White Album 2/Script/2401
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Speaker | Text | Comment | |||
---|---|---|---|---|---|
Line # | JP | EN | JP | EN | |
1 | 春希 | Haruki | 「っ!?」 | !?
| |
2 | 何、を… | What...
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3 | 今、何をしようとした、俺? 何をしようとしたんだよ!? | Just now, what was I trying to do? Just what did I want to do!?
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4 | さっきまで雪菜と一緒にいたのに。 ずっと、お互いのことを想っていたのに。 | Even though I was just with Setsuna a while ago. Even though we're always thinking of each other.
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5 | なのに今、俺が選んだ電話番号は… | Despite that, the phone number I chose just now was...
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6 | 千晶 | Chiaki | 『春希のお望みのあたしが相手するよ? 親友でも、悪友でも…それとも…』 | "I can become whatever Haruki wants me to be, you know? Whether it's a close friend, a bad friend... or even...
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7 | 俺にとって、 あまりに都合の良すぎる逃げ場をくれるって言った、 あいつのところだった。 | ||||
8 | あいつこそ、今、一番選んだらいけない相手。 | She is the one person I cannot choose right now.
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9 | 雪菜にだけじゃなく、 あいつにとっても、酷すぎる選択だってのに。 | Not only for Setsuna, it is a choice that is too cruel even for that person.
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10 | 駅アナウンス | Station Announcement | 「3番線最終電車、間もなく発車します。 ドアが閉まります、ご注意ください」 | ||
11 | 春希 | Haruki | 「あ…」 | Ah...
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12 | なんとか、最後の意志を振り絞って、 電車に乗り込んだ。 | Somehow, I summoned up the last of my will and boarded the train.
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13 | あいつの住む場所から遠ざかり、 俺の住む場所へと近づく『正しい』行き先の。 | Moving far away from where that person lives, towards where I live, the "correct" destination.
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14 | だから電車は、逃げ道じゃなく、帰り道を滑り、 ゆっくりと、白い景色を後ろに流していく。 | ||||
15 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
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16 | けれど俺は、窓の外から目をそらし、 車内でのマナーも忘れ、携帯を開き、 その待ち受け画面をずっと見つめる。 | But I avert my eyes away from the window, forget my manners on the train, open up my cell phone, and stare at the standby screen.
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17 | デフォルトのままの無機質な背景に、 満タンの電池残量、三本立ったアンテナ。 | ||||
18 | 何度見ても何の変哲もない、 何も見るべきところのない、ただの… | ||||
19 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
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20 | なのに、閉じられない。 心がざわついたまま、画面から目を離せない。 | But, I don't close it. My heart still restless, my eyes do not leave the screen.
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21 | 自分でもそうする理由がわからな… いや、そんなの嘘だ。 | Even I have no idea why...no, that's a lie.
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22 | 着信画面に変わるのを待ってるんだ、俺… | I'm waiting for the incoming call screen...
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23 | あいつがコールバックしてくれるかもって、 そんな女々しくて最低なこと考えてるんだ、俺。 | Maybe she'll call back... I'm thinking of that sort of effeminate and wretched thing.
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24 | ……… | .........
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25 | …… | ......
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26 | … | ...
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27 | 結局、電車が動いてくれたのは御宿までだった。 | In the end, the train could only bring me to Onjyuku.
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28 | 春希 | Haruki | 「…あ」 | ...Ah.
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29 | そこからタクシーでマンションまで戻った頃、 やみかけていた粉雪が、また徐々に力を取り戻し、 優しく、降りてくる。 | ||||
30 | 夜中の1時を大幅に過ぎて、 そろそろ2時になろうかという時間帯。 | ||||
31 | 気温の方は、肌を刺すまでに下がっていた。 | The temperature has dropped to the point of piercing cold.
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32 | クリスマスで賑わっていた御宿とは対照的に、 ここ南末次は、もう寝静まり。 | ||||
33 | 春希 | Haruki | 「………っ」 | .....
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34 | そんな、静まり返った我が家の前で、 そっと深夜の雪降る空を見上げるふりをしながら… | ||||
35 | 俺はやっと、開き続けていた携帯を閉じる。 | I finally close the phone which had been open all this time.
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36 | 電車の中も、タクシーの中も、 ずっと無駄にライトを使い続けて、 とうとう電池が一目盛り減ってしまった。 | ||||
37 | 最低だな… | I'm the worst...
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38 | 自分から動くことが許されないからって、 相手が動くことをずっと待ってるなんて、 最低の、最悪の、最底辺男だ… | Because I can't accept myself to take action, I'm waiting for the other party to make a move... I'm that sort of wretched... the worst kind of guy.
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39 | ……… | .........
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40 | でもさ、和泉。 | But you know, Izumi.
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41 | お前、遠慮なく呼び出せって、 そう、言ってくれたじゃないか。 | You're the one who said that I could call you anytime.
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42 | こんなに辛いときにこそ、 こんなに寂しいときにこそ。 | ||||
43 | 俺に、その脳天気な笑顔を見せてくれるのが、 お前の真骨頂なんじゃなかったのかよ? | ||||
44 | この、馬鹿。 肝心なときに限って…使えねえ奴…っ | Stupid woman. You're useless at a time like this... when it matters most.
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45 | ??? | ??? | 「お帰り~」 | Welcome back~
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46 | 春希 | Haruki | 「え…?」 | Eh?
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47 | 千晶 | Chiaki | 「メリー、クリスマス! サンタのお姉さんがよい子のもとへやってきたよ~!」 | ||
48 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
49 | 千晶 | Chiaki | 「…よい子に呼ばれたからやってきたよ~?」 | ||
50 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
51 | 千晶 | Chiaki | 「やだな~、退かないでよ。 これバイト先から持ち出すの、 結構大変だったんだから~」 | ||
52 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
53 | 千晶 | Chiaki | 「いや~、それにしても寒かった! 部屋かと思ったのに来てみたらいないんだもん」 | ||
54 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
55 | 俺は、考えが甘かった。 | ||||
56 | 千晶 | Chiaki | 「でも、やっぱ驚かすためには、 こっちからコールバックする訳にもいかなくてさ~」 | ||
57 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
58 | 俺が、とうとう和泉を求めてしまった。 切羽詰まって、自分から連絡を取ってしまった。 | ||||
59 | 千晶 | Chiaki | 「やっと帰ってきてくれて助かったよ~。 あと一時間遅かったら絶対マッチ三本すってたね、 あたし」 | ||
60 | そんな決定的瞬間を、 いつもいつもふざけてばかりのこいつが、 見逃すはずなんかない。 | ||||
61 | 春希 | Haruki | 「…っ」 | ||
62 | 千晶 | Chiaki | 「…春希?」 | ||
63 | 絶対に馬鹿やってくる。 俺を呆れさせるために、何でもやってくる。 | ||||
64 | 春希 | Haruki | 「………っ!」 | ||
65 | 俺の…求めに応じてくれる。 | ||||
66 | 千晶 | Chiaki | 「春希ってば………っ!?」 | ||
67 | 春希 | Haruki | 「馬鹿…っ!」 | ||
68 | 千晶 | Chiaki | 「………おっと~」 | ||
69 | 和泉の身体は冷え切っていた。 | ||||
70 | 春希 | Haruki | 「馬鹿野郎…」 | ||
71 | 千晶 | Chiaki | 「あ…」 | ||
72 | そして、冷え切っていたことが服越しにわかるくらい、 俺は、和泉に体を密着させていた。 | ||||
73 | 春希 | Haruki | 「あまりにも馬鹿すぎるだろ、お前」 | ||
74 | 千晶 | Chiaki | 「春希…」 | ||
75 | 和泉の苦しそうな吐息が耳にかかる。 | ||||
76 | 春希 | Haruki | 「救いようがない馬鹿だ。 信じらんねぇ…っ」 | ||
77 | 千晶 | Chiaki | 「そっか…」 | ||
78 | それでも俺は、力をゆるめることなんか まるで考えられない。 | ||||
79 | 春希 | Haruki | 「………っ」 | ||
80 | 千晶 | Chiaki | 「ん…」 | ||
81 | 和泉の冷たい頬を、無理やり俺の頬に擦りつけて、 柔らかさを感じながら、お互いの体温を交換する。 | ||||
82 | 春希 | Haruki | 「…っ…ぅぅ…っ」 | ||
83 | 千晶 | Chiaki | 「んふふ…駄々っ子めぇ」 | ||
84 | そんなふうに強引にしても、 和泉はやっぱり、ふざけて受け入れてしまう。 | ||||
85 | 春希 | Haruki | 「ぅ…ぅぁ…ぁぁ…ぅぁぁ…っ」 | ||
86 | 千晶 | Chiaki | 「ね、春希ぃ」 | ||
87 | ただ、抱きすくめられるだけじゃなく、 自分も腕を伸ばし、俺の背中を優しくさする。 | ||||
88 | 春希 | Haruki | 「ぃ…和泉ぃ…」 | ||
89 | 千晶 | Chiaki | 「さ、落ち着きなって」 | ||
90 | しばらく背中をなで続けると、 今度は俺の肩に手を置き、 ゆっくりと腕を撫で下ろしていく。 | ||||
91 | 春希 | Haruki | 「お…俺…っ」 | ||
92 | 千晶 | Chiaki | 「いい子にしてたら、 サンタさんがプレゼントあげるから、ね?」 | ||
93 | そして、自分の頭に巻きついた俺の腕を、 丁寧に、丁寧にほどいていく。 | ||||
94 | 春希 | Haruki | 「あ…」 | ||
95 | くっつきあってた頬を引き剥がされ、 和泉の顔が至近距離で俺の瞳に映る。 | ||||
96 | 春希 | Haruki | 「あぁ…」 | ||
97 | その、表情は… | ||||
98 | 千晶 | Chiaki | 「ね? だから、目を閉じ…っ!?」 | ||
99 | 最初に見たときと同じ、 満面の笑顔、だった。 | ||||
100 | 千晶 | Chiaki | 「ん、ん、ん…? は、あむ…んぅっ!?」 | ||
101 | 瞬間、俺の中で何かが弾け、 次に気がついたときには… | ||||
102 | 千晶 | Chiaki | 「は、はる…ぅんっ、ん、む…んぅぅ」 | ||
103 | いや…まだ自分が何をしてるか、 この時までは気づいていなかった。 | ||||
104 | ただ、視界が真っ白になったような気がして、 一度は抜けかけた力が、 ひきつけを起こしたように再び湧き上がり。 | ||||
105 | 千晶 | Chiaki | 「ん~…あ、あむ…ちゅ…ん、んむ…は、ぁ」 | ||
106 | そしてじわじわと、 和泉の唇の温かさと柔らかさと滑らかさが、 俺の口の中に入り込んできて… | ||||
107 | 千晶 | Chiaki | 「あ、ん~、はむぁ…あ、んぷ…は、ぁぁ…」 | ||
108 | 春希 | Haruki | 「あ………っ」 | ||
109 | やっと、自分のしでかしたことの重大さに気づき、 和泉に何の断りもなく快感を貪っていた唇を引き離す。 | ||||
110 | 千晶 | Chiaki | 「は~………はぁぁぁぁ」 | ||
111 | 春希 | Haruki | 「い…和泉…?」 | ||
112 | とんでもないことをしてしまったって背筋が凍りながらも、 その行為が、俺の凍てついていた心を 溶かし始めてたってことも全然否定できない。 | ||||
113 | 千晶 | Chiaki | 「む~…いきなり舌入れてくるなんて。 いけない子だね、春希」 | ||
114 | 春希 | Haruki | 「ご、ごめ…」 | ||
115 | 千晶 | Chiaki | 「って、泣くな。 別に舌入れることが悪いなんて言ってないじゃん」 | ||
116 | 俺をたしなめる和泉の声と言葉は、 やっぱりあくまでも優しくて、ふざけてた。 | ||||
117 | 千晶 | Chiaki | 「ただ、単なる感想として 『いけない子だな~春希は』って思っただけだよ」 | ||
118 | 春希 | Haruki | 「それって…駄目じゃない、のか?」 | ||
119 | 千晶 | Chiaki | 「駄目な訳ないじゃん。 よい子でも、いけない子でも、 春希ならなんでもおっけ~だよ?」 | ||
120 | 春希 | Haruki | 「っ…」 | ||
121 | 千晶 | Chiaki | 「ただ、心の準備だけさせて。 今から舌入れるぞとか、今から…入れるぞとか」 | ||
122 | 春希 | Haruki | 「な…何を?」 | ||
123 | 千晶 | Chiaki | 「何だって。 あたしは、何されても嫌って言ったりしないから。 …春希にならね?」 | ||
124 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
125 | ふざけ過ぎてて、少し現実離れしてて、 そして俺を全肯定する、麻薬のような甘さに満ちてた。 | ||||
126 | 千晶 | Chiaki | 「どする? もっかい舌入れる? …なら、あ~ん」 | ||
127 | 春希 | Haruki | 「………っ」 | ||
128 | 千晶 | Chiaki | 「ん…んむぅぅ…んく…ちゅぷ…はむぅっ…」 | ||
129 | 和泉の方から開けてくれた口腔の中に、 遠慮なく舌をねじ込んで、かき回す。 | ||||
130 | 和泉は、俺が無茶をしやすいように、 全身の力を抜いて、全てを受け入れてる。 | ||||
131 | 千晶 | Chiaki | 「は、はる…ひぃ…は、あ、あむ… ふぅぅ…ん、んむぁ…あんっ」 | ||
132 | 春希 | Haruki | 「ん…んむ…じゅぅ…ん、んく」 | ||
133 | だから俺は、湧き上がってくる情欲そのままに、 和泉の歯に舌を這わせ、歯茎を舐め回し、 舌を絡めとり、音を立てて唾液を吸う。 | ||||
134 | 千晶 | Chiaki | 「はっ、はぁっ…あ、あぁ…んんんっ!? あ、ぷぁ…は、ぁぁ…ぁ…っ」 | ||
135 | そんな、陶酔してしまいそうなほどの 熱さに身を委ねながら、 けれど、少しだけ湧き上がってくる違和感。 | ||||
136 | こうやって深く舌を絡ませてみて、 初めてわかったこと。 | ||||
137 | 千晶 | Chiaki | 「んっ、んんっ…あ、あぷっ、ひっ…い、あ…ぁぁ…っ」 | ||
138 | 春希 | Haruki | 「ん…ぷぁ…っ」 | ||
139 | 俺の、少ない経験の中だけで比べても… つまり、雪菜と比べても全然慣れてない。 | ||||
140 | 千晶 | Chiaki | 「けほっ、こほっ… は、はぁ、はぁ、はぁぁ…」 | ||
141 | 春希 | Haruki | 「………和泉?」 | ||
142 | あんなに誘うようなそぶりを見せておきながら… こいつ、もしかして、あまり経験ない? | ||||
143 | 千晶 | Chiaki | 「ふ、ぅぁ、ぁぁぁ… こ、このぉ………凄いじゃないかぁ」 | ||
144 | 春希 | Haruki | 「大丈夫…じゃないのか? もしかして」 | ||
145 | それなのに俺、いきなり激しくしすぎた? | ||||
146 | 千晶 | Chiaki | 「いやぁ… ちょっと心の準備が足りなかったな~、なんて。 己の思い上がりを痛感しちゃったかも?」 | ||
147 | 相変わらず茶化してくれる和泉だけど、 俺の両肩に載せた腕は重く、 頭を下げたまま、肩で息をしてる。 | ||||
148 | 春希 | Haruki | 「わ、悪いっ。 その、俺、我慢できなくて…」 | ||
149 | あまりにも心地良すぎたから。 癒されすぎてしまったから。 | ||||
150 | 和泉が、全部受け止めてくれるって、 信じすぎてしまったから。 | ||||
151 | 千晶 | Chiaki | 「ね、春希」 | ||
152 | 春希 | Haruki | 「え」 | ||
153 | 千晶 | Chiaki | 「足、冷たくなってきた」 | ||
154 | 春希 | Haruki | 「…え」 | ||
155 | でも、そんな被害者のはずの和泉は、 今度はミニスカートからはみ出た太股を、 寒そうにすり合わせる。 | ||||
156 | それは、今まで俺に受けていた辱めを、 ちっとも咎めてるふうには見えなくて。 | ||||
157 | それどころか、ため息を含んだかすれ声は、 俺を今以上に挑発する響きに満ちていた。 | ||||
158 | 千晶 | Chiaki | 「続き…中でしようよ?」 | ||
159 | 春希 | Haruki | 「………あ」 | ||
160 | 和泉にそう言われて、 迂闊にも初めて気がつく。 | ||||
161 | 俺、まだ部屋に上がってなかったんだって。 それどころか、ここは道端なんだって。 | ||||
162 | 和泉を貪るのに夢中で、 自分が今どこにいるのかすら忘れてたって。 | ||||
163 | …自分が今まで何をしてきて、 どういう立場にいるのかすら忘れてたって。 | ||||
164 | 千晶 | Chiaki | 「雪は…?」 | ||
165 | 春希 | Haruki | 「やんだみたいだ」 | ||
166 | 完全に寝静まった南末次の空は、 今度こそ、雲が大きく切れてきてた。 | ||||
167 | 記念すべきホワイトクリスマスは終わりを告げ、 後に残るは、黒く冷たい都会の生活に迷惑な雪。 | ||||
168 | そして、俺の中でも、 ずっと心の中を占めてた大きな何かが終わり、 新しい何かが始まりつつある…かもしれなかった。 | ||||
169 | 千晶 | Chiaki | 「寒い?」 | ||
170 | 春希 | Haruki | 「ううん」 | ||
171 | 千晶 | Chiaki | 「そか…んふ」 | ||
172 | 春希 | Haruki | 「っ…こ、こら」 | ||
173 | 千晶 | Chiaki | 「あ、押すな~。 こっちギリギリなんだから」 | ||
174 | 春希 | Haruki | 「下で寝ろ下で」 | ||
175 | だって、一人暮らし用の狭いベッドの中には、 窮屈そうに全身を絡ませあう、俺と和泉。 | ||||
176 | 友達だとか、単なる同じゼミの学生だとか、 レポートの面倒見てやっただけだとかの言い訳を、 綺麗さっぱりぶっ潰してしまったばかりの二人。 | ||||
177 | 千晶 | Chiaki | 「離れたら寒いじゃん」 | ||
178 | 春希 | Haruki | 「エアコンつければいいだろ」 | ||
179 | 千晶 | Chiaki | 「CO2排出削減~」 | ||
180 | 『さっきまでお互い吐きまくってただろCO2』 | ||||
181 | 春希 | Haruki | 「なら暴れるな。 大人しくもう寝ろ」 | ||
182 | …そんなネタ返しは、 和泉が思いっきり喜ぶだろうからしてやらない。 | ||||
183 | 千晶 | Chiaki | 「そだね、寝よ寝よ。 すっごい疲れることやっちゃったし~」 | ||
184 | 春希 | Haruki | 「…重い」 | ||
185 | それだけじゃなく、足の温かさも、 お腹の柔らかさも、胸の、もっと凄い柔らかさも、 それに…その先でとんがってる先端の感触も。 | ||||
186 | 全部、俺の体にダイレクトに伝わってきて、 温かさだけじゃないものを、じわじわと俺に伝える。 | ||||
187 | 千晶 | Chiaki | 「春希は、どう?」 | ||
188 | 春希 | Haruki | 「…何が?」 | ||
189 | 千晶 | Chiaki | 「疲れて、少しは楽になった?」 | ||
190 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
191 | 和泉の言ってることは、 矛盾してるように聞こえるけど、 二人にとっては疑問を差し挟む余地なんかない。 | ||||
192 | 俺がどうして和泉に電話を掛けたのか… | ||||
193 | なんで和泉に会ったその瞬間、 あんなとんでもない真似をしでかしたのか… | ||||
194 | 千晶 | Chiaki | 「眠れそう?」 | ||
195 | 春希 | Haruki | 「…ああ」 | ||
196 | 和泉は全部、わかってるから。 | ||||
197 | そして、全部受け止めてくれたから。 | ||||
198 | 春希 | Haruki | 「なんとか、眠れそうだ」 | ||
199 | 千晶 | Chiaki | 「あたしがいるからね」 | ||
200 | 春希 | Haruki | 「………かもな」 | ||
201 | 千晶 | Chiaki | 「おやぁ~?」 | ||
202 | 春希 | Haruki | 「っ…さ、寝るぞ」 | ||
203 | 千晶 | Chiaki | 「おやおやぁ~?」 | ||
204 | 春希 | Haruki | 「うるさいな… さっきまで痛い痛い泣き叫んでたくせに」 | ||
205 | 千晶 | Chiaki | 「あ、その話蒸し返す? あたしは全然構わないんだけど?」 | ||
206 | 春希 | Haruki | 「………おやすみ!」 | ||
207 | 千晶 | Chiaki | 「…ぷぷ」 | ||
208 | 春希 | Haruki | 「ったく!」 | ||
209 | 今度こそ、しつこい和泉に背中を向け、 窓から、だいぶ広がった星空を見上げる。 | ||||
210 | 千晶 | Chiaki | 「おやすみぃ、春希」 | ||
211 | 和泉は、ごそごそと布団の中で動くと、 背中を向けた俺に、ぴとっと全身を密着させてきた。 | ||||
212 | 春希 | Haruki | 「暑苦しい」 | ||
213 | 千晶 | Chiaki | 「うん、寒くないよね」 | ||
214 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
215 | 俺は、そんな和泉に取り合わず、 強く目を閉じる。 | ||||
216 | …そう、目を閉じる。 | ||||
217 | 自分の罪を自覚して、 けれど、それでも闇を恐れずに目を閉じる。 | ||||
218 | 千晶 | Chiaki | 「寒くないよ、春希」 | ||
219 | 春希 | Haruki | 「っ…」 | ||
220 | だって、だってさ… | ||||
221 | 辛かったら、苦しかったら、 俺は、隣にある、この柔らかい身体を、 強く抱きしめればいいんだから。 | ||||
222 | 俺だけが、暗闇を抜けてしまった。 また、新しい罪を犯した。 | ||||
223 | …こんなに甘美で、あまりにも不公平な罪を。 |
Script Chart
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Introductory Chapter | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
1001 | 1008 | 1009 | 1010 | 1011 | 1012 | 1013 |
1002 | 1008_020 | 1009_020 | 1010_020 | 1011_020 | 1012_020 | |
1003 | 1008_030 | 1009_030 | 1010_030 | 1011_030 | 1012_030 | |
1004 | 1008_040 | 1010_040 | 1012_030_2 | |||
1005 | 1008_050 | 1010_050 | ||||
1006 | 1010_060 | |||||
1006_2 | 1010_070 | |||||
1007 |
Closing Chapter | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Common | Setsuna | Koharu | Chiaki | Mari | ||||||
2001 | 2011 | 2020 | 2027 | 2301 | 2309 | 2316 | 2401 | 2408 | 2501 | 2510 |
2002 | 2012 | 2021 | 2028 | 2302 | 2310 | 2317 | 2402 | 2409 | 2502 | 2511 |
2003 | 2013 | 2022 | 2029 | 2303 | 2311 | 2318 | 2403 | 2410 | 2503 | 2512 |
2004 | 2014 | 2023 | 2030 | 2304 | 2312 | 2319 | 2404 | 2411 | 2504 | 2513 |
2005 | 2015 | 2024 | 2031 | 2305 | 2313 | 2320 | 2405 | 2412 | 2505 | 2514 |
2006 | 2016 | 2025 | 2032 | 2306 | 2314 | 2321 | 2406 | 2413 | 2506 | 2515 |
2007 | 2017 | 2026 | 2033 | 2307 | 2315 | 2322 | 2407 | 2507 | 2516 | |
2008 | 2018 | 2308 | 2508 | 2517 | ||||||
2009 | 2019 | 2509 | ||||||||
2010 | ||||||||||
Setsuna | Koharu | Chiaki | Mari | |||||||
2031_2 | 2312_2 | 2401_2 | 2504_2 | 2511_2 | ||||||
2031_3 | 2313_2 | 2402_2 | 2507_2 | 2513_2 | ||||||
2031_4 | 2313_3 | 2402_3 |
Coda | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Common | Kazusa (True) | Setsuna (True) | Kazusa (Normal) | ||||||
3001 | 3008 | 3014_2 | 3020 | 3101 | 3107 | 3201 | 3207 | 3901 | 3907 |
3002 | 3009 | 3014_3 | 3021 | 3102 | 3108 | 3202 | 3208 | 3902 | 3908 |
3003 | 3010 | 3015 | 3022 | 3103 | 3109 | 3203 | 3209 | 3903 | 3909 |
3004 | 3011 | 3016 | 3023 | 3104 | 3110 | 3204 | 3210 | 3904 | |
3005 | 3012 | 3017 | 3024 | 3105 | 3111 | 3205 | 3211 | 3905 | |
3006 | 3013 | 3018 | 3106 | 3206 | 3906 | ||||
3007 | 3014 | 3019 | |||||||
Common | Setsuna (True) | Kazusa (Normal) | |||||||
3001_2 | 3210_2 | 3901_2 | 3906_2 | ||||||
3015_2 | 3902_2 | 3907_2 | |||||||
3902_3 | 3907_3 | ||||||||
3904_2 |
Mini After Story and Extra Episode | |||
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The Path Back to Happiness | The Path Forward to Happiness | Dear Mortal Enemy | |
6001 | 6101 | 4000 | 4005 |
6002 | 6102 | 4001 | 4006 |
6003 | 6103 | 4002 | 4007 |
6004 | 6104 | 4003 | 4008 |
6005 | 4004 | 4009 |
Novels | |||||
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The Snow Melts, And Until The Snow Falls | The Idol Who Forgot How to Sing | Twinkle Snow ~Reverie~ | After the Festival ~Setsuna's Thirty Minutes~ | His God, Her Savior | |
5000 | 5100 | 5200 | 5205 | 5300 | 5400 |
5001 | 5101 | 5201 | 5206 | 5301 | 5401 |
5002 | 5102 | 5202 | 5207 | 5302 | |
5003 | 5103 | 5203 | 5208 | 5303 | |
5004 | 5104 | 5204 | 5209 |
Short Stories | |||
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Princess Setsuna's Distress and Her Minister's Sinister Plan | Koharu Climate After the Passing of the Typhoon | This isn't the Season for White Album | Todokanai Koi, Todoita |
7000 | 7100 | 7200 | 7300 |