Difference between revisions of "White Album 2/Script/6101"
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Translation Notes[edit]
Text[edit]
Speaker | Text | Comment | |||
---|---|---|---|---|---|
Line # | JP | EN | JP | EN | |
1 | 春希 | Haruki | 「……ふぅ」 | ||
2 | 熱いシャワーを浴びて身を引き締めると、 ようやく体が冬の空気になじんでくる。 | ||||
3 | 今日も、寒いけどいい天気だ。 | ||||
4 | 洗濯機の音や、窓からの光が、 今日一日の始まりを告げる。 | ||||
5 | いや、始まりというには、 ほんのちょっとのんびりした時間だけど、 まぁ、日曜日の今日ならば許容範囲だ。 | ||||
6 | そしてこれから、日曜日恒例の戦いが始まる。 | ||||
7 | 春希 | Haruki | 「雪菜」 | ||
8 | 雪菜 | Setsuna | 「…………」 | ||
9 | 春希 | Haruki | 「そろそろ起きろよ」 | ||
10 | 雪菜 | Setsuna | 「んんぅぅぅ~……もう少しぃ」 | ||
11 | 春希 | Haruki | 「もう“昼の”10時半だぞ」 | ||
12 | 雪菜 | Setsuna | 「そうだよぉ、まだ“朝の”10時半じゃない~」 | ||
13 | ……そう、『どこまでが朝か』という、 許容範囲の線引きについての激しい戦いが。 | ||||
14 | 春希 | Haruki | 「あと30分したらモーニングサービスも終わるんだぞ? れっきとした昼だろ」 | ||
15 | 雪菜 | Setsuna | 「裏を返せば、 朝はまだ30分もあるってことだよ~」 | ||
16 | 春希 | Haruki | 「30分以内にちゃんと覚醒できる人なら 通用する言い訳なんだけどな……」 | ||
17 | 雪菜 | Setsuna | 「イベントもショップ回りもない 真の日曜日は久しぶりなんだよ。 お願いだからもう少し寝かせてよぅ」 | ||
18 | 我が低血圧の姫は、 朝に弱いせいで、朝には強い(我が)。 | ||||
19 | こうなったときの彼女は、まさに北風に抗う旅人。 生半可な強制じゃ、てこでも動かない。 | ||||
20 | ならば仕方ない…… | ||||
21 | 春希 | Haruki | 「わかったよ……おやすみ、雪菜」 | ||
22 | 雪菜 | Setsuna | 「ありがと春希くん。 だから愛して……」 | ||
23 | 春希 | Haruki | 「じゃ、俺、今から腕を振るって昼飯作るから。 できるまでゆっくり寝てていいよ」 | ||
24 | 雪菜 | Setsuna | 「…………駄目」 | ||
25 | 春希 | Haruki | 「ん? なんか言った?」 | ||
26 | そう、太陽の光を浴びせるまでだ。 | ||||
27 | 雪菜 | Setsuna | 「駄目、春希くんは食事を作っちゃ駄目…… そんなの、妻の沽券に係わるもん」 | ||
28 | 春希 | Haruki | 「共働きなんだから、俺がやっても全然問題ないだろ。 何しろ雪菜は激務で疲れてるんだし」 | ||
29 | 雪菜 | Setsuna | 「毎日わたしより早く家を出て、 わたしより遅く帰る人に言われたくない……」 | ||
30 | 春希 | Haruki | 「普段は雪菜に任せきりだし、 日曜くらいは恩返ししないと」 | ||
31 | 雪菜 | Setsuna | 「でも春希くん、洗濯も掃除も 隙あらばわたしから奪うじゃない。 料理くらい守っておかないとカッコつかないよ~」 | ||
32 | 春希 | Haruki | 「なら起きろ。 俺は腹ペコなんだよ。 放っておくと自分で手間かけてご飯作っちゃうぞ?」 | ||
33 | 雪菜 | Setsuna | 「うう、鬼、悪魔、裏の実行委員長~」 | ||
34 | 春希 | Haruki | 「ミス峰城大付属のお姫様におかれましては、 その名を汚すような言動は慎むように」 | ||
35 | こんなふうに、 週末にもなると幸せな惰眠を貪りつつ、 それでも兼業主婦の権利を声高に主張する、俺の妻。 | ||||
36 | 小木曽雪菜、改め、北原雪菜。 | ||||
37 | 元・ミス峰城大付属三連覇の学園アイドルにして、 現・ナイツレコードの広報アイドル。 | ||||
38 | 春希 | Haruki | 「ほら、約束したからにはちゃんと起きよう?」 | ||
39 | 雪菜 | Setsuna | 「……春希くんが、起こして」 | ||
40 | そんな雪菜が、絶対に他人には見せることのない、 まるで甘えん坊の子供…… | ||||
41 | いや、お姫様みたいにベッドから手を差し伸べてくる。 | ||||
42 | 春希 | Haruki | 「わかったわか……うわぁっ!?」 | ||
43 | 雪菜 | Setsuna | 「えへへ、捕まえた~っと」 | ||
44 | かと思ったら、こちらの手をいきなり引っ張ると、 体ごとベッドの上に引きずり込んでくる。 | ||||
45 | 雪菜 | Setsuna | 「どうせなら、春希くんも一緒に二度寝しない? 今日は別に、誰も咎める人はいないよ?」 | ||
46 | 春希 | Haruki | 「とかなんとか言っといて、 ちっとも寝る気ないだろ、そうなんだろ」 | ||
47 | それも明らかに、 安らかな寝息を立てようというのではない、 もっとアグレッシブな動作で。 | ||||
48 | 雪菜 | Setsuna | 「ね、ね、春希くん……んぅ」 | ||
49 | 例えば、そう、 その唇が、俺の首筋に触れてきたりとか。 | ||||
50 | 春希 | Haruki | 「そんなことしたら、余計に腹が減るだろ」 | ||
51 | 雪菜 | Setsuna | 「お昼ごはん、美味しく食べられそうだね。 ん、ちゅ……」 | ||
52 | 春希 | Haruki | 「っ……いや、朝だぞ? 駄目だろ」 | ||
53 | 雪菜 | Setsuna | 「こっちは……駄目だって言ってないみたいだよ?」 | ||
54 | 例えば、そう、 その指が、俺の……に触れてきたりとか。 | ||||
55 | 春希 | Haruki | 「そもそもそこは喋らないからっ、ぁっ…… せ、雪菜……いや、その……」 | ||
56 | 雪菜 | Setsuna | 「ん、ふふ、春希くん……ん、んぅ、ん、くっ」 | ||
57 | 春希 | Haruki | 「は、あ……ったく、こら、ん……っ」 | ||
58 | 雪菜 | Setsuna | 「っ……んふっ、んふふ……んぷ……」 | ||
59 | 春希 | Haruki | 「…………」 | ||
60 | 雪菜 | Setsuna | 「…………」 | ||
61 | 最初から言ってあるけれど、 今の時間は、午前10時30分。 | ||||
62 | この時間帯に来るお客は、 別に失礼でもなんでもなく…… | ||||
63 | 雪菜の母 | Setsuna's Mother | 「ちょっと雪菜。 そろそろ起きなさ~い!」 | ||
64 | 春希 | Haruki | 「……あ~、そういえば、 お義母さん、朝から手伝いに来るって言ってたっけ」 | ||
65 | 雪菜 | Setsuna | 「違うよ! お昼ごろって言ってたよ! もう、せっかちなんだから~!」 | ||
66 | ……そんな訳で、 『どこまでが朝か』議論を再燃させつつ、 俺たちは、慌ててベッドから飛び起きる。 | ||||
67 | 時[W15]は[W15]1[W15]2[W15]月[W15]の[W15]下[W15]旬[W15]に[W15]差[W15]し[W15]掛[W15]か[W15]っ[W15]た[W15]と[W15]こ[W15]ろ[W15]。[W15] | ||||
68 | 小[W10]木[W10]曽[W10]雪[W10]菜[W10]が[W10]、[W10]名[W10]字[W10]だ[W10]け[W10]を[W10]ち[W10]ょ[W10]こ[W10]っ[W10]と[W10]改[W10]名[W10]し[W10]て[W10]、[W10] 一[W10]年[W10]ち[W10]ょ[W10]っ[W10]と[W10]が[W10]経[W10]過[W10]し[W10]た[W10]…[W10]…[W10] | ||||
69 | そ[W10]ん[W10]な[W10]冬[W10]の[W10]、[W10]こ[W10]ん[W10]な[W10]部[W10]屋[W10]で[W10]の[W10]、[W10] 残[W10]り[W10]数[W10]日[W10]間[W10]の[W10]物[W10]語[W10]。[W10] | ||||
70 | 春希 | Haruki | 「えっと、お茶どうぞ……お義母さん」 | ||
71 | 雪菜の母 | Setsuna's Mother | 「いいえぇ、お構いなく。 ……それより、ごめんなさいね春希さん。 ほんっと寝ぼすけな娘で」 | ||
72 | 春希 | Haruki | 「ああ、いえ、普段はしっかりしてますよ。 今日はたまの休みだし……」 | ||
73 | 雪菜 | Setsuna | 「そうだよ~! 余計なこと言わないでよお母さんは!」 | ||
74 | 春希 | Haruki | 「雪菜こそ余計なタイミングで 顔出さなくていいから……」 | ||
75 | 雪菜の母 | Setsuna's Mother | 「そうよ、ちゃんと服着て髪乾かしてから来なさい。 お行儀悪いわねぇ」 | ||
76 | 雪菜 | Setsuna | 「どうもすいませんね~、 親のしつけがなってないものですから~!」 | ||
77 | 春希 | Haruki | 「はは、は……」 | ||
78 | 雪菜の母 | Setsuna's Mother | 「本当にごめんなさいね。 主人が甘やかすからワガママ放題に育って」 | ||
79 | 春希 | Haruki | 「いえ……ありがとうございます。 雪菜をワガママに育ててくれて」 | ||
80 | 雪菜の母 | Setsuna's Mother | 「え、春希さんって、もしかして虐げられることで 悦ぶとか、そういうアレな……?」 | ||
81 | 春希 | Haruki | 「いえ、そうじゃなくて…… いえ、それでもいいですよもう」 | ||
82 | 怪訝というか、ちょっと引いたような表情で、 お義母さんが俺のことをまじまじと見つめている。 | ||||
83 | けれど俺は、そんな反応にも曖昧に笑顔を返しつつ、 彼女がさらに怪訝な表情を浮かべてしまうかもしれない、 感謝の気持ちを心に浮かべる。 | ||||
84 | 本当に、ありがとうございますって。 | ||||
85 | 雪菜をワガママに、優しく、普通で、 そして強く育ててくれてって。 | ||||
86 | だって…… 俺の過ちで何度も傷つけてしまった彼女を 決して折れないままで保ってくれたのは。 | ||||
87 | 少しくらい折れてしまっても、 元に戻してくれたのは。 | ||||
88 | お義父さんや、このお義母さん、 そして弟君に、違いなかったから。 | ||||
89 | ………… | ||||
90 | 雪菜の母 | Setsuna's Mother | 「それにしても、 ただでさえ忙しい年の瀬にお引越しなんてねぇ」 | ||
91 | 雪菜 | Setsuna | 「何言ってるのよお母さん。 お引越しと大掃除がいっぺんに片付いて効率的じゃない」 | ||
92 | 春希 | Haruki | 「それに、引っ越し蕎麦が そのまま年越し蕎麦に使えますから、 隣近所としても効率的かなって」 | ||
93 | 雪菜の母 | Setsuna's Mother | 「もう少しくらいここに住んでてもよかったじゃない。 二人ならこの部屋で十分だったでしょ」 | ||
94 | 春希 | Haruki | 「お義父さんには 『いつまで娘をこんな狭い部屋に閉じ込めておく気だ』 なんて怒られてましたけどね……」 | ||
95 | 次の土曜…… | ||||
96 | お義母さんの言う通り、年の瀬も押し迫った週末に、 俺たちは、この、大学時代から住み慣れた部屋を離れ、 五駅ほど離れた、2LDKのマンションへと移り住む。 | ||||
97 | そんなわけで、あと一週間に迫った引っ越しを控え、 今日はお義母さんが準備の手伝いに来てくれていた。 | ||||
98 | 雪菜 | Setsuna | 「あ~、お母さん! 食器全部片づけちゃ駄目だよ。 明日からの食事どうするのよ?」 | ||
99 | 雪菜の母 | Setsuna's Mother | 「紙コップと紙皿で我慢しなさい。 前の日にバタバタして結局片づけ終わらないより よっぽどマシでしょ?」 | ||
100 | 雪菜 | Setsuna | 「引っ越しまでまだ一週間あるんだよ? 普段使わないものからしまってってよ。 あ~、テレビも駄目だよまだ見るんだから」 | ||
101 | 雪菜の母 | Setsuna's Mother | 「もう、うるさいわねぇ。 だったら雪菜が自分で全部やればいいのよ」 | ||
102 | 春希 | Haruki | 「はは……」 | ||
103 | 『俺が全部やりますからわざわざ来ていただかなくても』 | ||||
104 | そんな、当然のように俺の口から出た辞退の言葉は、 小木曽家の人々にいたく反感を買ったらしく、 発言の後、雪菜含めた皆にめっちゃ怒られた。 | ||||
105 | 『いつまで堅苦しい態度を取っているんだ』とか、 『よそよそしさにも程がある』とか、『そういえば 式の前日にもこんなことがあったんだよ?』とか…… | ||||
106 | いや、なんか理不尽なものも混じってたような気もするが、 それはいいとして…… | ||||
107 | もちろん悪い人たちじゃないし、俺も好きなんだけど、 未だにあの家の人たちと俺の考え方には、 笑ってしまうくらいのギャップを感じることがある。 | ||||
108 | 雪菜の母 | Setsuna's Mother | 「……あら? ちょっとこれ、雪菜」 | ||
109 | 雪菜 | Setsuna | 「何よお母さん。 わたし今、一人で全部片づけやってて忙しいんだけど」 | ||
110 | 雪菜の母 | Setsuna's Mother | 「そんなことよりもほら! これ、あなたの中学の時のアルバム」 | ||
111 | 雪菜 | Setsuna | 「あ~、こんなところにあったんだぁ。 絶対に持ってきたと思ってたのに ずっと見つからなかったんだよね~」 | ||
112 | 雪菜の母 | Setsuna's Mother | 「この小さい部屋にこんなものまで持ってきてたのね。 道理で狭く感じるはずだわ」 | ||
113 | 春希 | Haruki | 「……本当すいません小さな部屋で」 | ||
114 | 『貯金がある程度貯まるまではここでいいよ』 って強硬に主張してたのは、 どちらかと言えばお宅の娘さんだったんですけどね…… | ||||
115 | 雪菜の母 | Setsuna's Mother | 「って、あらあら、懐かしいわねぇ。 ほら、中学生時代の雪菜。 ちょっとちょっと春希さん」 | ||
116 | 春希 | Haruki | 「何度も見ましたから」 | ||
117 | もう、同じクラスの誰と誰が仲良しで、 誰と仲違いして、誰と仲直りしたかまで全部知ってる。 | ||||
118 | ……ついでに、ほら、なんだ。 告白してきたサッカー部のエース君の クラスと名前と顔まで知ってる。 | ||||
119 | 別に、そこまで教えてくれる必要なかったのに。 | ||||
120 | 雪菜の母 | Setsuna's Mother | 「ほんっと、この頃は素直で可愛かったのよねぇ。 いつから親の言うことまったく聞かない 頑固な娘になったんだか」 | ||
121 | 雪菜 | Setsuna | 「あ、長崎! これ修学旅行だよ」 | ||
122 | 雪菜の母 | Setsuna's Mother | 「あぁ、覚えてる覚えてる。 確か雪菜、前の日まで38度の熱出してて」 | ||
123 | 雪菜 | Setsuna | 「そうそう! それでお父さんが旅行行くなって言い出して」 | ||
124 | 雪菜の母 | Setsuna's Mother | 「あなた大泣きして、どうしても行くって…… って、よく考えてみたらこの頃から 全然親の言うこと聞いてなかったわよね」 | ||
125 | 雪菜 | Setsuna | 「そんなことないよ~。 この時はちゃんと翌朝に36度まで下がったんだもん」 | ||
126 | 雪菜の母 | Setsuna's Mother | 「体温計、ズルしてたの知ってるのよ? ちゃんと脇の下に挟んでなかったでしょ?」 | ||
127 | 雪菜 | Setsuna | 「え~、そうだったっけ?」 | ||
128 | 雪菜の母 | Setsuna's Mother | 「ほらこの写真見なさい。 顔、赤く腫れてるじゃない。 全然熱が下がってなかった証拠よ」 | ||
129 | 雪菜 | Setsuna | 「うわぁ、変な顔~。 いやだなにこれ恥ずかしい~。 ちょっと、春希くんは絶対見ちゃ駄目だよ!」 | ||
130 | 春希 | Haruki | 「……見ないから早く片づけやりませんか二人とも?」 | ||
131 | ………… | ||||
132 | ……と、いうわけで。 | ||||
133 | 春希 | Haruki | 「今日は本当、ありがとうございました。 おかげで助かりました」 | ||
134 | 雪菜の母 | Setsuna's Mother | 「でもやっぱり一日じゃ無理だったわね。 また今度来るわ」 | ||
135 | 雪菜 | Setsuna | 「もう、引っ越し当日まで二人ともずっと仕事だから、 来てもらっても誰もいないよ」 | ||
136 | 雪菜の母 | Setsuna's Mother | 「え~、そうなの? でも、まだ半分も片付いてないけど……」 | ||
137 | 雪菜 | Setsuna | 「何しろ全然進まなかったからね。 本当、何しに来たんだか」 | ||
138 | 雪菜の母 | Setsuna's Mother | 「雪菜だってずっと一緒にサボってたくせに」 | ||
139 | 二人の総評にもあるように、 本日の引っ越し準備は、見事なまでに停滞した。 | ||||
140 | アルバムに始まり、古い小説や漫画、 今は着なくなった洋服に着けなくなったアクセサリ。 | ||||
141 | そんな、『この小さな部屋によく持ち込んだな』 なんてアイテムが幾度も出土され、そのたびに 二人の手が止まり、会話は盛り上がった。 | ||||
142 | しかも厄介なことに、 二人は俺を蚊帳の外に置くこともよしとせず…… 結局、俺もその『休憩』に何度も巻き込まれた。 | ||||
143 | だからといって『俺一人でやった方が進んだかも』 などという真理は口にしちゃいけない。 | ||||
144 | 雪菜 | Setsuna | 「それにしても、もう帰るの? うちでご飯食べていけばいいのに。 いいよね春希くん?」 | ||
145 | 春希 | Haruki | 「もちろん。 是非食べていってください」 | ||
146 | 雪菜の母 | Setsuna's Mother | 「そうしたいのは山々だけど、 そうもいかなくてね」 | ||
147 | 雪菜 | Setsuna | 「お父さんや孝宏だったら、 適当に外食させておけばいいじゃない。 ね? もうちょっとこっちにいようよ?」 | ||
148 | いや、その男家族に対する仕打ちに関しては 『是非』とは言えないけれど…… | ||||
149 | 雪菜の母 | Setsuna's Mother | 「違うの、他に用事があるのよ。 今から夜の部のお芝居観に行くの。 北原さんとね」 | ||
150 | 春希 | Haruki | 「え……」 | ||
151 | 雪菜 | Setsuna | 「なぁんだ、それなら早く言ってよ。 お弁当とか作ったのに」 | ||
152 | 雪菜の母 | Setsuna's Mother | 「それも結構よ。観終わったら御宿で フランス料理のお店予約してあるんだもの。 ……もちろんお父さんたちには内緒で」 | ||
153 | お義母さんの言う『北原さん』ってのは、 もちろん俺と雪菜のことじゃなくて。 | ||||
154 | だとしたら、その名字を持つ人は、 俺たちの心当たりには、あと一人しかいなくて。 | ||||
155 | 雪菜の母 | Setsuna's Mother | 「そんなわけで、お邪魔しました」 | ||
156 | 春希 | Haruki | 「あ、あの……」 | ||
157 | 雪菜の母 | Setsuna's Mother | 「はい?」 | ||
158 | 春希 | Haruki | 「……いえ、 ありがとうございました」 | ||
159 | 雪菜の母 | Setsuna's Mother | 「今度は新居で会いましょう? それじゃ」 | ||
160 | 春希 | Haruki | 「……はい」 | ||
161 | 俺の表情や態度から何も読み取らなかったのか、 それとも、わかってて軽くスルーしてくれたのか…… | ||||
162 | お義母さんは、まるでいつも通りの態度で、 普通に俺たちの前から去って行った。 | ||||
163 | いつの間にか、俺だけじゃなく、 俺の母親まで小木曽家のコミュニティに巻き込んで。 | ||||
164 | 俺ができなかったことを、 俺がやる気にならなかったことを、 さらっと実現してしまい。 | ||||
165 | 雪菜 | Setsuna | 「さてと、 じゃ、わたしたちも晩ご飯にしよっか?」 | ||
166 | 春希 | Haruki | 「……雪菜、お前知ってたのか?」 | ||
167 | 雪菜 | Setsuna | 「ううん、全然~?」 | ||
168 | なんてうそぶきながら、 その目がものすごく悪戯っぽく笑ってる。 | ||||
169 | 本当に、この家族は…… | ||||
170 | 悪い人たちじゃないし、俺も好きなんだけど、 俺の考え方とは、 笑ってしまうくらいのギャップを感じることがある。 | ||||
171 | 俺が今まで逃げてきたしがらみや確執に、 土足でずかずかと入り込み。 | ||||
172 | そして、何もかも『めでたしめでたし』に 転化してしまう。 | ||||
173 | 俺が、想像もできなかった結末を、用意してしまう。 | ||||
174 | 雪菜 | Setsuna | 「そろそろ部屋入ろうか? 寒くなってきたし」 | ||
175 | 春希 | Haruki | 「うん……」 | ||
176 | 本当に、想像もしていなかった。 | ||||
177 | 俺が、日曜の夕方を必ず家族と過ごすなんて。 | ||||
178 | 見る気もないテレビをだらだらと無意味に見て、 勝手に出てくる食事を、 勝手に注いでくれるビールで味わい。 | ||||
179 | 相手が次から次へと無駄話を振ってきて、 あまりにも適当に相槌打ってたら拗ねられたりして、 そしたらなだめるのが結構めんどくさくて。 | ||||
180 | こんなに賑やかで、 こんなに無駄で非効率で、 こんなに慣れてなくて…… | ||||
181 | そして、こんなに夢見ていた日々を過ごすなんて。 | ||||
182 | これは、全ての負が正へと転じた、 あの、夢のような結末の…… | ||||
183 | いや、夢でもない、結末でもない。 | ||||
184 | 幸せな現実の、続き。 |
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Introductory Chapter | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
1001 | 1008 | 1009 | 1010 | 1011 | 1012 | 1013 |
1002 | 1008_020 | 1009_020 | 1010_020 | 1011_020 | 1012_020 | |
1003 | 1008_030 | 1009_030 | 1010_030 | 1011_030 | 1012_030 | |
1004 | 1008_040 | 1010_040 | 1012_030_2 | |||
1005 | 1008_050 | 1010_050 | ||||
1006 | 1010_060 | |||||
1006_2 | 1010_070 | |||||
1007 |
Closing Chapter | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Common | Setsuna | Koharu | Chiaki | Mari | ||||||
2001 | 2011 | 2020 | 2027 | 2301 | 2309 | 2316 | 2401 | 2408 | 2501 | 2510 |
2002 | 2012 | 2021 | 2028 | 2302 | 2310 | 2317 | 2402 | 2409 | 2502 | 2511 |
2003 | 2013 | 2022 | 2029 | 2303 | 2311 | 2318 | 2403 | 2410 | 2503 | 2512 |
2004 | 2014 | 2023 | 2030 | 2304 | 2312 | 2319 | 2404 | 2411 | 2504 | 2513 |
2005 | 2015 | 2024 | 2031 | 2305 | 2313 | 2320 | 2405 | 2412 | 2505 | 2514 |
2006 | 2016 | 2025 | 2032 | 2306 | 2314 | 2321 | 2406 | 2413 | 2506 | 2515 |
2007 | 2017 | 2026 | 2033 | 2307 | 2315 | 2322 | 2407 | 2507 | 2516 | |
2008 | 2018 | 2308 | 2508 | 2517 | ||||||
2009 | 2019 | 2509 | ||||||||
2010 | ||||||||||
Setsuna | Koharu | Chiaki | Mari | |||||||
2031_2 | 2312_2 | 2401_2 | 2504_2 | 2511_2 | ||||||
2031_3 | 2313_2 | 2402_2 | 2507_2 | 2513_2 | ||||||
2031_4 | 2313_3 | 2402_3 |
Coda | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Common | Kazusa (True) | Setsuna (True) | Kazusa (Normal) | ||||||
3001 | 3008 | 3014_2 | 3020 | 3101 | 3107 | 3201 | 3207 | 3901 | 3907 |
3002 | 3009 | 3014_3 | 3021 | 3102 | 3108 | 3202 | 3208 | 3902 | 3908 |
3003 | 3010 | 3015 | 3022 | 3103 | 3109 | 3203 | 3209 | 3903 | 3909 |
3004 | 3011 | 3016 | 3023 | 3104 | 3110 | 3204 | 3210 | 3904 | |
3005 | 3012 | 3017 | 3024 | 3105 | 3111 | 3205 | 3211 | 3905 | |
3006 | 3013 | 3018 | 3106 | 3206 | 3906 | ||||
3007 | 3014 | 3019 | |||||||
Common | Setsuna (True) | Kazusa (Normal) | |||||||
3001_2 | 3210_2 | 3901_2 | 3906_2 | ||||||
3015_2 | 3902_2 | 3907_2 | |||||||
3902_3 | 3907_3 | ||||||||
3904_2 |
Mini After Story and Extra Episode | |||
---|---|---|---|
The Path Back to Happiness | The Path Forward to Happiness | Dear Mortal Enemy | |
6001 | 6101 | 4000 | 4005 |
6002 | 6102 | 4001 | 4006 |
6003 | 6103 | 4002 | 4007 |
6004 | 6104 | 4003 | 4008 |
6005 | 4004 | 4009 |
Novels | |||||
---|---|---|---|---|---|
The Snow Melts, And Until The Snow Falls | The Idol Who Forgot How to Sing | Twinkle Snow ~Reverie~ | After the Festival ~Setsuna's Thirty Minutes~ | His God, Her Savior | |
5000 | 5100 | 5200 | 5205 | 5300 | 5400 |
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5003 | 5103 | 5203 | 5208 | 5303 | |
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Short Stories | |||
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Princess Setsuna's Distress and Her Minister's Sinister Plan | Koharu Climate After the Passing of the Typhoon | This isn't the Season for White Album | Todokanai Koi, Todoita |
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