 3104 | 3110 | 3204 | 3210 | 3904 | |
3005 | 3012 | 3017 | 3024 | 3105 | 3111 | 3205 | 3211 | 3905 | |
3006 | 3013 | 3018 | 3106 | 3206 | 3906 | ||||
3007 | 3014 | 3019 | |||||||
Common | Setsuna (True) | Kazusa (Normal) | |||||||
3001_2 | 3210_2 | 3901_2 | 3906_2 | ||||||
3015_2 | 3902_2 | 3907_2 | |||||||
3902_3 | 3907_3 | ||||||||
3904_2 |
Mini After Story and Extra Episode | |||
---|---|---|---|
The Path Back to Happiness | The Path Forward to Happiness | Dear Mortal Enemy | |
6001 | 6101 | 4000 | 4005 |
6002 | 6102 | 4001 | 4006 |
6003 | 6103 | 4002 | 4007 |
6004 | 6104 | 4003 | 4008 |
6005 | 4004 | 4009 |
Novels | |||||
---|---|---|---|---|---|
The Snow Melts, And Until The Snow Falls | The Idol Who Forgot How to Sing | Twinkle Snow ~Reverie~ | After the Festival ~Setsuna's Thirty Minutes~ | His God, Her Savior | |
5000 | 5100 | 5200 | 5205 | 5300 | 5400 |
5001 | 5101 | 5201 | 5206 | 5301 | 5401 |
5002 | 5102 | 5202 | 5207 | 5302 | |
5003 | 5103 | 5203 | 5208 | 5303 | |
5004 | 5104 | 5204 | 5209 |
Short Stories | |||
---|---|---|---|
Princess Setsuna's Distress and Her Minister's Sinister Plan | Koharu Climate After the Passing of the Typhoon | This isn't the Season for White Album | Todokanai Koi, Todoita |
7000 | 7100 | 7200 | 7300 |