White Album 2/Script/4008
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Translation Notes
Text
Speaker | Text | Comment | |||
---|---|---|---|---|---|
Line # | JP | EN | JP | EN | |
1 | デュプレ | 「もう一度、同じところから」 | |||
2 | デュプレ | 「…どこが悪いか、だと? ふん、教える気にもならん」 | |||
3 | デュプレ | 「敢えて言うなら、全てだとしか言いようがないね」 | |||
4 | ……… | .........
| |||
5 | デュプレ | 「もう一度!」 | |||
6 | ……… | .........
| |||
7 | デュプレ | 「なんだその腑抜けたピアノは… 若手ナンバーワンの成長株だという触れ込みだったが、 とんだ期待はずれだ」 | |||
8 | デュプレ | 「自分の故郷で成功したからと言って、 このパリでも通用すると思っているのか?」 | |||
9 | デュプレ | 「おおかた親戚しか来ていないお遊戯会で 拍手喝采を浴びて勘違いでもしたんだろう」 | |||
10 | ……… | .........
| |||
11 | デュプレ | 「もういい! これ以上やるだけ無駄だ」 | |||
12 | デュプレ | 「ヨウコが今まで君に コンチェルトをやらせなかった訳がわかったよ」 | |||
13 | デュプレ | 「こんな独りよがりのピアニストなど見たことがない。 ウチのオケでは使えんね」 | |||
14 | ……… | .........
| |||
15 | かずさ | Kazusa | 「………っ!」 | ||
16 | ……… | .........
| |||
17 | かずさ | Kazusa | 「はぁ…っ」 | ||
18 | やっとのことでシャワーだけ浴びた瞬間、 身も心も精根尽き果て、身体も拭かずにベッドに倒れ込む。 | ||||
19 | 髪と肌からしたたる水滴がシーツに染み込むのも構わず、 そのまま全身をうつぶせに横たえる。 | ||||
20 | かずさ | Kazusa | 「やめてやる…っ、 けど、その前にあいつをボコる」 | ||
21 | それが、あたしが待ち望んだコンサートに向けた、 全体練習初日の感想だった。 | ||||
22 | パリに来て一週間… | ||||
23 | 当初予定していたオケとの合流が遅れに遅れ、 昨日まで個人練習しかできなかった。 | ||||
24 | 病身の母さんをウィーンに置いたまま、 不退転の決意でパリに乗り込んだあたしの決意は、 いきなり、弾く前から叩き折られた。 | ||||
25 | そんな、わざわざパリに来た意味のない日々に、 あたしのストレスは溜まるばかりで。 | ||||
26 | そして今日、やっとメンバーが揃ったということで、 待望の初合わせ… | ||||
27 | けれど、三時間もあった練習中、 結局弾いたのは、あたし以外にはヴァイオリンだけ。 | ||||
28 | 聴かされたのは、オケの演奏ではなく、 フランツ何とかとか言うスケベ指揮者の、 パーティの時とは人の変わったような罵倒の嵐だった。 | ||||
29 | ミスなんか一つもない。 そもそも、それほど技術を要求する曲じゃない。 | ||||
30 | なのに、一度もOKが出ない。 | ||||
31 | そんな感じで結局、最後まで行かないどころか、 第一小節すら抜けられないまま、初日は終了した。 | ||||
32 | さらに、悪いことってのは重なるものらしくて… | ||||
33 | かずさ | Kazusa | 「エマさん? あたし、かずさです。 …その後、母さんの容態は?」 | ||
34 | 三日前あたりから、 母さんの様子が、あまり芳しくないようだった。 | ||||
35 | かずさ | Kazusa | 「そう…相変わらず面会謝絶?」 | ||
36 | エマさんには、あたしの代わりに、 できるだけ病院に顔を出すようお願いしていたけれど、 ここしばらくは、会えない状態が続いているらしい。 | ||||
37 | かずさ | Kazusa | 「医者はなんて言ってる? ………うん、うん、そう」 | ||
38 | 別に、今すぐどうこうということはないという説明だけど、 それでも衰弱しているのは確かで、 食事もあまり摂れていないらしい。 | ||||
39 | かずさ | Kazusa | 「…伝言? わかった、読み上げて」 | ||
40 | ただ一つの朗報というか進展は、 看護師から預かった伝言メモただ一つ。 | ||||
41 | そして、その中身は… | ||||
42 | かずさ | Kazusa | 「………ありがとう。 それじゃ、また明日連絡します」 | ||
43 | 『コンサートが終わるまで、 何があってもウィーンに帰ってこないこと』 | ||||
44 | 『絶対にclotureを成功させること』 | ||||
45 | 『それも、普通の成功じゃ駄目。 欧州メディアが騒然とするほどの成功を収めること』 | ||||
46 | かずさ | Kazusa | 「厳しいこと言ってくれる…」 | ||
47 | 文章だけには、まだほんの少し、 強気の母さんの成分が残ってた。 | ||||
48 | それだけが、ほんの少し救いだった。 | ||||
49 | けれど、やっぱり話したかった。 | ||||
50 | どんな弱気な母さんでも構わない。 話した後、その弱々しさに絶望して、 涙が零れそうになっても仕方ない。 | ||||
51 | うん、話したいよ、母さん… | ||||
52 | 『なんだよあいつは! こっちを女どころか、人間とすら見てないじゃないか!』 | ||||
53 | 『だから言ったじゃない。 舞台に立つとあいつは別人になるのよ』 | ||||
54 | 『三時間、三〇人をほったらかしにしてたぞ? 後ろの方なんか皆でカードやってやがった…』 | ||||
55 | 『だってねぇ、あそこのオケじゃ日常風景なんだもの。 あいつの新人いびり』 | ||||
56 | 『よくあんなのについて行けるな、みんな…』 | ||||
57 | 『指揮者としては天才だからね。 なにしろ、あたしが見出したんだし』 | ||||
58 | 『天才だろうがなんだろうが、性格破綻者だよ。 あたし、ピアノでこんなに否定されたの 生まれて初めてだ』 | ||||
59 | 『あたしもよく『な~んか面白くない』って 言ってるけどね』 | ||||
60 | 『母さんの、乾いた感じとは違うんだよ。 ねちっこいわ、頭ごなしだわ、上から目線だわ、 重箱の隅ばかりつついて人の人格や人生まで否定して…』 | ||||
61 | 『練習風景が目に浮かぶようだわ… わたしも見てみたかった』 | ||||
62 | 『このままじゃあたし、ピアノ嫌いになりそうだよ…』 | ||||
63 | 『あれ? あなたピアノ好きだったんだ? わたしはてっきり、ピアノさえ弾いてれば 彼にモテるからやってるだけだと思ってたんだけど…』 | ||||
64 | 『ふざけるな!』 | ||||
65 | ……… | .........
| |||
66 | かずさ | Kazusa | 「………」 | "........."
| |
67 | パリのインテグラルホテルのスイートは、 どこか、母さんとの生活空間を感じさせる。 | ||||
68 | そっか… 半年前、あの国で、母さんと過ごした場所も… | ||||
69 | かずさ | Kazusa | 「日本、かぁ…」 | ||
70 | あのクソ指揮者に『お遊戯会』と称された、 日本での、最後のコンサート。 | ||||
71 | そういえば、あの時のモチベーションも、 こんな感じだったっけ。 | ||||
72 | あたしのピアノは、世界に否定された絶望の中から、 かすかな希望を[R掬^すく]い取ることしかできないのかな? | ||||
73 | …いや、それすら、できているのかな? | ||||
74 | 例えば… もし、今回のコンサートが成功したところで、 母さんは助かるのか? | ||||
75 | あたしの演奏で生きる希望を得て、 長生きの助けにしてくれるだろうか? | ||||
76 | それとも、あたしの演奏に満足して、 もう、思い残すことはないって… | ||||
77 | あたしがclotureを弾くことって、 母さんにとっては、 引導になってしまう可能性、本当にないのかな…? | ||||
78 | それでも、一生懸命弾くべきなのか? 思い残したことは、全て取り除くべきなのか? あげられるものは、全てあげるべきなのか… | ||||
79 | かずさ | Kazusa | 「…馬鹿馬鹿しい」 | ||
80 | …なんてな。 今、こんな想像するのは傲慢としか言いようがない。 | ||||
81 | 何しろ、今のままだと、 コンサートがうまく行くイメージなんて、 かけらも湧いてこないんだから。 | ||||
82 | でも、しょうがないじゃないか… 何しろもう、愚痴すら想像の中でしかこぼせないんだから。 | ||||
83 | 強くて、軽くて、何でも受け止めてくれた母さんは、 もう、あたしの想像の中にしかいないんだから。 | ||||
84 | 変わってしまった母さん。 涙もろく、回顧ばかりで、まるで老人のような… 普通の人間みたいに弱くなってしまった母さん。 | ||||
85 | もう、元には戻ってくれないのかな…? | ||||
86 | そういえば… | ||||
87 | 師匠のフリューゲル爺さんと、 母さんのことについて話すと、 いつも意見が食い違ってたっけ… | ||||
88 | 『カズサの知っているヨウコは、 私の知っているヨウコとは違うよ』 | ||||
89 | 『私の知っているヨウコは、野望と嫉妬と闘争にまみれ、 カズサなんか比べものにならないくらい、 未熟で、青臭く、荒々しく、若い人間だった』 | ||||
90 | 『それが少しずつ歳を取り、経験を積み、 今の、飄々としたヨウコへと変遷していったんだ』 | ||||
91 | 『だから私にとってみれば、 今のヨウコだって、変わってしまったヨウコさ』 | ||||
92 | そう言われて気づいたことがある。 あたしの知っている母さんにも、二人いるってこと。 | ||||
93 | 一人は、あたしが子供の頃の、 あたしに本当に無関心だった母さん… | ||||
94 | 自分がどれだけ秀でたパフォーマンスを披露できるか… それ以外にはあまり興味のない、探求者のような冬馬曜子。 | ||||
95 | そしてもう一人が、つい最近までの飄々とした、 あたしの大好きな、冬馬曜子母さん。 | ||||
96 | 『変化、成長、そして成熟。 歳を取ることを、決して衰退と捉えないことだ』 | ||||
97 | 『人間、変わっていくのは当たり前なのだから』 | ||||
98 | 『お前が変わらなさすぎるだけなのだから、カズサ…』 | ||||
99 | かずさ | Kazusa | 「っ…」 | ||
100 | いけない。 ほんの少しうとうとしてたみたいだ。 | ||||
101 | このまま寝たら、風邪をひいてしまう。 …本気で契約を解除されかねない。 | ||||
102 | かずさ | Kazusa | 「ふあ…」 | ||
103 | ぼやけた視界に、 相変わらず、少しだけ見慣れた天井が視界に広がる。 | ||||
104 | ついでに、さっきの師匠との会話が頭の中に広がる。 | ||||
105 | 変わっていくのは当たり前、か。 | ||||
106 | なら、母さんには、少しでもあたしの求める老い方を… そう導くために、あたしはピアノを弾こう。 | ||||
107 | あいつを突き放すために、 彼女に返すために、 ピアノを弾いたあの時みたいに。 | ||||
108 | それで、いいよな? それしか、ないんだよな…? | ||||
109 | ……… | .........
| |||
110 | …… | ......
| |||
111 | … | ...
| |||
112 | 春希 | Haruki | 「冬馬」 | ||
113 | かずさ | Kazusa | 「………(すぅ)」 | ||
114 | 春希 | Haruki | 「冬馬…おい… 悪いけど、ちょっと起きてくれ」 | ||
115 | かずさ | Kazusa | 「…んぅ?」 | ||
116 | 春希 | Haruki | 「っ…」 | ||
117 | かずさ | Kazusa | 「…?」 | ||
118 | ああ、これは… あたしとあいつの、初めての… | ||||
119 | あの時あいつは、 あたしに一目惚れしたって言ってたっけ。 | ||||
120 | 教室で爆睡してたあたしに、見とれたんだって… | ||||
121 | なんでそれを五年経ってから言うんだよ…馬鹿野郎。 | ||||
122 | ……… | .........
| |||
123 | 春希 | Haruki | 「そいや…」 | ||
124 | かずさ | Kazusa | 「今度はなに?」 | ||
125 | 春希 | Haruki | 「冬馬から俺に話しかけたの、 ひょっとして初めてじゃないか?」 | ||
126 | かずさ | Kazusa | 「………気のせいでしょ」 | ||
127 | 春希 | Haruki | 「ありがとな」 | ||
128 | かずさ | Kazusa | 「ヘタクソ」 | ||
129 | そしてこれは、 あたしたちが、初めてまともに語らった日。 | ||||
130 | ただ、あいつがいるかもって不確かな情報だけを頼りに、 炎天下、死ぬ思いをして学校まで来て、 話しかけるタイミングを、必死で探って… | ||||
131 | …なんだよ、その馬鹿女。 | ||||
132 | あたし、この時からもう、 とっくに恋、してるじゃないかよ… | ||||
133 | ……… | .........
| |||
134 | 雪菜 | Setsuna | 「ね、冬馬さん。 わたしたち、いい友達になれそうだって思わない?」 | ||
135 | かずさ | Kazusa | 「全然。 そっちこそ、どうしてそう思う?」 | ||
136 | 雪菜 | Setsuna | 「だって…似たような趣味だし」 | ||
137 | かずさ | Kazusa | 「言ってる意味わかんない」 | ||
138 | 雪菜 | Setsuna | 「わかんないかな?」 | ||
139 | けど、あいつはもう、わかってたんだよな。 | ||||
140 | あたしと知り合う前から、 あたしの気持ち、見抜いてたんだよな。 | ||||
141 | ほんっと、嫌になるくらい鋭い奴。 泣きたくなるくらい、危険な奴。 | ||||
142 | だから、受け入れられた。 片思いの相手よりも難しい、友達って間柄になれた。 | ||||
143 | ……… | .........
| |||
144 | 雪菜 | Setsuna | 「じゃ、行こうか。 冬馬さん、春希くん。 | ||
145 | 雪菜 | Setsuna | …わたしのせいで超満員になっちゃってごめんね?」 | ||
146 | かずさ | Kazusa | 「その時々傲慢になるところがホント苦手だ… ほら、行くぞ北原」 | ||
147 | 春希 | Haruki | 「ああ! …二人とも、俺がソロ外しても笑うなよ!」 | ||
148 | 雪菜 | Setsuna | 「笑うに決まってるよ」 | ||
149 | かずさ | Kazusa | 「指差して笑ってやる」 | ||
150 | 春希 | Haruki | 「お前ら…」 | ||
151 | そして、だから三人になれた。 かけがえのない、仲間になれた。 | ||||
152 | わかってた。 そうなってしまったら辛くなるって、悲しくなるって… | ||||
153 | 誰かが引かないといけないって。 けれど、誰かが引いても痛みはおさまらないって。 | ||||
154 | けれど、その甘美な誘惑に耐えられなかったんだ。 友達、欲しかったんだ… あの子と、同じだったんだ… | ||||
155 | ……… | .........
| |||
156 | かずさ | Kazusa | 「そんなのはなぁ………っ、 | ||
157 | かずさ | Kazusa | 親友の彼氏に言われる台詞じゃないんだよ!」 | ||
158 | 春希 | Haruki | 「っ!?」 | ||
159 | かずさ | Kazusa | 「あたしの前から先に消えたのはお前だろ!? 勝手に手の届かないとこに行ったのはお前だろ!」 | ||
160 | 春希 | Haruki | 「え…」 | ||
161 | かずさ | Kazusa | 「手が届かないくせに、ずっと近くにいろなんて、 そんな拷問を思いついたのもお前だろ!」 | ||
162 | そう、こうなるってわかってたのに… | ||||
163 | 引いて、押した。 三人を、壊した。 かけがえのない仲間を、めちゃめちゃにした。 | ||||
164 | ……… | .........
| |||
165 | かずさ | Kazusa | 「なぁ北原……… あたし、お前のことが大好きだったよ?」 | ||
166 | 春希 | Haruki | 「うん…っ」 | ||
167 | かずさ | Kazusa | 「大好きだったから、 雪菜に取られたとき、すごく辛かった…」 | ||
168 | かずさ | Kazusa | 「言っちゃった…雪菜ごめん。 でもいいよな…声だけなんだから。 もう二度と会わないんだから…」 | ||
169 | こうやって、あたしが、引き裂いた。 | ||||
170 | 好きなひとを傷つけて、 親友を傷つけて、 ただひとり、逃げ出して… | ||||
171 | 自分ひとりだけでも傷つかなければ… ここで、忘れてしまえれば、 よかったのに、な… | ||||
172 | ……… | .........
| |||
173 | ??? | ??? | 「春希………っ」 | ||
174 | 春希 | Haruki | 「っ…あれ? なんだよ、もう着いたのか雪………っ!?」 | ||
175 | 春希 | Haruki | 「………え」 | ||
176 | かずさ | Kazusa | 「春希…」 | ||
177 | 春希 | Haruki | 「かず………さ?」 | ||
178 | 本当に、さ… 五年経って、忘れてしまえれば、 よかったのに、な。 | ||||
179 | 人間、変わっていくのは当たり前… 当たり前、なんだよな? なのに、どうしてあたしは… | ||||
180 | ……… | .........
| |||
181 | かずさ | Kazusa | 「あ、肉多めに」 | ||
182 | 春希 | Haruki | 「わかったよ」 | ||
183 | かずさ | Kazusa | 「あ、魚はいらない」 | ||
184 | 春希 | Haruki | 「…好き嫌い良くないぞ」 | ||
185 | かずさ | Kazusa | 「白菜もいらない。ネギもいらない。 というか野菜全般入れるな」 | ||
186 | 春希 | Haruki | 「…鍋ものの意義を全否定するな。 これは野菜を食べるための料理だ」 | ||
187 | どうしてあたしは、母さんみたいに… 他の人間みたいに、生きられないんだろう。 | ||||
188 | 五年の空白を、 たった一日、同じ食卓を囲んだだけで、 埋めてしまえるんだろう。 | ||||
189 | ……… | .........
| |||
190 | かずさ | Kazusa | 「誓うのか? あたしを妻にするって、誓うのか、春希?」 | ||
191 | 春希 | Haruki | 「ああ… 健やかなるときも、病めるときも…」 | ||
192 | かずさ | Kazusa | 「喜びのときも、悲しみのときも?」 | ||
193 | 春希 | Haruki | 「富めるときも、貧しいときも」 | ||
194 | かずさ | Kazusa | 「これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け…」 | ||
195 | 春希 | Haruki | 「その命ある限り、 真心を尽くすことを、ここに誓います…」 | ||
196 | ずっとずっと、想い続けて、 駄目だってわかってるのに、叶えてしまって… | ||||
197 | だから、この後は… | ||||
198 | ………なぁ、本当にこの先も見るのか? 見てしまうのか? | ||||
199 | 馬鹿か、あたしは… 夢でくらい、幸せなままで終わってもいいじゃないか。 | ||||
200 | このまま、エンディングを迎えたって、いいじゃないか… | ||||
201 | ……… | .........
| |||
202 | かずさ | Kazusa | 「離せよ…」 | ||
203 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
204 | かずさ | Kazusa | 「笑って、別れよう… もう、引きずるの、やめよう…」 | ||
205 | 春希 | Haruki | 「………っ」 | ||
206 | かずさ | Kazusa | 「春希…お前は」 | ||
207 | 春希 | Haruki | 「握って、ない」 | ||
208 | かずさ | Kazusa | 「………」 | "........."
| |
209 | 春希 | Haruki | 「お前が手を引けば、すぐに解ける。 お前は、どこへでも行ける」 | ||
210 | かずさ | Kazusa | 「………意地悪、言うなよ。 お前から、離してもらいたかったのに」 | ||
211 | 春希 | Haruki | 「嫌だ」 | ||
212 | かずさ | Kazusa | 「あたしを、ふって欲しかったのに、さぁ…っ」 | ||
213 | 春希 | Haruki | 「できるか、そんなこと…」 | ||
214 | かずさ | Kazusa | 「意地悪…っ」 | ||
215 | 春希 | Haruki | 「どっちが、だよ…」 | ||
216 | かずさ | Kazusa | 「………」 | "........."
| |
217 | 春希 | Haruki | 「………」 | "........."
| |
218 | かずさ | Kazusa | 「馬鹿ぁっ」 | ||
219 | 春希 | Haruki | 「だから… どっちが、だよ…っ」 | ||
220 | かずさ | Kazusa | 「ぁぁぁぁぁぁぁああああああああ~っ!!!」 | ||
221 | かずさ | Kazusa | 「………っ、 ぁ、ぁぁぁぁぁ…っ、 ぃ、ぃぁぁ…ぁぅっ…ぅ、ぅぅ…」 | ||
222 | 最後まで、見通してしまった… 見たく、なかったのに。 | ||||
223 | かずさ | Kazusa | 「っ…、ぃっ、ぅ…は、はぁぁ… あ、あっ…」 | ||
224 | それはまるで、走馬燈のように… | ||||
225 | あたしの人生と、あいつの人生が重なった、 ほんの数百日。 | ||||
226 | あたしにとって、永遠の時間。人生の、半分。 | ||||
227 | かずさ | Kazusa | 「は、はは…」 | ||
228 | やっと、見なくなったと、思ったのに、な… 必死で、考えないように、してたのに、な… | ||||
229 | もう、住む世界が違うのに。 心も、場所も、全然違うところにあるのに。 | ||||
230 | もう、あの子のものなのに… | ||||
231 | かずさ | Kazusa | 「馬鹿だ、あたし…」 | ||
232 | 携帯のアドレスを確かめる。 もちろん、そこにはもう、あいつの番号なんかない。 記憶からだって、消した、はずだ。 | ||||
233 | …つまり今は、現実だ。 日本じゃない、半年前じゃない、五年前じゃない世界だ。 | ||||
234 | かずさ | Kazusa | 「春希ぃ…」 | ||
235 | 出逢ってから、六年。 別れてから、五年 ふたたび別れてから、半年。 | ||||
236 | 五年で変われなかったあたしが、 たった半年で変われるだなんて思っているのかよ… |
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Introductory Chapter | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
1001 | 1008 | 1009 | 1010 | 1011 | 1012 | 1013 |
1002 | 1008_020 | 1009_020 | 1010_020 | 1011_020 | 1012_020 | |
1003 | 1008_030 | 1009_030 | 1010_030 | 1011_030 | 1012_030 | |
1004 | 1008_040 | 1010_040 | 1012_030_2 | |||
1005 | 1008_050 | 1010_050 | ||||
1006 | 1010_060 | |||||
1006_2 | 1010_070 | |||||
1007 |
Closing Chapter | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Common | Setsuna | Koharu | Chiaki | Mari | ||||||
2001 | 2011 | 2020 | 2027 | 2301 | 2309 | 2316 | 2401 | 2408 | 2501 | 2510 |
2002 | 2012 | 2021 | 2028 | 2302 | 2310 | 2317 | 2402 | 2409 | 2502 | 2511 |
2003 | 2013 | 2022 | 2029 | 2303 | 2311 | 2318 | 2403 | 2410 | 2503 | 2512 |
2004 | 2014 | 2023 | 2030 | 2304 | 2312 | 2319 | 2404 | 2411 | 2504 | 2513 |
2005 | 2015 | 2024 | 2031 | 2305 | 2313 | 2320 | 2405 | 2412 | 2505 | 2514 |
2006 | 2016 | 2025 | 2032 | 2306 | 2314 | 2321 | 2406 | 2413 | 2506 | 2515 |
2007 | 2017 | 2026 | 2033 | 2307 | 2315 | 2322 | 2407 | 2507 | 2516 | |
2008 | 2018 | 2308 | 2508 | 2517 | ||||||
2009 | 2019 | 2509 | ||||||||
2010 | ||||||||||
Setsuna | Koharu | Chiaki | Mari | |||||||
2031_2 | 2312_2 | 2401_2 | 2504_2 | 2511_2 | ||||||
2031_3 | 2313_2 | 2402_2 | 2507_2 | 2513_2 | ||||||
2031_4 | 2313_3 | 2402_3 |
Coda | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Common | Kazusa (True) | Setsuna (True) | Kazusa (Normal) | ||||||
3001 | 3008 | 3014_2 | 3020 | 3101 | 3107 | 3201 | 3207 | 3901 | 3907 |
3002 | 3009 | 3014_3 | 3021 | 3102 | 3108 | 3202 | 3208 | 3902 | 3908 |
3003 | 3010 | 3015 | 3022 | 3103 | 3109 | 3203 | 3209 | 3903 | 3909 |
3004 | 3011 | 3016 | 3023 | 3104 | 3110 | 3204 | 3210 | 3904 | |
3005 | 3012 | 3017 | 3024 | 3105 | 3111 | 3205 | 3211 | 3905 | |
3006 | 3013 | 3018 | 3106 | 3206 | 3906 | ||||
3007 | 3014 | 3019 | |||||||
Common | Setsuna (True) | Kazusa (Normal) | |||||||
3001_2 | 3210_2 | 3901_2 | 3906_2 | ||||||
3015_2 | 3902_2 | 3907_2 | |||||||
3902_3 | 3907_3 | ||||||||
3904_2 |
Mini After Story and Extra Episode | |||
---|---|---|---|
The Path Back to Happiness | The Path Forward to Happiness | Dear Mortal Enemy | |
6001 | 6101 | 4000 | 4005 |
6002 | 6102 | 4001 | 4006 |
6003 | 6103 | 4002 | 4007 |
6004 | 6104 | 4003 | 4008 |
6005 | 4004 | 4009 |
Novels | |||||
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The Snow Melts, And Until The Snow Falls | The Idol Who Forgot How to Sing | Twinkle Snow ~Reverie~ | After the Festival ~Setsuna's Thirty Minutes~ | His God, Her Savior | |
5000 | 5100 | 5200 | 5205 | 5300 | 5400 |
5001 | 5101 | 5201 | 5206 | 5301 | 5401 |
5002 | 5102 | 5202 | 5207 | 5302 | |
5003 | 5103 | 5203 | 5208 | 5303 | |
5004 | 5104 | 5204 | 5209 |
Short Stories | |||
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Princess Setsuna's Distress and Her Minister's Sinister Plan | Koharu Climate After the Passing of the Typhoon | This isn't the Season for White Album | Todokanai Koi, Todoita |
7000 | 7100 | 7200 | 7300 |