White Album 2/Script/4006
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Speaker | Text | Comment | |||
---|---|---|---|---|---|
Line # | JP | EN | JP | EN | |
1 | 美代子 | Miyoko | 「お電話ありがとうございます。 こちらは、株式会社冬馬曜子オフィス日本支部です」 | ||
2 | 美代子 | Miyoko | 「大変申し訳ありませんが、 現在、当オフィスは業務を休止しております」 | ||
3 | 美代子 | Miyoko | 「お急ぎのご用がありましたら、 冬馬曜子オフィス欧州本部に連絡をお願いします。 電話番号は…」 | ||
4 | かずさ | Kazusa | 「いつまで休んでんだよ、美代子さん…」 | ||
5 | たった数秒とはいえ、 無駄になった日本への国際通話料の金額を想像すると、 受話器を置く手がどうにも重かった。 | ||||
6 | 最初にかけてから10回連続、 ほぼ一か月間ずっと留守電のままということから、 日本支部はほぼ開店休業状態ってことらしかった。 | ||||
7 | …まぁ、3回目くらいから薄々気づいてはいたんだけど。 | ||||
8 | 『clotureがいい』 | ||||
9 | あの、母さんが喉の奥から絞り出した曲名を聞いてから、 はや一月… | ||||
10 | あたしは未だに、この曲をあたしと合わせてくれる オーケストラ探しに明け暮れていた。 | ||||
11 | というか多分、探しているのがあたしだからこそ、 ずっと、明け暮れたままになっていた。 | ||||
12 | 最初のうちは、レッスンの合間を縫って、 電話帳で探したオケの事務所にかたっぱしから 電話を掛けて交渉しようとして…三箇所目で挫折した。 | ||||
13 | というか、あたしの交渉がまるで要領を得なくて、 冬馬曜子オフィスの信用問題になりかけた。 | ||||
14 | …どうして皆、見も知らない奴と顔も見ずに、 すらすらと話し合いなんてできるんだ? あたしには、まったく理解できない世界だ。 | ||||
15 | それから先は、メールにした。 | ||||
16 | パソコンのセットアップに3日間。 メールやインターネットのセットアップに3日間。 そして、文面を考えるのに、さらに3日間。 | ||||
17 | そんな、10日近くもかけて作り上げた文面を、 web上で探したオケのメールアドレスに、 片っ端から送って…返ってきたのは質問の嵐だった。 | ||||
18 | お金のこととか、日程のこととか、会場のこととか、 結局、その返信にまた三日かかり、 さらに返ってきたのは疑問と怒りとお断りの嵐だった。 | ||||
19 | …『それはおいおい』という日本式のやり方は、 やっぱりこっちでは理解されないらしい。 | ||||
20 | かずさ | Kazusa | 「あ、えっと…エマさん? その、あたし、かずさです」 | ||
21 | そんなこんなで、無駄に半月ほど費やした頃、 見るに見かねた欧州本部のスタッフが、 オケとの交渉を一手に引き受けてくれた。 | ||||
22 | かずさ | Kazusa | 「ああ、それで用件なんだけど、 あ、うん、そう…見つかった?」 | ||
23 | とはいえ彼女…エマ・ベルゲンは、 もともと母さんの単なるアシスタント的存在で、 日本支部の美代子さんほどには裁量も知識もなかった。 | ||||
24 | だから未だに交渉は難航を極め、 今のところ、交渉のテーブルに着いてくれたオケは… | ||||
25 | かずさ | Kazusa | 「そう…まだ1件も」 | ||
26 | こんな数だった。 | ||||
27 | かずさ | Kazusa | 「うん、うん…どうも。 また進展があったら連絡、お願い」 | ||
28 | かずさ | Kazusa | 「ふぅ…」 | ||
29 | 今回のことで思い知らされた。 | ||||
30 | 日本公演なんかに行ったせいで、 知らず知らずのうちに勘違いさせられていたことを。 | ||||
31 | 『冬馬かずさ』なんて、駆け出しピアニストの名前は、 当然のように、こっちでは全然浸透していない。 | ||||
32 | それどころか『冬馬曜子の娘』という肩書きも通用しない。 | ||||
33 | こっちの人間は、こと音楽に関しては、 そんな二世タレントみたいな売り文句には見向きもしない。 完全に実力主義の世界だ。 | ||||
34 | そんなわけで切羽詰まったあたしは、 とうとう禁断の最終手段にまで手を染めようとした。 | ||||
35 | それは『日本人ピアニスト』『冬馬曜子の娘』という キンキラキンの看板が一番目立つ国を利用する、 自分が一番嫌ってた悪趣味な手。 | ||||
36 | かずさ | Kazusa | 「そうだ、アンサンブルの編集長… 確か名刺が」 | ||
37 | 日本支部経由で、 日本のオケと契約してウィーンに呼んで、 純日本人の構成でコンサートを開く… | ||||
38 | かずさ | Kazusa | 「…っ、 何言ってんだ、あたし… それって、開桜社じゃないかよ…」 | ||
39 | そんな赤字覚悟…というか、 赤字確実の興行を計画するところまで、 追い詰められていた。 | ||||
40 | どんな手を使ってでも、母さんに聴かせないと。 clotureを。 | ||||
41 | だって、もしかしたら、これが… | ||||
42 | かずさ | Kazusa | 「あれ…?」 | ||
43 | と、物思いに耽っていると、 ノートパソコンの画面に新着メールが表示された。 | ||||
44 | アドレスを確認すると、 一番最初にメールを出したけど返事の来なかった、 ここから歩いて五分の市民オケからだった。 | ||||
45 | けれど、期待に胸膨らませて開いたメールは、 すぐにあたしを落胆させた。 | ||||
46 | 文面は丁寧だったけれど、 すぐにお断りのメールだとわかる内容だったから。 | ||||
47 | かずさ | Kazusa | 「あ…」 | ||
48 | そう、それは丁重なお断りの文面の下に… | ||||
49 | 別のオーケストラへの紹介状が添付されていた。 | ||||
50 | ……… | .........
| |||
51 | 曜子 | Youko | 「…フランツ・デュプレ・オーケストラ?」 | ||
52 | かずさ | Kazusa | 「うん」 | ||
53 | 曜子 | Youko | 「……あのフランツ・デュプレが請けたって言うの?」 | ||
54 | かずさ | Kazusa | 「うん」 | ||
55 | 曜子 | Youko | 「………」 | "........."
| |
56 | かずさ | Kazusa | 「………」 | "........."
| |
57 | あたしが想像した通り… | ||||
58 | 母さんは、オケの名を聞いた瞬間、硬直した。 | ||||
59 | 曜子 | Youko | 「それで、どうするの?」 | ||
60 | かずさ | Kazusa | 「やるよ。 それが母さんの望みだろ?」 | ||
61 | 曜子 | Youko | 「けど、フランツよ? …あなたの大嫌いな」 | ||
62 | かずさ | Kazusa | 「………っ」 | ||
63 | フランツ・デュプレ… | ||||
64 | パリを拠点に活動する、フランス人の指揮者。 | ||||
65 | 歳は30半ば。 実力は、競争激しいフランスでも折り紙付き。 | ||||
66 | 自身が率いるオーケストラの定期公演はいつも満席。 それどころか一年先まで予約で一杯。 まさに今、脂の乗った気鋭の指揮者と言える。 | ||||
67 | 世界的な地位も名声も、 冬馬かずさなんて東洋人のピアニストなんかとは 比べものにならない大物。 | ||||
68 | かずさ | Kazusa | 「やると言ったらやる。 …契約条件として『一度たりともあたしに触るな』 って項目だけは譲るつもりはないけどな」 | ||
69 | ………そして、かつての母さんの愛人。 | ||||
70 | しかも以前、あたしまで口説こうとしたゲス野郎。 | ||||
71 | 今回の契約のネックは、 その、たった一つに集約されていると言ってもいい。 | ||||
72 | 曜子 | Youko | 「ま、多分そっちの方は気にしなくて大丈夫よ。 あいつ、コンサートに入ると人変わるから」 | ||
73 | かずさ | Kazusa | 「…信じていいんだな?」 | ||
74 | 曜子 | Youko | 「ええ、間違いないわ。 ましてや今回は手なんか出せるわけがない。 だって、この話をまとめたのは多分…」 | ||
75 | かずさ | Kazusa | 「多分、なに?」 | ||
76 | 曜子 | Youko | 「ううん、別に。 それより、コンサートはいつ?」 | ||
77 | かずさ | Kazusa | 「えっと…9月28日」 | ||
78 | 曜子 | Youko | 「あと二か月先か…」 | ||
79 | かずさ | Kazusa | 「先方がそこしか空いてなかったんだ。 ニューヨーク公演、主催者とモメて キャンセルしたんだって」 | ||
80 | そもそも、フランツ・デュプレ・オーケストラを 年内で押さえることができたのは奇跡だったらしい。 | ||||
81 | 電話口で、三分間は絶句してたエマがそう言ってた。 | ||||
82 | 曜子 | Youko | 「わかった、そこまでは必ず生き延びるわ。 たとえ石にかじりついても、ね」 | ||
83 | かずさ | Kazusa | 「………ああ、そうしてくれ。 最高のコンチェルト、聴かせてやる」 | ||
84 | 何はともあれ、あと、二か月。 | ||||
85 | そこまでに、 clotureを何としてもモノにする。 | ||||
86 | 母さんに、届けるんだ。 | ||||
87 | 何が何でも、間に合わせるんだ… | ||||
88 | ……… | .........
| |||
89 | 曜子 | Youko | 「ありがと…爺さん。 あんたより先に逝っちゃったらゴメンね」 |
Script Chart[edit]
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Introductory Chapter | ||||||
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1001 | 1008 | 1009 | 1010 | 1011 | 1012 | 1013 |
1002 | 1008_020 | 1009_020 | 1010_020 | 1011_020 | 1012_020 | |
1003 | 1008_030 | 1009_030 | 1010_030 | 1011_030 | 1012_030 | |
1004 | 1008_040 | 1010_040 | 1012_030_2 | |||
1005 | 1008_050 | 1010_050 | ||||
1006 | 1010_060 | |||||
1006_2 | 1010_070 | |||||
1007 |
Closing Chapter | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Common | Setsuna | Koharu | Chiaki | Mari | ||||||
2001 | 2011 | 2020 | 2027 | 2301 | 2309 | 2316 | 2401 | 2408 | 2501 | 2510 |
2002 | 2012 | 2021 | 2028 | 2302 | 2310 | 2317 | 2402 | 2409 | 2502 | 2511 |
2003 | 2013 | 2022 | 2029 | 2303 | 2311 | 2318 | 2403 | 2410 | 2503 | 2512 |
2004 | 2014 | 2023 | 2030 | 2304 | 2312 | 2319 | 2404 | 2411 | 2504 | 2513 |
2005 | 2015 | 2024 | 2031 | 2305 | 2313 | 2320 | 2405 | 2412 | 2505 | 2514 |
2006 | 2016 | 2025 | 2032 | 2306 | 2314 | 2321 | 2406 | 2413 | 2506 | 2515 |
2007 | 2017 | 2026 | 2033 | 2307 | 2315 | 2322 | 2407 | 2507 | 2516 | |
2008 | 2018 | 2308 | 2508 | 2517 | ||||||
2009 | 2019 | 2509 | ||||||||
2010 | ||||||||||
Setsuna | Koharu | Chiaki | Mari | |||||||
2031_2 | 2312_2 | 2401_2 | 2504_2 | 2511_2 | ||||||
2031_3 | 2313_2 | 2402_2 | 2507_2 | 2513_2 | ||||||
2031_4 | 2313_3 | 2402_3 |
Coda | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Common | Kazusa (True) | Setsuna (True) | Kazusa (Normal) | ||||||
3001 | 3008 | 3014_2 | 3020 | 3101 | 3107 | 3201 | 3207 | 3901 | 3907 |
3002 | 3009 | 3014_3 | 3021 | 3102 | 3108 | 3202 | 3208 | 3902 | 3908 |
3003 | 3010 | 3015 | 3022 | 3103 | 3109 | 3203 | 3209 | 3903 | 3909 |
3004 | 3011 | 3016 | 3023 | 3104 | 3110 | 3204 | 3210 | 3904 | |
3005 | 3012 | 3017 | 3024 | 3105 | 3111 | 3205 | 3211 | 3905 | |
3006 | 3013 | 3018 | 3106 | 3206 | 3906 | ||||
3007 | 3014 | 3019 | |||||||
Common | Setsuna (True) | Kazusa (Normal) | |||||||
3001_2 | 3210_2 | 3901_2 | 3906_2 | ||||||
3015_2 | 3902_2 | 3907_2 | |||||||
3902_3 | 3907_3 | ||||||||
3904_2 |
Mini After Story and Extra Episode | |||
---|---|---|---|
The Path Back to Happiness | The Path Forward to Happiness | Dear Mortal Enemy | |
6001 | 6101 | 4000 | 4005 |
6002 | 6102 | 4001 | 4006 |
6003 | 6103 | 4002 | 4007 |
6004 | 6104 | 4003 | 4008 |
6005 | 4004 | 4009 |
Novels | |||||
---|---|---|---|---|---|
The Snow Melts, And Until The Snow Falls | The Idol Who Forgot How to Sing | Twinkle Snow ~Reverie~ | After the Festival ~Setsuna's Thirty Minutes~ | His God, Her Savior | |
5000 | 5100 | 5200 | 5205 | 5300 | 5400 |
5001 | 5101 | 5201 | 5206 | 5301 | 5401 |
5002 | 5102 | 5202 | 5207 | 5302 | |
5003 | 5103 | 5203 | 5208 | 5303 | |
5004 | 5104 | 5204 | 5209 |
Short Stories | |||
---|---|---|---|
Princess Setsuna's Distress and Her Minister's Sinister Plan | Koharu Climate After the Passing of the Typhoon | This isn't the Season for White Album | Todokanai Koi, Todoita |
7000 | 7100 | 7200 | 7300 |