Difference between revisions of "White Album 2/Script/2010"
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|「もちろん」 |
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Revision as of 08:07, 14 May 2014
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Translation
Editing
Translation Notes
Text
Speaker | Text | Comment | |||
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Line # | JP | EN | JP | EN | |
1 | 春希 | Haruki | 「っ!」 | ||
2 | 雪菜 | Setsuna | 「あ、染みた? ごめんね春希くん」 | ||
3 | 春希 | Haruki | 「い、いや、それほど…かもしれない、ような…」 | ||
4 | 雪菜 | Setsuna | 「もうちょっとの辛抱だからね。 消毒終わったから、後はバンソウコウ貼って…」 | ||
5 | 春希 | Haruki | 「あつつつつ…っ」 | ||
6 | 雪菜 | Setsuna | 「ご、ごめんなさいっ」 | ||
7 | かずさ | Kazusa | 「軟弱者」 | ||
8 | 春希 | Haruki | 「やかましい! 痛いものは痛いんだ」 | ||
9 | かずさ | Kazusa | 「指の皮がめくれたくらいで何を大げさな…」 | ||
10 | 春希 | Haruki | 「毎週めくれてるんだよ…もうこれで八枚目だ」 | ||
11 | かずさ | Kazusa | 「だったら慣れるだろ。 そんなの、ただ小木曽に甘えてるだけじゃ…」 | ||
12 | 雪菜 | Setsuna | 「はいおしまい! ほうら、痛いの痛いのとんでけぇ~」 | ||
13 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
14 | かずさ | Kazusa | 「………」 | "........."
| |
15 | 雪菜 | Setsuna | 「あ、あれ? もしかして変だった? 今の」 | ||
16 | 春希 | Haruki | 「い、いや… 雪菜らしいと言えば、実に雪菜らしかったけど」 | ||
17 | 雪菜 | Setsuna | 「お母さんがいっつもこれやるもんだから、 いつの間にかうつっちゃって…」 | ||
18 | かずさ | Kazusa | 「これで学園のアイドルとか…」 | ||
19 | 雪菜 | Setsuna | 「む~、そんな自覚ないし」 | ||
20 | かずさ | Kazusa | 「自覚があろうがなかろうが、 明日を過ぎたらもっと大変なことになるぞ、きっと」 | ||
21 | 春希 | Haruki | 「うう…まだちょっと痛い。 もう神経がむき出しになってるんじゃないか? 俺の指先…」 | ||
22 | かずさ | Kazusa | 「それは押さえ方がおかしいんだ。 あたしはギターで指の皮がめくれたことなんかないぞ」 | ||
23 | 春希 | Haruki | 「そこまで言うなら指見せてみろよ冬馬」 | ||
24 | 雪菜 | Setsuna | 「うわぁ…ガッチガチだよ」 | ||
25 | 春希 | Haruki | 「そりゃ、最初からここまで武装されてたら、 破れるわけないよなぁ」 | ||
26 | 雪菜 | Setsuna | 「でもほっそ~い。それに白くて綺麗~。 これでどうしてあの凄い音が出てくるんだろうなぁ」 | ||
27 | 春希 | Haruki | 「それに指先冷て~、性格まんま」 | ||
28 | かずさ | Kazusa | 「二人して人の指で遊ぶな。 …さ、休憩終わり。始めるぞ」 | ||
29 | 雪菜 | Setsuna | 「そうだね、本番まであと…どのくらい?」 | ||
30 | かずさ | Kazusa | 「本番まではまだ少し余裕あるけど、 実はそろそろ出ないといけない時間」 | ||
31 | 春希 | Haruki | 「もうそんな時間か。 なんか腹減ってきたな…」 | ||
32 | かずさ | Kazusa | 「通しで弾けるようになったら、 腹一杯食べればいい」 | ||
33 | 雪菜 | Setsuna | 「そんなことしたら学園祭終わるまで寝ちゃいそう」 | ||
34 | かずさ | Kazusa | 「なら学園祭終わるまで飯抜き」 | ||
35 | 春希 | Haruki | 「極端から極端に走るなっての」 | ||
36 | かずさ | Kazusa | 「じゃ、行くよ。 準備はいい?」 | ||
37 | 雪菜&春希 | Setsuna & Haruki | 「もちろん」 | ||
38 | ……… | .........
| |||
39 | 春希 | Haruki | 「あ…」 | ||
40 | ぼうっとする頭が段々ハッキリしてくると、 どうしようもない現実の方も段々目覚めてくる。 | ||||
41 | そっか、寝てたんだ、俺… やっと眠れてたんだ。 | ||||
42 | タイムリミットがあと数時間後に控えてる、 この最悪のタイミングで。 | ||||
43 | 春希 | Haruki | 「ふあぁぁ…」 | ||
44 | あれから、ずいぶん時間が経った。 | ||||
45 | 雪菜をタクシーで小木曽家に送り届け、 そのまま二人で朝までお父さんの説教を受けた。 | ||||
46 | お母さんも、寝ずにずっと起きていて、 話が終わった頃には朝食が湯気を立てていた。 | ||||
47 | 三年前と同じ。 厳しくて、温かくて… | ||||
48 | 春希 | Haruki | 「あ…」 | ||
49 | なんだよ… | ||||
50 | 俺、泣いてたのか。 | ||||
51 | 部屋に帰ったのが、日曜の昼。 | ||||
52 | それからすぐにPCを立ち上げて、 ディスプレイに向かい、そしてそのまま 微動だにせず数時間。 | ||||
53 | 前に進めないまま、時間だけが無為に過ぎ去った。 | ||||
54 | 気分を変えるためにベッドに横になり、 ショック療法と称してビールを一缶空けて、 頭を冷やそうと、外の冷たい空気に何時間もあたり。 | ||||
55 | そして曜日は月曜に変わり、 さらに夜が明けて… | ||||
56 | 熱もなく、気分も悪くなく、眠いけど眠れなく。 | ||||
57 | だから始業の時間が迫ってきても、 大学に出かけることができないという、 平均的な大学生のような行動を取ってしまった。 | ||||
58 | それからも、11時くらいまでは、 PCの前で唸ってた記憶があるけれど。 | ||||
59 | こうして今時計を見ると、世間はもう、 月曜の夕方と言って差し支えない日時。 | ||||
60 | 今日が、麻理さんに駄目出しされた原稿の締め切り。 | ||||
61 | 彗星のように現れた、期待の若手ピアニスト 『冬馬かずさ』の特集記事の。 | ||||
62 | 春希 | Haruki | 「ふぅ…っ」 | ||
63 | 目覚ましのシャワーを浴びると、 改めて、ディスプレイと向き合う。 | ||||
64 | そこには、先週総没になった、おためごかしの美辞麗句が、 いまだそのまま鎮座して、俺の文才を嘲笑う。 | ||||
65 | いや、本当に嘲笑ってるのは文才なんかじゃなくて、 いつまでもあいつの真実に踏み込めない、チキンな俺。 | ||||
66 | 春希 | Haruki | 「書かないと…」 | ||
67 | かずさのこと、書かないと。 | ||||
68 | あいつが昔、何を考えてて、 どういう生き方をしてて、 どんな奴だったのか。 | ||||
69 | 春希 | Haruki | 「思い出さないと…」 | ||
70 | さっき夢で見た、あの時間を。 | ||||
71 | 俺たちが、雪菜で小木曽で、 冬馬で冬馬さんで、 春希くんで北原だった、あの頃を。 | ||||
72 | かずさが、夜空を見上げて話してくれた、 熱に浮かされて語ってくれた、 あの、理不尽な恨み辛みを。 | ||||
73 | 学園祭の日までの、たった一週間の俺たちを。 | ||||
74 | 俺が今まで生きてきた中で、 最高に楽しくて、滅茶苦茶嬉しかったあの日々を… | ||||
75 | あの日に… | ||||
76 | 三年前に戻りたい。 | ||||
77 | 春希 | Haruki | 「あ…」 | ||
78 | なんだよ。 | ||||
79 | 俺、また泣いてんのかよ。 | ||||
80 | 鈴木 | Suzuki | 「麻理さ~ん、宅配」 | ||
81 | 麻理 | Mari | 「私に?」 | ||
82 | 鈴木 | Suzuki | 「うん、編集部気付になってるけど… 送り主が峰城大付属学園になってたから」 | ||
83 | 麻理 | Mari | 「峰城大付って…」 | ||
84 | 鈴木 | Suzuki | 「北原君がこの前取材に行ったところですよね? だから麻理さんでいいかなって」 | ||
85 | 麻理 | Mari | 「なんだろ?」 | ||
86 | 鈴木 | Suzuki | 「そういえば北原君、今日が締め切りですよね。 初仕事で総没なんて、ショックだったろうなぁ」 | ||
87 | 麻理 | Mari | 「あの程度でヘコんでたら、 とてもじゃないけどウチじゃやってけないから」 | ||
88 | 鈴木 | Suzuki | 「バイトなのに、彼…」 | ||
89 | 麻理 | Mari | 「来年ウチ受けるって言ってる以上、 今のうちから鍛えておかないと」 | ||
90 | 鈴木 | Suzuki | 「受けるって言ってるだけで、 採用されるかどうかは…」 | ||
91 | 麻理 | Mari | 「採るに決まってるじゃない。 松岡採って北原落とすってどんな人事よ」 | ||
92 | 鈴木 | Suzuki | 「…それは松岡には言わないであげてくださいね」 | ||
93 | 麻理 | Mari | 「あ…」 | ||
94 | 鈴木 | Suzuki | 「なんでした?」 | ||
95 | 麻理 | Mari | 「DVD…?」 | ||
96 | 男子生徒1 | Male Student 1 | 「例の『開桜グラフ』が出てからお前らで5組目だよ。 諏訪までダビングしろとか言ってきたし」 | ||
97 | 孝宏 | Takahiro | 「何しろヨーロッパで優勝だからなぁ」 | ||
98 | 小春 | Koharu | 「ヨーロッパ『のコンクール』で『準』優勝ね」 | ||
99 | 孝宏 | Takahiro | 「杉浦がさ、冬馬かずさとウチの姉ちゃんが 親友だったって言っても全然信用しなくて。 で、証拠見せてやろうってことになってさ」 | ||
100 | 小春 | Koharu | 「…ま、そういうことにしとく」 | ||
101 | 男子生徒1 | Male Student 1 | 「お前の姉さんも伝説だからなぁ」 | ||
102 | 孝宏 | Takahiro | 「…俺にはそこがよくわからないけど。 あんなの、その辺にいる普通の姉ちゃんだぞ?」 | ||
103 | 男子生徒1 | Male Student 1 | 「なら弟代わってくれ。 だいたい、三年連続ミス峰城大付なんてなぁ、 少なくともウチの学校からは一人しか出てないんだぞ?」 | ||
104 | 小春 | Koharu | 「他の学校からミス峰城大付は出ないと思うけど…」 | ||
105 | 男子生徒1 | Male Student 1 | 「そう言えば、本物のミス峰城大には出てないんだよな。 あれに優勝したら、テレビ局か芸能界入りは ほぼ約束されてるってのに」 | ||
106 | 孝宏 | Takahiro | 「そりゃ、今は彼氏がいるし。しかもラブラブだし。 一昨日なんか夜中の3時くらいに一緒に帰ってきて、 さすがの親父もかなり怒ってたなぁ」 | ||
107 | 小春 | Koharu | 「………」 | "........."
| |
108 | 男子生徒1 | Male Student 1 | 「しかし考えてみると、“あの”冬馬かずさと、 “あの”小木曽雪菜のユニットなんだもんなぁ。 確かにこの動画、将来値打ちが出るかも…」 | ||
109 | 小春 | Koharu | 「能書きはいいから早く見せてよ。 …三年前の、軽音楽同好会」 | ||
110 | 男子生徒1 | Male Student 1 | 「わかってるって。 ええと…確か軽音楽同好会は8トラック目だったかな」 | ||
111 | 千晶 | Chiaki | 「ん………ん~」 | ||
112 | 千晶 | Chiaki | 「ん…あ…?」 | ||
113 | かずさ | Kazusa | 「だってあたし、父親の顔も名前も知らないし。 母親とはここ数年一緒に暮らしてないし。 渡されてるカードに上限額ないし」 | ||
114 | かずさ | Kazusa | 「あたしんちの事情、そんなに複雑じゃないし。 普通に想像した通りだし。 人によっては大して深刻な話じゃないし」 | ||
115 | かずさ | Kazusa | 「でも、だからこそ… ムカついたって、いいよね? 意味もなく嫌になったって、いいよね?」 | ||
116 | 麻理 | Mari | 「え…?」 | ||
117 | 麻理 | Mari | 「な、ちょ、ちょっと… き、北原…?」 | ||
118 | 麻理 | Mari | 「なんで…」 | ||
119 | 麻理 | Mari | 「なんで黙って……… って、そりゃ隠すわよねぇ」 | ||
120 | 麻理 | Mari | 「………」 | "........."
| |
121 | 麻理 | Mari | 「何よあいつ。 いいじゃん、別に。 …普通に、カッコいいじゃない」 | ||
122 | かずさ | Kazusa | 「ピアノ…やめようと思ったんだ」 | ||
123 | かずさ | Kazusa | 「あの人の娘でいること、やめようと思ったんだ」 | ||
124 | 小春 | Koharu | [F16「…違うよ、こんなの」] | ||
125 | 孝宏 | Takahiro | 「懐かしいなぁ… 俺、このステージ生で見たんだよ」 | ||
126 | 男子生徒1 | Male Student 1 | 「すげぇ盛り上がってるよな… 俺たちの三年間で、こんなに盛り上がったライブなんか、 一度もなかった気がする」 | ||
127 | 小春 | Koharu | [F16「わたしの知ってるあいつは、いつも陰気で… ][F16こんなふうに笑って、カッコつけて、 ][F16自分に酔ったりしない」] | ||
128 | 孝宏 | Takahiro | 「やってること大したことないんだけどな。 楽器はギターとキーボードだけで、後は打ち込みだし。 何しろ歌ってるのが姉ちゃんだし」 | ||
129 | 男子生徒1 | Male Student 1 | 「だからここまで盛り上がったんじゃないか…」 | ||
130 | 小春 | Koharu | [F16「一歩退いて、他人事みたいに自分を遠くから見てて、 ][F16人の心が近づくのを極端に恐れる、冷血動物だよ」] | ||
131 | 孝宏 | Takahiro | 「どうだ杉浦? ウチの姉ちゃん、 本当に冬馬かずさとユニット組んでただろ? で、ほら、この左側のギターの人が…」 | ||
132 | 小春 | Koharu | [F16「これは…ここに映ってるのはさ…」] | ||
133 | 孝宏 | Takahiro | 「ん?」 | ||
134 | 小春 | Koharu | [F16「あの時の、音楽室の、あいつだよ…」] | ||
135 | かずさ | Kazusa | 「とにかく今はさ… 思い出したいんだ」 | ||
136 | かずさ | Kazusa | 「ううん… こんなあたしでも、きっと昔は、 ピアノが大好きだったんじゃないかなってことを」 | ||
137 | かずさ | Kazusa | 「自分が昔、どんな気持ちで ピアノの前に立ってたんだろうって」 | ||
138 | 千晶 | Chiaki | 「~♪」 | ||
139 | 上原 | Uehara | 「お? おお! やっと休暇終わりか? 姫」 | ||
140 | 千晶 | Chiaki | 「あれ? 今さっきまで[Rラジオ^これ]に出てなかった?」 | ||
141 | 上原 | Uehara | 「録音だよ。録ったのは先週。 …そもそも姫がブッチしたから、 急に俺が出ることになったんだぞ、あれ」 | ||
142 | 千晶 | Chiaki | 「ふぅん…座長も大変だね。 脚本と演出だけでなく営業に広報まで… 頑張ってチケット売りさばいてきてね」 | ||
143 | 上原 | Uehara | 「それに加えて、座長の言うこと全然聞かない、 信じられないくらいワガママな主演女優もいるしな」 | ||
144 | 千晶 | Chiaki | 「ワガママついでに悪いんだけどさぁ、 年内くらいまではまだ顔出せないんだ」 | ||
145 | 上原 | Uehara | 「…いつまで俺たちをほっぽり出しとく気だ? ウチはお前がいないと動きようがないんだぞ?」 | ||
146 | 千晶 | Chiaki | 「もうちょい、もうちょいだよ…」 | ||
147 | 上原 | Uehara | 「今度こそ信じていいんだろうな?」 | ||
148 | 千晶 | Chiaki | 「最高の“[R稽古相手^パートナー]”見つけたんだ。 しばらく、離れられないよ…」 | ||
149 | かずさ | Kazusa | 「あたし…やっぱりピアノが好きだ」 | ||
150 | かずさ | Kazusa | 「母さんも…実はそんなに嫌いじゃないんだ」 | ||
151 | かずさ | Kazusa | 「だからあたしは、 自分の選んだ道が正しいって信じてる」 | ||
152 | かずさ | Kazusa | 「親孝行、してくる。 これからは、雪菜みたいないい奴になるんだ、あたし」 | ||
153 | 春希 | Haruki | 「っ!」 | ||
154 | 完成、した。 | ||||
155 | 丸一日以上、机の前で唸っても、 一行も進まなかった原稿が、 たったの一時間で仕上がってしまった。 | ||||
156 | 春希 | Haruki | 「っ…く、ぅ…っ」 | ||
157 | でも、その一時間で、 一日分の精神力を全て使い果たしてしまった。 | ||||
158 | 全身を耐え難い疲労感と虚脱感が襲う。 少しでも気を抜いたら、 あっという間に気絶してしまいそうだ。 | ||||
159 | 春希 | Haruki | 「はぁっ、はぁっ、はぁぁ…ぁっ、ぅ…」 | ||
160 | 全身を覆うのは、体に感じる疲れだけじゃない。 | ||||
161 | 心に、重くのしかかったり、錐で揉み込まれたり、 温かく流れ込んだり、昂ぶりをもたらしたり… | ||||
162 | そんな、色々ありすぎて、 自分が今、どんな気持ちでいるんだかわからない、 ぐるぐるに渦巻いた感情の波。 | ||||
163 | あいつを売った。 俺たち三人だけの秘密を、白日の下にさらけ出した。 | ||||
164 | けど、そんな酷い裏切りを重ねてる間、 あいつのこと思い出して恍惚としてた。 | ||||
165 | 誰にも心を開かなかった、音楽科の天才にして、 普通科の落ちこぼれが、怒ったり、黄昏れたり、 素直になったり、素直じゃなかったり… | ||||
166 | そんな、あの三年前の数日間を思い出し、 ニヤニヤ笑って、ボロボロ泣いた。 | ||||
167 | 春希 | Haruki | 「メール…」 | ||
168 | けどもう、そんな罪悪感も満足感も、 考えるのも億劫になってきた。 | ||||
169 | 第2稿…送らないと。 | ||||
170 | 締め切りは今日の24時。 | ||||
171 | 麻理さんのことだから、 夜中の24時に届くメールと、 朝の6時に届くメールとでは、明らかに意味が違う。 | ||||
172 | だから今、送らないと。 | ||||
173 | このまま気を失ってしまったら、 明日の朝まで絶対に目覚めない自信があるから。 | ||||
174 | だって、全身がこんなにも心地良い。 | ||||
175 | 雪菜のことも、かずさのことも… | ||||
176 | 俺たちの、挫折の三年間も。 | ||||
177 | 今だけは、みんなひっくるめて、 美しい思い出に昇華してしまったから。 | ||||
178 | 春希 | Haruki | 「おやすみ………」 | ||
179 | その言葉は、歩いて30分のところにいるひとか、 飛行機で数十時間かかるところにいるひとか、 どっちに向けたのか、どっちにも向けたのか… | ||||
180 | もう、今の俺には、わかるはずもなかった。 わかる必要も、なかった。 | ||||
181 | ……… | .........
| |||
182 | …… | ......
| |||
183 | … | ...
|
Script Chart
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Introductory Chapter | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
1001 | 1008 | 1009 | 1010 | 1011 | 1012 | 1013 |
1002 | 1008_020 | 1009_020 | 1010_020 | 1011_020 | 1012_020 | |
1003 | 1008_030 | 1009_030 | 1010_030 | 1011_030 | 1012_030 | |
1004 | 1008_040 | 1010_040 | 1012_030_2 | |||
1005 | 1008_050 | 1010_050 | ||||
1006 | 1010_060 | |||||
1006_2 | 1010_070 | |||||
1007 |
Closing Chapter | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Common | Setsuna | Koharu | Chiaki | Mari | ||||||
2001 | 2011 | 2020 | 2027 | 2301 | 2309 | 2316 | 2401 | 2408 | 2501 | 2510 |
2002 | 2012 | 2021 | 2028 | 2302 | 2310 | 2317 | 2402 | 2409 | 2502 | 2511 |
2003 | 2013 | 2022 | 2029 | 2303 | 2311 | 2318 | 2403 | 2410 | 2503 | 2512 |
2004 | 2014 | 2023 | 2030 | 2304 | 2312 | 2319 | 2404 | 2411 | 2504 | 2513 |
2005 | 2015 | 2024 | 2031 | 2305 | 2313 | 2320 | 2405 | 2412 | 2505 | 2514 |
2006 | 2016 | 2025 | 2032 | 2306 | 2314 | 2321 | 2406 | 2413 | 2506 | 2515 |
2007 | 2017 | 2026 | 2033 | 2307 | 2315 | 2322 | 2407 | 2507 | 2516 | |
2008 | 2018 | 2308 | 2508 | 2517 | ||||||
2009 | 2019 | 2509 | ||||||||
2010 | ||||||||||
Setsuna | Koharu | Chiaki | Mari | |||||||
2031_2 | 2312_2 | 2401_2 | 2504_2 | 2511_2 | ||||||
2031_3 | 2313_2 | 2402_2 | 2507_2 | 2513_2 | ||||||
2031_4 | 2313_3 | 2402_3 |
Coda | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Common | Kazusa (True) | Setsuna (True) | Kazusa (Normal) | ||||||
3001 | 3008 | 3014_2 | 3020 | 3101 | 3107 | 3201 | 3207 | 3901 | 3907 |
3002 | 3009 | 3014_3 | 3021 | 3102 | 3108 | 3202 | 3208 | 3902 | 3908 |
3003 | 3010 | 3015 | 3022 | 3103 | 3109 | 3203 | 3209 | 3903 | 3909 |
3004 | 3011 | 3016 | 3023 | 3104 | 3110 | 3204 | 3210 | 3904 | |
3005 | 3012 | 3017 | 3024 | 3105 | 3111 | 3205 | 3211 | 3905 | |
3006 | 3013 | 3018 | 3106 | 3206 | 3906 | ||||
3007 | 3014 | 3019 | |||||||
Common | Setsuna (True) | Kazusa (Normal) | |||||||
3001_2 | 3210_2 | 3901_2 | 3906_2 | ||||||
3015_2 | 3902_2 | 3907_2 | |||||||
3902_3 | 3907_3 | ||||||||
3904_2 |
Mini After Story and Extra Episode | |||
---|---|---|---|
The Path Back to Happiness | The Path Forward to Happiness | Dear Mortal Enemy | |
6001 | 6101 | 4000 | 4005 |
6002 | 6102 | 4001 | 4006 |
6003 | 6103 | 4002 | 4007 |
6004 | 6104 | 4003 | 4008 |
6005 | 4004 | 4009 |
Novels | |||||
---|---|---|---|---|---|
The Snow Melts, And Until The Snow Falls | The Idol Who Forgot How to Sing | Twinkle Snow ~Reverie~ | After the Festival ~Setsuna's Thirty Minutes~ | His God, Her Savior | |
5000 | 5100 | 5200 | 5205 | 5300 | 5400 |
5001 | 5101 | 5201 | 5206 | 5301 | 5401 |
5002 | 5102 | 5202 | 5207 | 5302 | |
5003 | 5103 | 5203 | 5208 | 5303 | |
5004 | 5104 | 5204 | 5209 |
Short Stories | |||
---|---|---|---|
Princess Setsuna's Distress and Her Minister's Sinister Plan | Koharu Climate After the Passing of the Typhoon | This isn't the Season for White Album | Todokanai Koi, Todoita |
7000 | 7100 | 7200 | 7300 |