White Album 2/Script/5401
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Speaker | Text | Comment | |||
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Line # | JP | EN | JP | EN | |
1 | 「お前マジかよ春希!」\k\n | ||||
2 | 「あの小木曽雪菜がお前らのバンドに入ったって!?」\k\n「一体なにがどうなってんだよ? てかどうやって口説いた?」\k\n「それ以前にお前、いつ小木曽さんと話ができるような関係になったんだよ!」\k\n「俺……お前を尊敬するわ。その、チャンスを絶対に逃さない根回しの才能に」\k\n「……みんな、頼むから俺に昼飯を食わせてくれ」\k\n 昼休みの3年E組の教室に、周囲の喧騒をものともしないほどに大きく、それこそ耳をつんざくような怒号が鳴り響いていた。 | ||||
3 | 「いや、でもマジで驚天動地だろそれ」\k\n「お前、小木曽だぞ? 三年連続ミス峰城大付だぞ?」\k\n「いや、まだ三年目の投票終わってないから」\k\n「マジでどうやって騙くらかしたんだよ……」\k\n「だからそれは……じゃなくて騙してない。どさくさに紛れて人を貶めるな」\k\n この、言葉に詰まりながらも説教を忘れない、周囲の男子生徒たちにいつも鬱陶親しまれている少年の名前は北原春希という。\k\n なお、この『鬱陶親しまれる』というのは、とある親友が彼を評しての造語だが、春希にとってみればその内容よりも日本語の間違いが我慢ならなかった。 | ||||
4 | 「なんか駄目元で軽~く頼んでみたら軽~く引き受けてくれたぞ? みんな最初から諦めてただけじゃないのか?」\k\n「ないない、絶対ない」\k\n「お前、今まであのコに告って撃沈した英霊の数を知ってるか?」\k\n「いや、知らないけど」\k\n「ああ、俺も知らない」\k\n「なんだよそれ」\k\n「確かに死者の数は多すぎて誰も知らないけどさ。でも生還した英雄の数なら誰でも知ってるぞ。ゼロだ」\k\n「だからお前らそれプロポーズ(申し出)の内容が全然違うだろ……」\k\n それはともかく、今、彼らの話題を独占している“あの小木曽雪菜”は、名を……当然ながら小木曽雪菜という。 | ||||
5 | “とある事情”で、春希が三年生になって初めて言葉を交わし、そしてもしかしたらそれ以上に関わることになるかもしれない相手……\k\n ぶっちゃけ、春希の所属する軽音楽同好会の新メンバー。\k\n 一月後に控えた学園祭用の即席バンドの、さらに即席ボーカル。\k\n ついでに周囲の言う通り、二年連続ミス峰城大付とか、学園ナンバーワンアイドルとか、撃墜王とか色々と派手な肩書きを持つ完璧な美少女。\k\n「どっちにしても、あの小木曽がお前の目の前で笑顔でこくんと首を縦に振るなんて、そんなありえない妄想話なんか聞きたくないんだよ俺たちは」\k\n「いや、でも本当にあっさり引き受けてくれたんだってば……」 | ||||
6 | もちろん嘘だ。\k\n 雪菜が春希の申し出に首を縦に振るまでには、確かに様々な苦労と紆余曲折と意外な展開が目白押しだった。\k\n けれどそれは、多分、周囲が想像するような経緯とはかけ離れた内容だったから説明のしようがなかっただけで……\k\n 何しろ春希の知っている雪菜は、皆の知っている小木曽とは全然違う、地味に生きようとしても世間が許さなくて色々としがらみに振り回されているという、なかなかにシンパシーを感じさせる苦労人なのだから。 | ||||
7 | 「それにさ、まだ浮かれてる場合じゃないんだってば」\k\n「なんでよ? 小木曽が歌うんだろ?」\k\n「そんなのもう勝ったも同然じゃん。お前らの出番の時だけ人で溢れ返るぞ絶対」\k\n「そりゃまぁ、ボーカルは文句のつけようがなくなったよ。けどその他が……」\k\n | ||||
8 | 「………」\k\n その台詞とともに、春希がちらり、と視線を向けた先には、窓際の席で突っ伏している女生徒の姿があった。 | ||||
9 | この、始業から終業まで教室で眠りこけ、一部を除いたクラスメイトに空気扱いされているのは……そう、その少女こそ、名前を冬馬かずさという。\k\n 変わり者とか、浮いた存在とか、孤高の一匹狼とか色々と微妙な肩書きを持つおかげで、誰からも距離を置かれている、単なる厄介者な美少女。\k\n 今もその評判が示す通り、周囲の喧騒など何処吹く風で、何事にも興味なさそうに安らかな寝息を立てていた。\k\n ……と、周囲に信じ込ませることができているのも、いつもの不良じみた言動のお陰だった。\k\n「………」\k\n 実は、さっきから全然寝ていなかった。というか、寝てなんかいられなかった。\k\n 先ほどから、隣の男子たちが口にする『小木曽雪菜』という名前が、いちいちかずさの神経に障ってきていたから。 | ||||
10 | “とある事情”で、かずさが三年生になって以下略な相手……\k\n とはいえ、かずさは彼女の存在だけは……いや、同じ学園の誰もがその名を知らないでいる方が難しかった。\k\n 向かいの校舎の窓や、登下校の通学路……というか、人の輪の真ん中を見れば大抵そこにいる。\k\n 目を逸らそうにも、周囲の視線が全部同じ方向を向くものだからつられずにはいられない。\k\n 誰もが好意を抱かずにはいられないその笑顔。\k\n 周囲を和ませ、そして華やかにする雰囲気の良さ。\k\n そしてほんの少し垂れ気味の丸く見開かれた瞳に代表される柔らかな可愛らしさ。 | ||||
11 | 同じ学年で、いや、同じ学園で彼女に関心を持たないとしたらその人物は……冬馬かずさのような厭世的なサボリ魔に違いない。\k\n いや、違う。\k\n ―なんなんだ、あいつは。\k\n 何しろ今は、そのかずさですら小木曽雪菜のことには並々ならぬ関心を持たざるを得ない状況に追い込まれているのだから。\k\n 数日前、彼女と初めて会話とも言えないような二言三言を交わしたときのことを思い出す。 | ||||
12 | 小木曽雪菜は……やはり、周囲が言う通りのアイドルだった。\k\n 昔から聞いていた評判通り、目にしていたイメージ通りの、可愛い顔、声、仕草から繰り出される明るく爽やかな態度でかずさと、その場にいた彼女のバンド仲間に接していた。\k\n ただ、ほんの少しだけ評判と違っていたのは、その距離感。\k\n それも当然かずさとのではなく、彼女のバンド仲間との……\k\n「……」\k\n あの時かずさは、絶対に合わないタイプだと直感で悟った。\k\n 何もかも自分と違う、光の、白の、太陽の属性。\k\n いい意味で特別扱いされ続けてきた、正しく強い勇者。\k\n 相手に対しての気持ちを正直に顔に出せる、そのまっすぐな心。\k\n だから彼女はかずさにとって、今年に入って二人目の、苦手な奴になった。\k\n 他人に関心を持たないかずさには、他人を苦手とする理由などないはずなのに…… | ||||
13 | 「あれ、冬馬、どこいくんだ?」\k\n「っ……」\k\n なんとなく苛ついた頭を冷やしてこようと席を立ったかずさに、まるでずっと観察していたかのようにすぐ声をかけてきたのは、ついさっきまで騒動の中心にいた、今年に入って一人目な奴だった。\k\n「もうすぐ昼休み終わるぞ? 昼飯食べないのか?」\k\n「……委員長ってのはクラスの人間の栄養状態にまで気を配らなくちゃならないのか、そりゃ大変だな」\k\n「そういう訳じゃないけど、きちんと三食摂らないと余計に眠くなるぞ」\k\n「そうだよ。眠いんだから話しかけるな鬱陶しい」\k\n「冬馬……」 | ||||
14 | と、かずさは彼に向かって、いつも以上の冷たい視線と声で歓迎してみせる。\k\n それは間違いなくかずさらしい理不尽な態度だったけれど、彼女にしてみれば、それくらいの憂さ晴らしはさせてもらえないとやってられないという心境だった。\k\n だって彼こそが、今のかずさの不機嫌の諸悪の根元だったから。\k\n かずさの前に、水と油としか思えない雪菜を連れてきた。\k\n 変に興奮した口調で雪菜のことを熱く語った。\k\n 雪菜がバンドを、自分を救ってくれたって。\k\n 雪菜だけが、自分の味方なんだって。\k\n 雪菜、だけ、って…… | ||||
15 | 「? 顔色悪いな。冬馬、お前もしかして体調が……」\k\n「っ……な、なんでもないから、寄るな!」\k\n「あ……」\k\n こちらを心配してくれたはずの春希の手をふりほどくと、かずさは逃げるように教室を出ていく。\k\n 自分の考えていたことが、なんだか変にむず痒くて気持ち悪かったから。\k\n 僻むことには慣れているはずなのに、その僻みの内容がいつものとあまりに乖離していたから。 | ||||
16 | 「あ……」\k\n 少し強く扉を閉めて廊下に出た瞬間、かずさは吐きかけたため息を一瞬で呑み込んだ。\k\n「あ……」\k\n 目的地である3年E組の教室の手前で、雪菜は息を呑むと共に歩みを止めた。\k\n「……」\k\n「……」\k\n 十歩ほどの距離を置いて、お互い、相手に目を奪われていた。 | ||||
17 | ―冬馬、さん\k\n ―小木曽、雪菜\k\n 二人とも、相手が自分を見ていることをしっかり意識しながらも、自分の視線が相手を向いてしまっていることには気づかない。\k\n だから自分がさり気なく振る舞えていると信じて、ふたたびゆっくりと、けれど今度はぎこちなく歩き出す。\k\n 相手の方へと、向かって。 | ||||
18 | ―やっぱり、カッコいいなぁ\k\n 雪菜は、ついついかずさと自分とを見比べてしまう。\k\n 身長があと3センチ高かったらといつも思っていたのに、目の前の同級生は、自分よりも5センチほど高くて。\k\n 髪も、自分のはこれ以上伸ばすと先が跳ねてしまうのに、目の前にサラサラと流れる黒髪は、自分よりも10センチは長くて。\k\n そしてあと、せめてもう1サイズ増やしたいと思っているカップは…… | ||||
19 | ―可愛い、って、こういうのを言うんだろうな\k\n かずさは、雪菜の立ち振る舞いに、言い知れぬ理不尽さを感じる。\k\n 全体的に作りの大きい自分に比べて、黄金比とはこういうことだと言わんばかりの絶妙のバランス。\k\n 人をビビらせることしか能のない自分の目つきに比べて、人を惹きつけずにはいられない、ちょっと上目遣い気味の大きく澄んだ瞳。\k\n そして何より、とある情報筋から幾度も聞かされた、見た目だけでは測れない、彼女の本当の魅力……\k\n そんな、どう考えても不躾な視線を互いに感じつつ、それでも互いに無関心を装い。 | ||||
20 | 「……」\k\n「……」\k\n 十秒にも満たない、十時間にも感じる十歩は、過ぎ去った。\k\n すれ違う際、なぜか二人とも、その表情にほんの少しの敗北感を漂わせつつ。\k\n そして、そのままかずさは突き当たりの階段を上り……\k\n「……はぁ」\k\n 雪菜はE組の教室の扉へと手をかけながら……\k\n「……ん~」\k\n 二人が廊下から消えるほんの一瞬。\k\n 最後に振り返った時、相手は自分のことを見ていなかった。 | ||||
21 | けれどそれは、ほんの少しのタイムラグ。\k\n どちらが先に振り返ったか、どちらが最後まで相手を見ていたかの、どっちにしても一勝一敗のチキンレース。\k\n なのに、その勝敗を判定する審判がこの場にいないせいで、意味のない敗北感と理由のわからない疲労が、二人同時に、ますます重くのしかかる。\k\n それでも、いつまでもそうやって原因のわからないままもやもやした気持ちを抱えつづける訳にもいかず、二人はほぼ同時に呟く。 | ||||
22 | 「よしっ」\k\n 雪菜は、小さく握った拳に力を込めて。\k\n | ||||
23 | 「……よし」\k\n かずさは、窓から空を見上げて。 | ||||
24 | ―話しかけてみようっと\k\n ―関わり合いになるのはやめよう\k\n お互いに、小さな決意を胸に秘め。 |
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Introductory Chapter | ||||||
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1001 | 1008 | 1009 | 1010 | 1011 | 1012 | 1013 |
1002 | 1008_020 | 1009_020 | 1010_020 | 1011_020 | 1012_020 | |
1003 | 1008_030 | 1009_030 | 1010_030 | 1011_030 | 1012_030 | |
1004 | 1008_040 | 1010_040 | 1012_030_2 | |||
1005 | 1008_050 | 1010_050 | ||||
1006 | 1010_060 | |||||
1006_2 | 1010_070 | |||||
1007 |
Closing Chapter | ||||||||||
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Common | Setsuna | Koharu | Chiaki | Mari | ||||||
2001 | 2011 | 2020 | 2027 | 2301 | 2309 | 2316 | 2401 | 2408 | 2501 | 2510 |
2002 | 2012 | 2021 | 2028 | 2302 | 2310 | 2317 | 2402 | 2409 | 2502 | 2511 |
2003 | 2013 | 2022 | 2029 | 2303 | 2311 | 2318 | 2403 | 2410 | 2503 | 2512 |
2004 | 2014 | 2023 | 2030 | 2304 | 2312 | 2319 | 2404 | 2411 | 2504 | 2513 |
2005 | 2015 | 2024 | 2031 | 2305 | 2313 | 2320 | 2405 | 2412 | 2505 | 2514 |
2006 | 2016 | 2025 | 2032 | 2306 | 2314 | 2321 | 2406 | 2413 | 2506 | 2515 |
2007 | 2017 | 2026 | 2033 | 2307 | 2315 | 2322 | 2407 | 2507 | 2516 | |
2008 | 2018 | 2308 | 2508 | 2517 | ||||||
2009 | 2019 | 2509 | ||||||||
2010 | ||||||||||
Setsuna | Koharu | Chiaki | Mari | |||||||
2031_2 | 2312_2 | 2401_2 | 2504_2 | 2511_2 | ||||||
2031_3 | 2313_2 | 2402_2 | 2507_2 | 2513_2 | ||||||
2031_4 | 2313_3 | 2402_3 |
Coda | |||||||||
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Common | Kazusa (True) | Setsuna (True) | Kazusa (Normal) | ||||||
3001 | 3008 | 3014_2 | 3020 | 3101 | 3107 | 3201 | 3207 | 3901 | 3907 |
3002 | 3009 | 3014_3 | 3021 | 3102 | 3108 | 3202 | 3208 | 3902 | 3908 |
3003 | 3010 | 3015 | 3022 | 3103 | 3109 | 3203 | 3209 | 3903 | 3909 |
3004 | 3011 | 3016 | 3023 | 3104 | 3110 | 3204 | 3210 | 3904 | |
3005 | 3012 | 3017 | 3024 | 3105 | 3111 | 3205 | 3211 | 3905 | |
3006 | 3013 | 3018 | 3106 | 3206 | 3906 | ||||
3007 | 3014 | 3019 | |||||||
Common | Setsuna (True) | Kazusa (Normal) | |||||||
3001_2 | 3210_2 | 3901_2 | 3906_2 | ||||||
3015_2 | 3902_2 | 3907_2 | |||||||
3902_3 | 3907_3 | ||||||||
3904_2 |
Mini After Story and Extra Episode | |||
---|---|---|---|
The Path Back to Happiness | The Path Forward to Happiness | Dear Mortal Enemy | |
6001 | 6101 | 4000 | 4005 |
6002 | 6102 | 4001 | 4006 |
6003 | 6103 | 4002 | 4007 |
6004 | 6104 | 4003 | 4008 |
6005 | 4004 | 4009 |
Novels | |||||
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The Snow Melts, And Until The Snow Falls | The Idol Who Forgot How to Sing | Twinkle Snow ~Reverie~ | After the Festival ~Setsuna's Thirty Minutes~ | His God, Her Savior | |
5000 | 5100 | 5200 | 5205 | 5300 | 5400 |
5001 | 5101 | 5201 | 5206 | 5301 | 5401 |
5002 | 5102 | 5202 | 5207 | 5302 | |
5003 | 5103 | 5203 | 5208 | 5303 | |
5004 | 5104 | 5204 | 5209 |
Short Stories | |||
---|---|---|---|
Princess Setsuna's Distress and Her Minister's Sinister Plan | Koharu Climate After the Passing of the Typhoon | This isn't the Season for White Album | Todokanai Koi, Todoita |
7000 | 7100 | 7200 | 7300 |