White Album 2/Script/2005
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Editing
Translation Notes
Text
Speaker | Text | Comment | |||
---|---|---|---|---|---|
Line # | JP | EN | JP | EN | |
1 | 春希 | Haruki | 「ん…」 | ||
2 | 春希 | Haruki | 「…八時ぃ?」 | ||
3 | 携帯の時計には、 確かにそんな時間が刻まれていた。 | ||||
4 | 麻理さんに居残りを叱られつつ、 麻理さんの回してきた膨大な量の調べ物を必死でこなし、 やっぱり矛盾を感じつつ家に辿り着いたのが確か6時。 | ||||
5 | 今日は日曜日。 | ||||
6 | 一週間のうちで唯一、 自由な時間を持て余してしまう、忌むべき日。 | ||||
7 | だから昨夜は意識を失う直前まで働き、 なんとか夢も見ずに済むくらい、 深い眠りに落ちたところだったのに… | ||||
8 | 春希 | Haruki | 「はぁい…北原…」 | ||
9 | そんな俺の『何も考える必要のない休日』を 踏みにじってくれたのは、 市内で、だけど見たことのない電話番号の… | ||||
10 | ??? | ??? | [F16「やぁ…北原君かぃ? ][F16元気にやってるかなぁぁぁ…?」] | ||
11 | 春希 | Haruki | 「………そちらこそ大丈夫ですか?」 | ||
12 | 寝起きの俺よりも弱々しい、 大人の男性の声だった。 | ||||
13 | 佐藤 | Satou | 「や~助かりました北原さん。 ほんと大変だったんすよ。 先月でバイトが軒並み辞めたところに店長までも…」 | ||
14 | 春希 | Haruki | 「腰やっちゃったんだって? ま、あの歳じゃなぁ」 | ||
15 | 佐藤 | Satou | 「そうなんすよ。 年内に復帰できるかも怪しいところで。 もうどうしようかって思ってたところで…」 | ||
16 | グッディーズ南末次店。 | ||||
17 | 南末次駅から徒歩10分のところにある ファミリーレストラン。 | ||||
18 | ついでに言えば、 峰城大からも徒歩10分のところにあるので、 来客の3割くらいはウチや付属の学生で占められている。 | ||||
19 | …のはいいんだけど。 | ||||
20 | 春希 | Haruki | 「そこであからさまにほっとされても困る。 俺、今日一日だけのヘルプって約束なんだから」 | ||
21 | 佐藤 | Satou | 「えええええ~! そんな馬鹿な!? そんなこと言ったら明日からどうやって 回していけばいいんすか?」 | ||
22 | 春希 | Haruki | 「半年前に辞めた人間に頼るなよ… お前、チーフになってもう二年だろ」 | ||
23 | 店長用の椅子に、心地悪そうに腰掛けているのは、 この店のキッチンチーフの佐藤。 | ||||
24 | 佐藤 | Satou | 「そんなこと言われてもっすねぇ… 北原さん辞めちゃったときも大変だったんすよ。 人を3人増やしても追いつかなくなっちゃって」 | ||
25 | 店長を除けば最古参で、しかも俺より二つ年上なのに、 何故か俺に敬語を使う、少しばかり弱腰な幹部候補。 | ||||
26 | 春希 | Haruki | 「全部マニュアルにして残したよな。 俺の見込みだと4人いれば回るはずだったんだけど?」 | ||
27 | まぁ、俺がタメ口をきくようになったのと、 どっちが先かと問われると記憶にないけど… | ||||
28 | 佐藤 | Satou | 「やっぱビシッと言う人がいないと駄目なんすよねぇ。 北原さんいないと途端にみんなだらけちゃって」 | ||
29 | 決して使えない人じゃないんだけど、 確かに一人で店を回すとなると、 どうしても不安がつきまとう。 | ||||
30 | 春希 | Haruki | 「じゃあビシッと言えよ。 準社員なんだろ? 正式採用目指してるんだろ?」 | ||
31 | 佐藤 | Satou | 「そんなの俺に言える訳ないじゃないっすか… 大体、店長だって何も言わない人なんですから」 | ||
32 | …特にこういう会話をしてる時なんかは痛切に感じる。 | ||||
33 | ……… | .........
| |||
34 | 俺がこの店でバイトをしていたのは、 二年の始めから三年の春先にかけての一年ちょい。 | ||||
35 | 今まで入れていたバイトに慣れてしまい、 いくら働いても倒れる限界まで疲れなくなったから、 いつ入っても回っていなさそうなこの店に移った。 | ||||
36 | それでも結局、ちょっと込み入った事情のせいで、 ここも半年前に辞めていたけれど。 | ||||
37 | 男子店員1 | Male Clerk 1 | 「ちぃ~す…北原さんっ!?」 | ||
38 | 春希 | Haruki | 「あ、本田、久しぶり。 俺、今日一日だけ…」 | ||
39 | 男子店員1 | Male Clerk 1 | 「やべ、すいません、5分遅刻しましたっ! 急いで仕度してきます!」 | ||
40 | 春希 | Haruki | 「え、いや、別に…」 | ||
41 | 佐藤 | Satou | 「………」 | "........."
| |
42 | 春希 | Haruki | 「あ…」 | ||
43 | 彼は確か、一年くらい前からここでバイトしてた、 ウチの大学の二年生… | ||||
44 | 少し時間やシフトにルーズなところがあって、 一度『穏便に』話し合ったことがあったんだけど… | ||||
45 | 佐藤 | Satou | 「俺には絶対あんな態度取らないんすよあいつ…」 | ||
46 | 春希 | Haruki | 「知らないってそんなこと! 今日だけって店長との約束なんだってば!」 | ||
47 | 佐藤 | Satou | 「ま、実は俺もそういう話聞いてますけどね」 | ||
48 | 春希 | Haruki | 「…だったらわざわざ脅かさないでくれ」 | ||
49 | 佐藤 | Satou | 「いや~、北原さんが戻るっていうから、 どうしても期待しちゃって。 見るに見かねて毎日来てくれるんじゃないかって…」 | ||
50 | 春希 | Haruki | 「…俺もうすぐ就職活動なんだよ?」 | ||
51 | 佐藤 | Satou | 「わかってますって。 実は、今日から一人新人が来るんすよ。 その子を一日で使えるようにして欲しくって」 | ||
52 | 春希 | Haruki | 「ああ、そういうことか… 本当に誰も空きがいないんだな」 | ||
53 | 佐藤 | Satou | 「日曜なのに5人ギリギリなんですよ。 とても新人に構ってる時間がなくて…」 | ||
54 | 女子店員1 | Female Clerk 1 | 「おはようございま~す…わ、ホントに北原さんだ。 お帰りなさ~い」 | ||
55 | 春希 | Haruki | 「中川さん…ご無沙汰」 | ||
56 | 女子店員1 | Female Clerk 1 | 「助かり~。 店長倒れたって聞いて、 もうダメだと思ってたんだよこの店~」 | ||
57 | 佐藤 | Satou | 「…ごめんねホールチーフ」 | ||
58 | 春希 | Haruki | 「いや、俺単なる臨時教育係で今日だけ…」 | ||
59 | 女子店員1 | Female Clerk 1 | 「大丈夫大丈夫。ど~せすぐに改革始めちゃうって。 …あ、でも新人のコだけには優しくしてあげてね? 今一人でも欠けるとホントにやばいから~」 | ||
60 | 春希 | Haruki | 「中川さん残ってたんだ。 …少しは希望が持てた」 | ||
61 | 佐藤 | Satou | 「バイトの女の子はね、 みんな彼女の言うことしか聞かないんすよ…」 | ||
62 | 彼女は、俺が辞める三か月前に入ってきた、 俺より一つ下の専門学校生。 | ||||
63 | 佐藤には失礼だけど、 店長を除けばこの店で一番使えるスタッフで、 俺の恐怖政治の一番の理解者だった記憶がある。 | ||||
64 | そして、何よりも彼女が好ましかったのは、 完全に俺のことを職場の仲間として、 割り切って接してくれていたことで… | ||||
65 | 春希 | Haruki | 「そういえば… 谷口さんは?」 | ||
66 | 佐藤 | Satou | 「あ~、北原さんがいなくなった後、 一週間もしないうちに辞めちゃったっすけど」 | ||
67 | 春希 | Haruki | 「そう…」 | ||
68 | 佐藤 | Satou | 「彼女目当てのお客さんも多かったし、 結構ダメージでかかったんすけどね。 何も言わずにいきなり来なくなっちゃうんだもんなぁ」 | ||
69 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
70 | 済まない…佐藤。 それはきっと、色々と『込み入った事情』のせいだと思う。 | ||||
71 | 佐藤 | Satou | 「さてと、そろそろ開店一時間前ですね。 新人のコも一時間前に来てますんで紹介しますね」 | ||
72 | 春希 | Haruki | 「へぇ、初日なのに早いね。 いい心がけだ」 | ||
73 | 佐藤 | Satou | 「俺が面接したんすけどね。 すっごい真面目なコですよ。 いきなり30分くらい質問攻めだったし」 | ||
74 | 春希 | Haruki | 「そりゃ感心」 | ||
75 | 佐藤 | Satou | 「ほんと、もしかしたら 北原さんの妹かと思ったくらいっすよ」 | ||
76 | 春希 | Haruki | 「…いや、何てコメントすればいいんだ、それ?」 | ||
77 | 佐藤 | Satou | 「峰城付属の3年だから… 妹じゃないけど、北原さんの後輩っすね」 | ||
78 | 春希 | Haruki | 「……ここのバイトなんてほとんどウチの関係だし」 | ||
79 | 佐藤 | Satou | 「名前は確か…杉…杉…杉村? ええと、なんか違ったような…」 | ||
80 | 春希 | Haruki | 「………まさかな」 | ||
81 | ……… | .........
| |||
82 | グッディーズ南末次店。 | ||||
83 | 南末次駅から徒歩10分のところにある ファミリーレストラン。 | ||||
84 | ついでに言えば、 峰城大からも徒歩10分のところにあるので、 来客の3割くらいはウチや付属の学生で占められている。 | ||||
85 | そしてもう一つ、 峰城大からも徒歩10分のところにあるので、 アルバイトの過半数は、ウチや付属の学生で… | ||||
86 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
87 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
88 | ああ… | ||||
89 | なんてこった。 | ||||
90 | 春希 | Haruki | 「おい佐藤! これは一体どういう事なんだ!?」 | ||
91 | 小春 | Koharu | 「チーフさん! どうなってるんですかこれは!?」 | ||
92 | 佐藤 | Satou | 「全然状況が理解できない上に、 どうして二人とも俺に怒るんすか…?」 | ||
93 | なんて嫌すぎる運命だ… | ||||
94 | ……… | .........
| |||
95 | 中川 | Nakagawa | 「お待たせしました。 チーズハンバーグセットと、ミックスピザでございます。 …鉄板熱くなっておりますのでお気をつけください」 | ||
96 | 本田 | Honda | 「トマトスパゲティとカルボナーラ上がりました~」 | ||
97 | 女子店員2 | Female Clerk 2 | 「ご注文繰り返させていただきます。クラブハウスサンド、 ビーフカレー、ドリンクバー2つですね? ドリンクバーあちらにございます」 | ||
98 | 男子店員2 | Male Clerk 2 | 「ありがとうございます。 お会計2580円になります。 …はい、5000円お預かりします」 | ||
99 | 佐藤 | Satou | 「ドリンクバー、アイスコーヒー補充して。 あと氷も!」 | ||
100 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
101 | 春希 | Haruki | 「例えば、半熟オムライスだったらこのボタン。 2個なら…」 | ||
102 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
103 | フロアもキッチンも、 さながら戦場の様相を呈する、 ランチタイムの後半戦。 | ||||
104 | 春希 | Haruki | 「で、注文が確定したらこのボタンを押して… で、最後に送信ボタン」 | ||
105 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
106 | 俺と新しいバイト…こと、 峰城大付属3年杉浦小春は、 皆の邪魔にならないよう、フロアの隅に佇んでいた。 | ||||
107 | 春希 | Haruki | 「こうすると注文内容はキッチンに転送されるから、 もう次のお客様の対応に向かって問題ない」 | ||
108 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
109 | そこでは現在、実際にハンディターミナルを使用しての、 メニューの取り方の実習が佳境に入っていた。 | ||||
110 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
111 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
112 | …のはいいんだけど。 | ||||
113 | 春希 | Haruki | 「…聞いてる?」 | ||
114 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
115 | 多分、聞いてる。 そして、明らかにふてくされてる。 | ||||
116 | 最初の出会いで最悪の決裂を経て、 二度目の遭遇では対応を他人任せにして敵前逃亡した 男の指導なんか受けられないってか? | ||||
117 | …こうして羅列してみると、 確かに俺が彼女だったとしても、 間違いなく嫌うだろうなぁ。 | ||||
118 | 春希 | Haruki | 「じゃあ練習。ミックスフライの洋食セット、 シーザーサラダ、ハニートースト、マンゴーパフェ、 コーヒーフロートにドリンクバー2つ…」 | ||
119 | 小春 | Koharu | 「………っ」 | ||
120 | しかし、そんなことを言ったところで、 ここのアルバイトを志望してきたのは他ならぬ彼女自身で、 図らずも俺がその教育係に任命されてしまった以上… | ||||
121 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
122 | 春希 | Haruki | 「…お見事」 | ||
123 | 人の好き嫌いでモチベーションを下げられても、 雇用側としては非常に困る訳で…と言いたかったのに。 | ||||
124 | ちゃんと人の話は聞いてるし、理解度も抜群。 | ||||
125 | 一通り端末の使い方を教えただけで、 ここまで簡単に使いこなすなんて… 素質だけならこの店始まって以来かもしれない。 | ||||
126 | 教育は真面目に受け、 しっかり努力して、 きちんと理解している理想の教え子。 | ||||
127 | その教え子が、ただふてくされてるだけというのは、 教育係としては、なんともやりにくい状況だけど… | ||||
128 | 春希 | Haruki | 「さて、それじゃ次の…」 | ||
129 | 小春 | Koharu | 「結構です」 | ||
130 | 春希 | Haruki | 「え…?」 | ||
131 | 小春 | Koharu | 「もうホールに出られます。 これ以上の教育は無意味です」 | ||
132 | で、多分、1時間ぶりくらいに耳に届いた彼女の声は、 その歪な師弟関係を根本から否定する類のもので。 | ||||
133 | 小春 | Koharu | 「あなたはわたしの教育係としてここに来たんですよね? だったらお疲れさまでした。もうおしまいです」 | ||
134 | それはもう、協調性という面においては、 非常に暗雲立ちこめるハッキリした態度を取っていた。 | ||||
135 | 春希 | Haruki | 「しかし… もう少し愛想よく振舞ってくれないと、 とても接客は…」 | ||
136 | 小春 | Koharu | 「先輩も接客対応してたんですよね? 以前は」 | ||
137 | 春希 | Haruki | 「あ、ああ。 俺は基本的に人の足りないところならどこでも…」 | ||
138 | 小春 | Koharu | 「なら問題ないです」 | ||
139 | 春希 | Haruki | 「っ…」 | ||
140 | 思わず説教モードが発動しそうになるのを必死で抑える。 | ||||
141 | 何しろ、彼女がこのような態度をとり続ける裏には、 間違いなく、俺の誉められたものじゃない態度が 関係してるから。 | ||||
142 | 春希 | Haruki | 「…本当に大丈夫か?」 | ||
143 | 小春 | Koharu | 「当然です」 | ||
144 | だから、もしかしたら彼女の言う通り、 目の前に俺さえいなければ、 愛想の部分は解決される可能性も否定できない訳で。 | ||||
145 | けど、だからと言って、 彼女が既に本番で通用するという結論には… | ||||
146 | 春希 | Haruki | 「中川さん!」 | ||
147 | 中川 | Nakagawa | 「は~い、はいはいはい」 | ||
148 | ようやくランチタイムが一段落したところで、 一瞬手の空いたホールチーフが、 トレイを団扇代わりに扇ぎながらやってきた。 | ||||
149 | 中川 | Nakagawa | 「…なに? てんちょ」 | ||
150 | 春希 | Haruki | 「店長違う。 それどころかチーフでもない」 | ||
151 | …そのだらけきった態度を注意したいけど、 今はそれどころじゃない。 | ||||
152 | 春希 | Haruki | 「ちょっと彼女、ホールに入れてあげて。 …そうだな、30分」 | ||
153 | 小春 | Koharu | 「え?」 | ||
154 | 中川 | Nakagawa | 「は?」 | ||
155 | 大方の予想通り、二人とも少し不満げな、 けれどまったく方向性の違う表情で、俺の顔を凝視する。 | ||||
156 | 小春 | Koharu | 「ちょっと待ってください。 たった30分ってどう言うことですか?」 | ||
157 | 中川 | Nakagawa | 「…出しちゃっていいの? みんな巻き込まれるよ?」 | ||
158 | もちろん反応も正反対で。 | ||||
159 | 春希 | Haruki | 「ちょっと折る必要があってね…鼻」 | ||
160 | 小春 | Koharu | 「っ!?」 | ||
161 | 中川 | Nakagawa | 「新人のコにだけは優しくしてあげてって 頼んだのになぁ…」 | ||
162 | そして、ここにいた二人は、俺のこの態度を、 『誰かさんに対してのあからさまな挑発』と 理解できるくらい、勘のいい人間ばかりだった。 | ||||
163 | 中川 | Nakagawa | 「今回はきっついね~ なに? そんなに腹に据えかねた?」 | ||
164 | 春希 | Haruki | 「大丈夫。 これくらいでへこたれるコじゃない。 俺が保証する」 | ||
165 | 何度もへこまされた自らの経験をもって… | ||||
166 | 小春 | Koharu | 「ひ…人のこと馬鹿にしないでくださいっ!」 | ||
167 | 中川 | Nakagawa | 「はいは~い、それじゃ小春ちゃん。 ちょっとだけ頑張ってみようかな~?」 | ||
168 | 小春 | Koharu | 「言ってるそばからっ!?」 | ||
169 | 春希 | Haruki | 「悪いな。 教育終わったら俺がフォローするから。 …久しぶりだから更に足引っ張るかもしれないけど」 | ||
170 | 小春 | Koharu | 「いい加減にしてくださいっ!」 | ||
171 | ……… | .........
| |||
172 | …… | ......
| |||
173 | … | ...
| |||
174 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
175 | 春希 | Haruki | 「ふぅ、そろそろ抜けていい? 少ししたら夜シフトの連中来るよな?」 | ||
176 | 中川 | Nakagawa | 「そだね、解放してあげる。 ほら全然ナマってないじゃん北原さん。 やっぱ戻っておいでよ~」 | ||
177 | 春希 | Haruki | 「駄目、全然駄目。 もうさっきから膝が笑って笑って」 | ||
178 | 佐藤 | Satou | 「それはブランクじゃなくて歳…お疲れさまっす!」 | ||
179 | 春希 | Haruki | 「ふぅぅ…」 | ||
180 | 両チーフの温かい(?)ねぎらいの言葉を受け、 少しふらつく足を引きずってフロアの隅に戻る。 | ||||
181 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
182 | 別に、体力的に落ちたとは思わないんだけど、 やっぱり久々の立ち仕事は、 最近使ってなかった筋肉をいたく刺激したらしい。 | ||||
183 | ま、それはともかくとして… | ||||
184 | 春希 | Haruki | 「さてと…感想は?」 | ||
185 | 小春 | Koharu | 「っ…」 | ||
186 | とりあえず、狙い通りに鼻が根本からポキリと折れて、 日本人らしい容姿に戻ってる杉浦小春の隣に立つ。 | ||||
187 | 春希 | Haruki | 「そんなわけだから、 今日はもう少しだけここにいて、 人と仕事の流れを観察してください」 | ||
188 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
189 | 彼女がホールに立った瞬間、 そこまで皆で必死に抑え込んでいた、 店内の調和が一気に崩れた。 | ||||
190 | 春希 | Haruki | 「どういうお客様をどこの席に案内したらいいのか、 自分の仕事がないときはどこをどう移動すればいいのか、 逆に複数の仕事があったらどう優先順位をつけるか…」 | ||
191 | 彼女の一挙手一投足が、他のスタッフの行動を妨害し、 お客様の流れを遮り、自らのミスに跳ね返ってきた。 | ||||
192 | 春希 | Haruki | 「他にも色々と考慮すべき点は多いんだけど、 ま、細かいところは経験で覚えていけばいい」 | ||
193 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
194 | オーダーの順序は狂い、ミスも増え、 お客様を必要以上に待たせてしまうこと数回。 | ||||
195 | 春希 | Haruki | 「君は頭がいいから… 多分、一日でなんとかなると思う。 次は普通にホールに出られる」 | ||
196 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
197 | 20分を過ぎた辺りで撤退命令を出し、 そして聡明な彼女は、しっかりと自分の能力を把握して、 後方に退がり、俺の援護を受け入れた。 | ||||
198 | この辺りに、実に非凡なところを感じる。 | ||||
199 | 春希 | Haruki | 「で、二、三回働けば、すぐに戦力になる。 店的にはかなりの拾い物だよ」 | ||
200 | まぁ、愛想に関しては頑張ってもらうしかないけど。 | ||||
201 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
202 | 彼女は今も、俺の言葉に対して反応を返さない。 | ||||
203 | やっぱりふてくされた表情のまま、 絶対に俺の方を向かない。 | ||||
204 | けれど、そうやって俺からそっぽを向けた顔は、 昼のときとあからさまに違い、 食い入るように俺が指示した方向を見つめてる。 | ||||
205 | 春希 | Haruki | 「シフトは週末だけ?」 | ||
206 | 小春 | Koharu | 「冬休み入るまでは。 入ったら毎日」 | ||
207 | 春希 | Haruki | 「そうか…」 | ||
208 | だから、ちゃんと答えを求めて話しかければ、 こうして素っ気ないまでもきちんと応えてくれる。 | ||||
209 | 春希 | Haruki | 「次は来週の土曜? 俺は、来なくていい?」 | ||
210 | 小春 | Koharu | 「それはわたしが決めることじゃないですから」 | ||
211 | 春希 | Haruki | 「…うん」 | ||
212 | さすがに『もうおしまい』とか、 一方的に言われることはなくなった。 | ||||
213 | けど、どうするんだ? | ||||
214 | 俺の約束は今日一日だけだし、 しばらく付き合うとなると 大学や出版社のバイトに影響が出そうだし。 | ||||
215 | かと言って、このままこの店を放置するのも、 今月のシフト表を見てしまった後だと… | ||||
216 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
217 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
218 | そんな気まずいような、 倦怠感溢れるような空間で… | ||||
219 | 俺たちは、しばらく店内の喧騒を ぼうっと眺めていた。 | ||||
220 | ……… | .........
| |||
221 | 小春 | Koharu | 「それじゃ、お先に失礼します」 | ||
222 | 中川 | Nakagawa | 「お疲れ~」 | ||
223 | 佐藤 | Satou | 「それじゃ、次は来週の土曜でお願いします」 | ||
224 | 小春 | Koharu | 「はい…」 | ||
225 | 結局、夜シフトのメンバーが揃ったのは、 さらに2時間が経過した後だった。 | ||||
226 | 結局あれから、彼女はほぼ口を閉ざしたまま、 中川さんに終わりを告げられると、 そそくさと着替え、最後にぺこりと頭を下げた。 | ||||
227 | 春希 | Haruki | 「その…お疲れさま。 次も頑張って」 | ||
228 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
229 | で、俺は、そんな初めて見る意気消沈した彼女に戸惑い、 なんとなく言葉を掛けづらいまま送り出し… | ||||
230 | 中川 | Nakagawa | 「っ」 | ||
231 | 春希 | Haruki | 「てっ…?」 | ||
232 | ホールチーフにゲンコツと… | ||||
233 | 佐藤 | Satou | 「っ」 | ||
234 | 春希 | Haruki | 「うあっ?」 | ||
235 | キッチンチーフに膝カックンを食らった。 | ||||
236 | 『あんたのせいでしょ?』 | ||||
237 | 『自分でまいた種は自分で何とかしてください』 | ||||
238 | 二人の顔があからさまにそう言ってるのを、 本当は理不尽な顔で睨み返すべきだったのだけど… | ||||
239 | 春希 | Haruki | 「あ、あの…杉浦さん」 | ||
240 | 小春 | Koharu | 「…はい?」 | ||
241 | 小春 | Koharu | 1.送る | Choice | |
242 | 小春 | Koharu | 2.見送る | Choice | |
243 | 春希 | Haruki | 「駅まで送…」 | ||
244 | 小春 | Koharu | 「結構です」 | ||
245 | 春希 | Haruki | 「あ…」 | ||
246 | 彼女の言葉に刺はなかったけど、 だからといって丸みを感じられたかというと… | ||||
247 | 春希 | Haruki | 「結構なんだって…」 | ||
248 | 中川 | Nakagawa | 「………」 | "........."
| |
249 | 佐藤 | Satou | 「………」 | "........."
| |
250 | 『追え!』 | ||||
251 | 『来週から来なくなったら どう責任取ってくれるんすか?』 | ||||
252 | 春希 | Haruki | 「送るよ… フォローすりゃいいんだろ…?」 | ||
253 | 何も言外にそこまで明確な言葉を滲ませなくても… | ||||
254 | 大体俺、店長に無理やり頼まれた、 一日だけの単なる教育係… | ||||
255 | 中川 | Nakagawa | 「………」 | "........."
| |
256 | 佐藤 | Satou | 「………」 | "........."
| |
257 | 春希 | Haruki | 「…行ってきます」 | ||
258 | こっちが向こうの声にならない言葉を 理解でき過ぎることが、 どうやら向こうにも当てはまってるようだった… | ||||
259 | ……… | .........
| |||
260 | 春希 | Haruki | 「杉浦さん! 杉浦さんってば!」 | ||
261 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
262 | 店を飛び出して、30秒後に見つけた小さな背中。 | ||||
263 | 見つける前とまったく速度を変えず、 待ってる訳でも逃げてる訳でもない態度を きっちり伝えていた。 | ||||
264 | 春希 | Haruki | 「やっぱり送る。 駅まで」 | ||
265 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
266 | 今度は『結構です』って言わない。 | ||||
267 | バイト中でもそうだったように、 こっちが答えを求めていない場合は、 徹底的に会話を節約するつもりのようで。 | ||||
268 | …それはつまり、 俺がもう、何を言ってもついてくるということを、 仕方なしにではあるけど、認めたことになる。 | ||||
269 | つまり、そこに漂う空気は、 序盤の、こちらを完全に拒絶するものではなく、 終盤の、ちょっと投げやりなものに近く… | ||||
270 | 春希 | Haruki | 「疲れた?」 | ||
271 | 小春 | Koharu | 「疲れるようなこと何もしてませんから」 | ||
272 | その証拠に、こうして答えを求めれば、 必要最低限に感情を抑えた、 情報だけの答えが即座に返ってくる。 | ||||
273 | ……… | .........
| |||
274 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
275 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
276 | 二人、並んで歩く夜の道。 | ||||
277 | グッディーズから駅までは、ほとんど繁華街を通るから、 実際、俺が送る理由はそれほどでもないんだけど。 | ||||
278 | それでも奴らが俺を放り出したのは、 やっぱりその、彼女の方だけでなく、 俺の態度の方にも問題があったんだと認識してるようで。 | ||||
279 | 春希 | Haruki | 「どうして今の時期にバイトなんか?」 | ||
280 | 小春 | Koharu | 「…卒業旅行に行くから」 | ||
281 | ちょっとつっかけてみた世間話を、 彼女は『答えを求めてる質問』だと理解してくれたらしい。 | ||||
282 | 春希 | Haruki | 「卒業旅行かぁ…クラスの友達と?」 | ||
283 | 小春 | Koharu | 「全部で4人。 亜子と早百合と………美穂子と」 | ||
284 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
285 | 最後の一人にタメを作ったことに、 別に俺を責め立てる意図はないみたいだった。 | ||||
286 | その証拠に、語尾がフェードアウトしたり、 ちょっと顔を俯かせたりしてたから。 | ||||
287 | 春希 | Haruki | 「そ、そうか! もう卒業旅行の計画練ってるってことは、 君も推薦決まったの?」 | ||
288 | 小春 | Koharu | 「一応…文学部に」 | ||
289 | 春希 | Haruki | 「え…」 | ||
290 | 小春 | Koharu | 「え…って?」 | ||
291 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
292 | 小春 | Koharu | 「ま、まさか…」 | ||
293 | 同じ峰城大付属の普通科。 同じ峰城大の文学部。 | ||||
294 | なんという純後輩… | ||||
295 | 春希 | Haruki | 「そ、それにしても卒業旅行でバイトかぁ。 家の人は出してくれないの?」 | ||
296 | 小春 | Koharu | 「ウチはみんなとは違って一般家庭だし。 …他のコたちは出してくれるみたいだけど」 | ||
297 | 春希 | Haruki | 「そ、そう…」 | ||
298 | 小春 | Koharu | 「進学の時も、ウチ、本当は私立は厳しかったんです。 けど、どうしても峰城大付がいいってワガママ言って…」 | ||
299 | 春希 | Haruki | 「ふ、ふぅん…」 | ||
300 | 小春 | Koharu | 「なのに、自分の贅沢のためにお小遣い増やせなんて… とてもじゃないけど言えないです」 | ||
301 | 付属の学生にしては珍しい、一般家庭。 坊ちゃん学園だからこその苦学生。 | ||||
302 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
303 | 性格は、嫌なくらいに どっかでの誰かに似てると思ったけど、 境遇の方は、別の誰かと同じだったのか… | ||||
304 | ……… | .........
| |||
305 | 春希 | Haruki | 「それじゃ、お疲れさま」 | ||
306 | 小春 | Koharu | 「あ、はい…」 | ||
307 | そんな、ぽつりぽつりと語り合う時間が10分ほど続けば、 当然のように南末次駅に着いてしまう。 | ||||
308 | 春希 | Haruki | 「今日は、その、 色々厳しいことを言ったかもしれないけど」 | ||
309 | 小春 | Koharu | 「いえ、こちらこそ… 生意気なこと言ってしまってごめんなさい」 | ||
310 | 春希 | Haruki | 「え…」 | ||
311 | けれど、その10分間は、 決して無駄な時間じゃなかった。 | ||||
312 | 小春 | Koharu | 「やっぱり、ちょっとその… 先輩に対して、わだかまりがあったから…」 | ||
313 | 春希 | Haruki | 「いや、それは当然だろ。 俺の取った態度が悪かったんだから」 | ||
314 | ぽつりぽつりと話すうちに、 お互いが最初に抱えていたネガティブな印象が、 ゆっくりと緩和されていき。 | ||||
315 | 小春 | Koharu | 「だからって、仕事なのにあんな態度を取るのは やっぱり間違いです。本当にすいませんでした」 | ||
316 | 春希 | Haruki | 「杉浦さん…」 | ||
317 | お互いの非を認め、 前向きな関係構築に進む勇気を持つことができたから。 | ||||
318 | 小春 | Koharu | 「許して…くれますか?」 | ||
319 | 春希 | Haruki | 「許すもなにも………許すよ」 | ||
320 | 小春 | Koharu | 「ありがとうございます」 | ||
321 | 春希 | Haruki | 「あ…」 | ||
322 | そうやって『許した』瞬間… 初めて彼女の笑顔に触れることができた。 | ||||
323 | 三年間『許す理由がないから許しあえない』 どこかの二人を嘲笑うかのように、 和解の瞬間は実にあっさりとやってきた。 | ||||
324 | こんな簡単なことが… こんな、あっという間のことが… | ||||
325 | 誰に対してもできるのなら、 今の俺は、そして今のあいつは、 一体どうなっていたのかなって… | ||||
326 | 小春 | Koharu | 「それで、その… 最後に、もう一つだけ…」 | ||
327 | 春希 | Haruki | 「ああ、何かな?」 | ||
328 | お互いが相手を尊重してしまえば、 後はお互いの本質である、 人に干渉する癖が頭をもたげるのは当然で。 | ||||
329 | それに俺はその時、 彼女の言葉を受け取りながら、 久々に心の奥の傷を撫でているところだったから | ||||
330 | 小春 | Koharu | 「彼女をこれ以上悲しませないであげてください。 美穂子のことは、わたしが何とかしますから」 | ||
331 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
332 | だからその時… | ||||
333 | 彼女に告げられたその言葉は、 しごく自然な流れだったのにもかかわらず。 | ||||
334 | 俺は、彼女の言ってる『彼女』が 誰のことを指しているかなんて、 冷静に思い返すことなんかできなかった。 | ||||
335 | ……… | .........
| |||
336 | 春希 | Haruki | 「どうして君はいつもいつも、 まとまりかけた話をひっくり返すんだ!」 | ||
337 | 小春 | Koharu | 「3つも年上なんでしょ? そのくらい受け入れる度量もないんですか!」 | ||
338 | 春希 | Haruki | 「そっちが触れて欲しくないところばかり 突いてくるからだろ!」 | ||
339 | 小春 | Koharu | 「そっちだって嘘ついてたくせに! 彼女がいること美穂子に隠してたくせに!」 | ||
340 | 春希 | Haruki | 「そんなこと一言も言ってない!」 | ||
341 | 小春 | Koharu | 「あなたのその優柔不断な態度のせいで、 ここまで事態がややこしくなっちゃったんですよ!」 | ||
342 | 春希 | Haruki | 「勝手に勘違いして勝手に決めつけて勝手に怒るな! 酷い誤解だ!」 | ||
343 | 小春 | Koharu | 「またそうやってしらばっくれる! 美穂子だけでなく、彼女まで泣かせるつもりですか!?」 | ||
344 | 春希 | Haruki | 「わかったようなこと言わないでくれ!」 | ||
345 | ……… | .........
| |||
346 | この後… | ||||
347 | 『キれやすい大学生』と 『度を超してお節介な付属生』の言い争いは、 繁華街の喧騒をかき消すくらいに激しさを増し。 | ||||
348 | お互い『二度と会うものか』と、 逆方向に歩き去った。 | ||||
349 | ……… | .........
| |||
350 | …どうせすぐにもう一度会うことになるんだろうけどな。 | ||||
351 | 春希 | Haruki | 「気をつけて…」 | ||
352 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
353 | 最後に一度だけこちらを見た彼女の目には、 怒りも嫌悪も疲労の色もなかった。 | ||||
354 | 中川 | Nakagawa | 「ちょっとぉ、北原さん」 | ||
355 | 佐藤 | Satou | 「あっさり帰しちゃってどうすんですか…」 | ||
356 | 全然、俺のことを許してるふうではなかったけど、 それでも、だからこそ彼女のその瞳の奥には、 まだまだ強い光が宿っていた。 | ||||
357 | 中川 | Nakagawa | 「あんなにヘコませちゃって… よく泣かなかったよねぇ、彼女」 | ||
358 | 佐藤 | Satou | 「来週来てくれるかなぁ… また一人減る予定なんだけど…」 | ||
359 | 春希 | Haruki | 「大丈夫だって…また来るよ。 本当、強いコなんだから」 | ||
360 | そう、あれなら大丈夫。 | ||||
361 | 生真面目で、責任感が強くて、負けず嫌いで、 …そして、俺なんかより打たれ強くて。 | ||||
362 | そんな、三年前の俺みたいにはた迷惑な彼女が、 あれしきのことで逃げ出すはずなんかがない。 | ||||
363 | だから今は、黙って待つだけだ。 | ||||
364 | 何しろ予感…というか確信がある。 彼女には、絶対にもう一度会うことになるだろうって… | ||||
365 | 中川 | Nakagawa | 「北原さんの大丈夫、アテになんないんだよねぇ。 女の子の扱いに関しては容赦ないんだから。 そんなんだから谷っちだって…」 | ||
366 | 佐藤 | Satou | 「え? なに? それってどういうこと?」 | ||
367 | 春希 | Haruki | 「そこ! 私語禁止!」 |
Script Chart
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Introductory Chapter | ||||||
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1001 | 1008 | 1009 | 1010 | 1011 | 1012 | 1013 |
1002 | 1008_020 | 1009_020 | 1010_020 | 1011_020 | 1012_020 | |
1003 | 1008_030 | 1009_030 | 1010_030 | 1011_030 | 1012_030 | |
1004 | 1008_040 | 1010_040 | 1012_030_2 | |||
1005 | 1008_050 | 1010_050 | ||||
1006 | 1010_060 | |||||
1006_2 | 1010_070 | |||||
1007 |
Closing Chapter | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Common | Setsuna | Koharu | Chiaki | Mari | ||||||
2001 | 2011 | 2020 | 2027 | 2301 | 2309 | 2316 | 2401 | 2408 | 2501 | 2510 |
2002 | 2012 | 2021 | 2028 | 2302 | 2310 | 2317 | 2402 | 2409 | 2502 | 2511 |
2003 | 2013 | 2022 | 2029 | 2303 | 2311 | 2318 | 2403 | 2410 | 2503 | 2512 |
2004 | 2014 | 2023 | 2030 | 2304 | 2312 | 2319 | 2404 | 2411 | 2504 | 2513 |
2005 | 2015 | 2024 | 2031 | 2305 | 2313 | 2320 | 2405 | 2412 | 2505 | 2514 |
2006 | 2016 | 2025 | 2032 | 2306 | 2314 | 2321 | 2406 | 2413 | 2506 | 2515 |
2007 | 2017 | 2026 | 2033 | 2307 | 2315 | 2322 | 2407 | 2507 | 2516 | |
2008 | 2018 | 2308 | 2508 | 2517 | ||||||
2009 | 2019 | 2509 | ||||||||
2010 | ||||||||||
Setsuna | Koharu | Chiaki | Mari | |||||||
2031_2 | 2312_2 | 2401_2 | 2504_2 | 2511_2 | ||||||
2031_3 | 2313_2 | 2402_2 | 2507_2 | 2513_2 | ||||||
2031_4 | 2313_3 | 2402_3 |
Coda | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Common | Kazusa (True) | Setsuna (True) | Kazusa (Normal) | ||||||
3001 | 3008 | 3014_2 | 3020 | 3101 | 3107 | 3201 | 3207 | 3901 | 3907 |
3002 | 3009 | 3014_3 | 3021 | 3102 | 3108 | 3202 | 3208 | 3902 | 3908 |
3003 | 3010 | 3015 | 3022 | 3103 | 3109 | 3203 | 3209 | 3903 | 3909 |
3004 | 3011 | 3016 | 3023 | 3104 | 3110 | 3204 | 3210 | 3904 | |
3005 | 3012 | 3017 | 3024 | 3105 | 3111 | 3205 | 3211 | 3905 | |
3006 | 3013 | 3018 | 3106 | 3206 | 3906 | ||||
3007 | 3014 | 3019 | |||||||
Common | Setsuna (True) | Kazusa (Normal) | |||||||
3001_2 | 3210_2 | 3901_2 | 3906_2 | ||||||
3015_2 | 3902_2 | 3907_2 | |||||||
3902_3 | 3907_3 | ||||||||
3904_2 |
Mini After Story and Extra Episode | |||
---|---|---|---|
The Path Back to Happiness | The Path Forward to Happiness | Dear Mortal Enemy | |
6001 | 6101 | 4000 | 4005 |
6002 | 6102 | 4001 | 4006 |
6003 | 6103 | 4002 | 4007 |
6004 | 6104 | 4003 | 4008 |
6005 | 4004 | 4009 |
Novels | |||||
---|---|---|---|---|---|
The Snow Melts, And Until The Snow Falls | The Idol Who Forgot How to Sing | Twinkle Snow ~Reverie~ | After the Festival ~Setsuna's Thirty Minutes~ | His God, Her Savior | |
5000 | 5100 | 5200 | 5205 | 5300 | 5400 |
5001 | 5101 | 5201 | 5206 | 5301 | 5401 |
5002 | 5102 | 5202 | 5207 | 5302 | |
5003 | 5103 | 5203 | 5208 | 5303 | |
5004 | 5104 | 5204 | 5209 |
Short Stories | |||
---|---|---|---|
Princess Setsuna's Distress and Her Minister's Sinister Plan | Koharu Climate After the Passing of the Typhoon | This isn't the Season for White Album | Todokanai Koi, Todoita |
7000 | 7100 | 7200 | 7300 |