White Album 2/Script/2320
Revision as of 08:08, 14 May 2014 by Jonathanasdf (talk | contribs)
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Translation Notes
Text
Speaker | Text | Comment | |||
---|---|---|---|---|---|
Line # | JP | EN | JP | EN | |
1 | 小春 | Koharu | 「おはようございま~す」 | ||
2 | 小春 | Koharu | 「昨日の雪、結構残ってますね。 来るとき二回くらい滑っちゃいましたよ」 | ||
3 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
4 | 小春 | Koharu | 「わ、暗い。 あ~あ、もう不健康だなぁ」 | ||
5 | 春希 | Haruki | 「っ…」 | ||
6 | カーテンの引かれる耳障りな音とともに、 辛いくらい眩しい光が目を灼く。 | ||||
7 | 空は厚い雲に覆われて、陽は差していないのに、 それでも窓から入り込んでくる明るさは、 雲一つ無い晴れ間のときとなんら遜色ない。 | ||||
8 | …昨夜の雪が、積もったままだから。 | ||||
9 | 小春 | Koharu | 「…先輩? なんか目が赤いですよ?」 | ||
10 | そんな中、もうすっかり自分の部屋みたいに 居場所を作り上げてしまった小春が、 周囲をこまめに片づけながら、俺の顔を覗き込む。 | ||||
11 | 春希 | Haruki | 「昨夜、寝てないから…」 | ||
12 | 小春 | Koharu | 「どうしたんです? 髭も剃ってないみたいだし… いつもの先輩らしくないですよ?」 | ||
13 | 春希 | Haruki | 「いや、ちょっと…平気だよ」 | ||
14 | 小春 | Koharu | 「無理しないでくださいね? 今、先輩に倒れられたら、 わたしも共倒れしちゃいますよ?」 | ||
15 | 片づけより俺の様子の方が気になったのか、 小春は、俺の目の前に膝をつくと、 上目遣いで顔を近づけてくる。 | ||||
16 | 春希 | Haruki | 「っ…」 | ||
17 | 胸をすくようないい匂いが俺の鼻腔をくすぐる。 | ||||
18 | …ってことはきっと、俺が発するすえた匂いも、 小春の方に届いてしまってるんだろう。 | ||||
19 | 小春 | Koharu | 「熱は…ないみたいですね。 気分はどうですか?」 | ||
20 | けど、そんなことなど意にも介さずに、 俺の額に白い手を当て、ますます近づいてくる。 | ||||
21 | 春希 | Haruki | 「だから平気だって言ってるだろ。 それよりも、どうして…」 | ||
22 | 俺は、自分の心が整理できないまま、 その手を振り払い、ほんの少しだけ小春を睨む。 | ||||
23 | 春希 | Haruki | 「どうして行かないんだよ…卒業式」 | ||
24 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
25 | 小春は、一瞬だけその快活な動きを止めた。 | ||||
26 | 3月1日。 峰城大学付属学園卒業式。 | ||||
27 | 学園生活のなかでたった一度しかない、 入学式と同じくらい発生頻度の低い記念の日。 | ||||
28 | 小春 | Koharu | 「…そんな時間はないんです」 | ||
29 | 春希 | Haruki | 「三年間の集大成じゃないか。 今日だけは…一日くらいは…」 | ||
30 | 小春 | Koharu | 「入試まであと二週間もないうちでの一日ですよ? そんなの、大したことありすぎます」 | ||
31 | 春希 | Haruki | 「でも…」 | ||
32 | 確かに、卒業式をサボった奴なら俺でも一人知ってる。 | ||||
33 | けれどあいつは比較対象にならない。 だって、普通の授業だって半分近くサボってた、 昔の不良みたいなとんがった奴だったから。 | ||||
34 | 小春 | Koharu | 「出ても出なくても、卒業は卒業です。 何も、変わりませんよ」 | ||
35 | 春希 | Haruki | 「小春…」 | ||
36 | 最後の最後まで、ほとんど休むことのなかった、 健康優良児かつ真面目っこの小春にとっては、 今日は最後で最大の晴れ舞台だったはずなのに… | ||||
37 | 小春 | Koharu | 「さ、そんなことよりも勉強勉強。 わたしにはもう、残された時間はないんですから」 | ||
38 | 孝宏 | Takahiro | 「それじゃ、時間になったから、 みんな体育館に移動な~」 | ||
39 | 早百合 | Sayuri | 「………」 | "........."
| |
40 | 亜子 | Ako | 「…来ないね、二人とも」 | ||
41 | 早百合 | Sayuri | 「…っ」 | ||
42 | 亜子 | Ako | 「せめて矢田さんだけでも来てくれたら… そしたら小春のしたことも…」 | ||
43 | 早百合 | Sayuri | 「…あのコの名前は出さないで。 もう、あたしたちと関係ないじゃない」 | ||
44 | 亜子 | Ako | 「早百合…」 | ||
45 | 早百合 | Sayuri | 「関係ないんだよ、もう…」 | ||
46 | 孝宏 | Takahiro | 「ほら、お前ら最後だぞ。 さっさと出てけ」 | ||
47 | 早百合 | Sayuri | 「わかってるって。 ほら行こ、亜子」 | ||
48 | 亜子 | Ako | 「う、うん…」 | ||
49 | 孝宏 | Takahiro | 「………」 | "........."
| |
50 | 孝宏 | Takahiro | 「杉浦…」 | ||
51 | ……… | .........
| |||
52 | …… | ......
| |||
53 | 春希 | Haruki | 「ふぅ…よし、もう大丈夫! 小春、できたとこまで見せて」 | ||
54 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
55 | 寝てないだけじゃなく、 酒が残っていたことも小春に心配され、 朝から風呂場に押し込まれてしまった。 | ||||
56 | 体を洗い、髭を剃り、湯船に浸かり、 そして、ほんのちょっとだけ黄昏れて、 一生懸命頑張って、いつもの自分に戻して… | ||||
57 | 春希 | Haruki | 「小春…?」 | ||
58 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
59 | 気合いを入れて風呂から上がると、 小春はぼうっと外の景色を見つめてた。 | ||||
60 | まだ雪の溶けていない、白い街並みを。 | ||||
61 | 春希 | Haruki | 「小春…」 | ||
62 | 小春 | Koharu | 「あ…?」 | ||
63 | やっと俺の存在に気づいたのも、 俺の声によるものじゃなくて、 窓に映り込んだ俺の姿のようだった。 | ||||
64 | 小春 | Koharu | 「…ごめんなさい、 まだ一問もできてません」 | ||
65 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
66 | いつもより長湯だったはずなのに、 小春のノートには、ペンの走った形跡すらなかった。 | ||||
67 | 一問目なんか基本中の基本で、 普段なら3分もかからずに解けるはずの難易度なのに。 | ||||
68 | 何が、『何も、変わりません』なんだよ… | ||||
69 | 小春 | Koharu | 「い、今すぐやりますから! あと10分だけ待っててください」 | ||
70 | 春希 | Haruki | 「…いいよ」 | ||
71 | 小春 | Koharu | 「え?」 | ||
72 | 春希 | Haruki | 「休憩」 | ||
73 | 小春 | Koharu | 「ご、ごめんなさい。 今から一生懸命やりますから! だから、その…見放したような言い方しないで…」 | ||
74 | 春希 | Haruki | 「じゃあ、言い方変える。 …卒業証書、授与」 | ||
75 | 小春 | Koharu | 「え…?」 | ||
76 | 諏訪先生 | Suwa-sensei | 「清水早百合」 | ||
77 | 早百合 | Sayuri | 「はい」 | ||
78 | ……… | .........
| |||
79 | 校長 | Principal | 「卒業証書。 3年A組清水早百合。 …以下同文」 | ||
80 | ……… | .........
| |||
81 | 諏訪先生 | Suwa-sensei | 「杉浦小春」 | ||
82 | ……… | .........
| |||
83 | 諏訪先生 | Suwa-sensei | 「っ! 園田亜子」 | ||
84 | 亜子 | Ako | 「はい」 | ||
85 | 春希 | Haruki | 「卒業証書。 3年A組杉浦小春。 …以下同文」 | ||
86 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
87 | 春希 | Haruki | 「いや、小春の場合は『以下同文』だよな? 出席番号1番じゃないし」 | ||
88 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
89 | 春希 | Haruki | 「ほら、証書の方にはちゃんと書いてあるだろ? 『表記の者、当校の全課程を修了したものと ここに認定する』ってさ」 | ||
90 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
91 | 春希 | Haruki | 「…なんだよその 『馬鹿馬鹿しくて相手してられません』 って呆れたような顔は」 | ||
92 | 小春 | Koharu | 「馬鹿馬鹿しくて相手してられませんね」 | ||
93 | 春希 | Haruki | 「ちぇ~」 | ||
94 | ノートを破って鉛筆で書き込んだだけの偽の卒業証書は、 どうやら本物の卒業生には不評のようだった。 | ||||
95 | 春希 | Haruki | 「雰囲気だけでもと思ったんだけどな」 | ||
96 | 小春 | Koharu | 「別に卒業証書もらえない訳じゃないですよ? 後でちゃんと自宅に届くんですから」 | ||
97 | 春希 | Haruki | 「じゃ、これは全くの無意味か…あ~あ」 | ||
98 | 小春 | Koharu | 「あ! 捨てちゃ駄目!」 | ||
99 | 春希 | Haruki | 「え? でも…」 | ||
100 | 酷評を受けて、丸めてゴミ箱行きが決まったはずの ノートの切れ端は、酷評したはずの小春の手に 強引に奪い返された。 | ||||
101 | 小春 | Koharu | 「紙がもったいないから持って帰ります。 先輩、筒ありませんか?」 | ||
102 | 春希 | Haruki | 「折ればいいだろ。薄い紙なんだから」 | ||
103 | 小春 | Koharu | 「駄目です。 額に入れて部屋に飾って、 毎日朝起きたらそれを見て鼻で笑うんですから」 | ||
104 | 春希 | Haruki | 「お前な…」 | ||
105 | 小春 | Koharu | 「あ~あ、ノート無駄にしちゃって。 ほんっと、先輩って時々幼稚なんだから。 …ずっと大事にしますね」 | ||
106 | すでに『紙がもったいない』次元じゃないだろ、 その扱いは… | ||||
107 | 諏訪先生 | Suwa-sensei | 「矢田美穂子」 | ||
108 | ……… | .........
| |||
109 | 諏訪先生 | Suwa-sensei | 「3年A組、以上」 | ||
110 | B組担任 | Class B Homeroom Teacher | 「3年B組。45名。 …浅利健一」 | ||
111 | 男子生徒1 | Male Student 1 | 「はい」 | ||
112 | 春希 | Haruki | 「そっか… 答辞に指名されてたんだ」 | ||
113 | 小春 | Koharu | 「断りましたけどね。 元々、出来レースでしたから。 諏訪先生に無理やり決められちゃったんですよ」 | ||
114 | 春希 | Haruki | 「諏訪かぁ… もしかして俺のときも、 あいつのゴリ押しだったのかな?」 | ||
115 | 小春 | Koharu | 「うわぁ… 春希先輩も諏訪先生のお気に入りだったんですか? わたしたち、嫌なところで共通点ありますね」 | ||
116 | 春希 | Haruki | 「だから小春希って呼ばれるんだろ、武也に」 | ||
117 | 小春 | Koharu | 「それってなんか納得できませんよね。 わたし、別に先輩の真似してる訳じゃないのに。 ただ、三年遅く生まれただけで…」 | ||
118 | 結局、俺たちの『休憩』は、思いのほか会話が弾んだ。 | ||||
119 | 小春は、俺の付属時代の思い出を聞きたがり、 俺は、小春のここ三年の記憶を代償に求め、 けれどお互い、卒業前の半年間には触れずにいた。 | ||||
120 | 春希 | Haruki | 「で、どんなこと喋ろうと思ってた?」 | ||
121 | 小春 | Koharu | 「だからぁ、もう断ったって…」 | ||
122 | 春希 | Haruki | 「小春のことだから、必死で原稿は作っただろ? 断り切れなかったときにも恥をかかずに済むように」 | ||
123 | 小春 | Koharu | 「………先輩、もしかしてわたしの部屋に 盗聴器つけてます?」 | ||
124 | 春希 | Haruki | 「こと勉強とか学校行事に関しては、 お前の考えることなんか手に取るようにわかる。 …本当はちょっとだけ誇りに思ったろ? 答辞」 | ||
125 | 小春 | Koharu | 「…先輩と出会ってなかったら今ごろ、 胸を張って堂々と舞台に立ってたかもしれませんね」 | ||
126 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
127 | 小春 | Koharu | 「あ~、嘘です嘘! そこで落ち込まないでくださいよ先輩」 | ||
128 | やることなすこと共通点の多すぎる俺たちは、 ときには相手を指差して笑い、 ときには自分の頭を抱え… | ||||
129 | まるで同じ三年間を過ごした仲間との同窓会のように、 お菓子とお茶だけで、馬鹿みたいに盛り上がった。 | ||||
130 | 春希 | Haruki | 「ならさ… 今ここで披露してくれよ? 小春の考えてた答辞」 | ||
131 | 小春 | Koharu | 「え~? 嫌ですよそんな恥ずかしいこと!」 | ||
132 | 春希 | Haruki | 「そんな恥ずかしいこと書いたのか? ますます聞きたくなってきた」 | ||
133 | 小春 | Koharu | 「…性格悪いですね先輩」 | ||
134 | 春希 | Haruki | 「小春に似てるって友達に言われたよ」 | ||
135 | 小春 | Koharu | 「もう… でも、聞いても意味ないですよ。 答辞としては使いものにならなかったから」 | ||
136 | 春希 | Haruki | 「…本気でどんなこと書いたんだよ?」 | ||
137 | 小春 | Koharu | 「別に、大した内容じゃないですよ。 ただ…」 | ||
138 | 春希 | Haruki | 「ただ?」 | ||
139 | 小春 | Koharu | 「…気がついたら、 たった一人に向けてのメッセージになってたんです」 | ||
140 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
141 | 小春 | Koharu | 「それに、送られてるのか送ってるのか、 よくわからなくなっちゃって…」 | ||
142 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
143 | 小春 | Koharu | 「だから、封筒に入れて今朝届けてきました。 …矢田って表札のかかった家に」 | ||
144 | 春希 | Haruki | 「小春…」 | ||
145 | 小春 | Koharu | 「先輩の言う通りでした… わたしはもう、美穂子といつでも話せる」 | ||
146 | 春希 | Haruki | 「うん」 | ||
147 | 小春 | Koharu | 「卒業しても、別々の大学に通っても、 決して途切れることはないんです。 …わたしが諦めない限り」 | ||
148 | 春希 | Haruki | 「…なら、諦めるなよ?」 | ||
149 | 小春 | Koharu | 「はい、絶対に」 | ||
150 | 教頭 | Vice Principal | 「続いて、答辞。 卒業生代表、3年F組、堀田智明」 | ||
151 | 男子生徒2 | Male Student 2 | 「はい」 | ||
152 | ……… | .........
| |||
153 | 男子生徒2 | Male Student 2 | 「本日は、多数の方々のご臨席を賜り、 このように盛大な卒業式を開いて下さったことに、 卒業生を代表して感謝申し上げます」 | ||
154 | 男子生徒2 | Male Student 2 | 「こうして今日の日を迎え、学園生活を振り返ると、 入学式からの長いようで短い日々を 鮮明に思い出すことができます」 | ||
155 | 『思い起こせば三年前… 桜が満開で、暖かい風の吹く、うららかな春の日に、 …あなたは、入学式から欠席してたよね』 | ||||
156 | 『くじ引きで決まったわたしの席の隣は、 その後一週間、ずっと誰も座ることがなかったの』 | ||||
157 | 『だからわたしは、まだ見ぬ隣人のことをずっと想像して、 自己紹介ばかりでちっとも本題に入らない不毛な授業の 退屈しのぎにしてたっけ』 | ||||
158 | 『その一週間後…初めての出会いから三年間。 わたしは、あなたとの思い出を全部覚えています』 | ||||
159 | 『テスト前、美穂子の家に泊まり込みで勉強したこと。 三階建ての家、豪華な食事、広すぎるお風呂まで、 何もかもカルチャーショックで眠れなかったこと』 | ||||
160 | 『体育祭の二人三脚。お互いの速さが全然合わなくて、 本番では二人して傷だらけになっちゃって、 閉会式まで保健室でお喋りしてたこと』 | ||||
161 | 『修学旅行、学園祭、普通の日常まで… いつの日の景色だって、すぐに浮かび上がってくる』 | ||||
162 | 『二年になって、クラスが離れてしまったとき、 この世の終わりかと思うくらいに泣き合ったっけ』 | ||||
163 | 『三年になって、再び同じクラスになったとき、 生き別れの姉妹と再会したかのように泣き合ったっけ』 | ||||
164 | 『あと外せないのが、お互いが頑固者だったせいで、 何度もやり合った大喧嘩』 | ||||
165 | 『そして、あの騒ぎはなんだったんだってくらいの、 あっという間の仲直り』 | ||||
166 | 『…たった一度だけ仲直りできなかった、 最後の、大喧嘩』 | ||||
167 | 『目を閉じて思い出すだけで、懐かしかったり、 楽しかったり、苦しかったり、辛かったりします』 | ||||
168 | 『でも、あなたはもっと辛かったんだろうね』 | ||||
169 | 『わたしのこと、大嫌いになるくらい、 苦しかったんだろうね』 | ||||
170 | 『でもね… あなたが大嫌いなわたしは、 今でもあなたのことが大好きです』 | ||||
171 | 『酷いことしておいて、深く傷つけておいて、 どれだけ都合がいいんだと言われるかもしれない。 けど、そのことだけは、もう譲りません』 | ||||
172 | 『この数日間、ずっと逃げてきたけれど、 ずっと目を背けてきたけれど』 | ||||
173 | 『今後、ずっと美穂子の最悪の思い出の中心にい続けて、 そのまま永遠に憎まれ続けられるのも、 克服して忘れ去られるのも、どっちも嫌』 | ||||
174 | 『だからひとまず今は、あなたの前から消えます』 | ||||
175 | 『あなたが普通の生活に戻り、大学に進学して、 日々を楽しく思うようになり、今の辛い思いが和らぎ…』 | ||||
176 | 『少しでも、わたしのこと 許してもいいかなと思ってくれるその日まで、 あなたとは違う場所で頑張っていきます』 | ||||
177 | 『そして、いつか再びわたしたちの道が交差したとき、 その時のわたしと、その時のあなたとで、 もう一度大喧嘩して、そして仲直りしたい』 | ||||
178 | 『いつか、きっと… そんな嬉しくて幸せな日がもう一度やってくるって信じて、 美穂子のいない日々を頑張っていきます』 | ||||
179 | 『わたしたちの人生は、ずっと続いていくんだから、 ずっと諦めずに、わたしの信じる友情を、 これからも大切にしていくって誓います』 | ||||
180 | 『さようなら、美穂子』 | ||||
181 | 『卒業、おめでとう』 | ||||
182 | ……… | .........
| |||
183 | 小春 | Koharu | 「でもね、でもね…先輩」 | ||
184 | 小春 | Koharu | 「わたし、本当はみんなと泣きたかった。 『仰げば尊し』歌いながら、 美穂子と抱き合って泣きたかったんだよ…」 | ||
185 | 春希 | Haruki | 「うん…」 | ||
186 | 小春 | Koharu | 「その後ね、打ち上げでカラオケ行って、 さっき泣いてたのはなんだったんだってくらいに、 みんなで歌って大盛り上がりしたかった」 | ||
187 | 春希 | Haruki | 「うん…っ」 | ||
188 | 友達に心からの想いをぶつけている時にさえ、 強がってしまう意地っ張りな少女は… | ||||
189 | 小春 | Koharu | 「卒業旅行も行きたかった。 美穂子と早百合と亜子と… スペインとイタリアとフランス回りたかった」 | ||
190 | “答辞”が終わった瞬間、 表情を変えることなく、涙をとめどなく溢れさせた。 | ||||
191 | 小春 | Koharu | 「そしたら偶然、冬馬かずさのコンサートやってて。 わたしたち、マナーも知らずに大騒ぎして、 思いっきり周りにひんしゅく買っちゃって…」 | ||
192 | だから俺は、そんな彼女を 遠慮せず力いっぱい、背中から抱きしめる。 | ||||
193 | 小春 | Koharu | 「帰ってきたら、すぐに大学の入学式が待ってて。 『な~んだ、付属の頃と全然変わんないね』って、 結局いつもの顔ぶれで…」 | ||
194 | まるで、所有権を主張するかのように、 腕を回して大きく包み込む。 | ||||
195 | 小春 | Koharu | 「そして、そして… たまたま廊下を歩いてたら、どこかで見たことのある、 融通の利かない四年生の先輩と偶然会っちゃって…」 | ||
196 | さらさらの髪に顔を埋め、 親指で、その涙をすくい… | ||||
197 | 小春 | Koharu | 「お互い、憎まれ口を叩きながら、 一緒にキャンパス歩きたかった…っ」 | ||
198 | 春希 | Haruki | 「小春…っ」 | ||
199 | 小春 | Koharu | 「~~~っ!」 | ||
200 | 彼女を苦しめる全てから、 俺が守り抜くって、誓う。 | ||||
201 | たとえそれが、俺の責任でもそうでなくても… これからは、俺が… | ||||
202 | 小春 | Koharu | 「同情でこういうことしちゃいけないんですよ…? また女の子に勘違いさせるつもりですか…先輩?」 | ||
203 | 春希 | Haruki | 「卒業…おめでとう」 | ||
204 | 小春 | Koharu | 「答えに…なってないです」 | ||
205 | 強いようで、自分をしっかり持っているようでいて、 実は、いつも迷い、揺れている… | ||||
206 | ただ、導き出される結論だけが、 強い『ように見える』女の子を。 | ||||
207 | ……… | .........
| |||
208 | 孝宏 | Takahiro | 「よ、園田、清水。 卒業おめでと」 | ||
209 | 亜子 | Ako | 「小木曽君…」 | ||
210 | 早百合 | Sayuri | 「…なに? 嫌味言いに来たの?」 | ||
211 | 亜子 | Ako | 「ちょっと早百合… いきなりそんな喧嘩腰で」 | ||
212 | 孝宏 | Takahiro | 「よくわかってんじゃん」 | ||
213 | 亜子 | Ako | 「小木曽君まで…」 | ||
214 | 孝宏 | Takahiro | 「結局、矢田も杉浦も来なかった。 これがお前たちがしたことの結果だよ」 | ||
215 | 早百合 | Sayuri | 「………」 | "........."
| |
216 | 亜子 | Ako | 「う、ん」 | ||
217 | 孝宏 | Takahiro | 「忘れるなよ? いい思い出なんかにするなよ? …全部人に押しつけるなよ?」 | ||
218 | 早百合 | Sayuri | 「うるさいなぁ、わかってるよ浪人生、後輩」 | ||
219 | 孝宏 | Takahiro | 「発表は来週だって! 勝手に決めつけんな!」 | ||
220 | 早百合 | Sayuri | 「決まったようなもんじゃん。 よりにもよって試験前日に告白して振られるなんて…」 | ||
221 | 亜子 | Ako | 「ちょ、ちょっと… それだけは言っちゃ駄目だよ早百合… 小木曽君、一番触れられたくない話題だよ?」 | ||
222 | 孝宏 | Takahiro | 「お、お、お前らなぁ…っ! あんな酷いことしといて、なんだよそれは!」 | ||
223 | 早百合 | Sayuri | 「思い出になんかするわけがない。 まだ終わってないんだから」 | ||
224 | 亜子 | Ako | 「そうだね、終わってないよね」 | ||
225 | 孝宏 | Takahiro | 「え…?」 | ||
226 | 早百合 | Sayuri | 「大学が始まるまで、まだ一月もあるじゃない。 終わってないどころか、始まったばかりだよ」 | ||
227 | 孝宏 | Takahiro | 「な、何が…?」 | ||
228 | 亜子 | Ako | 「わからない? これからも、諦めずに美穂子を説得するんだよ。 わたしたちで」 | ||
229 | 孝宏 | Takahiro | 「へ…?」 | ||
230 | 早百合 | Sayuri | 「しょうがないじゃんか。 あたしたちのせいで、そういうお節介する 鬱陶しい人間がいなくなっちゃったんだからさ…」 | ||
231 | 亜子 | Ako | 「だったら、自分たちでやるしかないって… 二人で、決めたんだよ」 | ||
232 | 孝宏 | Takahiro | 「お前ら…」 | ||
233 | 早百合 | Sayuri | 「どうせ卒業旅行も流れちゃったし、 春休みの間じゅう、暇だしね」 | ||
234 | 亜子 | Ako | 「まだしばらくは四人には戻れないけれど… 小春の望みが、三人でいることなら…」 | ||
235 | 早百合 | Sayuri | 「せいぜい美穂子と仲良くして、 小春をますます孤立させてやろうってさ」 | ||
236 | 亜子 | Ako | 「もう、早百合ったら… どうしてそういう憎まれ口ばっかり…」 | ||
237 | 孝宏 | Takahiro | 「………」 | "........."
| |
238 | 早百合 | Sayuri | 「…なに? なんか文句ある?」 | ||
239 | 孝宏 | Takahiro | 「いや…そうじゃなくて。 そうじゃなくてさ」 | ||
240 | 亜子 | Ako | 「小木曽君…」 | ||
241 | 孝宏 | Takahiro | 「そっか…はは、そっかぁ… いいじゃん…いいじゃんそれ! 俺も仲間に入れてくれよ!」 | ||
242 | 早百合 | Sayuri | 「あんたは予備校探すか二次募集にでも備えてな。 そうだ、青泉の文芸なんてどう? あんたの愛しの女の子も受けるらしいよ?」 | ||
243 | 孝宏 | Takahiro | 「お、おまっ…何を!?」 | ||
244 | 早百合 | Sayuri | 「報われないねぇ委員長。 あんた結構人気あったのに、下級生とかに」 | ||
245 | 孝宏 | Takahiro | 「な、な、な…何を言ってんだ! 同級生にだって人気あったわ! ほら見ろ! 第二ボタン取られてるだろ!」 | ||
246 | 早百合 | Sayuri | 「へぇぇぇぇ~、まだそんな風習あったんだぁ。 この学校も意外とレトロだよねぇ」 | ||
247 | 孝宏 | Takahiro | 「しかも、欲しがったの一人だけじゃないぞ? 用意してた予備もほとんどなくなったんだからな。 ほら、もうこれが最後の一個…」 | ||
248 | 亜子 | Ako | 「あ、あの………それ、もらえないかな?」 | ||
249 | 孝宏&早百合 | Takahiro & Sayuri | 「………は?」 |
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Introductory Chapter | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
1001 | 1008 | 1009 | 1010 | 1011 | 1012 | 1013 |
1002 | 1008_020 | 1009_020 | 1010_020 | 1011_020 | 1012_020 | |
1003 | 1008_030 | 1009_030 | 1010_030 | 1011_030 | 1012_030 | |
1004 | 1008_040 | 1010_040 | 1012_030_2 | |||
1005 | 1008_050 | 1010_050 | ||||
1006 | 1010_060 | |||||
1006_2 | 1010_070 | |||||
1007 |
Closing Chapter | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Common | Setsuna | Koharu | Chiaki | Mari | ||||||
2001 | 2011 | 2020 | 2027 | 2301 | 2309 | 2316 | 2401 | 2408 | 2501 | 2510 |
2002 | 2012 | 2021 | 2028 | 2302 | 2310 | 2317 | 2402 | 2409 | 2502 | 2511 |
2003 | 2013 | 2022 | 2029 | 2303 | 2311 | 2318 | 2403 | 2410 | 2503 | 2512 |
2004 | 2014 | 2023 | 2030 | 2304 | 2312 | 2319 | 2404 | 2411 | 2504 | 2513 |
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2007 | 2017 | 2026 | 2033 | 2307 | 2315 | 2322 | 2407 | 2507 | 2516 | |
2008 | 2018 | 2308 | 2508 | 2517 | ||||||
2009 | 2019 | 2509 | ||||||||
2010 | ||||||||||
Setsuna | Koharu | Chiaki | Mari | |||||||
2031_2 | 2312_2 | 2401_2 | 2504_2 | 2511_2 | ||||||
2031_3 | 2313_2 | 2402_2 | 2507_2 | 2513_2 | ||||||
2031_4 | 2313_3 | 2402_3 |
Coda | |||||||||
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Common | Kazusa (True) | Setsuna (True) | Kazusa (Normal) | ||||||
3001 | 3008 | 3014_2 | 3020 | 3101 | 3107 | 3201 | 3207 | 3901 | 3907 |
3002 | 3009 | 3014_3 | 3021 | 3102 | 3108 | 3202 | 3208 | 3902 | 3908 |
3003 | 3010 | 3015 | 3022 | 3103 | 3109 | 3203 | 3209 | 3903 | 3909 |
3004 | 3011 | 3016 | 3023 | 3104 | 3110 | 3204 | 3210 | 3904 | |
3005 | 3012 | 3017 | 3024 | 3105 | 3111 | 3205 | 3211 | 3905 | |
3006 | 3013 | 3018 | 3106 | 3206 | 3906 | ||||
3007 | 3014 | 3019 | |||||||
Common | Setsuna (True) | Kazusa (Normal) | |||||||
3001_2 | 3210_2 | 3901_2 | 3906_2 | ||||||
3015_2 | 3902_2 | 3907_2 | |||||||
3902_3 | 3907_3 | ||||||||
3904_2 |
Mini After Story and Extra Episode | |||
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The Path Back to Happiness | The Path Forward to Happiness | Dear Mortal Enemy | |
6001 | 6101 | 4000 | 4005 |
6002 | 6102 | 4001 | 4006 |
6003 | 6103 | 4002 | 4007 |
6004 | 6104 | 4003 | 4008 |
6005 | 4004 | 4009 |
Novels | |||||
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The Snow Melts, And Until The Snow Falls | The Idol Who Forgot How to Sing | Twinkle Snow ~Reverie~ | After the Festival ~Setsuna's Thirty Minutes~ | His God, Her Savior | |
5000 | 5100 | 5200 | 5205 | 5300 | 5400 |
5001 | 5101 | 5201 | 5206 | 5301 | 5401 |
5002 | 5102 | 5202 | 5207 | 5302 | |
5003 | 5103 | 5203 | 5208 | 5303 | |
5004 | 5104 | 5204 | 5209 |
Short Stories | |||
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Princess Setsuna's Distress and Her Minister's Sinister Plan | Koharu Climate After the Passing of the Typhoon | This isn't the Season for White Album | Todokanai Koi, Todoita |
7000 | 7100 | 7200 | 7300 |